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1月
259.スキミア
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1月24日 火曜日
昨日の騒動の後、坂本先輩の噂は一気に広まってしまっていた。やっぱり高校生の間に妊娠して結婚っていうのは、幾ら寛大に見ようとしても先生達には無理があるみたい。しかも、坂本先輩は頑として相手が誰か口にせず、先生達でも何人かが坂本先輩の両親を呼び出して話を聞いたりしているみたいだ。清純なだけが正しいとは思わないけど、こうなってしまうと坂本先輩の件は確かに大事で。土志田センセの表情が硬くて、微妙に皆も近寄りにくくなってしまっている。そうか、担任じゃないけど、生徒指導だもんね。昨日も噂の報告の後に、生徒指導室に坂本先輩は行ったって言うし。と言うことはセンセも関わらないとならない事態なんだよね。恋愛って、本当に難しい。ただ好きなだけじゃ駄目なことって、結構たくさんあるんだなぁって思う。坂本先輩の彼氏さんは幾つ位なのか知らないけど、あんまり雪ちゃんと歳が変わらなそうな気がする。ってことは私も立場は同じようなものってことなんだよね。
「坂本先輩、大丈夫かなぁ。」
香苗がそう呟くのを聞いて私も心配になる。そっか、香苗にしてみたら、土志田センセと恋愛ってなると同じ立場か。それに実は坂本先輩の妊娠ってことも、心に響いてるみたいだ。そうだよねっても思うけど、何か言うこともできない。
このまま成り行きを見守るしかないのかな。
坂本先輩は今どうしてるんだろうって考えてしまう。源川先輩に聞いてみたらいいのかなぁ……でも、こういうのって余計なお世話なのかなぁ。年下の私達に出来ることって確かに無いんだもん、正直こういう時に何ができるのか私にも分からない。かといって坂本先輩の連絡先も知らないし、連絡できたからって何が出来るのかも分からない。もう毎日学校に来るか来ないか分からない3年生だし、この騒動で坂本先輩が学校に来るかって言われると微妙なところだ。
「麻希子、ちょっと行こ。」
香苗が思い立ったみたいに立ち上げって手招くから、私は素直に一緒に立ち上がって早紀ちゃんも一緒に歩き出す。
「香苗ちゃん、先生のところ?」
「うん。」
ちょっと真剣な顔をした香苗の言葉に、香苗が生徒指導室に行こうとしてるのがわかる。何か思うところがあるんだろうし、センセになにか聞きたいってこともあるんだろう。そう思ってついていくと、生徒指導室を無造作にノックして開ける。
「あー、モモちゃんと須藤ちゃんと志賀ちゃん、元気ー?」
「先輩ぃ?!」
予想外に先客でいたのは当の坂本先輩で、しかも全然落ち込んでる気配でもないし元気そう。噂になってるくらいだから、落ち込んでたりしてって思ってたんだけど。土志田センセはちょうどいなくて、渡りに船で3人で先輩と一緒に座って、心配してたって話すと坂本先輩は平然と予想してたからなんともないって。
「予想って…先輩どこまで予想範囲なんですか?」
「だって、篠ちゃんって引っ込み思案だから私が動かないと駄目なんだもの、夏休みだって仁聖まで手伝わせて旅行に行ったんだよ?」
「ええ?!」
「妊娠したのは予定外だけど、したくなる様に仕向けたのは自分だし、結婚したかったし、結果としてはちょっと早くなっただけ。」
そ、そういうものなの?って顔をした私の頭をナデナデしながら、坂本先輩は賑やかに笑ってる。先輩曰く妊娠は確かに予定外で避妊もしてたけど、出来ちゃったって言ったら相手の篠さんは凄く喜んでくれたし直ぐご両親に頭を下げてお嫁さんに下さいって言ってくれたんだって。坂本先輩の彼氏さんは元々坂本先輩の家庭教師さんでもあって、社会人になるまではお家に通っていた人だったからご両親もよく知ってたみたい。でも、お父さんは凄く怒って殴っちゃったのを、母と私で止めたのと先輩は賑やかだ。それに大学進学は一旦諦めるけど、坂本先輩は奥さんになったからって自分がやりたいことを諦める気はないって言う。
「奥さんもやりたいけど、お母さんもやりたいし、勉強だってまだやれると思うから、今のこの選択は別に後悔してないの。」
清々しい先輩の言葉に何でか香苗が号泣し始めて、先輩は驚いたみたい。
「先輩~!私全面的に先輩の応援します~!!」
「やだ!須藤ちゃんってば超いい子!!香苗ちゃんだっけ?かなちゃんって呼んでもいい?!」
呆気にとられてたけど私と早紀ちゃんも応援するって言ったら、先輩は満面の微笑みでありがとうって言う。実はもう少しで先輩は結納なんだって。結納さえ終わればこっちのもんなのよって少し悪どい顔で笑う先輩に、どういうことか聞くと結婚の約束はしてても婚約としては両家の同意かないと結納は出来ないんだって。つまり、結納が終われば表だって婚約者ですって宣言した事になるし、両家が納得して同意してるって事になるから学校にとやかく言われる筋合いもなくなるんだって。じゃなんで先に報告かって言うと、センター試験日に悪阻があって行けなかった先輩は願書や何やの問題で担任からせっつかれてイラッとなったみたい。
「イラッとするのが一番胎教に悪いと思うから、ストレス感じるくらいならもううけませーんって宣言した方がスッキリでしょ?」
………スッキリでしょって、まあそう言われればそういえなくもない?のかな?兎も角先輩は噂がたつのは全然想定の範囲で、しかも相手が源川先輩って噂になるのも想定内だったみたい。
「だって、今まで告白された時、面倒だから仁聖と付き合ってるのって言うと大概諦めるし。」
「ええ?!そんな答え方ありですか?!」
「ありでしょ?もう十何年も腐れ縁なんだから、少し助けてもらうくらい。何回助けてるか分かんないんだもん。」
案外、坂本先輩って性格ちゃっかりって言うか、サッパリッていうか………こういうのって竹を割ったようなって言うやつ?
「先輩、思考が漢っぽい?」
「よく言われるのよね、見た目とギャップあるって。」
昨日の騒動の後、坂本先輩の噂は一気に広まってしまっていた。やっぱり高校生の間に妊娠して結婚っていうのは、幾ら寛大に見ようとしても先生達には無理があるみたい。しかも、坂本先輩は頑として相手が誰か口にせず、先生達でも何人かが坂本先輩の両親を呼び出して話を聞いたりしているみたいだ。清純なだけが正しいとは思わないけど、こうなってしまうと坂本先輩の件は確かに大事で。土志田センセの表情が硬くて、微妙に皆も近寄りにくくなってしまっている。そうか、担任じゃないけど、生徒指導だもんね。昨日も噂の報告の後に、生徒指導室に坂本先輩は行ったって言うし。と言うことはセンセも関わらないとならない事態なんだよね。恋愛って、本当に難しい。ただ好きなだけじゃ駄目なことって、結構たくさんあるんだなぁって思う。坂本先輩の彼氏さんは幾つ位なのか知らないけど、あんまり雪ちゃんと歳が変わらなそうな気がする。ってことは私も立場は同じようなものってことなんだよね。
「坂本先輩、大丈夫かなぁ。」
香苗がそう呟くのを聞いて私も心配になる。そっか、香苗にしてみたら、土志田センセと恋愛ってなると同じ立場か。それに実は坂本先輩の妊娠ってことも、心に響いてるみたいだ。そうだよねっても思うけど、何か言うこともできない。
このまま成り行きを見守るしかないのかな。
坂本先輩は今どうしてるんだろうって考えてしまう。源川先輩に聞いてみたらいいのかなぁ……でも、こういうのって余計なお世話なのかなぁ。年下の私達に出来ることって確かに無いんだもん、正直こういう時に何ができるのか私にも分からない。かといって坂本先輩の連絡先も知らないし、連絡できたからって何が出来るのかも分からない。もう毎日学校に来るか来ないか分からない3年生だし、この騒動で坂本先輩が学校に来るかって言われると微妙なところだ。
「麻希子、ちょっと行こ。」
香苗が思い立ったみたいに立ち上げって手招くから、私は素直に一緒に立ち上がって早紀ちゃんも一緒に歩き出す。
「香苗ちゃん、先生のところ?」
「うん。」
ちょっと真剣な顔をした香苗の言葉に、香苗が生徒指導室に行こうとしてるのがわかる。何か思うところがあるんだろうし、センセになにか聞きたいってこともあるんだろう。そう思ってついていくと、生徒指導室を無造作にノックして開ける。
「あー、モモちゃんと須藤ちゃんと志賀ちゃん、元気ー?」
「先輩ぃ?!」
予想外に先客でいたのは当の坂本先輩で、しかも全然落ち込んでる気配でもないし元気そう。噂になってるくらいだから、落ち込んでたりしてって思ってたんだけど。土志田センセはちょうどいなくて、渡りに船で3人で先輩と一緒に座って、心配してたって話すと坂本先輩は平然と予想してたからなんともないって。
「予想って…先輩どこまで予想範囲なんですか?」
「だって、篠ちゃんって引っ込み思案だから私が動かないと駄目なんだもの、夏休みだって仁聖まで手伝わせて旅行に行ったんだよ?」
「ええ?!」
「妊娠したのは予定外だけど、したくなる様に仕向けたのは自分だし、結婚したかったし、結果としてはちょっと早くなっただけ。」
そ、そういうものなの?って顔をした私の頭をナデナデしながら、坂本先輩は賑やかに笑ってる。先輩曰く妊娠は確かに予定外で避妊もしてたけど、出来ちゃったって言ったら相手の篠さんは凄く喜んでくれたし直ぐご両親に頭を下げてお嫁さんに下さいって言ってくれたんだって。坂本先輩の彼氏さんは元々坂本先輩の家庭教師さんでもあって、社会人になるまではお家に通っていた人だったからご両親もよく知ってたみたい。でも、お父さんは凄く怒って殴っちゃったのを、母と私で止めたのと先輩は賑やかだ。それに大学進学は一旦諦めるけど、坂本先輩は奥さんになったからって自分がやりたいことを諦める気はないって言う。
「奥さんもやりたいけど、お母さんもやりたいし、勉強だってまだやれると思うから、今のこの選択は別に後悔してないの。」
清々しい先輩の言葉に何でか香苗が号泣し始めて、先輩は驚いたみたい。
「先輩~!私全面的に先輩の応援します~!!」
「やだ!須藤ちゃんってば超いい子!!香苗ちゃんだっけ?かなちゃんって呼んでもいい?!」
呆気にとられてたけど私と早紀ちゃんも応援するって言ったら、先輩は満面の微笑みでありがとうって言う。実はもう少しで先輩は結納なんだって。結納さえ終わればこっちのもんなのよって少し悪どい顔で笑う先輩に、どういうことか聞くと結婚の約束はしてても婚約としては両家の同意かないと結納は出来ないんだって。つまり、結納が終われば表だって婚約者ですって宣言した事になるし、両家が納得して同意してるって事になるから学校にとやかく言われる筋合いもなくなるんだって。じゃなんで先に報告かって言うと、センター試験日に悪阻があって行けなかった先輩は願書や何やの問題で担任からせっつかれてイラッとなったみたい。
「イラッとするのが一番胎教に悪いと思うから、ストレス感じるくらいならもううけませーんって宣言した方がスッキリでしょ?」
………スッキリでしょって、まあそう言われればそういえなくもない?のかな?兎も角先輩は噂がたつのは全然想定の範囲で、しかも相手が源川先輩って噂になるのも想定内だったみたい。
「だって、今まで告白された時、面倒だから仁聖と付き合ってるのって言うと大概諦めるし。」
「ええ?!そんな答え方ありですか?!」
「ありでしょ?もう十何年も腐れ縁なんだから、少し助けてもらうくらい。何回助けてるか分かんないんだもん。」
案外、坂本先輩って性格ちゃっかりって言うか、サッパリッていうか………こういうのって竹を割ったようなって言うやつ?
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