493 / 693
間章 ちょっと合間の話3
間話101.そして下着の話・再来。
しおりを挟む
「あ、あ、明良ぁ!!!何なの?!これっ!」
風呂上がりでリビングに戻ってきた途端に上だけ羽織っているパジャマの前を掴んだ姿でプルプルしながら声を張り上げた結城晴に、リビングのソファーでユッタリと寛ぎながら振り返った狭山明良がわざとらしく驚いた顔を浮かべて言う。
「え?何でパジャマ着てるの?晴。」
その言葉に真っ赤になってプルプルしている晴は、正直言えばとっても小動物みたいで可愛い。まるで無理矢理身体を洗われてプルプルしている子猫みたいな可愛いさなのだけれど、明良の本来の狙いだった姿とはちょっと違う。というか恐らく着てくるだろうなと内心では明良も思っていたのだけれど、上だけ羽織ってくるのは想定していなかった。
上だけ…………ねぇ?
本来としてはそんな格好で、晴はここに姿を見せる予定ではなかった。とは言えワザワザ上着だけとは言えパジャマを羽織っていると言うことは?と歩み寄って明良が無造作にピラッと裾をちょっと目繰り上げると、晴が飛び上がって驚き下を隠そうとする。うん、下にはちゃんと履いてるんだ?と言いたげな明良に、晴はなおのこと真っ赤に頬を染めている。つまり明良が着てきてと渡したモノは着てみたものの、その姿のままここに出てこれなくて、せめて上だけでもとパジャマの上だけを一応ハラリと羽織ったということの様子。
「も、もぉ!!何なのこれっ!!」
と、まぁ一応こうして文句は言うものの。既にその下にはちゃんと明良がお強請りした白物を身に付けていて、その上で晴は改めてこうしてここ迄来て文句を言っている。
本当に着るのが嫌ならただ単に着なきゃ良いだけなんだと思うんだけど
恐らく友人の一人・榊恭平なら着たくなければ絶対に着ないと思う。うん、確信をもってあの人なら着たくなければ着ないと源川仁聖に言うだろうと明良には思える。相変わらずなのだが強請る明良に、晴は全く勝てないし抵抗も出来てない。そんな訳で明良に言われるがまま、身につけてしまう辺りが晴の素直でとっても可愛いところだ。
「え?だって約束でしょ?」
「や、約束だけど、これっこれってぇ!!」
そう約束したのだ。ここ最近の明良の甥の高城光輝の再三の自宅訪問のせいで、中々二人はイチャイチャどころか二人でユックリマッタリすら出来なかった。お陰で晴と過ごす時間が激減していた明良の苛立ちは押さえようがなくて、高城由良の夫で光輝の父親・宗輝に連絡を取ったのだ。そして毎週こうして勝手に家まで来ないように、光輝に説明し事態を納めてもらった。ところが光輝の方がその点では宗輝より少し上手だったらしく、宗輝の言葉を曲解して解釈したのだった。光輝は週末に母親に許してもらってから着替えてやって来るのではなく、学校帰りの平日に両親にも無断でやってくるという荒業にでたのだ。
光輝はまだ小学生になったばかり、しかも自宅から晴達の家のある駅まで電車で4駅。住宅地が多い地区でもどうかという状況なのに、晴達の住む駅には大きな繁華街があり、正直に言えば光輝達の自宅のある地区より治安的に不安な面もあるのだ。
結局は駅前で宏太達に発見されることになり光輝の大冒険は終了した訳なのだが、それに対して父・宗輝のお説教と共に暫く光輝が晴達の家にくるのは禁止となる筈だったのだ。ところが、そこにきて両親がオッケーを出して晴達に電話を掛けて約束してから来るのなら良いよと、晴が光輝に妥協案を提示してしまった。つまり晴が意図していなくても、光輝を再び甘やかしてしまったのだ。
晴ちゃん!ママが良いよっていったの!だからね、僕今から行くね!
そういう電話が、毎日のように再三かかってくる。それに再び明良がキレて『家に来るな!!』と電話口で晴に怒ったのだけれど、相変わらずというか光輝は明良の言うことは全く聞かないのだ。結局は再び光輝の父・宗輝を呼び出し『何なの?!来すぎでしょ!!宗輝兄さん!!』と明良が再び激怒するという事態が繰り返されてしまったのだった。
またもやお迎えに参上したら晴のお膝で光輝が号泣というデジャウを感じる光景に、宗輝も流石に今度はパカンと音を立てて光輝の後頭部を叩いて引き剥がした。
何でそんなに晴ちゃんといたいんだ?
ベソベソと子猫のようにぶら下がる光輝が、それでも晴ちゃんLOVEを訴えるのに、改めて宗輝が問いかける。確かに母・由良は妊娠初期の悪阻で目下光輝の相手が出来ていなくて、光輝が晴ちゃんのお家行って良い?と聞きにくるのに抵抗できていない。何しろ執拗に繰り返される光輝の『いい?ねぇ?いい?』という質問に、由良だってもう良いから行ってきてと答えたくなる有り様なのだ。
父に問いかけられて光輝は力一杯に『だって、僕晴ちゃんが一番好きなんだもん!!』と元気に答えたわけで、何でそんなに好かれてるの?と晴も呆気に取られたのは言うまでもない。
俺、何でそんなに好かれてるの?
心底不思議そうに首を傾げる晴に、明良は晴には狭山家を惹き寄せる媚態でもあるんじゃないかと思う有り様だ。何しろ明良としても今迄の性癖やなにかを無視してでも晴と付き合いたいと思ったのだし、今だって晴が可愛くて抱きたくて自分だけのものにしたい。
兎も角もう折れたら駄目と明良が断固として一人で来るのを許さなかったのと同時に、晴はもう光輝を甘やかしたら駄目と明良に再三言われたわけである。
「でも、約束って…………。」
そんなわけで晴が考えなく光輝を甘やかすと明良が怒ったのはやむを得なくて、そのお仕置きにと明良の言うことを一つ聞くという約束を晴がしたのは事実。そうして明良がその約束を行使して、今日の夕食後に明良から手渡されたモノを晴が着て見せるという珍妙な羽目になった訳だ。
女装とかそういうのかと思ったのにぃ…………
晴としては案外自分が女装も似合っているという自覚はあるから、もしかしたらそっち系の衣装を手渡されたのかなと思ったのだ。でも、その割には手渡された袋がカサッと量が少なめだったから、以前に一度着た事のあるベビードール再来?!くらいには密かに考えていた。いや、ベビードールなら良いというわけではない。けれど、一度だけとはいえ着てしまった経験があるから、ここで二度目が来ても晴としてももうそれほど驚かないし抵抗ないかな程度に(何しろあの時のベビードールは晴としても想定外だったけど、明良はとっても興奮していたし、晴としてもあの時のエッチがとっても気持ちよかったのは確かなので)思っていた。
だけどこれは…………これはさぁ?!
手渡されたモノを取り出してポカンとした晴が、これってこういうこと?と風呂上がりに一応は足を通して着てみたものの…………晴は思わずその場で大きな悲鳴をあげたくなったのだった。
「うん、着てるとこ見せて?」
着てるところをみたい。確かにそれが明良との約束だから、こうして晴も素直に着てみたけれども。流石にこれはない、これはないでしょ?!と真っ赤になってしまっている晴の手は、未だにパジャマの前を両手で押さえ込むみたいにしてプルプル震えたまま。それが実は眺めている明良には何とも可愛くて、晴の傍に立つ明良の腕が晴の腰に回されて晴の事を抱き寄せていく。
「晴、みーせ、て?」
「や…………。」
そんな可愛く言われても無理と、晴はフルフルと俯き頭を振るが、そんな晴のパジャマの前のボタンに明良の指がかかって一番上のボタンを容易く外していた。それにハッとしたように晴が明良の手から逃げようと一歩後退り、明良は迷うことなく晴に追い縋り歩み寄る。延びてくる明良の手は迷いもなく、次のボタンに触れていく。次のボタン、そして3つ目のボタンが外される頃にはジリジリ後退る晴の背中はリビングから離れ、寝室のドアの前まで追い込まれてしまっていた。
「や、明良……。」
それでも未だ前を隠そうと手で押さえたままの晴が、ウルウルと瞳を潤ませてお願いの上目遣いしてくる。それを綺麗にスルーした明良の手が再び延びてきて、晴は胸元を開かれて肩からパジャマをストンと腕に落とされてしまっていた。それでも晴の手が押さえ込んだままの前は、パジャマの裾で上手く隠されたまま。
可愛い…………
このだけ姿でも、かなりくる。何しろ滑らかなミルク色の肌に湯上がりのツンとピンクの乳首、それに腰の回りと腕にだけ服を纏わりつかせて前を押さえる晴の姿なのだ。隠しきれない欲情に瞳を輝かせる明良が、更に一歩近より晴の押さえ込む手に指を沿わせていく。その指がスルリと手首を撫でるのに、晴はフルフルと首を横に振り小さな声で明良と名前を呼ぶ。
「ね、見せて?晴。」
「や。」
「はーる?お願い、みーせー、て?」
囁く明良の言葉に晴は、まだ必死に抵抗していて服の前を押さえ込んでいる。そんな晴の耳元に明良が唇を寄せてチュと耳朶に口付けながら、晴の耳に直接吹き掛けるように吐息と共に囁く。
「晴…………ほら、手どけて?ね?見せてくれるよね?」
「や…………ぁん……。」
「いいこ、ボタン外そうね?」
耳に吹き込まれる吐息のせいで甘い声をあげてしまう晴の身体を、明良は自分の身体ごと扉の向こうに押し込みながら晴の耳朶を舌でなぞる。耳を弄くられるのに弱い晴が必死に手で押さえ込んでいた4つ目のボタンを明良が外して、更に大きく露になった晴の滑らかな腹部に指を滑らせた。
「あ、…………んっ…………。」
明良がパジャマの隙間から覗き込むと、そこには隠しきれない滑らかな晴の綺麗な肌がホンノリ赤く染まっている。ボタンはもう後は残り一つだけで、そのボタンと晴の手で前を押さえているだけで、後はパジャマという布が腕と身体に僅かに巻き付いているだけなのだ。そして晴のその手の下には明良が晴に着て見せてねとお強請りした、とっても淫らな姿が隠されている。
「晴………………、ほら…………手?どけよ?」
「や、ぁんっあっ……。」
耳朶をねぶりながら明良の手が、晴の手首を掴んで持ち上げようとククッと力を掛けていく。必死に晴はそれに抵抗しようとしているけれど結局耳朶の愛撫もある状態では、明良の動きには逆らいきれないのだ。クイッと容易く持ち上げられた手を明良の片手で一括りに掴まれて、下に残されていた唯一のボタンを外されてしまっていた。音もなくハラリと左右にパジャマは分かれ、晴の身体は明良の前にさらけ出されたも同然だった。
「………………みちゃ、や………………。」
腕を掴まれた状態では、手でそこを隠すことも出来ない。真っ赤になって顔を背ける晴の下半身には、淫らにピッチリと肌に張り付く黒のエナメルめいた布地一枚。サイドは細く組紐のように編まれて上端は腰骨にかけられ、組紐の合間からは真っ白な肌が艶かしく覗く。しかもセクシーランジェリーの基本なのか、股間を覆う布の全体の面積は腰回りの半分にも満たない。
「や、だぁ………。」
晴の股間を強調するような布地の張り付き具合に、ただ腕を掴み見下ろしている方の明良が微かに喉をならすのが聞こえていた。
エロ………………過ぎ…………
ホンノリ肌を染めて羞恥心に顔を背ける晴の伏し目がちの瞳が、泣き出しそうにウルウルと揺れていて唇だって震えながら噛み締められている。その癖晴の下着の前はパツンと張り裂けそうな程に張り詰めていて、布の裂けてしまいそうな様は酷く淫らで艶かしい。そしてこうして明良が見下ろしているのに反応して、更に膨らみを増しているようにすら見えていた。ゴクリと再び大きく明良が喉をならしたのに晴は見られたことを肌で感じたのだろう、目を伏せたまま震える声で言う。
「脱ぐ………ぅ………。」
「まだ駄目。」
「も、じゅ……ぶん…………みた、でしょ?」
「まだ。」
見せたから良いでしょといいたげな晴に明良が事も無げに駄目と言い張るのは当然だし、晴だってこうなったら明良がただで済む筈がないのは分かっている筈だ。それでも明良のお強請りだった『着て見せて』は叶えたとジタバタと逃げ出そうとしている晴を、明良は捕獲してヒョイと肩に抱えあげた。と思うとそのままスタスタと寝室の奥に強制的に運びあげてしまう。そうしてドサリとベットの上に下ろされた晴が、再び肉食獣に捕獲された小動物みたいな視線で明良を見上げてくる。
「ふぇ、…………ぁきら…………も、やだぁ。」
そう言うけれどベットの上で両腕にパジャマの上着を纏わりつかせ、下半身はそんな淫らな下着一枚の姿で晴は震えている訳で。それに対して見下ろす明良の視線が、完全に獣の欲情に燃え盛っているのは説明しなくたって当たり前というものではないだろうか。
「晴?ちゃんと見せてくれないと、ね?約束だもんね?」
そうヤンワリと告げた明良に視線をあげた晴は、明良の顔を見上げ思わず顔色を変えていたのだった。
風呂上がりでリビングに戻ってきた途端に上だけ羽織っているパジャマの前を掴んだ姿でプルプルしながら声を張り上げた結城晴に、リビングのソファーでユッタリと寛ぎながら振り返った狭山明良がわざとらしく驚いた顔を浮かべて言う。
「え?何でパジャマ着てるの?晴。」
その言葉に真っ赤になってプルプルしている晴は、正直言えばとっても小動物みたいで可愛い。まるで無理矢理身体を洗われてプルプルしている子猫みたいな可愛いさなのだけれど、明良の本来の狙いだった姿とはちょっと違う。というか恐らく着てくるだろうなと内心では明良も思っていたのだけれど、上だけ羽織ってくるのは想定していなかった。
上だけ…………ねぇ?
本来としてはそんな格好で、晴はここに姿を見せる予定ではなかった。とは言えワザワザ上着だけとは言えパジャマを羽織っていると言うことは?と歩み寄って明良が無造作にピラッと裾をちょっと目繰り上げると、晴が飛び上がって驚き下を隠そうとする。うん、下にはちゃんと履いてるんだ?と言いたげな明良に、晴はなおのこと真っ赤に頬を染めている。つまり明良が着てきてと渡したモノは着てみたものの、その姿のままここに出てこれなくて、せめて上だけでもとパジャマの上だけを一応ハラリと羽織ったということの様子。
「も、もぉ!!何なのこれっ!!」
と、まぁ一応こうして文句は言うものの。既にその下にはちゃんと明良がお強請りした白物を身に付けていて、その上で晴は改めてこうしてここ迄来て文句を言っている。
本当に着るのが嫌ならただ単に着なきゃ良いだけなんだと思うんだけど
恐らく友人の一人・榊恭平なら着たくなければ絶対に着ないと思う。うん、確信をもってあの人なら着たくなければ着ないと源川仁聖に言うだろうと明良には思える。相変わらずなのだが強請る明良に、晴は全く勝てないし抵抗も出来てない。そんな訳で明良に言われるがまま、身につけてしまう辺りが晴の素直でとっても可愛いところだ。
「え?だって約束でしょ?」
「や、約束だけど、これっこれってぇ!!」
そう約束したのだ。ここ最近の明良の甥の高城光輝の再三の自宅訪問のせいで、中々二人はイチャイチャどころか二人でユックリマッタリすら出来なかった。お陰で晴と過ごす時間が激減していた明良の苛立ちは押さえようがなくて、高城由良の夫で光輝の父親・宗輝に連絡を取ったのだ。そして毎週こうして勝手に家まで来ないように、光輝に説明し事態を納めてもらった。ところが光輝の方がその点では宗輝より少し上手だったらしく、宗輝の言葉を曲解して解釈したのだった。光輝は週末に母親に許してもらってから着替えてやって来るのではなく、学校帰りの平日に両親にも無断でやってくるという荒業にでたのだ。
光輝はまだ小学生になったばかり、しかも自宅から晴達の家のある駅まで電車で4駅。住宅地が多い地区でもどうかという状況なのに、晴達の住む駅には大きな繁華街があり、正直に言えば光輝達の自宅のある地区より治安的に不安な面もあるのだ。
結局は駅前で宏太達に発見されることになり光輝の大冒険は終了した訳なのだが、それに対して父・宗輝のお説教と共に暫く光輝が晴達の家にくるのは禁止となる筈だったのだ。ところが、そこにきて両親がオッケーを出して晴達に電話を掛けて約束してから来るのなら良いよと、晴が光輝に妥協案を提示してしまった。つまり晴が意図していなくても、光輝を再び甘やかしてしまったのだ。
晴ちゃん!ママが良いよっていったの!だからね、僕今から行くね!
そういう電話が、毎日のように再三かかってくる。それに再び明良がキレて『家に来るな!!』と電話口で晴に怒ったのだけれど、相変わらずというか光輝は明良の言うことは全く聞かないのだ。結局は再び光輝の父・宗輝を呼び出し『何なの?!来すぎでしょ!!宗輝兄さん!!』と明良が再び激怒するという事態が繰り返されてしまったのだった。
またもやお迎えに参上したら晴のお膝で光輝が号泣というデジャウを感じる光景に、宗輝も流石に今度はパカンと音を立てて光輝の後頭部を叩いて引き剥がした。
何でそんなに晴ちゃんといたいんだ?
ベソベソと子猫のようにぶら下がる光輝が、それでも晴ちゃんLOVEを訴えるのに、改めて宗輝が問いかける。確かに母・由良は妊娠初期の悪阻で目下光輝の相手が出来ていなくて、光輝が晴ちゃんのお家行って良い?と聞きにくるのに抵抗できていない。何しろ執拗に繰り返される光輝の『いい?ねぇ?いい?』という質問に、由良だってもう良いから行ってきてと答えたくなる有り様なのだ。
父に問いかけられて光輝は力一杯に『だって、僕晴ちゃんが一番好きなんだもん!!』と元気に答えたわけで、何でそんなに好かれてるの?と晴も呆気に取られたのは言うまでもない。
俺、何でそんなに好かれてるの?
心底不思議そうに首を傾げる晴に、明良は晴には狭山家を惹き寄せる媚態でもあるんじゃないかと思う有り様だ。何しろ明良としても今迄の性癖やなにかを無視してでも晴と付き合いたいと思ったのだし、今だって晴が可愛くて抱きたくて自分だけのものにしたい。
兎も角もう折れたら駄目と明良が断固として一人で来るのを許さなかったのと同時に、晴はもう光輝を甘やかしたら駄目と明良に再三言われたわけである。
「でも、約束って…………。」
そんなわけで晴が考えなく光輝を甘やかすと明良が怒ったのはやむを得なくて、そのお仕置きにと明良の言うことを一つ聞くという約束を晴がしたのは事実。そうして明良がその約束を行使して、今日の夕食後に明良から手渡されたモノを晴が着て見せるという珍妙な羽目になった訳だ。
女装とかそういうのかと思ったのにぃ…………
晴としては案外自分が女装も似合っているという自覚はあるから、もしかしたらそっち系の衣装を手渡されたのかなと思ったのだ。でも、その割には手渡された袋がカサッと量が少なめだったから、以前に一度着た事のあるベビードール再来?!くらいには密かに考えていた。いや、ベビードールなら良いというわけではない。けれど、一度だけとはいえ着てしまった経験があるから、ここで二度目が来ても晴としてももうそれほど驚かないし抵抗ないかな程度に(何しろあの時のベビードールは晴としても想定外だったけど、明良はとっても興奮していたし、晴としてもあの時のエッチがとっても気持ちよかったのは確かなので)思っていた。
だけどこれは…………これはさぁ?!
手渡されたモノを取り出してポカンとした晴が、これってこういうこと?と風呂上がりに一応は足を通して着てみたものの…………晴は思わずその場で大きな悲鳴をあげたくなったのだった。
「うん、着てるとこ見せて?」
着てるところをみたい。確かにそれが明良との約束だから、こうして晴も素直に着てみたけれども。流石にこれはない、これはないでしょ?!と真っ赤になってしまっている晴の手は、未だにパジャマの前を両手で押さえ込むみたいにしてプルプル震えたまま。それが実は眺めている明良には何とも可愛くて、晴の傍に立つ明良の腕が晴の腰に回されて晴の事を抱き寄せていく。
「晴、みーせ、て?」
「や…………。」
そんな可愛く言われても無理と、晴はフルフルと俯き頭を振るが、そんな晴のパジャマの前のボタンに明良の指がかかって一番上のボタンを容易く外していた。それにハッとしたように晴が明良の手から逃げようと一歩後退り、明良は迷うことなく晴に追い縋り歩み寄る。延びてくる明良の手は迷いもなく、次のボタンに触れていく。次のボタン、そして3つ目のボタンが外される頃にはジリジリ後退る晴の背中はリビングから離れ、寝室のドアの前まで追い込まれてしまっていた。
「や、明良……。」
それでも未だ前を隠そうと手で押さえたままの晴が、ウルウルと瞳を潤ませてお願いの上目遣いしてくる。それを綺麗にスルーした明良の手が再び延びてきて、晴は胸元を開かれて肩からパジャマをストンと腕に落とされてしまっていた。それでも晴の手が押さえ込んだままの前は、パジャマの裾で上手く隠されたまま。
可愛い…………
このだけ姿でも、かなりくる。何しろ滑らかなミルク色の肌に湯上がりのツンとピンクの乳首、それに腰の回りと腕にだけ服を纏わりつかせて前を押さえる晴の姿なのだ。隠しきれない欲情に瞳を輝かせる明良が、更に一歩近より晴の押さえ込む手に指を沿わせていく。その指がスルリと手首を撫でるのに、晴はフルフルと首を横に振り小さな声で明良と名前を呼ぶ。
「ね、見せて?晴。」
「や。」
「はーる?お願い、みーせー、て?」
囁く明良の言葉に晴は、まだ必死に抵抗していて服の前を押さえ込んでいる。そんな晴の耳元に明良が唇を寄せてチュと耳朶に口付けながら、晴の耳に直接吹き掛けるように吐息と共に囁く。
「晴…………ほら、手どけて?ね?見せてくれるよね?」
「や…………ぁん……。」
「いいこ、ボタン外そうね?」
耳に吹き込まれる吐息のせいで甘い声をあげてしまう晴の身体を、明良は自分の身体ごと扉の向こうに押し込みながら晴の耳朶を舌でなぞる。耳を弄くられるのに弱い晴が必死に手で押さえ込んでいた4つ目のボタンを明良が外して、更に大きく露になった晴の滑らかな腹部に指を滑らせた。
「あ、…………んっ…………。」
明良がパジャマの隙間から覗き込むと、そこには隠しきれない滑らかな晴の綺麗な肌がホンノリ赤く染まっている。ボタンはもう後は残り一つだけで、そのボタンと晴の手で前を押さえているだけで、後はパジャマという布が腕と身体に僅かに巻き付いているだけなのだ。そして晴のその手の下には明良が晴に着て見せてねとお強請りした、とっても淫らな姿が隠されている。
「晴………………、ほら…………手?どけよ?」
「や、ぁんっあっ……。」
耳朶をねぶりながら明良の手が、晴の手首を掴んで持ち上げようとククッと力を掛けていく。必死に晴はそれに抵抗しようとしているけれど結局耳朶の愛撫もある状態では、明良の動きには逆らいきれないのだ。クイッと容易く持ち上げられた手を明良の片手で一括りに掴まれて、下に残されていた唯一のボタンを外されてしまっていた。音もなくハラリと左右にパジャマは分かれ、晴の身体は明良の前にさらけ出されたも同然だった。
「………………みちゃ、や………………。」
腕を掴まれた状態では、手でそこを隠すことも出来ない。真っ赤になって顔を背ける晴の下半身には、淫らにピッチリと肌に張り付く黒のエナメルめいた布地一枚。サイドは細く組紐のように編まれて上端は腰骨にかけられ、組紐の合間からは真っ白な肌が艶かしく覗く。しかもセクシーランジェリーの基本なのか、股間を覆う布の全体の面積は腰回りの半分にも満たない。
「や、だぁ………。」
晴の股間を強調するような布地の張り付き具合に、ただ腕を掴み見下ろしている方の明良が微かに喉をならすのが聞こえていた。
エロ………………過ぎ…………
ホンノリ肌を染めて羞恥心に顔を背ける晴の伏し目がちの瞳が、泣き出しそうにウルウルと揺れていて唇だって震えながら噛み締められている。その癖晴の下着の前はパツンと張り裂けそうな程に張り詰めていて、布の裂けてしまいそうな様は酷く淫らで艶かしい。そしてこうして明良が見下ろしているのに反応して、更に膨らみを増しているようにすら見えていた。ゴクリと再び大きく明良が喉をならしたのに晴は見られたことを肌で感じたのだろう、目を伏せたまま震える声で言う。
「脱ぐ………ぅ………。」
「まだ駄目。」
「も、じゅ……ぶん…………みた、でしょ?」
「まだ。」
見せたから良いでしょといいたげな晴に明良が事も無げに駄目と言い張るのは当然だし、晴だってこうなったら明良がただで済む筈がないのは分かっている筈だ。それでも明良のお強請りだった『着て見せて』は叶えたとジタバタと逃げ出そうとしている晴を、明良は捕獲してヒョイと肩に抱えあげた。と思うとそのままスタスタと寝室の奥に強制的に運びあげてしまう。そうしてドサリとベットの上に下ろされた晴が、再び肉食獣に捕獲された小動物みたいな視線で明良を見上げてくる。
「ふぇ、…………ぁきら…………も、やだぁ。」
そう言うけれどベットの上で両腕にパジャマの上着を纏わりつかせ、下半身はそんな淫らな下着一枚の姿で晴は震えている訳で。それに対して見下ろす明良の視線が、完全に獣の欲情に燃え盛っているのは説明しなくたって当たり前というものではないだろうか。
「晴?ちゃんと見せてくれないと、ね?約束だもんね?」
そうヤンワリと告げた明良に視線をあげた晴は、明良の顔を見上げ思わず顔色を変えていたのだった。
0
お気に入りに追加
249
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる