466 / 909
第二十八章 神降の国にて晩餐会を
日常と失踪
しおりを挟む
移身石を貰う約束を取りつけて、ヴェーン邸に帰ってきて、アルを抱き締めて話しているうちに眠ってしまって──目が覚めた今、隣にアルは居ない。
『アルちゃんなら買い物だよ』
「…………にいさま?」
『この部屋、結構面白い本あるね。これ読んだ?』
僕に目が無いことを忘れているのではないだろうか。いや、興味が無いの方が正しいか。
「読んでない。ね、お腹すいたんだけど、何かある?」
『牛と豚を一緒に挽いたやつの腸詰め持ってきてるよ。そこに置いてる』
どうしてそう食欲を減退させる言い方をするのか。合い挽き肉のソーセージくらいの言い方は出来ないのか。目が見えていないのに「これ」だの「そこ」だのと……気遣いの一つも出来ないのか。
言ってやりたいことは大量に浮かんだが、言う勇気はない。僕は手探りでベッドの横の棚を探り、ランプの手前に置かれた皿を見つけた。
「……ねぇ、ソーセージだけ? パンとか、サラダとか、飲み物は?」
『無いね』
食事を作っているのはフェルだ。近頃様子がおかしいとは思っていたが、まともな食事を作れなくなるくらいだったのだろうか、心配だ。
『昨日の夕食も今日の朝食も手が込んでてさ、凄く美味しかったみたい。だから、起きてこなかったヘルの分は食べられちゃった』
「………………誰に?」
『ほら、あの髪短い方の鬼……名前なんだっけ』
「酒呑? 文句言っておいて、次やったら一週間禁酒って。後、止めなかった人も同罪だって全員に伝えて」
『分かった。あ、僕は違うもの食べてたからね』
「……その場に居たなら同罪」
『手厳しいね』
皿の上に乗ったソーセージは二本、それも僕の指程度の太さと長さ。昨日の夕食も食べていない僕がどうしてこれで満足できよう。
「お腹すいた……ねぇ、何かないの?」
『僕の備蓄とダンピールの備蓄があるけど、どっちがいい?』
「……中身教えてくれる?」
『人肉、人の血』
「…………トマトとかお菓子とか、ないの?」
『蝿さんが全部食べたよ』
「なんであげちゃったんだよっ……!」
流石に人間の肉や血はいただけない。
僕は深くため息を吐いて、アルがいつ頃帰ってくるのか聞いた。
『今日はダンピールと一緒に行ってて、お酒とか日用品とかも買ってくるみたいだから、昨日より遅いかも……って言ってたよ』
「昨日どれくらいで帰ってきたのか知らないよ」
『まぁ、出かけたの結構前だし……』
兄の言葉はそこで止まる。
「……にいさま?」
『玄関が開いた音だね、帰ってきたみたい』
僕には何も聞こえなかった。誰も彼も感覚が鋭敏過ぎる。
ほどなくしてアルが部屋に入ってくる。ガサガサと袋を鳴らし、その袋を僕に渡し、ベッドに飛び乗った。
『土産だ、やる』
「あ、ありがと……」
『兄君、帰る途中ダンピールと逸れてな、荷物は全て私が持っていたから問題は無かったのだが…………一応、報告しておく』
『了解、帰ってきたら文句言えばいいんだね』
そう残して兄は退室する。
ヴェーンとはぐれたと言ったか、アルが街に慣れている彼より早く帰ってきたのなら、ヴェーンは故意にはぐれたのだろう。
風俗店の類なら言わなくても不思議ではない、買い忘れなら言うだろう、アクセサリーの材料なら言わないだろう……僕に想定できるのはこのくらいだ。想定する必要も無いけれど。
『喰わんのか?』
「え? ぁ……あぁ、食べ物なの?」
『貴方好みの菓子だ、見えていなくても喰えるだろう』
袋を漁り、中に入っていた菓子らしい物──棒状の物を取り出す。包み紙を剥がして口に運ぶ。もちもちとした食感と、大抵の人間は「くどい」と嫌うであろう甘み、生地に包まれていたらしいトロっとした液体を感じる。
「……おいしい」
『気に入ったか? 良かった』
「ん……ベッドにこぼしてない?」
『今のところはな。降りるか?』
「うん……」
アルの尾が太腿の下に滑らされ、腰に巻き付き、僕を座った体勢のまま床に下ろした。どこからか紙ナプキンを持ってきて僕の膝の上に乗せさせる。
「買い物、どうだった?」
『……どう、とは? ただ店に行って必要な物を買って来ただけだ、感想も報告も無い』
「僕には一緒に居ない時のこと話せって言うくせに」
今日は暇だし、アルが買ってきてくれた菓子のおかげで夕飯まで部屋から出なくていい。少し悪戯してみよう。
『そうは言ってもな……何も貴方の耳に入れるようなことは……』
「アル、僕が女の人に近付かれたり触られたりしたら怒るよね?」
『怒ってはいない。腹が立つだけだ』
怒ると腹が立つの違いはイマイチ分からない。僕を責めていると言うより、駄々をこねているようだと言うなら分かるけれど。
「アルがヴェーンさんと買い物行ったり、店員さんと顔合わせたりするの、僕も怒っていいよね?」
『……今日は量が多かったし、メモだけでは買い切れない物もあったからだな……』
「…………言い訳?」
的外れな事にでも嫉妬する……か、案外楽しいな。アルがしつこくなる気持ちも分かる。
『違う! 私だって、買い物は貴方と行きたい!』
「…………ふふっ」
アルの必死な声に思わず笑いが漏れる。
『……ヘル?』
「あははっ、ははは……もう、面白いなぁ、そんな必死にならなくても本気で怒ってないよ、怒るわけないじゃん」
『なっ……! ヘル! ふざけないでくれ! 私は本当に貴方が……あぁ、もう…………知らん!』
「そんなに怒んないでよアルー、可愛かったから、つい、さぁ? あはは、ごめんごめん」
脛の上にアルの顎が乗る。不機嫌そうに唸って、ぐりぐりと頬を擦り付ける。
二つ目の菓子を食べ終え、三つ目の包み紙を剥がして床に捨てる。
「少しは分かった? 僕がアルに「女の匂いがする」とか言われてる時の気持ち」
『…………済まない。だが、どうしても……他の者の匂いが付いているのは我慢出来ん』
「愛されてるって思えるし、あれ自体はいいんだけどさ。あの時のアル声低くて……怒ってるって思うと、どうしても、僕……怖くて、さぁ。殴られるのかな、蹴られるのかなって、思っちゃって……」
幼少期の経験で身に付いた考え方のクセはその原因が暴力を振るわなくなっても治らない。
「もうちょっと、声とか、唸り方とか、気にして欲しいなぁって」
『済まない……貴方が怯えているとは分かっていたんだが、何に怯えているのかよく分からなくて。気を付ける』
「ん、いいよいいよ。謝らないで。後さ、匂い気になるならもっと僕に擦り寄ってよ、そしたらアルだけになるでしょ?」
縄張りを示すように僕を束縛して。
『……そうだな。貴方が食事を終えたら、たっぷりと……』
三つ目を食べ終え、四つ目の包み紙を剥がして床に捨てる。何だか身体が熱くなってきた気がする。
『……ん? ヘル、包み紙……少し見せてくれ』
手探りで床に散らばった紙を拾って、アルの頭の辺りに持っていく。
『…………アルコールが入っている。気が付かなかった……ヘル、気分は?』
「……アルコール?」
『そうだ、平気か? 四つ喰ったな……一つの量が、えぇと……』
四つ目を食べ終えると流石に腹が膨らんできた。僕は僕の足を跨いでオロオロと紙を弄っているアルの頭を抱き寄せて、額に頬擦りした。
「アルコールって……なんだっけ。アルコール……アル? アル……ふふっ」
『ヘル? 吐き気や頭痛は無いか? 気分は悪くないか?』
「コールぅー……ふふ」
『……気分は良さそうだな』
その通りだ、とても気分が良い。様々な悩みの種がボヤけて見えなくなっているような感覚だ。悩み過ぎる性格も、他人を気にし過ぎる性分も、今はない。
「ご主人様って呼んでごらん?」
『……ど、どうしたんだ。ヘル……酔ったか?』
「ご主人様って呼ーぶぅーのぉー! ほら、言えよぉ、おっきい口ぃ! あはは牙すごーい!」
アルの口周りを撫でて、皮を持ち上げて牙をなぞる。鋭く尖った牙は見えていなくても恐ろしいものだったが、今は何故か笑いが込み上げてくる。
『絡み上戸、いや笑い上戸……? 楽しそうで何よりだ、ご主人様』
「あははっ、そうそうご主人様ぁー! 僕ご主人様なんだぁ、はははっ、変だねぇー」
『変、か? 私は貴方以上に主人らしい主人は居ないと思うぞ』
「やだぁーアルが褒めるぅー! 僕愛されてるぅー!」
『……楽しそうで何よりだ』
アルは僕から菓子が入った袋を取り上げ、僕の胴に尾を巻いてベッドに上げる。真ん中に寝転がされ、アルは隣に腰を下ろした。
「もっとこっちおいでよアルー……ご主人様が寂しがってるよー?」
『…………貴方は酔った後眠ると記憶が無くなる部類の人間だろうか。それなら、貴方にとっては幸運だろうな』
「抱き枕になってよ、眠い……」
『……全く。良かったな、私が万年発情期の生き物でなくて。ほら、好きなだけ枕にしろ。但し、私の上で吐くなよ』
「おやすみー」
『おやすみ…………先程まで眠っていただろうに。猫のようだな、貴方は』
酔いでボヤけ、眠気で薄まった意識。ゆらゆらと暗闇に沈んでいくような眠る直前の感覚。
優しいアルの声で心が満たされて、その暗闇にも温かさが宿った。
『アルちゃんなら買い物だよ』
「…………にいさま?」
『この部屋、結構面白い本あるね。これ読んだ?』
僕に目が無いことを忘れているのではないだろうか。いや、興味が無いの方が正しいか。
「読んでない。ね、お腹すいたんだけど、何かある?」
『牛と豚を一緒に挽いたやつの腸詰め持ってきてるよ。そこに置いてる』
どうしてそう食欲を減退させる言い方をするのか。合い挽き肉のソーセージくらいの言い方は出来ないのか。目が見えていないのに「これ」だの「そこ」だのと……気遣いの一つも出来ないのか。
言ってやりたいことは大量に浮かんだが、言う勇気はない。僕は手探りでベッドの横の棚を探り、ランプの手前に置かれた皿を見つけた。
「……ねぇ、ソーセージだけ? パンとか、サラダとか、飲み物は?」
『無いね』
食事を作っているのはフェルだ。近頃様子がおかしいとは思っていたが、まともな食事を作れなくなるくらいだったのだろうか、心配だ。
『昨日の夕食も今日の朝食も手が込んでてさ、凄く美味しかったみたい。だから、起きてこなかったヘルの分は食べられちゃった』
「………………誰に?」
『ほら、あの髪短い方の鬼……名前なんだっけ』
「酒呑? 文句言っておいて、次やったら一週間禁酒って。後、止めなかった人も同罪だって全員に伝えて」
『分かった。あ、僕は違うもの食べてたからね』
「……その場に居たなら同罪」
『手厳しいね』
皿の上に乗ったソーセージは二本、それも僕の指程度の太さと長さ。昨日の夕食も食べていない僕がどうしてこれで満足できよう。
「お腹すいた……ねぇ、何かないの?」
『僕の備蓄とダンピールの備蓄があるけど、どっちがいい?』
「……中身教えてくれる?」
『人肉、人の血』
「…………トマトとかお菓子とか、ないの?」
『蝿さんが全部食べたよ』
「なんであげちゃったんだよっ……!」
流石に人間の肉や血はいただけない。
僕は深くため息を吐いて、アルがいつ頃帰ってくるのか聞いた。
『今日はダンピールと一緒に行ってて、お酒とか日用品とかも買ってくるみたいだから、昨日より遅いかも……って言ってたよ』
「昨日どれくらいで帰ってきたのか知らないよ」
『まぁ、出かけたの結構前だし……』
兄の言葉はそこで止まる。
「……にいさま?」
『玄関が開いた音だね、帰ってきたみたい』
僕には何も聞こえなかった。誰も彼も感覚が鋭敏過ぎる。
ほどなくしてアルが部屋に入ってくる。ガサガサと袋を鳴らし、その袋を僕に渡し、ベッドに飛び乗った。
『土産だ、やる』
「あ、ありがと……」
『兄君、帰る途中ダンピールと逸れてな、荷物は全て私が持っていたから問題は無かったのだが…………一応、報告しておく』
『了解、帰ってきたら文句言えばいいんだね』
そう残して兄は退室する。
ヴェーンとはぐれたと言ったか、アルが街に慣れている彼より早く帰ってきたのなら、ヴェーンは故意にはぐれたのだろう。
風俗店の類なら言わなくても不思議ではない、買い忘れなら言うだろう、アクセサリーの材料なら言わないだろう……僕に想定できるのはこのくらいだ。想定する必要も無いけれど。
『喰わんのか?』
「え? ぁ……あぁ、食べ物なの?」
『貴方好みの菓子だ、見えていなくても喰えるだろう』
袋を漁り、中に入っていた菓子らしい物──棒状の物を取り出す。包み紙を剥がして口に運ぶ。もちもちとした食感と、大抵の人間は「くどい」と嫌うであろう甘み、生地に包まれていたらしいトロっとした液体を感じる。
「……おいしい」
『気に入ったか? 良かった』
「ん……ベッドにこぼしてない?」
『今のところはな。降りるか?』
「うん……」
アルの尾が太腿の下に滑らされ、腰に巻き付き、僕を座った体勢のまま床に下ろした。どこからか紙ナプキンを持ってきて僕の膝の上に乗せさせる。
「買い物、どうだった?」
『……どう、とは? ただ店に行って必要な物を買って来ただけだ、感想も報告も無い』
「僕には一緒に居ない時のこと話せって言うくせに」
今日は暇だし、アルが買ってきてくれた菓子のおかげで夕飯まで部屋から出なくていい。少し悪戯してみよう。
『そうは言ってもな……何も貴方の耳に入れるようなことは……』
「アル、僕が女の人に近付かれたり触られたりしたら怒るよね?」
『怒ってはいない。腹が立つだけだ』
怒ると腹が立つの違いはイマイチ分からない。僕を責めていると言うより、駄々をこねているようだと言うなら分かるけれど。
「アルがヴェーンさんと買い物行ったり、店員さんと顔合わせたりするの、僕も怒っていいよね?」
『……今日は量が多かったし、メモだけでは買い切れない物もあったからだな……』
「…………言い訳?」
的外れな事にでも嫉妬する……か、案外楽しいな。アルがしつこくなる気持ちも分かる。
『違う! 私だって、買い物は貴方と行きたい!』
「…………ふふっ」
アルの必死な声に思わず笑いが漏れる。
『……ヘル?』
「あははっ、ははは……もう、面白いなぁ、そんな必死にならなくても本気で怒ってないよ、怒るわけないじゃん」
『なっ……! ヘル! ふざけないでくれ! 私は本当に貴方が……あぁ、もう…………知らん!』
「そんなに怒んないでよアルー、可愛かったから、つい、さぁ? あはは、ごめんごめん」
脛の上にアルの顎が乗る。不機嫌そうに唸って、ぐりぐりと頬を擦り付ける。
二つ目の菓子を食べ終え、三つ目の包み紙を剥がして床に捨てる。
「少しは分かった? 僕がアルに「女の匂いがする」とか言われてる時の気持ち」
『…………済まない。だが、どうしても……他の者の匂いが付いているのは我慢出来ん』
「愛されてるって思えるし、あれ自体はいいんだけどさ。あの時のアル声低くて……怒ってるって思うと、どうしても、僕……怖くて、さぁ。殴られるのかな、蹴られるのかなって、思っちゃって……」
幼少期の経験で身に付いた考え方のクセはその原因が暴力を振るわなくなっても治らない。
「もうちょっと、声とか、唸り方とか、気にして欲しいなぁって」
『済まない……貴方が怯えているとは分かっていたんだが、何に怯えているのかよく分からなくて。気を付ける』
「ん、いいよいいよ。謝らないで。後さ、匂い気になるならもっと僕に擦り寄ってよ、そしたらアルだけになるでしょ?」
縄張りを示すように僕を束縛して。
『……そうだな。貴方が食事を終えたら、たっぷりと……』
三つ目を食べ終え、四つ目の包み紙を剥がして床に捨てる。何だか身体が熱くなってきた気がする。
『……ん? ヘル、包み紙……少し見せてくれ』
手探りで床に散らばった紙を拾って、アルの頭の辺りに持っていく。
『…………アルコールが入っている。気が付かなかった……ヘル、気分は?』
「……アルコール?」
『そうだ、平気か? 四つ喰ったな……一つの量が、えぇと……』
四つ目を食べ終えると流石に腹が膨らんできた。僕は僕の足を跨いでオロオロと紙を弄っているアルの頭を抱き寄せて、額に頬擦りした。
「アルコールって……なんだっけ。アルコール……アル? アル……ふふっ」
『ヘル? 吐き気や頭痛は無いか? 気分は悪くないか?』
「コールぅー……ふふ」
『……気分は良さそうだな』
その通りだ、とても気分が良い。様々な悩みの種がボヤけて見えなくなっているような感覚だ。悩み過ぎる性格も、他人を気にし過ぎる性分も、今はない。
「ご主人様って呼んでごらん?」
『……ど、どうしたんだ。ヘル……酔ったか?』
「ご主人様って呼ーぶぅーのぉー! ほら、言えよぉ、おっきい口ぃ! あはは牙すごーい!」
アルの口周りを撫でて、皮を持ち上げて牙をなぞる。鋭く尖った牙は見えていなくても恐ろしいものだったが、今は何故か笑いが込み上げてくる。
『絡み上戸、いや笑い上戸……? 楽しそうで何よりだ、ご主人様』
「あははっ、そうそうご主人様ぁー! 僕ご主人様なんだぁ、はははっ、変だねぇー」
『変、か? 私は貴方以上に主人らしい主人は居ないと思うぞ』
「やだぁーアルが褒めるぅー! 僕愛されてるぅー!」
『……楽しそうで何よりだ』
アルは僕から菓子が入った袋を取り上げ、僕の胴に尾を巻いてベッドに上げる。真ん中に寝転がされ、アルは隣に腰を下ろした。
「もっとこっちおいでよアルー……ご主人様が寂しがってるよー?」
『…………貴方は酔った後眠ると記憶が無くなる部類の人間だろうか。それなら、貴方にとっては幸運だろうな』
「抱き枕になってよ、眠い……」
『……全く。良かったな、私が万年発情期の生き物でなくて。ほら、好きなだけ枕にしろ。但し、私の上で吐くなよ』
「おやすみー」
『おやすみ…………先程まで眠っていただろうに。猫のようだな、貴方は』
酔いでボヤけ、眠気で薄まった意識。ゆらゆらと暗闇に沈んでいくような眠る直前の感覚。
優しいアルの声で心が満たされて、その暗闇にも温かさが宿った。
0
お気に入りに追加
435
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
御機嫌ようそしてさようなら ~王太子妃の選んだ最悪の結末
Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。
生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。
全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。
ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。
時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。
ゆるふわ設定の短編です。
完結済みなので予約投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる