上 下
30 / 41
第四章 対抗試合! 茶道部に勝て

4-6 ここはどこ? 田舎です。

しおりを挟む
 期末テストも滞りなく終わり、夏休みを迎えた。八月某日。新月の日。わたしたち琴流女学院天文部メンバーは鳳女学院まで移動した。

 天文部メンバーとは部長の姫川さん、副部長の折笠さん、一年生の村雨さんとわたしこと鳴海千尋の四人。なんと引率の護国寺先生は親戚の法事で急遽不参加。彼は法事を断ってわたしたちに同行すると言いだした。それはわたしたちから断った。

 姫川さんはきっぱりといった。
「あたしたちのために自己犠牲してほしくない」
 彼女の聖少女としての片鱗を見た。

 電車を乗り継いで移動すること三時間。現地に到着したのはお昼過ぎ。折笠さんが用意した天体観測用機材をみんなで交代しながら運んだ。

 まわりを見渡すと山、山、山。空が異様に高い。駅周辺にはお土産屋がひっそりと営業している。

「ここから山頂までバスで移動するから。あそこがバス停みたい」

 鳳女子と交流がある姫川さんも学園まで行ったことはないみたい。

「やだーっ」
「どうしたのヒメ」

 時刻表を見て奇声をあげた姫川さんを折笠さんが気遣う。嫌な予感がする。

「つぎのバス二時間後だわ。ごめんみんな。これがホントの地獄表」

「まじか。ヒメに任せっぱなしにしたわたしたちも悪かったよ。とりあえずお昼食べましょう」

「待って。いま九条さんにRINNEするから」

 駅に隣接したお蕎麦屋さんで昼食を摂った。
 わたしは山菜そば。姫川さんは月見そば。村雨さんはとろろそば。折笠さんだけきつねうどんだった。

「よくとろろなんて食べられるわね」
 折笠さんはとろろそばを食べる村雨さんを横目に見た。

「美味しいですよ」
「だって、似てるじゃない。あれに」

「あれってなんですか?」
「食事中にはとてもいえないわ」
「やめてくださいよ」

「みんな! 九条さんのお父さんが迎えに来てくれるって」

 姫川さんが黄色い声をあげる。
 やったー! 持つべきものは友人だ。

 ほどなく九条さんのお父さんが車で迎えに来てくれた。

「わたしは旅館を経営していてね。よかったら温泉に入っていってください」

 九条さんのお父さんは老舗旅館の主人なのだ。

「じゃあ、合宿が終わったらみんなで入りましょうか」姫川さんの鶴の一声。
「やったー!」

 拍手と歓声があがる。これは楽しみだ。
 車で移動すること二○分ほど。鳳女学院の姿が見えてくる。

 明治時代に建てられた旧家を改築してつくられた全寮制女学院は、ツタが壁面に複雑に絡まり歴史書から抜けだしたような異様な雰囲気だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

生意気な女の子久しぶりのお仕置き

恩知らずなわんこ
現代文学
久しくお仕置きを受けていなかった女の子彩花はすっかり調子に乗っていた。そんな彩花はある事から久しぶりに厳しいお仕置きを受けてしまう。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。

千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。 風月学園女子寮。 私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…! R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。 おすすめする人 ・百合/GL/ガールズラブが好きな人 ・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人 ・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人 ※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。 ※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

俺がカノジョに寝取られた理由

下城米雪
ライト文芸
その夜、知らない男の上に半裸で跨る幼馴染の姿を見た俺は…… ※完結。予約投稿済。最終話は6月27日公開

処理中です...