175 / 591
9月
143.ゼフィランサス
しおりを挟む
何だか文化祭に向けて皆がソワソワしているここのところの、学校生活。やっぱり何気なく告白ブーム到来で、至るところで期待に満ちた声が飛び交っている。幾つも便りがある訳ではないけど、クラスの中でも誰が呼び出されたとか告白されたって噂が聞こえる。最近智美君も何回か呼び出されているんだけど遂に別な学年の人にも呼び出されたみたい。名前も知らないどころか見たこともない先輩だったらしくて丁寧にお断りしたらしい。
「先輩って何処で智美君見てるんだろうね?」
私が素直に疑問に感じてそう言うと、智美君も分からないって言っている。部活も委員会もないし学校だって休みがちな智美君を、先輩は何処で見てるんだろうって考えてたら早紀ちゃんが当然みたいに保健室か屋上に行くとこじゃないかって。あー、なるほど、保健室かぁ、時々保健委員とかいるもんね。そういうとこでも出会いってあるんだ。そんな話をしながらいい天気の下でお弁当を広げていたら、スッカリうんざりした顔の孝君が階段を上がってくる。
「どうかしたの?孝君。」
「どうもこうもない、四六時中誰かに追いかけ回されてる気分だよ。」
うんざりした顔の孝君が当然みたいに早紀ちゃんの横に座ったのを、香苗と私は意味ありげな視線で眺める。お昼休みに孝君に呼び出しをかける女の子が、どう見ても増えてて孝君が追いかけ回されてるんだ。時にはお弁当を持ってくる女の子とかもいて断りにくい感じに、孝君は戸惑っているみたい。お弁当は確かに女子力アピールだもんなぁって、染々しながら早紀ちゃんがイソイソとお弁当を広げているのを眺める。最近は孝君の分まで入ってるのか、早紀ちゃんのお弁当はピクニックみたいになっているんだ。早紀ちゃんが朝何時に起きてお弁当を作ってるんだろうと気になっているけど、聞くと大したことないのって笑うから敢えて追及しないことにしてる。ここまでしてるのに、孝君と早紀ちゃんはお付き合いしてない事になってるところが凄い。
普通、ここまでしてくれたら彼女だよ?
そう目で訴えても孝君は、気がついてない。鈍いなーって香苗と2人で見てるけど、孝君はなんかした?って顔で私達を見てる。
「そんなに嫌なら、彼女つくれば?早紀とかいいじゃん。」
サクッと智美君が言いながらサンドイッチに手を伸ばすのに、香苗も私もウンウンと力一杯頷く。その言葉に慌てたのは早紀ちゃんの方で、真っ赤になってワタワタしてる。ところが当の孝君の方は何言ってるんだと言いたげに、智美君を眺めて呆れたように口を開く。
「智美の方こそ、呼び出されたのすっぽかすのは失礼だろ?」
ええ?!そんなことしてんの?と女子3人から冷たい視線で見られた智美君は、言い訳がましくお昼タイムが短くなるじゃないかと頬を膨らませる。いや、気持ちはわかるけど、すっぽかすのはダメでしょ!3人から口々に責められて、不貞腐れてるけどそういう問題じゃない。智美君が分かったよちゃんとしますって約束するまで、早紀ちゃんがお弁当を取り上げている。
「それにしてもさ、そんなに話したことないのに好きって言われても返事に困るんだよね。」
「確かに。」
孝君と智美君が2人ともそう言うのに、確かに恋は難しいって私も思う。汚れなき愛とかっていうほどではない気もするけど、好きって気持ちは表現も難しい。私まで加わってそんなこと話してると、早紀ちゃんと香苗が呆れたように眺める。
「恋心なんて説明つくもんじゃないじゃん。」
「そうよね、説明できないけど恋してるのは事実よ。」
2人がねぇって言ってるのをそうなんだぁって納得してる私に、男の子2人は納得出来なかったみたい。確かに言葉で表現するのって気持ちの問題だから、感じ方も違うんだし理解出来ない事もあるんだよね。男女でもこんなに違うんだもんなーって、思わず考えてしまう。でも、少なくとも気持ちを伝えられる距離にいたら、伝えられたらいいよって私が力一杯言ったら何故か智美君が笑いだした。何で笑うのって頬を膨らませたら、麻希らしいだって。今ので何でそうなるの?しかも、何で笑うの?不貞腐れた顔の私を香苗が宥めにかかる。
「麻希子の方が恋愛に関しては大人なんだから、我慢。」
「うー、それって何か腑に落ちない。」
「麻希の方が大人ってとこが腑に落ちないなぁ。」
もう、勝手なこと言うって怒って見たものの、大人ってどうなったら恋愛で大人ってことなのかなぁ。思わず思ったことがそのまま口から飛び出したら、香苗に残念な視線で眺められてしまった。
「前言撤回、麻希子はまだお子ちゃまです。」
「えー、何で?!」
「そうねえ、麻希ちゃんらしいんだけどね。」
あーまた、らしいで全部纏められてしまったような気がする。最近麻希子らしいは誉め言葉になってない!もー、折角食後のお菓子作ってきたけど持って帰るって不貞腐れた私に、智美君が1番慌てて食い下がったのはここだけの話だ。
「先輩って何処で智美君見てるんだろうね?」
私が素直に疑問に感じてそう言うと、智美君も分からないって言っている。部活も委員会もないし学校だって休みがちな智美君を、先輩は何処で見てるんだろうって考えてたら早紀ちゃんが当然みたいに保健室か屋上に行くとこじゃないかって。あー、なるほど、保健室かぁ、時々保健委員とかいるもんね。そういうとこでも出会いってあるんだ。そんな話をしながらいい天気の下でお弁当を広げていたら、スッカリうんざりした顔の孝君が階段を上がってくる。
「どうかしたの?孝君。」
「どうもこうもない、四六時中誰かに追いかけ回されてる気分だよ。」
うんざりした顔の孝君が当然みたいに早紀ちゃんの横に座ったのを、香苗と私は意味ありげな視線で眺める。お昼休みに孝君に呼び出しをかける女の子が、どう見ても増えてて孝君が追いかけ回されてるんだ。時にはお弁当を持ってくる女の子とかもいて断りにくい感じに、孝君は戸惑っているみたい。お弁当は確かに女子力アピールだもんなぁって、染々しながら早紀ちゃんがイソイソとお弁当を広げているのを眺める。最近は孝君の分まで入ってるのか、早紀ちゃんのお弁当はピクニックみたいになっているんだ。早紀ちゃんが朝何時に起きてお弁当を作ってるんだろうと気になっているけど、聞くと大したことないのって笑うから敢えて追及しないことにしてる。ここまでしてるのに、孝君と早紀ちゃんはお付き合いしてない事になってるところが凄い。
普通、ここまでしてくれたら彼女だよ?
そう目で訴えても孝君は、気がついてない。鈍いなーって香苗と2人で見てるけど、孝君はなんかした?って顔で私達を見てる。
「そんなに嫌なら、彼女つくれば?早紀とかいいじゃん。」
サクッと智美君が言いながらサンドイッチに手を伸ばすのに、香苗も私もウンウンと力一杯頷く。その言葉に慌てたのは早紀ちゃんの方で、真っ赤になってワタワタしてる。ところが当の孝君の方は何言ってるんだと言いたげに、智美君を眺めて呆れたように口を開く。
「智美の方こそ、呼び出されたのすっぽかすのは失礼だろ?」
ええ?!そんなことしてんの?と女子3人から冷たい視線で見られた智美君は、言い訳がましくお昼タイムが短くなるじゃないかと頬を膨らませる。いや、気持ちはわかるけど、すっぽかすのはダメでしょ!3人から口々に責められて、不貞腐れてるけどそういう問題じゃない。智美君が分かったよちゃんとしますって約束するまで、早紀ちゃんがお弁当を取り上げている。
「それにしてもさ、そんなに話したことないのに好きって言われても返事に困るんだよね。」
「確かに。」
孝君と智美君が2人ともそう言うのに、確かに恋は難しいって私も思う。汚れなき愛とかっていうほどではない気もするけど、好きって気持ちは表現も難しい。私まで加わってそんなこと話してると、早紀ちゃんと香苗が呆れたように眺める。
「恋心なんて説明つくもんじゃないじゃん。」
「そうよね、説明できないけど恋してるのは事実よ。」
2人がねぇって言ってるのをそうなんだぁって納得してる私に、男の子2人は納得出来なかったみたい。確かに言葉で表現するのって気持ちの問題だから、感じ方も違うんだし理解出来ない事もあるんだよね。男女でもこんなに違うんだもんなーって、思わず考えてしまう。でも、少なくとも気持ちを伝えられる距離にいたら、伝えられたらいいよって私が力一杯言ったら何故か智美君が笑いだした。何で笑うのって頬を膨らませたら、麻希らしいだって。今ので何でそうなるの?しかも、何で笑うの?不貞腐れた顔の私を香苗が宥めにかかる。
「麻希子の方が恋愛に関しては大人なんだから、我慢。」
「うー、それって何か腑に落ちない。」
「麻希の方が大人ってとこが腑に落ちないなぁ。」
もう、勝手なこと言うって怒って見たものの、大人ってどうなったら恋愛で大人ってことなのかなぁ。思わず思ったことがそのまま口から飛び出したら、香苗に残念な視線で眺められてしまった。
「前言撤回、麻希子はまだお子ちゃまです。」
「えー、何で?!」
「そうねえ、麻希ちゃんらしいんだけどね。」
あーまた、らしいで全部纏められてしまったような気がする。最近麻希子らしいは誉め言葉になってない!もー、折角食後のお菓子作ってきたけど持って帰るって不貞腐れた私に、智美君が1番慌てて食い下がったのはここだけの話だ。
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
見知らぬ男に監禁されています
月鳴
恋愛
悪夢はある日突然訪れた。どこにでもいるような普通の女子大生だった私は、見知らぬ男に攫われ、その日から人生が一転する。
――どうしてこんなことになったのだろう。その問いに答えるものは誰もいない。
メリバ風味のバッドエンドです。
2023.3.31 ifストーリー追加
【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません
たろ
恋愛
処刑されたエリーゼ。
何もしていないのに冤罪で……
死んだと思ったら6歳に戻った。
さっき処刑されたばかりなので、悔しさも怖さも痛さも残ったまま巻き戻った。
絶対に許さない!
今更わたしに優しくしても遅い!
恨みしかない、父親と殿下!
絶対に復讐してやる!
★設定はかなりゆるめです
★あまりシリアスではありません
★よくある話を書いてみたかったんです!!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる