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3月
317.スイートアリッサム
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3月23日 木曜日
少し熱が下がり始め、あんまり高い熱が出なくなり始めた。それでもまだ小さい点滴は1日3回もするんだよ。朝と夕と夜中、夜中って驚きだけど8時間おきって言われて成る程ってなった。9時・17時・1時の3回。そういう薬なんだって説明されると、そうなんだ~ってしか言えない。薬の種類によっては1日2回とか1回って言うのもあるんだって看護師さんの四倉梨央さんが教えてくれた。因みにこの小さい点滴は、抗生剤っていう薬なんだって。飲み薬もあるんだけど、点滴の方が早く効くってことらしい。
「何で点滴の方が早く効くの?四倉さん。」
「飲み薬はどうしても胃酸や何かで薬効が落ちるしね。体内に取り込むのに粘膜から吸収するでしょ?」
「うん。」
「でも、点滴は直接血管にお薬を流しちゃうわけ。」
「あー、溶かすとか吸収の手間がないから、効果が早いのかぁ。」
あら、勘がいいのねと四倉さんに言われる。説明しても分からないことがおおいらしいけど、四倉さんの説明だと分かりやすいから。
そんな話はさておき四倉さんが何時もの優美な手つきで、真夜中に点滴を暗がりで刺していくのには感心してしまう。私は個室だから電気つけてもいいですよっていったけど、お母様が寝てるし大丈夫よって笑って本当に懐中電灯の光だけで点滴をスイスイ刺していく。慣れてるから大丈夫だって言うけど、懐中電灯の明かりだけでって本当に凄いなぁ。しかも30分位で点滴が丁度終わるなぁって考えてたら、まるで時間が分かっていたみたいに四倉さんが巡視に回ってきて針を抜いて回収していく。ほんと看護師さんって凄いなぁ。四倉さんは夜中から朝までの勤務で朝食が終わって暫くしたら、また今夜ねと笑顔で帰っていった。看護師さんって夜勤が2回位続く事が多いけど、大変じゃないのかな?昼間も働いてて、気がついたら夜にもいるんだもん、結構大変だと思うんだよね。私には、正直無理そうだと思う。
そんな今朝は朝からテレビで、有名な政治家さんのセクハラニュースで大騒ぎだ。綺麗な夜のおねぇさんにセクハラして美しさに優る価値は金!って凄いお金に物を言わせて偉そうにしている音声がワイドショーに流れまくってて、ママは聞くたびに苦い呆れ顔だ。
「この間の投票したのよ………成田哲……。」
「あ、そうなんだ。」
ママはこの前の選挙で、その不祥事の人に投票したから余計不満らしい。本気で不快感満載のママに、見ていて私は思わず苦笑いしてしまう。でも音声はまだまだ出てきそうな気配だし、悪いことしてたんなら次までに分かってよかったんじゃない?って言うとそうかもしれないけど、気持ち悪い!最低!って。噂の当人は家から出てきたのをテレビカメラに追いかけ回されて、汗だくになって逃げ回っている。しかも、奥さんもホストクラブで遊んでるって報道が流れたものだから、ママの心証は更に最悪だ。
そうそう、お昼過ぎに遠坂さんが日曜に退院しますって本当に姿を見せたのには驚いた。松葉杖をつき歩きながら左手左足もギプスなんだけど、痛みはないしデスクワークは出来ますよってニコニコしてて至って元気そう。
「麻希子ちゃんも早く退院できると良いね。早く退院しないと、春休み遊べないもんな。」
そう笑顔で言われてしまった。
刑事さんって本当に凄い精神力っていうか、体力っていうか。ママと2人で驚いてしまったんだけど、犯人はちゃんと捕まえるからねと遠坂さんが約束の指切りをしてくれたんだ。それに遠坂さんが教えてくれたんだけど、あの犯人は顔を隠して逃げ回るタイプじゃないんだって。つまりは顔を見たからって私がまた狙われる可能性は低いんだって言う。どうして分かるのかって聞いたら、少し前にも同じように顔を見ている人がいて、その人はもう一度鉢合わせたけど全く興味を持たれなかったらしい。絶対とは言えないけど独りで鉢合わせたりしなければ大丈夫だから、一人にならないように過ごしてて欲しいとは言われたよ。でも早々に捕まえて見せるからって、遠坂さんは指切りで約束してくれたんだ。それを聞いて私もこのままじゃ駄目だよなって。遠坂さんほどじゃなくてももう少し元気出しておかなきゃって決心したわけです。
大体にして早く元気にならないと、本当に春休み終わっちゃうし!
だって今年の春休みは少し短いんだよね、実際。そう言ったらママはそこで頑張るのもねぇと苦笑してる。でも、ホントにそう言うことでもいいから、少し元気出さないと。そういってたら夕方にママがスマホを渡してくれて、ちょ、ちょっとドキドキしながら電源オン。
ひ、ひええええ!怖い!怖い!!
とんでもない事になってるスマートホン……ママもポカーンとして着信やら何やらを訴えてるのを見下ろしている。
「麻希子、人気者なのねぇ………。」
「そ、そうなのかな?」
LINEとかメールとか留守電とかとんでもなく鳴りまくってたんだなぁ。雪ちゃん、鳥飼さん、源川先輩、それに早紀ちゃん、智美君、香苗が皆それぞれに電話したりメールしたり、LINEしてくれたり。クラスの子達は何も知らないんだけど、インフル大丈夫?って皆で聞いてきてる。あ、私インフルエンザって事になってるんだ。
少し熱が下がり始め、あんまり高い熱が出なくなり始めた。それでもまだ小さい点滴は1日3回もするんだよ。朝と夕と夜中、夜中って驚きだけど8時間おきって言われて成る程ってなった。9時・17時・1時の3回。そういう薬なんだって説明されると、そうなんだ~ってしか言えない。薬の種類によっては1日2回とか1回って言うのもあるんだって看護師さんの四倉梨央さんが教えてくれた。因みにこの小さい点滴は、抗生剤っていう薬なんだって。飲み薬もあるんだけど、点滴の方が早く効くってことらしい。
「何で点滴の方が早く効くの?四倉さん。」
「飲み薬はどうしても胃酸や何かで薬効が落ちるしね。体内に取り込むのに粘膜から吸収するでしょ?」
「うん。」
「でも、点滴は直接血管にお薬を流しちゃうわけ。」
「あー、溶かすとか吸収の手間がないから、効果が早いのかぁ。」
あら、勘がいいのねと四倉さんに言われる。説明しても分からないことがおおいらしいけど、四倉さんの説明だと分かりやすいから。
そんな話はさておき四倉さんが何時もの優美な手つきで、真夜中に点滴を暗がりで刺していくのには感心してしまう。私は個室だから電気つけてもいいですよっていったけど、お母様が寝てるし大丈夫よって笑って本当に懐中電灯の光だけで点滴をスイスイ刺していく。慣れてるから大丈夫だって言うけど、懐中電灯の明かりだけでって本当に凄いなぁ。しかも30分位で点滴が丁度終わるなぁって考えてたら、まるで時間が分かっていたみたいに四倉さんが巡視に回ってきて針を抜いて回収していく。ほんと看護師さんって凄いなぁ。四倉さんは夜中から朝までの勤務で朝食が終わって暫くしたら、また今夜ねと笑顔で帰っていった。看護師さんって夜勤が2回位続く事が多いけど、大変じゃないのかな?昼間も働いてて、気がついたら夜にもいるんだもん、結構大変だと思うんだよね。私には、正直無理そうだと思う。
そんな今朝は朝からテレビで、有名な政治家さんのセクハラニュースで大騒ぎだ。綺麗な夜のおねぇさんにセクハラして美しさに優る価値は金!って凄いお金に物を言わせて偉そうにしている音声がワイドショーに流れまくってて、ママは聞くたびに苦い呆れ顔だ。
「この間の投票したのよ………成田哲……。」
「あ、そうなんだ。」
ママはこの前の選挙で、その不祥事の人に投票したから余計不満らしい。本気で不快感満載のママに、見ていて私は思わず苦笑いしてしまう。でも音声はまだまだ出てきそうな気配だし、悪いことしてたんなら次までに分かってよかったんじゃない?って言うとそうかもしれないけど、気持ち悪い!最低!って。噂の当人は家から出てきたのをテレビカメラに追いかけ回されて、汗だくになって逃げ回っている。しかも、奥さんもホストクラブで遊んでるって報道が流れたものだから、ママの心証は更に最悪だ。
そうそう、お昼過ぎに遠坂さんが日曜に退院しますって本当に姿を見せたのには驚いた。松葉杖をつき歩きながら左手左足もギプスなんだけど、痛みはないしデスクワークは出来ますよってニコニコしてて至って元気そう。
「麻希子ちゃんも早く退院できると良いね。早く退院しないと、春休み遊べないもんな。」
そう笑顔で言われてしまった。
刑事さんって本当に凄い精神力っていうか、体力っていうか。ママと2人で驚いてしまったんだけど、犯人はちゃんと捕まえるからねと遠坂さんが約束の指切りをしてくれたんだ。それに遠坂さんが教えてくれたんだけど、あの犯人は顔を隠して逃げ回るタイプじゃないんだって。つまりは顔を見たからって私がまた狙われる可能性は低いんだって言う。どうして分かるのかって聞いたら、少し前にも同じように顔を見ている人がいて、その人はもう一度鉢合わせたけど全く興味を持たれなかったらしい。絶対とは言えないけど独りで鉢合わせたりしなければ大丈夫だから、一人にならないように過ごしてて欲しいとは言われたよ。でも早々に捕まえて見せるからって、遠坂さんは指切りで約束してくれたんだ。それを聞いて私もこのままじゃ駄目だよなって。遠坂さんほどじゃなくてももう少し元気出しておかなきゃって決心したわけです。
大体にして早く元気にならないと、本当に春休み終わっちゃうし!
だって今年の春休みは少し短いんだよね、実際。そう言ったらママはそこで頑張るのもねぇと苦笑してる。でも、ホントにそう言うことでもいいから、少し元気出さないと。そういってたら夕方にママがスマホを渡してくれて、ちょ、ちょっとドキドキしながら電源オン。
ひ、ひええええ!怖い!怖い!!
とんでもない事になってるスマートホン……ママもポカーンとして着信やら何やらを訴えてるのを見下ろしている。
「麻希子、人気者なのねぇ………。」
「そ、そうなのかな?」
LINEとかメールとか留守電とかとんでもなく鳴りまくってたんだなぁ。雪ちゃん、鳥飼さん、源川先輩、それに早紀ちゃん、智美君、香苗が皆それぞれに電話したりメールしたり、LINEしてくれたり。クラスの子達は何も知らないんだけど、インフル大丈夫?って皆で聞いてきてる。あ、私インフルエンザって事になってるんだ。
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