鮮明な月

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間章 アンノウン

間話44.おまけ 定番デートは至大の快楽2

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「俺、……明良が………………他の女の子に見られてんの…………見てて。」

見られていたのは自分じゃなくて、晴の方だと明良は不満に満ちた心の中で呟く。作り物めいた自分の容貌でなく、誰もが柔らかく笑う晴の仕草に目を惹かれて追い続けていて。自分を見ているのではなく誰もが晴を見ていたのに、晴はそう思っていなくて明良を見ていたのだと考えているのに気がついてしまう。だけどそう考えたら自分と晴が互いに、周囲は互いのことを見ていると感じていたのだろうかとも思う。だけどそうだとしても、それと自分が女の子だったらなんて言葉は噛み合わないし。

「俺、………見てる女の子達に……………嫉妬しちゃった…………。」

ポツンと晴がそう呟いたのを聞いた瞬間、晴の目の前の明良の顔が一瞬で赤く染まっていた。性的マイノリティだとか好奇の視線に晒されるのが嫌だとか、そんなものだと思っていたのに、晴は明良を見る他の人間の視線に嫉妬したなんて。それに気がつかない晴は視線をおとしたまま、更に呟く。

「ごめん…………明良……俺、明良のこと自分のって…………言いたくなって…………。」

今までにないあからさまな独占欲。それが晴の中にもあるのだと初めて告げられたのに、明良は一度に全身が熱くなる気がした。明良は最初から晴に関してはとんでもなく独占欲が強くて独り占めしたくて、出来ることなら監禁してでも傍に居たいと思っていたのだ。腰が立たなくなるほど抱き潰してでも自分の傍から離れさせたくないと願う明良に、そういう面では経験値も高くて当然みたいに晴は独占したいなんて思わなくても平気で過ごしていられるのだと思っていた。でもそうじゃないのだと、初めて晴は明良に教えてくれたのだ。

なに、その可愛いの…………ほんと?これ…………

そして晴が初めて明良に示してくれた独占欲には晴自身が戸惑いながら、こうして明良のことを独占したいと言うのだ。しかも晴は気がついていないのだろうが先程のキスでまだトロンと蕩けて潤んだ瞳のまま視線を向けてきて、頬を薔薇色に染めた濡れた唇で明良に向かって口を開く。

「明良ぁ…………おれぇ…………。」

落ち着け、自分。ここは外で、しかも人通りが多くて。

いくら晴がこんなに独占欲に震えてて可愛くて仕方がなくても、こんなところでおいたをしたら許してくれない筈だと明良は一応は必死に考える。それでも腕の中の晴の体が何故か温度をあげたような気がするのは、明良の気のせいだろうか。それともそうだといいと考えている自分の、明良の希望的観測にすぎないのか。

「………………エッチ…………したく、なっちゃった……………かもぉ。」

その言葉は反則、駄目。流石に我慢できなくなるから。でも、そう思う隙すら晴は与えてくれなくて

「…………俺のって……感じたい……………明良を………俺のって。」

抱き締められたまま固くなったモノを腰ごと明良の体に押し付けて、そんなことを甘く蕩けた誘う声で晴が言う。そんな晴の姿を明良は、熱が頭に昇って目が回りそうな気分で見下ろしていた。これは夢じゃないんだろうかと、グルグルする頭で思ったのは仕方がない。

だって、こんなの…………

大体にして今回は定番デートがしたいなんて晴の方から強請られ、デートをしたらしたで晴が周囲に嫉妬してしまって、しかもこんな風に欲しいなんてこんな場所で晴の方から甘えてきているのだ。
もしかして酔ってる?なんて一瞬考えもしたけど晴は目下アルコールなんて入ってないから、普段の酔って可愛い甘えたになっている訳じゃない。完璧な素面なのに完全に甘えたの晴になって、明良を欲しがってこうして強請っているのだ。

「明良ぁ………ね……………駄目ぇ?」

上目遣いで蕩けて潤んだ瞳に、そんなことを晴から強請られている。それに我慢なんて出来る筈もなくて、明良は咄嗟にもう少し人目からは隠れる庭園の木立の影に晴を連れて身を滑り込ませていた。

「んっ…………あ、きらぁ…………。」

いや、これは駄目だろと一応は頭では思っているのに。気がついた時には抱き締めた腰から服の下に手を滑り込ませていて、口付けながら晴の肌をまさぐっていた。腰をなぞり吸い付くような肌に指を滑らせて、固く尖った乳首を親指で擦りたてている。ツンと尖ってコリコリと指に触れる晴の可愛い乳首を堪能しながら、腰を片手で抱き寄せていくのに晴も更に自分から股間を強く押し付けていた。

「ん、ふぅ、うく。」

唇から溢れ落ちる甘くて蕩ける晴の声が、直に明良の唇に吐息と一緒に触れ混じりあうのにゾクゾクするほど気持ちがいい。しかも明良に体を預けた晴の股間は布越しでも分かるくらいに熱く固くなっていて、腰をくねらせながらグリグリと押し付けられているのだ。

「ん、んんっ、ん、ぁん、ん。」

晴は更に甘えた声を溢しながら、明良の体に押し付けて熱さを明良の体に擦り付けてくる。抱きかかえなおすようにして膝を晴の足の間に差し込むと、ゴリンと固くそれが一際強く膝に擦り付けられてくる。それに気が付いた明良は、無造作に膝を強く突き上げていた。

「んふぅ!!ぁ、らめぇっ…………くぅ!!」

ビクビクッと体が大きく震えたかと思うと、晴は今にも泣き出しそうな顔を真っ赤にして明良の胸に縋りついていた。ビュクビュクと膝に当たる股間が激しく脈打ちながら、あっという間にジンワリと布越しに湿った感触が染みだしてきて布越しの膝に熱さが伝わる。それが何か気がついた明良は、フッと吐息と一緒に意地悪く耳元に囁きかけていた。

「なに?いっちゃったの……?…………晴。」

その声にウルウルと濡れた瞳で明良の顔を上目遣いに見上げる晴のとてつもない色っぽさと可愛さ。明良の膝で刺激された衝撃に堪えられなくて、晴は絶頂に達して思わず下着の中で射精してしまったのだ。流石に晴は頬を染めてフルフルと半べそをかきながら、これどうしようと言いたげに目で訴えてくる。瞬時に布地を通してこんなに湿り気がわかると言うことは、かなり大量に射精していて晴の下着の中は目下精液でグチョグチョに違いなかった。

「う…………ふぇ…………、あき、らぁ…………。」

可愛くて無防備で、エッチな晴。こんな晴を他の誰かに見せるのは無理なのは分かりきっている。かといって大量の精液で濡れてグチュグチュする下着のまま、こんな可愛い顔をさせて歩かせるのは……………………

「…………うん、帰ろうか?晴。」
「ふぇ?」

思わずニッコリと晴に黒い微笑みで笑いかけながら、歩いて帰るしかないよね?と明良が言う。既に下着の中の不快感に泣き出しそうになっている晴は、そんなぁと更に泣き出しそうな視線で見つめ返す。

「あ、きらぁ…………、俺ぇ…………。」

いや、晴ってばその顔って滅茶苦茶可愛くて尚更泣かせたくなるんだけど、と密かに心の中で明良は呟く。そこらのコンビニか何かで下着を買って履き替えるなんて方法はもちろん却下する、なにしろ泣きそうになりながらグチュグチュしてる下着のままで歩く晴を考えるだけで明良は大層興奮してしまうから。正直言えば下着の中に吐き出された大量の精液にまみれた晴のピンク色の肉茎やドロドロに濡れている股間を想像するだけで、軽くいってしまいそうなくらい興奮する。何しろそれは明良を他の人間に見られるのが嫌で、晴が独占したいと甘えた結果の精液なのだ。

「うそ…………だよね?…………明良ぁ…………。」

せめて下着だけでも脱がせてと言いたげな晴の顔に、なおのことにこやかに黒い微笑みを浮かべて明良はそれを完璧なスルーで対応している。それとも

「それとも、今ここで俺のもほしい?」

ふえええええ?!と晴の顔が驚きながら真っ赤なトマトのように変わる。どうやらその提案は想定外だったようだけど、満更でもないようでする?と耳元で囁かれて晴が答えに詰まった。快感は抗えなくて欲しいけど流石にここでセックスまでしたら、どんなことになるかは晴にも想像できたらしい。

「か、帰ろ…………明良ぁ……。」

ここで最後までしたら晴はもっと恥ずかしい目にあうのだけは、薄々理解したらしいのは正直残念。二人分の射精を下着の中に出されるとか下着なしで帰る羽目になるとか、まぁ色々と更に淫らなことがタップリ出来たのだが、流石にそれを察したのは晴の成長なのかもしれない。渋々この不快な状況に甘んじることにした晴を観察できるのが、実はとっても可愛くて楽しいのはさておき。

「なら、…………家でもっとたっぷり気持ちよくしてあげるからね?晴。」

そう耳元で明良が甘く囁くのにえええ?ヤッパリこのまま帰るの?と晴の瞳が必死の抗議をしているのは、見ないことに決めた明良なのだった。



※※※



強すぎる快感に遂に意識を飛ばしてしまった了を抱き上げて、そっとベットに横たえ隣に滑り込もうとした宏太はふと動きを止めた。視力のない宏太にはどちらでも関係がないことだが既に室内は電気は消してあって、周囲はほの暗い室内に窓辺からの薄明かりが差し込む程度に違いない。抱き潰されてクッタリと脱力した了の体を腕に納めて、宏太はなにも言葉も発さずにじっと聞き取ろうとしている。
窓の向こうに響く潮騒の音。
露天の風呂の湯口から溢れる温泉の音。
隣でスヤスヤと吐息を立て始めた了の呼吸の音。
それに肌を合わせ伝わってくる互いの鼓動の音まで宏太には聞き取れていて、その鼓動と呼吸の音に安堵すら感じてしまう。誰かの存在を傍に感じてこんな風に安堵する事が出来るなんて、とふと思ってしまう自分がいる。

「ん……こ………………ぉた…………。」

喘ぎすぎたせいなのか掠れた了の声が自分を夢現に囁くのに、宏太は思わず微笑んでしまう。了が夢の中でも自分の事を考えているのかと思うと、酷くこそばゆい気分になってしまうけれど同時にとても満ち足りて幸せな気持ちになる。こんな風にしてくれるのが宏太には了だけなのだと分かるから、尚更了が愛しい。そっと宏太は了の頬を撫でて口付け、そして宝物のように抱き締めて眠りに落ちていくのだった。



※※※



短い間とはいえ二人きりのドライブで、デートで、しかも旅行まで。
こんなに幸せでいいのかと思うくらい、今の仁聖は満ち足りた気分でハンドルを握って帰途の運転を楽しんでいる。流石に昨夜あんなに無理をさせてしまったから、朝から恭平は歩いたりするのにも辛そうで、しかも運転という以前に助手席で座っているのもしんどそうで。

「っ…………。」

運転の振動ですら響くらしくて、少し慣れて落ち着くまで一寸した揺れで痛むように息を飲んでいる恭平に気がつく。マニュアル車の運転はクラッチを踏まないとならないから両方の足を使うしギアチェンジもあるから、腰の痛みがあるのだろう恭平には中々辛いものがある。もう慣れてきたから大丈夫と仁聖が運転をかって出たものの、やがて恭平が助手席で道中にウトウトしはじめたのに仁聖も気がついていた。他にも幾つかゆっくり観光なんかしていたから、既に日は暮れて周囲が暗くなり始めたのも眠気に繋がったに違いない。

「恭平?寝てていいよ?眠そう。」
「い、いや、運転させてて………そんな…。」

そんなこといいから寝ててと仁聖がいうと、恭平が申し訳なさそうな視線を向ける。仁聖にはまだ良くわからないが、長距離運転の助手席で転た寝するのは余り良い行動ではないと恭平は思っている風だ。それでも前日無理させたのもあるから気にしないでと何度も繰り返した仁聖の言葉で、恭平はやがて転た寝を始めていた。

…………や、やっばい…………

途中のパーキングエリアで休憩するからと人気のない端の辺りに車を停めて、恭平を起こそうとした仁聖が恭平の顔を見て固まったのは当然で。転た寝している恭平の安心しきった寝顔がほんの30センチのところにあって、しかも少し気だるげな疲労を滲ませ全身から色気が駄々漏れなその寝顔に以前の秘蔵画像コレクションを高橋に駄目にされてしまった(クラウドで保存しておかなかったのかって?そんな危険なことをして、恭平に激怒されたらどうする?!でも今度からはパソコンにはバックアップはするつもりだ、そうでなきゃ秘蔵があんな事件でパァになってしまうのだから。)仁聖が我慢が効かなかった。

「…………ん………………?」

カシャカシャという音で目が覚めた様子の恭平に、仁聖が慌てた様子で少し休憩してるよと囁く。物音に寝ぼけ眼を擦った恭平が身を起こしたがそれが何の音までかは気がつかない風で随分寝ててごめんと呟くのに、仁聖は取り繕いはしつつもにこやかに大丈夫だからと笑う。

「後一時間かからないと思うよ?もう少し…………。」

寝てていいよと言う仁聖の言葉を突然遮ったのは助手席の恭平からのキスで、仁聖は予期せぬ行動に硬直して思わず目を丸くしていた。
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