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10月
168.モミジ
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文化祭まで後6日。どこのクラスも急ピッチで準備をしている最中、遠慮を知らない女子っていうのはいるもので最近落ち着いていた告白が再燃した。誰しも彼氏と文化祭が夢で大切な思い出づくりは、分からないでもないんだけど。でも、最近の孝君と早紀ちゃんの美しい変化に気がつかなかったのは、正直いたい。いたくて流石にクラスメイトが、可哀想にっていう目で見ている。孝君は最近落ち着いていたのに、再び呼び出されて完全に不機嫌顔に変わった。
そう言えば、孝君の感情表現も凄く豊かになったよね。
そんなことを考えながら見守っているけど、正直同じ学年には情報が流れて皆気がついている。今回の子は1年生だから知らなかったんだろうな。丁寧にお断りされた1年生が泣き出したのを、孝君が戸惑いながら見下ろしている。泣き出されると確かに対応に困るだろうなぁ。それにしても他の学年にもこんな風に告白されまくっている人なんているのかなぁ何て考えてしまう。
「あー、3年の源川先輩とかそうじゃない?」
「バスケ部の?そう言われればそっか。」
香苗のいう源川先輩は3年1組の先輩だ。私達にはあんまり関わりのない源川先輩はバスケ部の人で、ハーフだとかいう話で女の子に凄く優しい。優しいけどちょっと遊び人みたいな噂の多い先輩だ。以前はよく何人もの女の子を何時も連れ歩いていたけど、そういえば最近はその姿を校内で見なくなった。香苗は噂では先輩が年上の彼女と長続きしてるから、孝君とか他の子に告白が回ってきてるんじゃって話してる。そう言われれば尚更孝君も災難だ。3年生の目ぼしいイケメンが彼女が出来たから、次は2年生狙いだなんて。
「でもさあ、源川先輩だけじゃないじゃん?宮内先輩とか。」
「宮内先輩って、真見塚と系統似てない?恋愛音痴っぽそう。」
あ、よく知りもしないでひどい。そんなことを思ってたら早紀ちゃんも同じことを思ったみたいで、ひどいって香苗に言っている。宮内先輩は学校の合気道部の部長さんで、お家でも合気道を教えているようで早紀ちゃんは孝君の大会で何度か会ったことがあるみたいだ。
「そう言えば孝君て何で合気道部じゃないの?」
「孝君の家とは流派が違うからやらないんですって。」
へぇお茶とかお花と同じで流派が違うと、合気道もやり方も違うんだと納得する。そう言われればお茶の先生をしているお母さんがいる早紀ちゃんも、学校では茶道部じゃない手芸部だ。今年の早紀ちゃんの文化祭の出品は、おっきなパッチワークキルトらしい。ちなみに孝君は生徒会の仕事が忙しいから、部活の地質研究部はほぼ幽霊らしいけど、孝君が地質研究って全く似合わないと思う。そう私が言ったら早紀ちゃんが笑いだしてしまった。だって、地質研究って何をするのかちっとも想像できないんだもん。
今年の文化祭では源川先輩達のクラスでは女装男装喫茶をやるらしくて、良かったやっぱり喫茶店にしなくてと正直なところ思っている。だって、先輩達のクラス一番下の階で、校内に入ったら目立つもん。2年生の3組も喫茶店なんだけど、既に3組の一部は諦めモードになり始めているらしい。何せ3年生で2店舗、1年生で2店舗喫茶系らしいから、3階までに調理部の喫茶や家庭部の軽食ワゴンと茶道部のお茶会も含めたら7ヶ所と張り合わないといけない。正直なところ1年生は兎も角3年生の2クラスと部活の喫茶と軽食ワゴンは強敵だ。茶道部もお茶会だけでは充分にアピールできないからって、お抹茶を使った洋菓子販売もするみたい。何でそれを知ってるかというとうちのクラスの茶道部の子達が、簡単に出きる日持ちするお抹茶を使ったお菓子のレシピを聞いてきたから。ビスコッティとバタークッキーとマフィン、その場で販売ならアイス抹茶なんてレシピを提供しておいた私に3組の子達が悲鳴をあげていた。しかも、ここにきて3年の何処かのクラスでは縁日をするという噂があるから、そこでも何かフランクとか売る可能性が出てきたみたい。つまりは8ヶ所と競り合って売り上げを計上しなきゃいけないわけ。ああ、3組の子達の悲鳴が聞こえそう。
良かった、食べ物関係諦めといて。
素直にそう考える自分に、来年3年生で一階なら全力投球で喫茶でもいいなぁなんて都合のいいことを考えてしまう。喫茶でも料理を少し出せたら違うんだろうけど、ガスの問題はあるからそこを上手くクリアしないと学年での喫茶は中々難しい。ホットプレートで作れるメニューなら対応しやすいから、焼きそばとかお好み焼きとかは作り方次第かも。何て来年のことを先に考えている辺り、ちょっと現金な話だよね。一先ず何よりも今年の文化祭なんだけど、こうして現実逃避しているのはいよいよ本番前に予行練習でお化け屋敷にチャレンジする日が近づいているからでもある。もう少しで準備万端となりそうなうちのクラスの大道具や小道具を眺めながら、智美君が続けて休んでいるのに私は少し戸惑う。先週からずっとお休みの智美君にLINEはしたんだけど、心配しなくていいよとだけしか帰ってこない。早紀ちゃんも同じ返答たったみたいで、正直なところ心配してるんだ。
そう言えば、孝君の感情表現も凄く豊かになったよね。
そんなことを考えながら見守っているけど、正直同じ学年には情報が流れて皆気がついている。今回の子は1年生だから知らなかったんだろうな。丁寧にお断りされた1年生が泣き出したのを、孝君が戸惑いながら見下ろしている。泣き出されると確かに対応に困るだろうなぁ。それにしても他の学年にもこんな風に告白されまくっている人なんているのかなぁ何て考えてしまう。
「あー、3年の源川先輩とかそうじゃない?」
「バスケ部の?そう言われればそっか。」
香苗のいう源川先輩は3年1組の先輩だ。私達にはあんまり関わりのない源川先輩はバスケ部の人で、ハーフだとかいう話で女の子に凄く優しい。優しいけどちょっと遊び人みたいな噂の多い先輩だ。以前はよく何人もの女の子を何時も連れ歩いていたけど、そういえば最近はその姿を校内で見なくなった。香苗は噂では先輩が年上の彼女と長続きしてるから、孝君とか他の子に告白が回ってきてるんじゃって話してる。そう言われれば尚更孝君も災難だ。3年生の目ぼしいイケメンが彼女が出来たから、次は2年生狙いだなんて。
「でもさあ、源川先輩だけじゃないじゃん?宮内先輩とか。」
「宮内先輩って、真見塚と系統似てない?恋愛音痴っぽそう。」
あ、よく知りもしないでひどい。そんなことを思ってたら早紀ちゃんも同じことを思ったみたいで、ひどいって香苗に言っている。宮内先輩は学校の合気道部の部長さんで、お家でも合気道を教えているようで早紀ちゃんは孝君の大会で何度か会ったことがあるみたいだ。
「そう言えば孝君て何で合気道部じゃないの?」
「孝君の家とは流派が違うからやらないんですって。」
へぇお茶とかお花と同じで流派が違うと、合気道もやり方も違うんだと納得する。そう言われればお茶の先生をしているお母さんがいる早紀ちゃんも、学校では茶道部じゃない手芸部だ。今年の早紀ちゃんの文化祭の出品は、おっきなパッチワークキルトらしい。ちなみに孝君は生徒会の仕事が忙しいから、部活の地質研究部はほぼ幽霊らしいけど、孝君が地質研究って全く似合わないと思う。そう私が言ったら早紀ちゃんが笑いだしてしまった。だって、地質研究って何をするのかちっとも想像できないんだもん。
今年の文化祭では源川先輩達のクラスでは女装男装喫茶をやるらしくて、良かったやっぱり喫茶店にしなくてと正直なところ思っている。だって、先輩達のクラス一番下の階で、校内に入ったら目立つもん。2年生の3組も喫茶店なんだけど、既に3組の一部は諦めモードになり始めているらしい。何せ3年生で2店舗、1年生で2店舗喫茶系らしいから、3階までに調理部の喫茶や家庭部の軽食ワゴンと茶道部のお茶会も含めたら7ヶ所と張り合わないといけない。正直なところ1年生は兎も角3年生の2クラスと部活の喫茶と軽食ワゴンは強敵だ。茶道部もお茶会だけでは充分にアピールできないからって、お抹茶を使った洋菓子販売もするみたい。何でそれを知ってるかというとうちのクラスの茶道部の子達が、簡単に出きる日持ちするお抹茶を使ったお菓子のレシピを聞いてきたから。ビスコッティとバタークッキーとマフィン、その場で販売ならアイス抹茶なんてレシピを提供しておいた私に3組の子達が悲鳴をあげていた。しかも、ここにきて3年の何処かのクラスでは縁日をするという噂があるから、そこでも何かフランクとか売る可能性が出てきたみたい。つまりは8ヶ所と競り合って売り上げを計上しなきゃいけないわけ。ああ、3組の子達の悲鳴が聞こえそう。
良かった、食べ物関係諦めといて。
素直にそう考える自分に、来年3年生で一階なら全力投球で喫茶でもいいなぁなんて都合のいいことを考えてしまう。喫茶でも料理を少し出せたら違うんだろうけど、ガスの問題はあるからそこを上手くクリアしないと学年での喫茶は中々難しい。ホットプレートで作れるメニューなら対応しやすいから、焼きそばとかお好み焼きとかは作り方次第かも。何て来年のことを先に考えている辺り、ちょっと現金な話だよね。一先ず何よりも今年の文化祭なんだけど、こうして現実逃避しているのはいよいよ本番前に予行練習でお化け屋敷にチャレンジする日が近づいているからでもある。もう少しで準備万端となりそうなうちのクラスの大道具や小道具を眺めながら、智美君が続けて休んでいるのに私は少し戸惑う。先週からずっとお休みの智美君にLINEはしたんだけど、心配しなくていいよとだけしか帰ってこない。早紀ちゃんも同じ返答たったみたいで、正直なところ心配してるんだ。
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