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間章 ちょっと合間の話3
間話7.王子様
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諦めるから。
狭山明良のその言葉に一瞬で今迄蕩けていた筈の結城晴の顔が凍りついたのに、言葉を口にした明良の方も気が付いていた。今迄ずっと『五十嵐ハル』で晴が調査の最前線に立つことに反対して来た明良が、したかったらしてもいいと言い出したのも予想外だろう。その上止めるのは諦めるなんて口にしたから驚いたのかと思いきや、目の前で唐突に晴の顔がフニャと子供が泣き出すように歪んだのだった。それに明良が驚く間もなく、晴の瞳がウルウルと潤み始めている。
「明良ぁ……、俺のこと…………嫌いになった、の?」
「は?なんで?なんでそう繋がったの?」
余りの方向性に呆気にとられた様子の明良の声に、晴はだってぇと泣き出しそうになりながら言う。本当に時々晴の思考過程は明良にはまるで理解できない事があって、どこからどう繋がるとこんなに熱烈に過保護にしている明良が晴を嫌うなんてことに繋がるのか。しかもそれを放置しておくと、ろくなことにならないのは最近では明良も良く理解している。
「だって……明良、俺のこと置いてっちゃうし…………っ」
ええ?!一体なんのこと?と明良はポカンとしてしまっているが、晴が言う『置いていった』は説明するまでもなく数時間前のこと。駅の構内で『五十嵐ハル』を捕獲した明良が、約束を意図的に破った晴に対して「もういい」と告げて一人立ち去ってしまったことを言っているのだ。でも、それは晴が余りにも意図的に約束を破るのに対してあの場でブチ切れるのもどうかと思ったのと、酔っ払い男二人に本気でキレて駅の構内で回し蹴りもヤバイなと思ったからの明良の行動だった。でも確かに置き去りにしたのは事実だけど、晴が呆然としていて酔っ払い二人に人気のない通りの方に向かって引きずられていくから直ぐに追いかけたわけで。
「……あれは…………晴が約束しても破るから…………。」
「…………だって、明良、五十嵐ハルすると怒るからぁ…………。」
いけない、これでは話が堂々巡りになる。確かに今迄は全面反対だったのだけど、それだと晴がこんな風に隠れて実施を繰り返すだけだと流石に認めるしかないと明良だって思ったのだ。それに知らないところでやられるくらいなら、知っていてやられる方がずっと明良だって何かしら行動はとれるし安心できるというもの。
「安心?」
「うん、やっていいよ?やっていいから、必ず連絡して。」
あれ?それでは今迄の約束と何も変わらないのではと晴の顔が言っているが、ここからが違うことなのだ。やってもいいから連絡。そうしたら
「そうしたら、必ず俺が傍にいて、晴に何かあったら助けにいくから。」
「助け…………る?」
「そう。今日みたいなことが起きたら必ず俺が助けるから。」
今日みたいな。その言葉に男達の乱暴を思い出したのかブルッと晴の身体が震えて覆い被さったままの明良に再びヨシヨシと頭を撫でられて、晴は潤んだ瞳で上目遣いに明良の顔を見つめる。傍にいて晴が危険な目に遭いそうになったら、明良が今日みたいに助けにきてくれる。それがやっと頭の中で理解できてきたのか、晴の視線が明良のことを揺るぎもせずにジッと見つめ続けていた。そして、オズオズという声で晴が呟く。
「助けに…………きて………………くれるの?」
「うん。」
晴は元々スリルとサスペンスが好きなんて口にしていたけれど、結局は例えば探偵のような調査関係の仕事なんかに興味があるのだろうと明良も思う。普通に暮らしていたら接しないような事に惹かれていて、それが出来る外崎達の仕事が楽しいのだ。それを駄目だと言っても制限しようがないし、だからこそ『五十嵐ハル』をやりたがっているのは分かったから、それはもう否定しない。だから、やっていいから事前にちゃんと教えて貰って、自分が傍にいられるようにした方が安心だ。もしもの時に明良が傍にいられれば何かあったら助けにいけるのだし、と明良は大きく考えを切り替えたというわけだ。
「助けて…………くれる。絶対…………?」
「うん、絶対に助けるから。」
明良の思うことが分かったというより、何でだろうか?どことなく今の晴の視線がウットリしたようにも見えてしまう。そんな晴の視線に明良の方も少し戸惑いもするのは、やっぱり晴の思考過程は本当に明良には桁外れに難解だからだったりする。
「ぁ…………きら…………?」
トロリと一際甘く蕩けた声で晴が、明良の名前を呼ぶ。明良だってそれを忘れている訳じゃないけれど、今の晴は脚を広げて淫らな場所を惜し気もなく明良に全て曝したままなのだ。直前の一瞬の気持ちの変動で萎えかけていた晴のピンクの陰茎は、再びピクピクとひくつきながら硬く起ち始めている。そして、その下には誘いかけるようにひくつき蠢く、ピンクに艶かしい後穴が綻びつつあるのがみてとれた。触れてもいないのに、今にも飲み込んでしまいそうに淫らに蠢いて見せるのに思わず明良の喉が大きな音をたてる。それに晴は少しだけ恥ずかしそうにはにかみを漂わせているが、潤んで欲情仕切った顔をして見せて更に強請った。
「ぁきらぁ…………ちょ、ぉ……だい…………。」
目の前には、自分自身の手で左右に大きく脚を抱え込む淫らな姿。膝を折り抱えるせいで、明良の目の前には晴のピンクの性器が全て曝されて、欲情を煽り今すぐセックスしようと淫らに誘いかけている。
晴が再び蕩けた声で明良に強請るのに、それを見下ろしていた明良の喉がまた大きく音を立てていた。寸前まで乳首だけで限界まで責め立てられていたのは事実だけれど、一瞬で冷めたり熱くなったりしている晴には、今の明良との会話がどんな風に作用しているのかまでは明良には分からない。けれど、目の前の晴は完全に箍が外れてしまったみたいに、淫らな可愛い声をあげて必死に誘いかけてくる。
「明良ぁ…………、俺の…………こと…………オンナノコに、してぇ…………。」
そんな途轍もない淫らな改心の一撃。積極的すぎる晴のお誘いに、冷静な顔をしているように見えていて限界間近だった明良の理性だって数秒と堪えきれる筈もなかったのだ。
※※※
自分が自分でなんとも出来ないのは不甲斐なくて歯痒い。でもそれ以上に恐怖感もあって、男だろうと構わないし力付くで犯されようとしている自分の状況が信じられなかった。確かに自分は元々外崎了と付き合ってバイセクシャルになったし、了と別れてから何人かとは性交渉もしている。勿論晴の相手には男も女もいるから、厳密には恋人というよりセフレ程の関係だったのだけれど、それでも男女問わず性的な経験はあるのは事実だ。
でも、こんなの嫌だ
見ず知らずの酔っぱらい二人に抵抗も出来ずに、まるで非力な女性そのもののように路地裏に連れ込まれ乱暴される。男の自分がこんなことに巻き込まれてしまうなんて正直信じられないし、大体にして男だと確認して襲いかかる男がいるなんてと思う。弄ばれる乳首と脱がされそうになっていて弄ばれようとしている下半身、それを考えるだけでもゾッとする。
そんな風に晴が男達にいいようにされていたあの時、明良は確かに助けにきてくれたのだ。
そして男達から助けられ自分を抱き締めてくれた明良の腕の中から、泣きながら晴は明良のことを見上げていた。そこにいたのは夜の闇に浮かぶ凛々しく凛とした明良で、男達に向けた強い意思を伺わせる切れ長の瞳の鋭さに息を飲む。久世博久とは違ってスーツにコート姿も浮くこともなくキッチリと着こなしていて、仕事を終えてきた筈なのにまるで着崩れてもいない。それに自分を抱き止めてくれた腕の力強さとか、しなやかでシュッとした顔立ちとか、艶やかな黒髪とか…………そうなのだ、こうしてあげていったらキリがないほど、あの時の明良は本当に格好良かった。
こういうの…………王子様とか…………いう?
よく悪漢とか不良とかに絡まれている女の子が颯爽と助けに現れた男に一目惚れするなんて物語は山のようにある。けれど、どうしたって自分は男なのだし、その立場になって経験してみるなんてことは考えたこともない。それでもこんな風に恋人が颯爽と助けにきてくれて、しかも明良が苦もなく自分を助け出してくれたのにドキドキするし安堵もする。
俺のこと…………助けにきてくれた…………
晴自身が明良を怒らせて置いていかれた筈なのに、明良はちゃんと探しに来てくれて、しかもこんな怖い場面に颯爽と駆けつけてくれて、酔っ払いの男達なんか目じゃないと言いたげにアッサリと助け出してくれる。そんな格好いいことを当然みたいにするのが、自分の彼氏だなんてちょっと出来すぎていて困るくらいに嬉しい。
しかもサッと助け出してくれた後の明良は、それこそ物語の王子様か騎士様かと言わんばかり紳士ぶり。自分のコートを晴に羽織らせて手を繋いで連れ添いながら、何度も泣き止むように優しく抱き寄せてキスまでされて。
カッコよすぎる…………こんなの…………、もう、やだ…………死んじゃいそう…………
※※※
寸前まではジリジリと焦らすようにユックリと脱いでいた筈の服を、剥ぎ取るように肌から引き剥がしてバサバサと音を立てて床に投げ捨てる明良を潤んだ瞳のまま晴は淫らな姿で見つめる。ふしだらと言われたら何も反論のしようがないけれど全裸のまま両足を広げて、明良を誘いかけるために晴の口からでたのは途方もない発言だと晴にだってちゃんと分かっている。それでもオンナノコにしてなんて晴が甘えて強請る言葉が、明良の理性を弾き飛ばしていて十分な誘い文句だったろう。しなやかな身体が自分にのし掛かるのを見つめながら、晴の視線は見事な明良の肉体美から離すことが出来ないでいる。服の上からでは分かる筈もない鍛え上げられた身体に、下折立つ怒張、それこそ完璧な王子様みたいな晴の明良。それが今すぐ欲しいと視線を外すことも出来ないのだ。
「明良ぁ…………。」
体内に捩じ込もうと押し当てられた明良の怒張の熱さに全身が戦いていて、先端を押し当てられただけなのに今にも腹の中を突き破られてしまいそうな固さをそれに感じ取ってしまう。それでもそれが奥まで突き立てられる快感は、既に抗いようもなく晴の身体の奥に刻み込まれてもいる。興奮して欲情を隠せないでいる晴が無意識に先端に吸い付くように後孔をひくつかせて、明良は腰を前に押し出していた。ヌチュ…………と淫らな音と共に怒張の先端がユックリ体内にめり込んで、閉じていた体内を熱く押し開いていくのに思わず晴の喉が仰け反っていく。
「ぅんんんっ……んぅう!ふぁ……っ!」
上からのし掛かるようにして、次第に押し込まれていく。硬い怒張の質量が、ズニュズニュと少しずつ少しずつ中に進んでいく。次第に深いところに向かって穿っていくのに圧迫感が増して、全身がピリピリと痺れるような快感に一気に飲み込まれていくのに晴は甘い吐息を溢していた。入れられただけであっという間にいってしまいそうで、でもそうなったら延々といき続けてしまいそうなくらい気持ちがいい。
「んんっうぅん!んふぁ……ふぁ……っ!」
「は、る……っ、い?……きもち、い?」
「んんんっ!も、っと、き、てぇ……ぁきらぁ!」
更に奥を強請る言葉に明良が僅かに舌で唇を湿して、そのまま一気に奥まで貫くようにドツンッと勢い良く腰を落としていた。
「いっ!!!ひゃうううっ!!!ひぁあ!」
奥底まで捩じ込まれた衝撃で一瞬目の前がチカチカと瞬くのを感じとりながら、晴は甲高く甘い悲鳴をあげて自分の腹に向けて勢い良く蜜を吹き出してしまっていた。怒張を押し込まれる快感に思わず吹き上げてしまった白濁の汁が、快感にピクピク痙攣する腹に勢い良く飛び散る光景は卑猥で艶かしいのはいうまでもない。それをみた明良がゴツゴツと奥を抉るように思い切り腰を前後に振り立て始めたのに、晴の悲鳴が更に艶を増して口からこぼれ落ちていく。
「いっ!あっ!やっあぁあ!!あぅっ!そこ、あっ!!だめぇ!あああぁ!」
最奥に硬く落ち着けるようにあたり、更に怒張の熱さが擦りたてていく体内の強い快感。そしてその奥で何か一つの抵抗感のある部分に、完全に明良の怒張がクポンッと嵌まり込んだ感覚がもたらされるとどうしようもなくなって全身が痙攣するほど感じきってしまう。
「んあ!あぁあ!そ、こ、ふぁああぁ!ああっ!」
「ん、い、たい?奥……んっ!」
「あふ、んふぅ!!ああぁ!い、くううぅ!ううっ!!」
ダラダラと自分自身から止めどなく蜜を垂れ流しながら、晴がもうダメと泣き叫ぶまではそれほど時間はかからない。何しろそこまで捩じ込むことの出来るのは明良ただ一人だけで、それ以外の全てでも明良以上に晴のことを登り詰めさせる存在なんかいないのだ。
「晴…………愛してるよ。」
柔らかで淫らにも聞こえる低い明良の声に、晴はあげていた脚を思わず明良の腰に絡み付かせていたのだった。
狭山明良のその言葉に一瞬で今迄蕩けていた筈の結城晴の顔が凍りついたのに、言葉を口にした明良の方も気が付いていた。今迄ずっと『五十嵐ハル』で晴が調査の最前線に立つことに反対して来た明良が、したかったらしてもいいと言い出したのも予想外だろう。その上止めるのは諦めるなんて口にしたから驚いたのかと思いきや、目の前で唐突に晴の顔がフニャと子供が泣き出すように歪んだのだった。それに明良が驚く間もなく、晴の瞳がウルウルと潤み始めている。
「明良ぁ……、俺のこと…………嫌いになった、の?」
「は?なんで?なんでそう繋がったの?」
余りの方向性に呆気にとられた様子の明良の声に、晴はだってぇと泣き出しそうになりながら言う。本当に時々晴の思考過程は明良にはまるで理解できない事があって、どこからどう繋がるとこんなに熱烈に過保護にしている明良が晴を嫌うなんてことに繋がるのか。しかもそれを放置しておくと、ろくなことにならないのは最近では明良も良く理解している。
「だって……明良、俺のこと置いてっちゃうし…………っ」
ええ?!一体なんのこと?と明良はポカンとしてしまっているが、晴が言う『置いていった』は説明するまでもなく数時間前のこと。駅の構内で『五十嵐ハル』を捕獲した明良が、約束を意図的に破った晴に対して「もういい」と告げて一人立ち去ってしまったことを言っているのだ。でも、それは晴が余りにも意図的に約束を破るのに対してあの場でブチ切れるのもどうかと思ったのと、酔っ払い男二人に本気でキレて駅の構内で回し蹴りもヤバイなと思ったからの明良の行動だった。でも確かに置き去りにしたのは事実だけど、晴が呆然としていて酔っ払い二人に人気のない通りの方に向かって引きずられていくから直ぐに追いかけたわけで。
「……あれは…………晴が約束しても破るから…………。」
「…………だって、明良、五十嵐ハルすると怒るからぁ…………。」
いけない、これでは話が堂々巡りになる。確かに今迄は全面反対だったのだけど、それだと晴がこんな風に隠れて実施を繰り返すだけだと流石に認めるしかないと明良だって思ったのだ。それに知らないところでやられるくらいなら、知っていてやられる方がずっと明良だって何かしら行動はとれるし安心できるというもの。
「安心?」
「うん、やっていいよ?やっていいから、必ず連絡して。」
あれ?それでは今迄の約束と何も変わらないのではと晴の顔が言っているが、ここからが違うことなのだ。やってもいいから連絡。そうしたら
「そうしたら、必ず俺が傍にいて、晴に何かあったら助けにいくから。」
「助け…………る?」
「そう。今日みたいなことが起きたら必ず俺が助けるから。」
今日みたいな。その言葉に男達の乱暴を思い出したのかブルッと晴の身体が震えて覆い被さったままの明良に再びヨシヨシと頭を撫でられて、晴は潤んだ瞳で上目遣いに明良の顔を見つめる。傍にいて晴が危険な目に遭いそうになったら、明良が今日みたいに助けにきてくれる。それがやっと頭の中で理解できてきたのか、晴の視線が明良のことを揺るぎもせずにジッと見つめ続けていた。そして、オズオズという声で晴が呟く。
「助けに…………きて………………くれるの?」
「うん。」
晴は元々スリルとサスペンスが好きなんて口にしていたけれど、結局は例えば探偵のような調査関係の仕事なんかに興味があるのだろうと明良も思う。普通に暮らしていたら接しないような事に惹かれていて、それが出来る外崎達の仕事が楽しいのだ。それを駄目だと言っても制限しようがないし、だからこそ『五十嵐ハル』をやりたがっているのは分かったから、それはもう否定しない。だから、やっていいから事前にちゃんと教えて貰って、自分が傍にいられるようにした方が安心だ。もしもの時に明良が傍にいられれば何かあったら助けにいけるのだし、と明良は大きく考えを切り替えたというわけだ。
「助けて…………くれる。絶対…………?」
「うん、絶対に助けるから。」
明良の思うことが分かったというより、何でだろうか?どことなく今の晴の視線がウットリしたようにも見えてしまう。そんな晴の視線に明良の方も少し戸惑いもするのは、やっぱり晴の思考過程は本当に明良には桁外れに難解だからだったりする。
「ぁ…………きら…………?」
トロリと一際甘く蕩けた声で晴が、明良の名前を呼ぶ。明良だってそれを忘れている訳じゃないけれど、今の晴は脚を広げて淫らな場所を惜し気もなく明良に全て曝したままなのだ。直前の一瞬の気持ちの変動で萎えかけていた晴のピンクの陰茎は、再びピクピクとひくつきながら硬く起ち始めている。そして、その下には誘いかけるようにひくつき蠢く、ピンクに艶かしい後穴が綻びつつあるのがみてとれた。触れてもいないのに、今にも飲み込んでしまいそうに淫らに蠢いて見せるのに思わず明良の喉が大きな音をたてる。それに晴は少しだけ恥ずかしそうにはにかみを漂わせているが、潤んで欲情仕切った顔をして見せて更に強請った。
「ぁきらぁ…………ちょ、ぉ……だい…………。」
目の前には、自分自身の手で左右に大きく脚を抱え込む淫らな姿。膝を折り抱えるせいで、明良の目の前には晴のピンクの性器が全て曝されて、欲情を煽り今すぐセックスしようと淫らに誘いかけている。
晴が再び蕩けた声で明良に強請るのに、それを見下ろしていた明良の喉がまた大きく音を立てていた。寸前まで乳首だけで限界まで責め立てられていたのは事実だけれど、一瞬で冷めたり熱くなったりしている晴には、今の明良との会話がどんな風に作用しているのかまでは明良には分からない。けれど、目の前の晴は完全に箍が外れてしまったみたいに、淫らな可愛い声をあげて必死に誘いかけてくる。
「明良ぁ…………、俺の…………こと…………オンナノコに、してぇ…………。」
そんな途轍もない淫らな改心の一撃。積極的すぎる晴のお誘いに、冷静な顔をしているように見えていて限界間近だった明良の理性だって数秒と堪えきれる筈もなかったのだ。
※※※
自分が自分でなんとも出来ないのは不甲斐なくて歯痒い。でもそれ以上に恐怖感もあって、男だろうと構わないし力付くで犯されようとしている自分の状況が信じられなかった。確かに自分は元々外崎了と付き合ってバイセクシャルになったし、了と別れてから何人かとは性交渉もしている。勿論晴の相手には男も女もいるから、厳密には恋人というよりセフレ程の関係だったのだけれど、それでも男女問わず性的な経験はあるのは事実だ。
でも、こんなの嫌だ
見ず知らずの酔っぱらい二人に抵抗も出来ずに、まるで非力な女性そのもののように路地裏に連れ込まれ乱暴される。男の自分がこんなことに巻き込まれてしまうなんて正直信じられないし、大体にして男だと確認して襲いかかる男がいるなんてと思う。弄ばれる乳首と脱がされそうになっていて弄ばれようとしている下半身、それを考えるだけでもゾッとする。
そんな風に晴が男達にいいようにされていたあの時、明良は確かに助けにきてくれたのだ。
そして男達から助けられ自分を抱き締めてくれた明良の腕の中から、泣きながら晴は明良のことを見上げていた。そこにいたのは夜の闇に浮かぶ凛々しく凛とした明良で、男達に向けた強い意思を伺わせる切れ長の瞳の鋭さに息を飲む。久世博久とは違ってスーツにコート姿も浮くこともなくキッチリと着こなしていて、仕事を終えてきた筈なのにまるで着崩れてもいない。それに自分を抱き止めてくれた腕の力強さとか、しなやかでシュッとした顔立ちとか、艶やかな黒髪とか…………そうなのだ、こうしてあげていったらキリがないほど、あの時の明良は本当に格好良かった。
こういうの…………王子様とか…………いう?
よく悪漢とか不良とかに絡まれている女の子が颯爽と助けに現れた男に一目惚れするなんて物語は山のようにある。けれど、どうしたって自分は男なのだし、その立場になって経験してみるなんてことは考えたこともない。それでもこんな風に恋人が颯爽と助けにきてくれて、しかも明良が苦もなく自分を助け出してくれたのにドキドキするし安堵もする。
俺のこと…………助けにきてくれた…………
晴自身が明良を怒らせて置いていかれた筈なのに、明良はちゃんと探しに来てくれて、しかもこんな怖い場面に颯爽と駆けつけてくれて、酔っ払いの男達なんか目じゃないと言いたげにアッサリと助け出してくれる。そんな格好いいことを当然みたいにするのが、自分の彼氏だなんてちょっと出来すぎていて困るくらいに嬉しい。
しかもサッと助け出してくれた後の明良は、それこそ物語の王子様か騎士様かと言わんばかり紳士ぶり。自分のコートを晴に羽織らせて手を繋いで連れ添いながら、何度も泣き止むように優しく抱き寄せてキスまでされて。
カッコよすぎる…………こんなの…………、もう、やだ…………死んじゃいそう…………
※※※
寸前まではジリジリと焦らすようにユックリと脱いでいた筈の服を、剥ぎ取るように肌から引き剥がしてバサバサと音を立てて床に投げ捨てる明良を潤んだ瞳のまま晴は淫らな姿で見つめる。ふしだらと言われたら何も反論のしようがないけれど全裸のまま両足を広げて、明良を誘いかけるために晴の口からでたのは途方もない発言だと晴にだってちゃんと分かっている。それでもオンナノコにしてなんて晴が甘えて強請る言葉が、明良の理性を弾き飛ばしていて十分な誘い文句だったろう。しなやかな身体が自分にのし掛かるのを見つめながら、晴の視線は見事な明良の肉体美から離すことが出来ないでいる。服の上からでは分かる筈もない鍛え上げられた身体に、下折立つ怒張、それこそ完璧な王子様みたいな晴の明良。それが今すぐ欲しいと視線を外すことも出来ないのだ。
「明良ぁ…………。」
体内に捩じ込もうと押し当てられた明良の怒張の熱さに全身が戦いていて、先端を押し当てられただけなのに今にも腹の中を突き破られてしまいそうな固さをそれに感じ取ってしまう。それでもそれが奥まで突き立てられる快感は、既に抗いようもなく晴の身体の奥に刻み込まれてもいる。興奮して欲情を隠せないでいる晴が無意識に先端に吸い付くように後孔をひくつかせて、明良は腰を前に押し出していた。ヌチュ…………と淫らな音と共に怒張の先端がユックリ体内にめり込んで、閉じていた体内を熱く押し開いていくのに思わず晴の喉が仰け反っていく。
「ぅんんんっ……んぅう!ふぁ……っ!」
上からのし掛かるようにして、次第に押し込まれていく。硬い怒張の質量が、ズニュズニュと少しずつ少しずつ中に進んでいく。次第に深いところに向かって穿っていくのに圧迫感が増して、全身がピリピリと痺れるような快感に一気に飲み込まれていくのに晴は甘い吐息を溢していた。入れられただけであっという間にいってしまいそうで、でもそうなったら延々といき続けてしまいそうなくらい気持ちがいい。
「んんっうぅん!んふぁ……ふぁ……っ!」
「は、る……っ、い?……きもち、い?」
「んんんっ!も、っと、き、てぇ……ぁきらぁ!」
更に奥を強請る言葉に明良が僅かに舌で唇を湿して、そのまま一気に奥まで貫くようにドツンッと勢い良く腰を落としていた。
「いっ!!!ひゃうううっ!!!ひぁあ!」
奥底まで捩じ込まれた衝撃で一瞬目の前がチカチカと瞬くのを感じとりながら、晴は甲高く甘い悲鳴をあげて自分の腹に向けて勢い良く蜜を吹き出してしまっていた。怒張を押し込まれる快感に思わず吹き上げてしまった白濁の汁が、快感にピクピク痙攣する腹に勢い良く飛び散る光景は卑猥で艶かしいのはいうまでもない。それをみた明良がゴツゴツと奥を抉るように思い切り腰を前後に振り立て始めたのに、晴の悲鳴が更に艶を増して口からこぼれ落ちていく。
「いっ!あっ!やっあぁあ!!あぅっ!そこ、あっ!!だめぇ!あああぁ!」
最奥に硬く落ち着けるようにあたり、更に怒張の熱さが擦りたてていく体内の強い快感。そしてその奥で何か一つの抵抗感のある部分に、完全に明良の怒張がクポンッと嵌まり込んだ感覚がもたらされるとどうしようもなくなって全身が痙攣するほど感じきってしまう。
「んあ!あぁあ!そ、こ、ふぁああぁ!ああっ!」
「ん、い、たい?奥……んっ!」
「あふ、んふぅ!!ああぁ!い、くううぅ!ううっ!!」
ダラダラと自分自身から止めどなく蜜を垂れ流しながら、晴がもうダメと泣き叫ぶまではそれほど時間はかからない。何しろそこまで捩じ込むことの出来るのは明良ただ一人だけで、それ以外の全てでも明良以上に晴のことを登り詰めさせる存在なんかいないのだ。
「晴…………愛してるよ。」
柔らかで淫らにも聞こえる低い明良の声に、晴はあげていた脚を思わず明良の腰に絡み付かせていたのだった。
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