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間章 ちょっと合間の話3
間話86.おまけ 可愛いなぁ
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狭山明良の甥・高城光輝という想定外の乱入者に、新婚とも言える新居生活は毎週のように邪魔され続けている。そして邪魔されていることには気がついていない結城晴の呑気な様子には、流石の明良も正直いうと大分焦れてもいるのだ。しかも光輝はいつ迄経っても意図的に晴にだけ纏わりつき、隙あらば抱きついたりおぶさったりしていて晴に四六時中べったりなのだ。いや、子供なんだからそのくらいは容認すればと思うだろうが、明良が声をかけようにも光輝が大声あげて話を遮ってくるわけで。トイレや何かで少し離れたと思っても、明良が晴に近づくとあっという間に駆けつけてくるのだ。
「はーるぅちゃぁーん!お風呂ー!一緒に入ろーっ!!僕と晴ちゃんとで、おふーろー!!!」
再び話しかけようとした明良を遮って晴に飛び付いてきた光輝が、今度はそんなことを持ちかけてくる。二人で風呂?!そんなのダメに決まっているけれど、晴は何で駄目かすら気がつかないに違いない。
「いい…………。」
「ダメ!光輝は俺と入るか一人で!!」
明良の想定通り、良いよといいかけた晴の言葉を遮る。明良が断固として制止したのは、決して子供の光輝への嫉妬からではない。大事なところだから、もう一度言うが決して嫉妬したから制止したわけではないのだ。以前のマンションより大きい浴室のあるここは光輝と晴とで入っても何も問題ないし、どうせなら明良だって一緒に入れてしまう程。だが制止するのは、晴の身体にタップリ残っている数日前に明良がつけたキスマークを光輝から指摘される可能性があるからだ。流石に二人で愛しあった跡だからと説明するには、小学一年生の光輝はまだ早すぎる。
「えー…………明良にぃとじゃあ、僕やだぁ。」
「ああ?!」
言うに事欠いて、血縁の叔父とは嫌とはなんだ。その火花の散る二人の会話のやり取りに、横で聞いていた晴が苦笑いで仲裁に入ってくる。
「まぁまぁ明良も光輝と仲良くしたいんだよね?」
「えぇー………僕………晴ちゃんと二人がいいのにぃ。」
「いや…………晴…………。」
心の中で力一杯にクソガキと毒づくけれど、こうなったらそう考えてくれて構わないので明良と光輝で入っておいでとしてほしい。本音をいうとここで光輝に晴の身体のキスマークを指摘されると、確実に姉・由良の耳に入って後から面倒なことになるのが明良には目に見えているのだ。何しろ晴は目下狭山家ではアイドル顔負けの人気者で、晴に明良が怪我させたとか傷をとかつけたとなると家族総出で明良にクレームが飛んできかねない。何せ晴はあの堅物の狭山高良翁まで笑顔で虜にして、縁側で二人で茶を飲むくらいなのだ。
晴ちゃん。
そう、何故か他の血縁者どころか曾孫ですら呼び捨ての高良は、晴だけを『晴ちゃん』等と呼ぶようになっていて。
何?高良じいちゃん
晴の方はこう呼んでといわれたと、他の子供には様付け(何せ少し砕けて呼べる光輝ですら『じぃちゃま』までしか呼ばせないし、明良なんか爺様か道場では師範と呼べと言われていたくらいなのだ。その癖何故か他人である筈の晴にだけだ、高良は別人になったのだ。)で呼ばせてきたジジイはデレッとしている有り様。
これ旨いからお食べ、晴ちゃん。
ありがと、高良じいちゃん。
そんな風に二人が長閑に会話をしながら縁側でお茶しているのだと知った明良は、真顔で晴は魔法使いなんじゃないかと思った。何しろ孫・曾孫ですら誰一人として未だに、高良を『高良じいちゃん』なんて呼べる人間はいないのだ。しかも未だに道場では猛者として名を馳せている高良が、好好爺みたいにデレデレしながら晴と縁側にいるなんて明良でなくても目を疑う。
どうやってあのジジイと?
素直に明良が戸惑いながらそう問いかけたら、晴は不思議そうに何もしてないよと笑い最初は『ただ普通に笑いかけたら、縁側でお茶しようかって。』と答える有り様だった。
晴ちゃんって、天性の人たらしね。
長女の狭山佐久良ですら呆れたように言うが、ある意味では魔性か天使の笑顔で狭山家の人間をあっという間に虜にしてしまったのだ。しかもそんな可愛い晴は、時に明良にタップリ愛されていることを忘れてしまっているんじゃないかと思うことがある。
「えぇー……でもぉ。」
「分かった!じゃ3人で入っちゃおっか?!ね?光輝。」
晴ーっ!!!分かったじゃないー!!!人が折角、回避しようとしてこの手で折ったフラグを、鋼鉄性の折れないもので建て直すなよ!!!そう考えながらひきつった顔を浮かべる明良に、晴だけでなく明良がおまけに付くという半分だけ希望通りの流れ。それでも晴とのお風呂になりつつあるというのに光輝はドヤという顔で笑うのだった。
※※※
「晴。」
ソッと名前を呼ぶ明良の声が、耳元を擽るように響く。結局あの後晴は明良が必死にへし折りたかったフラグには全く気がつかず、光輝と晴と明良の三人で風呂にはいる羽目になった。
光輝!ちょっと背が伸びた?!
うん!僕ね!クラスで真ん中くらいなの!!
ワシャワシャ髪を洗われながら、そんなことを騒ぐ二人は可愛いのはいうまでもない。勿論、生意気な光輝より格段に可愛くて色っぽいのは晴の方だけれど。幸いだったのは少し晴の身体のキスマークが既に色を落とし初めていて、晴のあの透き通るような色白な肌でも幾分目立たなくなっていたことだ。お陰で少し黄色味がかっているものもあって、光輝は浴室のオレンジの光では気がつかず指摘してこなかった。まぁ光輝の方は頭を洗って貰ったり身体を洗って貰ったりと、晴に再三に手をかけて貰おうとするのに忙しくて晴の身体まで見ている余裕がなかったとも言えるけれども。そうして散々風呂ではしゃぎすぎた光輝は、風呂の後アッサリ撃沈してしまい爆睡状態で和室の布団に明良が運ぶ有り様。
「ん…………?」
子供を和室で一人で寝かしておいてとは明良だって少しは思いつつも、新居へ引っ越しした際に祝いだと外崎宏太がドーンと買ってくれたクイーンサイズのベットの中で身体を起こす。
因みに外崎了はキッチンにある立派な家電類を買ってくれて、久保田夫妻ははリビングのソファーを買ってくれていた。これからここが二人の新居だねと来てみたら既に室内にシックにまとまるそれらの家具は家の中に設置されていて、???の状態で、あれ?ここは家具付きなんだっけ?と二人で最初に首を傾げたくらいだ。それにしても引っ越す話なんて全く伝えてないのに何処から知ったのかと思ったら、考えても見ればここのオーナーを明良達に紹介してくれたのは宏太だった。それにしても随分豪華すぎる上に晴と明良の好みを掴みきった引っ越し祝いに慌てたのだが、考えても見たらあの面々の金銭感覚が庶民でないというのを失念していただけの明良と晴なのだ。考えるだけ無駄、あげたいというのだから喜んで戴こう、何しろ億単位の邸宅を即金キャッシュで売買した男達なのだから。
「晴…………。」
「んん、明良?」
夜の帳に熱っぽくのし掛かってきた明良の体温に、晴は少し慌てたようにもがきながら名前を呼ぶ。何しろここは二人の家の寝室とはいえ、リビング傍の和室に今正に光輝が寝ているのだから。
「ダメ…………ぅんっ。」
唇を重ねられて明良の舌が唇を割って入ってくるのに、少し甘く声が溢れて晴は頬を染める。最近は明良はちゃんと状況に合わせてくれるし、駄目な時は駄目と察してくれるようになったのだ。そういう意味ではこれは駄目な状況なのに、重ねられてしまった唇は晴の吐息を余さず包み込む。
「ん、んん、…………んっ。」
湿ったチュクチュクと口腔内を舐め回す明良の舌の立てる音が、口の中から頭の方まで響いて晴は思わず眉を寄せて息をあげてしまう。最初から明良が触れて何かすると、こんな風に頭の中に音が響いて気持ちよくなってしまうのだ。ユルユルとヌニュヌニュと明良の舌が晴の歯茎や舌を舐め回してくる心地よさに、気がつく間もなく晴の身体の芯がトロリと熱をもって蕩けてしまう。
「ぅぐ………………んぅ、ぅうん…………や、ぁん………………。」
「晴…………すき、…………ぁ…………ぃしてる…………。」
キスの合間に囁く甘く熱い愛の言葉がそのまま口腔の中に注ぎ込まれて、潤んだ晴の目がなおのこと熱をもって蕩けさせられてしまっていく。覆い被さられて口の中を掻き回されながら、全身から力の抜けてしまった晴の頬を明良が両手で包み込む。
「晴………………、好き、……おれの、晴…………。」
頬を撫でチュチュと唇を啄まれながら更に明良の熱い片手に腰を抱き寄せられただけで、引き寄せられた背筋が痺れるような快感が激しく貫いていくのが分かる。
「ん……やん…………、ぁきら…………や、……ら…………めぇ。」
舌を絡みとられては、制止の言葉なんて全く上手く放てない。それでもキスの心地よさに眉をしかめて、明良の背に回した晴の両手が縋りつくように服を掴む。その感触に晴のしなやかな両足を割るようにして、明良の腰がググッと深く沈んでくる。
「ぁ……はぁ、ん…………。」
キスの快感に蕩けさせられて芯を持ち始めた晴の股間に、既に熱く滾った明良の中心がゴリゴリと存在感を示して擦り付けられている。しかも明良の手が更に晴の下肢を大きく広げさせて、布越しだというのに脈打つ動きすら分かる明良の怒張が晴のモノに押し付けられていく。
「や、ぁ……んん、ぁき、らぁ……。」
蕩けて甘えだしていた晴の声は更に艶を増して、潤んだ瞳が媚びを含んだ視線で明良のことを見上げてくる。頬を染めながら、それでも熱さに負けて明良を欲しがる瞳に、明良が微笑みながら晴の服に手をかけ下半身をさらけ出そうとした瞬間
「はるちゃあん!!」
バタンと大きな音を立てて寝室のドアを開け、光輝が寝ぼけ眼を擦りながら子供特有のぐずる声で晴を呼んだ。チッと舌打ちした明良の下から慌てて這い出して、晴が『光輝』と呼び掛けると目を擦っていた手を下ろした光輝が晴に駆け寄ってくる。
「はるちゃあん、僕も一緒、ねるぅ。」
まだ小学生になったばかりで、ほんの1ヶ月ちょっとしか経っていない光輝はまだまだ自宅では両親に挟まれて寝ているのだ。幾ら泊まりに来た明良のうちとはいえ一人で寝るのには不安なのだから、そう視線で明良に訴えかけるけど明良はどう見ても不満顔のまま横になってしまう。
んん…………
晴の方だってこんな風に煽られて中途半端に昂った状態で、明良に背を向けて反対側に光輝を寝かせるのも。とはいえ何ともしようがないので明良に晴、そして光輝の順で横になって、晴は自分の隣にコテンと横になった光輝の胸の上をポンポンと叩く。
「はる……ちゃん、…………僕ね……?」
「うん?」
半分眠りに落ちながら光輝がモニャモニャと何かを呟くのを聞き取りながら、晴は寝かしつける光輝の子供らしい様子に微笑む。自分と明良とでは流石に子供は作れないし、可能性として子供をもつとしても養子ということになる。そうなればきっと他の親戚からなんてことはないだろうから、明良そっくりの光輝はまるで明良の子供が出来たみたいな気分になるのだなんて。
恥ずかしくて言えない…………けど、可愛いなぁ…………
明良の子供の頃もこんな風だったのかなと母親で明良の姉でもある高城由良には聞いてみたけれど、由良からは『光輝の方がずっと可愛いのよ?晴ちゃん。』と答えられてしまったのはここだけの話。
「ぼく、ねぇ……はる、ちゃん…………およめ、もらぅ……。」
何で?とは思うけれど、まぁある意味自分は明良の嫁的立場だと皆が思っているようなので(確かにセックスでいうと嫁なのだけど、家事的な分担をいうと嫁???となるのは晴だけだろうか?まぁ世の中は主夫という言葉もあるのだけれど、基本二人の暮らしで家事分担は明良の方が主体だ。)あえて否定は止めた。何か無理に否定すると狭山家総動員で、夜の生活を根掘り葉掘りされそうだし、既に狭山家の実家で事に及んでしまった晴はお嫁さんを否定するには弱い。
「ふふ、可愛いなぁ…………。」
もう少ししたらこんなことは言わなくなるだろうなぁと光輝の頭を撫でながら、晴が思わず呟くと不意に背後から布団の中でニュウッと腰の辺りに腕が伸びてきたのに気がつく。
んん?!
腹の前をがっしりと背後から抱き締めてくるのは、当然背後に寝ている明良なのはいうまでもない。目の前のチビ明良みたいな光輝は隣に寝たので安堵したのかスヤスヤ眠りについていて、まぁ明良には背後から抱きつかれて寝るのもいいかななんて軽く考えたのが間違いだった。ギュッと抱き締めた明良は晴の項に顔を押し付けて、しかもガプッと首筋を噛んできたのだ。
「っ?!った!」
悲鳴をあげそうになったのを必死で堪えたけれど、結構地味に痛い。かなり強く噛んだでしょと言おうにも、折角寝付いたばかりの光輝を起こすわけにもいかないから晴は声もだせないでいる。
「はーるぅちゃぁーん!お風呂ー!一緒に入ろーっ!!僕と晴ちゃんとで、おふーろー!!!」
再び話しかけようとした明良を遮って晴に飛び付いてきた光輝が、今度はそんなことを持ちかけてくる。二人で風呂?!そんなのダメに決まっているけれど、晴は何で駄目かすら気がつかないに違いない。
「いい…………。」
「ダメ!光輝は俺と入るか一人で!!」
明良の想定通り、良いよといいかけた晴の言葉を遮る。明良が断固として制止したのは、決して子供の光輝への嫉妬からではない。大事なところだから、もう一度言うが決して嫉妬したから制止したわけではないのだ。以前のマンションより大きい浴室のあるここは光輝と晴とで入っても何も問題ないし、どうせなら明良だって一緒に入れてしまう程。だが制止するのは、晴の身体にタップリ残っている数日前に明良がつけたキスマークを光輝から指摘される可能性があるからだ。流石に二人で愛しあった跡だからと説明するには、小学一年生の光輝はまだ早すぎる。
「えー…………明良にぃとじゃあ、僕やだぁ。」
「ああ?!」
言うに事欠いて、血縁の叔父とは嫌とはなんだ。その火花の散る二人の会話のやり取りに、横で聞いていた晴が苦笑いで仲裁に入ってくる。
「まぁまぁ明良も光輝と仲良くしたいんだよね?」
「えぇー………僕………晴ちゃんと二人がいいのにぃ。」
「いや…………晴…………。」
心の中で力一杯にクソガキと毒づくけれど、こうなったらそう考えてくれて構わないので明良と光輝で入っておいでとしてほしい。本音をいうとここで光輝に晴の身体のキスマークを指摘されると、確実に姉・由良の耳に入って後から面倒なことになるのが明良には目に見えているのだ。何しろ晴は目下狭山家ではアイドル顔負けの人気者で、晴に明良が怪我させたとか傷をとかつけたとなると家族総出で明良にクレームが飛んできかねない。何せ晴はあの堅物の狭山高良翁まで笑顔で虜にして、縁側で二人で茶を飲むくらいなのだ。
晴ちゃん。
そう、何故か他の血縁者どころか曾孫ですら呼び捨ての高良は、晴だけを『晴ちゃん』等と呼ぶようになっていて。
何?高良じいちゃん
晴の方はこう呼んでといわれたと、他の子供には様付け(何せ少し砕けて呼べる光輝ですら『じぃちゃま』までしか呼ばせないし、明良なんか爺様か道場では師範と呼べと言われていたくらいなのだ。その癖何故か他人である筈の晴にだけだ、高良は別人になったのだ。)で呼ばせてきたジジイはデレッとしている有り様。
これ旨いからお食べ、晴ちゃん。
ありがと、高良じいちゃん。
そんな風に二人が長閑に会話をしながら縁側でお茶しているのだと知った明良は、真顔で晴は魔法使いなんじゃないかと思った。何しろ孫・曾孫ですら誰一人として未だに、高良を『高良じいちゃん』なんて呼べる人間はいないのだ。しかも未だに道場では猛者として名を馳せている高良が、好好爺みたいにデレデレしながら晴と縁側にいるなんて明良でなくても目を疑う。
どうやってあのジジイと?
素直に明良が戸惑いながらそう問いかけたら、晴は不思議そうに何もしてないよと笑い最初は『ただ普通に笑いかけたら、縁側でお茶しようかって。』と答える有り様だった。
晴ちゃんって、天性の人たらしね。
長女の狭山佐久良ですら呆れたように言うが、ある意味では魔性か天使の笑顔で狭山家の人間をあっという間に虜にしてしまったのだ。しかもそんな可愛い晴は、時に明良にタップリ愛されていることを忘れてしまっているんじゃないかと思うことがある。
「えぇー……でもぉ。」
「分かった!じゃ3人で入っちゃおっか?!ね?光輝。」
晴ーっ!!!分かったじゃないー!!!人が折角、回避しようとしてこの手で折ったフラグを、鋼鉄性の折れないもので建て直すなよ!!!そう考えながらひきつった顔を浮かべる明良に、晴だけでなく明良がおまけに付くという半分だけ希望通りの流れ。それでも晴とのお風呂になりつつあるというのに光輝はドヤという顔で笑うのだった。
※※※
「晴。」
ソッと名前を呼ぶ明良の声が、耳元を擽るように響く。結局あの後晴は明良が必死にへし折りたかったフラグには全く気がつかず、光輝と晴と明良の三人で風呂にはいる羽目になった。
光輝!ちょっと背が伸びた?!
うん!僕ね!クラスで真ん中くらいなの!!
ワシャワシャ髪を洗われながら、そんなことを騒ぐ二人は可愛いのはいうまでもない。勿論、生意気な光輝より格段に可愛くて色っぽいのは晴の方だけれど。幸いだったのは少し晴の身体のキスマークが既に色を落とし初めていて、晴のあの透き通るような色白な肌でも幾分目立たなくなっていたことだ。お陰で少し黄色味がかっているものもあって、光輝は浴室のオレンジの光では気がつかず指摘してこなかった。まぁ光輝の方は頭を洗って貰ったり身体を洗って貰ったりと、晴に再三に手をかけて貰おうとするのに忙しくて晴の身体まで見ている余裕がなかったとも言えるけれども。そうして散々風呂ではしゃぎすぎた光輝は、風呂の後アッサリ撃沈してしまい爆睡状態で和室の布団に明良が運ぶ有り様。
「ん…………?」
子供を和室で一人で寝かしておいてとは明良だって少しは思いつつも、新居へ引っ越しした際に祝いだと外崎宏太がドーンと買ってくれたクイーンサイズのベットの中で身体を起こす。
因みに外崎了はキッチンにある立派な家電類を買ってくれて、久保田夫妻ははリビングのソファーを買ってくれていた。これからここが二人の新居だねと来てみたら既に室内にシックにまとまるそれらの家具は家の中に設置されていて、???の状態で、あれ?ここは家具付きなんだっけ?と二人で最初に首を傾げたくらいだ。それにしても引っ越す話なんて全く伝えてないのに何処から知ったのかと思ったら、考えても見ればここのオーナーを明良達に紹介してくれたのは宏太だった。それにしても随分豪華すぎる上に晴と明良の好みを掴みきった引っ越し祝いに慌てたのだが、考えても見たらあの面々の金銭感覚が庶民でないというのを失念していただけの明良と晴なのだ。考えるだけ無駄、あげたいというのだから喜んで戴こう、何しろ億単位の邸宅を即金キャッシュで売買した男達なのだから。
「晴…………。」
「んん、明良?」
夜の帳に熱っぽくのし掛かってきた明良の体温に、晴は少し慌てたようにもがきながら名前を呼ぶ。何しろここは二人の家の寝室とはいえ、リビング傍の和室に今正に光輝が寝ているのだから。
「ダメ…………ぅんっ。」
唇を重ねられて明良の舌が唇を割って入ってくるのに、少し甘く声が溢れて晴は頬を染める。最近は明良はちゃんと状況に合わせてくれるし、駄目な時は駄目と察してくれるようになったのだ。そういう意味ではこれは駄目な状況なのに、重ねられてしまった唇は晴の吐息を余さず包み込む。
「ん、んん、…………んっ。」
湿ったチュクチュクと口腔内を舐め回す明良の舌の立てる音が、口の中から頭の方まで響いて晴は思わず眉を寄せて息をあげてしまう。最初から明良が触れて何かすると、こんな風に頭の中に音が響いて気持ちよくなってしまうのだ。ユルユルとヌニュヌニュと明良の舌が晴の歯茎や舌を舐め回してくる心地よさに、気がつく間もなく晴の身体の芯がトロリと熱をもって蕩けてしまう。
「ぅぐ………………んぅ、ぅうん…………や、ぁん………………。」
「晴…………すき、…………ぁ…………ぃしてる…………。」
キスの合間に囁く甘く熱い愛の言葉がそのまま口腔の中に注ぎ込まれて、潤んだ晴の目がなおのこと熱をもって蕩けさせられてしまっていく。覆い被さられて口の中を掻き回されながら、全身から力の抜けてしまった晴の頬を明良が両手で包み込む。
「晴………………、好き、……おれの、晴…………。」
頬を撫でチュチュと唇を啄まれながら更に明良の熱い片手に腰を抱き寄せられただけで、引き寄せられた背筋が痺れるような快感が激しく貫いていくのが分かる。
「ん……やん…………、ぁきら…………や、……ら…………めぇ。」
舌を絡みとられては、制止の言葉なんて全く上手く放てない。それでもキスの心地よさに眉をしかめて、明良の背に回した晴の両手が縋りつくように服を掴む。その感触に晴のしなやかな両足を割るようにして、明良の腰がググッと深く沈んでくる。
「ぁ……はぁ、ん…………。」
キスの快感に蕩けさせられて芯を持ち始めた晴の股間に、既に熱く滾った明良の中心がゴリゴリと存在感を示して擦り付けられている。しかも明良の手が更に晴の下肢を大きく広げさせて、布越しだというのに脈打つ動きすら分かる明良の怒張が晴のモノに押し付けられていく。
「や、ぁ……んん、ぁき、らぁ……。」
蕩けて甘えだしていた晴の声は更に艶を増して、潤んだ瞳が媚びを含んだ視線で明良のことを見上げてくる。頬を染めながら、それでも熱さに負けて明良を欲しがる瞳に、明良が微笑みながら晴の服に手をかけ下半身をさらけ出そうとした瞬間
「はるちゃあん!!」
バタンと大きな音を立てて寝室のドアを開け、光輝が寝ぼけ眼を擦りながら子供特有のぐずる声で晴を呼んだ。チッと舌打ちした明良の下から慌てて這い出して、晴が『光輝』と呼び掛けると目を擦っていた手を下ろした光輝が晴に駆け寄ってくる。
「はるちゃあん、僕も一緒、ねるぅ。」
まだ小学生になったばかりで、ほんの1ヶ月ちょっとしか経っていない光輝はまだまだ自宅では両親に挟まれて寝ているのだ。幾ら泊まりに来た明良のうちとはいえ一人で寝るのには不安なのだから、そう視線で明良に訴えかけるけど明良はどう見ても不満顔のまま横になってしまう。
んん…………
晴の方だってこんな風に煽られて中途半端に昂った状態で、明良に背を向けて反対側に光輝を寝かせるのも。とはいえ何ともしようがないので明良に晴、そして光輝の順で横になって、晴は自分の隣にコテンと横になった光輝の胸の上をポンポンと叩く。
「はる……ちゃん、…………僕ね……?」
「うん?」
半分眠りに落ちながら光輝がモニャモニャと何かを呟くのを聞き取りながら、晴は寝かしつける光輝の子供らしい様子に微笑む。自分と明良とでは流石に子供は作れないし、可能性として子供をもつとしても養子ということになる。そうなればきっと他の親戚からなんてことはないだろうから、明良そっくりの光輝はまるで明良の子供が出来たみたいな気分になるのだなんて。
恥ずかしくて言えない…………けど、可愛いなぁ…………
明良の子供の頃もこんな風だったのかなと母親で明良の姉でもある高城由良には聞いてみたけれど、由良からは『光輝の方がずっと可愛いのよ?晴ちゃん。』と答えられてしまったのはここだけの話。
「ぼく、ねぇ……はる、ちゃん…………およめ、もらぅ……。」
何で?とは思うけれど、まぁある意味自分は明良の嫁的立場だと皆が思っているようなので(確かにセックスでいうと嫁なのだけど、家事的な分担をいうと嫁???となるのは晴だけだろうか?まぁ世の中は主夫という言葉もあるのだけれど、基本二人の暮らしで家事分担は明良の方が主体だ。)あえて否定は止めた。何か無理に否定すると狭山家総動員で、夜の生活を根掘り葉掘りされそうだし、既に狭山家の実家で事に及んでしまった晴はお嫁さんを否定するには弱い。
「ふふ、可愛いなぁ…………。」
もう少ししたらこんなことは言わなくなるだろうなぁと光輝の頭を撫でながら、晴が思わず呟くと不意に背後から布団の中でニュウッと腰の辺りに腕が伸びてきたのに気がつく。
んん?!
腹の前をがっしりと背後から抱き締めてくるのは、当然背後に寝ている明良なのはいうまでもない。目の前のチビ明良みたいな光輝は隣に寝たので安堵したのかスヤスヤ眠りについていて、まぁ明良には背後から抱きつかれて寝るのもいいかななんて軽く考えたのが間違いだった。ギュッと抱き締めた明良は晴の項に顔を押し付けて、しかもガプッと首筋を噛んできたのだ。
「っ?!った!」
悲鳴をあげそうになったのを必死で堪えたけれど、結構地味に痛い。かなり強く噛んだでしょと言おうにも、折角寝付いたばかりの光輝を起こすわけにもいかないから晴は声もだせないでいる。
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