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26.外崎宏太

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耳を澄ましながら相手が何を考えながら話しているかを、微妙な息づかいから察する。何処で息を吸い、躊躇いがあるかないか、何処で安堵に息を吐くか、それを耳だけで判断するのだ。元々耳は良い方だったが、この体になって更にそれは顕著になっていて、時には足音で誰かを判別することも出来ると言ったら驚くだろうか。とは言えそれは本当のことで調子が良ければ、街の喧騒の中でも歩み寄る風間祥太の左の踵の減りの少し早い革靴の音は判別できる。案外人間と言うものは、始終音をたてていきる動物なのだ。無音の空間に入っても人間と言うやつは、自分の心音だけでなく耳の中の細かな聴覚機関の動く音を独りで聞き続ける。無意識でも多くの音を聞きながらでないと生きていけないのが、普通の人間と言うものだ。それが他より少し鋭敏なだけで、自分のような人間は他にも稀に存在する。少なくともこの街には、あと二人は自分のように鋭敏な聴覚をもった人間が存在しているのは把握済みだ。取り付けた宏太の『耳』の微かな作動音かハウリングを聞き取った人間が、『耳』のカバーを叩いて見せたり話しかけたりして胆を冷やしたのが二回。片方は男で、片方が女だったので二人と言うわけだ。そんな話はさておきまさかこんなところで一ヶ月以上も経ってから、こんな会話に出くわすとは思いもよらなかった。

『まだ、見つかりませんか?あれは。』

早くしてもらわないとといいたげな言葉に苦い声で答えるもう一つの声。声の出所は某所の電話機の通話と言ったら驚きだろう。案外これはバレないもので、キチンとした危機を使って調査しない限りはバレない上に電流もチャッカリ本体から頂けて見つからない限りは電話機の寿命が来るまで有効活用できる優れものだ。誰がつけたかって?そんなの決まっている、俺の幼馴染みは案外腹黒い人間というだけのこと。確か何処かの同じ系統の建物から、ゾロゾロと盗聴器発見と言うニュースが何時だか全国的に流れたことがある。まあ、世の中こんなことを考え付くのは俺だけではないし、情報こそ金と思う人間は多いだけと言うことだ。

『大体にして何で掃除なんかさせた?しかも、こっちで捜索するのに、あれが何処から出たかも教えないなんて。』
『それはそっちだって同じでしょう?看守が関係者の親族だなんて聞いてませんよ。』

ああ、それでかと宏太は何気なく考える。病院の中で子供の頭になっている相手を人目も構わず性的虐待の対象にすると言うのには、正直些か違和感を覚えてはいたのだ。三浦和希がマトモなら兎も角誘いもしないのに、しかも殺人鬼を拘束もせずに室内に無防備に裸で二人きりになる。マトモなら思考としても行動としても愚の骨頂だが、それが仕返しと継続されていたのなら行動の一部は理解出来なくもない。三浦に殺された五人の内の誰かの親族が、それを秘匿して看守としてついていて身内の仕返しとして抵抗できない三浦に性的虐待を年単位で続けていた訳だ。体に傷をつけられないとなれば出来る虐待はそれくらいだったか、やられたことをやり返して最後に殺す気だったか。兎も角そうなれば抵抗しないのも知っていて拘束もせず二人っきりになっても危険がないと分かってやっていたことになる。しかも継続的だから看護師の方も、巡視に訪れて前室にいないのを気にもしない。つまりは巡視中に病室の中で真っ最中だった、というわけだ。

『それはこちらでも気がつかなかったんですよ、何せ親の離婚で現在は直接関わりもないと来ていて……。そちらだって夜間巡視を削ってるなんて。』
『それはそちらが二十四時間看守をつけているからで……。』

互いにゴニョゴニョと言い訳めいた事をいっているが、まあ結論としてはどちらも三浦が現状では無害と過信していて、知っていて見ていて放置していた可能性が高い。尚且つ妙な人員の少なさから見ると、病院の方も警察の方も互いに必要な事を削って人件費を落としていたか。何にせよその真実を知っている看守は死人に口無しなので、今更どうしたって分かりようもない。

『………どうなっていたんですか?あの幻覚とやらは。』
『少なくとも最近は発語は可能でしたが、会話の成立は。だから、ハッキリとは………。』
『記憶力の方も……ですか?』
『時折成立はしたようですけど……』

そうだった、それで杉浦陽太郎の事故の時しっくり来ないと感じていた。槙山忠志は三浦は話せないしマトモな状態にないとハッキリ口にしていたのだ。それなのに三浦は脱走してから一向に見つからず、どう考えても意図的に身を隠す能力があるとしか思えない。同時に杉浦が家を出てから事故までタイムラグが生じていたのだ。誰かと出会い食事でもしていたんじゃないかと言う、微妙な空白の数時間。この会話では三浦は少なくとも声を出すことも単語で話すことも、可能な状態に戻っていたと言うことだ。そうなるともしかしたら記憶力も回復していたか?槙山忠志は自分のことすら認識できていない様子だと話したが、杉浦を昔の友人として認識できている状態になっていたのかもしれない。そうなってくるとやはり何処かの店か何処かで、二人が顔を会わせ話した可能性は残ってくる。それにしても幻覚をみていた?精神的に何か症状があってということか?

『それにしても投薬後に逃亡なんて。』

あ?何だって?投薬後?投薬のせいで幻覚を見てたってことか?
成る程これが表沙汰に出来ない理由なのかと、納得してしまう。マトモな頭じゃない殺人犯、マトモになれば死刑になる確率しか残されていない人間。何時でも管理しやすい総合病院で、二十四時間隔離されて扱いやすい状況にいる存在への恐らく違法な投薬ときたか。しかも、内密に結果をみたいような薬なんて、一体何だか想定も出来ない。治験では行えないような?それともモルモットの次に試して利益の欲しい人間がいたか。しかも、それに警察までグルになるような利益か。

ちと、個人には大きすぎるな。

思わず置かれた状況に、俺は苦笑いしてしまう。幻覚を生じるような薬を投薬されて再びレイプした男の喉笛を噛みきるとは、これまた三浦和希と言う男も数奇な運命だと言えなくもない。小説にでもなりそうな状況に、黒幕達の苦り切った電話は『耳』がつけられているとも知らずにヒソヒソと話を続けている。



※※※



呼び出した遠坂喜一は苦り切った顔で、録音された音声が聞かれているとも知らずに相談し合う会話を聞いている。何か裏がありそうだと仕掛けてもらった『耳』が暴いてしまったのは、ある意味最悪のブラックボックスの一部といえる内容だ。その先で分かったのは、三浦の精神遅滞を改善させる作用を期待する節の話。治験前のまさか人体実験紛いの理由で内密に捜索するはめになっているとは思いもよらないし、内密と言うことは他者に見つかると問題が簡単に露見すると言うことでもある。

「外見の変化も副作用の産物ですか?もしかして。」

隣で同じくらいに苦い顔をしていた風間が、躊躇いがちに口を開く。そんなSF擬きの話があるかと言いたいが、実際に逮捕前の三浦和希と監視カメラに残っている三浦和希は女装だけとは言いがたい変容をしているらしい。槙山が持っていた三年少し前の写真では三浦は顔立ちは中性的で黒髪ではあるが、上背もあり確りとした男性らしい姿で写っている。勿論宏太の記憶の中の三浦和希も顔立ちは綺麗だが歴とした男だ。当時事件の少し前から痩せはじめていたのは俺も知ってはいるが、現在は身長は兎も角肩も腰も華奢でまるで筋肉すら削ぎ落としたように細いのだと言う。つまりは別人のように華奢で女性にしか見えない、やや丸みを帯びた体型に変化しているのだ。当然二年も隔離されて十分なスポーツもしているわけはないから筋肉が落ちるのは事実だし、性的な虐待のせいで変化を起こしている面もありうる。体の丸みに関して言えば衣類で誤魔化すのは十分可能だ。それでも投薬のせいで、ホルモンのバランスが変化した可能性は大きい。というのも精神科の投薬する薬には、割合性機能の障害や性欲の減退等を副作用にあげる事がある。逆の作用を示すこともあるが、原因が投薬となれば可能性は捨てきれないのだ。

「それにしても、こう来るとはな……。参ったな。」
 
喜一が呆れたように呟く。医療と警察まで巻き込んでの利権に争い程度で脱走の全てを秘匿するとは思えず、更にまだ上がありそうな気配すらする。こうなってくると全てを暴くには、この面子では話が大きくなり過ぎて暴いた途端にこっちが消されてしまいかねない。三浦は今のところは表だって事件は起こしていないが、それでも結局何がどうなっているのかすら掴めないでいる。思わずSF映画の世界じゃあるまいしと言いたくなるが、録音は現実としてそれを示唆しているのだ。

「それにしても得体の知れない女とか不穏すぎだな。街中よ。」

呆れ返って呟くと風間が思い出したようにフリージャーナリストの話を持ち出す。



※※※



俺のところにフリージャーナリストの竜胆貴理子の件が持ち込まれたのは今から半月ほど前の話。出版社関係に勤める俺の数少ない友人の一人、宇野智雪と言う男からだった。久々に電話をかけてきた宇野は声を聞いただけで不機嫌が分かる声音で、思わず苦笑してしまう。

『もしもし、僕です。』
「何だよ、久しぶりだな、雪。」

電話の向こうのでは恐らく人気のない場所で明らかに不機嫌オーラを放っている宇野が感じられ、丁度久保田が訪問しているを忘れそうになる。久保田は俺の電話の様子を察して、手をふりながらキッチンに足を向けてくれたところだ。

「なんか用か?」

久保田の事だ、何気なく席を外してはくれたが電話が終わったら何気なく情報収集されるだろう。その考えに気がついたみたいに、電話口の宇野は少しだけ口調を変えた。

『誰かお客ですか?』

客と言えば客だが、結果的に三浦の画像処理と確認目的に呼んだのは自分の方だ。目が見えない弊害の一番はこういう面だろうが、自分が信頼できる上にパソコン操作に明るいとなると中々人材は難しい。何せ俺のやってることがやってることで、マトモな人間を雇うわけにもいかないのは明らかだ。

「おお、そんなもんだ。」
『僕、後にしましょうか?』
「いいや、たいしてかわんねえよ。」

まあ、話すほどのことでもないと俺が思いながら答えると、すぐ察した風に宇野は口を開く。一見なんでもない普通の出版社勤務の会社員風だが、実は宇野智雪と言う人間は少々特殊な人間だ。
初めて顔を会わせたのは、まだ俺が病院で入院中でリハビリをしていた辺り。病院に何かのタイミングで取材に来ていた宇野に話し掛けられたことにある。
誰しも話かけて自分の顔を見ると一瞬言葉に詰まるし、マジマジとこの醜い傷痕を眺める。そして、まるで珍しい生き物を見るような視線に変わっていく。そんな状況には流石にウンザリするが、人によっては興味津々で覗き込みながら傷の理由まで聞かれるのだから病院と言う場所は随分と容赦なく残酷な場所だ。ところが宇野はまるで自分の顔を気にした風でもなく、病院内の状況について問いかけた。メモでもとってて気がついてないと言うわけでもなく、至極真っ直ぐに俺の顔を見て話し掛け会話を交わすのだ。

あんた、面白い男だな。

そういうと外見に興味がないんでと、まるで昔の自分みたいな口調で言い放った。そこからの付き合いだが、付き合えば付き合うほどこの男の奇妙な思考過程は自分とそっくりだと思う。優先するのは合理性と成果、大事なものは最優先にするが興味のないものには見向きもしない。しかも、勘がいいのか情報の分析力が高く、判断力も高いのだ。そんなわけで時には自分の情報を活用したいと言うし、こちらからも宇野の情報提供を求めるような間柄になった。勿論こちらで既に宇野がどんな人間か調べているのは、秘密にはしているが。

『外崎さん、竜胆ってライター知ってますか?』
「りんどう?林か?」
『いいえ、花の方。』

花のリンドウ、竜胆か。考え込みながら、何処かでそんな名字に聞き覚えがあるのに気がつく。考えている最中に宇野は、竜胆貴理子と言う女が身の回りを嗅ぎまわっていると話し出したのだ。
竜胆貴理子はそれほど表に名前を出して活動はしていないが、列記としたフリーのライター。しかも胡散臭い政治家や汚職関係、政治の裏側に滅法強いと言う腕利きのフリーライターだという。それが態々平凡な事務員を装って出版社に暫く潜り込み、宇野と宇野の幼馴染みの身辺を探っているのだ。しかも事務員のふりのまはま家にまで上がり込まれて、高校の卒業アルバム迄確認されたようだという。
ああ、そう言えば話は違うが、高校と言えばこの宇野智雪は、実は上原杏奈や風間祥太の同級生で、当時は宮井智雪だった。宇野に変わったのは数年前に結婚して婿養子に入っているからだ。

「竜胆…竜胆ねぇ……珍しい名前だな。んん…。ん。」

何処で竜胆貴理子という名前を聞いたのか暫し考え込むが、はたとそれに思い当たった。随分前にまだ自分があの店を経営していた辺り、珍しく投資を失敗したことがあったのだ。失敗の理由はまあ個人的な理由なのだが、少々別なことに気をとられて止めようとしていた投資を続けてしまっただけ。ところが案外大きな損失で、態々原因の訴訟公判を聞きに行ったのだ。

「確か船舶事故の関係の訴訟で、関係者にそんな名前をした女がいたような気がしたなぁ。船舶運行プログラムをプログラミングしたとか言う。」

元プログラマーの女、しかも珍しい苗字で記憶していたのだ。とはいえ八年もたっているので容貌については全く記憶にないのは残念だが。

『いい記憶力ですね。』
「その船舶会社にちと投資してたからな、俺ぁ大損したんだよな。」

ああ、なるほどと言いたげな宇野の声に苦笑いが浮かぶ。ハッキリとは口にしないが、宇野としてはその女の探る目的を知りたいというところなのだろう。

「その女、調べとこうか?ん?」
『出来れば。』

丁度得体の知れない黒髪の女の情報がもう一人入ってきていることだし、こっちの方は訴訟はたかだか八年前の事だから調べるのも容易いだろう。

「おお、ついでに調べといてやるよ。」

そう言ったところで久保田がキッチンから珈琲を片手に戻ってくる気配がして、それじゃあなと電話を切ったのだ。

「なんだい?幾つも仕事を抱えるなんて珍しいね、宏太。」
「ついでだよ、新しい方が身元が割れてるから調べやすいかもな。」
「おや、そうかい?身元が割れてるからこそ調べにくいかもしれないよ?」

久保田は楽しげにそう言うが、まさかそれが本当になるとはその時は露ほども思ってはいなかった。
竜胆貴理子と言う女が表舞台に現れたのは、ほぼ十年ほど前のこと。それ以前となると、まるっきり足取りが掴めないのだ。専門学校にも大学にも通った形跡がなく、突然船舶会社のプログラミングのシステムエンジニアとして現れた女。しかも、大型船舶の運行プログラミングでも夜間航行に関する重要な部分を担当しているのに、まるで経歴か見つけられない。独学でなんて馬鹿な質問はなしだ、どんなにパソコンに詳しくても航行プログラミングは船舶の仕組みや運行に伴う様々な知識も必要だし、規模が大きくなればなるほどその精密さは上がる。どう考えても専門知識を学ぶ必要はあるのに、結婚や養女なと考えられる様々な面からアプローチしても答えが出てこない。

「何なんだ、この女。」

顔が見れればまた違うかと思いきや、久保田にまで協力を頼んでも彼女について分かったのは十年前突然船舶会社に勤めたという時点からだ。久保田も呆れ果てたようにとんでもないことを言い出す始末だ。

「妙だねぇ、まるで突然生まれ落ちたみたいだねぇ。」

二人係りで珍しく何一つ結論がでなかったのに久保田も首を傾げるばかり。結局二人ともこの女に関しては、白旗を挙げたのだった。

「竜胆は偽名かも?本当ですか?」

久保田の店『茶樹』で顔をあわせ、珍しくカウンターではなくソファーに座ったのは、調べた内容があまりはかばかしくないからだ。

「何だか近隣ちょこまかしてるから、ついでに調べてやろうとしたがおかしなもんでなぁ。」
「おかしい?」
「おお、十年位前迄は簡単に調べがつくんだが、その先は煙のようにだな…。」 

ヒラヒラと降られた自分の手が白旗を模しているのに、宇野は珍しいと目を丸くしている。こちらとしても結果がでないのは珍しいことなので、正直呆れてもいるのだ。
竜胆貴理子がフリーライターとしてのペンネームの可能性は勿論あるのだが、そうなると俺が船舶事故の訴訟の時に竜胆という名前を聞く可能性はない訳で。訴訟でその名前を告げたということは公的に認められた名前の筈なのだが、ここまで来ると訴訟を何かの方法で誤魔化した可能性の方が納得すら出来る。

「結婚とかで名前が変わったとかは?」
「雪、お前俺がそんなことくらい気がつかないボンクラだと思ってんのか?ん?」

ムッとして答えると失言だったと、宇野は素直にすみませんと口にする。予想外の事態に溜め息をついた自分に、宇野は微かに心配の気配を浮かべた。

「疲れてますね。」
「ん?まぁなぁ、俺も人間だってことだな。」

方や三浦のことは完全に煙に巻かれて、男を探せばいいか女を探せばいいかも予想も出来ないでいる。黒髪の女の方も全くもって身元が分からずにいるところなのだ。

「トラウマが戻ってきやがって、こっちの調べもんも煙に巻かれてるとこだ、全く難題だな。」
「戻って?」

俺が首を回すようにしながら微かな苦い笑みを浮かべると、宇野は俺の体がこうなった大体のことを知ってもいるから微かに息をついたのが分かる。

「女に恨まれると身の破滅だぞ?雪。」
「女?」

この怪我をおわせたのは男なのを知っているから宇野が不思議そうに問い返して来たのに、自分は溜め息混じりに呟く。自分に呪詛の言葉を残した元妻の言葉は、三浦のお陰で今も鮮明で気が重くなる。同じ目にあわせてやるとは、これまた奇妙な符合で嫌になるほどだ。

「元女房……ああ、あのバカもその口だったな。なぁクボ、あいつまだ生きてるか?」

不意に思い出した男の事を乗り出して久保田に声をかけると、久保田は何時ものようにお気に入りの白磁のティーポットの手入れをしながら穏やかに声を返す。

「最近話題になってるよ。彼も悲鳴をあげるくらいに元気らしい、トノも見習わないとね。」
「はっ悲鳴?リエに悲鳴をあげさせられたか?俺は悲鳴なんぞあげる喉じゃねえしなぁ。」

目の前の宇野も数ヵ月ほど前に間接的に関わることになった事のある矢根尾という男の事を話しているのに、勘の良い宇野は直ぐ様気がついた様子だ。こんな関係のない無駄話をする余裕があるというのに、宇野はそれでも少し心配げに口を開く。

「外崎さん、あんまり危ない橋は渡らないで下さいよ?」

普段はそんなことを口にもしない宇野がかけた優しい言葉に、俺は驚いたように思わず真顔になってしまっていた。
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