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12月
209.ドラセナ
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12月5日 日曜日
朝イチ番で雪ちゃんのお家に向かっている私のはるか視線の先に、見覚えのある後ろ姿が見えた。でも、今回は竜胆さんは私を待ってた訳じゃなく、木立で隠れてるけど誰かと話をしてる様子だ。タイミングはいいし正直急いでいるので、こっちを見ないのを良いことにして脱兎のごとく駆け抜ける。微かに険しい彼女の声が聞こえるけど、朝から竜胆さんと会話をするのは今の気持ちとしてはごめん被りたい。気がつかれず背後を通り抜けて走りながら、鳥飼さんだったらどうしようって一瞬頭を過る。
うーん、一先ず雪ちゃんのお家についてから考えよう。
もしかしたら全然知らない人と話しているかも知れないし、鳥飼さんなら私よりずっと彼女から上手に逃げられそうだ。お互いの幸福のためにも、思ったことが直ぐ口に出ちゃう私はあんまり彼女と話さない方がいい気もするし。と言うわけで申し訳ないけど振り返りもしないで、雪ちゃんのマンションまで。相変わらず雪ちゃんは爆睡中で、ご飯を作って衛に食べさせても反応がない。
「昨日も遅かったんだよ、雪。何かここんとこ信哉くんとよく電話してるみたい。」
「そっかぁ、忙しいんだ。」
とは言ったものの恐らく忙しいというよりは、竜胆さんがらみのような気がするのはここだけの話。早く彼女の知りたいことが分かって竜胆さんが引き上げてくれるといいんだけど、人探ししてるんじゃ中々進まないのかなぁ。警察とかに調べて貰えないのかなぁ何ても思うけど、そう出来ないから彼女はこうやって調べて歩いてるんだろう。
「でも、ご飯冷めちゃうから、起こしてくるね。衛は食べてて。」
「はぁーい。」
あ、そうそう、昨日話をしていて衛はもうまー君から卒業したいって。だから、私は衛って呼ぶことにした。ママはまー君って呼ぶのが好きだから、そのままだけどヤッパリ少しずつ大人になってるんだなぁって染々。兎も角私は爆睡中の雪ちゃんのお部屋に。
んー、よく寝てるなぁ、雪ちゃんって寝付きが悪い上に寝起きも悪いんだよね。
中々寝付けない雪ちゃんは、同時に低血圧気味で朝に昔から弱い。あんなに体が暖かいのに低血圧って凄く不思議だけど、本当のことだから仕方がないよね。寝顔を眺めながら、どうしたらスッキリ起きれるのかなぁって考える。結構寝坊助雪ちゃんに散々されているきがするし、ここは何か良い方法がないかなって考える。
「えーっと、智…雪、おはようございます!」
ああ、ちょっと良い慣れないなぁって思ったけど、予想以上に底面で雪ちゃんは瞬間的に目を丸く見開いて凍りついた。え?凍りつくって駄目な感じ?って思ったら雪ちゃんが、もう少し前に来てって手招きしてる。ベットに抱き上げられたり上に連れてかれないよう少し離れてたんだけど、あ、もしかして聞こえなかった?でも、結構パッチリ起きた感じだけど。床を擦りながら枕元に近寄ると、雪ちゃんの手が確かめるみたいに私の頭を撫でる。
「おはよ、雪ちゃん。」
撫でられながら言うと雪ちゃんの眉がしかめられて、それは違うと言う顔をするのが分かった。最近の雪ちゃんは表情で何をして欲しいのか、少しわかるようになった気がする。前見ていたノンビリポヤヤンな顔は、雪ちゃんの本音を隠す仮面だったんだなぁって今は分かるんだ。それにしてもまだ言い慣れないのに、こんなに言って言ってって顔をされると。
「えーと、おはよ、智雪。」
私の言葉にベットの中でヘニャッと雪ちゃんの顔が幸せそうに蕩けたのに、思わず見ている私まで微笑んでしまう。こんな風に幸せそうに笑う雪ちゃんを見れるなんて、思ってもみなくて何か凄く幸せ。
「麻希子。」
「なぁに?」
「おはようのキスは?」
えええ?!何イッチャッテマスカ!そういうのは結婚する人がやるものではないの?!赤くなった私を幸せそうに眺めながら、してくれたら起きるなんて訳のわからないことを言い始める雪ちゃん。これは恋人同士としては普通なの?!うう、でも正直雪ちゃんからされる事は沢山あったけど、自分からしたことないって気がついてるかな。うー、ちょっと緊張しながらそっと顔を近づけ、熱い体温の唇に自分の唇を軽く触れる。軽いチュッって言うキスだけど、雪ちゃんはとんでもなく幸せそうに微笑んで起き上がったかと思うと私の手をとった。あっという間にギュウッて抱き寄せられた腕の中は、凄く温かくて気持ちいいけど。
「雪ちゃん、ご飯冷めちゃっ。」
言葉の途中で雪ちゃんの唇に口を塞がれてしまう。ス、スキンシップ過多です!雪ちゃんてば!!衛があっちの部屋でご飯食べてるんだよ!しかも、もがいても全然雪ちゃんの体ってびくともしないし、キスが長くて頭がボォッとしてきちゃうし。こんな風にされてたら、頭が回んなくなってきちゃう。
「ふふ、可愛い。」
雪ちゃんの低く響く声が耳元で囁く。ふぇーん!雪ちゃんが何か違うスイッチが入ってるよお!抱き上げられてこんなことされてるとこに
「まーちゃん?雪起きないのー?」
ほらぁ!!雪ちゃんのバカーっ!衛がご飯が終わって心配して来ちゃったじゃないのーっ!
朝イチ番で雪ちゃんのお家に向かっている私のはるか視線の先に、見覚えのある後ろ姿が見えた。でも、今回は竜胆さんは私を待ってた訳じゃなく、木立で隠れてるけど誰かと話をしてる様子だ。タイミングはいいし正直急いでいるので、こっちを見ないのを良いことにして脱兎のごとく駆け抜ける。微かに険しい彼女の声が聞こえるけど、朝から竜胆さんと会話をするのは今の気持ちとしてはごめん被りたい。気がつかれず背後を通り抜けて走りながら、鳥飼さんだったらどうしようって一瞬頭を過る。
うーん、一先ず雪ちゃんのお家についてから考えよう。
もしかしたら全然知らない人と話しているかも知れないし、鳥飼さんなら私よりずっと彼女から上手に逃げられそうだ。お互いの幸福のためにも、思ったことが直ぐ口に出ちゃう私はあんまり彼女と話さない方がいい気もするし。と言うわけで申し訳ないけど振り返りもしないで、雪ちゃんのマンションまで。相変わらず雪ちゃんは爆睡中で、ご飯を作って衛に食べさせても反応がない。
「昨日も遅かったんだよ、雪。何かここんとこ信哉くんとよく電話してるみたい。」
「そっかぁ、忙しいんだ。」
とは言ったものの恐らく忙しいというよりは、竜胆さんがらみのような気がするのはここだけの話。早く彼女の知りたいことが分かって竜胆さんが引き上げてくれるといいんだけど、人探ししてるんじゃ中々進まないのかなぁ。警察とかに調べて貰えないのかなぁ何ても思うけど、そう出来ないから彼女はこうやって調べて歩いてるんだろう。
「でも、ご飯冷めちゃうから、起こしてくるね。衛は食べてて。」
「はぁーい。」
あ、そうそう、昨日話をしていて衛はもうまー君から卒業したいって。だから、私は衛って呼ぶことにした。ママはまー君って呼ぶのが好きだから、そのままだけどヤッパリ少しずつ大人になってるんだなぁって染々。兎も角私は爆睡中の雪ちゃんのお部屋に。
んー、よく寝てるなぁ、雪ちゃんって寝付きが悪い上に寝起きも悪いんだよね。
中々寝付けない雪ちゃんは、同時に低血圧気味で朝に昔から弱い。あんなに体が暖かいのに低血圧って凄く不思議だけど、本当のことだから仕方がないよね。寝顔を眺めながら、どうしたらスッキリ起きれるのかなぁって考える。結構寝坊助雪ちゃんに散々されているきがするし、ここは何か良い方法がないかなって考える。
「えーっと、智…雪、おはようございます!」
ああ、ちょっと良い慣れないなぁって思ったけど、予想以上に底面で雪ちゃんは瞬間的に目を丸く見開いて凍りついた。え?凍りつくって駄目な感じ?って思ったら雪ちゃんが、もう少し前に来てって手招きしてる。ベットに抱き上げられたり上に連れてかれないよう少し離れてたんだけど、あ、もしかして聞こえなかった?でも、結構パッチリ起きた感じだけど。床を擦りながら枕元に近寄ると、雪ちゃんの手が確かめるみたいに私の頭を撫でる。
「おはよ、雪ちゃん。」
撫でられながら言うと雪ちゃんの眉がしかめられて、それは違うと言う顔をするのが分かった。最近の雪ちゃんは表情で何をして欲しいのか、少しわかるようになった気がする。前見ていたノンビリポヤヤンな顔は、雪ちゃんの本音を隠す仮面だったんだなぁって今は分かるんだ。それにしてもまだ言い慣れないのに、こんなに言って言ってって顔をされると。
「えーと、おはよ、智雪。」
私の言葉にベットの中でヘニャッと雪ちゃんの顔が幸せそうに蕩けたのに、思わず見ている私まで微笑んでしまう。こんな風に幸せそうに笑う雪ちゃんを見れるなんて、思ってもみなくて何か凄く幸せ。
「麻希子。」
「なぁに?」
「おはようのキスは?」
えええ?!何イッチャッテマスカ!そういうのは結婚する人がやるものではないの?!赤くなった私を幸せそうに眺めながら、してくれたら起きるなんて訳のわからないことを言い始める雪ちゃん。これは恋人同士としては普通なの?!うう、でも正直雪ちゃんからされる事は沢山あったけど、自分からしたことないって気がついてるかな。うー、ちょっと緊張しながらそっと顔を近づけ、熱い体温の唇に自分の唇を軽く触れる。軽いチュッって言うキスだけど、雪ちゃんはとんでもなく幸せそうに微笑んで起き上がったかと思うと私の手をとった。あっという間にギュウッて抱き寄せられた腕の中は、凄く温かくて気持ちいいけど。
「雪ちゃん、ご飯冷めちゃっ。」
言葉の途中で雪ちゃんの唇に口を塞がれてしまう。ス、スキンシップ過多です!雪ちゃんてば!!衛があっちの部屋でご飯食べてるんだよ!しかも、もがいても全然雪ちゃんの体ってびくともしないし、キスが長くて頭がボォッとしてきちゃうし。こんな風にされてたら、頭が回んなくなってきちゃう。
「ふふ、可愛い。」
雪ちゃんの低く響く声が耳元で囁く。ふぇーん!雪ちゃんが何か違うスイッチが入ってるよお!抱き上げられてこんなことされてるとこに
「まーちゃん?雪起きないのー?」
ほらぁ!!雪ちゃんのバカーっ!衛がご飯が終わって心配して来ちゃったじゃないのーっ!
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