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2月
287.ネモフィラ
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2月21日 火曜日
今日は3年生登校日の火曜日。
相変わらず源川先輩に頭を撫でられている私は、もうあなたを許すって言うより諦めの気分。だって先輩ってば抱っこよりいいじゃんなんて訳の分かんない事を言うんだよ。源川先輩に抱っこなんてされた日には、衝撃的にファンクラブに物陰に呼ばれますよっ!お願いだから、それは恋人にしてくださいって言ったら、源川先輩に当然のように毎日抱っこはしてるって答えられた私。源川先輩、この間自分でスキンシップ過多って言われたって話してたけど、毎日抱っこ?!抱っこって抱っこですよね?!あの背の高い人……まあ、先輩も凄く背が高いんだけど、一体抱っこってどっちがするのかなぁ。むむ、それにしてもそれが普通の恋人の関係ってことなのだろうか…。いや、私だって会った時は雪ちゃんに抱っこされたりはされてる…かな?
「モモちゃん、仁聖は恋愛の基準にならないわよ?こいつトコトン非常識だから。」
可憐な顔立ちなのに言うことはトコトン漢らしい坂本先輩に、源川先輩はもろに不満顔だ。
「真希だって撫でるくせに。撫でてると癒やされるんだよ、モモの頭。」
「……頭から何も発してないです。」
大体にして何でお昼前なのに先輩達は学校に残っているのだろうか、卒業式の予行演習はとうに終わっているし他の先輩達は1時間前に帰ったと思う。もう2人で私の頭を撫でに来たとしか思えなくもない。まあ撫でられるのが不快とまではいかないから、いいけども……、いいのかな?
「で?一体先輩の用件は何なんでしょう?」
「ほんと、モモって俺に塩対応な?」
そのわりに全然気にしてませんよね?!源川先輩って。というか今まで女の子から塩対応されたことないからって、面白がってますよね?!絶対に。先輩のフェロモンは、どこでも成功するわけじゃないんですよっ!って顔に出すと、なんでかなぁ源川先輩ってば嬉しそう。どうみてもこう反応するのを、先輩に楽しまれている気がする。源川先輩は改めて私の顔を覗き込むと、賑やかに問いかけてきた。
「ところで、最近はどう?」
「何がですか?」
やっと源川先輩が頭から手を退けてくれたと思ったら、今度は坂本先輩に急に後ろから抱きつかれてアワアワする。坂本先輩、妊婦さんなんだから背後から不意討ち止めてください!咄嗟に手が当たったりして何かあったら怖いじゃないですか!って言う私に、確かにって源川先輩が頷いている。坂本先輩ははーいと素直に離してくれたものの、今度は頭を撫でに入ってしまった。
「モモちゃんが虐められてないか心配なのよ?仁聖ってば。」
坂本先輩の言葉に私が目を丸くすると、源川先輩が苦笑いを浮かべる。
「でもね、あんまり人を気に入って心配したことがないから、心配の仕方が分かんないのよ、ごめんね。」
「あ!バラすなよ!真希!」
え?あ、そういうことなの?それでわざわざ来てくれたの?そっか……わざわざ心配して来てくれてたんだってわかったら、塩対応したのがちょっと申し訳なくなってしまう。私がシュンってしたら坂本先輩が、いい子いい子って撫でながら楽しそうに言う。
「でも、塩対応で十分だからね?モモちゃん。」
「何でだよ、俺だけ塩対応ってなしだよな?モモ。」
「あんた調子に乗らせると直ぐ暴走するから、塩対応位が丁度いいの。」
ぼ、暴走?!何にたいしての暴走ですか?!意味がつかめないけど源川先輩の暴走って正直なんか怖い。あの昇降口のホスト紛いの壁ドンは、ある意味で暴走なんじゃないでしょうか?!ええ?!あんな感じで常々関わられたら、また先輩のファンクラブにいらない火種が着いちゃう!せめてあと半月なんだから穏やかに過ごしたいです!先輩っ校内ではあまり関わりたくない!
「えー、そんなことならないように気を付けてるって。癒されるくらいいいと思うんだけどなぁ。」
えっと、気を付けててこれなんだよね。絶対に恋人さん、結構苦労されてる気がするのは何でですか?源川先輩って凄く自分の事に正直なんだけど、何でか天然っていうか今一つ浮世離れしてる部分ありますよ?!
「妹分ならオッケーじゃね?」
「仁聖みたいな兄貴が突然出来たら、私だったら家出するわよ?面倒くさい。」
流石坂本先輩。凄まじい一刀両断っていうか、幼馴染みなんだもんね。そっか坂本先輩でも、面倒くさいんだ。でも、ショボンってなってる源川先輩を窓越しにキュンキュンしながら眺めてる子が結構いるんですけど。人の好みって分かんないなぁ、大型犬みたいだなぁって思うけど、アイドルとかって風には見えないんだけどなぁ。確かにあの壁ドンの時はホストかっ!っては思ったけど、別にキュンキュンしなかったし。
「モモのそういうとこが、いいんだよな。」
だから、顔で……もういいや、言うだけ無駄な気がしてきた。それにしてもそういうとこって、フェロモンが効かないところって言うことなんだろうか。うーん、何で効かないのかって言われるとよく分かんない。
後で早紀ちゃんと香苗に言ったら、そりゃ麻希子だもん効かないよ!って言われたのは何で?!
今日は3年生登校日の火曜日。
相変わらず源川先輩に頭を撫でられている私は、もうあなたを許すって言うより諦めの気分。だって先輩ってば抱っこよりいいじゃんなんて訳の分かんない事を言うんだよ。源川先輩に抱っこなんてされた日には、衝撃的にファンクラブに物陰に呼ばれますよっ!お願いだから、それは恋人にしてくださいって言ったら、源川先輩に当然のように毎日抱っこはしてるって答えられた私。源川先輩、この間自分でスキンシップ過多って言われたって話してたけど、毎日抱っこ?!抱っこって抱っこですよね?!あの背の高い人……まあ、先輩も凄く背が高いんだけど、一体抱っこってどっちがするのかなぁ。むむ、それにしてもそれが普通の恋人の関係ってことなのだろうか…。いや、私だって会った時は雪ちゃんに抱っこされたりはされてる…かな?
「モモちゃん、仁聖は恋愛の基準にならないわよ?こいつトコトン非常識だから。」
可憐な顔立ちなのに言うことはトコトン漢らしい坂本先輩に、源川先輩はもろに不満顔だ。
「真希だって撫でるくせに。撫でてると癒やされるんだよ、モモの頭。」
「……頭から何も発してないです。」
大体にして何でお昼前なのに先輩達は学校に残っているのだろうか、卒業式の予行演習はとうに終わっているし他の先輩達は1時間前に帰ったと思う。もう2人で私の頭を撫でに来たとしか思えなくもない。まあ撫でられるのが不快とまではいかないから、いいけども……、いいのかな?
「で?一体先輩の用件は何なんでしょう?」
「ほんと、モモって俺に塩対応な?」
そのわりに全然気にしてませんよね?!源川先輩って。というか今まで女の子から塩対応されたことないからって、面白がってますよね?!絶対に。先輩のフェロモンは、どこでも成功するわけじゃないんですよっ!って顔に出すと、なんでかなぁ源川先輩ってば嬉しそう。どうみてもこう反応するのを、先輩に楽しまれている気がする。源川先輩は改めて私の顔を覗き込むと、賑やかに問いかけてきた。
「ところで、最近はどう?」
「何がですか?」
やっと源川先輩が頭から手を退けてくれたと思ったら、今度は坂本先輩に急に後ろから抱きつかれてアワアワする。坂本先輩、妊婦さんなんだから背後から不意討ち止めてください!咄嗟に手が当たったりして何かあったら怖いじゃないですか!って言う私に、確かにって源川先輩が頷いている。坂本先輩ははーいと素直に離してくれたものの、今度は頭を撫でに入ってしまった。
「モモちゃんが虐められてないか心配なのよ?仁聖ってば。」
坂本先輩の言葉に私が目を丸くすると、源川先輩が苦笑いを浮かべる。
「でもね、あんまり人を気に入って心配したことがないから、心配の仕方が分かんないのよ、ごめんね。」
「あ!バラすなよ!真希!」
え?あ、そういうことなの?それでわざわざ来てくれたの?そっか……わざわざ心配して来てくれてたんだってわかったら、塩対応したのがちょっと申し訳なくなってしまう。私がシュンってしたら坂本先輩が、いい子いい子って撫でながら楽しそうに言う。
「でも、塩対応で十分だからね?モモちゃん。」
「何でだよ、俺だけ塩対応ってなしだよな?モモ。」
「あんた調子に乗らせると直ぐ暴走するから、塩対応位が丁度いいの。」
ぼ、暴走?!何にたいしての暴走ですか?!意味がつかめないけど源川先輩の暴走って正直なんか怖い。あの昇降口のホスト紛いの壁ドンは、ある意味で暴走なんじゃないでしょうか?!ええ?!あんな感じで常々関わられたら、また先輩のファンクラブにいらない火種が着いちゃう!せめてあと半月なんだから穏やかに過ごしたいです!先輩っ校内ではあまり関わりたくない!
「えー、そんなことならないように気を付けてるって。癒されるくらいいいと思うんだけどなぁ。」
えっと、気を付けててこれなんだよね。絶対に恋人さん、結構苦労されてる気がするのは何でですか?源川先輩って凄く自分の事に正直なんだけど、何でか天然っていうか今一つ浮世離れしてる部分ありますよ?!
「妹分ならオッケーじゃね?」
「仁聖みたいな兄貴が突然出来たら、私だったら家出するわよ?面倒くさい。」
流石坂本先輩。凄まじい一刀両断っていうか、幼馴染みなんだもんね。そっか坂本先輩でも、面倒くさいんだ。でも、ショボンってなってる源川先輩を窓越しにキュンキュンしながら眺めてる子が結構いるんですけど。人の好みって分かんないなぁ、大型犬みたいだなぁって思うけど、アイドルとかって風には見えないんだけどなぁ。確かにあの壁ドンの時はホストかっ!っては思ったけど、別にキュンキュンしなかったし。
「モモのそういうとこが、いいんだよな。」
だから、顔で……もういいや、言うだけ無駄な気がしてきた。それにしてもそういうとこって、フェロモンが効かないところって言うことなんだろうか。うーん、何で効かないのかって言われるとよく分かんない。
後で早紀ちゃんと香苗に言ったら、そりゃ麻希子だもん効かないよ!って言われたのは何で?!
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