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88.遠坂喜一
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都立総合病院で骨折の手術を直ぐに受けた後警察病院に移送され病室の入り口に二十四時間警官付。とは言え進藤隆平は、予想以上に大人しく騒ぎを起こすわけでもなく治療を受けていた。予想とは全く違って黙秘もなければ気軽に雑談にすら応じる。そんな様子に、一課の面子の困難な取り調べになる筈の意気込みが完全に上滑りしている。
「……聞かれりゃ答える。別におたくらに隠すこともないんでね。」
宇野智雪に上手いこと自白をさせられ外崎宏太に骨以外に一番大きな芯でもへし折られたのか、全く別人のように淡々と問われた事に進藤は答えているという。その進藤の足の骨折はかなり酷く、骨が上手くくっついても元通りにはならない。最終的には何とか歩けるようにはなるだろうが、当然跛行を引くことになるか杖をつくかだろうし、以前のように俊敏に駆け回る事はかなり難しいだろう。それも進藤が大人しい理由の一つかもしれない。
「……は?……訴えるかだって?」
外崎宏太の行動は、正当防衛とはいってもやり過ぎの感は無くはない。だが進藤自身が合気道とカポエラを身に付けているのを認めた上で、しかも盲目の障害者に自分から蹴りかかったのもアッサリと認めた。
「はっ、俺は五体満足でめくらのインポに蹴りかかってんだぞ?」
しかも外崎宏太の体がどんな状態にあるかを的確に知っている。それを知っているのは実は、あまり数多くは居ない筈だと理解しているのは何人いるだろうか。恐らくだがこちらからこう問いかけたら進藤はきっとイエスと答えたに違いない、お前は三浦和希が外崎宏太を襲った後にあの店の中にいたのか?と。
「そんなのに返り討ちで足をへし折られたなんて、馬鹿馬鹿しくて……もう何もする気にならない……。」
そんなことを平然とした顔で進藤は、病室のベットの上で乾いた声で笑いながら言うのだ。勿論ここで進藤が否定しても証拠の音声はちゃんとあるし外崎の証言もあるわけだから、あの時何が起こっていたかはこちら側にも大体分かっている。それでも何も言い訳もなく否認もなく全部認めるとは、誰もが思ってもみなかった。しかも進藤には自白した殺人等の事に関しても全く否定する気がないのに、一課の不動は問いかけておいてなんだが、あんぐり口を開いて暫しポカーンとしてしまったという。
「……否定する?何でだ、俺が自分で言ったことだぞ。」
全く理解できないと言いたげにそう言った進藤の方が理解できないと、不動が呆れ返って話すのに俺はだろうなと苦く笑う。宏太に足をへし折られた進藤は、俺達が現場に辿り着く前に宏太の横でゲームオーバーを告げたらしい。やるだけはやったと告げて、ゲームの終焉を自分で告げたからには本当になにかをする気力が萎えたに違いない。
竜胆ファイルや俺・宏太で調べた限り、進藤隆平は俺達と恐らく同じ年だろうという結論に達した。つまり四十六年間、産まれてから延々と続いたゲームが終わって、進藤には今までそれ一つしかなかったから以後の目的すらない。生きる全てだったものが唐突に終わった進藤には、ここからはもうエンディングロールとでも言いたい状況なんじゃないだろうか。そうだな、簡単にいえば燃え尽きたというところだ。悪意と憎悪それしか知らない人間に、これから急に新しい希望を持てというのも確かに酷と言えば酷なのかもしれない。とは言え進藤隆平が関与した最悪の悪意の産物が、未だに街を彷徨いていて、誰もがその情報をどう問いかければ答えるのかと思案してい
そんな最中唐突に進藤の方から俺を指名してきたのに、俺のも方も薄々来るんじゃないかとは思っていた。二課の調査でも他の奴が担当なのだから、俺がノコノコ出ていくのは本来なら許されないんだ。それでも一課の不動が上手く誤魔化して、俺と話したいと言っていると密かに話してきたのだ。貰い病室のドアを後ろ手に締めた俺は、ベットの上の痩身の男を眺める。
「よお、進藤。」
「くく、おたくもおんなじような状態だな、遠坂喜一。」
まるで長い付き合いの知人にでも話しかけるように気安く声を掛け合い、ベットの傍のパイプ椅子に腰かけて俺は淡々と呼び出しの理由を問いかけた。正直なところ何で呼び出されたかは分かっているとも言えて、改めてここでするような話ではない。
「おたく、和希に殺されなかったんだな。」
日差しに照らされながら、生来のものだろうが顔色の悪い男はそう口にする。正直なところあれは、三浦としては殺す気があったのかなかったのかは俺にも分からなかった。あの宮井麻希子が居たからといって、俺を殺すのは三浦にしてみたら大したことではなかったと思う。まんまと自分から大虎の巣穴に潜り込んで行ったわけだから、俺を殴り殺すのだって容易かった筈だ。
「本当に和希はなに考えてるかわかんねぇな、折角教えてやってんのに。」
「石倉と俺以外の三人も教えてあるのか?」
俺の問いかけに進藤は当然だろうと笑う。この男は何処からか俺や石倉、そしてその他三人の名前で集まって、三浦和希をいたぶった人間の存在をとうに理解している。年齢も職業もバラバラな事件の被害者の身内、俺自身他の三人の顔は分かるがどこで何をしているかは知らない。
「あれも可笑しな頭だよな、今までやったこともない合気道やカポエラなんか見ただけでスルッと覚えちまう。恐らく今頃他にも幾つか…。」
何だと?と俺が眉を潜めると、進藤が可笑しそうに色々試してみたというのだ。最初の内は自分が合気道とカポエラを教えたが、薬のせいか疲れもなくあっという間に動きを身につけたという。
「その癖、人間の顔だけは数日しか記憶できない。毎日顔あわせてりゃ別だがな。」
「でも真名かおるは探してんだろ?」
「は、顔も思い出せない架空の女をな。」
何故か進藤は真名かおるを、架空の女だと考えているようだ。確かに真名かおるの話はほんの数人しか証言がないから、署内にも同じように真名かおるを架空と考えたり三浦の頭の中だけの女だと考えている人間もいる。実在の女が全く足取りも掴めない、そんなことは確かにあり得ないことだとは思う。
「色々試したってことは、どれくらい記憶するんだ?」
「くく、人間に関してはせいぜい二・三日。……写真でもあれば別だけどな。他の事は殆どコンピューター並みだ、教えりゃ忘れない。」
つまりは本気で三浦は人の顔は記憶できないのに、進藤に教え込まれた様々なことは吸収したある意味モンスターな訳だ。三浦の足取りが掴めなくなりつつあるのは、既に進藤と同じ方法で闇で暗躍する前兆。それを暗に臭わせながら、目の前の男は気にした風でもなく問われたことだけに平然と答える。
「自分の息子に自分と同じ事させるつもりなのか?あんたは。」
「……おたくには言われたかないな?大体にして俺自身がそうなのに、何故俺がそうするのだけが批難されるんだ?え?」
進藤は納得出来ないと言いたげにそう口にした。薄々そうだろうとは思っていたが、倉橋俊二の悪意から産まれたこの男は物心つく頃には倉橋俊二の呪詛の言葉を聞きながら育ったのだ。
あいつが俺を貶めた、あいつがいなければ、あいつが俺を密告したから、
繰り返される香坂智春を呪う言葉を延々と聞きながら育ったこの男は、悪意の塊として成長するしかできなかった。母親が知っていたかどうかは兎も角、父親の呪詛を糧に密かに長い年月育てられたのだ。だから自分がそうなのだから、自分の息子も同じになっても当然だと考えている。そうして悪意の塊は次の悪意を育て上げてから、それを街に解き放ってしまったのだ。
「世間ってのはそういうもんなんだろうな、倉橋も息子の悪行は容認しても、悪行で産まれた子供には露程も容認できないしな。しかも孫に至っちゃ自分の悪行の癖に、容認するどころか抹消するつもりだった。」
「……違法投薬は、本当は殺す気だったんだな?」
「………頼まれたからな。次第に弱って死ぬように、病院の薬は使えば足がつくから、足がつかない薬が欲しいとね。狂ってたとはいえつくづく人でなしばかりだな、世の中。」
思わず言葉を失う。
目の前の進藤隆平の表情は全く陰りもなく平然と乾いた声で笑うが、その話は余りにも残酷で聞いているだけで気分が悪くなる話じゃないか。
馬鹿で粗野な息子・倉橋俊二は人を二人殺しても人を暴行しても何がなんでも守ろうとした父親・倉橋健吾は、その暴行で産まれた進藤隆平は拒絶した。進藤隆平に呪詛を唱え続けた倉橋俊二は自殺しようとしても必死に命を助けたが、自分が密かに他人の腹を借りて産み出した孫については密かに毒を盛って抹殺するつもりだったというのだ。狂っていたとはどういう事だと問いかけると、十年程前に倉橋健吾は密かに植物状態のまま延々と生き続ける息子を憐れに思って少しずつ人工呼吸器を操作して息子を殺す気だったのだという。
「ババアにバレて洗いざらい自分の悪事は喋ったらしいが、その後十年以上離婚もしねぇで日々呪詛を呟かれちゃな。流石親子だろ?俺の親父の呪詛はババア仕込みだった訳だ。」
一つの歯車の狂いが全てを崩壊させていく。地元の名士で巨大な総合病院の院長、行く行くは長男ににそれを任せて悠々自適な隠居生活を夫婦で送る筈だった。最後には自分の息子ではなく曾孫にあたる人間を殺そうと、ワザワザ病棟一つを潰して。
………本当はずっと疑問だった。
何故倉橋健吾が何故三浦和希のために、病棟一つを潰してあそこを提供したのか。感染病用の病棟で元からベットは十しかなかったというが、十床をたった一床にしてそれでも看護師は、定期的に清潔保持や投薬を行うためにあてがわれる。例え地元の名士だとしても利害としては遥かな損益だ。しかも倉橋健吾は依頼されたのではなく、自分から申し出ている。
倉橋と進藤が繋がって三浦も倉橋の血縁だと知った時、一応は納得したのだ。流石に曾孫だから、密かに保護しようとしていたんだと。
だけど、ならどうしてあの監禁された空間で、何が起きているかをしらないんだろうかと思っていた。院長なら真夜中の暴挙も知りうるんじゃないか?それとも、真夜中だから知らないのか?だが、今の言葉で理解できた。
保護したんじゃない。
自分と繋がっているのがバレるのが嫌で隔離したのだから、俺達の暴挙を黙認してきたのだ。それで三浦が死んだとしても殺して欲しいんだし、殺したのは三浦を怨んでいた人間でその中には二人も警察官がいる。警察だって大事にはしないし自分達も傷つかないから、ずっと黙認していたんだと気がついてしまった。
「何で急に手を下す気になったんだ……?監禁してたろ。」
「はは、鈍いな、おたくも。ああ、そうか、おたくは途中からやりに来なくなったんだったっけな?」
「……どういう事だ?」
「はは、ころしてくれるはずの男がのめり込み始めたんだ。和希もたいしたもんだろ?男をこまして籠絡してな、一人で来るように仕向けたんだ。」
それでか、最初も一人ではいっていたとは聞いたが、隔離され始めた頃は怪我の後でそれほど抵抗することもできなかった筈だ。だがあれから大分経って体力もついているだろう、そんな相手に突然一人でしかも全裸になって中にはいるなんて可笑しいと思った。俺がまだ加わっていた時だって自分達が服を脱ぎ捨てるなんてあり得なかったんだ。手記になんて書いていたかは知らないが、三浦は既に意図して石倉を絡めとり始めていた。つまりは石倉の運命は決まっていたというわけだ。
「毎日顔を会わせれば覚えてられるんだ。和希が石倉だけでなく自分の事を記憶してるのに気がついたのさ。倉橋だって一応医者だからな。」
主治医として一応毎日顔を確認している内に、三浦和希が実は退行していないと気がついてしまった。いや、最初は退行している状態だったかもしれないが、年月を経て三浦が回復し始めていたのを知ったのだ。しかも石倉が三浦に籠絡され始めている。
もし表に出ると、和希は裁判にかけられる。
その時、もしもあの親が血液型の話を何かのタイミングで口にしたら?人工受精で授かったと口にしたら?間違いでも全てが明るみに出たら、三浦の親が誰か証明されたら?そうしたら自分がやった悪事だけでなく、三浦がした悪事まで倉橋の家の者の悪事になってしまう。そうなったらさらに進藤の悪事も、倉橋の悪事になる。
だったら、もう自分で殺すしかない。
だからと言って薬を調達するのに進藤?曾孫を殺すための薬を孫に依頼する?狂ってるというのが相応しい、最悪にも程がある悪夢のような話じゃないか。しかも家でも妻に呪詛を呟かれて安らぐことも出来ない倉橋健吾が、息子の嫁……
「………腹上死は嘘か?もしかして、三浦か?」
「それは残念だが違う。和希が来るのに怯えて、自分で首を括ったのさ。しょうもない奴だろ?俺が親父みたいに、吊るしてやれば良かったよ。」
逃げ出した三浦が一向に捕まらない。しかも人を殺しているような話で、何処まで記憶が保持できるか迄は倉橋健吾は知らなかったのなら。杉浦陽太郎でさえ怯えて泣きわめいたのだから、追い詰められたのは目に見えるようだ。だが同時に進藤が口にした言葉に俺は目を見開く。倉橋俊二は自殺ではなく、進藤が高校の時に自分で手を下した?
「は、ババアが外聞が悪いから自殺は駄目なんて金切り声あげるから、仕方ないから亜希子とやってて死んだことにしてやったんだよ。」
「………息子の事があるからか?」
「知らねぇな、聞く前に頭の血管が切れちまったからな。」
そうだ、倉橋の細君は夫と次男の嫁の不貞に、脳出血を起こして死んでいる。それにしても、この男は何時から何処から悪事を重ねてきたのだろうか。ほんの十六で実の父親の首を締めた?こいつは竜胆ファイルの内の何人を、この男は実際に手にかけているんだろうか。
「娘の方の自殺は?」
「警察ってのも案外鈍いもんだよな、何人も吊るしても自殺で済む。」
「何人も?後は誰だ?」
「俺の母親さ。親父の次に吊るした。」
心底ゾッとする男だ。全く自分がやったことに罪悪感もなく、しかも楽しそうに笑いながらこれを言うのだ。自分の悪事が自分の両親を殺したのが一番最初だったと、まるで思い出話をしているみたいに平然としている。
「……何処までも気分が悪くなる話だな。」
「はは、おたく案外マトモなんだな。親父はな俺に自分を殺して、敵の一族朗党を殺せと言ったんだ。それくらいは叶えてやるつもりだったんだが、三十年もかかって結局無理だった。」
敵の一族朗党?というと、とっくに証言に行ったんだろとケロリとしていうのだ。つまり、それは宇野智雪、宮井智春の血縁者ということか。なんなんだ、その悪意の深さは。自分だって確かに息子を殺された怨みはあるが、そこまで訳も分からずに深い悪意とは違う。しかも進藤は聞かれるまま何をしたかったのか、平然と更に言葉を繋ぐ。
自分は、自分では死ねない。
だから願いを叶えたら誰かに殺してもらわないと。
だから悪意の種を残して和希に殺させようとしたのに、あいつは進藤の命令は全く聞かない。それに男を抱く趣味もないし、下手に生き残って外崎みたいになるのはごめんだ。もう一人悪意の種を撒いた筈の宇野智雪は、何でかマトモな社会の人間に生まれ変わってしまって、真実を知っても殺しに来る気すらない。
そうなると目的がなくなった自分は、死ぬに死ねない。
「気がついたんだよ。和希ですら死刑になるなら、俺は余裕じゃないかってな。おたくもそう思うだろ?和希なんか目じゃないくらい殺してるんだ、希望通り殺してもらえるじゃないかってな。」
「狂ってる………。」
思わず俺の呟いた言葉に進藤は何故か酷く穏やかな満足そうな微笑みで、当然のようにだろうなと呟いた。
※※※
松葉杖で廊下に出た俺を、不動が僅かに心配気に対面に置かれた椅子から見上げる。左隣に立つ制服に声をかけて歩き出した俺に不動が歩み寄って、並んで廊下を歩き始めた。
「なんの話だった?」
「人生で一番最悪な身の上話。もう悪事を話せと言えば全部答えるから、胆据えてから聞けよ、気持ち悪くなるぞ。」
「何であんなに素直に話すんだ?進藤は。」
それは確かに不思議だと感じるだろうが、進藤の望みが分かってしまえば簡単だ。進藤は誰かに殺されたいのに、最後の願いを叶える筈の人間が外崎宏太の邪魔で駄目にされた。倉橋の血縁は全て抹殺して残っている二人もどうやっても子孫は残せない。香坂智春の息子も殺す気だったのだが、そちらの方は邪魔が入りすぎて、もうやる気を失ったというのが本音だという。殺して貰う方法がなくなって呆然としたが、一番手っ取り早い方法があったのに気がついたのだ。
死刑になればいい。
「それで、あんなに簡単に自白?」
不動が納得出来ないといいたげな声をあげるが、結論はそうだ。自分ができることをアッサリ吸収し尽くした三浦和希には、進藤は好きにしろと言って十分なものを与えておいたと暢気にすら聞こえる口調で告げる。
俺も一応最後の頼みはしたけどな、あいつが覚えてるか、やる気になるかもわからない。
その頼みごとに関しては唯一進藤はニヤリと悪どい笑みを強いて、答える必要はないねと告げたのだ。それを言うと不動は苦い顔で、俺の事を眺める。三浦の事は再び不動が担当しているが、今の話で三浦は進藤の様々な技術を身に付けているということになったのだ。しかも、三浦は今までも性別を誤魔化して逃げ回っていたのだから、尚更始末の悪いモンスターになったということになる。
「最悪な情報だな。」
「まあ、進藤が三浦に何を試したか、聞き出すのが先だろうな。三浦の奴、人の顔以外ならとんでもない記憶力らしいぞ。」
「止めてくれよ、これ以上は。」
厳つい顔をした不動と玄関まで並んであるいた俺は、自動ドアを歩きながら足を止めた不動を振り返り口を開く。
「不動。」
「あ?何だよ、遠坂さん。」
「お前、売るのこれで止めろよ。」
そこの言葉に不動が凍りつく。自動ドアが間で締まり凍ったままの不動が口を開くことも出来ずにいるのを知りつつ、俺は前を向いて松葉杖をついて歩き出す。何のことかって?進藤に三浦の状況や一課の情報を売ってる人間に、進藤がもう悪さをする気がないんだから止めろと言ったんだ。何に金が必要なのかは知らないが、情報戦はお互いの手段の一つ、それだけの事で相手が変われば売るやつも変わる。進藤みたいな闇の深い奴に関わらなくても、不動なら何とか刑事でもやっていける筈だ。
遠ざかる自動ドアの向こうでは、未だに不動が呆然と立ち尽くしたままでいた。
「……聞かれりゃ答える。別におたくらに隠すこともないんでね。」
宇野智雪に上手いこと自白をさせられ外崎宏太に骨以外に一番大きな芯でもへし折られたのか、全く別人のように淡々と問われた事に進藤は答えているという。その進藤の足の骨折はかなり酷く、骨が上手くくっついても元通りにはならない。最終的には何とか歩けるようにはなるだろうが、当然跛行を引くことになるか杖をつくかだろうし、以前のように俊敏に駆け回る事はかなり難しいだろう。それも進藤が大人しい理由の一つかもしれない。
「……は?……訴えるかだって?」
外崎宏太の行動は、正当防衛とはいってもやり過ぎの感は無くはない。だが進藤自身が合気道とカポエラを身に付けているのを認めた上で、しかも盲目の障害者に自分から蹴りかかったのもアッサリと認めた。
「はっ、俺は五体満足でめくらのインポに蹴りかかってんだぞ?」
しかも外崎宏太の体がどんな状態にあるかを的確に知っている。それを知っているのは実は、あまり数多くは居ない筈だと理解しているのは何人いるだろうか。恐らくだがこちらからこう問いかけたら進藤はきっとイエスと答えたに違いない、お前は三浦和希が外崎宏太を襲った後にあの店の中にいたのか?と。
「そんなのに返り討ちで足をへし折られたなんて、馬鹿馬鹿しくて……もう何もする気にならない……。」
そんなことを平然とした顔で進藤は、病室のベットの上で乾いた声で笑いながら言うのだ。勿論ここで進藤が否定しても証拠の音声はちゃんとあるし外崎の証言もあるわけだから、あの時何が起こっていたかはこちら側にも大体分かっている。それでも何も言い訳もなく否認もなく全部認めるとは、誰もが思ってもみなかった。しかも進藤には自白した殺人等の事に関しても全く否定する気がないのに、一課の不動は問いかけておいてなんだが、あんぐり口を開いて暫しポカーンとしてしまったという。
「……否定する?何でだ、俺が自分で言ったことだぞ。」
全く理解できないと言いたげにそう言った進藤の方が理解できないと、不動が呆れ返って話すのに俺はだろうなと苦く笑う。宏太に足をへし折られた進藤は、俺達が現場に辿り着く前に宏太の横でゲームオーバーを告げたらしい。やるだけはやったと告げて、ゲームの終焉を自分で告げたからには本当になにかをする気力が萎えたに違いない。
竜胆ファイルや俺・宏太で調べた限り、進藤隆平は俺達と恐らく同じ年だろうという結論に達した。つまり四十六年間、産まれてから延々と続いたゲームが終わって、進藤には今までそれ一つしかなかったから以後の目的すらない。生きる全てだったものが唐突に終わった進藤には、ここからはもうエンディングロールとでも言いたい状況なんじゃないだろうか。そうだな、簡単にいえば燃え尽きたというところだ。悪意と憎悪それしか知らない人間に、これから急に新しい希望を持てというのも確かに酷と言えば酷なのかもしれない。とは言え進藤隆平が関与した最悪の悪意の産物が、未だに街を彷徨いていて、誰もがその情報をどう問いかければ答えるのかと思案してい
そんな最中唐突に進藤の方から俺を指名してきたのに、俺のも方も薄々来るんじゃないかとは思っていた。二課の調査でも他の奴が担当なのだから、俺がノコノコ出ていくのは本来なら許されないんだ。それでも一課の不動が上手く誤魔化して、俺と話したいと言っていると密かに話してきたのだ。貰い病室のドアを後ろ手に締めた俺は、ベットの上の痩身の男を眺める。
「よお、進藤。」
「くく、おたくもおんなじような状態だな、遠坂喜一。」
まるで長い付き合いの知人にでも話しかけるように気安く声を掛け合い、ベットの傍のパイプ椅子に腰かけて俺は淡々と呼び出しの理由を問いかけた。正直なところ何で呼び出されたかは分かっているとも言えて、改めてここでするような話ではない。
「おたく、和希に殺されなかったんだな。」
日差しに照らされながら、生来のものだろうが顔色の悪い男はそう口にする。正直なところあれは、三浦としては殺す気があったのかなかったのかは俺にも分からなかった。あの宮井麻希子が居たからといって、俺を殺すのは三浦にしてみたら大したことではなかったと思う。まんまと自分から大虎の巣穴に潜り込んで行ったわけだから、俺を殴り殺すのだって容易かった筈だ。
「本当に和希はなに考えてるかわかんねぇな、折角教えてやってんのに。」
「石倉と俺以外の三人も教えてあるのか?」
俺の問いかけに進藤は当然だろうと笑う。この男は何処からか俺や石倉、そしてその他三人の名前で集まって、三浦和希をいたぶった人間の存在をとうに理解している。年齢も職業もバラバラな事件の被害者の身内、俺自身他の三人の顔は分かるがどこで何をしているかは知らない。
「あれも可笑しな頭だよな、今までやったこともない合気道やカポエラなんか見ただけでスルッと覚えちまう。恐らく今頃他にも幾つか…。」
何だと?と俺が眉を潜めると、進藤が可笑しそうに色々試してみたというのだ。最初の内は自分が合気道とカポエラを教えたが、薬のせいか疲れもなくあっという間に動きを身につけたという。
「その癖、人間の顔だけは数日しか記憶できない。毎日顔あわせてりゃ別だがな。」
「でも真名かおるは探してんだろ?」
「は、顔も思い出せない架空の女をな。」
何故か進藤は真名かおるを、架空の女だと考えているようだ。確かに真名かおるの話はほんの数人しか証言がないから、署内にも同じように真名かおるを架空と考えたり三浦の頭の中だけの女だと考えている人間もいる。実在の女が全く足取りも掴めない、そんなことは確かにあり得ないことだとは思う。
「色々試したってことは、どれくらい記憶するんだ?」
「くく、人間に関してはせいぜい二・三日。……写真でもあれば別だけどな。他の事は殆どコンピューター並みだ、教えりゃ忘れない。」
つまりは本気で三浦は人の顔は記憶できないのに、進藤に教え込まれた様々なことは吸収したある意味モンスターな訳だ。三浦の足取りが掴めなくなりつつあるのは、既に進藤と同じ方法で闇で暗躍する前兆。それを暗に臭わせながら、目の前の男は気にした風でもなく問われたことだけに平然と答える。
「自分の息子に自分と同じ事させるつもりなのか?あんたは。」
「……おたくには言われたかないな?大体にして俺自身がそうなのに、何故俺がそうするのだけが批難されるんだ?え?」
進藤は納得出来ないと言いたげにそう口にした。薄々そうだろうとは思っていたが、倉橋俊二の悪意から産まれたこの男は物心つく頃には倉橋俊二の呪詛の言葉を聞きながら育ったのだ。
あいつが俺を貶めた、あいつがいなければ、あいつが俺を密告したから、
繰り返される香坂智春を呪う言葉を延々と聞きながら育ったこの男は、悪意の塊として成長するしかできなかった。母親が知っていたかどうかは兎も角、父親の呪詛を糧に密かに長い年月育てられたのだ。だから自分がそうなのだから、自分の息子も同じになっても当然だと考えている。そうして悪意の塊は次の悪意を育て上げてから、それを街に解き放ってしまったのだ。
「世間ってのはそういうもんなんだろうな、倉橋も息子の悪行は容認しても、悪行で産まれた子供には露程も容認できないしな。しかも孫に至っちゃ自分の悪行の癖に、容認するどころか抹消するつもりだった。」
「……違法投薬は、本当は殺す気だったんだな?」
「………頼まれたからな。次第に弱って死ぬように、病院の薬は使えば足がつくから、足がつかない薬が欲しいとね。狂ってたとはいえつくづく人でなしばかりだな、世の中。」
思わず言葉を失う。
目の前の進藤隆平の表情は全く陰りもなく平然と乾いた声で笑うが、その話は余りにも残酷で聞いているだけで気分が悪くなる話じゃないか。
馬鹿で粗野な息子・倉橋俊二は人を二人殺しても人を暴行しても何がなんでも守ろうとした父親・倉橋健吾は、その暴行で産まれた進藤隆平は拒絶した。進藤隆平に呪詛を唱え続けた倉橋俊二は自殺しようとしても必死に命を助けたが、自分が密かに他人の腹を借りて産み出した孫については密かに毒を盛って抹殺するつもりだったというのだ。狂っていたとはどういう事だと問いかけると、十年程前に倉橋健吾は密かに植物状態のまま延々と生き続ける息子を憐れに思って少しずつ人工呼吸器を操作して息子を殺す気だったのだという。
「ババアにバレて洗いざらい自分の悪事は喋ったらしいが、その後十年以上離婚もしねぇで日々呪詛を呟かれちゃな。流石親子だろ?俺の親父の呪詛はババア仕込みだった訳だ。」
一つの歯車の狂いが全てを崩壊させていく。地元の名士で巨大な総合病院の院長、行く行くは長男ににそれを任せて悠々自適な隠居生活を夫婦で送る筈だった。最後には自分の息子ではなく曾孫にあたる人間を殺そうと、ワザワザ病棟一つを潰して。
………本当はずっと疑問だった。
何故倉橋健吾が何故三浦和希のために、病棟一つを潰してあそこを提供したのか。感染病用の病棟で元からベットは十しかなかったというが、十床をたった一床にしてそれでも看護師は、定期的に清潔保持や投薬を行うためにあてがわれる。例え地元の名士だとしても利害としては遥かな損益だ。しかも倉橋健吾は依頼されたのではなく、自分から申し出ている。
倉橋と進藤が繋がって三浦も倉橋の血縁だと知った時、一応は納得したのだ。流石に曾孫だから、密かに保護しようとしていたんだと。
だけど、ならどうしてあの監禁された空間で、何が起きているかをしらないんだろうかと思っていた。院長なら真夜中の暴挙も知りうるんじゃないか?それとも、真夜中だから知らないのか?だが、今の言葉で理解できた。
保護したんじゃない。
自分と繋がっているのがバレるのが嫌で隔離したのだから、俺達の暴挙を黙認してきたのだ。それで三浦が死んだとしても殺して欲しいんだし、殺したのは三浦を怨んでいた人間でその中には二人も警察官がいる。警察だって大事にはしないし自分達も傷つかないから、ずっと黙認していたんだと気がついてしまった。
「何で急に手を下す気になったんだ……?監禁してたろ。」
「はは、鈍いな、おたくも。ああ、そうか、おたくは途中からやりに来なくなったんだったっけな?」
「……どういう事だ?」
「はは、ころしてくれるはずの男がのめり込み始めたんだ。和希もたいしたもんだろ?男をこまして籠絡してな、一人で来るように仕向けたんだ。」
それでか、最初も一人ではいっていたとは聞いたが、隔離され始めた頃は怪我の後でそれほど抵抗することもできなかった筈だ。だがあれから大分経って体力もついているだろう、そんな相手に突然一人でしかも全裸になって中にはいるなんて可笑しいと思った。俺がまだ加わっていた時だって自分達が服を脱ぎ捨てるなんてあり得なかったんだ。手記になんて書いていたかは知らないが、三浦は既に意図して石倉を絡めとり始めていた。つまりは石倉の運命は決まっていたというわけだ。
「毎日顔を会わせれば覚えてられるんだ。和希が石倉だけでなく自分の事を記憶してるのに気がついたのさ。倉橋だって一応医者だからな。」
主治医として一応毎日顔を確認している内に、三浦和希が実は退行していないと気がついてしまった。いや、最初は退行している状態だったかもしれないが、年月を経て三浦が回復し始めていたのを知ったのだ。しかも石倉が三浦に籠絡され始めている。
もし表に出ると、和希は裁判にかけられる。
その時、もしもあの親が血液型の話を何かのタイミングで口にしたら?人工受精で授かったと口にしたら?間違いでも全てが明るみに出たら、三浦の親が誰か証明されたら?そうしたら自分がやった悪事だけでなく、三浦がした悪事まで倉橋の家の者の悪事になってしまう。そうなったらさらに進藤の悪事も、倉橋の悪事になる。
だったら、もう自分で殺すしかない。
だからと言って薬を調達するのに進藤?曾孫を殺すための薬を孫に依頼する?狂ってるというのが相応しい、最悪にも程がある悪夢のような話じゃないか。しかも家でも妻に呪詛を呟かれて安らぐことも出来ない倉橋健吾が、息子の嫁……
「………腹上死は嘘か?もしかして、三浦か?」
「それは残念だが違う。和希が来るのに怯えて、自分で首を括ったのさ。しょうもない奴だろ?俺が親父みたいに、吊るしてやれば良かったよ。」
逃げ出した三浦が一向に捕まらない。しかも人を殺しているような話で、何処まで記憶が保持できるか迄は倉橋健吾は知らなかったのなら。杉浦陽太郎でさえ怯えて泣きわめいたのだから、追い詰められたのは目に見えるようだ。だが同時に進藤が口にした言葉に俺は目を見開く。倉橋俊二は自殺ではなく、進藤が高校の時に自分で手を下した?
「は、ババアが外聞が悪いから自殺は駄目なんて金切り声あげるから、仕方ないから亜希子とやってて死んだことにしてやったんだよ。」
「………息子の事があるからか?」
「知らねぇな、聞く前に頭の血管が切れちまったからな。」
そうだ、倉橋の細君は夫と次男の嫁の不貞に、脳出血を起こして死んでいる。それにしても、この男は何時から何処から悪事を重ねてきたのだろうか。ほんの十六で実の父親の首を締めた?こいつは竜胆ファイルの内の何人を、この男は実際に手にかけているんだろうか。
「娘の方の自殺は?」
「警察ってのも案外鈍いもんだよな、何人も吊るしても自殺で済む。」
「何人も?後は誰だ?」
「俺の母親さ。親父の次に吊るした。」
心底ゾッとする男だ。全く自分がやったことに罪悪感もなく、しかも楽しそうに笑いながらこれを言うのだ。自分の悪事が自分の両親を殺したのが一番最初だったと、まるで思い出話をしているみたいに平然としている。
「……何処までも気分が悪くなる話だな。」
「はは、おたく案外マトモなんだな。親父はな俺に自分を殺して、敵の一族朗党を殺せと言ったんだ。それくらいは叶えてやるつもりだったんだが、三十年もかかって結局無理だった。」
敵の一族朗党?というと、とっくに証言に行ったんだろとケロリとしていうのだ。つまり、それは宇野智雪、宮井智春の血縁者ということか。なんなんだ、その悪意の深さは。自分だって確かに息子を殺された怨みはあるが、そこまで訳も分からずに深い悪意とは違う。しかも進藤は聞かれるまま何をしたかったのか、平然と更に言葉を繋ぐ。
自分は、自分では死ねない。
だから願いを叶えたら誰かに殺してもらわないと。
だから悪意の種を残して和希に殺させようとしたのに、あいつは進藤の命令は全く聞かない。それに男を抱く趣味もないし、下手に生き残って外崎みたいになるのはごめんだ。もう一人悪意の種を撒いた筈の宇野智雪は、何でかマトモな社会の人間に生まれ変わってしまって、真実を知っても殺しに来る気すらない。
そうなると目的がなくなった自分は、死ぬに死ねない。
「気がついたんだよ。和希ですら死刑になるなら、俺は余裕じゃないかってな。おたくもそう思うだろ?和希なんか目じゃないくらい殺してるんだ、希望通り殺してもらえるじゃないかってな。」
「狂ってる………。」
思わず俺の呟いた言葉に進藤は何故か酷く穏やかな満足そうな微笑みで、当然のようにだろうなと呟いた。
※※※
松葉杖で廊下に出た俺を、不動が僅かに心配気に対面に置かれた椅子から見上げる。左隣に立つ制服に声をかけて歩き出した俺に不動が歩み寄って、並んで廊下を歩き始めた。
「なんの話だった?」
「人生で一番最悪な身の上話。もう悪事を話せと言えば全部答えるから、胆据えてから聞けよ、気持ち悪くなるぞ。」
「何であんなに素直に話すんだ?進藤は。」
それは確かに不思議だと感じるだろうが、進藤の望みが分かってしまえば簡単だ。進藤は誰かに殺されたいのに、最後の願いを叶える筈の人間が外崎宏太の邪魔で駄目にされた。倉橋の血縁は全て抹殺して残っている二人もどうやっても子孫は残せない。香坂智春の息子も殺す気だったのだが、そちらの方は邪魔が入りすぎて、もうやる気を失ったというのが本音だという。殺して貰う方法がなくなって呆然としたが、一番手っ取り早い方法があったのに気がついたのだ。
死刑になればいい。
「それで、あんなに簡単に自白?」
不動が納得出来ないといいたげな声をあげるが、結論はそうだ。自分ができることをアッサリ吸収し尽くした三浦和希には、進藤は好きにしろと言って十分なものを与えておいたと暢気にすら聞こえる口調で告げる。
俺も一応最後の頼みはしたけどな、あいつが覚えてるか、やる気になるかもわからない。
その頼みごとに関しては唯一進藤はニヤリと悪どい笑みを強いて、答える必要はないねと告げたのだ。それを言うと不動は苦い顔で、俺の事を眺める。三浦の事は再び不動が担当しているが、今の話で三浦は進藤の様々な技術を身に付けているということになったのだ。しかも、三浦は今までも性別を誤魔化して逃げ回っていたのだから、尚更始末の悪いモンスターになったということになる。
「最悪な情報だな。」
「まあ、進藤が三浦に何を試したか、聞き出すのが先だろうな。三浦の奴、人の顔以外ならとんでもない記憶力らしいぞ。」
「止めてくれよ、これ以上は。」
厳つい顔をした不動と玄関まで並んであるいた俺は、自動ドアを歩きながら足を止めた不動を振り返り口を開く。
「不動。」
「あ?何だよ、遠坂さん。」
「お前、売るのこれで止めろよ。」
そこの言葉に不動が凍りつく。自動ドアが間で締まり凍ったままの不動が口を開くことも出来ずにいるのを知りつつ、俺は前を向いて松葉杖をついて歩き出す。何のことかって?進藤に三浦の状況や一課の情報を売ってる人間に、進藤がもう悪さをする気がないんだから止めろと言ったんだ。何に金が必要なのかは知らないが、情報戦はお互いの手段の一つ、それだけの事で相手が変われば売るやつも変わる。進藤みたいな闇の深い奴に関わらなくても、不動なら何とか刑事でもやっていける筈だ。
遠ざかる自動ドアの向こうでは、未だに不動が呆然と立ち尽くしたままでいた。
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