鵺の哭く刻

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八月になって暫くしてアキコの父親が両家で話し合いをしたいと連絡してきたと、実父から突然に電話が来たのにシュンイチは言葉を失っていた。なんで当人同士が話し合うこともしないで、勝手に周囲が話を進めるのかと父親に食って掛かったシュンイチに父親は戸惑いながら問い返す。

『…………話し合うって、お前は電話なりなんなりしたのか?シュンイチ。』
「はぁ?なんで?」
『なんでって当然のことだろう?』

それでもなんで自分がとシュンイチが答えたら、父親は深い溜め息をついた。向こうは既に決断しているのだから、話し合いをしたいと持ちかけるのはシュンイチの方ではないのかという始末なのだ。なんでワザワザ自分がへりくだって、あの屑どもに話し合ってくださいなんて言わなきゃならないんだ。そう迷わず口にすると父親は諭すように、口を開く。

『お前がそんな風に耳を貸さないしマトモに話し合うことこともしないから、向こうの決心が変わらないんだ。』

何故ここに来てまで自分の肩を持たない奴らばかりが増えていくのかと、シュンイチはあからさまな舌打ちをしていた。それは電話越しの父親にもきこえたのだろうが、父親がどう感じるかなんてシュンイチにはどうでもいいことだった。

「何言ってるんだ、あれはアキの父親の作り話だろ!」
『なんで作り話だと確信できる?彼女に直接聞いたのか?』

確かに直接は聞いていない。ただ確信しているからと答えたら、その自信は何を根拠にしてるんだ?と完全に戸惑いに満ちた声で父親に問いかけられていた。それはアキコは俺を愛してるからだとシュンイチが答えると、父親は何故か意味ありげに疲れたように再び尾を引くような深い溜め息をつく。

『そういうところは本当に母さんにそっくりだな、お前は。』

何故急にここで母なのかと食って掛かりたくなったが、それを口にする前に父親が残念だとでも言いたげに言葉を続けた。

『妄信的に信じるのはいいが、人は何かのきっかけで別人のように考えがかわるぞ?シュンイチ。』

それはあんたの事かと思わず怒鳴り付け問い返したくなった。それとも自分が蔑ろにしてきた妻の事なのかと問いかけ、そのせいで散々な目に遭ってきた人間がいるのを知っているかと電話口で怒鳴りつけ問い詰めたくなる。

『…………なぁ、シュンイチ、本当に彼女は今もお前を愛してくれているのか?お前は愛して貰えるようにしてきたか?』

その言葉にシュンイチは答える前に電話を叩きつけていた。お前に言われたくなんかないと叩きつけた後にしか叫べないのは情けないが、正直それがシュンイチの本音なのだ。自分だってしてこなかった癖に、今更父親ぶってそんなことを口にして来た男に、奥歯を噛み締めながら怒りに任せて本棚の本をぶちまけて息を荒げる。

何で今更父親ぶってそんなことを言うんだ、愛して貰えるように?そんなこと必要ない、あれは俺の所有物だ、俺だけの

目の前に本棚においてあった過去に作った契約書が落ちているのに、ゼェゼェと肩で息をしながらそれを拾い上げる。甲と乙、シュンイチとアキコ、主人と奴隷のための契約、これにサインをさせなくちゃ、あの女は調子にのってシュンイチに逆らい続けるに違いない。それを考えると頭の中が、怒りで煮えくり返るのを感じる。

飼い主に逆らうなんて悪い子だ、折檻されても仕方がない

その通りだ、あの土蔵の中でアキコは折檻されるべきなのだ。あの湿った土の臭いのする倉の中で、白無垢の上から淫らに縄をかけられるべき女。その縄の走る位置すら覚えられるほど鮮明に頭に浮かぶのは、土蔵の白無垢の花嫁が泣きながら主に奴隷になると約束したのをシュンイチは何故か知っているからだった。着物の襟を開き乳房の上下を挟むように渡された縄で、白い乳房が山のように突き出される様相。胸の合間を走り股間に食い込む縄には瘤が作られ、三つの瘤が陰核と膣口と菊門に嵌まり擦りあげる。腕は後ろ手に手首を合わせて縛られ、足は大股に開かれ閉じられないよう竹で膝を固定した形で全身ガ浮くように床に顔を向けて吊るされるアキコ。

ひぃい!んひぃ!!ううぅ!うぅん!

こんな淫らな声で泣くのは、乳首と陰核に開けられたピアスの輪に重りを着けてやったからだ。千切れんばかりの重りの痛みに、瘤が嵌まっている膣がヒクヒクしているのが見える。

いいぃいいい!!ひぃいいあ!

それがアキコには当然の儀式なのを知っているのは、あの土蔵の白無垢の花嫁が犯され狂いながら孕み、その全てを捧げると泣きながら四つ足の人面をした獣に誓ったからなのだ。

ご主人様!!あなた様が、ご主人様です!誓います!なんでも従いますううぅ!!

あれ遥か昔のどこかであった本当のことで、土蔵の奥底で泣きわめきながら吊るされ犯され続けた白無垢は獣の主の種を腹に宿す。獣は土蔵の暴君で誰も逆らうことは出来ないし、土蔵に娘を閉じ込めた奴らにしてみれば四つ足は獣でもあるが神でもある。凡人達が崇高な神に逆らうなんてあり得ないし、生け贄が神の子種を孕むなら喜んで育てるのだ。ああ、そうだ、自分はアキコを一度孕ませたのに、まだ早いとその種を潰してしまったのを不意に思い出す。それがよくなかったのだと不意に膨れ上がった思考に苛立ち、床に散らばった本を怒りに任せてもう一度蹴りつける。

あぁぁ!!もっとぉ!!!はらむぅ!!孕みますぅー!!!

甲高く泣き叫ぶ白無垢の声に更に苛立つのは孕ませたのに、自分はそれを潰してしまったのが間違いだと知ったからだ。突然沸き上がった強すぎる苛立ちに、思わず堪えきれなくて家を飛び出したはいいが強く照りつける夏の陽射しにウンザリしてしまう。眩い光に目が眩み世界はチカチカと白く瞬いていて嫌になるのに、世の中では何も考えないで遊び呆ける小さな子供で溢れているのだ。自宅からどれくらいか離れた公園の間近で、立ち止まったシュンイチの耳に甲高い女の声が響く。

「ゆーきーちゃぁん!!!」
「まーちゃん、今日は学校だからお家にいて!?」
「えー!もう夏休みだよー!うそぉ!!まーもいっしょいーくーぅ!まってぇ!」

高校生のガキに駆け寄り、足にじゃれつく小学生らしい女。そうだ、あんな小さくたって股には立派なチンポのための雌穴を持った雌だ。暗く淀んだ頭の中に歪んだ感情が膨れ上がって、その女を舐め回すように眺める自分の視線に気が付いたのか、高校生のガキが険しい顔でその女を抱き上げ自分から遠ざける。その仕草に腹が立つが、あれはアキコではないからと我慢してやったのは、その女が茶色の髪をした女だからだ。

「ゆきちゃん?」
「もぉ、まーちゃんてば困ったなぁ。」

そう言いながらも完全に自分から女を遠ざけた、糞ガキには本当にムカつくと心の中で呟く。女を視界から奪われたから妄想もできなくて腹が立つが、自分の好みは艶かな黒髪の女なのはもう分かりきったことだ。出来ればチビでも日本人形みたいな女が神である自分への供物には相応しいと、頭の中で呟いた瞬間何故自分が神だなんてと疑問に感じてしまう。

何馬鹿な…………

土蔵の中に閉じ込められているのは、四つ足の化け物で自分ではない。神なのは土蔵に閉じ込められた四つ足の人面の獣であって、自分はただの人間で土蔵に閉じ込められてもいないのに。そうマトモな思考が訂正しようとした瞬間、ふと眩い白の世界の中に土蔵の中で犯され続ける白無垢のアキコが隷属を誓うのが何処からか響くのがきこえた。

ご主人様!孕みます!どうぞお好きに犯してええぇ!!雌穴にチンポいれてぇ!!!

白無垢の花嫁はアキコで散々に獣に犯されて子供を授かるために、あの湿った土の臭いのする土蔵に監禁されたのだと知っていた。そう考えた瞬間目の前には再び真っ白になった世界の向こうで、薄暗い闇に包まれた土蔵の中で梁から吊るされ、獣の化けた影男の逸物を穴に押し当てられていく。そしてまるで躊躇いもなくズコンッと一突きに、腹を突き破られんばかりに穴を抉じ開けられているアキコがいる。

ひぎいぃ!!!

淫らでまるで漫画のような歓喜の声は、シュンイチが好んで泣くように躾た泣きかただ。どんなものが好みなのか教え込んで繰り返させた賜物で、こんな風に下品に淫らに泣くのはシュンイチを昂らせる。それに伴ってアキコの雌穴もボチュッボチュッグポッブジュッなんていう、下品に濡れそぼった音をたてていてシュンイチはニヤニヤと嗤い出し始めていた。

ひぃいいい!ふといいぃ!いいい!ふといいぃい!!あひぃいいい!

ズボリズボリとシュンイチの太股ほどあるような逸物が、吊るされたまま犯されているアキコの縄をずらした股座に捩じ込まれて淫らな音をたてている。しかもその股から滴る白濁はほんの一部で殆んどは腹の中に注ぎ込まれていて、妊婦のようにアキコの腹を膨らませているのが生々しい。
白無垢のアキコは影男に永遠の従属の証として滅茶苦茶に犯され続け、何日も何日も絶頂に昇りつめ、その証拠として影の子供を孕んだ。それを考えながらその腹を見ていると自分の股間も熱く昂って、同時に何故か頭の芯が氷水をかけられたように冷えるのを感じもする。

何かがおかしいと思わないか…………?

何とかマトモに物事を考えようとするのに、何故か白昼夢の中のアキコの喘ぎ声が理性を砕き、引き戻そうとする自分自身を狂いきった白昼夢の奥に閉じ込めてしまう。
実際の現実の世界は異様な視線で子供を眺めるシュンイチから、幼女を遠ざけようと高校生が動いていて、視界の中では長身の高校生が抱き上げる少女の細い脚がスカートを翻すのを眺めてもいる。しかも高校生の糞ガキは不快そうに自分に背を向けるのに、シュンイチは無意識に怒りを滲ませて奥歯を噛み締めていた。無意識のその自分の反応にも気がつかないシュンイチは、白昼夢の強姦めいた世界に更に深く溺れていく。
ゴツンゴツンと子宮をなぐるような丸太のような逸物に犯されて、腹を精液に膨らませ痙攣して絶頂に昇り詰めたアキコの白目を向いている姿。そこまでアキコを貶めるのは自分であって、それはつまり言い換えると自分が四つ足の獣なのであって、自分が土蔵の神なのだと思考が刷り変わっていく。

アキコが犯されるのは俺のチンポだけで、アキコを犯しているあれは俺のチンポで、あの腹の中は全部俺の精液で、俺は獣の神で四つ足で、影男で

あふぅううう!!いいぃ!いいい!!!いぐうううぅう!!

訳の分からない思考なのに喘ぎ声に飲まれて、それが本当で当然の事なのだとシュンイチは考えていく。しかし現実は公園の端で立ち尽くしボンヤリと白昼夢に飲まれていながらに股間をあからさまに大きく硬くしている異様なシュンイチの姿に、周囲にいた人間がヒソヒソと噂しながら子供を引き離しシュンイチから距離をとり離れていく。何しろ真夏の陽射しの下に立ち尽くし幼女を見て股間を硬くしてボンヤリしている男なんて、どう考えても典型的な不審者としかいえないのだ。でも今のシュンイチには、実は白昼夢の中で犯され続けるアキコしか見えていない。

そうだ………………子供をまた作ってやればいい…………んだよ…………

そうこの白昼夢は、シュンイチに託宣をもたらしたのに気が付いていた。随分前にアキコから妊娠を告げられた時には、まだシュンイチは若くて責任を取るのが嫌だなんて考えてしまって有無を言わさずアキコに中絶させたのだ。でももう今はシュンイチは既にアキコの夫でもあり、奴隷の主でもあり、雌犬の飼い主だから一度は孕ませて子供を産ませてやるべきなのだろう。それに女の子が産まれればそれも一緒に飼ってやって、年頃になる前からそれも躾てやれば結果としてアキコが二人になるようなものだ途きがついてしまう。そう考えた瞬間アキコを犯しながら、もう一人の小さなアキコも犯してやるのを妄想する。

そうしたら雌奴隷が二匹になって、俺は安泰じゃないか。

こんな簡単な事に何故今まで気がつかなかったんだろうと、シュンイチは唐突に声をあげてその場で狂気染みた声で嗤いだしている。子供を産ませてそれを二号奴隷にしてやれば、子供をとられるアキコは二度と逆らわなくなるだろうし従順なアキコに戻る筈だ。妊娠どころか子供が女の子とも決まっていない、とてつもなく狂った思考なのに、何故かそれが最善の計画で確定しているのだとシュンイチは信じて疑わない。そしてこれは全て妄想の中だと気が付かないまま、シュンイチは股間を昂らせ陽射しの中で狂ったように奥歯を噛み締め歯を剥き出して嗤い続けている。
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