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第十六章 FlashBack2
212.
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『茶樹』を出てからと言うものの帰途の最中もずっと了のちょっとした不機嫌には宏太は当然のことだが気がついていて、それが帰宅しても一向に収まらないのも分かっていた。食事を終えて風呂に入ってもそれは変わらず傍にいるのだが、宏太の肌にはピリピリする了の不機嫌の気配がある。
「了…………。」
寝室に入って直ぐ宏太は不機嫌なままの了の腕を取り、力強く自分の傍に引き寄せていた。了がこうして未だに不機嫌なのは宏太が比護耕作に散々に悪く言われて言い返さないままだったのが気に食わないのと、宏太が最終的にその比護のことを容認してしまったこと、しかも比護に対して手を貸してもいいなんてことを口にしたからだ。抱き寄せられても普段のようには素直に抱き締められない僅かな抵抗をみせる了に、宏太は苦笑いしながら見えない顔を覗き込むように近づけている。
「了、…………まだ怒ってんのか?ん?」
実際には自分の代わりに了が激怒したのを聞いたことで正直宏太の感じていた不快感は跡形もなく吹っ飛んでしまっていて、しかも直後に散々に笑ったお陰で全く今は怒りの欠片すら残ってはいない。でもそれを知りもしない了は、なんで宏太がこんなに機嫌が良いのかまだ理解できないまま不機嫌そうに宏太の膝の上に座らされる有り様。
「怒ってたら、悪いか。」
「いや、悪かねぇけどよ?」
クツクツと再び笑い出す宏太に再び不機嫌そうに頬を膨らませた了に気がついて、微笑んだままの宏太は膝の上の了の腰を抱き寄せ首筋に指を滑らせた。しなやかな指の動きで頭ごと引き寄せられ、広角を上げたままの宏太の唇が了の唇に触れてくる。なんでそんなに嬉しそうなんだよと不貞腐れた声で呟く了の唇を塞いで、甘く口付けを落とす宏太は肌を擦らせて了を更に抱き寄せていく。
「もういいから、そんなに怒んな。」
「何でいいんだよ、あんな言いがかりつけられてて平気な顔すんな。バカ。」
比護からの宏太への叱責は、実際言いがかりも甚だしい。進藤隆平の起こしたことに関しては宏太は被害者だったのに、それを本当のことを知らない人間である比護から宏太は共犯者で悪と詰め寄られたのだ。全く真実を何も知らず、宏太がどれだけ一人で苦悩して生きているかも知らずにいる男が、お前は犯人の片棒を担いだ共犯者だと詰ってきた。それに宏太は否定の言葉もでなくて、同時に昔の記憶が過ったのか青ざめていたのだ。
「そんなに、腹が立つか……?ん?」
頬を撫でられながら抱き寄せて、そんなことを不思議そうに問いかける宏太に、少しムッとするのは了としたら当然のこと。あんな風に辛そうな顔をして言われるままになっている宏太なんて、見ていて気分がいいわけがない。憎まれ口を叩いて相手をやり込める宏太なら兎も角、相手の言うがまま黙りこんで辛そうに眉を潜めて…………顔色が悪いとか、今嫌だなと感じてるとか、もう一目で分かる了には、今日の宏太がどれだけ辛い気分だったか言わなくても分かる。
「…………っ…………俺は……っ。」
了が言葉に詰まったのに頬を撫でる指が戸惑いを浮かばせたのに、了は尚更堪らない気分で傷跡の宏太の顔をじっと見つめる。
「宏太が……あんな…………しんどそうな顔すんの………………、や、なんだからな…………。」
それがどれだけ宏太を理解している了にとって腹立たしい事か。それを伝えると、宏太は少しだけ驚いたようにピクリと眉を動かしていた。一番に了が気に入らないのは宏太が比護に言われるがままだったことよりも、宏太が比護の言葉に隠しようもなく辛そうな顔をしたことなのだ。それはつまり比護に宏太を傷つけられるのが嫌だったということで、それで了はあれほどの怒りを見せたのだと触れた肌からも宏太に伝わっていく。
「そう、か。」
不意に宏太はふっと柔らかく微笑んだかと思うと了のことをギュッと強く抱き締めてきて、了は驚いたように声を上げていた。そんな宏太は比護にされたことを怒ったり不快に感じているどころか、今は呑気に微笑むだけで済まなくて妙に幸せそうにしているのだから質が悪いと了が怒ったように言う。それに尚更宏太は嬉しそうに笑いながら、とんでもないことを言い出す始末だ。
「了が俺の事で怒ってんのは、気分がいいな。」
「はぁ?馬鹿か、ほんとにワケわかんないぞ。ちゃんと怒れよ、あの偽もの営業マンに。」
明らかな不満を隠しもせずに了が言うのに、宏太はより一層幸せそうに満面に微笑んだかと思うと抱き寄せた了のことを撫で始める有り様だ。まだ話が終わってないと了がジタバタしても、宏太の手は了を撫でるのをやめる筈もない。
「了は、本当に可愛いな。」
宏太はユルユルと腰を撫でて来るだけでなく、そんな甘ったるいことを言いながら了の喉や顎に柔らかく唇を押し当て時に強く肌に吸い付いてくる。不機嫌をアピールして何とか仰け反り逃げようにも引き寄せられた腰を動かすこともできなくて、しかも唇が触れる場所が次々とジンと熱く痺れていく。怒ってやってハッキリ違うと比護にされたことを認めさせてなんてことを何とか必死に訴えようにも、気がつくと宏太の指はスルスルと了の服を片っ端から脱がせにかかっていて思考はアッサリと途切れさせられてしまう。
「こ、ら…………、んっ…………くぅっ……!」
はだけられた服の合間に宏太の顔が寄せられて肉感的な唇が、了の赤く熟れた乳首を咥えこんでいく。やんわりと吸われて舐め転がされるのに、思わず背がしなって甘い歓喜の声が溢れ落ちてしまう。駄目だと怒りつけたいのに、宏太の指が身体を快感に押し上げていき唇が次々と了の気持ちいい場所ばかり刺激してくる。宏太の愛撫に弱い了には、その肌を包むピリピリするような快感にどうやっても逆らえる筈もない。大きな手で腰を軽く引き上げられたかと思うと一瞬で下着迄引き下ろされ片足から抜かれるまで殆んど時間もかけられず、気がついた時にはほぼ全裸にされて宏太の膝の上に乗せられている自分がいる。
「ん、うぅん…………ば、か。……ってん、の…………に、んんっ!」
必死になって甘ったるい声で了が怒りを訴えても宏太の唇は微笑みを浮かべたままで、しなやかなその指先で立ち上がった陰茎の先端を円を描くように撫でられただけで思わず了の腰が膝の上で揺れる。
「そう、だな、怒ってんな……ふふ、……ん……。」
笑いながら更に舌に舌をネットリと絡められてしまうと、乳首がジンと痺れて腹の底が熱く重くなって、頭の芯まで蕩けてしまいそうになる。しかも手をかけられ割り広げられた足の付け根をそっと親指で擦られグイと揉まれてしまったら、口を閉じることもできなくされている了は甘い声で喘ぐしかなくなってしまっていた。
「ん、ふ、……んぅ、んん……くふっ……ぅ。」
チュクチュクとわざと大きく音を立てて舌を吸われて了の弱い足の付け根の愛撫を繰り返されると、硬く下折たった陰茎の先からは蜜があっという間に玉になって溢れ落ちてしまう。それを宏太が指先で確かめるように鈴口にグリグリと擦りつけながら、了の喘ぎ声に興奮したのか宏太の怒張も熱く硬くなって尻の下で持ち上がるのを感じてしまうのだ。ここまでされ揺れる腰の動きを片手でいなされながら、何度も唇を重ねられて甘い声を上げさせられるのにどうしたって怒りを維持することなんかできない。
「んん、ん、ぅ……んぅ…………くぅんんんっ。こ、ぉた、ふぁっあ!あんんっ、んん。」
「さと、る。」
低く甘い声で強請るように名前を呼ばれ、膝を跨いでいた足を更に左右に大きく開かされていく。その先に待ち受けているのが何かはもう言うまでもなくて無意識に快感への期待に喉が音をたてて鳴るのに、了の顎を捉えた指が淫らな動きで頬をそっと撫でてくる。
「了、ほら…………腰浮かせろ……。」
言われるがままに腰を浮かせると既に期待に震える後ろの穴が、激しい欲望にピクピクとひくつく。それが了自身にはよく分かっていて、固い怒張の先端をそこに押し当てている宏太にだってそれを隠しようがない。
「随分欲しがってんな…………ふふ。」
「ば、かっ…………い、うなって……ん、んんっ。」
次の瞬間に押し付けられたモノを受け入れクポッと淫らな音を上げて、熱い先端が体内にめり込むのに思わず仰け反り了の顔が天を仰いでいた。そのままヌチヌチ、ズプズプと音を立てて入り込んでいく太くて熱い宏太の怒張の大きな質量に、勢いよく襲われて身体の奥まで痺れる快感に飲まれてしまう。
「ふ。あ、あぅ……んん、んんっ!うぅ…………っ!」
「ん…………やっぱり、まだ…………キツいな…………平気か?」
「き、くなよ…………ぉ……っ…………んんんっんあっ!」
甘く蕩けるような歓喜の声が溢れて何とか宏太の言葉に身体が反応するのを遮ろうにも、挿入の快感が強すぎて喘ぎも身体もまるで止められない。それを知っている筈の宏太の手が腰を抱き寄せ、ユックリと下から突き上げるように腰を揺すりたて始めていく。ズニュ……ズチュ……とユックリとした動きから、やがて腰の動きは早くなって淫らな音が大きく立ち上がり始めている。そうなるともう宏太の首に腕を絡めて必死に抱きついて喘ぐしかできない了に、宏太は幸せそうな顔で何度も口付けながら更に奥へと腰を突き上げて怒張をめり込ませ叩きつけていく。
「ふ、あっあぅ!んんっ!んぁ!あ!あっ!!」
「了、さとる…………さと、る………………っ。」
繰り返される囁きに耳朶を擽られながら深く捩じ込まれる快感に、了が最初の絶頂に悲鳴を上げたのはそれからほんの数秒後のことだった。絶頂が強すぎて喉がひきつるように了が甲高く悲鳴を上げてしまったのに、宏太が心配そうに了のことを抱き寄せ腕の中に納める。そしてそのまま身体ごとのしかかるようにして、了は抱き締められたままベットに押し倒されてしまうのだ。しかも押し倒されたまま頭を抱えるようにして、再び硬くなった怒張がユサユサと大きく腰をうねらせて激しく音を立てて前後に揺さぶられ始めていた。
「あぅっ!あっ!!あぁっ!やぁぅ!あうっうう!!」
「ほんと、……可愛いな……お前は…………ん、っ。」
「ふ、あ!あぁ!か、わい……って、ば……かあぁ、あ!」
男相手に可愛いとか何なんだと了は言うし自分だって確かに何でかなとは思うけれど、宏太にとっては可愛いとか愛しいとかは了にしか感じないこと。それを肯定しているように頬を染めているのか熱くなって揺さぶられ喘ぐ了は途轍もなく可愛いし、了が自分のためだけに怒ったり喜んだりするのだと思うと尚更可愛い。それを上手く伝えるのには何と言ったらいいのか分からないが、宏太は心底了だけが愛しくて可愛くて仕方がないのだ。それを耳元で口付けと一緒に熱く蕩けた声で囁きかけながら、何度も何度も強く揺さぶり激しく腰を振り立てて了の中に打ち付けていく。
「あ、やぁっ!も、む、りっ!あっ!ああっ!あーっ!!」
何度目かの絶頂を訴えても更に激しく腰を振る宏太に、了の身体の方が感じすぎて先に吹き出すものがなくなっていく。濡れたグッポグッポと寝室の中に淫らな注挿音が響き渡り、宏太の先走りの液と体液とが混じりあう。その場に高らかに響くほどグチョグチョと音を立てていて、それすら全て快感に変わってしまう。宏太に抱き締められ貫かれて、了の身体が快感を感じすぎてビクビクと細かく痙攣し始めている。
「んぁ、あう、や、まっ、……はぅう!あ!」
制止の声を聞いたことでなおのこと興奮したのか宏太の腰が強く打ち付けられて来て、了の全身が強張り勝手に痙攣して登り詰めたままになっていく。それを知っていて宏太の動きは、更に了を追い詰めるように激しく強くなる。
「さとる、…………はぁっ………………さと、る…………出すぞ……っ?うぅっ!」
「や、ああ!あぁ!や、あぁああ!!ら、めぇ!!」
可愛く泣きながら奥深くに全てを流し込まれるのに了の身体が快感に痙攣を起こすのに、宏太は容赦なく更に何度も何度も激しく了の身体を揺さぶり続ける。そして何度も繰り返し濃いドロドロとした白濁を、勢いよく奥深くに大量に吐き出していたのだった。
※※※
腕の中でグッタリして眠りに落ちている了の身体を抱き締めて、宏太は宝物のように大切そうに柔らかな髪に顔を埋めた。『茶樹』で比護に言われたことは実際には宏太も自分がしたことを振り返り何度か感じたことで、割合痛いところをついている。自分が選択してやってきたことが結局は進藤の計画に乗っていただけなのだと思っても、知らずにやっていたなら責任がないのかと問われれば答えは『NO』なのは言うまでもない。
悉く、といわれれば確かにそうだ。
だから尚更見方を変えれば、進藤と共謀したといわれてもおかしくない自分の行動。廻り廻って自分がそうなると思わずにしてきた事が、結局は大事な友人や守ってやりたかった人間を殺したのだと宏太だって感じてきた。
「んん…………んぅ…………。」
そのネガティブな思考をあえて遮るようにモゾモゾと眠りの中の了が宏太の胸に肌を寄せてきて、宏太は慌てて抱き寄せ直している自分に笑ってしまう。自分のために怒る人間は他にも何人かはいるけれど、了ほど相手に食って掛かってまで怒った人間は今までいなかったなとおかしくなる。
全く…………驚かされるな、お前には…………
そう心の中で呟きながら、宏太は再び抱き締め直した了の髪に顔を埋めて眠りに落ちようとしていた。
「了…………。」
寝室に入って直ぐ宏太は不機嫌なままの了の腕を取り、力強く自分の傍に引き寄せていた。了がこうして未だに不機嫌なのは宏太が比護耕作に散々に悪く言われて言い返さないままだったのが気に食わないのと、宏太が最終的にその比護のことを容認してしまったこと、しかも比護に対して手を貸してもいいなんてことを口にしたからだ。抱き寄せられても普段のようには素直に抱き締められない僅かな抵抗をみせる了に、宏太は苦笑いしながら見えない顔を覗き込むように近づけている。
「了、…………まだ怒ってんのか?ん?」
実際には自分の代わりに了が激怒したのを聞いたことで正直宏太の感じていた不快感は跡形もなく吹っ飛んでしまっていて、しかも直後に散々に笑ったお陰で全く今は怒りの欠片すら残ってはいない。でもそれを知りもしない了は、なんで宏太がこんなに機嫌が良いのかまだ理解できないまま不機嫌そうに宏太の膝の上に座らされる有り様。
「怒ってたら、悪いか。」
「いや、悪かねぇけどよ?」
クツクツと再び笑い出す宏太に再び不機嫌そうに頬を膨らませた了に気がついて、微笑んだままの宏太は膝の上の了の腰を抱き寄せ首筋に指を滑らせた。しなやかな指の動きで頭ごと引き寄せられ、広角を上げたままの宏太の唇が了の唇に触れてくる。なんでそんなに嬉しそうなんだよと不貞腐れた声で呟く了の唇を塞いで、甘く口付けを落とす宏太は肌を擦らせて了を更に抱き寄せていく。
「もういいから、そんなに怒んな。」
「何でいいんだよ、あんな言いがかりつけられてて平気な顔すんな。バカ。」
比護からの宏太への叱責は、実際言いがかりも甚だしい。進藤隆平の起こしたことに関しては宏太は被害者だったのに、それを本当のことを知らない人間である比護から宏太は共犯者で悪と詰め寄られたのだ。全く真実を何も知らず、宏太がどれだけ一人で苦悩して生きているかも知らずにいる男が、お前は犯人の片棒を担いだ共犯者だと詰ってきた。それに宏太は否定の言葉もでなくて、同時に昔の記憶が過ったのか青ざめていたのだ。
「そんなに、腹が立つか……?ん?」
頬を撫でられながら抱き寄せて、そんなことを不思議そうに問いかける宏太に、少しムッとするのは了としたら当然のこと。あんな風に辛そうな顔をして言われるままになっている宏太なんて、見ていて気分がいいわけがない。憎まれ口を叩いて相手をやり込める宏太なら兎も角、相手の言うがまま黙りこんで辛そうに眉を潜めて…………顔色が悪いとか、今嫌だなと感じてるとか、もう一目で分かる了には、今日の宏太がどれだけ辛い気分だったか言わなくても分かる。
「…………っ…………俺は……っ。」
了が言葉に詰まったのに頬を撫でる指が戸惑いを浮かばせたのに、了は尚更堪らない気分で傷跡の宏太の顔をじっと見つめる。
「宏太が……あんな…………しんどそうな顔すんの………………、や、なんだからな…………。」
それがどれだけ宏太を理解している了にとって腹立たしい事か。それを伝えると、宏太は少しだけ驚いたようにピクリと眉を動かしていた。一番に了が気に入らないのは宏太が比護に言われるがままだったことよりも、宏太が比護の言葉に隠しようもなく辛そうな顔をしたことなのだ。それはつまり比護に宏太を傷つけられるのが嫌だったということで、それで了はあれほどの怒りを見せたのだと触れた肌からも宏太に伝わっていく。
「そう、か。」
不意に宏太はふっと柔らかく微笑んだかと思うと了のことをギュッと強く抱き締めてきて、了は驚いたように声を上げていた。そんな宏太は比護にされたことを怒ったり不快に感じているどころか、今は呑気に微笑むだけで済まなくて妙に幸せそうにしているのだから質が悪いと了が怒ったように言う。それに尚更宏太は嬉しそうに笑いながら、とんでもないことを言い出す始末だ。
「了が俺の事で怒ってんのは、気分がいいな。」
「はぁ?馬鹿か、ほんとにワケわかんないぞ。ちゃんと怒れよ、あの偽もの営業マンに。」
明らかな不満を隠しもせずに了が言うのに、宏太はより一層幸せそうに満面に微笑んだかと思うと抱き寄せた了のことを撫で始める有り様だ。まだ話が終わってないと了がジタバタしても、宏太の手は了を撫でるのをやめる筈もない。
「了は、本当に可愛いな。」
宏太はユルユルと腰を撫でて来るだけでなく、そんな甘ったるいことを言いながら了の喉や顎に柔らかく唇を押し当て時に強く肌に吸い付いてくる。不機嫌をアピールして何とか仰け反り逃げようにも引き寄せられた腰を動かすこともできなくて、しかも唇が触れる場所が次々とジンと熱く痺れていく。怒ってやってハッキリ違うと比護にされたことを認めさせてなんてことを何とか必死に訴えようにも、気がつくと宏太の指はスルスルと了の服を片っ端から脱がせにかかっていて思考はアッサリと途切れさせられてしまう。
「こ、ら…………、んっ…………くぅっ……!」
はだけられた服の合間に宏太の顔が寄せられて肉感的な唇が、了の赤く熟れた乳首を咥えこんでいく。やんわりと吸われて舐め転がされるのに、思わず背がしなって甘い歓喜の声が溢れ落ちてしまう。駄目だと怒りつけたいのに、宏太の指が身体を快感に押し上げていき唇が次々と了の気持ちいい場所ばかり刺激してくる。宏太の愛撫に弱い了には、その肌を包むピリピリするような快感にどうやっても逆らえる筈もない。大きな手で腰を軽く引き上げられたかと思うと一瞬で下着迄引き下ろされ片足から抜かれるまで殆んど時間もかけられず、気がついた時にはほぼ全裸にされて宏太の膝の上に乗せられている自分がいる。
「ん、うぅん…………ば、か。……ってん、の…………に、んんっ!」
必死になって甘ったるい声で了が怒りを訴えても宏太の唇は微笑みを浮かべたままで、しなやかなその指先で立ち上がった陰茎の先端を円を描くように撫でられただけで思わず了の腰が膝の上で揺れる。
「そう、だな、怒ってんな……ふふ、……ん……。」
笑いながら更に舌に舌をネットリと絡められてしまうと、乳首がジンと痺れて腹の底が熱く重くなって、頭の芯まで蕩けてしまいそうになる。しかも手をかけられ割り広げられた足の付け根をそっと親指で擦られグイと揉まれてしまったら、口を閉じることもできなくされている了は甘い声で喘ぐしかなくなってしまっていた。
「ん、ふ、……んぅ、んん……くふっ……ぅ。」
チュクチュクとわざと大きく音を立てて舌を吸われて了の弱い足の付け根の愛撫を繰り返されると、硬く下折たった陰茎の先からは蜜があっという間に玉になって溢れ落ちてしまう。それを宏太が指先で確かめるように鈴口にグリグリと擦りつけながら、了の喘ぎ声に興奮したのか宏太の怒張も熱く硬くなって尻の下で持ち上がるのを感じてしまうのだ。ここまでされ揺れる腰の動きを片手でいなされながら、何度も唇を重ねられて甘い声を上げさせられるのにどうしたって怒りを維持することなんかできない。
「んん、ん、ぅ……んぅ…………くぅんんんっ。こ、ぉた、ふぁっあ!あんんっ、んん。」
「さと、る。」
低く甘い声で強請るように名前を呼ばれ、膝を跨いでいた足を更に左右に大きく開かされていく。その先に待ち受けているのが何かはもう言うまでもなくて無意識に快感への期待に喉が音をたてて鳴るのに、了の顎を捉えた指が淫らな動きで頬をそっと撫でてくる。
「了、ほら…………腰浮かせろ……。」
言われるがままに腰を浮かせると既に期待に震える後ろの穴が、激しい欲望にピクピクとひくつく。それが了自身にはよく分かっていて、固い怒張の先端をそこに押し当てている宏太にだってそれを隠しようがない。
「随分欲しがってんな…………ふふ。」
「ば、かっ…………い、うなって……ん、んんっ。」
次の瞬間に押し付けられたモノを受け入れクポッと淫らな音を上げて、熱い先端が体内にめり込むのに思わず仰け反り了の顔が天を仰いでいた。そのままヌチヌチ、ズプズプと音を立てて入り込んでいく太くて熱い宏太の怒張の大きな質量に、勢いよく襲われて身体の奥まで痺れる快感に飲まれてしまう。
「ふ。あ、あぅ……んん、んんっ!うぅ…………っ!」
「ん…………やっぱり、まだ…………キツいな…………平気か?」
「き、くなよ…………ぉ……っ…………んんんっんあっ!」
甘く蕩けるような歓喜の声が溢れて何とか宏太の言葉に身体が反応するのを遮ろうにも、挿入の快感が強すぎて喘ぎも身体もまるで止められない。それを知っている筈の宏太の手が腰を抱き寄せ、ユックリと下から突き上げるように腰を揺すりたて始めていく。ズニュ……ズチュ……とユックリとした動きから、やがて腰の動きは早くなって淫らな音が大きく立ち上がり始めている。そうなるともう宏太の首に腕を絡めて必死に抱きついて喘ぐしかできない了に、宏太は幸せそうな顔で何度も口付けながら更に奥へと腰を突き上げて怒張をめり込ませ叩きつけていく。
「ふ、あっあぅ!んんっ!んぁ!あ!あっ!!」
「了、さとる…………さと、る………………っ。」
繰り返される囁きに耳朶を擽られながら深く捩じ込まれる快感に、了が最初の絶頂に悲鳴を上げたのはそれからほんの数秒後のことだった。絶頂が強すぎて喉がひきつるように了が甲高く悲鳴を上げてしまったのに、宏太が心配そうに了のことを抱き寄せ腕の中に納める。そしてそのまま身体ごとのしかかるようにして、了は抱き締められたままベットに押し倒されてしまうのだ。しかも押し倒されたまま頭を抱えるようにして、再び硬くなった怒張がユサユサと大きく腰をうねらせて激しく音を立てて前後に揺さぶられ始めていた。
「あぅっ!あっ!!あぁっ!やぁぅ!あうっうう!!」
「ほんと、……可愛いな……お前は…………ん、っ。」
「ふ、あ!あぁ!か、わい……って、ば……かあぁ、あ!」
男相手に可愛いとか何なんだと了は言うし自分だって確かに何でかなとは思うけれど、宏太にとっては可愛いとか愛しいとかは了にしか感じないこと。それを肯定しているように頬を染めているのか熱くなって揺さぶられ喘ぐ了は途轍もなく可愛いし、了が自分のためだけに怒ったり喜んだりするのだと思うと尚更可愛い。それを上手く伝えるのには何と言ったらいいのか分からないが、宏太は心底了だけが愛しくて可愛くて仕方がないのだ。それを耳元で口付けと一緒に熱く蕩けた声で囁きかけながら、何度も何度も強く揺さぶり激しく腰を振り立てて了の中に打ち付けていく。
「あ、やぁっ!も、む、りっ!あっ!ああっ!あーっ!!」
何度目かの絶頂を訴えても更に激しく腰を振る宏太に、了の身体の方が感じすぎて先に吹き出すものがなくなっていく。濡れたグッポグッポと寝室の中に淫らな注挿音が響き渡り、宏太の先走りの液と体液とが混じりあう。その場に高らかに響くほどグチョグチョと音を立てていて、それすら全て快感に変わってしまう。宏太に抱き締められ貫かれて、了の身体が快感を感じすぎてビクビクと細かく痙攣し始めている。
「んぁ、あう、や、まっ、……はぅう!あ!」
制止の声を聞いたことでなおのこと興奮したのか宏太の腰が強く打ち付けられて来て、了の全身が強張り勝手に痙攣して登り詰めたままになっていく。それを知っていて宏太の動きは、更に了を追い詰めるように激しく強くなる。
「さとる、…………はぁっ………………さと、る…………出すぞ……っ?うぅっ!」
「や、ああ!あぁ!や、あぁああ!!ら、めぇ!!」
可愛く泣きながら奥深くに全てを流し込まれるのに了の身体が快感に痙攣を起こすのに、宏太は容赦なく更に何度も何度も激しく了の身体を揺さぶり続ける。そして何度も繰り返し濃いドロドロとした白濁を、勢いよく奥深くに大量に吐き出していたのだった。
※※※
腕の中でグッタリして眠りに落ちている了の身体を抱き締めて、宏太は宝物のように大切そうに柔らかな髪に顔を埋めた。『茶樹』で比護に言われたことは実際には宏太も自分がしたことを振り返り何度か感じたことで、割合痛いところをついている。自分が選択してやってきたことが結局は進藤の計画に乗っていただけなのだと思っても、知らずにやっていたなら責任がないのかと問われれば答えは『NO』なのは言うまでもない。
悉く、といわれれば確かにそうだ。
だから尚更見方を変えれば、進藤と共謀したといわれてもおかしくない自分の行動。廻り廻って自分がそうなると思わずにしてきた事が、結局は大事な友人や守ってやりたかった人間を殺したのだと宏太だって感じてきた。
「んん…………んぅ…………。」
そのネガティブな思考をあえて遮るようにモゾモゾと眠りの中の了が宏太の胸に肌を寄せてきて、宏太は慌てて抱き寄せ直している自分に笑ってしまう。自分のために怒る人間は他にも何人かはいるけれど、了ほど相手に食って掛かってまで怒った人間は今までいなかったなとおかしくなる。
全く…………驚かされるな、お前には…………
そう心の中で呟きながら、宏太は再び抱き締め直した了の髪に顔を埋めて眠りに落ちようとしていた。
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