鮮明な月

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第十七章 鮮明な月

269.sideB

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外崎了の足の指や脚に執拗すぎる程に這う、肉感的な形の良い唇や舌での愛撫。
他人が薬付けにして躾たイヌ男達が、何処と言う意識もなくただ単にベロベロと舐め回すのとは全く違う。本人は何も意図してはいないのだろうけれど、酷く官能的で男の色気を全身から漂わせる外崎宏太の仕草。正直言うと酷い傷跡が顔や身体にあろうと別に何も気にならないし、事実その姿は息を飲むほど男っぽくて色っぽい。宏太が細くしなやかな指で脚を抱きかかえ顔を寄せて唇を押し当てているだけで、ハッとする程に目を奪われ心惹かれてしまう。それは相手が了でなかったとしても心を奪う媚態なのだけれども、宏太自身は了一人しか欲していないから他の人間にするつもりもない。これまで誰にもそんなことをしたことはない筈の男が、了を何から何まで自分だけのモノにしたくてする行為の理由。

俺の……了だ……。

他の男に自分の大事な了に触れされていて、しかもその男どもに自分がしたことのないことをされていると言う現実。それを思うだけで憤怒の炎が胸の底で、グラグラと煮え滾るのを感じてしまう。

他のやつに…………されたままなんて…………嫌だ。

そんなあからさまに強い独占欲を宏太からさらけ出して、了の身体に覆い被さりそこら中に口付けていく。そしてそれをマザマザと目の前で見せつけられ、宏太の駄々漏れの男の色気に当てられてマトモでいられる自信なんか了にはない。宏太は指で肌に触れるだけでも了を快感に泣かせるのに長けているというのに、そこにあの駄々漏れの色気が加えられたら了には抵抗も出来ないのは言う迄もないことだった。
そんな執拗すぎる愛撫をタップリと重ねられた上で、音を立てて激しく腰を打ち付けられ熱い昂りが身体の奥深く突き入れられていく。あの愛撫の後のこの凄まじい快感は、もう何物にも例えられないほどに深くて激しくて熱い。しかもそれだけでなく今も宏太の口付けが、僅かにも息もつけない程に甘く了の唇を奪い続けていた。

「んぅ、うぅ、んっ!ふっ!んんっ!」
「さとる…………さとる…………。」

宏太の名前を囁かれ唇に溢れ出る喘ぎ声を全て奪われながら、怒張に蹂躙される絶え間ない歓喜に飲まれている。硬くて熱い宏太の怒張にズリズリと中を擦られて、全身が性感帯になったみたいに途轍もなく気持ちいい。そんな状態の了に宏太の指はソッと膚をなぞるようにしながら、確りと了の腰を捕らえたまま自らの身体に離さないと引き付けていく。

…………熱くて気持ちよくて、…………どうしようもなくなってる。

あまりに強すぎる快楽に怯える。縋るようにシーツを掴んでいた了の指が、溺れる者が藁をつかむように必死に宏太の身体の方に縋りついていた。快楽に溺れて自分の手でシーツを掴む程度では心細くて仕方がない。打からもっと安心できるのし掛かる大きな宏太の身体に、しがみつきたくて了の手が探り回す。

「こぉ、た、んんぁ、こぉた、も、いく、おれ、いっちゃ……!」
「ああ、いかせてやる………了…………さとる…………。」
「やぁ、こわ、ぃからぁ、こぉたぁやだぁ!」

頭を振りながら怯える声を上げて肩に擦り付けられる了の額に、一瞬見えないところで宏太が微かに戸惑う気配を浮かばせるのがちゃんと分かっていた。目が見えないし実は恋愛初心者な宏太には、今の了が何に怯えているのかまでは見抜けないのだ。

「了…………っ。」
「こん、なのぉ…………きもち、よく、…………て。」

それはもう了にもちゃんと分かっているから、何が怖いのかちゃんと言わないと・伝えないと宏太は戸惑ってこんな風に凍りついてしまう。だから了はどうしようもない快感に身悶えながらも、肌を擦り付け必死になって言葉を紡いでいた。

「よ、すぎて…………こわぃ、……こぉた、ギュッてぇ…………して。」

泣き出してしまいそうな声でされる懇願めいた了の訴え。その余りにも可愛らしい了の訴えに、了の気持ちを理解した宏太の顔が一瞬で幸せそうに弛む。

快楽が強すぎて怖いから……抱き締めてなんて、………………可愛すぎる。

喘ぎながらの言葉に宏太はフワリと薫るような微笑みを唇に敷き、更に一際強く身体を引き付け抱き寄せ強く腰を押し込んでくる。身体に感じる宏太の重みと肌を擦り合わせている感触。

「可愛い…………さとる…………良い子だな?ん?」

柔らかな甘い声で囁かれながら、腰が蕩けるように快感の場所をゴツゴツと突いてくる。それに了は安堵して泣き出しそうになってしまいながら、更に宏太に腕を回ししがみついていた。その途端にズンッと腹の奥に1度に深く埋まった重さに、ガクガクと痙攣しながら絶頂に達して了は身体を仰け反らせてしまう。

「んくぅううう!!うううっ!」

甘い痺れる快感に満たされ、それが直に伝わるように抱き締められたまま。抱き締められた腕の中で蟀谷にチュッと可愛い音を立てて口付けられ、宏太の怒張に奥を硬く穿たれている。

欲しい………………、もっと………………熱いの……

体内を満たされているのに、それでもまだ了には何かが物足りない。身体は極限に近いほど感じているのに、ただ奥を穿たれて擦られるだけでなく、宏太のモノから放たれる熱さを奥で直に感じたくて体内がうねりを起こしている。

「や、……らぁ、…………もっとぉ、こぉた、おくぅ……ぅ!」
「さとる…………奥?」
「おく……れぇ……しゃせ、ぇしてぇ……こぉた。」

もっと気持ちいいものを知っている了の身体が、思わず更に強い快感を求めて宏太に激しさを声を上げて強請る。その可愛いお強請りに指を了の尻に食い込ませるようにして掴みながら、宏太がなおのこと執拗に肉感的な唇を重ねてくるのに了は甘く喘ぎ続けていた。

「こぉ、…………たぁ、んっ、ふ、う、あぅ……っ!」
「さとる…………。」

ヌルリと口の中を舌で掻き回しながら、再び腰がガツガツと奥を抉り出すのに了は一際大きく背を仰け反らせている。何時もだったら愛撫でトロトロになるまで、解して慣らされて挿入されていた。そのどれもせずに、いきなり尻に捩じ込まれているとは思えない程に気持ちいい。それなのに同時にきつく締め上げてしまう体内では、やはり慣らされていなかった敏感な腸壁が宏太の怒張の熱さにジリジリと焼かれていく。そのどれもが快感に変わって、頭の芯まで完全に痺れてしまう。

「い、んん、…………いく、こぉた、んっ、……いくぅ、も……いく!」

何度もそう譫言のように繰り返す言葉すら、宏太の熱い口付けで何もかも奪い取られ宏太のモノにされてしまう。了は繰り返すうねりのような激しい絶頂の波に、あっという間に高みに押し上げられていく。そうして最後に身体の奥深くで宏太の射精を受け止めるまで、了は何度も宏太に揺さぶられ続けていた。



※※※



やり過ぎた………………

どれくらいの時間がたったか、実は宏太にも分からない。少なくとも何十分ではないだろうから、何時間の単位だろうとは思う。そんな訳で自分の胸の上でクタン……と脱力して失神いる了の身体を宝物のように抱き締めて、宏太は一人深く反省している。

……だってな、………………可愛過ぎるんだ……了が…………

若瀬医師の診察を受けて了には問題がなさそうと診断され、安堵したのはお互いで。帰途の最中の了が嬉しそうに宏太の手をとって、寄り添い『良かった』なんて嬉しそうに囁いてだ。

これで普通に一緒に寝て良いよな?なんて言うんだ…………

いや、ちゃんと一緒のベットで抱き締めて寝ていた。了の言うのは普段の甘い睦言に戻っても良いよな?という意味で、その恥ずかしがりながらも嬉しそうに言うのが何とも可愛過ぎて、玄関を開けた時点で我慢が効かなくなった。本当は抱き締めてキスするだけで…………なんて最初は慎ましいことを宏太だって考えていたのに。
結局宏太には無理だった。
背後からその身体を抱き締めてしまったら、一瞬で了の体温に宏太の理性が振りきれたのだ。それでも抱き締めてこの手に抱え上げた了の身体は、少し以前より華奢に軽く感じてもいたのだったから。

それを確かめる……

なんて勝手な建前でその身体を抱き上げ階段を上がり始めたら、了が腕の中で野生の猫みたいにジタバタし始めて。その瞬間不意にあの時見ず知らずの男どもに、了がその身体をまさぐられたのが頭をサッと過ったのが良くなかった。何でかそれに気がついたら、宏太は言葉通りまさに居ても立ってもいられなくなってしまったのだ。

了は自分のものなのに他の男がこの滑らかな了の肌に触れて、華奢で細い足首を掴み舐め回したのをそのままに?そんなの許せない。可愛い俺の了の足だぞ?

自分の頭が目下途轍もなくおかしなことを考えている、というのは宏太にも一応は分かっていた。分かってはいたのだけども、どうにも自制が効かなくて宏太は了をベットに連れ込む気で動き出していたのだ。しかも了が『せめてシャワー』を浴びたら舐めてもいい、なんてとれなくもない発言をしたのも手伝って、宏太は自分でも驚くようなことをしでかす。

………………舐めたな……足を………………

いや、確かに了が元気になったらやるとは宏太も事前に宣言していた。だが、正直言うと自分でも良くできたなと思う。そういう嗜好の人間が世の中にはいるのは当然だが分かっているし、舌でなく指でもそれと同じような感覚になるやり方はある。当然だが『調教』の一つの技能として身につけていたのは言うまでもないし、以前に既に1度了にはそれをやってやった。それでも、実際に自分が舐め回す側になるというのは、話は別だと思ってきたのは事実だ。つまり、宏太としてもそんなことをするつもりは、全くないと言っても過言ではなかった。

「こぉ…………たぁ…………?」
「…………目が覚めたか?了。」
「ん…………。」

胸の上から了が、トロンと蕩けきった可愛い満ち足りた声を上げる。それにしても自分に舐め回される快感に喘ぐ了の声は、今更ながらにとんでもなく可愛かった。それこそ悶絶しそうな程の淫らで可愛い泣き声で、身悶え泣きながら懇願する了に宏太は興奮し過ぎて我を忘れていたわけで。結果的に幾ら普通に生活してもいいと言われたからと言って、了に失神するような過大な負担をこうしてかけてしまったのだ。

それに…………自分でもおかしなことをしたとは思う……流石に…………

足の指が人間の性感帯の一つなのは勿論分かっている。しかし、相手が了だと自分には何をするにも全く抵抗がないのには、流石に自分でも危険だなとは思う。脚の指を舐め回せるほど好きっていうのは、普通なのか異常なのか自分でもよく分からない。もし下手なことをして了に呆れられて、ベット拒絶なんてことは絶対に避けないとならない。だけど、あんまりにも泣いている了が可愛過ぎて『もう一度くらいなら、またやってもいい』なんて密かに考えてしまう自分がいそうだ。

「ど……、した…………?」
「ん?何がだ?」
「かんが、ぇ…………こんでた……から。」

心配そうに囁く了の掠れる声に、胸が甘く満たされる。目茶苦茶なことをされて怒ってもおかしくないなと反省していたのに、了は起きて直ぐに宏太の様子のほうを心配してくれていて宏太は思わずその身体を抱き締めて額に口付けてしまう。

「…………こぉた…………?」
「…………無理させたな、辛くないか?身体。」

優しく労るように問いかける声に了がほんの少し頬を染めているのが、押し当てられた微かな体温の変化で分かる。最近の了は宏太の言葉や態度にこんな風に可愛く反応するから、宏太としては尚更に四六時中積極的に了を抱き締めたりしてとことんまで構いたくなってしまうのだ。

「へぇき…………。」

恥ずかしそうに小さな声で答えて、ソッと胸に押し当てられる柔らかな頬の感触。普段の了の憎まれ口で勝ち気な様子とは違う、その大人しくていじらしくて恥じらう可愛い仕草。こういう時にだけしかしない了の、この仕草がもう自分にしかしないものなのだと分かっている。それか愛しくてまた額に口付けるのに、了は不思議そうに目を細めていた。

「…………こぉた?」
「2度と他の男には…………触れさせないからな…………。」

思わず溢してしまった宏太の本音に了はほんの少し声を立てて笑うと、可愛く『うん』と素直に胸の上で答えたが少しして『でも』と呟く。

「なめるの…………は、や。」
「…………何でだ?」

やりたいという訳じゃないが、実はこうして言われると嫌だという理由だけは少し気になる。そんな宏太の内心には気がつかないのか気がつかないふりなのか、了が胸の上で聞こえなかったように眠りに落ちたように黙り込むのに宏太は思わず眉を潜めていた。





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