鵺の哭く刻

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感染

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実は高校時代の思い出と言われても、大したことは残っていない。
アキコが高校という新しい環境で得たのは中学時代とそれほど大差がなくて、数人の友達と狭い交遊関係、それと新設校らしい程々の種類の図書館の書籍くらいなもの。残念なのは小学生の時に読破してしまったレベルの書籍が図書室の半分を閉めていて、結果的に図書室の本より個人で書籍を購入して持ち歩くことの方が多かった。
そして、アキコは時折学校をサボることを覚えていく。
別段何かされたとか何か支障があったわけでもなく、ただ何となく学校に行きたくないから学校をサボる。しかも方法は母親の口調で学校に電話をかけて休ませますと担任に言うだけなのだが、実際のところ両親にはバレていないし担任も気がついていない。そうやって学校をサボって何かをするわけでもない。ただ単に駅で学校に行きたくないなと感じたから、同じ高校の生徒とは逆に動くだけ。駅前の公衆電話から電話をかけて、そのまま乗ってきたのと逆の電車にのって繁華街に向かう。そうして制服のまま駅前や繁華街をフラッと散歩して、両親が仕事の間に学校に行ったふりをして適当に自宅に帰るだけ。
駅前の公園でボンヤリとベンチに腰かけて空を眺めているだけだったり、気が向いたら映画を観に行ったり、それを全て近郊で特徴のある高校の制服のままするのだ。アキコは別に何時バレてもいいと思っていたが、そう思えば思うほど奇妙なことに誰も気がつかない。

なんでかな……

制服で昼日中にブラブラしているのに、一度も話しかけられもしなければ何も言われたことがない。映画館に入って学生証を提示して学生料金で映画を見てすら、誰にも何も言われていないのだ。まるで自分の存在が全く見えていないみたいに誰にも疑われず、フラフラと過ごす空白の時間。それ以外の他の日常は、一見すれば大人しい少女のまま。無口で大人しく何時も本ばかり読んでいるとしか見られていないアキコ。

「タガは彼氏いないの?」

そう問いかけられ、同級生の男子に誘われて一緒に映画を観にもいった。でもそれ以上の進展もなく、アキコ自身が誰かに恋をする事もないまま時間だけが過ぎていく。誰かに恋でもしたら違ったのかもしれないが、奇妙なことにアキコにはそんな感情が産まれなかったのだ。

人の美醜が分からない。

価値観が他の人間と違うのか、それとも本来は可愛らしいといえる容姿のアキコ自身が呪われていて自分を醜いと思っているからなのか。兎も角造形で一般的に整った顔とそうでないという判断はできるが、あの人は綺麗と言われている人を見てもそうだと感じない。それは男性でも同じでどんなに男前と皆が誉めそやしていても同意できないアキコには、人を好きになるという感覚が全く理解できないのだ。だから、何人かに誘われてても、心は一つも揺れない。

どうしてかな……好きだって……どうやったら感じるのかな。

実際のところは美醜の感覚もだが、本当はどうしても恋愛の先にあるものに目を向けたくない。好きだと思って、その先一緒にいても、呪いは相手に何も起こさないんだろうかと不安でもある。同時に既に二度性的な悪戯紛いの行為の末に、それはお前が悪いと言われてしまっていた。そんな人間が誰かを好きになって誰かと付き合う事は可能なのだろうかと考える。そんなアキコの日常の中で、周囲の同級生達は次第に色づき初めていくのに気がつく。

恋をして
大人びて
綺麗になっていく
性別なんか関係なく

自分だけがそれにはついていけない孤独感。それなら自分も恋をして誰かと付き合えばいいのだろうが、アキコには誰も好きになれない。何しろアキコは第一に自分にその価値がないと思うからだ。

どうしたら、この不毛な孤独感から逃げられるんだろう。

何度か好きだとも言われて付き合いを請われもしているのに、決してイエスとは答えられなかった。まるで何かに遮られているかのように、相手のような人を好きになる気持ちが全くわからない。誰かを格好いいとも思えないし、素敵だとも思えない。告白にドキドキすらしない自分はおかしいのだろうか。好きじゃないからドキドキしないのは当然だけど、だからと言って何も心が動かないのは自分がマトモではないからなのか。

大体にして親からもキチガイと罵られるような娘は、愛情なんか理解できるはずがない。

それがどんなに自分を卑下した考えなのか分かっていても、アキコにはそれを覆すほどの感情が存在しない。自分すら自分を激しく憎んでいるのに、それと正反対の感情なんか理解できる筈がないのだ。
誰も自分のことを知らない学校に行きたかったから選んだ高校だから、通学の距離は遠くて電車を乗り継いで短くても一時間。田舎とはいえそれはかなりの遠距離通学だったけれど、誰とも接しないで淡々と通う分には何も問題もない。それでも、時々どこで見初められるのか、駅のホームで見知らぬ他校の生徒に声をかけられたりすることはあった。

「ずっと見てました、お友達になってください。」

何度かその言葉を鵜呑みにして、お友達ならとお茶をしたり映画を見たりした。が、大概相手がその先を直ぐ求めるようになり手を握ったりするのに気がついてからは、アキコは一律に全て断るようになった。

「タガって、男嫌いだよな。」

そう言われるようになるまで、高校になって僅かに半年くらい。男嫌いというよりは人間嫌いなのだが、でもその言葉のお陰で少し近寄ってくる人間が減った気がして、逆にその言葉に感謝してしまう。同時にその言葉が真実でもある気がするのは、あの黒い影も隣家の男も、結局は男だった。自分の体に触れてこようとしたのは男で、自分と同じくらいそれらが嫌いだ。
それを男嫌いと表現するなら、適切な言葉だと思う。
それなのに。



※※※



自分の中の訳のわからない欲望に気がついたのは、アキコが高三になって半年が過ぎたあたりだった。唐突に体の奥から欲望が沸き上がってきて、マトモもな理性を飲み込んでしまう。それは時々襲ってきて気がつくと普段のアキコでは考えられない行動を起こさせて、一人で淡々と暮らしている筈のアキコを恐怖に陥れる。
それは、性への渇望だった。
マトモには何一つ性行為もしたことのない、性的な悪戯しか受けたことのない筈のアキコに不意に沸き上がる欲望。これで恋人がいたら直ぐにでも、キスから先に進んでしまうだろうと思う。強くて泥々とした怨念のような欲望に、アキコは何故かほんの一時だけ完全に飲まれるのだ。
月経も体調も関係ない。
時間すら関係なく、突然に飲み込まれて、必死に落ち着くまで堪える。
家にいて親がいれば下手な行動が出来ないから問題はないが、学校の帰途の途中だったり家に一人の時は危険だった。不意にザワザワと体の奥がざわめいて、唐突にまだ知りもしないのに快楽が欲しくなる。しかも自分で慰めるのでは物足りなくて、どうにかなってしまいそうな激しい渇望に飲まれかけているのに気がつくとゾッとした。

どうして……

普段は全くその感覚がないのに、突然スイッチが入ったようにジリジリと体が炙られる。それに気がついたら、欲望だけが腹の奥底で膨れ上がっていく。まだマトモな性行為をしたことすらないのに、それでも無性に行為をしたくてしかたがない自分の欲望がおぞましい。その理由をアキコ自身が散々に探し続けて辿り着いたのは、何故か再びあの伯母の呪詛の言葉だった。



蛇憑き、蛇の呪い、それに伴う性的な欲求。それに加えて異性に無意味に性的なアピールをされることがある、そんなオカルトかぶれの文字を見つけてアキコは呆然としめしまった。そんなこと馬鹿臭いと笑い飛ばせばいいのに、アキコはこの渇望はそういうことかと納得してしまったのだ。オカルト雑誌の呪いの症状なんて、そんなマトモな時なら信じもしない筈の馬鹿馬鹿しいものに、アキコはゾワゾワと背を這う欲求に堪えながら救いを求めている。
禊と冷水を被ったり、塩を盛ってみたり、奇行ととられかねない行動を重ねても渇望は収まらない。燃え盛るように腹の底でとぐろを巻く渇望は、冷水を浴びせかけてもグズグズとアキコの理性を侵食していく。それでも何とかこの異常な渇望に負けたら駄目だと必死なのに、気がついた時にはアキコは街の中にいた。

「君がリエ?」

りは俚、えは穢。何故か頭の中にそう文字が浮かぶ。
いやしくけがれたもの。
その声にアキコは賑やかに「はい」と微笑み、見たこともない年嵩の男に向かって振り返る。まるで当然のようにじゃあ行こうかと言われて、素直にその見知らぬ男の後についてリエになったアキコは歩く。
出会い系に自分から電話をして、しかも処女の女子高生だと告げたら相手は喜んで姿を見せた。少なくとも十は離れているだろうし、当然だが好みでもなく。そんな貧相な男に連れられて薄暗い路地の先のラブホテルに向かう。

「あそこでいい?」
「はい。」

まるで何も迷いのない様子でコクと頷くリエと言う少女に、貧相な男は舌舐めずりして薄暗い建物の中に入る。
湿った情欲の気配が靄のようにそこかしこに漂っているのが、眼鏡越しの硝子玉の瞳には見えていた。そうして見知らぬ部屋の奇妙に湿ったベットの傍でスルリと迷いもなく衣類を脱ぎ去った肌は、白く淫靡に滑りを放ちながら見ず知らずの男の前にかしづく。

「じゃ、握って」

言われるままに当然のように男の怒張を取り出してその手で握り、言われるままに両手で擦りあげていく。そして言われるまま、アキコはベットの上に上がると股を開く。

…………なんでなの?

こんな無意味な行動で失ってしまって良いものではないと理解している。それなのに引き留められない体の奥の疼く欲望が、今すぐに男のものを捩じ込んでアキコを汚して欲しがっていた。

「ピンクだなぁ、ホントに処女なの?」

素直にその言葉に股間を晒し頷くアキコに、開かれた足の間に体を挟ませた男がズシリとのしかかられる。ヌチヌチと股の間で指が上下にせわしなく擦り付けられて、一瞬で頭の芯が冷えて自分が何をしているのかと我に帰るが、反対に全身に全く力が入らない。男が全裸でのし掛かり舌舐めずりをしながら、育った乳房をキツく握り、噛みつくように乳首を口に含んだ瞬間全身に不快感で震えが走った。
薄暗い室内で名前も知らないその男の姿は、まるで真っ黒な影に見えている。自分は浅はかにも影に体を差し出したのだと、その時になって理解したが逃げることも拒否の声すらあげることも出来ないでいた。

「いいだろ?ここ、気持ちいいんだろ?」

聞いたこともない男の声が低く笑いながら問いかけ、乱暴に乳房を揉み足の間で腰を股間に擦り付けてくる。武骨な男の指が股の間を探り始めた時に「やめて」と悲鳴をあげて逃げたかったのに、喉の奥に声が張り付いて外に出てこない。クニクニと指が執拗に陰核を捻り擦りたてていた太い指が、割れ目を寛げようとする刺激に呻きに似た声が溢れると男は楽しげに笑いだした。

「ここが、いいんだろ?処女なのに淫乱だな、リエ。」

処女なのにと言う言葉が胸に刺さる。乙女なりの夢は自分にもあったはずなのに、どうして自分は見ず知らずの男にこんな場末のラブホテルで股を開いているのか。そうして大事な場所を乱暴に擦られ、こんな風に苦しげに呻いているのか。

「ううっ!うっ!あううっ!」
「気持ちいいか?ほら、濡らせ、気持ちいいんだろ?」

グチグチと割れ目を擦りたてて、突然にその指の一本を体内に突き込まれると不快感が増して体が仰け反った。一本分の太さで広げられた膣に、鈍く痛みが走る。狭いと男が笑いながらそれを鉤のように曲げながら体内を掻き回してくる不快感に、悲鳴をあげたくなる。それでも男は全く諦める筈もなく、無理矢理二本目の指をズプッと膣の中に押し込んできた。

「ひっ!」
「ギチギチだ、キツい。流石処女だなぁ。」

ミチミチと指で押し広げられ体内が割れてしまいそうな痛みに仰け反るアキコに、男はハアハアと獣の息を吐きながら指を無理矢理捩じ込みズポズポと出し入れを始めていた。

「ううぅーーーーっ!!」

痛いとも言えず呻くしか出来ないのに、男の方は更に指を捩じ込もうと押し付けるが、流石に三本目は入り口から先に進まない。三本目の指の第一関節までを押し込めて、グリグリとねじ回し狭い膣を広げようとしている。そんな壊れてしまいそうな痛みにベットの上で悶えながら脚を広げる姿に、男は興奮した様子で指を抜き取ると股間に腰を押し付けた。

「ほら、入れてやる。」

抵抗すら出来ないまま割れ目に亀頭が押し付けられ、中に突きささろうと硬い膣口を軋ませ押し広げる。ところが不快感に濡れるどころではなかったそこは、肉棒を入れようにも緩むどころか更にキツく締まって入れようがない。

「あれ…………なんだよ…………、くそ、はいんねぇ…………。」

何度試してもズルンと上滑りを繰り返すのに、男は痺れを切らしてアキコの体を無理矢理引き起こした。四つん這いに這わされて左右に尻を開くようにして押し当てられた亀頭が、濡れてもいないアキコの性器にグリグリと押し付けられる。

「なんだよ、…………きつすぎて、くそ、なんだってんだよ…………っ。」

どんな体勢にして試しても亀頭はヌルン・ズルンと上滑りして、一向に体内にはめり込まない。次第にアキコが靄が引くように冷静になりはじめて行けば行くほどに、ヒンヤリと体が覚めていく。

「くそ、全然、駄目だ。」

そのまま止めてくれるのかと思ったのに、男はその亀頭の先を引きずり起こしたアキコの唇に無理矢理押し付けた。唇に押し付けられた亀頭は蛇の頭のようにヌラヌラと滑って光って、間近で見る不快感が強くて仕方がない。

「入んないんだったら…………、ほら、口でナメナメしろよ。」

何のことかアキコが理解できないでいると、男はグイグイとアキコの唇を押し開きだしていた。口の中に亀頭が押し入ってくる。まるで口の中に蛇が潜り込んでくるようなおぞましさなのに、両腕をとられて引き寄せられるまま喉の奥まで犯されていく。グポリと喉の奥まで亀頭を押し込められ、口の中にしょっぱい味が広がってアキコはえずき始めていた。それでも男はアキコの喉の奥に向かって、奥の奥まで腰を振るのを止めようとはしない。

「吸え、舌を絡み付かせて、あー……そうだ、いいぞ。」

やっと男が腕を離したかと思うと、今度はアキコの頭を両手で抱えるようにして男は激しく腰を前後に振り立て始めていた。男はアキコの膣に捩じ込むことが出来ない変わりに、アキコの口を膣がわりに犯し始めたのだ。やがて男が彼女の喉の奥を犯して絶頂に達して、性を吐き出すまでリエと呼ばれるアキコは堪え続けていた。

無理矢理初めてを奪われたわけでもない上に、金品と引き換えだったわけでもない。
どうして、そうしたのか?
どうして、そんなことを許したのか?
アキコは脱兎のごとく自宅に帰って一人シャワーを浴びながら泣いた。自分がろくでもない人間なのは分かっていたが、こんな意味もなく大事なものを捨てるような行為をするなんて、自分は狂っているのだろう。
泣きながら沢山の声が脳裏を掠める。

呪いだから……
お前がそうさせたんだ
キチガイ……

苦しくて仕方がないのに、そこから逃れる方法がみつからない。足掻いても更に落ちていく自分の姿しかか見えない。既に手の施しようがないほどに、呪いが染み付き自分が狂っているのだとしか答えが出てこない。それが辛くて深く絶望するしかないまま暫く泣き続けた。

あぁ私は私のことが誰よりも憎い……こんな産まれ方をして、こんな狂ったまま生きている自分が何よりも憎い。

結局その出来事は、話せるわけもなくて何一つ両親には漏らさなかった。
したことも、泣いたことすらばれないように誤魔化して、夕方過ぎに帰ってきた弟と両親を何食わぬ顔で迎え入れる。それだけで何一つばれないこともどうかと思うが、それ以上に何事もなかった風に笑顔でいられる自分は、やはり呪われていて狂っているのだとしかアキコには思えなかった。

そう思いながらアキコは、少しずつ年を重ねていく。
本当はずっと絵を描いたりするのが好きだったが、結局は美術の道に入ろうとはしなかった。自分で選べる色々な方法があったのは分かっている。しかし父親がそれまで勤めていた病院を、突如辞めたことを理由にして諦めた。それに本を読むことが好きで文章を書くことも好きだったけれど、それで食べていくには自分に自信もなかったし、狂っている自分がそんな望むような方向にすすめるとは思えなかったのだ。
それよりは、早く手に職をつける方が現実的だと思えた。
現実的な未来に向かって進むことで、自分がちゃんと現実を生きていると感じられる。それと同時に進学しようとしていた学校が、寮があるというのがアキコには都合がよかったと言うのもあった。あの一度の経験の後大きな渇望は収まっていたけれど、もし一人で暮らしていて不意に渇望が襲ってきたら次は最後まで全て投げ出してしまうに違いない。だから寮に入るのを前提に看護学校に入ることを決めたのだ。まだ当時は看護大学が少なかったので、金銭面でも考えて国立の専門学校を選んだこともあってアキコの希望は何も問題なく通っていく。
親元を離れて関東にある学校に通うため寮で生活をしていく、やがて短時間だけのバイトもしたけれど、普通に生きているならそれは当然だと思える。それをそつなくこなすことで、自分が他の人と同じくマトモであるとアキコは感じたかったのかもしれない。
そうして両親と離れて数年間の学生生活を過ごしたが、結局はアキコは自分を変えられなかった。表立っては穏やかに笑い顔を浮かべながら、内面では自分のことが誰よりも何よりも嫌いなまま、自分が狂っているとしか思えないまま。
そうして時折あの薄気味の悪い哭く声を夢現に聞きながら、時はユックリと過ぎていったのだ。
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