鵺の哭く刻

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結婚後初めて長い電車に揺られ訪れてみたアキコの実家は、関東とは違ってまだ雪深く真冬の最中に感じる冷えきった世界だった。こんなにも空気どころか四季の訪れ迄違うとは知らなくて、シュンイチは戸惑いながら辺りを見渡す。新幹線のホームは何年か前とまるで変わりがないように見えて、以前自分がアキコと一緒にたった場所もなにも変わらないまま。ただそこにいる筈のアキコの姿がないだけで、シュンイチは忌々しげに冷えきった空気の中で辺りを見渡す。

迎えに来いと連絡しておいたのに…………

不機嫌な視線でどんなに探しても新幹線の広いホームにはアキコの姿はなくて、シュンイチは思わず一人舌打ちしながら慣れない空気の中駅構内に降りていく。以前のアキコだったら言われなくてもホームでシュンイチを今か今かと待ち構えていた筈なのに、アキコはここまで迎えにも来なくて携帯に電話しても連絡も取れない。仕方なしにアキコの実家に電話をしたら、両親から来たかったら乗り換えろと指定されたのは慣れない田舎臭い本数もろくに無い在来線。
隣県まで越境して走るという在来線は田舎臭い車体に、見たこともない向かい合う座席配置で田舎臭い泥臭い人間ばかり乗っていて、知り合いなのか年寄り達が聞き慣れない言葉でお喋りを繰り広げている。

「あのなはん?あれきいだ?あそこの家でぁよ?」
「あぁ、きいだよぉ、しょすなぁあ。」

間延びしたような聴いたこともないイントネーションの言葉は恐らく方言なのだろうが、アキコはこんな言葉を使ったのを聴いたことがない。若いが田舎臭い高校生達の言葉は割合聞き取れ、普通に理解できるから年寄りだけがまだ過去の田舎言葉を使うのだとシュンイチは溜め息をつく。

こんな田舎…………信じらんねぇ

その溜め息に気がついた田舎年寄りが、胡散臭い者でもみる視線でジロジロと都会の臭いを漂わせている筈の自分を見るのに苛立ちも感じてしまう。

「うるげでらよって、あめくせかまりだがす。」
「されかもな、せっごきだごった。」

呟くように二人が囁いた言葉が何故か自分に向けられたような気がして、シュンイチが目を向けると二人の老婆はそそくさと視線をそらす。ヒソヒソと話す言葉の意味は分からないが、慌てて視線をそらしたということは都会人の雰囲気に飲まれたということなのだろうとシュンイチは当然のように窓の外を眺めて悦にはいる。

「つらすけねづくだれ。」

まるで呪文のようだと思える言葉が不意に耳にはいったが、二人の老婆はいそいそと乗降口に向かって歩き出していてシュンイチはその言葉をさっさと頭の向こうに追いやる。ワザワザ乗り換えさせられて十五分も嫌な振動に揺られて、降り立った田舎の古めかしい何もない駅舎にシュンイチは改めて呆れてしまっていた。駅前には住宅地が線路の左右に幾分かは広がっているが、駅前には田舎のコンビニ一つで飲食店すらないド田舎なのに、シュンイチは前にも来た筈の場所なのに田舎過ぎだと呆れてしまう。

こんな場所で暮らせるなんて、不便すぎて笑える。田舎もんだらけなんだな

誇れるのは空気の良さくらいなんだろと鼻で嗤ってやりたいが、そう出来ないのは外に降り立った途端に肌を刺すような冷えに襲われたからだ。震えながら田舎の駅舎を出て辺りを見渡すと関東では桜が既に咲き始めるのに、春どころか雪でキンと凍りついた空気の中に車の傍にポツンと立つアキコがいる。確かにこうして駅に迎えには出てきていたけれど、ホームにも来ないし、大体にして以前と同じように新幹線の最寄り駅まで迎えに来いよと頭の中で思うが車の運転手がアキコの父親なのに気がついてしまう。

きっと…………こいつが邪魔したんだな…………

車の傍で立つアキコの姿は、少し体重も戻ったのか以前のように健康そうに見える。そんなアキコの姿に安堵すると同時に、元気になったら何で連絡しない・戻ってこないんだとシュンイチは強い苛立ちを感じてもいた。しかも車に乗って実家まで移動したが、アキコの両親は意図してアキコを傍に座らせシュンイチと二人きりで話をさせようとしないのだ。

何なんだよ……お前ら邪魔しやがって………………

しかもアキコも何故かそれに従ってシュンイチと二人で話をしようとしないし、泊まらず帰ると言うシュンイチに安堵すらしたように見えた。帰途につくとつげ流石に今度は新幹線の最寄り駅まで送るというアキコとアキコの両親に、目敏く監視するアキコの両親の目を盗むようにしてシュンイチはアキコの小さな手をきつく握り締め引き摺り寄せていた。耳元で低くアキコの立場を理解させるための言葉を放つ。

「早く帰ってこい、お前はここの人間じゃないんだ。」

その言葉に一瞬で青ざめ凍りついたアキコの表情に、シュンイチはアキコが病を経ても本質的には何も変わっていないのに気がつく。目の前の女はシュンイチに逆らえない雌奴隷のままで、病が癒えたのなら所有者のもとに戻るべきなのをジブンでも理解している。思わずアキコの両親に向かってざまあみろと叫んでやりたくなるのを、シュンイチは奥歯を噛み飲み込む。手を痛いほどに握られたアキコは、シュンイチがアキコの所有者で、関東に帰ってこないアキコの態度に苛立っているのをちゃんと理解しているのだ。

「分かってるんだよな?お前。お前はヤネオだぞ?」

その言葉にも凍りついたままのアキコの顔に満足する。その直後にアキコの両親が気がつき二人の間に割って入られアキコからは引き剥がされたが、その時のアキコの表情を見ればシュンイチにはもう充分だった。帰途につく新幹線の中で青ざめ凍りついたアキコの顔を思い浮かべながら、シュンイチは股間が密かに熱く硬くなるのを感じる。

夢の中と同じだ。

心の中でお前は所有物で居るべき土蔵は、あの住んでいるアパートの寝室なんだぞと嘲笑う声がする。あの土蔵はシュンイチの空想の産物かもしれないが、昔からシュンイチが密かに願い続けてきた奴隷を飼うための環境そのままだ。

暗く湿った淫靡な空間で、誰にも邪魔されず、生娘から仕込んで完全に自分用の奴隷に仕込む。

赤い襦袢姿で縄で括られ縄化粧を施され、四つん這いで長い黒髪を解れさせて、逸物にしゃぶりつく淫靡な雌奴隷を思う存分に蹂躙する最高の空間を頭に思い浮かべる。そこでは既にグチョグチョに全身を濡れされせ快楽に爛れきった頭で、逸物を迎え入れる淫らな雌奴隷が這いつくばっていた。
自由にならないように手足を折り曲げ麻縄で括りつけ、完全な四つ足の雌奴隷は所謂達磨女のように膝と肘だけを床につけている。それでは物足りないと抱えあげられ胡座で男の股に下ろしてやると、ヌブヌブと音を立てて太い逸物をマンコに飲み込んで背を仰け反らせた。

ひぎいぃいい!!ふと、いいぃ!!

丸太のような逸物を一気に根本まで捩じ込まれただけで絶頂に達した雌奴隷は、マンコからブシュブシュッと勢い良く潮を吹きながら痙攣している。そしてそのまま背後からのし掛かるもう一人の雄を尻の柔らかな肉タブの間のもう一つの穴で、ズポリと受け止めて淫語をわめきながら不様な絶頂に痙攣し続けていく。

おおおほぉ!!!お、まんごぉ!!凄いぃ太いチンポォ!!ズッポリですううぅ!!ご主人様ぁ!!

動けと命令すると男達は抉るように怒張を捩じ込んで、ゴリゴリズゴズゴと音を立て掻き回されていく。そして目の前に仁王立ちした男の赤銅色の巨大な逸物を小さな口を目一杯に抉じ開けられ、喉の奥まで捩じ込まれていく。グポグボと穴と言う穴を男の逸物で埋め尽くされ犯され喘ぎ歓喜の声をあげて、四肢を痙攣させ何度も絶頂に潮を吹く雌奴隷は勿論アキコだ。

んひぃ!!うぶぅ!!んほぉ!!

黒い大きな影に跨がらせられて激しく膣を下から突き込まれグッポグッポと犯されながら、同じく太い逸物を尻にも捩じ込まれ、男の逸物を口に含み頭を押さえられ喉まで犯される淫らな姿。縄化粧させられて
大量の精液を全身に浴びて酩酊した雌奴隷には胡座のまま、シュンイチの手で乳首と陰核に針を通し金の輪をつけるのだ。

それらの輪には、糸を通し引いて歩いたり鈴をつけたりすることにしてやろう

痛みと快楽に再び忠誠を誓わせて誓約書にサインをさせて、コバヤカワやコイズミやハルカワに見せつけながら全裸のまま三点責めだけで潮吹きまでさせてやる。そして極上の膣と尻穴をコバヤカワ達に楽しませてやり、あいつらの逸物をズッポズッポと注挿されながらこうアキコに叫ばせてやるのだ。

ハルカワのチンポォ気持ちいい!!けど、ご主人様のおチンポが最高なのぉ!シュンイチ様のおチンポ様がないとダメぇ!

それを想像しているだけで触れもしていないのに密かに新幹線の中で達してしまいそうになる程興奮して、ズボンの下の逸物は硬く張り詰めていく。

コイズミのおチンポ長いぃ!でも、もっとシュンイチ様のおチンポ様の雁だか長チンポみたいに良いとこ擦ってぇ!足りないぃ!!

そうだろう、アキコが一番気持ちいい場所を擦れるのは自分の逸物で、アキコはそれが欲しくて厭らしい腰振りダンスをするのだ。やがて我慢できなくなったコバヤカワの逸物をコイズミの横から捩じ込んで、ゴツゴツグポグポと激しく二人が腰を振り立てていく。それでも足りないのはアキコが雌奴隷だからで、雌奴隷は所有者じゃないと満足できる筈がない。

ああ、帰ってきたら躾なおして、今度こそ完全な雌奴隷にしてやる。

鞭に縄、クリップ、拘束具。既に家にあるだけでなく、新しく調教道具をキチンと揃えておかないとと頭の中で考える。勿論今度は完全な本物の随喜も買っておいて膣にねじ込んでやろうとニヤニヤと奥歯を噛み笑いながら考えているシュンイチの体は、奇妙な獣臭さを放っていて周囲の乗客が密かにその臭いがどこからなのかと眉を潜めていた。それでもシュンイチはそれに気がつくこともなく、今後の楽しみを考えながら股間を硬くしてニヤニヤと笑い続けていたのだ。




※※※




シュンイチがたった一度とは言え家まで来たのは、ミヨコにとって想定外だった。そこまで既に数ヶ月全く連絡すらしてこないのだから、このままアキコは離婚して我が家に戻り元のアキコになるのだと思っていた矢先だ。
やっとアキコのことを親身に診てくれる医師の協力もあって、元のアキコらしく笑顔を見せられ穏やかに過ごせるようになりつつあったのに。この数ヶ月の連絡の無い間にシュンイチが自分のしてきた事を密かに反省して、全く人が変わったシュンイチが現れるかもなんてあり得ない期待をしたのも悪かった。やって来たシュンイチは最寄の在来線駅までしか迎えに来ない事に不満そうで、しかも長年ここで暮らしアキコもここで育ったことも無視して、ここは田舎だとあからさまにバカにもしたのだ。

何もないとこですね、コンビニ一件ってどうやって暮らしてんですかね?ここらのやつって。

そんな場所で自分達は既に二十年以上も生活しているし、アキコは小学生に入るまえからここで育ってきた。確かに都会の利便性はここにはないが穏やかに暮らしている人々が大勢いる土地でもあるのに、そこの住民を前にその言いぐさはなんなんだとミヨコは思う。しかもアキコの様子を見に来たのかと思いきや何一つアキコのことは聴きもしないで、自分の近況を話し出す有り様だ。

何しに来たの?ここまで…………

内心そう問いかけたいがアキコを連れ帰る時のアツシとの押し問答もみているから、この男が何を考えているのかなんて理解できないのは分かっていた。出したくもない茶と茶菓子が消えて、話しも尽きた途端唐突に日帰りすると言い出してきたのに更に呆れる。ミヨコだって幾らアキコの夫であっても更々泊めるつもりはなかったが一応帰途の新幹線の時間を確認したら、在来線を待っていたら時間が間に合わなくて最寄の新幹線発着駅まで送る羽目になってしまった。
それでも二人きりで話しはしないよう気を付けていたのに、隙をついてアキコになにかを囁いた途端アキコこ瞳は一瞬で曇りまた以前のように暗く地の底を見はじめていた。

会わせなければ良かった…………

数日無言で過ごしたアキコが関東に帰ると言い出した時、ミヨコは心底そう思ってしまう。頑なに両親の言葉を聞くこともなく、帰る・戻ると繰り返すばかりで虚ろな様子を見ていると、まるで催眠術でもかけられているようだとミヨコは思った。

…………意地でも会わせなければ良かった。

そう思うがアキコは会ってしまっていたし、既に戻ると決心してしまってまたあの言葉を繰り返すのだ。自分は嫁いだからと頑なに繰り返す娘に、離婚すればいいと何度言おうと思ったか知れないのに、何故かそれを口にすることが出来なかったのはアキコが言っても聞かないと理解もしていたからだ。
引き留めることが出来なかったから、アキコはあの男に操られやがてあの地獄のような場所に一人戻ってしまったのだ。
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