鵺の哭く刻

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発病

51.★

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そしめ四月。
関東ではすっかり桜の花は散り枝が新緑の葉桜に変わる頃、二人の環境はある意味では大きな変化を迎える。
シュンイチは、無事大学を卒業できていた。が、折角手に入れた教員免許なのだが、約束通りに教師としての就職は出来なかったのだ。同じ国家資格として免許さえあればどうにかなるのかとアキコは思っていたが、世の中はそう簡単にはいかないものらしい。結局シュンイチは、大学を卒業した後も塾の講師として、しかも未だにバイトのまま。それに関しては教員採用試験を受けてそれの結果を待っていたのもあったし、バイト講師が長いから塾の方は何時でも就職は出来ると言うことだとシュンイチが話していた面もある。とは言え四月を過ぎても一向にはかばかしい報せのないまま。教員採用試験が駄目だったと分かっても暫くはアキコにも話していなかったが、遂に隠しきれず。実は教員としては採用にならなかったと告げたシュンイチは、言い訳のように自分は教師には向いてないと言い出す。

「…………教えるの向いてないんだよ、俺。」

そこら辺は正直言えば個人的な感覚だから、アキコにだって意見は難しい。本人がそうだと言えばそうかもしれないし、アキコだって看護師は向いてないと何度か思ってきたが既に五年も看護師を続けているから感覚と実際はそうでもないとも思う。それに教えるのが向いていないのに、塾の講師は続けるのとは流石のアキコでも思っても言えないでいる。
アキコの方は三月末日で地方公務員の仕事を辞職して、すぐに新しい職場に入っていた。次の職場として選んだのはだいぶ今までとは毛色の違う中規模病院。患者の入院する病棟は一つだけで病床は20ほど、後は通院の透析患者対応の透析室のある病院。透析の規模は中規模よりはやや大きくて、対象患者は一回多くて三十人までだが透析は日中のみ。実際には午前と午後の透析で、平日と土曜のみ、緊急性のある患者はほとんど来ない。それでもそこ選んだのは今までやったことのないことをしてみたかったのはあるし、その病院では寮が完備されているのとアキコの看護学校からも割合近くて土地勘が得やすかったのもあった。

「もっと近くとかさぁ、っていうか一緒に住めばよかったのに。」

そうシュンイチにも当然のように言われた。何しろシュンイチの住む最寄り駅まで行くには、ターミナル駅を経由するようにU字に路線を乗り継ぎ回るように移動する必要があったのだ。

「そうだね、土地勘がなくて真っ直ぐ行けるのかと思ってて。」

アキコは首を傾げて、微笑みながらそう苦しいとは思いつつ言い訳する。路線なんて少し調べれば簡単に分かることだし、これまでの二年間の遠距離交際で土地勘がなくとも路線図は完璧に頭にはいっているのだ。勿論最初からシュンイチとの同居だって実は少しは考えたが、未だに就職の決まらない彼は引っ越す資金も予定もない。となるとあのシュンイチの狭いアパートの部屋に、アキコが転がり込むのも気が引けるし、アキコの荷物の置き場も困る。だから、あえて寮のある職場で距離をとるのを選んでいたのだ。当然もっとシュンイチの住居の近くにも同じ程度の条件を持つ就職先はあったが、本音はアキコとしても近すぎるのも怖かったのかもしれない。
とは言え寮といっても小さなワンルームマンションで警備員がいるわけでもない。今までと大きく違うといえば、関東らしくマンションの入口がオートロックであることくらいなものかもしれない。兎も角そんな新しい環境で、以前に比べてかなり近くに住む日々が、春の最中に始まったのだ。

「もう少し早かったら、桜咲いてたけどな。」
「そっか……家の方は何時も五月の連休位だから、だいぶ違うんだね。」

来年は一緒に花見しようなと微笑まれて、アキコもそれに微笑みながら頷く。そしてある意味では、アキコとしては仕事に関しては以前と何も変わりがない毎日。純粋に真摯に仕事に勤めるアキコらしく、寮の部屋の透析に関連した本が急激に増えるのにシュンイチの方が驚く有り様だ。それも全て看護や医学関係の難解な書籍で、アキコは新たな知識を仕入れるためには努力を惜しまない。

「アキ、まだ勉強かかる?」
「ん、後少し。」

電車で行き来すれば、案外遠回りとは言え片道に小一時間。しかし前と比べてしまえば二年間毎月通った時間に比べると六時間も短縮したのだし、車があれば遠回りもしなくていいから実はもっと早い。新しい職場での仕事は今まで触れた事のない分野だから、アキコはひたすらに勉強をしないとならない。そんなアキコ自身に時間的な余裕がまるでなかったせいと、自分が関東に呼び寄せたという認識がシュンイチの方に譲歩をさせたに違いない。比較しても割合時間の融通が利き、免許をとって車を購入したシュンイチのほうが、アキコの寮まで来る事が多くなった。そして黙々と書籍を開きペンを走らせるアキコを、シュンイチが物珍しそうに暫し眺める。

「アキ。」

それでも二人の関係は基本としては変わらず。互いに互いの与える快楽に溺れているから、こうして会うと結局はセックスに持ち込むと言う形が続いたのも事実だ。アキコの勉強が終わるのを待ちきれないシュンイチが横から腕をとるのに、アキコは仕方がないとノートと参考書を閉じて素直に立ち上がる。こうしてシュンイチにおとなしく従い始めればアキコは従順に言うがまま、シュンイチの欲望を完全に満たす稀な性奴隷に変わるのだ。

「腰あげて、アキ。」

はいと大人しくシュンイチに向けて全裸になり四つん這いになって腰を突き出すと、あっという間にグチュグチュ・ヌチヌチと激しく音をたてて膣を指で掻き回されている。何時までたっても狭いねと笑われるが、自分では膣なんて他人と比較しようのない。たからアキコは大人しく四つん這いで尻を差し出していて、膣の中には既に人差し指から薬指迄の三本が入り淫らな動きで体内を掻き回し続けている。最近では陰茎でなく指でも蛇は滑り絡み付き、アキコは快感を感じさせるように全てを塗り替えられていた。

「んっふぅっ!あっん!」
「ほんと、イヤらしいマンコだな、直ぐ良くなって。」

そう言いながら空いた反対の手が陰核を捻ると、鋭い快感が走る。その快感にグンッと体内で欲望を吸って蛇が一際膨らみ、それを知らないシュンイチはアキコの膣が締まると言って低く笑うのだ。アキコが違うと答えてもそうだと答えてもシュンイチは喜ぶだけだから、蛇が体内に入るものに巻き付き快楽を強めるのを躊躇いなく受け入れることにしていた。勿論恋人のように優しく傷みもなく、こうして抱かれるのは嫌ではない。何しろここ暫くは痛みを伴うようなお仕置きはなくて、何時もこんな風に執拗なまでの快楽責めのような様相なのだ。

何度もいかされるのは嫌じゃない……でも、

罰も与えられず許しもなく、ただ恋人のように抱かれる。でも本当は罰を与えられて、最後にそれを許される快楽が一番アキコが欲しいものなのだ。だが、それを訴えるには上手く表現出来ないし、それを何となくアキコが匂わせても、最近のシュンイチは思うように罰を与えてくれないから、結局は許してもくれない。

許してもらえないまま

いつまでもグチグチと快楽にだけ責め立てられ、何だか宙ぶらりんになっているような気持ちなのに、それでも快楽だけは蛇のお陰で強まってもいる。それでも完全に満たされていなくても前のような渇望に飲まれずにすむには、激しく何度も絶頂に達する快感を皮肉なことに蛇が倍増させて情欲を抑えてくれているからのような気がしていた。怒張を獣のように突き入れられ蛇がそれに絡み腹の中で暴れるから、気が遠くなるほどに気持ちよくなれる。そのお陰で激しく狂う快楽に呑まれて気絶するほどの凄まじい絶頂に、身の内を炙り続ける情欲をなんとか押さえ込めていた。

「ふふ、凄いグチョグチョなのに、狭くてキツい……アキは名器だな。」

ズンズンと逸物を捩じ込まれる体内では、それに絡む太い蛇が膣をはち切れさせるようにギチギチと満たしていて熱と共に痛みすら感じている。しかもそれはゾロリゾロリと鋭い鱗で体内を膣を掻きむしり、入り込んでいるシュンイチの逸物もキツく締め上げていた。

「…………こんなに、深く、入ったら、子宮まで届くんじゃないか?」

ゴツゴツと壁に当たる感触に伴って、その言葉に反応した蛇が体内でゾロリと頭を動かして奥深くに頭を差し込んでくる。ヌボッと奥の奥に亀頭めいた尖った頭が這ってきて、恐ろしい事に奥の入り口をゾロリと糸のような細い舌が舐めたのに気がつく。

「あっ!駄目ッ奥っはぁうっ!おぐぅ!」

子宮の入り口を蛇が舐めているのに気がついたアキコは、全身が恐怖で強張るのと同時にとてつもない快楽に引きずり込まれていた。

「ふふ、ふ、何だよ、子宮にチンポがほしいか?孕むか?」

真実を知りもしない言葉が更に煽り立てると、蛇は更に大事な場所の入り口を執拗にゾロゾロと舌でほじり初めていた。まるで毒を染み込ませているみたいに奥がジンジンと痺れて、怒張とそれにあわせて膨らむ蛇の鱗に頭を真っ白に染める快楽がバチバチと火花のように神経に飛び散る。

「ああッ奥、おぐぁ!うあぁん!やだぁ!駄目ぇ奥ぅう!」
「ふふ、ふふふ、エロいな本当に、まるで…………いや、本当に奥に入ってるんだもんな?アキのマンコは狭いから、ゴツゴツってチンポの先が子宮口に当たるんだろ?気持ちいいか?」

亀頭の先端がどこに当たるか位はシュンイチだって自分でも感じる筈だが、もしかして陰茎は体内の蛇と同化してしまえるのだろうか。ふとそんなことを考えたら不意に頭の中で、子宮口に向かって蛇が大きな口を開け牙を突き立てる情景が生々しく過っていた。そしてそれは実際に痺れを伴う熱になって、腹の中で弾けていく。

「ひぁあ!!し、子宮口、あうぅあーっ!」

アキコの痴態にゴクリと喉を鳴らすシュンイチが、上半身を崩れさせ尻だけを突き上げたアキコにのし掛かった。アキコの腰を両手で鷲掴んで、獣のように激しく振り始めている。

「ひぃ!あ、ああ!あぁあ!!」

そしてアキコの矯声にあわせて、激しくガツンガツンと更に奥に向けて怒張を叩き込み始める。それに反応した蛇は更に快楽に膨れ上がり、今度は子宮の中に潜り込もうとするように牙をたてた入り口に頭を突き立てた。突き立てられた牙から毒が回り始めているのか、そこが痺れて奇妙に弛緩している感覚がしていた。

ああ、うそ、だめ、やめて……

今までより更に奥に向かって肉を掻き分けてジリジリと蛇頭が入り込みつつあって、それは凄まじい快感に感電するように全身に走っていく。

「いひぃっ!ひぁあ!!し、きゅうう、駄目ぇ犯しちゃ、駄目ぁああっおぐぅ入るのぉ!」

ゴポリと蛇の頭が飲まれて、深く肉の奥にめり込む。それはまるで火花のような凄まじい快感で、アキコは全身をガクガクと激しく痙攣させていた。それはシュンイチにしてみれば、妄想の中で膣だけでなく子宮までシュンイチの逸物で犯されている淫らな奴隷の姿に見えるのだろう。興奮に更に激しく腰を振り立てながら、シュンイチが腰をボチュボチュと突き上げて笑う。

「はは、厭らしいな、子宮にチンポがめり込んだか?アキ。」

蛇が子宮を犯す快感。しかもシュンイチの獣じみた激しい怒張の激しく引き抜かれ突きこむ動きを、奥の子宮口でも蛇が再現して繰り返すのだ。膣だけでなく子宮にも激しく注挿。グポリグポリゴリゴリとあり得ない音が体内には響いていて、理性ごと快感に破壊される。

「あふぁ!おぐぅう、子宮ぅうぅ!ごわれ、るぅ!いぐぅう!」
「はは、イヤらしいな、子宮犯されて、いくのか?雌犬が!ほら、子宮にチンポはいるって言え!」
「し、しぎゅう、に、チンポぉ、おおっおぅう!いっちゃううぅ。」

子宮にズルズルと膨らんだ蛇が潜り込んで行く。それを知らないシュンイチは笑いながら、蛇と一緒にアキコの体を破壊する勢いで獣の腰振りを重ねて吼えながら中にドロドロの精子を放ち始めていた。それに反応した蛇が再び体内で暴れだし、アキコは頭が真っ白に塗り替えられてしまう。そこからとりつかれたように何度も何度も繰り返し、アキコはシュンイチに射精を強請り始めていた。
そんな時間がとどまる事も知らずただ流れていく。
そして、やっとアキコ自身に精神的な余裕が出て着始めたのは四月末のことで、二人が出会って丁度三年目になろうとしていた。
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