鮮明な月

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間章 ソノサキの合間の話

間話39.特別な君3

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淫らで快楽に蕩けきった結城晴の最高に可愛い喘ぎ声を散々に堪能した後。まだ激しい行為の後始末すらしていない状態だけれど、晴が唐突に言い出した最悪の言葉に狭山明良は一瞬唖然として、一応は怒らないとなら無いと怒った顔を作り上げて見せる。何しろ晴ときたら男の喘ぎ声なんて気持ち悪いし、それに関わっていると言うことで明良に迷惑をかけたくないなんて訳の分からないことを言い出したのだ。

これってまだ白鞘の件の余波?

親友だった白鞘千佳に泥酔状態でレイプされ(かけたと言うべきなのか。挿入しかけてしまったところで明良が助けたのだから、明良は未遂と言いたいところだ。けれど、晴にしたらどうなのかは明良には追求しきれない。晴はあの件で凄く傷ついてしまったし、心も身体も怪我をさせられて苦しむ晴の傷を、更に広げるような事は明良はしたくないだけだ。)、その後暫く身体の怪我が癒えるまで晴に明良が触れなかったことで晴は更に精神的に不安定になってしまった。明良としては晴の傷ついた身体を労るつもりの行動だったけれど、晴からしたらレイプされた身体には明良は触れたくないのだと考えてしまったようだ。
一応その後ちゃんと明良と晴の間でその事についてはちゃんと話をして理解しあったつもりなのだが、それから晴は時々だが悪夢で魘されるようになった。何が切っ掛けでフラッシュバックを起こすのか、夢をみた晴が恐怖で…………と言うよりも晴が引き付けを起こすのは、その後の白鞘の事件もあって罪悪感とか後悔に苛まれていると言うのが一番表現としてはあっている気がする。自分のせいで、自分が、と余りにも自分を責めすぎているのだ…………引き付けのような反応を起こすようになったのだ。そして時にはその夢が強すぎて、目覚めても訳が分からずパニックになっていて明良にすら怯えることもある。勿論時々の事だし、そんな時は明良が確り抱き締めて落ち着くまであやして過ごすのだが、最初の内は泣きじゃくったりすることもあったのだ。

それでも最近は少しずつ癒えてきていた筈なのに……っ

最近では夢を見てもほんのちょっと身体をビクッと震わせて起きるくらいで、直ぐに明良の事を認識して安堵するくらいに落ち着いたのだ。

それなのにこうして2人で愛し合った直後に何でこんなことを言い出したのか

一番最近の晴のフラッシュバックは言うまでもない、庄司陸斗が自慰の手伝いを晴に強いた時のあの激しいパニックだ。望まない性的な行為を無理矢理強いられたと言うのが引き金になったのは言うまでもないし、混乱して記憶が酩酊したお陰で晴自身が夢だと勘違いしてくれたけれど、晴の無意識の中で心が不安に揺れていないとは言いきれない。

…………でも、ずっとそんな風に思ってたってこと?

この言葉が不安を揺さぶられて表に出てきた晴の本心なのだとしたら。心底腹立たしくて可能なら大きく陸斗に向けて舌打ち位してやりたいが、そこは今の優先ではないのは明白だった。何より明良が優先するのは、両頬をブニッと明良の両手で包み込まれた可愛い顔で明良を上目遣いに見つめる晴だ。そして明良が怒るつもりなのに怒りきれてないのは、目の前の晴の顔が滅茶苦茶可愛いと思ってしまって怒りが吹っ飛んだからだと言うのはここだけの話。何しろ晴の柔らか頬っぺたをブニッと挟み捕獲している状況なのだが、何か穴にはまってしまった小動物みたいな動きでフニニニと抵抗しているのが妙に可愛いのだ。

「なに、おバカな事言ってるか、わかってる?ねぇ、晴。」

それでも迷惑かけるなんて、何でそんなことを言うのかと視線で問いかける。聞かれて迷惑をかけるなんて、訳が分からない。陸斗が欲情するってこと?まぁそれなら明良としては分からなくもないが、欲情したからって手を出してきたら…………明良が撃退して怪我をさせるから迷惑?そういうことなのか?

「迷惑って何?」
「おところうし…………らよ、にゃにかいわれらり…………したら、こまるにょあきらのほうらよ……。」

いやいや、ハッキリ言えば2人の愛の巣に入り込んだのは陸斗の方なのだから、本来は閨の声に気を遣うのは陸斗だ。それを変に気を遣って、しかも何で可愛い晴の声が気持ち悪いなんて言わなければならないのか。大体にして聞かれて何を言われると言うのか?何を言われたら明良が困ると言うのか?ハッキリ言ってそんなの今更!の世界じゃないだろうか。

「ふにゅ、ぅはにゃしてぇ……。」
「…………分かってる?自分がおバカな事言ったって?」

それにしてもウニュウニュと手から逃れようとする晴の仕草が、やっぱりとんでもなく可愛い。とってもとっても可愛いんだ。それを間近に眺められる自分が、どれだけ幸せなのか。明良が放っておいて貰えたら延々と晴だけを眺めていられるなんて、晴は知りもしないに違いない。可能なら四六時中眺めていたいくらいに可愛いんだけども、晴は相変わらず全く明良の気持ちにはてんで気がつかないままでいる。流石にこれだけ執着してれば自分でだって分かっている。外崎宏太が外崎了を溺愛しているのや榊仁聖が榊恭平を溺愛しているのみたいに、自分だって晴の事になると溺愛と言う言葉が相応しいのくらい。ただ他所と違うのは溺愛されている当人の方が今一ピントか合っていなくて、了や恭平のように相手から溺愛されているという自覚がまるでないことだろう。何しろ何度アピールしても(明良とすれば真っ直ぐにアピールしてはいるつもりなのだけれど)、微妙に晴ときたら明良の心情に対してのポイントが理解がずれる。明良が何度素のままの晴がいいと繰り返したって、自分が女の子だったらもっとよかったでしょ?とか『五十嵐ハル』の方が本当の自分ならよかったとか、微妙に論点が外れてしまうのだ。

「はぁ…………もう一回、今からセックスしよっか?俺のチンポでガンガン突き上げられて、晴は中イキだけでいきまくって。声が嗄れるまで大声で泣こうね?」
「ふぁあ?」

突然何を言い出すの?と晴がポカンとしているが、晴が溺愛されている自覚がないのだから、こうなったら晴が分かるように明良から延々と溺愛ぶりを示し続けるしかないのだろう。

「だって俺がどれだけ晴が可愛くて、晴が泣くの気持ちよくて、沢山沢山いつまでも聞いていたいか全然分かってないんだよね?だからそんな風に迷惑だなんてこと言うんだ。それにさ?大体にして迷惑だなんて何時誰が言ったの?陸斗?それとも白鞘?言った奴を直ぐに教えて。俺が今すぐソイツを一撃で蹴り殺してくるから。」

咄嗟には反応に困る事をガンガンとマシンガンのように物騒な言葉まで叩きつけられ、晴が驚きに目を白黒させている。
あぁ何で自分がどんなに可愛く淫らに喘いで明良を滾らせて獣にしてしまうかを、どうしてこんなにも晴は分からないのだろう。段々と切々と言い続けている明良の方が、理解して貰えないのに切なくて泣きたくなってきている。分かって欲しい、それなのに晴はドンドン関係ないことに容赦なく傷つけられて、明良の思いと反対の考えに囚われていく。こんなに只管に愛して好きで明良は闇雲に晴を独占したがっているだけのに、それを受け止めている晴はまだ自分が迷惑な存在だなんて感じるのか。

「晴だけしか欲しくないし、晴の声だから聞きたい。晴だから泣かせたい。」
「ふにぁ?」
「分かんない?俺は晴にしか興奮しない、晴だから喘がせたい。何時もの男のままの晴がいいんだよ?その声が聞かれて何で迷惑になるの?どんな迷惑なの?」

でもと言おうとする晴のそのまま頬を包み込み、明良は無理矢理のように引き寄せて唇を奪う。好きだ、愛してると囁きながら何度も口付け、晴の吐息が甘くほどけて行くまでキスを重ねる。

「ぁ、ひらぁ……ふぅ……んん……。」
「好き、愛してる…………。」

こんな風に愛を告げても伝えきれないのは、晴自身が地味に自分の事を本当は愛してないんじゃないかと不安になってしまう。男同士だから、身体だけとか本当は晴に思われているのなら、明良はもう晴を監禁しかねない。何しろ明良はもう晴しか見えていないのだから、晴がそうじゃないならそうなるまで閉じ込めて自分の物にするしかなくなってしまう。

「全部晴だから、だよ?晴は俺の特別………なの………。」

誰にもかえられない、ただ一人の晴。そう必死に繰り返し口付け訴えかけ続ける明良に、不意に目の前でフニャリと晴の顔が揺れて泣き出しそうな顔に変わる。

「おれ、…………ぁ、ひら……ごめ……なひゃい…………。」

泣き出しそうな顔で謝る言葉を口にする晴に、明良は無言で再び口付ける。晴が特別だから、誰にも渡したくない。晴だから自分の物にしてしまいたいし、自分以外の誰にも触れさせたくないのだ。気がつくと晴の頬に涙の雫が浮かんでいて、晴が泣き出してしまったのだと目の前の潤んだ瞳を見下ろす。

涙の一杯溜まった大きな瞳

でも頬の雫は一粒だけで、更には溢れてこない。そう思ったらしがみついていた晴の手が、不意に緩んで延びてきて明良の頬に触れて拭う仕草をしたのに気がついた。そこで初めて明良は追い詰められて泣きたい気分になっていただけでなくて、自分の瞳から無意識に涙が溢れていたのだと気がついてしまった。晴はそれを目にして心配して、それが自分のせいだと謝っていて、明良の涙を優しい手付きで拭おうとしているのだ。

「ごめ……にゃひゃ……ぃ、おれ……。」

何に謝るの?と低く苦く呻くように呟くと、晴は困ったように『俺が馬鹿で』と呟く。確かに全くもっておバカだよとは明良も思うけれど、それだからと言って晴にこんな風に謝らせたい訳じゃない。

「愛してる、晴。謝んないで……愛してるって…………。」

不意に言葉が詰まってしまうのは、自分が泣いているせいなのだろうか。こんな風に言葉が詰まってしまったら、晴にまた変な誤解をされてしまわないだろうか。晴を見下ろすと晴の瞳が凄く綺麗にキラキラと宝石みたいに光っていて、思わず惹き込まれるように瞳を見つめたまま黙ってしまう。

「愛してる…………、明良。」

少し緩んだ手の中で晴がホンノリ頬を染めて、そう小さな声で囁いてくれる。あぁ凄く可愛いし、こういう顔とか声とか本当に好き。もっと聞きたいし、もっと言って欲しい。ヤバいくらいに目の前の晴が可愛くて仕方がない。うん、やっぱりもう一回しよう。もう一度グズグズのドロドロになるまで晴の全身を愛でて、晴の身体が自分にしか反応しなくなるまで執拗にやりまくろう。

「あきら?だ、だめ、だよ?も。そんな、俺無理だから、これ以上。」

明良の頭の中の言葉が丸聞こえしているみたいに、唐突に晴が真っ赤になりながら慌てて離れようと踠き出す。言っておくけれどそんなの別にたいした抵抗じゃないし、明良としたら少し抵抗して貰うのの方が逆に燃えるから。あ、燃えるっていうなら久しぶりに手枷とか使って拘束して、メロメロになるまで延々と弄り倒すのもありかもしれない。手枷と足枷を繋いで動けないようM字で固定して、晴の雄オマンコをグチュグチュに掻き回して。それともまだ使ってなかったけど尿道にプラグをいれてみたらいいか。いれたまま、ひっくり返して寸止めでメスイキし続けさせるのも…………

「ちょ、ちょっと?!明良?!待って、無理だよ?!ダメ!拘束は、やだ!」

あれ?何で全部晴に筒抜け?疑問に首をコテンと傾げた明良に、晴は真っ赤になったままの顔でジタバタしながら『全部口から出てるから!しゃべってるから!!』と声を張り上げていた。しゃべってる?何が?それはさておきジタバタ踠く晴を組み伏せるっていうのも、なかなか興奮するシチュエーションだよね。うん。

「あ、あきら?何いってんの?!ちょっと?!」
「何?何か聞こえてる?」

踠いている晴のなめらかな背中も綺麗で、もう少し沢山キスマークでマーキングしておきたい。それにまださっき出したのを洗ってあげてないから、中はまだドロドロのグチョグチョな筈。ホンノリ薔薇色がさしたような白い肌の双球が晴が踠くのに揺れるのは、正直かなりエロい。途端ブワッと晴の全身が薔薇色になって、プルプルと震えながら明良の視界を遮るように手で覆う。
何でだろうか、さっきから思考が駄々漏れみたいに晴が自分の思考に直に反応していて。それならどうせなら明良が途轍もなく晴のことを愛してて誰にも渡したくなくて、陸斗どころでなく本当は外崎宏太とか甥の高城光輝にすら触れさせたくないくらい自分だけが独占したくて仕方がないのも伝わらないだろうか。

「ふぇっ……。」

珍妙な声を上げた晴がこれまでみたことがないくらい、深紅の薔薇の色にボフンと一瞬で茹で上がったみたいに赤くなっていた。

    
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