GATEKEEPERS  四神奇譚

文字の大きさ
上 下
146 / 206
第三部

第三幕 都立第三高校体育館、そして鳥飼邸

しおりを挟む
力一杯駆け回ると時々何かが心の奥底にそれが浮かんでくる。
風を切り自分の体で駆けている心音や呼吸の音。それを感じると、何かが体の奥深くから何かが沸き上がってくるような気がするのだ。自分が駆けているのは体育館の中で、足の裏には床があるのは知っているが、それでも何故か土の匂いや新緑や沢の匂いがした。

「仁!休め!」

三年になってからクラスメイトになった鈴木貴寛に再三止められているのは、仁が実は自分の限界が分からないから。同じくクラスメイトの久保絢も同じ部活の女子のリーダーで、仁が腰を下ろすとスポーツドリンクを手渡して時間を見た方がいいと何時も忠告されてもいる。それでも何故か駆け出すと自分でも分からないがあの感覚は心地よくて、それを無意識に繰り返してしまう。

「仁!!ストップ!!」

公式戦のレギュラーメンバーになるのは難しいと思っていたのだが、ただ仁は破格の運動神経なのでコーチも部活の顧問の内川も駆け出してしまうと中々止められない。それを悌順に止めるように頼まれている貴寛は、真面目に守ってくれているのだ。

「仁聖!ストップ!止まれ!!」
「貴寛。」

ライン傍に来た仁に飛び付くようにして貴寛が止めてきて、力ずくで仁を休憩させるのにギャラリーの女子は不満そうだ。ところが実際には既に一時間近くノンストップで全力疾走していたりする。休んで初めて自分が全力で走り続けていたのに気がついたらしい仁がコートの端で、ゼェゼェと息をつき脱力しているのに今度は絢が歩み寄ってタオルと冷たいスポーツドリンクを差し出す。

「はい、仁。」
「あーありがとう、絢。」

タオルで汗を拭いながら仁が走るの楽しくて駄目だなぁと笑うと、あんまり貴寛に心配かけると貴寛が禿げるよと絢は笑い、やっとの事で仁を止めた貴寛が禿げるのは嫌だと不貞腐れている。

「猪は神経質な動物なんだぞ?時計に神経質になれ!お前は!」

以前に猪突猛進かと叱責されて、そうかと納得したが、その後貴寛は猪について調べたようで、猪は臆病だから突っ込んでくるのだと知ったという。そういう意味では怯えて走るわけではない仁とは違うのだと言いたいわけで、時計に無頓着な仁を叱責しているのだ。

「ははっ、凄いな、貴寛が猪博士になってきた。」
「猪博士ってっ!あははっ!」
「笑うなよ!絢!ただでさえ最近、タイマーとか言われてんだぞ?!俺!」

絢まで吹き出して笑い出したのに、貴寛が顔を真っ赤にして怒り出す。余りにも仁を毎回止めるのが貴寛の係なものだから、最近では後輩達が貴寛をタイマー先輩なんて呼ばれて凹んでいるのだ。それでも仲の良い二人の姿を眺めているのは仁にとっては微笑ましいし嬉しいこと。早紀や孝が寄り添っているのだってそうだし、信哉と梨央が二人でいる姿も見ていると何故かそれでいいんだと仁には素直に思える。
こうして普通の空気の中で普通に過ごせている事が、どんなに素晴らしいことなのか普通に暮らしていると気がつかないという。仁にも自分が異質なことはよく分かっていて、既にその一端を知る人間も増えてきているのがいいことなのかどうなのか分からないのだ。

香坂智美と宮井麻希子。

最初に仁が記憶がないことを同級生で知ったのはあの二人だった。
自分を保護した信哉や他の三人と、少しだけ似た輝きを元々持つ二人。智美と麻希子はそれぞれ全く質の違う輝きだけど、どちらも周囲を照らしてくれる。それに麻希子の照らし方は他の誰とも違って相手の輝きも引き寄せるから、麻希子の傍にいると他にも輝きを持つ人間とちょくちょく出会う。

衛もそうだし、雪って人も、先輩にも、あの喫茶店に来る人もあの喫茶店の人も

そうして仁は人間の中にも輝きが幾つももあるのに気がつく。今まで知らなかった、新しく輝き出すものもいれば、既に輝いていたものもいる。でもそれを仁が口にしてしまったら自分が視ているものは何なのか、仁には何も説明が出来ない。説明できない上に仁がそれを口にしたら、何かが変わってしまいそうな気すらするのだ。仁はこのままここに居たいのに、そうできなくなりそうな予感が胸を突き動かす。だから、止まらず走りたくなってしまう。



※※※



それはタイミングが重なってしまったからだったと思う。
あの感覚に誘われて走りたくて仕方がない仁と、練習試合でどれだけ仁が動けるかを試したかったバスケットボールのコーチ。そしてここ最近悌順から散々色々な事を指摘されていて、悌順の頼みを素直には聞きたくなかった顧問の内川俊一。自分のクラスの生徒が街で大怪我をして退学したのを、教師として指導が不十分だったのでは?分かっていて放置したと不機嫌な悌順に言われたのは内川には面白くなかったのだ。元々教師としての考え方も違うし内川としたらもっと楽に仕事をしたいだけなのに、今時熱血漢なんて馬鹿馬鹿しい。そう考える内川に悌順が頼むと言ったことに、わざわさ従うなんて真っ平だったのだ。
幾ら練習試合でもこれがこの後のインターハイへの布石でもあって、試合に出るスタメンも決められるなら尚更で。貴寛だって練習中なら駆け回る仁を止められても、試合中にコートの仁を飛び込んで勝手に引き留める訳にはいかない。しかもコートの端でバスケ部以外の女子達が顧問の内川の周りでキャアキャアしていては、仁がずっと走っていることなんか誰も止められなかった。
そうして仁が力一杯駆け出すと、辺りは一瞬で違う空気に満ちていく。

ああ…………

一瞬で何もかもが人工的だった筈の空間から変容していく。まるでトンネルを潜るみたいに光が射して、柔らかな風が吹き付けてくる。

ああ……また…………

湿った土の匂いがする。どこかで嗅いだ懐かしい匂いに、新緑が芽吹いた時の青い草の匂いが重なる。信哉の家の辺でも学校でも似たような香りがすることはあるけど、それよりもずっと濃くて深い緑の匂いに、新鮮な沢を落ちる冷たい水の匂いが漂う。雪解けの水が土から何年もかけて滲み出して、渓谷を洗うほどの流れに変わるのが水の飛沫があげる匂いで分かる。

ここだ…………

駆け続けると風に頬が撫でられて心地いい。駆ければ駆ける程、ここが何処かが鮮明に変わっていくのが分かって楽しくて仕方がないのだ。自分はこの先のずっと奥に棗の古木があるのを知っている。熟すと紅く身をつけるその古木の根本は、昔からずっと自分のお気に入りの場所。そして自分はそこに向かって駆けていた。

駆ける。

鬱蒼とした木立に当たることもなく、山野を駆けているのは木立の方が自分自身を避けてくれるから。でもこうして駆けている脚は人間の足ではなく、まるで鹿のように屈強で地面を苦もなく跳ねる。辺りが木立に視えているのは自分自身が遥かに大きいからで、木が小さい訳でもないのは知っていた。知っているわけがないのに知っているのは、これが自分の奥底にあるものだから。体を覆う光る鱗がシャラシャラと軽やかな音をたてて、背に流れるような鬣は五色に光を宿している。生まれた時には生えていなかった角は、今では三本になろうとしていた。

ここをいつもの通り……

自分が通りすぎると山野の野生の動物達が、自分の事を視て頭を恭しく垂れるのもちゃんと知っている。

自分が…………

何を知っているのか、それはこうして駆けると更に鮮明になっていく。岩場も沢もたった一歩で跳ね、それでいて決して何も踏み潰すことのない足取り。虫も野の花すら踏むこともせずに駆け抜けると、野うさぎや栗鼠や、鹿や猪、狐も熊ですら頭を垂れて自分を見送る。その答えはたった一つ。

自分が…………彼らの長で王だから……

野生動物の種類なんか全く関係なく、生まれた時には自分は既に全ての獣達の長だから。一度死んで新しく生まれた時には、もう既に自分は全てのモノの長だった。それをこうして知っても自分は何も驚かない。
ただこれをこうして忘れていたのは、自分が完全な長になるために自分には足りないものが幾つかあるからだった。こうして生まれ落ち野山を駆け回る分には何も問題がなくても、それらを守る正しいい長になるには絶対に必要なもの。やがて駆けていく先に棗の古木が見えて、その周囲の草原が見え始める。

あそこは春になると油菜の花畑に変わる

誰も知らない、自分だけの場所。虫も動物も何も邪魔する事のない、自分だけの秘密の場所は、自分自身との確かな接点でもある。駆ける自分が心の中で呟く。そろそろ時がやって来るから、力を手にしないとならない時期だ。そのために彼らの力を借りないとならないのは、遥か昔に……

「仁!試合は終わったっ!!もう止まれ!!」

不意に夢から覚めたように腕を引き留められ、危なく仁は思い切り突き飛ばしてしまいそうになった自分に気がつく。我に返った仁を全力で引き留めているのは貴寛で、それこそ飛び付いて全力で腕を掴み仁を引き留めていた。
いつの間にか試合は終了していて、我に返れば自分は鞴のような今にも止まりそうな呼吸をしている。元々汗を他の奴等と比べても余りかかないが今は仁の頬を汗が滴り落ちていて、自分がどれだけの時間を全力で走ったか仁には分からない。ヒュウヒュウと掠れて声にもならない仁の様子に気がついていたのは貴寛と絢くらいで、後の生徒は勝利に沸き上がっている。普段だったら誰もが仁を見る筈なのに、まるで透明にでもなっているように誰もが声すらかけないのを貴寛達が気がついているかどうかはわからない。

「仁……お前。」

貴寛が酷く心配そうに見ていて絢も不安げな顔をしているのが分かったが、仁にはどうすることも出来なかった。
信哉の家にその後どうやって戻ったのか、仁も自分でもよく分からない。他の奴等が祝勝会と話していたが、それに誘われたかどうかもわからないし、恐らく誘われてはいないのだと思う。周囲が勝利の喜びに沸き上がっていた時と同じで、誰も仁には気がつかない。まるで居ないみたいに誰もが過ぎていくだけで、仁も正直今はその方がありがたかった。そして部屋に汗を流すこともなく籠った仁は自分が思い出した事を、どう判断していいかわからずにいる。

俺は…………何なんだろう?

何かを思い出すのなら両親とか、兄弟とか、住んでいた場所の筈だった。それなのに駆け続けて記憶が呼び覚ましたのは、獣達の長で王で、人間ではない生き物である自分。そんなのはあり得なくておかしいことくらい理解できるのに、同時にあれが真実なのも理解できてしまう。
野山を駆け回る足の動く筋肉のしなやかな感触、それに足の先にある蹄が岩を蹴る軽やかな音、そして周囲に溢れる様々な匂いは余りにも鮮明過ぎる。

俺は…………自分は…………

何故人間の体でここにいるのに、あの記憶は人間ではない別なものだったのだろう。そう考えると酷く悲しくなって来て、仁の瞳から涙が溢れ落ちていく。ここでの暮らしは楽しい、知らなかったことが沢山あって、穏やかで信じも出来る人達が大勢いる。だけどそれは人間だからこそで、記憶のままに信じてしまったら仁はもうここにはいられなくなってしまう。

「じーん、どした?今日バスケの試合だった………ろ………。」

何時もと変わらぬ様子で扉を開けて足を踏み入れた忠志が、声もなく涙を溢している仁の姿に立ち尽くす。忠志にしてみてもここまでの数ヵ月、信哉の家に暮らし一緒に過ごしてきた仁がこんな風に泣く姿なんて一度も見たことがないのだ。

「どうした?仁。」

鮮やかな赤く暖かな輝きを全身から放つ忠志が歩み寄って、仁の顔を覗きこみ心配そうに問いかける。その声に背後から信哉も続いて顔を出して状況に気がつくと目を丸くして、室内に足を踏み入れて仁にどうしたんだと同じように問いかけた。

…………答えられない

答えてしまったら、それが全て真実に変わると仁にも分かっていた。仁はこのままただの仁として、ここに居たいとだけ思っているのに。心の中でそう思うと、酷く悲しくて涙が止まらない。止まることなくボロボロと溢れ落ちる涙に二人は尚更心配して、仁の傍に来て具合が悪いのかと心配してくれる。

兄弟のように……

彼らはある意味では、仁の兄弟とも言える存在だ。言えるけれど、本質としては全く違う。こうして違うことが分かってしまうのは、もう時間がないという事を本能的に仁が分かり始めているからだ。

「仁、どうしたんだ?」

思い出さなければ良かったと、仁は二人を見上げながら心の中で呟く。思い出さなければ……



※※※



思い出してしまってから、学校に行くのが辛くなった。思い出してしまったら自分がそこにいるのが間違いだという気持ちに呑まれて、立ち上がれなくなってしまう。行けないと呟いた仁に、信哉は戸惑いはしたが分かったとだけ答えてそれ以上の追求はしない。せめて子供のように叱りつけられ学校に行くように押し付けてもらえればなんて都合のいいことを考えてしまうが、信哉がそうはしないことも分かっている。
つい先日怪我をしたせいで、ここ暫く夜の活動を休んでいる信哉に心配をかけるのは心苦しいけど。

記憶が戻ってからは、次第に人としての記憶の方が曖昧になり始めた……

怖くて仕方がない。次第に友人だった筈の同級生の名前が思い出しにくくなっていくのが、自分でもよく分かる。まるで抜け落ちていくみたいに、経験した出来事が抜け落ちていくのだ。そんなベットの上で一人頭を抱える仁に、コツコツとドアをノックする音が届く。

「仁。麻希ちゃんだぞ?」

麻希子。頭の中で名前を繰り返して、戸惑いながら扉から顔を出す。そこには心配そうに顔を強張らせクリクリした瞳を自分に向ける少女の姿。一瞬誰かなのか分からなかったが、彼女の放つ輝きに仁の記憶が揺すぶられる。
宮井麻希子。
同級生で自分の記憶喪失を真っ先に知って、忠告してくれた少女。何かあったら彼女に相談しろと信哉は話したし、彼女は戸惑うことなく自分を受け入れた。

「…………心配かけてごめん。」

呟くようにいうと、麻希子はまるで花が咲いたみたいに安堵して微笑んだ。その後でまるで全てを見透かしているみたいに、少しだけ首を傾げて困ったように改めて仁に微笑む。

「顔見れて、少し安心した。」
「うん…………。」

麻希子だと気がついたら、それ以外の誰でもない事は分かるのに、見るまで一瞬誰なのか分からなかった。そんな自分の中の変化を麻希子が見抜いている気がして、言葉にならない。

「仁、座ってろ。麻希ちゃんは紅茶でいいかな?」
「あ、すみません。」

麻希子が作った甘く香ばしい焼き菓子と、信哉がいれる芳しい紅茶の香り。何度も嗅いでいる筈なのに、抜け落ちてしまった記憶のせいか初めて嗅いだ気がする。記憶の中の緑や水や土の香りの方が鮮明過ぎて、自分が今何処に居るのか分からなくなってしまう。それでも心配そうに自分を見つめる麻希子の瞳を見ると、今ここにいるのは仁だと改めて思い出す。

「……皆、かわりないか?」
「心配してるよ、皆。」

皆が誰なのか分からない。そう答えたら麻希子はどんなに悲しい顔をするだろうと、仁は微笑みながらそっかと呟く。本当はもう一緒に体育館を駆けたのが誰だったのか、あそこを駆けていたのが本当に自分なのかも抜け落ちてしまっている。目の前の麻希子を忘れてしまうのも、後ほんの僅かの間のことなのだろうと思うとまた泣き出したくなるのに気がつく。もし自分がここから居なくなってしまったら、あっという間に皆は自分の事を忘れるに違いない。そう思うから余計にも悲しい。

「……もし、俺が居なくなったら……どうなるかな?麻希子。」

その問いかけに麻希子は困惑して大きな丸い瞳を更に大きくしながら、仁の事を真っ直ぐに見つめ返す。どうしてそんなことを聞くのとその瞳が問いかけているのに、思わず後少ししかないからと答えてしまいそうになる。

「仁、そういう質問は友達にするもんじゃない……。」

紅茶を私の前に置きながら信哉がやんわりと窘めたのに、仁はハッと我に返った。麻希子は何も知らないし自分が休んでいるから見舞いに来てくれたのであって、居なくなるなんて事は考えてもいないのが頭に過る。

「……ごめん。」

聞いてはいけないことを自分から問いかけてしまったのは、麻希子ならこの悲しい気持ちを何とか消してくれるような気がしたのだ。何時もなにかしら事件に巻き込まれても彼女は何故かそれを上手くおさめることが出来るし、いつの間にか誰もが笑顔に変わる。同級生で何人も麻希子が仲間に引き寄せてくれたのを感謝しているのは、仁だって見ていれば直ぐ分かるのだ。

香苗も早紀も孝も、智美も、五十嵐だってそうだ。

麻希子は誰にも等しく接して、いつの間にか居場所を作り出してくれる。自分にも……澤江仁にも同じように居場所を作り出してくれないかと、いつの間にか願ってしまう。それを自嘲気味に考えた瞬間、麻希子は真っ直ぐな視線を向けて口を開いた。

「……もし、仁君がお家に帰ることになったら、私手紙書くよ。」
「手紙?」
「仁君は日記とか、書いて、今日こんなことがあったって覚えてたらきっといいよ?それに、私はずっと、手紙かくから。」

麻希子は何故か仁が記憶を失いつつあるのを見透かしていた。それで忘れてしまってもいい、自分は覚えていて手紙を書くというのだ。仁のためだけに沢山かくからと言い、同時に仁も自分のために残しておくようにと勧める。それすらも明日には自分が忘れてしまうかもしれないのに、その言葉と優しい麻希子のような焼き菓子の味に仁はこのまま時が止まってくれたらいいのにと笑うしかできないでいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

未明の駅

ゆずさくら
ホラー
Webサイトに記事をアップしている俺は、趣味の小説ばかり書いて仕事が進んでいなかった。サイト主催者から炊きつけられ、ネットで見つけたネタを記事する為、夜中の地下鉄の取材を始めるのだが、そこで思わぬトラブルが発生して、地下の闇を彷徨うことになってしまう。俺は闇の中、先に見えてきた謎のホームへと向かうのだが……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

僕が見た怪物たち1997-2018

サトウ・レン
ホラー
初めて先生と会ったのは、1997年の秋頃のことで、僕は田舎の寂れた村に住む少年だった。 怪物を探す先生と、行動を共にしてきた僕が見てきた世界はどこまでも――。 ※作品内の一部エピソードは元々「死を招く写真の話」「或るホラー作家の死」「二流には分からない」として他のサイトに載せていたものを、大幅にリライトしたものになります。 〈参考〉 「廃屋等の取り壊しに係る積極的な行政の関与」 https://www.soumu.go.jp/jitidai/image/pdf/2-160-16hann.pdf

実体験したオカルト話する

鳳月 眠人
ホラー
夏なのでちょっとしたオカルト話。 どれも、脚色なしの実話です。 ※期間限定再公開

不労の家

千年砂漠
ホラー
高校を卒業したばかりの隆志は母を急な病で亡くした数日後、訳も分からず母に連れられて夜逃げして以来八年間全く会わなかった父も亡くし、父の実家の世久家を継ぐことになった。  世久家はかなりの資産家で、古くから続く名家だったが、当主には絶対守らなければならない奇妙なしきたりがあった。  それは「一生働かないこと」。  世久の家には富をもたらす神が住んでおり、その神との約束で代々の世久家の当主は働かずに暮らしていた。  初めは戸惑っていた隆志も裕福に暮らせる楽しさを覚え、昔一年だけこの土地に住んでいたときの同級生と遊び回っていたが、やがて恐ろしい出来事が隆志の周りで起こり始める。  経済的に豊かであっても、心まで満たされるとは限らない。  望んでもいないのに生まれたときから背負わされた宿命に、流されるか。抗うか。  彼の最後の選択を見て欲しい。

処理中です...