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4月

354.フジ

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4月29日 土曜日
気がつくと世の中はゴールデンウィーク一色。社会全部が、すっかりゴールデンウィークに入っていた土曜日。いいよね、ここから五月の七日までお仕事はお休みで九連休って言う人もいるんだよ。ゴールデンウィーク大歓迎だよね、そうなると。とは言え学生の私は、真ん中に登校な訳で、けっしてずる休みも出来ない訳です。しかも後半のゴールデンウィークって言っても今更お出掛けするにも、世の中既に予約や何やって混雑してて計画もたてにくいって思ってたら

「ええ?パパとママと旅行?!私はー?!」
「麻希子はお留守番ね。」

えええ!そんなぁ!何で二人だけってって言ったら、ママってば賑やかに安心して・まー君は連れていくから雪ちゃんのお世話しててねなんて言う。あのさぁちょっとママってば、ここのところ思うんだけど。ママって本当のところどう考えてるの?爽やかにママの優しさですとか言ってるけど、私と雪ちゃんを大人の関係にさせたいのかさせたくないのか正直疑問なんですけど。

「だって、あんた達。」

ママ曰く、私と雪ちゃんはけして離れないとは思うけど、かといって今更恋に酔うようでもないし。普段の様子を見てるとまるで親子か兄妹みたいにみえる。このまま見守っててもねぇなんてママが呆れ顔してるけど、いやいやママは知らないだけだと思うんだよね。ちゃんと雪ちゃんはブラック雪ちゃんもいれば、大人の雪ちゃんもいるんですよ……。ママの前では猫被り雪ちゃんなだけで……最近は私の前では結構猫がっていうか箍も外れてて……。そんなことを頭の中で考えてしまったりするんだけど、まあそれを今説明するとこんな風に自由にさせてくれなくなったりしても困るから。
そう言えば雪ちゃんはゴールデンウィークはお休みどこからどこまでなのかなぁ。もしかして全部お仕事なんてことあったりするんだろうか?それはそれでちょっと嫌かも…。と言うわけでイソイソと雪ちゃんのお家に向かった私。

「まーちゃん、おはよー!」

おはよーって入ったらトーストにスクランブルエッグを乗せて食べている衛が、口にパン屑をつけて元気にご挨拶。横には野菜ジュースが置いてあるけど、あれ?雪ちゃんは?

「雪ね、まだ寝てるよ。」
「え?スクランブルエッグは?作ってもらったの?」
「ううん、自分で作った。」

ええええ?!ガス自分で?!って驚いたら二年生になったから、卵も割れるし、チーズと牛乳ちょっと混ぜるだけだよって衛ってば平然としている。いやいや、混ぜるものの問題じゃなくてコンロ!っていったら、もう僕お米も炊けるし、フライパンで焼くだけならできるよだって。えええ!小学二年生って、そこまで可能性?!いや、衛は賢いから教えたら出来るんだろうけど、ええええ?!

「一口食べる~?」

得意気に差し出された食パンの上には、スクランブルエッグにトマトケチャップがかかってて確かに美味しそう。一口貰ったら火の通りも丁度いいし、ケチャップで味付けも丁度よくて美味しい!美味しいねっていったら衛は凄い嬉しそうにしてるけど、こ・子供の成長早くない?それでも包丁はまだ危ないって言われてて、子供包丁を使うって約束でなら使ってもいいんだって。朝御飯だから野菜ジュースにしたのーって栄養まで考える小学生二年生って………。
普通火の方が危ないんじゃないだろうかって思うけど、あっここ二週間来ないうちにキッチンのコンロが………IHコンロになってる!!!……なるほど、これなら五徳の高さとかないしスイッチポンだもん、衛でも心配ないのかぁ。そうだよね、パソコンとか自由自在の衛なら、こういうのの操作は問題ないのか……納得。えー、IHっていいなぁ!使いやすそう!

「凄かったんだよ!秘密基地みたいに工事したんだ!」
「そうなの?」

そっか元々ガス管があったコンロだから、電気の配線とかガス管とかの工事もあったんだろうなぁ。それが衛には秘密基地の工事みたいに見えたのか。しかも衛に聞いたら消し忘れててもお鍋がかかってなければ一分で消えるし、お鍋がのってても高温になると止まるんだって。凄いなぁ、最近の技術って子供でも安全なんだなぁ。

「僕ね目玉焼きも作ったけど、目玉焼きって難しいんだよねぇ。」

スクランブルエッグは簡単なのにと大人びた口を聞く衛が、なんだか可愛くて可笑しい。そうだね、確かに卵料理って簡単そうだけど、火加減が難しいもんねって言うと、そうなんだよねーなんて大人ぶって言っている。それにしてもあっという間にそんなことまで出来るようになっちゃったなんて、衛にはほんと驚くなぁ。子供包丁料理得意になっちゃったら私ご飯作りにこれないなぁなんて言ったら、衛は大慌てでそれは駄目だよ!って。

「まーちゃんのお料理美味しいもん!僕のはね、雪がお寝坊の時とか、雪がお仕事遅くなるときとかのお手伝いなんだよ!お料理じゃないんだよ!ね!」

…………超可愛い。作りに来てね!僕待ってるんだから!!ってとっても必死に訴え続ける衛がとっても可愛くて、微笑ましいなぁなんて眺めてしまった訳なのです。

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