25 / 41
第四章 対抗試合! 茶道部に勝て
4-1 茶道部と対抗試合します⁉
しおりを挟む
七月の放課後。わたしこと鳴海千尋は天文部の部室にいた。
天文部メンバーは部長の姫川さん、副部長の折笠さん、そしてわたしと同じ一年生の村雨さん。&わたし。
「ではおさらいをします」
姫川さんはホワイトボードの前に立った。
「あたしたちの活動内容はみんな知ってると思うけど天文部として活動しながらゲームで対戦することよ。おもに格闘ゲームが多いけど、たまにレースや、パズルもする。ただし先生には絶対バレてはならない」
「わたくし、調べたのですけど格闘ゲームって、とっくに衰退して一部の物好きな人たちがやるゲームですよね」
村雨さんは眼鏡のつるをクイとあげた。
「村雨さん、はっきり言い過ぎだよ」
わたしは村雨さんのはっきりした物言いにびっくりした。彼女はへたなお世辞が苦手らしい。
姫川さんは自分の好きなものをけなされたのに逆に微笑んだ。
「そう、物好き。格闘ゲームの全盛期は終わった。二○世紀末とともに。
でも格闘ゲームを愛する人たちはプレイを止めなかった。そして格闘ゲームの新作をいまもリリースするメーカーもある。それはメーカーにも格闘ゲームを愛する人がいるから。これってすごいことじゃない?
そして近年、格闘ゲームのブームがふたたび起きつつある。動画配信サービスやメーカーがスポンサーになった格闘ゲームの大会まである」
「たしかにおっしゃる通りです。浅慮な発言でした」
村雨さんて言葉選びが古風だなあ。
「この部活は、三年生はいないのですか?」
村雨さんの当然の質問はわたしも気になっていた。
「あたしたちが天文部に入部したときは三年生がいたの。そのころは部員ももっといた」
「内部抗争があってみんな辞めちゃった」と折笠さん。
「天文部で内部抗争? そんなことあります?」
わたしが問いただすとふたりの表情は暗くなった。
「やばかったよね、あれ」
「うん、やばかった」
「天文部内に仮想現実同好会というものがあって、小説やアニメの同好会だったの。
でも独立の機運が高まり内部抗争が勃発した。メンバーを引き連れて独立したのがいまのアニメ研究部。天文部に残ったのは元部長とあたしたちだけだった。その先輩も卒業してしまった。そのトラブルで去年の天文部は活動実績が乏しい。それが生徒会で問題になったってわけ」
姫川さんの表情は暗い。思いだしたくないのであろう。
「なんていうか、あのころの自分たちの若さゆえの過ちを認めざるを得ないよね」
折笠さんもトラウマのようだ。
「あたしたちまだ高校二年生だけどね」
話が一区切りしたところで姫川さんはホワイトボードに文字を書きだす。とても美しい字だった。
「さて、夏休みはイベントが盛りだくさんだよ。夏休み中にGEBOの予選がある。その前にペルセウス座流星群の観測をします」
「なぜですか⁉」
わたしが素っ頓狂な声をあげる。
「天文部だからに決まっているでしょう!」
ああ、そうだった。この部は天文部だった。
「あたしたちだけでなく、鳳女学院の天文部と合同で観測をします。そのために相手の学校に赴きます。そこで、GEBOの予選の前に鳳女子の茶道部と格闘ゲームで対抗試合します!」
※タイミングが良いことに、2024年8月12日本日、ペルセウス座流星群が極大を迎えます。都会では光害があって見えにくいかもしれません。YouTubeのライブ中継なども存在しますので、星に願いをかけてみてはどうでしょうか。
天文部メンバーは部長の姫川さん、副部長の折笠さん、そしてわたしと同じ一年生の村雨さん。&わたし。
「ではおさらいをします」
姫川さんはホワイトボードの前に立った。
「あたしたちの活動内容はみんな知ってると思うけど天文部として活動しながらゲームで対戦することよ。おもに格闘ゲームが多いけど、たまにレースや、パズルもする。ただし先生には絶対バレてはならない」
「わたくし、調べたのですけど格闘ゲームって、とっくに衰退して一部の物好きな人たちがやるゲームですよね」
村雨さんは眼鏡のつるをクイとあげた。
「村雨さん、はっきり言い過ぎだよ」
わたしは村雨さんのはっきりした物言いにびっくりした。彼女はへたなお世辞が苦手らしい。
姫川さんは自分の好きなものをけなされたのに逆に微笑んだ。
「そう、物好き。格闘ゲームの全盛期は終わった。二○世紀末とともに。
でも格闘ゲームを愛する人たちはプレイを止めなかった。そして格闘ゲームの新作をいまもリリースするメーカーもある。それはメーカーにも格闘ゲームを愛する人がいるから。これってすごいことじゃない?
そして近年、格闘ゲームのブームがふたたび起きつつある。動画配信サービスやメーカーがスポンサーになった格闘ゲームの大会まである」
「たしかにおっしゃる通りです。浅慮な発言でした」
村雨さんて言葉選びが古風だなあ。
「この部活は、三年生はいないのですか?」
村雨さんの当然の質問はわたしも気になっていた。
「あたしたちが天文部に入部したときは三年生がいたの。そのころは部員ももっといた」
「内部抗争があってみんな辞めちゃった」と折笠さん。
「天文部で内部抗争? そんなことあります?」
わたしが問いただすとふたりの表情は暗くなった。
「やばかったよね、あれ」
「うん、やばかった」
「天文部内に仮想現実同好会というものがあって、小説やアニメの同好会だったの。
でも独立の機運が高まり内部抗争が勃発した。メンバーを引き連れて独立したのがいまのアニメ研究部。天文部に残ったのは元部長とあたしたちだけだった。その先輩も卒業してしまった。そのトラブルで去年の天文部は活動実績が乏しい。それが生徒会で問題になったってわけ」
姫川さんの表情は暗い。思いだしたくないのであろう。
「なんていうか、あのころの自分たちの若さゆえの過ちを認めざるを得ないよね」
折笠さんもトラウマのようだ。
「あたしたちまだ高校二年生だけどね」
話が一区切りしたところで姫川さんはホワイトボードに文字を書きだす。とても美しい字だった。
「さて、夏休みはイベントが盛りだくさんだよ。夏休み中にGEBOの予選がある。その前にペルセウス座流星群の観測をします」
「なぜですか⁉」
わたしが素っ頓狂な声をあげる。
「天文部だからに決まっているでしょう!」
ああ、そうだった。この部は天文部だった。
「あたしたちだけでなく、鳳女学院の天文部と合同で観測をします。そのために相手の学校に赴きます。そこで、GEBOの予選の前に鳳女子の茶道部と格闘ゲームで対抗試合します!」
※タイミングが良いことに、2024年8月12日本日、ペルセウス座流星群が極大を迎えます。都会では光害があって見えにくいかもしれません。YouTubeのライブ中継なども存在しますので、星に願いをかけてみてはどうでしょうか。
1
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
恥ずかしい 変身ヒロインになりました、なぜならゼンタイを着ただけのようにしか見えないから!
ジャン・幸田
ファンタジー
ヒーローは、 憧れ かもしれない しかし実際になったのは恥ずかしい格好であった!
もしかすると 悪役にしか見えない?
私、越智美佳はゼットダンのメンバーに適性があるという理由で選ばれてしまった。でも、恰好といえばゼンタイ(全身タイツ)を着ているだけにしかみえないわ! 友人の長谷部恵に言わせると「ボディラインが露わだしいやらしいわ! それにゼンタイってボディスーツだけど下着よね。法律違反ではないの?」
そんなこと言われるから誰にも言えないわ! でも、街にいれば出動要請があれば変身しなくてはならないわ! 恥ずかしい!
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
古屋さんバイト辞めるって
四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。
読んでくださりありがとうございました。
「古屋さんバイト辞めるって」
おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。
学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。
バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……
こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか?
表紙の画像はフリー素材サイトの
https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる