鮮明な月

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間章 ソノサキの合間の話

間話73.月みたいな人

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そうしてそのまま榊恭平と榊仁聖の2人は、ベットの上で戯れ続けジャレあって…………スキンシップからの勢いで事に雪崩れ込んだのは、まぁ想像に難しくない事だろう。イチャイチャと仁聖に懐かれスキンシップだよと戯れている内に、次第に恭平の方もその気になってしまったのだ。そうなると何故か仁聖は直ぐ様嗅ぎ付けるみたいに、恭平の欲情には気がついてしまう。そうして背後から抱き締めながら、『していい?』と甘く低い声で耳元を擽るように囁く。その声はここのところ一際恭平の本能的な欲望を強く刺激してくるから、一瞬で身体の芯に火が着いたようにも感じてしまう。

「ね?いい?恭平…………触っても…………。」

そう聞かれる時には既に身体の奥にチリチリと欲望の火が着いていて、正直に言えば早く触ってと恭平の方が先に強請りたくなっている。それがまるで恭平の瞳の奥に浮かんでいるのがスッカリ見えているみたいに、仁聖は甘く柔らかに微笑んで恭平が着ていた服に手を掛けてくる。プチプチとボタンを外され、前を露にされて 

「綺麗…………ここ、ほら……反応してる…………。」

前を開かれ身体を眺められてそんなことを囁かれるのに、裸にされる恭平の頬が薔薇色に染まっていく。白磁の肌にホンノリと色付くような乳首、触れてもいないのに微かに蜜を浮かばせて下折たつ淫らな陰茎。手際よくスルスルと服を脱がし全てをさらけ出してしまったら、恭平が欲情しているのなんて隠しようがない。

「エッチ……だね、凄く欲しがって…………。」

そう囁かれながら唇に口付けられ乳首に触れられた結果、恭平自身が自らすすんで望み仁聖の囁く声に従い脚を大きく左右に広げてしまう。その後は淫らでグズグズに蕩けてしまうような仁聖の指先と唇が、恭平の性感帯を執拗な程にいやらしく責め立ててくる。何度も何度もうねるような強い快楽の波が迫ってきて、恭平は喘ぎなのか泣き声なのか分からない甲高い声をあげていた。

「あぁ……凄い…………エロい……我慢できない…………。」

その言葉に我慢なんかしなくていいからと喘ぎながら声を返したのは恭平の方で、仁聖は一気に男っぽい色気を漂わせながら襲いかかってくる。そして激しく深々と仁聖の熱を受け止め、恭平はあっという間に快楽の高みに上り詰めていく。



※※※



ベットの上で乱れる白磁の肢体。仁聖がする愛撫に反応してヒクヒクと痙攣のようにその身体は小刻みに震え、時に強い快感に眉を寄せて指を噛み声を圧し殺そうとしている仕草を見せる。

なんて色っぽくて、エッチで、綺麗なんだろう…………

淫らで美しい艶やかな媚態。綺麗で鮮明な月のように鮮やかな恭平の艶姿にウットリしながら、それが本当に今も自分の手の中にあるのだと何度も何度も確かめるように触れる。
元々華奢で細くて触れると危うく折れてしまいそうだった恭平なのだけれど、ここのところ恭平の体つきは少し以前とは変化していた。鳥飼信哉の道場で鍛練を重ねるようになって少し食事量も全般的に増えたし、その身体は鍛えられてシットリと脂が乗り滑らかに美しい筋肉が付き始めている。つまりは普通にしているだけで、色気が増したのだ。そこに歳を重ねた男の色気が更に加わり、その上気持ちが安定しているのか周囲に大人が増えたせいなのか男っぽい艶まで日常的に身に付けてしまった。きっとそこら辺は外崎宏太とか鳥飼信哉のせいだと、地味に仁聖は思っている。

全く…………ほんと、困る。

恭平は仁聖の方が……なんて常日頃いうのだけれど、仁聖はハーフの外人めいた見た目がパッと見に派手だから目立つだけ。昔と変わらず派手にみえて華やかそうに感じるだけだから、ちょっとした時の添え物にいいと思われるだけである。恭平みたいな常にシットリとした艶めいた大人の落ち着きとか色気は、仁聖には見てみて分かる通りたいしてない。

それに…………ほんと、エロくて…………ヤバい…………

その色香にこうして快感の濡れた性欲の艶が重なると、とんでもなく淫らで堪らない程に扇情的な姿に恭平は変わるのだ。仁聖の怒張を受け入れ突き上げられて快感のスイッチが入ると、恭平のそれはまた一際艶やかさを増して甘い香りと共に大輪の華を咲かせるようだとすら思う。

「あ、あぁ、じ、んせ……あぁ!」

仁聖の怒張に食らい付いて離してくれない淫らな体内の熱。絡み付いてうねり、絞り上げるようにキツく蠢き、その癖甘く蕩けるように怒張に吸い付いてくる。背後から覆い被さるようにして腰を抱き、ホンノリ薔薇色に染まる項に唇を落として何度も甘い香りに顔を埋めて。そのまま激しくガクガクと前後に腰を振り立てて、奥に深く深く根本まで捩じ込む。その強い衝撃に反応して、恭平の甘い泣き声が上がる。

「や、ぁあ!あ、くぅう!う!あぁ!じん、せぇ!あぁ!」
「ふ、ぅ、奥、キュンキュンして、すご……っ、あ、出そ……っ。」

そう耳元に囁けばトロリと快感に桃色に揺れる黒曜石の綺麗な瞳が、強請る視線で肩越しに見上げる。しかも腰を抱いていた仁聖の左の手を恭平の手が撫でるようにして引き寄せ、潤んだ瞳で見つめながら唇を指輪に押し当てて見せるのだ。恭平の柔らかく綺麗な唇が何度も何度も口付け、他の指にまで舌をチロリと淫らに這わせて。その淫らな欲望にまみれた顔に、ゾワゾワと仁聖の背筋が興奮に震える。

もっと、して

言葉にはしてなくてもそんな風に欲情に濡れた強請る視線を向けられて、仁聖が我慢なんか出来るはずがないし我慢する気も更々ない。我慢するしないを気にかけていたけれど、恭平次第で仁聖は我慢出来るか出来ないか操られるしかないのだ。肩越しに左手で引き寄せ恭平の唇を無理矢理に奪いながら、ゴツッと鈍い音がする程に腰を押し込む。すると外には漏れない喘ぎを唇を通りして仁聖の中に吹き込みながら、ビクンッと恭平の身体が快感に戦く。

「は、ふ…………ぅ、ん、じん、せ…………ぇ。」

淫らな歓喜に濡れた声。自分にしか聞かせないのだと知っているからこそ、更に自分にだけ満たされて快感で溺れて欲しいと、その姿を目にあさましくも仁聖が願ってしまう。それ程に恭平は淫らで綺麗で、その癖酷く繊細で格好いい。
大人になって自分の周りの関わる人間が増えて様々なことが見えるようになれば、それぞれの価値や何かで決まるものも含めて世の中の基準というものがよく見えてくる。そういう点では仁聖の身の回りの人間は、わりと基準外に分類される人間が多いとは思う。勿論見た目でもそうだし、それ以外の能力という点でもまぁ破格とか稀なんて言葉で表現するような人間が多い。勿論外崎宏太とか鳥飼信哉とかがその筆頭にくるのは言うまでもないけれど、榊恭平という人も容姿も能力も稀有な人なのだ。

月みたいな人…………

手を伸ばしても届かない虚空の月のような人。でもその人が自分に向かって手を伸ばしてくれて、傍にいてくれると教えてくれて。お陰で仁聖は今自分が、こういう風に生きているのだと思う。恭平がいてくれなかったら自分はこんな風に満たされ幸せに過ごすことなんかないし、こうして自分を磨いて恭平に相応しくなろうなんて努力もしなかった筈だ。そう、ここ暫くの仁聖の自分磨きはバイトが云々と一応の説明を恭平にはしているけれど、日々大人の色気を増していく恭平に自分が相応しくならなくてはと仁聖が密かに思ったからなのだった。少しでも大人らしく自分を磨いて、男として恭平に意識して貰えるように。その一心で仁聖は自分に足りないものは何かと探し、足掻き続ける。

「あ、んっ……じ、んせぇ、もぉ、……あぁ!」
「好き、恭平、可愛い……っ好きっ。」
「んん、っ!あぁ!あ、あ!」

ベットに恭平を転がしてしなやかな脚を軽々と担ぎ上げ、一度抜け落ちた衝撃に濡れて開いたままの小さな穴にバチュッと勢いよく再び怒張を突き立てる。このまま延々と捩じ込み、恭平の熱い体内を自らの怒張の形にしてしまいたい。獣のようにそんなことを考えながら、腰を振り立てゴツゴツと狭くうねる奥を抉じ開けていく。

「あ、ま、てっ……まてっ……あぁ!あ、あ!」

曲がりくねった奥底に硬い杭先を叩きつけられ、ビクビクと恭平の脚が絶頂に痙攣している。既に快感に蕩けきって口を閉じることも出来ずに甘く泣き続け出している恭平を、何度も何度も繰り返し奥深くまで貫き続けて全てを捩じ伏せてしまいたい。

「好き、すき、恭平、すきだよ、愛してる、すき。」
「あ、あぁ!や、あ!だめ。あ、あぁ!」

愛を囁き貫き熱を注ぎ続けて、やがては絶頂続きの喘ぎをあげるのに酸欠を起こした恭平が意識を失うまで。仁聖は抱き締めた腕の中の淫らな身体を責める手を、決して緩めることはなかった。



※※※



柔らかな秋の気配を滲ませる弱い朝日。窓辺から陽射しが弱く射し込みだしているのに、確りと抱き締められたままの筋肉質に感じる腕の中で恭平が目を覚ましていた。

「んんっ…………っ。」

その腕から何とか逃れて身体を起こそうとした恭平が、鈍く走る苦痛に悩ましい声を溢していた。それでも恭平が滑るように抜け出したから、まだスヨスヨと寝息をたてている仁聖はそれには気がついてもいない。

「つっ…………。」

昨夜のような激しい事後には恭平は大概失神したりして動けなってしまうから、気がつかない内に仁聖が労って身体を拭いたり風呂まで抱き上げて行って洗ってくれたりする。勿論それが良いなんて思っているわけではないが、最近では失神した後に関しては諦めて受け入れる時が増えた。何しろ本来ならソコに受け入れるモノではないのを恭平は受け止めているのだからと仁聖に言われれば、それは分かっているし仕方がない。それに事実そのまま寝てしまった後の方が処理が辛いのだ。洗うにも体液はこびりついてしまうし、自分で洗うのもかなり辛い。仁聖がそれに関してちゃんと知っていて恭平を大事にしてくれているから、気絶した恭平のことをそのままにせず抱き上げて風呂にいれてくれたりするのだ。まぁ、そうならずに終わった後自分で出来る余力を残せば良いと思うのだけれど、それに関しては相手の仁聖の協力も必要だし、気がつくとこうなっているわけだから。

…………『待て』出来てるって言えるのか……?これ。

そんなことを、フッと思ってしまう。それにしたって『待て』の意味はどういうところに対してなのかも問題ではなかろうか。確かに仁聖は性行為をするしないに関しては『待て』は効くし、今日は無理だと判断することも出来る。とはいえ始まってしまってからは仁聖だけでなく自分の方だって歯止めが効かないのは事実だし、仁聖の方は少し…………いやかなり容赦がないとは思う。

でも…………自分が望んだことなんだし…………

愛し合った後に仁聖に労られて風呂にいれて貰うのは、実は恭平としては最初は凄く恥ずかしくて嫌だったのだ。愛撫されて体液まみれの身体を自分で動かすことも出来ずに洗われ、湯につけられてしまう自分が情けなくて恥ずかしかった。でも、今は少しだけ違う。恥ずかしいのは恥ずかしいし出来るなら自分でと思う面は変わらないけれど、でも少し仁聖に丁寧に身体を洗って貰ってマッサージという名のスキンシップを湯の中でするのは少し気持ちよくて幸せを感じたりする。そっと抱き上げられ膝にのせられ背後から回された手が自分の手を揉んだり、向かい合わせに座って脚を揉まれたりしながら労られるのが少しずつ気持ちよくて甘えるようになってしまった。

だって仕方ない…………仁聖が抱き上げて、マッサージするねって言うから

時にはその後髪を丁寧に乾かしてもらって、ベットの上でもマッサージが続いたりして。そのまま心地よさにウトウトしてしまう恭平を仁聖は宝物みたいに抱き締めて、一緒にそのまま抱き合って眠りに落ちるのだ。

それって…………すこし…………良いだろ……やっぱり…………

大事な人。好き。愛してる。繰り返してそう囁かれながら、宝物みたいに抱き締め触れられて、恭平だって相手を同じくらいに心底愛してるのだから嫌な筈もない。スッカリそこは絆されてしまった感がなくもないが、そうしてわりと仁聖がマッサージしてくれるお陰で翌日の身体のダメージは経験している筈だ。うん、軽減している筈だとは思うのだがやはりキシキシと軋む腰の痛みに、思わず眉がしかめられてしまう。何しろ少し前の性行為から期間が短く、恭平自身が回復しきっていたとは少し言いがたいところもあったのだ。

「……っ…………。」

腹の奥、長くて太い仁聖の怒張が根本までめり込んで、何度も何度も叩きつけて来るところ。時にはその先にめり込むように先端が嵌まり込み、凄まじい絶頂から一向に降りてこられなくなる。その時に常に当たる腹の奥がジンワリと熱を放ち、規則的な痛みを訴えていく。流石に外崎了や結城晴みたいに激しすぎて翌日熱を出したり寝込むということは恭平は殆どないが、それでもこの感じている痛みは痛みだった。
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