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間章 ソノサキの合間の話
間話21.閑話休題2・甘える
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「俺が……恭平のこと沢山甘やかしてあげる。」
そっと耳元で囁かれて何度も何度も口付けされながら、絡めつけられた指先に引かれて榊恭平は大人しく手を引かれる。
発端は最近乳幼児に接する機会がふえたせいで子供の頃大人に甘えたことがなかったなぁなんて、他愛ない外崎了との話題から始まった話ではあるのだが。恭平は子供時分に母親意外の大人と余り接することがなく、もう片方の親の親族とは接しないようしていたせいで大人との交流はほぼない。反面同じく叔父しか大人との接触がなかった筈の榊仁聖の方が、8歳差の恭平が甘えの対象として長年存在していたので、子供時分から存分に甘えきった生活をしていたという話である。
だから自分が恭平を甘やかしてあげると宣言されて、食後のお風呂タイムに雪崩れ込もうとしていて。抵抗しようにも最近男前オーラを微笑みと共に放つのを身に付けた仁聖は、大人びた雰囲気を伴いながら完璧にエスコートの体勢だ。
「恭平、ね?今日は一緒に入ろ?ね?」
榊家では何故か何かの時のご褒美的な『一緒のお風呂』はあるけれど、流石に日常的に2人では入らない。普通のファミリー型マンションでそれでも大きめのバスルームではあるが、戸建ての上に巨大なバスルームが2階にあって浴槽も2つあるような外崎邸とはちがう。とはいえあの外崎邸は仁聖の父親・源川春仁の国内では最後に手掛けた建築でもあって、父と同じ建築家を目指す仁聖にはユクユクは『あの規模の自宅を建てたい』が目標になりつつあったりする。以前ならこのマンションからは絶対に出ないと言い出すに違いなかった恭平も緩和されていく高所恐怖症というトラウマと共に積み重ねられていく変えられない築年数と、仁聖がそうしたいならとその時は構わないかななんて考えるようになっている。そんなことを考えているうちに気がつくとあっという間に服を脱がされてしまっていて、バスルームに引き込まれ身体を流した後は湯船に浸かりながら縁に頭を乗せて髪を洗われていたりする。
「痒いとこありますかー?」
「……んん、いや、ない。」
最近何故か一緒に風呂に入ると髪を洗いたがるようになった仁聖なのだが、それにしても仁聖が妙に上手いのもあるけれど美容室なんかでも思うが髪を触れられるのは正直とっても気持ちがいい。いつの間にか洗われながらウツラウツラしていたようで、仁聖の声に少し驚いた有り様だ。結局半分ウトウトしながら心地好く頭を洗われて、しかも既に身体の方まで隅々迄仁聖の手で泡まみれにされ洗われてしまっている。しかも今日はそれだけでは済まず、風呂から上がってフカフカの極上のタオルで包み込まれたのに恭平は苦笑いしてしまう。
「王様か何か……みたいだな。」
「ふふ、そうだよ、恭平は俺の宝物だしね。」
迷いもなくそんなことを答える仁聖は自分の方は完全に二の次なので、まだ暗い茶色に見える髪から雫をポツポツとおとしていて。自分の前にかしづく仁聖の頭を見下ろしていた恭平が、タオルを圧し当ててそっと雫を拭う。ふとあげた視線は天井の灯りを青く光を反射していて、全身濡れた挑みかかるような視線のポスターを思い起こさせる。
男前だな…………
思わずそんな風に頭の中で考えてしまう。仁聖がモデルとして撮影した画像はほぼ現在は手元に持っているし、実は藤咲から少し縮小サイズの物販ポスターも特別にプレゼントされていたりする。それらのポスターは密かにポスター用フレームに納めされ、きちんと管理されて恭平の書斎の戸棚にしまってあったりするのはここだけの話。幾つも幾つも見たことのないような表情と視線で写し出された仁聖は、どんな服を着せてもまるで常用しているみたいにさっそうときこなすし、物語のワンシーンを切り抜くように鮮やかに眼を惹き付ける。下着姿ですら見事な肉体を垣間見せて全身から色気を駄々もれにしながら、隣にきて座らない?と見る者を誘いかけていく。それでもその中でも実は恭平の一番のお気に入りは、初期の頃に撮られた全身を水に濡らし挑みかかる視線でこちらを真っ直ぐに見据えるあのポスターだ。
「…………どうかした?」
ドキリとする大人びた低い声で上目遣いに問いかけられて、思わず瞬間的に頬を染めてしまう。子供だった時の麗しい程の黒目がちの瞳の可愛らしさは目の前の男臭い青年には片鱗もないのに、それでも自分の目の前にいるのは何時も変わらない自分だけを愛している仁聖なのだ。そう思うと胸の奥が、トロリと甘ったるい優越感が沸き立つのに気がついてしまう。恭平がクシャクシャとタオルてその頭を掻き回すように拭うと、自分の男振りのよさには未だに自覚が全くない仁聖が不思議そうに上目遣いに見つめている。
「お前、狡い。」
「ふぁ?狡い?何で?」
キョトンと眼を丸くした仁聖の首筋に有無を言わさず腕を絡めて、恭平はついその育って確りと筋肉のついた身体を抱き締めてしまう。その動きに誘われたように、気がついた時には恭平はそのままベッドルームに連れ込まれるために抱きかかえられてしまっていた。
※※※
「ん……ふ、…あ……。」
ベッドルームのユッタリとした大きなベットの上で、仁聖の腕の中で身悶えながら抑えきれずに溢れ落ちる恭平の甘い声。横になっているというよりは仁聖が背凭れに寄りかかり、背後から恭平のことを抱きかかえている。そうして背後から抱き込まれて熱っぽい吐息を注ぎながら、チュクチュクと湿った音を舌が耳朶に響かせていく。
「や、ぁ……み、みみ、や……。」
同時に背後から回された両手が、濃い桃色にツンと尖った恭平の乳首を擦り指先でクルクルと転がしていく。恭平の胸の突起は普段は存在すらしないように慎ましいのに、仁聖の指に擦られただけであっという間に存在感を示すように育ってしまった。しかも仁聖に刺激されると直結で快感を身体に伝え始めるので、時には舐められたり吸われたりだけで絶頂に上り詰めてしまうことすらある。そこを執拗に指で擦られ白磁の肌をホンノリと薔薇色に染めて、恭平の唇からは止めどなく甘い声が溢れ落ちていた。そしてまだ触れてもいないのに赤く下折たった肉茎に淫らに雫が伝う。
「んっ……くぅっ……っあ。」
モジモジと膝を擦り合わせるようにして身悶える恭平に、仁聖が甘い吐息で更に耳介に舌を這わせていく。ヌチヌチと水音を立てながら指先に硬くなった先端を摘ままれ、ビクッと戦き全身の筋肉が快感に張り詰めてしまう。
「んっはぅっ……じ、んせっ……。」
「ふふ、キモチ、い?」
「ん、ぅうっ。」
低く擽るように響く声。どちらかと言えば陽気で響く声の印象が強いからこそ、仁聖が熱っぽく囁く声には過分に色気が混じる。正直言うと甘えるってこういう意図じゃない!とは言いたい。けれど、もうこうして仁聖の与えてくる快感に身体は反応して、恭平はスッカリ快感に蕩けさせられつつある。
「そこ、ばっ……かり……っ…んんっ………。」
服が擦れたり自分で触れたりした程度じゃなんともないのに、熱っぽい吐息で耳朶を噛まれ乳首を擦り上げられるだけで電気のような快感が走る。お陰で触れもしないのに、恭平の陰茎は立ち上がり鈴口からは止めどなく雫が溢れ出していた。
「あぅんっ!んんっ!」
「こんな、乳首、硬くしてエロ………。」
キュッと強く親指と人差し指に摘ままれ耳元でそんなことを囁きかけられるだけで、ゾワゾワと背筋に悪寒めいた快感が走り抜けてしまう。それに恭平には見えないけれど、抱き上げられた裸の尻の下に異様に熱くて硬い感触が膨れ上がっている。それが何なのか言われなくても分かっているのに、仁聖は澄ました顔で肌にゴリゴリとそれを押し付けているのだ。
「ふ、ぅ…恭平………ってば……、そんな、押し付けて……。」
押し付けてるのはそっちと叫びたい。それにそんなつもりがなくても仰け反り身体を震わせると、尻の割れ目に滑る硬い怒張が食い込むように滑り込んで来ているのだ。割れ目に焼けつくような怒張の熱を感じながら、乳首を捏ねられ耳朶をねぶられ続けている。ヒクヒクと自分の陰茎が張り詰め腹に反り返って当たり糸を引くのがわかるけれど、かといって自分でそれを慰める事もできない。
「ん、ぅ、うぅん。」
「触りたい?」
仁聖にこうしてベットに連れ込まれる時に、何でか『自分では触っちゃダメだからね』と後ろ手に手首を括られて身動き的なくされて抱き込まれてしまっていた。
困ったことに何でか仁聖ときたら、外崎宏太と懇意にしていて。何でか宏太からSM的な手枷だの何だの大量の代物を譲られて、素直に貰ってきたのである。外崎了から『あいつ、元SM調教師だから。』と賑やかに説明されたことはあるが、何だそれ?程度にしか思っていなかった恭平の落ち度なのは言うまでもない。でも、普通この社会にそんな職業がある…………のは知らない訳じゃないが、本職がこんな側にいるなんて思う筈がない。最近宏太とも鳥飼道場で顔を会わせる機会が増えたから、こそっと問いかけてみたけれど平然と『組打とか捕手術が使えれば簡単になれるぞ?』と答えられて絶句したのは言うまでもない。
しかも何故か仁聖は皮の手枷だけは、練習でもしているのか上手く使いこなすようになってしまったのはここだけの話。
仁聖が器用なせいで手枷で拘束されても痛みはないし苦しくもないのだが、何より強い快感を感じる部分だけは放置にして焦らすというのは如何なものか。あれほど甘やかす宣言のわりに、こんな風に愛撫を続けられ泣かされるのは甘やかされていない気がする。そう心底から訴えておきたいが、仁聖の与える快感に弱い恭平には、愛撫に抵抗しながら何かを訴える方が難しい。
「さ、わ……んぅっ、あ、んんっひぁ!あ!ぁあ!」
「凄い……グチュグチュ、だね、先っぽ。」
気がつくと自分よりも熱い仁聖の片手に、陰茎の先端をスッポリと包み込まれていた。そっと淫らなことを耳元に囁かれながら、包み込んだ手を擦り付けるようにクルリと回される。それだけでこれまで焦らされていたのを示すように、あっという間に熱くてドロドロの精液が鈴口から大量に吹き出す。
「ふぁ!あ!あぁ!!!」
「あぁ…あっつい……ドロドロの、沢山……出てる。」
「や、あぁぁ、あぁんんっ!!」
ビクビクと激しく恭平は全身を震わせてから、やがて一気に全身が弛緩していく。脱力して凭れかかってきた恭平の身体に、仁聖は甘く微笑みソロリと太股を撫でていく。膝の上に抱き上げたまま、左右に脚を開かせていくのをボンヤリと恭平は見下ろす。やがて耳元にユルユルと恭平の太股をなぞりながら、仁聖が微かに喉を鳴らすのが聞こえていた。未だにハァハァと快感に息を荒げて脱力しきった恭平の姿は、仁聖の視界でホンノリけぶるような甘い色香を漂わせてトロリと快感に蕩けきっている。
「じ、……せ……ぇ……。」
トロンと快感に惚けた瞳で肩越しに仁聖を真っ直ぐに見つめ、舌の回らない甘い声で仁聖のことを呼ぶ。それは仁聖の眼には、例えようもない鼻血ものの色気を漂わせていて。しかも胸には蕾のように硬く立ち上がった敏感な乳首と自らの精液をトロリと吹き出したばかりの淫らな陰茎を余すことなく晒し、あられもなく両脚を広げたままに仁聖の怒張に向かって熱く誘いかけている。
「じん、せ…ぇ、も、むり…ぃ。」
快感に潤み濡れた黒曜石の瞳が、甘えきった声で仁聖を再び呼ぶ。そんな自分にしか見せない自分だけの声で自分の名前を呼ぶ恭平に、たっぷりと甘やかすつもりがグズグズに自分の方が甘やかされているのに気がついてしまう。特別な恭平を全部自分の物にして、自分にしか見せない姿を幾つも幾つも焼き付けて。それが幸せだと伝えると自分もそうだと微笑んでくれる大切な人。
甘やかしてあげたい
そう思っても気がつくと自分の方がずっと魅了され甘やかされ、満ち足りた幸せに包まれる。逆の立場だったら自分はそうできたろうか?と何度も考えてしまう。恭平が満ち足りて幸せだと思えるように自分は接してこれたろうかと疑問にも思っている。
「恭平、幸せ?」
思わずそう問いかけると、トロリと蕩けた瞳が一際甘く薫るように柔らかに微笑む。そして綺麗な微笑みのまま手枷で不自由な体勢なのに少しだけ背伸びするように伸び上がって、仁聖の唇に自らの唇を押し付けてくる。チュゥと甘く柔らかな口付けが答えがわりに仁聖に与えられて、フニャリと脱力した恭平の身体が再び元の場所に収まっていく。苦笑いしそうな気分がジワリと胸の奥に沸き上がるのを感じながら、仁聖は再び腕の中で熱を灯したまの耳元に囁く。
「恭平、が、甘えてくれたら………。」
コクンと微かに腕の中で恭平の喉が期待に音を立てているのが、抱き締める肌を通して感じられていた。子供の頃に甘える経験が少なかったから甘える事が上手くできない恭平には、こんな風に『免罪符』を差し出すのが効果が高いのはもう充分な程にわかっている。
そっと耳元で囁かれて何度も何度も口付けされながら、絡めつけられた指先に引かれて榊恭平は大人しく手を引かれる。
発端は最近乳幼児に接する機会がふえたせいで子供の頃大人に甘えたことがなかったなぁなんて、他愛ない外崎了との話題から始まった話ではあるのだが。恭平は子供時分に母親意外の大人と余り接することがなく、もう片方の親の親族とは接しないようしていたせいで大人との交流はほぼない。反面同じく叔父しか大人との接触がなかった筈の榊仁聖の方が、8歳差の恭平が甘えの対象として長年存在していたので、子供時分から存分に甘えきった生活をしていたという話である。
だから自分が恭平を甘やかしてあげると宣言されて、食後のお風呂タイムに雪崩れ込もうとしていて。抵抗しようにも最近男前オーラを微笑みと共に放つのを身に付けた仁聖は、大人びた雰囲気を伴いながら完璧にエスコートの体勢だ。
「恭平、ね?今日は一緒に入ろ?ね?」
榊家では何故か何かの時のご褒美的な『一緒のお風呂』はあるけれど、流石に日常的に2人では入らない。普通のファミリー型マンションでそれでも大きめのバスルームではあるが、戸建ての上に巨大なバスルームが2階にあって浴槽も2つあるような外崎邸とはちがう。とはいえあの外崎邸は仁聖の父親・源川春仁の国内では最後に手掛けた建築でもあって、父と同じ建築家を目指す仁聖にはユクユクは『あの規模の自宅を建てたい』が目標になりつつあったりする。以前ならこのマンションからは絶対に出ないと言い出すに違いなかった恭平も緩和されていく高所恐怖症というトラウマと共に積み重ねられていく変えられない築年数と、仁聖がそうしたいならとその時は構わないかななんて考えるようになっている。そんなことを考えているうちに気がつくとあっという間に服を脱がされてしまっていて、バスルームに引き込まれ身体を流した後は湯船に浸かりながら縁に頭を乗せて髪を洗われていたりする。
「痒いとこありますかー?」
「……んん、いや、ない。」
最近何故か一緒に風呂に入ると髪を洗いたがるようになった仁聖なのだが、それにしても仁聖が妙に上手いのもあるけれど美容室なんかでも思うが髪を触れられるのは正直とっても気持ちがいい。いつの間にか洗われながらウツラウツラしていたようで、仁聖の声に少し驚いた有り様だ。結局半分ウトウトしながら心地好く頭を洗われて、しかも既に身体の方まで隅々迄仁聖の手で泡まみれにされ洗われてしまっている。しかも今日はそれだけでは済まず、風呂から上がってフカフカの極上のタオルで包み込まれたのに恭平は苦笑いしてしまう。
「王様か何か……みたいだな。」
「ふふ、そうだよ、恭平は俺の宝物だしね。」
迷いもなくそんなことを答える仁聖は自分の方は完全に二の次なので、まだ暗い茶色に見える髪から雫をポツポツとおとしていて。自分の前にかしづく仁聖の頭を見下ろしていた恭平が、タオルを圧し当ててそっと雫を拭う。ふとあげた視線は天井の灯りを青く光を反射していて、全身濡れた挑みかかるような視線のポスターを思い起こさせる。
男前だな…………
思わずそんな風に頭の中で考えてしまう。仁聖がモデルとして撮影した画像はほぼ現在は手元に持っているし、実は藤咲から少し縮小サイズの物販ポスターも特別にプレゼントされていたりする。それらのポスターは密かにポスター用フレームに納めされ、きちんと管理されて恭平の書斎の戸棚にしまってあったりするのはここだけの話。幾つも幾つも見たことのないような表情と視線で写し出された仁聖は、どんな服を着せてもまるで常用しているみたいにさっそうときこなすし、物語のワンシーンを切り抜くように鮮やかに眼を惹き付ける。下着姿ですら見事な肉体を垣間見せて全身から色気を駄々もれにしながら、隣にきて座らない?と見る者を誘いかけていく。それでもその中でも実は恭平の一番のお気に入りは、初期の頃に撮られた全身を水に濡らし挑みかかる視線でこちらを真っ直ぐに見据えるあのポスターだ。
「…………どうかした?」
ドキリとする大人びた低い声で上目遣いに問いかけられて、思わず瞬間的に頬を染めてしまう。子供だった時の麗しい程の黒目がちの瞳の可愛らしさは目の前の男臭い青年には片鱗もないのに、それでも自分の目の前にいるのは何時も変わらない自分だけを愛している仁聖なのだ。そう思うと胸の奥が、トロリと甘ったるい優越感が沸き立つのに気がついてしまう。恭平がクシャクシャとタオルてその頭を掻き回すように拭うと、自分の男振りのよさには未だに自覚が全くない仁聖が不思議そうに上目遣いに見つめている。
「お前、狡い。」
「ふぁ?狡い?何で?」
キョトンと眼を丸くした仁聖の首筋に有無を言わさず腕を絡めて、恭平はついその育って確りと筋肉のついた身体を抱き締めてしまう。その動きに誘われたように、気がついた時には恭平はそのままベッドルームに連れ込まれるために抱きかかえられてしまっていた。
※※※
「ん……ふ、…あ……。」
ベッドルームのユッタリとした大きなベットの上で、仁聖の腕の中で身悶えながら抑えきれずに溢れ落ちる恭平の甘い声。横になっているというよりは仁聖が背凭れに寄りかかり、背後から恭平のことを抱きかかえている。そうして背後から抱き込まれて熱っぽい吐息を注ぎながら、チュクチュクと湿った音を舌が耳朶に響かせていく。
「や、ぁ……み、みみ、や……。」
同時に背後から回された両手が、濃い桃色にツンと尖った恭平の乳首を擦り指先でクルクルと転がしていく。恭平の胸の突起は普段は存在すらしないように慎ましいのに、仁聖の指に擦られただけであっという間に存在感を示すように育ってしまった。しかも仁聖に刺激されると直結で快感を身体に伝え始めるので、時には舐められたり吸われたりだけで絶頂に上り詰めてしまうことすらある。そこを執拗に指で擦られ白磁の肌をホンノリと薔薇色に染めて、恭平の唇からは止めどなく甘い声が溢れ落ちていた。そしてまだ触れてもいないのに赤く下折たった肉茎に淫らに雫が伝う。
「んっ……くぅっ……っあ。」
モジモジと膝を擦り合わせるようにして身悶える恭平に、仁聖が甘い吐息で更に耳介に舌を這わせていく。ヌチヌチと水音を立てながら指先に硬くなった先端を摘ままれ、ビクッと戦き全身の筋肉が快感に張り詰めてしまう。
「んっはぅっ……じ、んせっ……。」
「ふふ、キモチ、い?」
「ん、ぅうっ。」
低く擽るように響く声。どちらかと言えば陽気で響く声の印象が強いからこそ、仁聖が熱っぽく囁く声には過分に色気が混じる。正直言うと甘えるってこういう意図じゃない!とは言いたい。けれど、もうこうして仁聖の与えてくる快感に身体は反応して、恭平はスッカリ快感に蕩けさせられつつある。
「そこ、ばっ……かり……っ…んんっ………。」
服が擦れたり自分で触れたりした程度じゃなんともないのに、熱っぽい吐息で耳朶を噛まれ乳首を擦り上げられるだけで電気のような快感が走る。お陰で触れもしないのに、恭平の陰茎は立ち上がり鈴口からは止めどなく雫が溢れ出していた。
「あぅんっ!んんっ!」
「こんな、乳首、硬くしてエロ………。」
キュッと強く親指と人差し指に摘ままれ耳元でそんなことを囁きかけられるだけで、ゾワゾワと背筋に悪寒めいた快感が走り抜けてしまう。それに恭平には見えないけれど、抱き上げられた裸の尻の下に異様に熱くて硬い感触が膨れ上がっている。それが何なのか言われなくても分かっているのに、仁聖は澄ました顔で肌にゴリゴリとそれを押し付けているのだ。
「ふ、ぅ…恭平………ってば……、そんな、押し付けて……。」
押し付けてるのはそっちと叫びたい。それにそんなつもりがなくても仰け反り身体を震わせると、尻の割れ目に滑る硬い怒張が食い込むように滑り込んで来ているのだ。割れ目に焼けつくような怒張の熱を感じながら、乳首を捏ねられ耳朶をねぶられ続けている。ヒクヒクと自分の陰茎が張り詰め腹に反り返って当たり糸を引くのがわかるけれど、かといって自分でそれを慰める事もできない。
「ん、ぅ、うぅん。」
「触りたい?」
仁聖にこうしてベットに連れ込まれる時に、何でか『自分では触っちゃダメだからね』と後ろ手に手首を括られて身動き的なくされて抱き込まれてしまっていた。
困ったことに何でか仁聖ときたら、外崎宏太と懇意にしていて。何でか宏太からSM的な手枷だの何だの大量の代物を譲られて、素直に貰ってきたのである。外崎了から『あいつ、元SM調教師だから。』と賑やかに説明されたことはあるが、何だそれ?程度にしか思っていなかった恭平の落ち度なのは言うまでもない。でも、普通この社会にそんな職業がある…………のは知らない訳じゃないが、本職がこんな側にいるなんて思う筈がない。最近宏太とも鳥飼道場で顔を会わせる機会が増えたから、こそっと問いかけてみたけれど平然と『組打とか捕手術が使えれば簡単になれるぞ?』と答えられて絶句したのは言うまでもない。
しかも何故か仁聖は皮の手枷だけは、練習でもしているのか上手く使いこなすようになってしまったのはここだけの話。
仁聖が器用なせいで手枷で拘束されても痛みはないし苦しくもないのだが、何より強い快感を感じる部分だけは放置にして焦らすというのは如何なものか。あれほど甘やかす宣言のわりに、こんな風に愛撫を続けられ泣かされるのは甘やかされていない気がする。そう心底から訴えておきたいが、仁聖の与える快感に弱い恭平には、愛撫に抵抗しながら何かを訴える方が難しい。
「さ、わ……んぅっ、あ、んんっひぁ!あ!ぁあ!」
「凄い……グチュグチュ、だね、先っぽ。」
気がつくと自分よりも熱い仁聖の片手に、陰茎の先端をスッポリと包み込まれていた。そっと淫らなことを耳元に囁かれながら、包み込んだ手を擦り付けるようにクルリと回される。それだけでこれまで焦らされていたのを示すように、あっという間に熱くてドロドロの精液が鈴口から大量に吹き出す。
「ふぁ!あ!あぁ!!!」
「あぁ…あっつい……ドロドロの、沢山……出てる。」
「や、あぁぁ、あぁんんっ!!」
ビクビクと激しく恭平は全身を震わせてから、やがて一気に全身が弛緩していく。脱力して凭れかかってきた恭平の身体に、仁聖は甘く微笑みソロリと太股を撫でていく。膝の上に抱き上げたまま、左右に脚を開かせていくのをボンヤリと恭平は見下ろす。やがて耳元にユルユルと恭平の太股をなぞりながら、仁聖が微かに喉を鳴らすのが聞こえていた。未だにハァハァと快感に息を荒げて脱力しきった恭平の姿は、仁聖の視界でホンノリけぶるような甘い色香を漂わせてトロリと快感に蕩けきっている。
「じ、……せ……ぇ……。」
トロンと快感に惚けた瞳で肩越しに仁聖を真っ直ぐに見つめ、舌の回らない甘い声で仁聖のことを呼ぶ。それは仁聖の眼には、例えようもない鼻血ものの色気を漂わせていて。しかも胸には蕾のように硬く立ち上がった敏感な乳首と自らの精液をトロリと吹き出したばかりの淫らな陰茎を余すことなく晒し、あられもなく両脚を広げたままに仁聖の怒張に向かって熱く誘いかけている。
「じん、せ…ぇ、も、むり…ぃ。」
快感に潤み濡れた黒曜石の瞳が、甘えきった声で仁聖を再び呼ぶ。そんな自分にしか見せない自分だけの声で自分の名前を呼ぶ恭平に、たっぷりと甘やかすつもりがグズグズに自分の方が甘やかされているのに気がついてしまう。特別な恭平を全部自分の物にして、自分にしか見せない姿を幾つも幾つも焼き付けて。それが幸せだと伝えると自分もそうだと微笑んでくれる大切な人。
甘やかしてあげたい
そう思っても気がつくと自分の方がずっと魅了され甘やかされ、満ち足りた幸せに包まれる。逆の立場だったら自分はそうできたろうか?と何度も考えてしまう。恭平が満ち足りて幸せだと思えるように自分は接してこれたろうかと疑問にも思っている。
「恭平、幸せ?」
思わずそう問いかけると、トロリと蕩けた瞳が一際甘く薫るように柔らかに微笑む。そして綺麗な微笑みのまま手枷で不自由な体勢なのに少しだけ背伸びするように伸び上がって、仁聖の唇に自らの唇を押し付けてくる。チュゥと甘く柔らかな口付けが答えがわりに仁聖に与えられて、フニャリと脱力した恭平の身体が再び元の場所に収まっていく。苦笑いしそうな気分がジワリと胸の奥に沸き上がるのを感じながら、仁聖は再び腕の中で熱を灯したまの耳元に囁く。
「恭平、が、甘えてくれたら………。」
コクンと微かに腕の中で恭平の喉が期待に音を立てているのが、抱き締める肌を通して感じられていた。子供の頃に甘える経験が少なかったから甘える事が上手くできない恭平には、こんな風に『免罪符』を差し出すのが効果が高いのはもう充分な程にわかっている。
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