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二度目の5月
356.プリムラ・ポリアンサ
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5月1日 月曜日
世の中はすっかりゴールデンウィーク真っ只中なのに、学生と来たらやっぱり平日は学校なわけです。皆もなんだか渋々って感じで登校してくるのは、これはもう仕方がないよね。
そう言えば五十嵐君はこの間のラーメンチャレンジメニューの件から、少し若瀬君や仁君と仲良くなったみたい。とは言え智美君とは微妙な距離感なのは、きっと智美君がラーメン八玉に大盛炒飯を三十分でペロッと食べきったからなんじゃないかなと思う。聞いただけの私や早紀ちゃんも若干ひくもん、その食べる量と時間を聞いたら。智美君ってば本気で大食い番組出て見たらどうだろうか、きっと人気者になりそうだけど。本人は平然と普通っていってるけど、何で太らないのかなぁ。太る遺伝子がきっとないんだろうなぁ、羨ましい。
そうそう五月になって皆の話題は修学旅行一色。五月の最後の週が修学旅行なんだけど、海外旅行って噂もあったんだけど安全面から国内になっていたらしい。それを聞いて瑠璃ちゃんや松尾ちゃんは、台湾とかジャワ島とかハワイでもいいから、海外に行きたかったと揃って嘆いている。ううーん、私としてはあんまり海外って修学旅行としては考えてなかったなぁ。京都とか奈良とか日本固有の富の誇りって言うか、自社仏閣をゆっくり巡るのもいいよねぇなんて言ったら久保ちゃんに宮井ちゃんてば思ったより年寄り臭いこと言うって指摘されてしまった。ううっ、年寄り臭いって厳しいなぁ!そんなのもいいじゃないって意味だったんだけどぉ!
それにしても五月末だから沖縄だと梅雨真っ最中じゃん!だったら台湾がよかった!って瑠璃ちゃんが散々嘆いてるけど、台湾もその辺りは梅雨だぞ・しかも沖縄より台湾の方が降り方が激しいと智美君が平然と切り返した。私も知らなかった、同じく知らなかったらしい瑠璃ちゃんは、香坂君の意地悪ーって更に嘆いてる。台湾の梅雨はスコールみたいな土砂降りの雨らしい。なら北海道の方がよかったんじゃないかなぁって言う久保ちゃんに、五月の北海道はまだ雪が降るかもななんて智美君が言ってる。えええ!五月でも雪降るの?日本って本当南北に長いんだなぁって感心してしまう。
「流石に五月末なら雪は大丈夫じゃない?防寒具は必要かもしれないけど。智美君。」
「甘いな、早紀。旭川や美瑛の山際には雪が残ってることもあるらしいぞ?最近六月二日にニュースで雪が降った記録もあるし。」
「ひえええ!ホントに雪降るの?六月に?!」
可能性はない訳じゃないって智美君が呑気に言うけど、そっかぁ、冬の北海道と梅雨の沖縄じゃ、沖縄になるのは仕方がないのかなぁ。北海道もいいけどねぇ流石に雪じゃなぁ。因みに沖縄の梅雨はずっとシトシト雨って感じではないんだって。晴れたりもするし、気温も高いから海にも入れるらしい。なんて話を呑気にしていたけど、班わけとかソロソロ考えないとならない時期なんだよね。正直なところは仲のいい子で班を組みたいけど全部が全部そうとはいかないだろうし、色々な人と組むのも経験の一つって言われると返す言葉がないかも。そうだ、那覇市内での自由行動もあるし、今のうちに沖縄の観光ガイドの本でも買ってリサーチしておこうかな。お土産も何がいいか考えておきたいしなぁなんて。
「智美君、本音はどっちがよかったの?沖縄と北海道。」
「行ったことがないから、別にどっちでもいい。」
「そうなんだ?私もないんだよねぇ。」
どっちも美味しいものが多いからいいけどねって言うと、一瞬智美君の瞳がキラッと光った気がする。智美君ってほんと食べるの好きなんだなぁ、そうだ・今度ホントにチャレンジメニューを食べてるの見に行かなきゃ。恐らく平然と食べている気がするんだけど、どんな勢いで食べるのか興味ある!それにしても智美君、グンッと背が高くなったせいかホントに雪ちゃんと似てきてる。
「何?麻希子。」
「んー、智美君一気に背が伸びたなぁって。いいなぁ。私もあと五センチ欲しい。何センチ伸びたの?」
「十センチくらいは。関節がギシギシするから、ひきつれて痛い。」
そっか、智美君は足に傷痕があるんだもんね。急に伸びたら皮膚が追い付かなそうだから、確かに痛そうだ。その一気に伸びる分私にくれたらいいのにって言うと、智美君が可笑しそうに笑いながら頭を撫でる。
「分けれるもんなら分けてやりたいけど、分けてやって麻希子に身長で負けるのは嫌だな。」
「そう言う負けず嫌いは変わんないねぇ。」
身長で負けるのもやだなんて、智美君らしいねぇなんて話していたら、五十嵐君が若瀬君となにかを話している風なのが目に入る。あの事件以降それほど極端に私だけに話しかけることはなくなったけど、無言の愛情表現って訳ではないんだろう。何となく視線とかは感じて入るんだよね、何でそんなに気に入られてるのかなぁっては未だに謎なんだけど。まあ、他の子達ともう少し仲良くなってくれれば、穏やかに会話できるんじゃないかな。
※※※
そうそう、ここだけの話。今日は雪ちゃんのお誕生日なのです。なので帰り道真っ直ぐ雪ちゃんのお家に行って、ケーキを焼いて自分の作ったお料理のストックにプラスアルファしてご馳走してきたんだけど、素直にIHいいね!火加減簡単!ガスの火はガスなりの良さがあるけどIHの使いやすさに感動しちゃった。お掃除もしやすいし。
雪ちゃんは嬉しそうな顔で、三日にお出掛けしようってデートのお誘いをして貰ったのでした。
世の中はすっかりゴールデンウィーク真っ只中なのに、学生と来たらやっぱり平日は学校なわけです。皆もなんだか渋々って感じで登校してくるのは、これはもう仕方がないよね。
そう言えば五十嵐君はこの間のラーメンチャレンジメニューの件から、少し若瀬君や仁君と仲良くなったみたい。とは言え智美君とは微妙な距離感なのは、きっと智美君がラーメン八玉に大盛炒飯を三十分でペロッと食べきったからなんじゃないかなと思う。聞いただけの私や早紀ちゃんも若干ひくもん、その食べる量と時間を聞いたら。智美君ってば本気で大食い番組出て見たらどうだろうか、きっと人気者になりそうだけど。本人は平然と普通っていってるけど、何で太らないのかなぁ。太る遺伝子がきっとないんだろうなぁ、羨ましい。
そうそう五月になって皆の話題は修学旅行一色。五月の最後の週が修学旅行なんだけど、海外旅行って噂もあったんだけど安全面から国内になっていたらしい。それを聞いて瑠璃ちゃんや松尾ちゃんは、台湾とかジャワ島とかハワイでもいいから、海外に行きたかったと揃って嘆いている。ううーん、私としてはあんまり海外って修学旅行としては考えてなかったなぁ。京都とか奈良とか日本固有の富の誇りって言うか、自社仏閣をゆっくり巡るのもいいよねぇなんて言ったら久保ちゃんに宮井ちゃんてば思ったより年寄り臭いこと言うって指摘されてしまった。ううっ、年寄り臭いって厳しいなぁ!そんなのもいいじゃないって意味だったんだけどぉ!
それにしても五月末だから沖縄だと梅雨真っ最中じゃん!だったら台湾がよかった!って瑠璃ちゃんが散々嘆いてるけど、台湾もその辺りは梅雨だぞ・しかも沖縄より台湾の方が降り方が激しいと智美君が平然と切り返した。私も知らなかった、同じく知らなかったらしい瑠璃ちゃんは、香坂君の意地悪ーって更に嘆いてる。台湾の梅雨はスコールみたいな土砂降りの雨らしい。なら北海道の方がよかったんじゃないかなぁって言う久保ちゃんに、五月の北海道はまだ雪が降るかもななんて智美君が言ってる。えええ!五月でも雪降るの?日本って本当南北に長いんだなぁって感心してしまう。
「流石に五月末なら雪は大丈夫じゃない?防寒具は必要かもしれないけど。智美君。」
「甘いな、早紀。旭川や美瑛の山際には雪が残ってることもあるらしいぞ?最近六月二日にニュースで雪が降った記録もあるし。」
「ひえええ!ホントに雪降るの?六月に?!」
可能性はない訳じゃないって智美君が呑気に言うけど、そっかぁ、冬の北海道と梅雨の沖縄じゃ、沖縄になるのは仕方がないのかなぁ。北海道もいいけどねぇ流石に雪じゃなぁ。因みに沖縄の梅雨はずっとシトシト雨って感じではないんだって。晴れたりもするし、気温も高いから海にも入れるらしい。なんて話を呑気にしていたけど、班わけとかソロソロ考えないとならない時期なんだよね。正直なところは仲のいい子で班を組みたいけど全部が全部そうとはいかないだろうし、色々な人と組むのも経験の一つって言われると返す言葉がないかも。そうだ、那覇市内での自由行動もあるし、今のうちに沖縄の観光ガイドの本でも買ってリサーチしておこうかな。お土産も何がいいか考えておきたいしなぁなんて。
「智美君、本音はどっちがよかったの?沖縄と北海道。」
「行ったことがないから、別にどっちでもいい。」
「そうなんだ?私もないんだよねぇ。」
どっちも美味しいものが多いからいいけどねって言うと、一瞬智美君の瞳がキラッと光った気がする。智美君ってほんと食べるの好きなんだなぁ、そうだ・今度ホントにチャレンジメニューを食べてるの見に行かなきゃ。恐らく平然と食べている気がするんだけど、どんな勢いで食べるのか興味ある!それにしても智美君、グンッと背が高くなったせいかホントに雪ちゃんと似てきてる。
「何?麻希子。」
「んー、智美君一気に背が伸びたなぁって。いいなぁ。私もあと五センチ欲しい。何センチ伸びたの?」
「十センチくらいは。関節がギシギシするから、ひきつれて痛い。」
そっか、智美君は足に傷痕があるんだもんね。急に伸びたら皮膚が追い付かなそうだから、確かに痛そうだ。その一気に伸びる分私にくれたらいいのにって言うと、智美君が可笑しそうに笑いながら頭を撫でる。
「分けれるもんなら分けてやりたいけど、分けてやって麻希子に身長で負けるのは嫌だな。」
「そう言う負けず嫌いは変わんないねぇ。」
身長で負けるのもやだなんて、智美君らしいねぇなんて話していたら、五十嵐君が若瀬君となにかを話している風なのが目に入る。あの事件以降それほど極端に私だけに話しかけることはなくなったけど、無言の愛情表現って訳ではないんだろう。何となく視線とかは感じて入るんだよね、何でそんなに気に入られてるのかなぁっては未だに謎なんだけど。まあ、他の子達ともう少し仲良くなってくれれば、穏やかに会話できるんじゃないかな。
※※※
そうそう、ここだけの話。今日は雪ちゃんのお誕生日なのです。なので帰り道真っ直ぐ雪ちゃんのお家に行って、ケーキを焼いて自分の作ったお料理のストックにプラスアルファしてご馳走してきたんだけど、素直にIHいいね!火加減簡単!ガスの火はガスなりの良さがあるけどIHの使いやすさに感動しちゃった。お掃除もしやすいし。
雪ちゃんは嬉しそうな顔で、三日にお出掛けしようってデートのお誘いをして貰ったのでした。
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