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間章 ソノサキの合間の話
間話64.凄く良かった
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それにしても『一目惚れ』とは、また随分な事を言い出したな……
外崎邸の奥にある仕事場で受けていた相園良臣からの『三浦和希の奇行報告』を、外崎宏太は当然みたいに最愛の外崎了を膝に抱きながら聞いていた。その電話の後宏太は暫し過去と思案に悶々と囚われていたのだけれど、それを一掃したのは膝の上の了の一言だ。
三浦和希が茂木公太に一目惚れしたから、殺さず名前だけ聞きあって別れた
まぁそんなファンタジーな出来事が起こってもおかしくないのが、この街の存在なのかもしれないとは宏太も思う。何せここまで近代化して法の目だって細やかな筈の都市だというのに、ちょっと路地裏にはいればアンダーグラウンドの世界が当然みたいに口を開けている。人が死ぬだけでなく行方不明もわりと多発しているが、それが都市部だからなのか此処の特性なのかは全くもって分からない。何しろ宏太自身が産まれてからこれまでを近郊で過ごして来た筈なのに、30歳近くまでこの街にアンダーグラウンドが存在しているなんて微塵も知らなかった位なのだ。そのアンダーグラウンドの住人には久保田惣一を初め、一風変わっているという言葉なんかではすまない者も多い。そしてスッカリ自分自身もその一人に数えられてしまっていることも、勿論言われなくとも理解している。そして三浦和希もその特殊な一人で、その三浦がこれまでのルールに外れた行動をしたというのは、やはり異常事態と言えなくもない。
茂木にはそういうのには縁が無さそうだったが……
人の美醜の感覚は人各々だ。件の三浦が探し続けている倉橋亜希子は、最近の顔立ちは宏太は見たことがない。ただ以前彼女を調べた時に見た倉橋は、人形のように整った顔をした幼さの残る可愛らしい女性だった。(そう言われればまだ『random face』に来たばかりの三浦和希も、倉橋と似たような印象のある大人しそうな青年だったと思う。)倉橋を殺したとされている矢根尾俊一自身も昔はそれほど目立つ訳ではないが、スッとした涼しげな顔立ちの中々の整った顔をした青年ではあった。
まぁ次第に劣化はしてたがな……
まだ宏太の目が見えていた頃に倉橋を揶揄して笑いあう矢根尾に、モニター越しとは言え苦言を呈したことがある。あの当時の矢根尾を一度か二度街で見かけた事があるが、手入れされずに次第に緩み膨らんでいく風船を連想させる姿に見えたのだ。その後の劣化に関しては見えはしないが、松理達曰く最後には劣化が激しすぎて見る影もない程に醜くなっていたらしい。それにその後には『溝臭い中年親父』だのなんだのと結城晴に揶揄されていたが、そこまでの急激な劣化はここ数年の話しのようだ。それにもう何年も取り巻きとして付かず離れずの関係を続けていた茂木公太だが、そういう意味では比較すると茂木はそれほど顔は整っているわけではない。ただし人間関係に関してはバランス感覚には長けていたようだから、矢根尾や貞友晴一みたいな相手とも上手く付き合えていた訳だ。それでも今回は立場としては三浦と公太では逆なのだろうけれど、初めて見た相手に惚れたから性行為だけで帰ったとは思いがたい気もする。
「そう言うタイプじゃ無さそうなんだが。」
据え膳をまんまと逃すような性格には見えなかったし、上手いことやれれば何でもやるタイプだと勝手に判断していたのは確かだ。何しろ以前調べた時には都立第三高校の女子高生を奴隷のように扱う矢根尾に追随して、その女子高生を散々強姦していたわけで。しかもその女子高生は可哀想に避妊も録にせず、アッサリ妊娠までさせられて(文字にしたら随分ドライに説明が可能だが、この件に関してはある意味アンタッチャブルな人間が何人かいる。何しろその女子高生は今でもキチンと更正しており、しかも鳥飼信哉の幼馴染み・土志田悌順の恋人となった。下手に傷でも着けようものなら、恐らく鳥飼信哉だけでなく槙山忠志や宇佐川義人まで援軍になって、完膚なき迄に叩き潰されるに違いない。何しろ人間兵器やら影の参謀やらという物騒な呼ばれ方を持つあの面々に対しては、この街のアンダーグラウンドの人間達だって尾を捲って逃げ出すのだ。)オマケに堕胎までさせた。
「わ、わかんないだろ?もしかして…………そうだ、セックスが凄く良かったとか。そう言うのあるだろ?超気持ちいい相手って。」
「あ?」
「は?ひゃぁっ?」
不意に酷く剣呑な声を出した宏太が、腕の中の了の腰に指を滑らせる。服の隙間を滑り込み自かに肌に触れる指先のこそばゆさに了が身悶えながら指から逃れようとするのを、まるで手品のように指先が容易く捕らえて弄ぶ。
「や、わっ、ひゃっ、こ、こぉた?」
抱き締めていた筈の手にスルスルと腹をなぞられ、しかもその指は器用に服をハンカチを抜くみたいに脱がせにかかっている。何で?突然こんな行動になった?そう慌てながら、膝の上で身を捩る了の耳朶に不意に吐息が吹き込まれていた。
「ひ、ぁ!やぅ!」
「そんなことを言うなんて悪い子だな、了は。」
逃れようと必死に身を捩ったせいで背後から抱き込まれた形に変わってしまった了に、背後から耳朶をねぶりながら宏太が低い声で熱を落とすように囁く。滑らかに耳朶をねぶり甘噛みして、捕らえているのは腰を抱えた掌だけ。それなのに耳朶への吐息と愛撫で、身体から見る間に力が抜け落ちてしまう。
「ん、や……やぁ……っ、こ、ぉた…………。」
「俺の腕の中で他の男のセックスの話しなんてしたら駄目だろ。ん?」
「ふぁ?!」
何を突然訳の分からない事を言い出したと了がポカンとした声をあげるけれど、宏太の愛撫がその程度の事で止まる筈もない。クチクチと淫らな音を立てて耳朶を責め立てられながら、あっという間に前をはだけられ了は背中を押し付けるようにして腕の中に崩れ落ちる。
「な、にいってんだ…………よぉ、俺は……。」
茂木公太と三浦和希の話を、しかもあれは完全に例え話をしただけであって自分自身のことは何一つ関わりがないことなのだ。そう訴えたいけれどクタリと力が抜けてしまった身体を背後から宝物のように抱きかかえ、耳元を責め立ててくる宏太には容赦なんてある筈もない。背後から回された宏太の指が、室内の空気に曝された両胸の突起を強弱を着けて弾き立てて来る。耳と乳首たったそこだけなのに、自然と身体が仰け反り甘ったるい声が溢れ落ちていく。
「ひんっ!あっ!うぁっ、あぁっ!」
チリチリするような焦れったく甘く、身体に蓄積していく快感の刺激。軋む椅子の音が自分自身の身体の動きのせいだと分かっていて、次第に硬くなり敏感になっていく先端の刺激に身体が更に踊らされる。
「んッあぁ!あ!や、だっ、んぅ!」
「了、物足りないか?ん?」
耳元でそう低く掠れる響きで囁きかけられながら、キュッと指先が硬く尖った先端を摘まむ。指先が擦り合わされる動きで了の先端を押し潰し、クリクリと淫らにそれを動かす動きを了の視界に見せつけてくる。
「あふ、ぁあ!んぅ、う!」
「ここ……硬く、芯を持って……コリコリして、……触り心地もいい。」
羞恥を更に煽り立てるようにワザワザ耳元に囁いてくる宏太の声が、意図して意地悪く嗤う。宏太の声に恥ずかしがる了の反応を楽しむために、わざと宏太が言葉にしているのは言われなくても分かっている。
「や、ば、かぁっ!へ、んた…………っ!」
「ほら、見てみろ……了の可愛い乳首は、スッカリ性感帯になったな?ん?」
指先で摘まみ出すように触れられ視覚まで操られながら宏太の言葉通りの反応を見せるそこに、了は視線を外すことも出来ずに頬を染めて息を荒げる。まだ物足りなさそうだと低い声で笑う宏太が、2人しかいないこの場所でわざとらしく声を落とし了の耳の中に自かに声を吹き込む。
「了はここを俺に舐められる方が好みだからな?指じゃ物足りないな?……ん?」
「ふぁ!あぁ。」
指摘する言葉に脳髄まで震えるのが分かる。乳首を口に含み中で先端を舌先で舐め回して、その後丹念に舌で転がされ、時には甘く噛み強く吸い付く。その普段の宏太がする愛撫が脳の中で勝手に再生されて、背中を押し付け乳首を弄ばれながら身体が達してしまいそうに痺れる。それに見えないのは分かっていても淫らに酔わされた顔を晒して了は、自分をいつまでも指先で弄ぶ宏太に縋り甘えた吐息を溢す。
「こぉたぁ………はや、くぅ………な、めて。」
必死に可愛く甘ったるく強請る声に、背後から抱きかかえ耳元に寄せられていた肉感的な唇が心底嬉しそうに微笑みの形を浮かべる。スッカリ抵抗できない位に宏太に躾られてしまった身体に了は少しだけ腹立たしくもなるけれど、『愛してる』の言葉を容赦なく駄々漏れに吐いてくる宏太に最初から逆らえる筈なんかない。ところがそのままベットに連れ込まれるのかと内心では考えていたのに、宏太は何故かニッコリと何時にない笑顔を浮かべた。
「でも、悪い子にはお仕置きしないとな?了。」
「はぁ?!」
いや、ちょっと待て!!お仕置き云々の前に、宏太のその『悪い子』の前提がおかしいんだよな?!そう叫びたい。だって了は例え話をしただけであって、しかも他人の例え話だった。間違ってない筈だから、ちょっと前の記憶を手繰り寄せよう。
うん、間違ってない
了は三浦和希が茂木公太とセックスをしたのに殺さずに名前を教えあって別れたという話を聞いて、もしかして茂木に三浦が一目惚れしたから殺さなかったんじゃ?と問いかけた。その問いかけに宏太はサラリと茂木という男は(了は見たこともない筈なので、宏太が下す判断しか材料はないのだが)そんな一目惚れされるような人間じゃないなんて事を言うわけで。でも、もしかして例えばセックスがとっても良くって、身体の相性から惚れたなんて事が起きたのかも…………なんてとってもファンタジーだとは思うが例え話をした。うん、例え話だ。しかも他人の恋路?の例え話であって、了がセックスしたとか言う話ではない。
それでなんで俺が悪い子認定?!
それって絶対におかしくない?!と肩越しに睨んでみても、当然の事だが盲目の宏太には通じる筈もなく。快感に半泣きの了の恨めしい視線を気持ち良くスルーして、意地悪で心地良い両胸への刺激が執拗に繰り返され続けていて腰がトロトロと蕩けていく。しかもそこの刺激の後に普段与えられる身体の奥底への快感を勝手に身体が求めていて、ジワリと熱を布越しに興奮を伝える宏太の腰の上に置かれた尻が勝手に疼くのを感じてしまう。
「う、くっ、んんっ……あっ!」
しかも既に早く舐めてと強請ってしまっている了の身体は、スッカリ快感への期待で潤みきってもいる。それを分かっていてクニクニと先端を更に摘まみ上げて、引き伸ばすようにそこだけを責め立てられるのに身悶えてしまう。
「あぅ、んっ、んんっ!あぅんっ!」
「可愛い声出して、全く俺の嫁はお強請りが上手いな?ん?」
それならと視線が自然と先を強請る熱を含むけれど、宏太はそれが見えないから気にするでもない。そうなるともう了には自ら声を出して、宏太に強請り続けるしか方法もなくなってしまう。
「こぉ、た、やぁ、も、ゆ……指じゃ……やぁっあぁ!」
当然の事ながら指の与える刺激だって凄く心地良いけれど、それよりもっと気持ちいいことを何時もみたいにして欲しいと繰り返し強請る。だけどそれが間違いだったと気がつくのは、何時も宏太が次の行動に出てからなのだった。
「ばかぁ!へんたい!鬼畜!!外せってぇ!こぉた!!」
冷静じゃない時には拘束はしないと言う約束はしてあるが、ある意味では暴走する宏太に約束なんてあってないようなもの。一応は元本職だけあって流石に人の精神まで壊す壊さないの境界は本能的に察しているものの、時々宏太が興奮やら嫉妬やらで暴走して酷い目にあうのは漏れ無く了の方だ。ただし今回はどう聞いても冤罪での悪い子認定を宏太だって分かっていない筈もないので、それほど無体なことはしてこないだろうなんて了の方が甘かった。
アッサリ抱き上げかかえられ仕事場から抜け出して寝室のベットに転がされた次の瞬間には、何故か革の枷で手足の拘束が終了しているのは如何なものか。
「もぉ!こら!こうた!!聞けよ!!」
「聞いてるぞ?ちゃぁんと。」
艶然と微笑みを浮かべて何かをカチャカチャとスタンバイする元本職の姿に、コイツまさか本気でキレてる?あれ?あれって他人の話だったよな?と了の方も少しのインターバルで我に返った頭で再考してみる。それでもやっぱりあれが何でそんなに宏太を激昂させたのか分からない。例え話だぞ?!と再び頭の中で叫ぶ。
外崎邸の奥にある仕事場で受けていた相園良臣からの『三浦和希の奇行報告』を、外崎宏太は当然みたいに最愛の外崎了を膝に抱きながら聞いていた。その電話の後宏太は暫し過去と思案に悶々と囚われていたのだけれど、それを一掃したのは膝の上の了の一言だ。
三浦和希が茂木公太に一目惚れしたから、殺さず名前だけ聞きあって別れた
まぁそんなファンタジーな出来事が起こってもおかしくないのが、この街の存在なのかもしれないとは宏太も思う。何せここまで近代化して法の目だって細やかな筈の都市だというのに、ちょっと路地裏にはいればアンダーグラウンドの世界が当然みたいに口を開けている。人が死ぬだけでなく行方不明もわりと多発しているが、それが都市部だからなのか此処の特性なのかは全くもって分からない。何しろ宏太自身が産まれてからこれまでを近郊で過ごして来た筈なのに、30歳近くまでこの街にアンダーグラウンドが存在しているなんて微塵も知らなかった位なのだ。そのアンダーグラウンドの住人には久保田惣一を初め、一風変わっているという言葉なんかではすまない者も多い。そしてスッカリ自分自身もその一人に数えられてしまっていることも、勿論言われなくとも理解している。そして三浦和希もその特殊な一人で、その三浦がこれまでのルールに外れた行動をしたというのは、やはり異常事態と言えなくもない。
茂木にはそういうのには縁が無さそうだったが……
人の美醜の感覚は人各々だ。件の三浦が探し続けている倉橋亜希子は、最近の顔立ちは宏太は見たことがない。ただ以前彼女を調べた時に見た倉橋は、人形のように整った顔をした幼さの残る可愛らしい女性だった。(そう言われればまだ『random face』に来たばかりの三浦和希も、倉橋と似たような印象のある大人しそうな青年だったと思う。)倉橋を殺したとされている矢根尾俊一自身も昔はそれほど目立つ訳ではないが、スッとした涼しげな顔立ちの中々の整った顔をした青年ではあった。
まぁ次第に劣化はしてたがな……
まだ宏太の目が見えていた頃に倉橋を揶揄して笑いあう矢根尾に、モニター越しとは言え苦言を呈したことがある。あの当時の矢根尾を一度か二度街で見かけた事があるが、手入れされずに次第に緩み膨らんでいく風船を連想させる姿に見えたのだ。その後の劣化に関しては見えはしないが、松理達曰く最後には劣化が激しすぎて見る影もない程に醜くなっていたらしい。それにその後には『溝臭い中年親父』だのなんだのと結城晴に揶揄されていたが、そこまでの急激な劣化はここ数年の話しのようだ。それにもう何年も取り巻きとして付かず離れずの関係を続けていた茂木公太だが、そういう意味では比較すると茂木はそれほど顔は整っているわけではない。ただし人間関係に関してはバランス感覚には長けていたようだから、矢根尾や貞友晴一みたいな相手とも上手く付き合えていた訳だ。それでも今回は立場としては三浦と公太では逆なのだろうけれど、初めて見た相手に惚れたから性行為だけで帰ったとは思いがたい気もする。
「そう言うタイプじゃ無さそうなんだが。」
据え膳をまんまと逃すような性格には見えなかったし、上手いことやれれば何でもやるタイプだと勝手に判断していたのは確かだ。何しろ以前調べた時には都立第三高校の女子高生を奴隷のように扱う矢根尾に追随して、その女子高生を散々強姦していたわけで。しかもその女子高生は可哀想に避妊も録にせず、アッサリ妊娠までさせられて(文字にしたら随分ドライに説明が可能だが、この件に関してはある意味アンタッチャブルな人間が何人かいる。何しろその女子高生は今でもキチンと更正しており、しかも鳥飼信哉の幼馴染み・土志田悌順の恋人となった。下手に傷でも着けようものなら、恐らく鳥飼信哉だけでなく槙山忠志や宇佐川義人まで援軍になって、完膚なき迄に叩き潰されるに違いない。何しろ人間兵器やら影の参謀やらという物騒な呼ばれ方を持つあの面々に対しては、この街のアンダーグラウンドの人間達だって尾を捲って逃げ出すのだ。)オマケに堕胎までさせた。
「わ、わかんないだろ?もしかして…………そうだ、セックスが凄く良かったとか。そう言うのあるだろ?超気持ちいい相手って。」
「あ?」
「は?ひゃぁっ?」
不意に酷く剣呑な声を出した宏太が、腕の中の了の腰に指を滑らせる。服の隙間を滑り込み自かに肌に触れる指先のこそばゆさに了が身悶えながら指から逃れようとするのを、まるで手品のように指先が容易く捕らえて弄ぶ。
「や、わっ、ひゃっ、こ、こぉた?」
抱き締めていた筈の手にスルスルと腹をなぞられ、しかもその指は器用に服をハンカチを抜くみたいに脱がせにかかっている。何で?突然こんな行動になった?そう慌てながら、膝の上で身を捩る了の耳朶に不意に吐息が吹き込まれていた。
「ひ、ぁ!やぅ!」
「そんなことを言うなんて悪い子だな、了は。」
逃れようと必死に身を捩ったせいで背後から抱き込まれた形に変わってしまった了に、背後から耳朶をねぶりながら宏太が低い声で熱を落とすように囁く。滑らかに耳朶をねぶり甘噛みして、捕らえているのは腰を抱えた掌だけ。それなのに耳朶への吐息と愛撫で、身体から見る間に力が抜け落ちてしまう。
「ん、や……やぁ……っ、こ、ぉた…………。」
「俺の腕の中で他の男のセックスの話しなんてしたら駄目だろ。ん?」
「ふぁ?!」
何を突然訳の分からない事を言い出したと了がポカンとした声をあげるけれど、宏太の愛撫がその程度の事で止まる筈もない。クチクチと淫らな音を立てて耳朶を責め立てられながら、あっという間に前をはだけられ了は背中を押し付けるようにして腕の中に崩れ落ちる。
「な、にいってんだ…………よぉ、俺は……。」
茂木公太と三浦和希の話を、しかもあれは完全に例え話をしただけであって自分自身のことは何一つ関わりがないことなのだ。そう訴えたいけれどクタリと力が抜けてしまった身体を背後から宝物のように抱きかかえ、耳元を責め立ててくる宏太には容赦なんてある筈もない。背後から回された宏太の指が、室内の空気に曝された両胸の突起を強弱を着けて弾き立てて来る。耳と乳首たったそこだけなのに、自然と身体が仰け反り甘ったるい声が溢れ落ちていく。
「ひんっ!あっ!うぁっ、あぁっ!」
チリチリするような焦れったく甘く、身体に蓄積していく快感の刺激。軋む椅子の音が自分自身の身体の動きのせいだと分かっていて、次第に硬くなり敏感になっていく先端の刺激に身体が更に踊らされる。
「んッあぁ!あ!や、だっ、んぅ!」
「了、物足りないか?ん?」
耳元でそう低く掠れる響きで囁きかけられながら、キュッと指先が硬く尖った先端を摘まむ。指先が擦り合わされる動きで了の先端を押し潰し、クリクリと淫らにそれを動かす動きを了の視界に見せつけてくる。
「あふ、ぁあ!んぅ、う!」
「ここ……硬く、芯を持って……コリコリして、……触り心地もいい。」
羞恥を更に煽り立てるようにワザワザ耳元に囁いてくる宏太の声が、意図して意地悪く嗤う。宏太の声に恥ずかしがる了の反応を楽しむために、わざと宏太が言葉にしているのは言われなくても分かっている。
「や、ば、かぁっ!へ、んた…………っ!」
「ほら、見てみろ……了の可愛い乳首は、スッカリ性感帯になったな?ん?」
指先で摘まみ出すように触れられ視覚まで操られながら宏太の言葉通りの反応を見せるそこに、了は視線を外すことも出来ずに頬を染めて息を荒げる。まだ物足りなさそうだと低い声で笑う宏太が、2人しかいないこの場所でわざとらしく声を落とし了の耳の中に自かに声を吹き込む。
「了はここを俺に舐められる方が好みだからな?指じゃ物足りないな?……ん?」
「ふぁ!あぁ。」
指摘する言葉に脳髄まで震えるのが分かる。乳首を口に含み中で先端を舌先で舐め回して、その後丹念に舌で転がされ、時には甘く噛み強く吸い付く。その普段の宏太がする愛撫が脳の中で勝手に再生されて、背中を押し付け乳首を弄ばれながら身体が達してしまいそうに痺れる。それに見えないのは分かっていても淫らに酔わされた顔を晒して了は、自分をいつまでも指先で弄ぶ宏太に縋り甘えた吐息を溢す。
「こぉたぁ………はや、くぅ………な、めて。」
必死に可愛く甘ったるく強請る声に、背後から抱きかかえ耳元に寄せられていた肉感的な唇が心底嬉しそうに微笑みの形を浮かべる。スッカリ抵抗できない位に宏太に躾られてしまった身体に了は少しだけ腹立たしくもなるけれど、『愛してる』の言葉を容赦なく駄々漏れに吐いてくる宏太に最初から逆らえる筈なんかない。ところがそのままベットに連れ込まれるのかと内心では考えていたのに、宏太は何故かニッコリと何時にない笑顔を浮かべた。
「でも、悪い子にはお仕置きしないとな?了。」
「はぁ?!」
いや、ちょっと待て!!お仕置き云々の前に、宏太のその『悪い子』の前提がおかしいんだよな?!そう叫びたい。だって了は例え話をしただけであって、しかも他人の例え話だった。間違ってない筈だから、ちょっと前の記憶を手繰り寄せよう。
うん、間違ってない
了は三浦和希が茂木公太とセックスをしたのに殺さずに名前を教えあって別れたという話を聞いて、もしかして茂木に三浦が一目惚れしたから殺さなかったんじゃ?と問いかけた。その問いかけに宏太はサラリと茂木という男は(了は見たこともない筈なので、宏太が下す判断しか材料はないのだが)そんな一目惚れされるような人間じゃないなんて事を言うわけで。でも、もしかして例えばセックスがとっても良くって、身体の相性から惚れたなんて事が起きたのかも…………なんてとってもファンタジーだとは思うが例え話をした。うん、例え話だ。しかも他人の恋路?の例え話であって、了がセックスしたとか言う話ではない。
それでなんで俺が悪い子認定?!
それって絶対におかしくない?!と肩越しに睨んでみても、当然の事だが盲目の宏太には通じる筈もなく。快感に半泣きの了の恨めしい視線を気持ち良くスルーして、意地悪で心地良い両胸への刺激が執拗に繰り返され続けていて腰がトロトロと蕩けていく。しかもそこの刺激の後に普段与えられる身体の奥底への快感を勝手に身体が求めていて、ジワリと熱を布越しに興奮を伝える宏太の腰の上に置かれた尻が勝手に疼くのを感じてしまう。
「う、くっ、んんっ……あっ!」
しかも既に早く舐めてと強請ってしまっている了の身体は、スッカリ快感への期待で潤みきってもいる。それを分かっていてクニクニと先端を更に摘まみ上げて、引き伸ばすようにそこだけを責め立てられるのに身悶えてしまう。
「あぅ、んっ、んんっ!あぅんっ!」
「可愛い声出して、全く俺の嫁はお強請りが上手いな?ん?」
それならと視線が自然と先を強請る熱を含むけれど、宏太はそれが見えないから気にするでもない。そうなるともう了には自ら声を出して、宏太に強請り続けるしか方法もなくなってしまう。
「こぉ、た、やぁ、も、ゆ……指じゃ……やぁっあぁ!」
当然の事ながら指の与える刺激だって凄く心地良いけれど、それよりもっと気持ちいいことを何時もみたいにして欲しいと繰り返し強請る。だけどそれが間違いだったと気がつくのは、何時も宏太が次の行動に出てからなのだった。
「ばかぁ!へんたい!鬼畜!!外せってぇ!こぉた!!」
冷静じゃない時には拘束はしないと言う約束はしてあるが、ある意味では暴走する宏太に約束なんてあってないようなもの。一応は元本職だけあって流石に人の精神まで壊す壊さないの境界は本能的に察しているものの、時々宏太が興奮やら嫉妬やらで暴走して酷い目にあうのは漏れ無く了の方だ。ただし今回はどう聞いても冤罪での悪い子認定を宏太だって分かっていない筈もないので、それほど無体なことはしてこないだろうなんて了の方が甘かった。
アッサリ抱き上げかかえられ仕事場から抜け出して寝室のベットに転がされた次の瞬間には、何故か革の枷で手足の拘束が終了しているのは如何なものか。
「もぉ!こら!こうた!!聞けよ!!」
「聞いてるぞ?ちゃぁんと。」
艶然と微笑みを浮かべて何かをカチャカチャとスタンバイする元本職の姿に、コイツまさか本気でキレてる?あれ?あれって他人の話だったよな?と了の方も少しのインターバルで我に返った頭で再考してみる。それでもやっぱりあれが何でそんなに宏太を激昂させたのか分からない。例え話だぞ?!と再び頭の中で叫ぶ。
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