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80.風間祥太
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俺は冷たい接見室で上原春菜に向かって、杏奈の遺骨は俺が引き取り風間家の菩提寺で預かってもらいましたと感情もなく淡々と告げていた。言わなくても分かるだろうが悪いが俺は上原征雄迄は引き取る気は毛頭なく、それは上原春菜としても理解している風で改めて口にはしない。上原春菜は礼を言うでもなく、不意に呟く。
「杏奈………苦しんだかしら?」
すっかり憔悴した顔の上原春菜だが、本当は俺は怒鳴り付けてやりたい衝動に刈られている。出来るなら何を今さらと力一杯怒鳴りつけ、このアクリル板がなかったらこいつを殴り付けてやりたい。自分もこの女とたいして変わらないのは分かっていても、上原春菜が様々なことを知っていて母親として何もしなかったのは紛れもない事実だ。
「知って、何か変わりますか?」
俺の冷やかな言葉に俺の内心を汲み取ったのだろう、上原春菜は化粧っ気のない青ざめた顔で俺のことを真っ直ぐに見つめる。昔はこの人が一人で苦労して杏奈を育てていると俺達は考えたから、俺の両親は何やかにやと援助していた。杏奈に夕飯を食べさせ風呂にいれてやったりしていたし、時には家で何日か預かっていたこともある。でも、今になってはそんな過去なんか無かったみたいに、もうこの人は全く会ったこともない人間のように感じてしまう。
「祥太君……、杏奈は………恨んでたかしら………。」
恨むに決まってるじゃないか。そう怒鳴り付けてやりたいのを必死で飲み込んで、俺は立ち上がり無言のままその場を後にした。
恨まないはずがないじゃないか?
杏奈は助けて貰いたい時に、誰にも助けて貰えなかった。誰一人として杏奈を助けなかったんだ。傍にいた俺は何も気がつかず、助けになる筈の父親は害の最たるもので、もう一人助けてくれる筈の母親は知っていて見ないふり。そんな苦悩に杏奈が誰にも助けを求めなくなったのは当然のことだし、そのせいで彼女は最後もたった一人で逝ってしまった。
俺が監禁されてた場所の近くにいた筈だ
最初の怪我の時ほんのタイミングの差で出会わなかっただけで、杏奈は確かにあのビルに来ていた。俺が監禁されてた空き店舗の更に下の階で切り裂かれた見覚えのある杏奈の衣類が発見されて、投げ棄てられた見覚えのある靴なんかも見つかったんだ。誰かが地下一階の階段付近で負傷し、誰か女性が地下二階に連れ込まれ誰かに着替えさせられている。しかも、俺が逃げた時にはまだ無かった血塗れの露出度の高いワンピース一着とハイヒールの靴が地下一階の衣装部屋に脱ぎ捨てられていた。恐らく俺が遠坂と連絡をとるために僅かにビルから離れた内に、地下で怪我を追っていた女性は自力で服を取り替え逃げたのだ。
そんなこと出来るのは杏奈くらいだ。
普通なら動きもしない筈の怪我の筈だが、杏奈ならそれくらいする筈。何しろそこが誰が来る場所か理解していただろうし、怪我をしたということはニアミスどころか相手に会っている。それでも相手から逃げ出す隙を見つけられるの度胸は、上原杏奈くらいでなきゃ持ち合わせてない筈だ。
杏奈はあの時どうして隙を生み出せたんだろうと考えたが、後の送信されたメールの復元で理解できた。杏奈は真名かおるのふりをして、あの時の危険をなんとか乗りきったんだろう。
もしかして、本当に杏奈が真名かおる?
そんなことをボンヤリと考えもしてみたが、俺の中の真名かおるのイメージは何処か退廃的で破天荒で、自分の持っている上原杏奈のイメージとは全くそぐわない。そぐわないが今の上原の姿には全く可能性がないとも言えないとは、俺にだって分かってはいるんだ。ただ、杏奈が三浦を相手にする筈がないと色々な事から俺は思う。
杏奈が詐欺の相手に歳上ばかりを相手にしてたのは、きっと偶然ではなく意図的だ。
四十代以上、基本的には五十近い男性。金銭面では勿論だろうが、そうなると三浦や杉浦のような金持ちのボンクラ息子だって対象になってもいい。だけど、杏奈が選んでいたのは中年男性ばかりだ。
生きていれば上原征雄と同じ年代の男で、女遊びをするような中年男性。一番最近の詐欺師としての情報が俺が二課に入る前のものらしいが、俺が杏奈を初めて目にしたのは杉浦陽太郎と一緒の姿だった。
電話をかけて上原征雄の遺体を通報したのは匿名だった。恐らくは外崎だろうと俺はふんでいるんだが、外崎がそれを知ったのはきっと杏奈が場所を教えたからだ。つまり既に杏奈は義父の遺体のことを、密かに知っていたんだろう。
ここからは俺の想像だが、杏奈がこの街に戻ってきたのは上原征雄を探すためだった。杏奈は上原征雄が死んでいるとは知らず、多分上原征雄を殺すつもりだったんだと思う。だから必死で産んだ大事な子供を手放して、殺人犯になる自分との縁を切っておいたに違いない。だけど上原征雄の消息は掴めず、杏奈は同じ年代で同じ界隈に出入りするような男から情報を得ようとしていた。同時に何らかのタイミングで自分の子供が病だと知って、金を集める気になったのかもしれない。しかし恐らく最近になって母親の行動でか、上原征雄の遺体を見つけてしまったのだ。だから中年親父の情報が必要でなくなったから、俺が初めて見た上原杏奈の相手の男は、若い杉浦陽太郎だった。だが二年前の三浦事件の当時は、上原杏奈らしき詐欺師の情報が四十八歳の会社員から入っている。つまりまだ上原征雄の遺体は、杏奈は見つける前なのだ。
だから真名かおるの可能性は低い。
勿論真名かおるとして本当に活動したとして対象が三浦ではなく外崎宏太の方だったら、少し若いが年代としては当てはまる。が、あの男相手に幾ら杏奈でも、詐欺が成立する筈もない。だから杏奈の真名かおるの可能性は更に下がるし、当の外崎が真名かおるとは違うとハッキリ言っている。
なら何故最後に真名かおるを名乗ったか?
上原杏奈を真名かおると勘違いしてもおかしくない人間が、何か秘密を抱えた人間がきっといるからだ。きっとそれは真名かおるの顔は知らないが、情報はふんだんにあって判断力に自負のある人間。そして真名かおるの名前なら、確実に会いに行く理由を持つ人間。
《彼の話がある。場所はrandom face裏路地。》
データ復旧したメールにはそう打ち込まれていた。場所はあの店の裏路地だなんて真名かおるを名乗るには最適だろうし、今は何かの会社が無人の物置にしているらしい店舗跡のことも知っていてのこの場所なんだろう。それにしても彼が三浦なのか、別な人間なのか。復旧された相手のメールアドレスは
a-got-caulk@………
メールアドレスの意味なんて何にもないかもしれないが、何気なく口にしていて何かが心に引っ掛かった。それなのに繰り返し口にしてみるが、何が引っ掛かっているのか分からない。
「なんだそりゃ呪文か?映画の題名?」
あんまりにもブツブツ繰り返していたら、背中合わせの隣の三課の先輩が振り返りながらそんなことをいう。映画?と返すと、二十年も前のロマンティック・コメディ映画にそんな名前の映画があったんだと笑われる。
「インターネットでメールが来ましたってな?知らないか?」
「二十年じゃ俺はまだ小学生ですよ。」
「マジでか?!衝撃だなぁ!」
俺との年の差に笑いながらそんなことをいう相手に、そういえば呪文ってどういうことですかと聞くと背後にはこう聞こえてたそうだ。
「あーがっとこーき、あーがっとこーき。」
それにあっと言葉が漏れて、俺は思わず礼を言いながら立ち上がる。偶然先輩の指摘で、このメールアドレスの何が引っ掛かっていたのか分かったのだ。足早に調書の保管庫に向かった俺は、迷わず真っ直ぐにあの調書をその手に取っていた。あの時は発見者にしか目が向いていなかったが、杉浦陽太郎が発見した友人の名前は『縣幸喜』だ。下手なアドレスの作り方だが、ここで出てくるにはタイミングが良すぎはしないか?
縣幸喜。
専門学校卒業後一時は美容師として働いたが、事件当時はフリーターになっていた男。両親は健在で妹が一人いるが、当時は既に小規模のマンションに独り暮らしをしていた。大卒の杉浦陽太郎とは実際には関係のない人間だが、家を訪れる程に仲を何処かで深めていた縣幸喜。他の三人の内杉浦と大学が一緒なのは松下と相馬、その二人のどちらかの友人の可能性もある。
三浦に殺された青年・縣幸喜の関係者が呼び出された人間の可能性はあるかもしれない。少なくとも可能性は潰してしまった方がいいと、俺は密かに一人で縣幸喜の実家に足を向ける。これは勿論遠坂には、まだ何も話していない。
遠坂の様子が可笑しいのは最近話したが、ここのところ一人で単独で動き回ったりボーッとしていたりという様子で心ここにあらずなのは分かっている。心配ではあるが俺にも俺なりに考えることもあったから、あえて声はかけなかったんだ。
「何のご用ですか?今更また何か……。」
不審そうに口にした言葉は正直ウンザリだと言いたげで、きっと何度も何度も警察の捜査にさらされたのだろう。俺は丁寧に頭を下げながら、知りたいことがあると説明した。母親らしき中年女性は溜め息混じりに、俺の質問に答えて早く終えようという節だ。
ところが俺が息子さんのメールアドレスを知りたいだけなんですと告げたら、母親は一瞬ポカーンとして俺の顔をマジマジと眺めてプッと吹き出した。それで毒気が抜かれたみたいに俺のことを家の中に通すとお茶をいれスマホを取り出した。
「……これよ、息子のアドレス、バカっぽいでしょ?」
「すみません、拝見します。」
そういって差し出し見せた母のスマホに未だに残されたままの息子のメールアドレスは、やはり俺の思った通りa-got-caulk@だった。
「ユーガットメールにかけてるらしいけど、バカっぽいからやめなさいって言ったんだけどねぇ。あの子案外映画好きでね。」
そうだったんですかと相槌を打つ俺に、私や夫か覚えやすくていいだろって、自分達の世代の映画だしって言ってねと母親は微かに声を震わせた。
それにしても、ここに来て何で縣幸喜のメールアドレスが出てくるんだ?それで息子さんの携帯はと問いかけると、母親は予想外の話を教えてくれる。縣幸喜の携帯電話は多分まだ警察署にあるというのだ。
「事件の時犯人が盗んでたって言うから、証拠として保管してある筈よ?知らないの?」
「解約とかは?」
「それは元旦那がしてくれた筈よ。」
え?と俺は思わず眉を潜める。二年間ただ携帯料金だけ払い続けているわけないでしょと彼女は笑うが、それは当然のことだ。問題は元旦那という言葉で、目の前の女性はなんだ知らないで聞きに来てるのといいたげに苦笑いしながら口を開く。
「幸喜の本当の父親が担当の部者の刑事だから、そこら辺は自分がやってやるって気を使ってくれたのよ。あの当時は息子が殺されたことより、息子がやったことの方が問題視されてて私達も大変だったから。」
確かにそれはその通りだったろう。だが、その言葉で俺は次第に繋がっていく点と点に、顔が強張るのを感じていた。もしかしてと自分の考えていた事が、一番最悪の方向に繋がっていく。
※※※
上原杏奈を真名かおると勘違いしてもおかしくない人間。
上原杏奈のバックボーンを知らず最近の上原杏奈しか知らなければ、上原杏奈は退廃的で破天荒で得体の知れない女だろう。それは真名かおるのイメージと合致する。
そして真名かおるの顔は知らないが、情報はふんだんにあって判断力に自負のある人間。現在真名かおるの顔を知っているのは外崎宏太と三浦和希の二人のみ。だが警察の事情聴取で真名かおるの思考や行動・人となりの情報は得られているし、それ以上に外崎宏太と懇意であれば外崎が警察であえて口にしなかったことも密かに聞くことができる。しかも元は一課のエースなんて呼ばれる程の判断力に自分でも自負があるから、外崎や久保田のような多くのアンダーグラウンドの人間に関わり情報を得ているに違いない。ずっと何で一課を外されたのだろうと正直思っていたら、つい昨日の課長の言葉で移動は実は本人の希望だったと知ってしまった。
刑事部の花形の一課で十年単位で働いていて、唐突に畑違いの二課に移る理由。息子が事件の被害者なら同じ課にいても事件には関われない。だけど、自分の息子の遺体を発見した青年は生きていて、事件には関わりがない風に生きているし嫌疑すらかけられていないのだ。こっそり調べ歩くには一課のままでは目につきすぎるから、今さら二課に移る?二課はサイバー犯罪だから、今迄パソコンには関わったことがないと言えば半分お荷物扱いになるが……自分の時間は作り出せる。
外崎宏太のパソコンを操作している姿は、俺以上にパソコンに精通しているようにしか見えなかった。
自宅に最新のハイスペックパソコンをちゃんと所持して、彼はそれを問題なく使いこなしていた。全部意図して装ってきた?二年間も。二課ではお荷物扱いで勝手に一人で動き回るから、相方は新人のものを知らない俺。課長としては新人を当てがえば新人は嫌でも四六時中張り付くから、逆にお目付け役になる位に考えていたのかもしれない。なんでそんなふりをする必要があるんだ?……お荷物は詐欺には詳しくない、だからオークション詐欺なんてパソコンやスマホ隆盛の詐欺方法は考えもつかないと思わせるためか。でもオークションの画像は?俺が拉致られたのはオークション絡みじゃないのか?だが、あんな簡単に見つかるものをそのままにしておくか?画像なんて確かにどうとでもなる。倉橋亜希子の家で俺は何を見ているんだろう?それより、オークション詐欺だ。
まさか……警察官が計画の首謀とは誰も考えない。
何しろ三浦の違法投薬に警察が関わっていて、表沙汰にならないなんて誰も思わないのと同じだ。なんでそんなことを……いや、簡単だ。杉浦が三浦のことに怯えたのは、三浦事件に本当は関わっていたから。それを知るためには杉浦を脅迫するのが一番だし、三浦の件では捕まえられない男は別な嫌疑を掛ければ堂々と手錠をかけられる。しかも、当然のように傍にいて杉浦の信頼を勝ち取り、電話を直接貰う関係に刷り変わっていたじゃないか。杉浦が助けてくれと直接電話を掛けてきたのは、確かにあの人だった。
「元夫?…遠坂喜一っていうわ?知らない?」
そうだったんですか、ではメールの事は遠坂さんに聞けば良かったですねと作り笑いを浮かべる。なんで今さらこんなこと聞きに来たのと問われて、実は調書を呼んでいたらメモが落ちて恐らく何処かから剥がれたもののようでなんてあり得ない作り話を微笑みながらする。調書なんて見たこともない相手はなんだドジなのねと俺に気を許して笑い、あの子もマトモに成長してたらねと息子を思い溜め息混じりに呟く。母親は遠坂と同じで血の気が多くて短気だし、ヤンチャばかりでねと懐かしそうに言う。
血の気が多くて短気、今の遠坂とはそぐわないが、もしそれが本当の姿なら
そんな事まで考えてしまう。ここまで確認に来たのは自分のドジだから秘密にしてあげるわねと相手に言わせて、丁寧に礼を言って場を辞した後俺は無表情に道を歩きながら考え続ける。
携帯は恐らく解約していない筈だ。母親には知らせず遠坂がずっと携帯代金を支払っているに違いないから、あのメールアドレスはつい最近迄存在していた。携帯のアドレスがわかっていて、持ち主が公にされていないのは、恐らく本来なら警察署内にあるか遺族に返された筈のものか外に出回っているからか。つまりは誰かが署内から盗み出している?ドンドン正しい筈の警察の内部で、悪事が働かれていることばかり明らかになっていく。正直ウンザリするが、俺がウンザリしたからって何も変わらない。
それにしてもだ、もし縣が遠坂だとして真名かおるの名前なら、確実に会いに行く理由。
真名かおるだけが知っていそうな事がある。例えば?息子と真名かおるは出会っていただろうか?会っているに違いないが、関わりがあったかどうかは分からない。遠坂が真名かおるの名前でワザワザ出向く可能性はあるんだろうか?それともあのメールでは、誰も来なかったということはあり得るか?でも、そうだとしたら何で杏奈は縣の携帯にメールなんかするんだ?大体にして既に死んで二年も経つ縣幸喜のメールアドレス自体、一体どこから入手するというんだ?何だったらこの疑問にスッキリと答えてくれるんだ。
俺は苦悩に満ちた心で空を見上げる。
この答えを全部知るにはどうしたらいいんだ?誰ならこれを全て答えられる?
無意識に歩いていて視界には母校の姿が目に入る。線路越しの母校にはポツポツと教室に灯りが着き始めていて、俺は思わず目を細めた。あの頃は何も不安も疑問もなく毎日が過ぎて、大人になるんだと思っていたのだと線路越しの校舎に考える。そろそろ卒業式は終わった筈だから、今は校内が奇妙な静けさに包まれているかもしれない。
モヤモヤとした苦悩を抱えたまま過ごしていた俺に予想外の電話がかかってきたのは、その日の深夜の事。電話の相手は鳥飼信哉だ。
「どうした?こんな時間に。」
『悪いな、この間捜索願いの話を聞いたの思い出して。』
警察に行方不明を届けても直ぐ様捜索が行われるわけではないと、確かに飲みながら信哉に話した記憶がある。ということは信哉の身の回りで行方不明になった人間がいるということかと、俺は寝惚けそうな頭を振ってから眉を潜めた。
行方不明になったのは、宮井麻希子。
高校時代迄の同級生・宮井智雪の従妹で、高校時代に学校までチョコチョコついてきたことのある宮井が目に入れても痛くない程に可愛がっていたあの小さな子供だという。いやいや、今では既に高二というから小さな子供ではないが、俺のイメージの中では宮井の後を追うカルガモの子かペンギンの子供のような記憶だ。その子が突然学校帰りに、ふっつりと姿を消してしまったというのだ。
「杏奈………苦しんだかしら?」
すっかり憔悴した顔の上原春菜だが、本当は俺は怒鳴り付けてやりたい衝動に刈られている。出来るなら何を今さらと力一杯怒鳴りつけ、このアクリル板がなかったらこいつを殴り付けてやりたい。自分もこの女とたいして変わらないのは分かっていても、上原春菜が様々なことを知っていて母親として何もしなかったのは紛れもない事実だ。
「知って、何か変わりますか?」
俺の冷やかな言葉に俺の内心を汲み取ったのだろう、上原春菜は化粧っ気のない青ざめた顔で俺のことを真っ直ぐに見つめる。昔はこの人が一人で苦労して杏奈を育てていると俺達は考えたから、俺の両親は何やかにやと援助していた。杏奈に夕飯を食べさせ風呂にいれてやったりしていたし、時には家で何日か預かっていたこともある。でも、今になってはそんな過去なんか無かったみたいに、もうこの人は全く会ったこともない人間のように感じてしまう。
「祥太君……、杏奈は………恨んでたかしら………。」
恨むに決まってるじゃないか。そう怒鳴り付けてやりたいのを必死で飲み込んで、俺は立ち上がり無言のままその場を後にした。
恨まないはずがないじゃないか?
杏奈は助けて貰いたい時に、誰にも助けて貰えなかった。誰一人として杏奈を助けなかったんだ。傍にいた俺は何も気がつかず、助けになる筈の父親は害の最たるもので、もう一人助けてくれる筈の母親は知っていて見ないふり。そんな苦悩に杏奈が誰にも助けを求めなくなったのは当然のことだし、そのせいで彼女は最後もたった一人で逝ってしまった。
俺が監禁されてた場所の近くにいた筈だ
最初の怪我の時ほんのタイミングの差で出会わなかっただけで、杏奈は確かにあのビルに来ていた。俺が監禁されてた空き店舗の更に下の階で切り裂かれた見覚えのある杏奈の衣類が発見されて、投げ棄てられた見覚えのある靴なんかも見つかったんだ。誰かが地下一階の階段付近で負傷し、誰か女性が地下二階に連れ込まれ誰かに着替えさせられている。しかも、俺が逃げた時にはまだ無かった血塗れの露出度の高いワンピース一着とハイヒールの靴が地下一階の衣装部屋に脱ぎ捨てられていた。恐らく俺が遠坂と連絡をとるために僅かにビルから離れた内に、地下で怪我を追っていた女性は自力で服を取り替え逃げたのだ。
そんなこと出来るのは杏奈くらいだ。
普通なら動きもしない筈の怪我の筈だが、杏奈ならそれくらいする筈。何しろそこが誰が来る場所か理解していただろうし、怪我をしたということはニアミスどころか相手に会っている。それでも相手から逃げ出す隙を見つけられるの度胸は、上原杏奈くらいでなきゃ持ち合わせてない筈だ。
杏奈はあの時どうして隙を生み出せたんだろうと考えたが、後の送信されたメールの復元で理解できた。杏奈は真名かおるのふりをして、あの時の危険をなんとか乗りきったんだろう。
もしかして、本当に杏奈が真名かおる?
そんなことをボンヤリと考えもしてみたが、俺の中の真名かおるのイメージは何処か退廃的で破天荒で、自分の持っている上原杏奈のイメージとは全くそぐわない。そぐわないが今の上原の姿には全く可能性がないとも言えないとは、俺にだって分かってはいるんだ。ただ、杏奈が三浦を相手にする筈がないと色々な事から俺は思う。
杏奈が詐欺の相手に歳上ばかりを相手にしてたのは、きっと偶然ではなく意図的だ。
四十代以上、基本的には五十近い男性。金銭面では勿論だろうが、そうなると三浦や杉浦のような金持ちのボンクラ息子だって対象になってもいい。だけど、杏奈が選んでいたのは中年男性ばかりだ。
生きていれば上原征雄と同じ年代の男で、女遊びをするような中年男性。一番最近の詐欺師としての情報が俺が二課に入る前のものらしいが、俺が杏奈を初めて目にしたのは杉浦陽太郎と一緒の姿だった。
電話をかけて上原征雄の遺体を通報したのは匿名だった。恐らくは外崎だろうと俺はふんでいるんだが、外崎がそれを知ったのはきっと杏奈が場所を教えたからだ。つまり既に杏奈は義父の遺体のことを、密かに知っていたんだろう。
ここからは俺の想像だが、杏奈がこの街に戻ってきたのは上原征雄を探すためだった。杏奈は上原征雄が死んでいるとは知らず、多分上原征雄を殺すつもりだったんだと思う。だから必死で産んだ大事な子供を手放して、殺人犯になる自分との縁を切っておいたに違いない。だけど上原征雄の消息は掴めず、杏奈は同じ年代で同じ界隈に出入りするような男から情報を得ようとしていた。同時に何らかのタイミングで自分の子供が病だと知って、金を集める気になったのかもしれない。しかし恐らく最近になって母親の行動でか、上原征雄の遺体を見つけてしまったのだ。だから中年親父の情報が必要でなくなったから、俺が初めて見た上原杏奈の相手の男は、若い杉浦陽太郎だった。だが二年前の三浦事件の当時は、上原杏奈らしき詐欺師の情報が四十八歳の会社員から入っている。つまりまだ上原征雄の遺体は、杏奈は見つける前なのだ。
だから真名かおるの可能性は低い。
勿論真名かおるとして本当に活動したとして対象が三浦ではなく外崎宏太の方だったら、少し若いが年代としては当てはまる。が、あの男相手に幾ら杏奈でも、詐欺が成立する筈もない。だから杏奈の真名かおるの可能性は更に下がるし、当の外崎が真名かおるとは違うとハッキリ言っている。
なら何故最後に真名かおるを名乗ったか?
上原杏奈を真名かおると勘違いしてもおかしくない人間が、何か秘密を抱えた人間がきっといるからだ。きっとそれは真名かおるの顔は知らないが、情報はふんだんにあって判断力に自負のある人間。そして真名かおるの名前なら、確実に会いに行く理由を持つ人間。
《彼の話がある。場所はrandom face裏路地。》
データ復旧したメールにはそう打ち込まれていた。場所はあの店の裏路地だなんて真名かおるを名乗るには最適だろうし、今は何かの会社が無人の物置にしているらしい店舗跡のことも知っていてのこの場所なんだろう。それにしても彼が三浦なのか、別な人間なのか。復旧された相手のメールアドレスは
a-got-caulk@………
メールアドレスの意味なんて何にもないかもしれないが、何気なく口にしていて何かが心に引っ掛かった。それなのに繰り返し口にしてみるが、何が引っ掛かっているのか分からない。
「なんだそりゃ呪文か?映画の題名?」
あんまりにもブツブツ繰り返していたら、背中合わせの隣の三課の先輩が振り返りながらそんなことをいう。映画?と返すと、二十年も前のロマンティック・コメディ映画にそんな名前の映画があったんだと笑われる。
「インターネットでメールが来ましたってな?知らないか?」
「二十年じゃ俺はまだ小学生ですよ。」
「マジでか?!衝撃だなぁ!」
俺との年の差に笑いながらそんなことをいう相手に、そういえば呪文ってどういうことですかと聞くと背後にはこう聞こえてたそうだ。
「あーがっとこーき、あーがっとこーき。」
それにあっと言葉が漏れて、俺は思わず礼を言いながら立ち上がる。偶然先輩の指摘で、このメールアドレスの何が引っ掛かっていたのか分かったのだ。足早に調書の保管庫に向かった俺は、迷わず真っ直ぐにあの調書をその手に取っていた。あの時は発見者にしか目が向いていなかったが、杉浦陽太郎が発見した友人の名前は『縣幸喜』だ。下手なアドレスの作り方だが、ここで出てくるにはタイミングが良すぎはしないか?
縣幸喜。
専門学校卒業後一時は美容師として働いたが、事件当時はフリーターになっていた男。両親は健在で妹が一人いるが、当時は既に小規模のマンションに独り暮らしをしていた。大卒の杉浦陽太郎とは実際には関係のない人間だが、家を訪れる程に仲を何処かで深めていた縣幸喜。他の三人の内杉浦と大学が一緒なのは松下と相馬、その二人のどちらかの友人の可能性もある。
三浦に殺された青年・縣幸喜の関係者が呼び出された人間の可能性はあるかもしれない。少なくとも可能性は潰してしまった方がいいと、俺は密かに一人で縣幸喜の実家に足を向ける。これは勿論遠坂には、まだ何も話していない。
遠坂の様子が可笑しいのは最近話したが、ここのところ一人で単独で動き回ったりボーッとしていたりという様子で心ここにあらずなのは分かっている。心配ではあるが俺にも俺なりに考えることもあったから、あえて声はかけなかったんだ。
「何のご用ですか?今更また何か……。」
不審そうに口にした言葉は正直ウンザリだと言いたげで、きっと何度も何度も警察の捜査にさらされたのだろう。俺は丁寧に頭を下げながら、知りたいことがあると説明した。母親らしき中年女性は溜め息混じりに、俺の質問に答えて早く終えようという節だ。
ところが俺が息子さんのメールアドレスを知りたいだけなんですと告げたら、母親は一瞬ポカーンとして俺の顔をマジマジと眺めてプッと吹き出した。それで毒気が抜かれたみたいに俺のことを家の中に通すとお茶をいれスマホを取り出した。
「……これよ、息子のアドレス、バカっぽいでしょ?」
「すみません、拝見します。」
そういって差し出し見せた母のスマホに未だに残されたままの息子のメールアドレスは、やはり俺の思った通りa-got-caulk@だった。
「ユーガットメールにかけてるらしいけど、バカっぽいからやめなさいって言ったんだけどねぇ。あの子案外映画好きでね。」
そうだったんですかと相槌を打つ俺に、私や夫か覚えやすくていいだろって、自分達の世代の映画だしって言ってねと母親は微かに声を震わせた。
それにしても、ここに来て何で縣幸喜のメールアドレスが出てくるんだ?それで息子さんの携帯はと問いかけると、母親は予想外の話を教えてくれる。縣幸喜の携帯電話は多分まだ警察署にあるというのだ。
「事件の時犯人が盗んでたって言うから、証拠として保管してある筈よ?知らないの?」
「解約とかは?」
「それは元旦那がしてくれた筈よ。」
え?と俺は思わず眉を潜める。二年間ただ携帯料金だけ払い続けているわけないでしょと彼女は笑うが、それは当然のことだ。問題は元旦那という言葉で、目の前の女性はなんだ知らないで聞きに来てるのといいたげに苦笑いしながら口を開く。
「幸喜の本当の父親が担当の部者の刑事だから、そこら辺は自分がやってやるって気を使ってくれたのよ。あの当時は息子が殺されたことより、息子がやったことの方が問題視されてて私達も大変だったから。」
確かにそれはその通りだったろう。だが、その言葉で俺は次第に繋がっていく点と点に、顔が強張るのを感じていた。もしかしてと自分の考えていた事が、一番最悪の方向に繋がっていく。
※※※
上原杏奈を真名かおると勘違いしてもおかしくない人間。
上原杏奈のバックボーンを知らず最近の上原杏奈しか知らなければ、上原杏奈は退廃的で破天荒で得体の知れない女だろう。それは真名かおるのイメージと合致する。
そして真名かおるの顔は知らないが、情報はふんだんにあって判断力に自負のある人間。現在真名かおるの顔を知っているのは外崎宏太と三浦和希の二人のみ。だが警察の事情聴取で真名かおるの思考や行動・人となりの情報は得られているし、それ以上に外崎宏太と懇意であれば外崎が警察であえて口にしなかったことも密かに聞くことができる。しかも元は一課のエースなんて呼ばれる程の判断力に自分でも自負があるから、外崎や久保田のような多くのアンダーグラウンドの人間に関わり情報を得ているに違いない。ずっと何で一課を外されたのだろうと正直思っていたら、つい昨日の課長の言葉で移動は実は本人の希望だったと知ってしまった。
刑事部の花形の一課で十年単位で働いていて、唐突に畑違いの二課に移る理由。息子が事件の被害者なら同じ課にいても事件には関われない。だけど、自分の息子の遺体を発見した青年は生きていて、事件には関わりがない風に生きているし嫌疑すらかけられていないのだ。こっそり調べ歩くには一課のままでは目につきすぎるから、今さら二課に移る?二課はサイバー犯罪だから、今迄パソコンには関わったことがないと言えば半分お荷物扱いになるが……自分の時間は作り出せる。
外崎宏太のパソコンを操作している姿は、俺以上にパソコンに精通しているようにしか見えなかった。
自宅に最新のハイスペックパソコンをちゃんと所持して、彼はそれを問題なく使いこなしていた。全部意図して装ってきた?二年間も。二課ではお荷物扱いで勝手に一人で動き回るから、相方は新人のものを知らない俺。課長としては新人を当てがえば新人は嫌でも四六時中張り付くから、逆にお目付け役になる位に考えていたのかもしれない。なんでそんなふりをする必要があるんだ?……お荷物は詐欺には詳しくない、だからオークション詐欺なんてパソコンやスマホ隆盛の詐欺方法は考えもつかないと思わせるためか。でもオークションの画像は?俺が拉致られたのはオークション絡みじゃないのか?だが、あんな簡単に見つかるものをそのままにしておくか?画像なんて確かにどうとでもなる。倉橋亜希子の家で俺は何を見ているんだろう?それより、オークション詐欺だ。
まさか……警察官が計画の首謀とは誰も考えない。
何しろ三浦の違法投薬に警察が関わっていて、表沙汰にならないなんて誰も思わないのと同じだ。なんでそんなことを……いや、簡単だ。杉浦が三浦のことに怯えたのは、三浦事件に本当は関わっていたから。それを知るためには杉浦を脅迫するのが一番だし、三浦の件では捕まえられない男は別な嫌疑を掛ければ堂々と手錠をかけられる。しかも、当然のように傍にいて杉浦の信頼を勝ち取り、電話を直接貰う関係に刷り変わっていたじゃないか。杉浦が助けてくれと直接電話を掛けてきたのは、確かにあの人だった。
「元夫?…遠坂喜一っていうわ?知らない?」
そうだったんですか、ではメールの事は遠坂さんに聞けば良かったですねと作り笑いを浮かべる。なんで今さらこんなこと聞きに来たのと問われて、実は調書を呼んでいたらメモが落ちて恐らく何処かから剥がれたもののようでなんてあり得ない作り話を微笑みながらする。調書なんて見たこともない相手はなんだドジなのねと俺に気を許して笑い、あの子もマトモに成長してたらねと息子を思い溜め息混じりに呟く。母親は遠坂と同じで血の気が多くて短気だし、ヤンチャばかりでねと懐かしそうに言う。
血の気が多くて短気、今の遠坂とはそぐわないが、もしそれが本当の姿なら
そんな事まで考えてしまう。ここまで確認に来たのは自分のドジだから秘密にしてあげるわねと相手に言わせて、丁寧に礼を言って場を辞した後俺は無表情に道を歩きながら考え続ける。
携帯は恐らく解約していない筈だ。母親には知らせず遠坂がずっと携帯代金を支払っているに違いないから、あのメールアドレスはつい最近迄存在していた。携帯のアドレスがわかっていて、持ち主が公にされていないのは、恐らく本来なら警察署内にあるか遺族に返された筈のものか外に出回っているからか。つまりは誰かが署内から盗み出している?ドンドン正しい筈の警察の内部で、悪事が働かれていることばかり明らかになっていく。正直ウンザリするが、俺がウンザリしたからって何も変わらない。
それにしてもだ、もし縣が遠坂だとして真名かおるの名前なら、確実に会いに行く理由。
真名かおるだけが知っていそうな事がある。例えば?息子と真名かおるは出会っていただろうか?会っているに違いないが、関わりがあったかどうかは分からない。遠坂が真名かおるの名前でワザワザ出向く可能性はあるんだろうか?それともあのメールでは、誰も来なかったということはあり得るか?でも、そうだとしたら何で杏奈は縣の携帯にメールなんかするんだ?大体にして既に死んで二年も経つ縣幸喜のメールアドレス自体、一体どこから入手するというんだ?何だったらこの疑問にスッキリと答えてくれるんだ。
俺は苦悩に満ちた心で空を見上げる。
この答えを全部知るにはどうしたらいいんだ?誰ならこれを全て答えられる?
無意識に歩いていて視界には母校の姿が目に入る。線路越しの母校にはポツポツと教室に灯りが着き始めていて、俺は思わず目を細めた。あの頃は何も不安も疑問もなく毎日が過ぎて、大人になるんだと思っていたのだと線路越しの校舎に考える。そろそろ卒業式は終わった筈だから、今は校内が奇妙な静けさに包まれているかもしれない。
モヤモヤとした苦悩を抱えたまま過ごしていた俺に予想外の電話がかかってきたのは、その日の深夜の事。電話の相手は鳥飼信哉だ。
「どうした?こんな時間に。」
『悪いな、この間捜索願いの話を聞いたの思い出して。』
警察に行方不明を届けても直ぐ様捜索が行われるわけではないと、確かに飲みながら信哉に話した記憶がある。ということは信哉の身の回りで行方不明になった人間がいるということかと、俺は寝惚けそうな頭を振ってから眉を潜めた。
行方不明になったのは、宮井麻希子。
高校時代迄の同級生・宮井智雪の従妹で、高校時代に学校までチョコチョコついてきたことのある宮井が目に入れても痛くない程に可愛がっていたあの小さな子供だという。いやいや、今では既に高二というから小さな子供ではないが、俺のイメージの中では宮井の後を追うカルガモの子かペンギンの子供のような記憶だ。その子が突然学校帰りに、ふっつりと姿を消してしまったというのだ。
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