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1月
266.シロタエギク
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1月31日 火曜日
昨日の『茶樹』での壁ドンの話が、何故か現在も継続している目下昼休み。そういえば源川先輩の昇降口の壁ドンは、実際は肘ドンだよねと久保ちゃんが参戦。既に小林夏帆ちゃんと三澄かおるちゃんは話に加わっている。床ドンは一度はされたいけど、家とかじゃないと出来ないとか。電車とかバスで肩ズンがいいとか。何か聞いたことないものまで幾つか出てきた。因みに床ドンは壁ドンの床バージョン、肩ズンは隣に座った彼氏もしくは彼女が相手の肩に頭をのせるやつね。聞いたことなかったのは腕ゴールテープと指チュウと耳ツブ。耳ツブは耳に呟くだろうから分かるけど、前の二つは何それの域。
「腕をねー、横を通りすぎる時にぃ。」
何でか早紀ちゃんと久保ちゃんが実演してるんだけど、腕ゴールテープってつまりは腕を横に広げて抱き止めるみたいなやつのことらしい。あなたを支えるって感じとは違うけどギュッと抱き止める。あ、それ彼氏にやられたらジワジワ来るやつだ!絶対キュンッてなる!久保ちゃんがドヤ顔で早紀ちゃんを抱き止めてるけど、孝君が微妙な顔してるのを私は見逃さなかった。あれ、きっといつか孝君はやるつもりだと思う。指チュウは?って言ったら何でか香苗がモソモソと智美君に耳元で話してて、智美君がへぇって声をあげる。それ耳ツブって言うんじゃ?
「指チュウってどんなの?」
「じゃ、麻希子そのままね。」
はーいって言ったら何故か智美君が真顔で私の頬を両手で包む。え?なに?って思ったら一瞬で綺麗な顔が目の前に。伏せられた長い睫毛が眼鏡越しに凄く近い。近いどころじゃない!何?!って思ったと同時に顔が傾げて唇が触れる瞬間に、智美君の両手の親指が私の唇に蓋をして自分の指に口付けた。
「な!なに?!なんっ?!」
キャーッて言う女子の歓声が起きたけど、さ、触ってない!唇にさわったのは智美君の親指だけ!してない!キスしてないから!って何すんの?!智美君のバカッ!!
なのに、やった方の智美君は智美君で、真顔でふと考え込んだかと思うと。
「これ意味わかんないな?自分の指にキスして何がいいの?」
「それが乙女心じゃん、キュンッてした?麻希子?」
「し!しないよ!!ビックリしただけだよ!」
「えー!見てる方はキュンキュンしたよぉ!」
「しないよ!!」
何てことするんだって私が怒っても智美君は、これが指チュウだからって全く平然と平気な顔してるし。何でかキュンとしないのかなぁって香苗が早紀ちゃん相手に指チュウの実演してみせて、孝君がワタワタしている。いや、端で見てて指にしてるって分かってても、一瞬キスしてるようにも見えるから驚いてしまう。してるように見える?って言ったら香苗が上手いってなって何でか香苗が他にも何人かと実演してるんだけど!もー指チュウで遊ぶな!自分の指にキスしてるだけだから躊躇いがないのは分かるけど、誰彼構わずやんないの!!うちのクラスは指チュウ禁止にしないと!
もーなんか、ドッと疲れた。香苗は大爆笑で指チュウ面白いっていってるけど、そんなに言うならセンセに指チュウされればいいんだ。絶対魂抜けるから!今度一回やっといてって、センセにお願いしておこう!もう、雪ちゃんに指チュウバレたら私また抱き枕にされちゃうよ。
「壁トンぐらいでいいなぁ、私。」
「夏帆ちゃん、壁トンってなに?」
小林夏帆ちゃん曰く壁トンは壁ドンだと怖いから、軽くトンってしてってことらしい。あー、確かに顔の横にドンって手を突かれるのは怖いかも。あ、そう言えば雪ちゃんに肘ドンされてるなぁ……肘ドンというかドンってはされてないけど、確かにあれってドキドキするよね。
「えー、おでこコツンがいいなぁ。」
「顎クイもいいでしょ!」
智美君が結局されるなら何でもいいんじゃんって笑ってる。だよね、好きな人にされれば何でも嬉しいんじゃないかなぁ。それにしても智美君、これを聞いて誰にするつもりなんだろう。
「何かの時に役に立ちそうだろ?必殺技。」
「お願いだから、顔見て答えないで。何でそんなに筒抜けなの?!しかも、必殺技?!」
「麻希子ってば、最近百面相しすぎなんだよ!」
香苗の言葉にガーンッ!!衝撃!私ってそんなに百面相してるの?!ってショックをうけてるのに、なんと皆して何?気がついてないのって呆れたように見てる。え?私って百面相そんなにしてるの?
「え?ほんとに無意識なの?」
「無意識って意識的に百面相してたらおかしいだろ?須藤。」
「えええ?!そんなにしてるなら言ってよぉ!皆して!」
「だって、見てて微笑ましいから。ねぇ?」
「うん、相変わらず出てるなぁって見てるよ?」
いや、早紀ちゃん、久保ちゃん、微笑ましいって、相変わらずって、なんなのもう。今更ながら衝撃の真実に私はグッタリ机の上に倒れ込んでしまう。そんなに分かりやすく百面相してたなんて……。
「別に悪いことじゃないからいいじゃん、皆裏表がなくていいなぁって見てるんだし?ね?香坂。」
「素直でいいと思うけど?な?仁。」
褒めてない、それって全然褒めてないから。もう能面でも被って生活したらいいのかなぁ、ほんとに。
昨日の『茶樹』での壁ドンの話が、何故か現在も継続している目下昼休み。そういえば源川先輩の昇降口の壁ドンは、実際は肘ドンだよねと久保ちゃんが参戦。既に小林夏帆ちゃんと三澄かおるちゃんは話に加わっている。床ドンは一度はされたいけど、家とかじゃないと出来ないとか。電車とかバスで肩ズンがいいとか。何か聞いたことないものまで幾つか出てきた。因みに床ドンは壁ドンの床バージョン、肩ズンは隣に座った彼氏もしくは彼女が相手の肩に頭をのせるやつね。聞いたことなかったのは腕ゴールテープと指チュウと耳ツブ。耳ツブは耳に呟くだろうから分かるけど、前の二つは何それの域。
「腕をねー、横を通りすぎる時にぃ。」
何でか早紀ちゃんと久保ちゃんが実演してるんだけど、腕ゴールテープってつまりは腕を横に広げて抱き止めるみたいなやつのことらしい。あなたを支えるって感じとは違うけどギュッと抱き止める。あ、それ彼氏にやられたらジワジワ来るやつだ!絶対キュンッてなる!久保ちゃんがドヤ顔で早紀ちゃんを抱き止めてるけど、孝君が微妙な顔してるのを私は見逃さなかった。あれ、きっといつか孝君はやるつもりだと思う。指チュウは?って言ったら何でか香苗がモソモソと智美君に耳元で話してて、智美君がへぇって声をあげる。それ耳ツブって言うんじゃ?
「指チュウってどんなの?」
「じゃ、麻希子そのままね。」
はーいって言ったら何故か智美君が真顔で私の頬を両手で包む。え?なに?って思ったら一瞬で綺麗な顔が目の前に。伏せられた長い睫毛が眼鏡越しに凄く近い。近いどころじゃない!何?!って思ったと同時に顔が傾げて唇が触れる瞬間に、智美君の両手の親指が私の唇に蓋をして自分の指に口付けた。
「な!なに?!なんっ?!」
キャーッて言う女子の歓声が起きたけど、さ、触ってない!唇にさわったのは智美君の親指だけ!してない!キスしてないから!って何すんの?!智美君のバカッ!!
なのに、やった方の智美君は智美君で、真顔でふと考え込んだかと思うと。
「これ意味わかんないな?自分の指にキスして何がいいの?」
「それが乙女心じゃん、キュンッてした?麻希子?」
「し!しないよ!!ビックリしただけだよ!」
「えー!見てる方はキュンキュンしたよぉ!」
「しないよ!!」
何てことするんだって私が怒っても智美君は、これが指チュウだからって全く平然と平気な顔してるし。何でかキュンとしないのかなぁって香苗が早紀ちゃん相手に指チュウの実演してみせて、孝君がワタワタしている。いや、端で見てて指にしてるって分かってても、一瞬キスしてるようにも見えるから驚いてしまう。してるように見える?って言ったら香苗が上手いってなって何でか香苗が他にも何人かと実演してるんだけど!もー指チュウで遊ぶな!自分の指にキスしてるだけだから躊躇いがないのは分かるけど、誰彼構わずやんないの!!うちのクラスは指チュウ禁止にしないと!
もーなんか、ドッと疲れた。香苗は大爆笑で指チュウ面白いっていってるけど、そんなに言うならセンセに指チュウされればいいんだ。絶対魂抜けるから!今度一回やっといてって、センセにお願いしておこう!もう、雪ちゃんに指チュウバレたら私また抱き枕にされちゃうよ。
「壁トンぐらいでいいなぁ、私。」
「夏帆ちゃん、壁トンってなに?」
小林夏帆ちゃん曰く壁トンは壁ドンだと怖いから、軽くトンってしてってことらしい。あー、確かに顔の横にドンって手を突かれるのは怖いかも。あ、そう言えば雪ちゃんに肘ドンされてるなぁ……肘ドンというかドンってはされてないけど、確かにあれってドキドキするよね。
「えー、おでこコツンがいいなぁ。」
「顎クイもいいでしょ!」
智美君が結局されるなら何でもいいんじゃんって笑ってる。だよね、好きな人にされれば何でも嬉しいんじゃないかなぁ。それにしても智美君、これを聞いて誰にするつもりなんだろう。
「何かの時に役に立ちそうだろ?必殺技。」
「お願いだから、顔見て答えないで。何でそんなに筒抜けなの?!しかも、必殺技?!」
「麻希子ってば、最近百面相しすぎなんだよ!」
香苗の言葉にガーンッ!!衝撃!私ってそんなに百面相してるの?!ってショックをうけてるのに、なんと皆して何?気がついてないのって呆れたように見てる。え?私って百面相そんなにしてるの?
「え?ほんとに無意識なの?」
「無意識って意識的に百面相してたらおかしいだろ?須藤。」
「えええ?!そんなにしてるなら言ってよぉ!皆して!」
「だって、見てて微笑ましいから。ねぇ?」
「うん、相変わらず出てるなぁって見てるよ?」
いや、早紀ちゃん、久保ちゃん、微笑ましいって、相変わらずって、なんなのもう。今更ながら衝撃の真実に私はグッタリ机の上に倒れ込んでしまう。そんなに分かりやすく百面相してたなんて……。
「別に悪いことじゃないからいいじゃん、皆裏表がなくていいなぁって見てるんだし?ね?香坂。」
「素直でいいと思うけど?な?仁。」
褒めてない、それって全然褒めてないから。もう能面でも被って生活したらいいのかなぁ、ほんとに。
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