651 / 693
間章 ソノサキの合間の話
間話97.初めて……だから
しおりを挟む
2人の関係が少しだけ変わって、真っ先にしたのはベットを買い換えることだった。いや、まだ2人暮らしになってほんの少しじゃないかと思われても構わない。介護用に買ったベットの方はレンタルだから返してしまえば良いだけの事だし、自分の部屋のベットだってソファーベットに過ぎないから、買うのには何にも問題ないと邑上悠生は購入を押しきった。まぁ完全に大人の男2人が悠々と寝るとしたらキングサイズになるけれど、そのサイズのベットを入れると邑上誠の部屋が大分狭くなってしまうのでやむ無くクイーンサイズのベットにしたことにしている。
お陰でくっついてだっこして寝れるし
ホクホクとしながら毎晩誠を抱き締めて、悠生がそう思いながら嬉々として寝ているのは言うまでもない。それにしても未だに誠は悠生の愛情表現に慣れてくれなくて、何か言うとあっという間に真っ赤になってしまう。『好き』も『愛してる』も言われ慣れなくて、当然キスもあっという間にヘニャヘニャになってしまう有り様だ。
ホントに経験あるのかなぁ…………
確かに暴君の誠が足元に他人を跪かせて、足を舐めさせたり他の人間のセックスを冷ややかに見つめているのは見たことがある。でもよくよく考えれば悠生はこんなにも誠と長年接していても、誠が誰かに入れているとか入れられているなんて場面には出くわしたことがない。まぁ歳が離れてたし仲も良いわけではなかったのだし、親子ほど離れていたとは言え、普通の親子のように暮らしたわけでもないから寝室を突然開けるなんて事はしたこともないけど。
「ねぇ、誠ー?」
「ん?」
抱き上げられ布団にくるまれて腕の中から自分を見上げてくる誠の無垢で無防備な可愛い上目遣いに、思わず悶絶しそうになってしまう。なんでこんなに可愛いのか訳がわからないが、他にもこんな顔を…………あぁこれを考えてしまうと、どうしても父親の存在が頭を過ってムカついてくる。
誠は祐市は自分を何とも思っていなかったと話した
何とも思っていないのに身体の関係?と問い返したら、誠が出来損ないだったら義理の父親に壊されないようやむ無く抱いたなんて事をいう。しかもマトモに抱いたというよりは、物のように性欲処理の道具にされていただけだとも。
こんなに可愛い誠を道具?!道具ってどう言うこと?!
そう悠生が余りにも激怒したものだから、誠は完全に混乱してしまって危なく泣き出してしまうところだった。だから誠が彼らからどんなことをされていたのか全部を聞き出すことは出来なくて、そして悠生はそれに関してはちょっと悶々としている。
調教師………………調教ってなに…………?人間を調教?SMみたいなの?
誠の前の姿を見ているから何となくはSMは分かるし、誠の身体に幾つも残っている傷跡を見れば気持ち良いことだけをされていた訳じゃないのは分かる。でも、身体にあんなに幾つも傷跡を残すような事を、義理の兄とか父親がしていたといわれると反吐が出そうだ。だって同じく血の繋がりがなく育てられた悠生は、誠から何一つ虐待されたことはない。ある意味では宝物みたいに大切に怪我もしたことがないし傷ひとつなく育てられ、しかも苦労ひとつしたことすらない自分。
きっと誠が一人で必死に育ててくれてた…………
それに今更気がついてしまうと誠を抱き締めてスリスリと肌を擦り付けながら、『好き』と叫びだしたくなる。それにしても誠は何をどうされてきていて、どうしてこんな風に普通の恋人同士みたいなことには免疫がないのか。実はセックスにしたって、ホントに経験があるのかなぁと毎回不思議になってしまう。何しろ誠は悠生に入れられると、本当にグズグズに蕩けてしまって可愛いったらない。
「誠ー聞いて良い?」
「なに?さっきから。」
「誠、さ?」
あ、何を言われるんだろうと誠が構えている。最近悠生が改めて何でもかんでも誠の事を知りたがるようになって、しかも何でも率直に問いかけられてしまうから、誠は何を聞かれるんだと少し緊張しているのだ。それに誠は少しずつ良くなっているとは言え、まだ頭の中で思った通りのことを全てスムーズに言葉には出来ない。手足が動かないのと同じで、頭の中で思っても言葉にするとつっかえてしまう。そのお陰で少しフラストレーションもたまるらしくて、ニャーッ!!!となって(それも悠生には見ていてちょっと可愛いと思うのはここだけの話しだけど)しまうのだ。
「してほしいこと、ちゃんと言えてる?」
「んん?」
「俺にこうして、とか、してほしいとか?」
だからなるべく『イエス』か『ノー』で答えられるように、質問を変えて少しずつ中心に触れていくように悠生も気を付けている。具体的で答えやすいように、質問を噛み砕いて、誠がうんかううんで答えられるように。
「ん、いえ、てる。」
「じゃ、キスは?してほしい?」
「ふぁ?!」
して欲しいか欲しくないかと問いかけられ、ジュワジュワと真っ赤になっていく誠を眺めながら聞いてみる。ベットの中なんだし、この話題はそれ程場違いでもないし、色々と疑問だらけなのは事実だし。ホントに百戦錬磨くらいの経験があるなら、悠生のキス一つくらい大したこと無さそうだ。それでも誠は毎回真っ赤になって照れてしまうし慣れてないと踏んでいるのだけど、それだと最初の前提がまるで成り立たなくなってしまうし。
「…………し………………て、…………もぃ……。」
この素直じゃない感じの答えは、確かに誠らしいとは思う。『して欲しい』んじゃなくて、『しても良い』なところが悠生のよく知る誠なんだよなぁとは。でも何でこんなに真っ赤になって照れるのかが、噛み合わない訳で。
「嫌ならしないよ?俺。」
「や………………じゃないっ!!…………し」
うん、ここも、やっぱり誠だ。力一杯嫌じゃないという癖に、それでもしてとは言わないところが。それなら他の普通の恋人同士がするようなのは?そう言えばこれまでまだ余り悠生の方に精神的な余裕がなくて、してないことは山ほどある。
「ならさ?誠、俺にここ舐められても良い?」
突然両手で誠の細い身体を脇に手を差し込むように抱えて、両手の親指で服の下の突起をクリッと捏ねる。ヒャッ!と間高く甘い声をあげた誠は悠生が乳首を舐めても良い?と問いかけたのに気がついて、再びブワワッと頬を染めたのを見つめる。今のところ裸にした時に指で摘まんだりはしたけれど、まだこのツンと硬くなる可愛いのを舐めたり吸ったりはしてないから。
「ひ、にゃ、にゃ、にいって、おま、」
既に言語崩壊してしまった誠は、絶句しているようにパクパクと口を動かしているけどマトモに言葉が出てこない。いやいや、恋人同士ならセックスの時乳首を舐めたり吸ったりするでしょ?しかもSMしてる人達ならクリップつけたり、ピアスしたりしてるし?そう問いかけたら、誠は何でか顔を両手で覆ってしまった。いや、ほんと誠ってこういうこと経験あるの?ある筈だよね?あるって言ってたよね?記憶がないから免疫がないの?そう悠生の顔に出ているのか、誠は指の合間からウルウルお目目で睨み付ける。
「おまえ、エロ、過ぎ!!」
「はぁあ?!乳首舐めるなんて今時普通でしょ?!大体にして俺、誠のをフェラチオすらしてないよ?!」
「ば、ばかっ!そんなの!!」
えええ?なに?何で?何処の箱入り娘なの?!と叫んだ悠生に、誠は絶句して真っ赤になったかと思うと言葉に出来なくて最後の手段みたいにポコポコと叩きながら『バカ』を繰り返す。いや、調教されて性的に色々されてきたんじゃないの?それなのに何で普通のセックスでもしてることに、そんなに羞恥心強いの?!思わず叩いてくる両手を手首を掴んでベットに押し付ける。
「や、やぁ!ゆ、ぅき!」
華奢で柔らかな身体が腕の下でジタバタと踠くのが、ダイレクトに甘い刺激になって悠生の腰に伝わる。何でか色々なことを誠が言葉がでないからと誤魔化している気がするのに、悠生は目を細めて誠の潤んだ瞳を真正面から覗き込む。
「誠?」
「ふぁ?」
「誠は、セックスの経験あるんだよね?」
それは別に答えなくても、あの使い込まれフックリと淫らに膨れて縦に割れている穴を見れば分かることだ。それでも噛み合わないことが多過ぎるのに悠生が冷ややかに見下ろして口を開いたのに、誠は戸惑いながら『ある』と小さく呟き返す。
「なら、キスは?」
「ある。」
憮然とした声で何を言ってると言いたげな顔をするけど、ふとその顔に望んでしてた訳じゃないと書いている気がして質問を変えて責めてみる。
「なら、好きな人とのキスは?ある?」
その問いかけに誠が目を見張ったのに気がつく。あぁ、そういうことか。今更だけど理解出来た気がする。誠は好きでもない相手とのキスは数えきれない程したことがあるのだけれど、自分のように好意を向けてきて誠が受け入れたような相手とのキスをしたことがないのだ。つまりは恋人同士のキスをしたことがないし、悠生のように『キスして良い?』なんて聞いてからするようなこともない。常に乱暴に傷つけられながらするキスは経験があっても、悠生のするような恋人のキスの経験がないんだ。
「ぅ、ぁ、……あ…………る。」
「誠は嘘が下手になったよ?ないんでしょ?」
グッと言葉に詰まる誠がプルプル震えながら上目遣いに潤んだ瞳で睨むけれど、何とか経験があると虚勢を張ろうにも今の誠はそういうことが上手く出来ない。可愛く震えて睨んでも、『経験がない』のをもう隠しようがないのだ。それなら、と頭の中で意地悪く囁く声がする。
「なら乳首は?何かされた経験あるの?」
「ある、にきまってる。」
「そう、なら俺が舐めても問題ない。」
プチプチと前を開かれるのに、悠生の片手で両手を括られた誠が驚いて踠く。組み敷かれ乱暴にされることには慣れていても、誠が無理矢理行動に出るのは余りない。だから誠は少し慣れて安心しきってもいたから、裸にしてしまうのはとても容易くて、しかも悠生の視線に頬を染めて濡れ始めていて。
「ここ、どんな風にされたことあるのか、試して良い?」
「や、やぁ!!やーっ!!」
その癖視線にピンッと硬く尖って、親指の腹に転がされると腰が揺れる。でも痛め付けたりはしないし、指の腹で優しく捏ねて転がして揉みほぐして。その刺激に股がったまま押さえ込まれている誠の腰がビクリと跳ねる。
「ん、はぁ、んん、あ、ん。」
「恋人にするから、痛いことはしない。でも普通に擦ったり舐めたりは、いい?」
「ふ?!あ?こ、ぃ…………びと?!」
その言葉に激しく反応した誠にやっぱりと思う。羞恥心とか痛みとか、そういうことでは沢山刺激されてきた誠は、そういうことには経験値が高くてそれを快感に切り替えることも出来る。でも、事それが悠生がするような恋人同士の甘い愛撫となると、全く何一つ免疫がないのだ。
…………自分の歳ぐらいの頃に、性的に奴隷にされたって言った…………
義理の兄に惚れていて、その義理の兄と父親に犯された誠。その後ずっとその生活を続けてここまで生きてきた誠。本当は同性愛者でもなかった筈なのに、その調教でねじ曲げられて生きてきた誠。
誠は恋人はいたの?
誰かに恋をして、その人と付き合ったことは?誰かに『好き』と伝えたり、愛している人とセックスしたことは?もしかして悠生に言われて、こんなにパニックになる程真っ赤になって恥ずかしがるのって?
「誠、ねぇ?これまで、誰かと付き合ったことある?」
「あ、るに決まってる。」
それは確かにそう答える筈だ。少なくとも自分の中では恋人的に扱う人間くらいいた筈だとは思うけど、でもそれって実際にはどうなの?『好き』と言い合って付き合った恋人なの?奴隷として身体を差し出してきただけなんじゃないの?
「なら、舐めてもいいよね?」
顔を近づける悠生に誠は泣き出しそうになりながら頭を振るけれど、甘くて美味しそうに尖ったそこを諦めるつもりなんかない。舌の先でつつくと誠はブルブル震えていて、舌を擦り付けるだけで背筋をピンッと仰け反らせていた。
「や、ぁ!あ!んんっ!あ!」
チュッチュッと乳を飲むように音を立て吸い上げ、口の中に含み先端を舌で舐め回してしごく。それだけで誠は今にも蕩けてしまうような甘い声をあげて、初めての刺激だと証明するみたいにガクガクと腰を震わせている。
「や。あ、あぁ!!あーっ!やぁ、あぁんっ!」
誠は言葉とは裏腹に可愛すぎる初心な仕草で泣きながら、悠生に執拗に乳首をネットリ舐め回されプルプル震えながら歓喜の声をあげる。やがてソコだけで歓喜に前をじっとり湿らせてしまったのに、悠生は意地悪く目を細めて誠を見おろした。
「おかしいよね?まるで初めてみたい。誠。」
「ち、……が………………んっ。」
勿論違うというのも本当だろうし、初めてみたいなのも本当。何度も望まない事で快感を感じさせられてきたのだろうけど、今の誠は悠生から愛されて愛撫されるのは初めてだから。
お陰でくっついてだっこして寝れるし
ホクホクとしながら毎晩誠を抱き締めて、悠生がそう思いながら嬉々として寝ているのは言うまでもない。それにしても未だに誠は悠生の愛情表現に慣れてくれなくて、何か言うとあっという間に真っ赤になってしまう。『好き』も『愛してる』も言われ慣れなくて、当然キスもあっという間にヘニャヘニャになってしまう有り様だ。
ホントに経験あるのかなぁ…………
確かに暴君の誠が足元に他人を跪かせて、足を舐めさせたり他の人間のセックスを冷ややかに見つめているのは見たことがある。でもよくよく考えれば悠生はこんなにも誠と長年接していても、誠が誰かに入れているとか入れられているなんて場面には出くわしたことがない。まぁ歳が離れてたし仲も良いわけではなかったのだし、親子ほど離れていたとは言え、普通の親子のように暮らしたわけでもないから寝室を突然開けるなんて事はしたこともないけど。
「ねぇ、誠ー?」
「ん?」
抱き上げられ布団にくるまれて腕の中から自分を見上げてくる誠の無垢で無防備な可愛い上目遣いに、思わず悶絶しそうになってしまう。なんでこんなに可愛いのか訳がわからないが、他にもこんな顔を…………あぁこれを考えてしまうと、どうしても父親の存在が頭を過ってムカついてくる。
誠は祐市は自分を何とも思っていなかったと話した
何とも思っていないのに身体の関係?と問い返したら、誠が出来損ないだったら義理の父親に壊されないようやむ無く抱いたなんて事をいう。しかもマトモに抱いたというよりは、物のように性欲処理の道具にされていただけだとも。
こんなに可愛い誠を道具?!道具ってどう言うこと?!
そう悠生が余りにも激怒したものだから、誠は完全に混乱してしまって危なく泣き出してしまうところだった。だから誠が彼らからどんなことをされていたのか全部を聞き出すことは出来なくて、そして悠生はそれに関してはちょっと悶々としている。
調教師………………調教ってなに…………?人間を調教?SMみたいなの?
誠の前の姿を見ているから何となくはSMは分かるし、誠の身体に幾つも残っている傷跡を見れば気持ち良いことだけをされていた訳じゃないのは分かる。でも、身体にあんなに幾つも傷跡を残すような事を、義理の兄とか父親がしていたといわれると反吐が出そうだ。だって同じく血の繋がりがなく育てられた悠生は、誠から何一つ虐待されたことはない。ある意味では宝物みたいに大切に怪我もしたことがないし傷ひとつなく育てられ、しかも苦労ひとつしたことすらない自分。
きっと誠が一人で必死に育ててくれてた…………
それに今更気がついてしまうと誠を抱き締めてスリスリと肌を擦り付けながら、『好き』と叫びだしたくなる。それにしても誠は何をどうされてきていて、どうしてこんな風に普通の恋人同士みたいなことには免疫がないのか。実はセックスにしたって、ホントに経験があるのかなぁと毎回不思議になってしまう。何しろ誠は悠生に入れられると、本当にグズグズに蕩けてしまって可愛いったらない。
「誠ー聞いて良い?」
「なに?さっきから。」
「誠、さ?」
あ、何を言われるんだろうと誠が構えている。最近悠生が改めて何でもかんでも誠の事を知りたがるようになって、しかも何でも率直に問いかけられてしまうから、誠は何を聞かれるんだと少し緊張しているのだ。それに誠は少しずつ良くなっているとは言え、まだ頭の中で思った通りのことを全てスムーズに言葉には出来ない。手足が動かないのと同じで、頭の中で思っても言葉にするとつっかえてしまう。そのお陰で少しフラストレーションもたまるらしくて、ニャーッ!!!となって(それも悠生には見ていてちょっと可愛いと思うのはここだけの話しだけど)しまうのだ。
「してほしいこと、ちゃんと言えてる?」
「んん?」
「俺にこうして、とか、してほしいとか?」
だからなるべく『イエス』か『ノー』で答えられるように、質問を変えて少しずつ中心に触れていくように悠生も気を付けている。具体的で答えやすいように、質問を噛み砕いて、誠がうんかううんで答えられるように。
「ん、いえ、てる。」
「じゃ、キスは?してほしい?」
「ふぁ?!」
して欲しいか欲しくないかと問いかけられ、ジュワジュワと真っ赤になっていく誠を眺めながら聞いてみる。ベットの中なんだし、この話題はそれ程場違いでもないし、色々と疑問だらけなのは事実だし。ホントに百戦錬磨くらいの経験があるなら、悠生のキス一つくらい大したこと無さそうだ。それでも誠は毎回真っ赤になって照れてしまうし慣れてないと踏んでいるのだけど、それだと最初の前提がまるで成り立たなくなってしまうし。
「…………し………………て、…………もぃ……。」
この素直じゃない感じの答えは、確かに誠らしいとは思う。『して欲しい』んじゃなくて、『しても良い』なところが悠生のよく知る誠なんだよなぁとは。でも何でこんなに真っ赤になって照れるのかが、噛み合わない訳で。
「嫌ならしないよ?俺。」
「や………………じゃないっ!!…………し」
うん、ここも、やっぱり誠だ。力一杯嫌じゃないという癖に、それでもしてとは言わないところが。それなら他の普通の恋人同士がするようなのは?そう言えばこれまでまだ余り悠生の方に精神的な余裕がなくて、してないことは山ほどある。
「ならさ?誠、俺にここ舐められても良い?」
突然両手で誠の細い身体を脇に手を差し込むように抱えて、両手の親指で服の下の突起をクリッと捏ねる。ヒャッ!と間高く甘い声をあげた誠は悠生が乳首を舐めても良い?と問いかけたのに気がついて、再びブワワッと頬を染めたのを見つめる。今のところ裸にした時に指で摘まんだりはしたけれど、まだこのツンと硬くなる可愛いのを舐めたり吸ったりはしてないから。
「ひ、にゃ、にゃ、にいって、おま、」
既に言語崩壊してしまった誠は、絶句しているようにパクパクと口を動かしているけどマトモに言葉が出てこない。いやいや、恋人同士ならセックスの時乳首を舐めたり吸ったりするでしょ?しかもSMしてる人達ならクリップつけたり、ピアスしたりしてるし?そう問いかけたら、誠は何でか顔を両手で覆ってしまった。いや、ほんと誠ってこういうこと経験あるの?ある筈だよね?あるって言ってたよね?記憶がないから免疫がないの?そう悠生の顔に出ているのか、誠は指の合間からウルウルお目目で睨み付ける。
「おまえ、エロ、過ぎ!!」
「はぁあ?!乳首舐めるなんて今時普通でしょ?!大体にして俺、誠のをフェラチオすらしてないよ?!」
「ば、ばかっ!そんなの!!」
えええ?なに?何で?何処の箱入り娘なの?!と叫んだ悠生に、誠は絶句して真っ赤になったかと思うと言葉に出来なくて最後の手段みたいにポコポコと叩きながら『バカ』を繰り返す。いや、調教されて性的に色々されてきたんじゃないの?それなのに何で普通のセックスでもしてることに、そんなに羞恥心強いの?!思わず叩いてくる両手を手首を掴んでベットに押し付ける。
「や、やぁ!ゆ、ぅき!」
華奢で柔らかな身体が腕の下でジタバタと踠くのが、ダイレクトに甘い刺激になって悠生の腰に伝わる。何でか色々なことを誠が言葉がでないからと誤魔化している気がするのに、悠生は目を細めて誠の潤んだ瞳を真正面から覗き込む。
「誠?」
「ふぁ?」
「誠は、セックスの経験あるんだよね?」
それは別に答えなくても、あの使い込まれフックリと淫らに膨れて縦に割れている穴を見れば分かることだ。それでも噛み合わないことが多過ぎるのに悠生が冷ややかに見下ろして口を開いたのに、誠は戸惑いながら『ある』と小さく呟き返す。
「なら、キスは?」
「ある。」
憮然とした声で何を言ってると言いたげな顔をするけど、ふとその顔に望んでしてた訳じゃないと書いている気がして質問を変えて責めてみる。
「なら、好きな人とのキスは?ある?」
その問いかけに誠が目を見張ったのに気がつく。あぁ、そういうことか。今更だけど理解出来た気がする。誠は好きでもない相手とのキスは数えきれない程したことがあるのだけれど、自分のように好意を向けてきて誠が受け入れたような相手とのキスをしたことがないのだ。つまりは恋人同士のキスをしたことがないし、悠生のように『キスして良い?』なんて聞いてからするようなこともない。常に乱暴に傷つけられながらするキスは経験があっても、悠生のするような恋人のキスの経験がないんだ。
「ぅ、ぁ、……あ…………る。」
「誠は嘘が下手になったよ?ないんでしょ?」
グッと言葉に詰まる誠がプルプル震えながら上目遣いに潤んだ瞳で睨むけれど、何とか経験があると虚勢を張ろうにも今の誠はそういうことが上手く出来ない。可愛く震えて睨んでも、『経験がない』のをもう隠しようがないのだ。それなら、と頭の中で意地悪く囁く声がする。
「なら乳首は?何かされた経験あるの?」
「ある、にきまってる。」
「そう、なら俺が舐めても問題ない。」
プチプチと前を開かれるのに、悠生の片手で両手を括られた誠が驚いて踠く。組み敷かれ乱暴にされることには慣れていても、誠が無理矢理行動に出るのは余りない。だから誠は少し慣れて安心しきってもいたから、裸にしてしまうのはとても容易くて、しかも悠生の視線に頬を染めて濡れ始めていて。
「ここ、どんな風にされたことあるのか、試して良い?」
「や、やぁ!!やーっ!!」
その癖視線にピンッと硬く尖って、親指の腹に転がされると腰が揺れる。でも痛め付けたりはしないし、指の腹で優しく捏ねて転がして揉みほぐして。その刺激に股がったまま押さえ込まれている誠の腰がビクリと跳ねる。
「ん、はぁ、んん、あ、ん。」
「恋人にするから、痛いことはしない。でも普通に擦ったり舐めたりは、いい?」
「ふ?!あ?こ、ぃ…………びと?!」
その言葉に激しく反応した誠にやっぱりと思う。羞恥心とか痛みとか、そういうことでは沢山刺激されてきた誠は、そういうことには経験値が高くてそれを快感に切り替えることも出来る。でも、事それが悠生がするような恋人同士の甘い愛撫となると、全く何一つ免疫がないのだ。
…………自分の歳ぐらいの頃に、性的に奴隷にされたって言った…………
義理の兄に惚れていて、その義理の兄と父親に犯された誠。その後ずっとその生活を続けてここまで生きてきた誠。本当は同性愛者でもなかった筈なのに、その調教でねじ曲げられて生きてきた誠。
誠は恋人はいたの?
誰かに恋をして、その人と付き合ったことは?誰かに『好き』と伝えたり、愛している人とセックスしたことは?もしかして悠生に言われて、こんなにパニックになる程真っ赤になって恥ずかしがるのって?
「誠、ねぇ?これまで、誰かと付き合ったことある?」
「あ、るに決まってる。」
それは確かにそう答える筈だ。少なくとも自分の中では恋人的に扱う人間くらいいた筈だとは思うけど、でもそれって実際にはどうなの?『好き』と言い合って付き合った恋人なの?奴隷として身体を差し出してきただけなんじゃないの?
「なら、舐めてもいいよね?」
顔を近づける悠生に誠は泣き出しそうになりながら頭を振るけれど、甘くて美味しそうに尖ったそこを諦めるつもりなんかない。舌の先でつつくと誠はブルブル震えていて、舌を擦り付けるだけで背筋をピンッと仰け反らせていた。
「や、ぁ!あ!んんっ!あ!」
チュッチュッと乳を飲むように音を立て吸い上げ、口の中に含み先端を舌で舐め回してしごく。それだけで誠は今にも蕩けてしまうような甘い声をあげて、初めての刺激だと証明するみたいにガクガクと腰を震わせている。
「や。あ、あぁ!!あーっ!やぁ、あぁんっ!」
誠は言葉とは裏腹に可愛すぎる初心な仕草で泣きながら、悠生に執拗に乳首をネットリ舐め回されプルプル震えながら歓喜の声をあげる。やがてソコだけで歓喜に前をじっとり湿らせてしまったのに、悠生は意地悪く目を細めて誠を見おろした。
「おかしいよね?まるで初めてみたい。誠。」
「ち、……が………………んっ。」
勿論違うというのも本当だろうし、初めてみたいなのも本当。何度も望まない事で快感を感じさせられてきたのだろうけど、今の誠は悠生から愛されて愛撫されるのは初めてだから。
0
お気に入りに追加
249
あなたにおすすめの小説


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる