GATEKEEPERS  四神奇譚

文字の大きさ
上 下
59 / 206
第二部

第二幕 都立第三高校

しおりを挟む
微かに明け方の光のさす夜の空を窓辺から眺めながら黒曜石の瞳は何かを思う様に目を細めていた。
二人のゲートキーパーが姿を消した後で智美から聞かされた彼らとの結論に関しては、多くの部分で納得がいくものであり薄々彼自身も考え始めていた事でもある。友村礼慈は微かに残る星明かりを眺めながら微かな息をついた。冬の気配が漂い始めた夜気は微かな枯れ葉の匂いが混じり、厳しい季節の訪れを告げているかのような気がした。だが、自分達に訪れるモノはそれだけではない様な気がする。

人には感知できないものを見て感知する能力

そう言えば聞こえはいいかもしれない。それに感知するという事だけにおけば、様々な事を感知する事の出来る自分はある意味では四神すら上回る部分が僅かなりと存在する事も事実だ。特異な能力は彼自身にとっては産まれつきのもので、それは智美のあの人並み外れた知力や洞察力にも言えることなのかもしれないとも彼は思う。

自分達はある意味で、突然変異なのでしょうか…?

視線を動かす事もなくその青年は、誰かに問う様に心の中に言葉を漏らす。多くの事象は偶然ではなく必然であると礼慈は常に考えてきた。自分がこの能力を持って生まれた事も。彼等があの力を宿す事になったのも、そして智美がここに来ることになったのも、偶然だと思うにはあまりにも現実は残酷だ。偶然でなく必然であったと考える事で礼慈は、ある意味様々な気持ちに折り合いを付けてきたとも言える。そうしなければ彼自身ここまで平静な様子を保つことはできなかっただろう。何しろ彼自身の今までの人生はあまりにも普通とはかけ離れ過ぎているし、そのくせ彼自身の感性はあまりにも普通の人と変わりがない。選民意識でも強ければもっと違ったのかもしれないと礼慈は独り何度も思ったものだが、気質というものは変えようがないのだ。
様々な事象。
それが必然であり、全てが繋がる。そうして考えていくと、この院という組織の成り立ちも、ここに集まってくる程度の差はあるとはいえ様々な能力を分かつ者達も、何かの流れをくんでいるとも思える気がした。
四神の能力をもつ青年の一人が過去に彼等に話した「失ってきた何か」。そしてまた別の青年が口にした事のある「自分達の力は長い歳月の中で弱まっているのではないか」という言葉が、ふっとその心に影を落とす。

少しずつであっても、彼等の能力の破片が人に散るものだとしたら…私達の力も……。

朝日の差し始めた東の空を眺めながら青年は静かに一時冷えていく空気を感じながら微かに息をつく。昨日の事も含め多くの事はまだ仮定の話であって、何の確証も持たないことではある。だが、何時かはこの朝日が訪れるのと同じように真実は迷う事もなく四神の元に、そして自分達の元に向かってくるのかもしれない。青年は静かに坐したままその朝日を瞳に映しながら微かな溜息をついた。



※※※



屋敷の中で人が動き始める気配がして、彼は微かに息をつきながら音のない優美な動きで立ち上がる。日々は何か不穏な気配は滲ませているもののまた今日も同じように動き始めて、今彼に出来るのは何時もと同じように時間を過ごす事だけだ。
礼慈は静かに日課の様な建物の中に居る全ての者の様子を見まわしながら、昨夜も遅くまで活動して今日も学校をさぼる気でいる青年を起こしにかかる事にしていた。
一つ欠伸をしながら着替えをする青年の姿を眺めながら、ふとつい先ほど報告を受けた話を彼は口にした。
その言葉にサボる予定満々だった眠りに爽快な朝の目覚めとはいかず眠たげな瞳をした式読の視線が、微かに眼鏡越しに光りを帯び朝日に輝くのを見つめる。

「新しい能力者……ねぇ。」

その言葉は幾分猜疑的な声音すら含みながら、智美が普段の私室に使う純和風に不釣り合いのベットが置かれた室内に響く。
その室内に入れるのは礼慈くらいなものだが、智美はそれを気にするふうでもなく年頃の青年らしくない壁一面の簡素な書物ばかりの室内で溜め息を大げさについた。
院に訪れる能力者には様々なパターンがあるのは事実だが、その全てが此処に有益になるわけではない。ただ家族が持て余したという事も少なくはないというのが、実は昨今の現状だ。人間の本能が薄れると同時に能力の質自体も変化があるのかもしれないと智美は思っているが、それを証明する方法は著しく制限されている。四神のようにサーモグラフィーで熱源として判別することも、人間では不可能で利用出来ない。結局能力者同士で見極めるか、この目の前の星読が確認する。その位の方法しかないというのが現実で、どうにかそれを変えたいと思いながらもまだ方法の見つからないのだ。

「本当にありそう?礼慈。」

現在では様々に社会的にもバックアップがあるとはいえ、能力者は大部分が二度と社会生活に戻る事は出来ない事が多い。そういう観点からも智美は慎重にならざるを得ない事をその黒曜石の瞳をした青年はよく理解しながら微かに微笑む。

「会ってみる予定ではいますけど。」
「じゃ、一先ずそれは任せるよ。戻ったら結果を。」

高校生らしい様相をした栗色の髪をした青年が渋々鞄を手にそう言うのを眺めながら、今は彼の親代わりでもある青年は穏やかな有無を言わせぬ微笑みで彼を送り出していた。



※※※



送迎の黒の自家用車から降りて帰りは連絡すると告げ、暫し何かを思うように爽快な空を眺めながら智美は目を細めた。
自分の親代わりでもある青年の様子が、最近少しおかしいのは彼自身よく分かっている事だった。しかし、昨夜から今日に特にかけてはおかしい。それは四神である彼らとの会話の結論を伝えたせいであることは分かりきっていた。智美自身も薄々その可能性があるのではないかと思いはしていたが、それに要が関わるとなれば確立は更に高い。その全ての可能性の先にあるものは重く暗いものであるが、礼慈のように責任感が強すぎると余計な部分でまで思いを背負いかねない。平静を装っている彼を見るのは心苦しい事だが、自分とは違う見定める感覚を持つ礼慈にしてみれば、それは仕方がないのかもしれなかった。

全く…次から次に難問ばかりだ、異例にも程がある。

溜め息混じりに杖を突きながら歩を進めた智美は普段と同じように裏門の昇降口を通り、教師の端に開けられた自分の下駄箱に靴を納める。担任から車で通うから裏門に車をつけるように通学当初から言われていた。何しろ智美の乗る車は少々自家用車の範疇ではないらしく、一度クラスメイトの宮井を送るために乗せた時にも目を丸くされている。ところがこれが一番安いモノですと言い切られてしまったからには、智美にもどうしようもない。
そんなことを考えながら歩きだそうとした彼の前にありがたくもない素行の悪そうな同級生の姿が立ち塞がる。それを見つめ、智美はあからさまに呆れたような表情で大きく溜め息をつく。爽やかな空気をはらむ朝日の中を何時ものペースで何時もの生活で過ごすために、校舎に足を踏み入れた智美の視界を塞いだ人影。何時も車で登下校する智美の生活パターンは、さぞかし他の生徒に比べれば把握しやすいのだろう。
目の前にはガタイの良い同級生の男子生徒が五人。しかも、半円になって囲まれているから先に進むには彼らを叩きのめすか、ぶちのめすくらいか等と物騒な考えが浮かぶ。

どうも、今朝は自分もイライラしてるみたいだな…

何気なくそんなことを考えていると、先導しているらしい七組の黒木佑がふんぞり返って一歩前に出ると智美を睨む。それは物語に有りがちな若者の小競り合いの典型のようで、智美は染々と小説にあることって本当にやるやつかいるんだなと考えてしまう。大体にして、場所が悪い。ここは教師の下駄箱で遅くなったと教師が今からくる可能性も無くはないのだ。

お前達、ここ教師が来る可能性あるってわかっててやってるんだよな?馬鹿なのか?それともわざとか?

思わずそう言いたくなるが、こうして囲んでまで何が言いたいのかは正直興味がある。何しろこんな風に関わりのない相手に囲まれるのは二度目で、一回目の時は足が悪いのは嘘だろうという何とも的はずれな言いがかりだった。が、それは同じクラスだからこそ動き回る自分を視ていて成り立つ言いがかりで、今回の相手は直接智美が接触のない他のクラスだ。

「お前、今回の中間何位だったんだよ。」

お前呼ばわりされるいわれはないなと頭の中で考えている智美の一見少女のようにも見える視線に、何故か目の前の黒木は頬を赤らめる。心の中で冷静に男相手に何顔赤らめてんだ、キモ!と呟きながら、智美は顔色も変えず素直に一番だったと告げた。

「お前、中間でも満点だったらしいな。」

黒木の声が上ずって甲高く響いたのに、おやおや今度はそこをどう追求する気なんだと智美は目を細める。彼らは知りもしないだろうが、智美は幼稚園からほぼ隔離されて育てられた。何しろ教科書程度は一度読めば記憶されるから、学校どうこうの問題でもない。高校に通うことになったのは、親代わりの権限を持てるようになった礼慈が強行的に押し通してくれたからだ。まあ、お陰で予想だにしなかったのは、担任やら友人も出来たことで学校に通うことが楽しみになったことくらい。兎も角普通と違う生活で生きてきた智美にとっては、こうやって囲まれて言いがかりをつけられること事態実は新鮮な驚きなのだ。同い年の人間が何を不快に思うか、何に敵意を向けるのかを知るのが新鮮に思える。

「だったら?」

冷ややかに答えた声に、甲高い黒木の怒号が返された。

「お前、カンニングしてんだろ?!」
「黒木!」

背後から駆け寄ってきた鈴木貴寛の制止めいた声に、智美は何ともタイミングの悪い声のかけ方だなと眺める。だが、制止の響きを理解できなかった黒木の顔は、仲間が増えたと喜んでいて面白い。ワンテンポ後か先だったらヒーローっぽかったのになぁと言いたげな鈴木とは、今度は正反対の素晴らしいヒーロー登場タイミングで真見塚孝が背後から颯爽と智美に声をかける。

「智美。どうしたんだ?お前がカンニング?」
「おはよう、孝。朝から言いがかりだ。」

完全なヒーローのタイミングだ、孝。しかも背の高いイケメンが智美と黒木の間に割って入る。孝は足の悪い智美を囲む黒木から鈴木迄をジロリと呆れたような視線で睨み付けた。面白いくらいに完璧な登場に感心してしまう。しかし、教師がそれぞれの知識と裁量で作成したテストでカンニングで満点をとるには、事前に答えを知っておくしか方法がないのに気がついているのだろうか。作った教師の好みの出題傾向だってあるし、大体にしてカンニングで満点なんぞ連発したら疑われるとは思わないのだろうか。カンニングをするような人間なら恐らく満点ではなく、疑われないように逆に何問かは間違っておくに違いない。しかし、颯爽と現れた正義の味方然とした孝の姿と比較すると、黒木はまさに子悪党とかチンピラにしか見えず自分でも今更それに気がついたようだ。目の前で黒木の顔が赤黒く染まって、口をパクパクと喘がせている。流石にこれ以上面白いものは見れないと踏んだ智美が口を開く。

「もう、用は済んだかな?」

智美が平静な顔でサラリと告げるのに、黒木は無駄な足掻きをした。

「ま、まだ話は終わってないぞ!お前。」

その言い方に珍しく自分の勘に障るものを感じる。不意に智美の表情が冷ややかな物に変わって、綺麗な少女みたいな瞳が怯むこともなく黒木の顔を睨む。戸惑いながらその綺麗な顔に黙りこんだ黒木に向かって、予想外の智美の毒舌が口を開いた。

「黙って聞いてれば、さっきからお前お前と失礼だな。人の名前くらい、こうやって囲む前に覚えろよ、同級生の名前も覚えられない低能か?黒木佑。」
「智美、放っとけ。相手にするなって。」

他のクラスのしかも七組の男子の名前を接したこともない一組の智美が覚えてるなんて、智美を囲んでいる方には思いもよらなかったようだ。しかも直にフルネームで毒舌を吐かれた黒木自身まで、ポカーンとしている。それを孝が呆れたように智美を伴ってさっさと歩き出す。

「智美、お前一言が余計なんだよ。」
「低能に低能と言って何が悪い。」

苛立ち混じりに吐き捨てるように言うと、孝は苦笑いでそれが余計な一言と言う。その後教室に行ってまでクラスメイトの近藤にまで同じようなことを言われて不貞腐れた智美は、つい勢いで担任に向かってまで同じような毒舌混じりの返答を返したものだから、後で地味に生徒指導室で担任からお小言を喰らう羽目になってしまった。生徒指導室の中で正面切って悌順に詰め寄られ、智美はしくじったと内心ごちる。

「で、虐めってどう言うことだ?」
「たいしたことじゃないよ、満点連チャンはおかしいことらしいってのを学んだだけ。」

生徒指導室の中で担任でもある悌順は、不意に表情を普段とは変えて頬杖をついて呆れたように溜め息をつく。それは智美のよく知る方の顔で、彼の私的な表情でもある。

「別におかしかねぇって、誰しも得意なことがあんだよ。俺だって大会に一年で選抜になったからって、先輩に呼び出し喰らって囲まれたことくらいある。」

目の前の悌順は高校時代は有名な柔道の選手だったのだ。しかも、悌順は子供の頃から柔道をしていた訳でなく、中学までは陸上競技部をしていたから余計にポッと出てきた感は強かったろう。

「囲まれてどうしたの?」
「若気の至りだな、信哉と幼馴染みと三人でグループ一つ叩きのめした。お陰で自宅謹慎二日。お袋からは散々説教だぞ?」
「二日かぁ、やっぱり叩きのめしておく方が早いかな。」
「馬鹿いうな、お前それやったらここでお説教と礼慈を呼び出すからな。」

悌順の言葉にうへぇと言いたげに智美の表情が苦いものでも口にしたように変わる。七年ともなりつつある長い付き合いを盾にとられては智美としてもやりにくい。

「大体な、テストの満点くらい以前に同じような事を毎回してた奴もいる。三年間殆ど満点で過ごしてるぞ?」
「じゃ、今回に限って何で黒木佑はカンニングとか言いがかりつけてくるわけ?僕が普通と違うからってことだろ?」

智美が普通の基準が分からないから友村礼慈は、智美に学校に通うことが必要だと断言した。友人ができ様々なものの見方が分かったことに関しては、学校に通ったお陰と感謝するべきだと思っている。だが、自分の能力に関しては、自分が普通でないと余計実感するようになった。幼稚園の時にあまりにも記憶力がよすぎて、他人から気味悪い気持ち悪いと言われたことを思い出してしまう。

「あのなぁ、俺の知ってる奴がその毎回テストで満点をバンバンとるやつだったけど、カメラアイでもなきゃ特殊能力もない人間だぞ。だけど、とれるやつには案外簡単にとれるんだよ。」

ふうんと納得しない声をあげる智美に、悌順は呆れたように口を開く。

「お前は異質な訳じゃなく、まだ馴染んでないんだ。」
「馴染む?」
「俺の知ってる奴だって一年の頭の辺りは良く絡まれてた。カンニングだなんだって、な。でも、二年になったくらいには絡まれなくなってたぞ?」

その言葉に思わず智美は目を丸くする。その相手に一度会ってみたいと言うと、彼は苦笑いをして機会があればなと告げた。

「それで?どうやって絡まれなくなった?」
「何にもしてないとはあいつは言うけどな、今度聞いといてやるよ。」

興味を持った様子の智美に、再び苦笑いして悌順はそう返事を返していた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

未明の駅

ゆずさくら
ホラー
Webサイトに記事をアップしている俺は、趣味の小説ばかり書いて仕事が進んでいなかった。サイト主催者から炊きつけられ、ネットで見つけたネタを記事する為、夜中の地下鉄の取材を始めるのだが、そこで思わぬトラブルが発生して、地下の闇を彷徨うことになってしまう。俺は闇の中、先に見えてきた謎のホームへと向かうのだが……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

僕が見た怪物たち1997-2018

サトウ・レン
ホラー
初めて先生と会ったのは、1997年の秋頃のことで、僕は田舎の寂れた村に住む少年だった。 怪物を探す先生と、行動を共にしてきた僕が見てきた世界はどこまでも――。 ※作品内の一部エピソードは元々「死を招く写真の話」「或るホラー作家の死」「二流には分からない」として他のサイトに載せていたものを、大幅にリライトしたものになります。 〈参考〉 「廃屋等の取り壊しに係る積極的な行政の関与」 https://www.soumu.go.jp/jitidai/image/pdf/2-160-16hann.pdf

実体験したオカルト話する

鳳月 眠人
ホラー
夏なのでちょっとしたオカルト話。 どれも、脚色なしの実話です。 ※期間限定再公開

不労の家

千年砂漠
ホラー
高校を卒業したばかりの隆志は母を急な病で亡くした数日後、訳も分からず母に連れられて夜逃げして以来八年間全く会わなかった父も亡くし、父の実家の世久家を継ぐことになった。  世久家はかなりの資産家で、古くから続く名家だったが、当主には絶対守らなければならない奇妙なしきたりがあった。  それは「一生働かないこと」。  世久の家には富をもたらす神が住んでおり、その神との約束で代々の世久家の当主は働かずに暮らしていた。  初めは戸惑っていた隆志も裕福に暮らせる楽しさを覚え、昔一年だけこの土地に住んでいたときの同級生と遊び回っていたが、やがて恐ろしい出来事が隆志の周りで起こり始める。  経済的に豊かであっても、心まで満たされるとは限らない。  望んでもいないのに生まれたときから背負わされた宿命に、流されるか。抗うか。  彼の最後の選択を見て欲しい。

処理中です...