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4月
339.ドウダンツツジ
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4月14日 金曜日
LINEでお呼びだしがあって私と香苗と早紀ちゃんとで『茶樹』を訪れたら、そこには上品な薄紫のワンピース姿の真希先輩が賑やかに手を振っていた。久々に顔を会わせるからワクワクしながら来たけど、えええ?!真希先輩のお腹が!なんか急に大きくなった気がするんですけど!真希先輩のお腹は一ヶ月ちょっと直接会わないでいたら、確実にフックラとワンピースを押し上げている。その変化に三人で面食らっていると、真希先輩ってばもう五ヶ月半になったんだよーって呑気に言う。五ヶ月半?!五ヶ月半って、もう半分って事ですか?!赤ちゃんってお腹にいるの十月十日って言いますよね?!安定期にも入って検診に行ってきたのと笑う先輩は、なんだかスッカリお母さんの顔だ。
「体重一気に増えないようにって言われちゃった。」
一月から二月にかけて酷かった悪阻がおさまってきたら食欲が出ちゃって、節制しているんだって先輩は笑っているけど。いや真希先輩って元々が凄く華奢だから、お腹出るとこんなに目立つんだって正直に三人とも驚いてる。
「もう性別分かってるんですか?真希先輩。」
「うーん、産婦人科の先生が教えてくれないタイプなんだよね。」
早紀ちゃんの質問に答えた言葉に、え!?お医者さんのタイプで教えなかったり教えたりするものなの?って私達は唖然とする。なんか検査とかで性別を教えてくれるシーンが、ドラマとかによくあるんだけどそれは嘘なのか?って思ってたらお医者さんによっては分かったら教えてくれる事もあるらしい。でも、先輩の通っているお医者さんは、性別は産まれてからって考えなんだって。ええ?ど、どっちがいいのかなぁ?ベビー用品の準備とかあるから、先に知ってた方がいいのかなぁ?
「エコーの写真見る?」
エコーって?って思ったら先輩が白黒の写真を手帳から出して見せてくれた。これってもしかして顔?白黒の写真の中には不鮮明だけど、赤ちゃんらしき顔が映っていて顔の前には小さな手が握られている。
「これって……先輩の赤ちゃんですか?!」
「すごーい!もうお顔だぁ!」
黒い空間に浮かんでいる白い顔。3Dで顔が分かるんだってと先輩が笑っているけど、こんなにお腹の中の赤ちゃんが画像になるんだ。凄いなぁって感動してたら、先輩があって声をあげる。何?って三人で視線を向けると、先輩が手招きして私達の手をとるとお腹に当てた。
ポコ
軽い振動がお腹の奥から響いてくる。これってあれ?赤ちゃんが動いてるやつ?胎動ってやつ?凄い!もう、こんな風に動いてるんだって感動してしまう。そんなことを考えていたら、目の前の先輩が驚いたように目を丸くした。
「かなちゃん?どうしたの?」
その言葉に私がはっと横を見た時には、香苗の瞳から大粒の涙が溢れ落ちていくのが見えた。そして同時に香苗がどんな風に今感じているかも、私にはわかってしまったんだ。香苗の瞳から溢れた涙が、パタパタってテーブルに音をたてて落ちていく。早紀ちゃんも先輩も香苗の涙の理由を知らないから、驚いた様子で香苗の事を見つめている。
「ご、ごめんなさい、なんか超感動しちゃった……、赤ちゃん元気だなぁって思ったら……。」
香苗が慌てて涙を拭いながらそう言うのに、二人はそっかと安堵したように笑う。香苗が今何を感じているか知っているから、私まで一気に泣きたくなってしまう。それに気がついたみたいに香苗が、麻希子まで泣かないでよ、もらい泣き?と泣き笑いする。
「だって……香苗が泣くからぁ!」
「何で、もらい泣きすんのよー。」
二人で泣きながらそんなことを言い合う私達に、早紀ちゃんと真希先輩が笑い出す。そんな風に盛り上がって真希先輩から新婚旅行のお土産を頂いた矢先、真希先輩が気がついたように私の顔を眺めた。
「三人とも少し大人びたなぁって思ったけど、モモちゃんが一番大人っぽくなったねぇ。」
へ?って顔で真希先輩を見ると、早紀ちゃんと香苗も何でかそれに同意する。源川先輩にも言われたけど、個人的には全く変化を感じていないんですけども。何処が変わったのかなぁって首を傾げていると、香苗がこの間虐めにあうのは嫌だからって言ったんですよって真希先輩に言う。え?それ蒸し返すの酷くない?!だって、私だってやなもんはやだよって話していたら、何でか五十嵐君の猛烈アプローチの話に。だから、断ってるのに折れてくれないんだってば。
「モモちゃんって仁聖みたいな暴走タイプに好かれやすいのかしら。」
暴走………ある意味雪ちゃんも暴走することがある気がする。そういうこと言われてしまうと、源川先輩も真希先輩から暴走列車って呼ばれてたなぁ確かに。って、ここで納得しちゃいけない気が!
「彼氏がいるっていっても、ダメなんですよ、真希先輩。」
「えええ?!モモちゃん、彼氏いるの?!」
あれ?真希先輩って……そっか、真希先輩は雪ちゃんの事は知らないかも。で、先輩何故乗り出して来てるんですか?え?どこまで進んでいるのかって?!あれ?今から質疑応答なの?!!
LINEでお呼びだしがあって私と香苗と早紀ちゃんとで『茶樹』を訪れたら、そこには上品な薄紫のワンピース姿の真希先輩が賑やかに手を振っていた。久々に顔を会わせるからワクワクしながら来たけど、えええ?!真希先輩のお腹が!なんか急に大きくなった気がするんですけど!真希先輩のお腹は一ヶ月ちょっと直接会わないでいたら、確実にフックラとワンピースを押し上げている。その変化に三人で面食らっていると、真希先輩ってばもう五ヶ月半になったんだよーって呑気に言う。五ヶ月半?!五ヶ月半って、もう半分って事ですか?!赤ちゃんってお腹にいるの十月十日って言いますよね?!安定期にも入って検診に行ってきたのと笑う先輩は、なんだかスッカリお母さんの顔だ。
「体重一気に増えないようにって言われちゃった。」
一月から二月にかけて酷かった悪阻がおさまってきたら食欲が出ちゃって、節制しているんだって先輩は笑っているけど。いや真希先輩って元々が凄く華奢だから、お腹出るとこんなに目立つんだって正直に三人とも驚いてる。
「もう性別分かってるんですか?真希先輩。」
「うーん、産婦人科の先生が教えてくれないタイプなんだよね。」
早紀ちゃんの質問に答えた言葉に、え!?お医者さんのタイプで教えなかったり教えたりするものなの?って私達は唖然とする。なんか検査とかで性別を教えてくれるシーンが、ドラマとかによくあるんだけどそれは嘘なのか?って思ってたらお医者さんによっては分かったら教えてくれる事もあるらしい。でも、先輩の通っているお医者さんは、性別は産まれてからって考えなんだって。ええ?ど、どっちがいいのかなぁ?ベビー用品の準備とかあるから、先に知ってた方がいいのかなぁ?
「エコーの写真見る?」
エコーって?って思ったら先輩が白黒の写真を手帳から出して見せてくれた。これってもしかして顔?白黒の写真の中には不鮮明だけど、赤ちゃんらしき顔が映っていて顔の前には小さな手が握られている。
「これって……先輩の赤ちゃんですか?!」
「すごーい!もうお顔だぁ!」
黒い空間に浮かんでいる白い顔。3Dで顔が分かるんだってと先輩が笑っているけど、こんなにお腹の中の赤ちゃんが画像になるんだ。凄いなぁって感動してたら、先輩があって声をあげる。何?って三人で視線を向けると、先輩が手招きして私達の手をとるとお腹に当てた。
ポコ
軽い振動がお腹の奥から響いてくる。これってあれ?赤ちゃんが動いてるやつ?胎動ってやつ?凄い!もう、こんな風に動いてるんだって感動してしまう。そんなことを考えていたら、目の前の先輩が驚いたように目を丸くした。
「かなちゃん?どうしたの?」
その言葉に私がはっと横を見た時には、香苗の瞳から大粒の涙が溢れ落ちていくのが見えた。そして同時に香苗がどんな風に今感じているかも、私にはわかってしまったんだ。香苗の瞳から溢れた涙が、パタパタってテーブルに音をたてて落ちていく。早紀ちゃんも先輩も香苗の涙の理由を知らないから、驚いた様子で香苗の事を見つめている。
「ご、ごめんなさい、なんか超感動しちゃった……、赤ちゃん元気だなぁって思ったら……。」
香苗が慌てて涙を拭いながらそう言うのに、二人はそっかと安堵したように笑う。香苗が今何を感じているか知っているから、私まで一気に泣きたくなってしまう。それに気がついたみたいに香苗が、麻希子まで泣かないでよ、もらい泣き?と泣き笑いする。
「だって……香苗が泣くからぁ!」
「何で、もらい泣きすんのよー。」
二人で泣きながらそんなことを言い合う私達に、早紀ちゃんと真希先輩が笑い出す。そんな風に盛り上がって真希先輩から新婚旅行のお土産を頂いた矢先、真希先輩が気がついたように私の顔を眺めた。
「三人とも少し大人びたなぁって思ったけど、モモちゃんが一番大人っぽくなったねぇ。」
へ?って顔で真希先輩を見ると、早紀ちゃんと香苗も何でかそれに同意する。源川先輩にも言われたけど、個人的には全く変化を感じていないんですけども。何処が変わったのかなぁって首を傾げていると、香苗がこの間虐めにあうのは嫌だからって言ったんですよって真希先輩に言う。え?それ蒸し返すの酷くない?!だって、私だってやなもんはやだよって話していたら、何でか五十嵐君の猛烈アプローチの話に。だから、断ってるのに折れてくれないんだってば。
「モモちゃんって仁聖みたいな暴走タイプに好かれやすいのかしら。」
暴走………ある意味雪ちゃんも暴走することがある気がする。そういうこと言われてしまうと、源川先輩も真希先輩から暴走列車って呼ばれてたなぁ確かに。って、ここで納得しちゃいけない気が!
「彼氏がいるっていっても、ダメなんですよ、真希先輩。」
「えええ?!モモちゃん、彼氏いるの?!」
あれ?真希先輩って……そっか、真希先輩は雪ちゃんの事は知らないかも。で、先輩何故乗り出して来てるんですか?え?どこまで進んでいるのかって?!あれ?今から質疑応答なの?!!
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