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間章 アンノウン
間話43.おまけ 定番デートは至大の快楽
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鮮明な蛍光灯の灯りに照らされて、こんな豪奢な宿の室内で……なんて…………。
照らし出された室内の座卓に座った宏太に跨がって、淫らに浴衣をはだけられて自分から腰をおろして宏太の怒張を飲み込んでいく生々しい感触。ベットに行こうと誘うことも当然可能だけど、今までに見たことのない感情で揺れている宏太の表情を見ていて了だって我慢なんて出来なかった。誰かが自分の代わりになりうるのではと戸惑い不安に揺れて、何よりも自分を求めていると示して欲しがっている宏太の気持ちは了にだって痛いほどよくわかるのだ。
だけど、…………俺が好きなのは……
どれだけ顔や声が似ていようと近しく血が繋がっていようと、了が欲しいのは外崎宏太ただ一人。似たような存在なんかで代用できる訳もなければ、戸籍上の息子なんて珍妙な関係になるのだって宏太じゃなきゃ了だって考えもしない事だ。でもそれでも不安なのは宏太が自分を愛してくれているからで
宏太だけ、…………宏太は俺のもの
宏太が自分を独占するのと同等に了も宏太を独占して、自分だけの男にして特別にしてしまう。こうして全て了だけの宏太にして、宏太だけの了になって。そんなことを思っている自分がいて、こんなはしたない行為に駆り立てられてしまう。
「こぉ、た、んっ……これ、ヤバ……ぃ、いく…………おれぇ……。」
深く押し入る怒張の快感に了が堪えきれる筈もなくて、甘い喘ぎを上げながらガクガクと腰が震えていく。宏太の怒張を指で捧げ持って自分から押しあててめり込ませていく行為は本当は死ぬほど恥ずかしいのに、それでも宏太の事が全て欲しくてしかたがない。
「全部…………咥えこめよ、了…………。」
「ふ、あぁ……はいっちゃ……ぅ、……あぅ……っ!」
今までとはまるで違う感情に揺さぶられて了をここに連れてきた宏太の気持ちが、何だかこそばゆいほど愛しくて、それに何時になく郷愁に揺られた宏太を自分で慰めてやりたいとも思う。自分からここに連れてきたのに、昔の自分と似ているかもしれない弟と了が出会うのは凄く嫌だった筈だ。それに今まで一つも伝えていないのなら、宏太自身が傷を見せるのが本当は嫌だったに違いない。それでもここに連れてきたかった理由がある筈だけれど、まだそれは説明してもらえていなくて。
「さとる…………っ……。」
怒張を飲み込まれていく快感に酔って、掠れて甘くほどけていく宏太の声が耳に熱く響く。宏太がそんな声を出すのだって自分だからなのだと思えば、尚更宏太が愛しくて、了は宏太に何でもしてやりたくなってしまう。
「……あ、んん、あ、……あぁっ……っううっ!」
ヌプヌプと了の体内に分け入ってきて、ミッチリと体の中に埋もれていく宏太の硬い怒張を感じると一瞬で力が抜けそうなほどに気持ちいい。それに了の腰を支えるように触れてくる宏太の手の温度が何時にもまして熱くて、触れる肌から今にも全てが蕩けてしまいそうだ。
「んぅ……あ、う…………うぅんっ……っ。」
自分でも恥ずかしい声だと分かっているけれど、それでも自分の体の動きに伴って勢いよく沸き上がる快感に声が堪えられない。最後に根本までヌプンと音をたてて腹の中に宏太の怒張を納めきった瞬間にガクンと膝が砕けて、勢い更に深く繋がった腰と股間の密着度合いにあっという間に絶頂に上り詰めていた。
「はぅんっ!!んんんっんぅ!!」
ただ全てを体内に入れただけで、こんなにも容易く上り詰めて勢いよく射精までしてしまうほどの快楽。それに一度に襲われた了は、腰が抜けてしまってまるで身動きができなくなってしまう。それでも身動きせずに宏太と肌をあわせるだけで、怒張にキュウキュウと肉襞を絡み付かせて締め付けてしまって更に漏らしてしまいそうなほど気持ちいいのだ。息も出来ないほどの快感に思わずしがみついて首筋に腕を絡ませてしまう了に、体内の締め付けと腹を濡らした熱い了の精液でそれを察した宏太は幸せそうに甘い微笑みを浮かべた。
「了…………っ。」
ヌチュクポッと淫らな音をたてて、しかも中に満遍なく怒張を擦り付けるように宏太の手が了の腰を掴み揺らし始めると、目の奥がチカチカと瞬くような感覚にあっという間に飲み込まれてしまう。再び反り返った了の肉茎が蜜を滴らせながら、揺れにあわせてパチュパチュと自分の腹を叩くのに了は尚更甘い声で泣く。
「あ、やぁ!!ば、かぁ、まだっ、あんんんっ!動く、なっ!!」
最初の絶頂にまだ身動ぎ出来ないでいるのに宏太の熱くて大きな手に腰を抱き寄せられてユックリと揺すられ始めて、了は宏太の肩に顔を押しあてて意識を飛ばされないようにするので精一杯になっていた。宏太の大きな手に翻弄されて腰を前後左右にくねらされ、気持ちいい場所に太くて硬い怒張が強く弱く擦り付けられてしまう。それに必死で荒い息を吐きながら了は宏太に縋りつくしかない。
「はぅんっ!!くぅう!!あ、やぁ!それ、やぁ!!あぁ!あーっ!!」
「ここがいいか?ん……?」
「やぁ、い、くぅ!も、はぅっ!!こぉた!あーっ!!あぁあ!!」
了の激しく歓喜に喘ぐ反応に嬉しそうでいて、しかも興奮しきった吐息を宏太も吐いているのが熱く甘く了の頬に触れる。
「ん……さと、る……っいい、…………っ!」
「あ、んん、ん、こぉた、あ、……あぁ!あぁあっ!」
ユサユサと大きな手で上左右に揺すりたてられて、更に下から抉じ開けられ深々と奥まで捩じ込まれて掻き回されている。もう擦られる襞のどこもかしこも気持ちよくて、縋りついた宏太の項に顔を埋めたまま全てが熱く蕩けていく。
「さとるっ。」
それに反応して掠れた宏太の甘い声が、愛し気に名前を何度も繰り返し囁きかける。そして何度も奥まで征服しようとするみたいに下から揺すられ中を満たされ、それでも足りないと体を締め付けるほどに宏太の腕に抱きすくめられていく。
「了……っ、さとる……っ…………ふっ……了……っ。」
熱っぽい低く掠れた声が歓喜に濡れながら何度も名前を呼び、堪えきれなくなったみたいにその場で大きく腰を突き上げるように性急に動かし始めていた。ゴツリゴツリと奥底にあたる先端に了の体がビクビクと痙攣し始めて、了は喉を反らせながら何度目かの絶頂に一突き毎に押し上げられていく。
「はぅ!…………うっ!うぅん!あぅ!こぉ、た……っ!」
終いにズチュズチュと濡れた音をたてているのが、自分の体液なのか宏太の出した精液なのかすら混じりあって分からなくなる。分からなくなるほどに何度も何度も捩じ込まれて、熱い精子を奥に注ぎ込まれていくのに満たされてしまう。
「あ、ぅう、んんっ!こぉた。あ、こぉ、たぁ!」
「了っ……出すぞ?いいか……?」
「おくぅ、あ、んんっ奥、ぃくぅ!いっちゃ、う!!」
甘い声に誘われて奥底に熱い飛沫を注ぎ込んだ宏太の首に確りと巻き付いた了の腕は緩みもしないまま。それでもクタリと力の抜けた了の体を抱き締めて、宏太は幸せそうに再び微笑んでいた。
※※※
唇を重ねて何度も吐息を奪うように口付ける。
夜の帳の中とはいえ庭園めいたその場所は駅に向かう通路も兼ねていて、全く人通りが無いわけではない。そんな場所で明良に抱き締められて口付けられて、先に口付けたのは晴の方だけれどこんなにも抱き締められているのには少し恥ずかしい。恥ずかしいけれど、本当は早くこうして欲しかったのは晴の方で、我慢が出来なくて定番デートコースを飛び出して明良を引っ張ってきてしまったのも晴の方だ。
だって、明良は俺の…………俺の恋人なのに。
今夜の晴が周囲に愛想よくしていたのは、決して無意識なんかじゃない。意図して作り笑顔で爽やか好青年風に微笑み周囲に好青年をアピールしていたのは、一緒にいる明良をあんまりジロジロと眺めないで欲しかったからだ。晴の方が愛想よくそつなく周囲と関係を構築していたのは、水族館に入ってからの二人の周囲を囲む女性達の視線に気がついていたからなのだった。
なんで…………こんなこと気にしてんの?俺。
明良は元々が涼しげな目元をしたイケメンだし、スーツじゃなくて普段着の明良は尚更イケメンなのだからこんな場所では人目を惹くのは当然だ。当然だとわかっているけどヒソヒソ話やわざと明良の後をついてくるように歩く周囲の視線に密かに苛立ちが増していく。だから自分の方に意識を向けさせるように、あえて普段より割り増しで愛想よく笑顔の爽やか好青年を形作って見せた。なのに、結果として周囲の視線を更に集めて、しかも結局視線は晴と一緒の明良にも向けられてしまう。それが何故かとても腹立たしくて、無償にその視線から明良を取り返してしまいたかった。しかもここまできて人前だと分かっていながら口付けて抱き締められて、酷く安堵している自分がいる。
「ごめん……明良…………。」
思わずポツリと呟いた晴の声に、不思議そうに明良が晴の顔を覗き込んでいた。明良と普通の恋人みたいな定番デートがしたくて、してもらえているのが嬉しいのに、それなのになんでか人目につくのも嫌な自分。こんなんだったら男の格好じゃなく『五十嵐はる』になっていたら、堂々と手を繋いでもキスしても平気なのかもと思ってしまうと余計に悲しい。
「なんで泣きそうなの?晴。」
「だって………………俺、明良が…………。」
なんと表現したらいいのか分からずに思わず眉をしかめて俯く晴を、明良は戸惑うように見つめている。女の子扱いは嫌なのに、こんなときばかり女の子だったら良かったなんて自分でも間抜けすぎるけど、正直言えばこんな風に一緒にいて明良が困らないのは女の子だとも思う。
「…………俺、女の子なら良かった……よね。」
「は?」
呆気にとられたような明良が、何故か酷く不機嫌な戸惑いの声あげる。そして次の瞬間不意に明良の手が晴の頬をとらえて、真っ直ぐに晴の瞳を覗き込んでいた。
「どういう意味でいってんの?晴は。」
「え…………?」
目の前の明良の不満や怒りの意味が理解できなくて、ポカーンとしている晴の唇を明良は容赦なく塞ぐ。そのまま再び執拗に唇を奪われて、口の中まで丹念に舌で掻き回されねぶられて、晴は心地よさに足が震え始めているのに気がつく。凄く気持ちよくて膝がガクガクしているのに、何度も繰り返し舌を絡められて吸われて吐息さえままならない。
「んぅ……うぅん……っんう…………。」
辺りにはチュクチュクと淫らな舌のたてる音がして、これが自分の頭の中だけなのか周囲にも響き渡っているのかは分からなくなってしまう。しかも何時まで経っても明良がキスを止めるつもりがなくて、既にもう腰が抜けそうな自分がいるのだ。
「あ…………っ……きらぁ………………っ。」
トロンとしつつあるけれど、何が起きているのか分からない戸惑いの声。それでも明良は晴の頬を両手で包み込んだまま唇を重ねていて、遂にカクンと膝から力の抜けた晴の体を抱き止める。フニャンと弛緩してしまった晴の体を抱き締めて、押し付けた腰には固く昂ったものの存在が触れていた。
「…………あ、…………き、ら……ぁ…………?」
「晴が、晴じゃなかったら…………俺、いらないから。」
確りと抱き締めた耳元にそう明良が呟く。口付けて抱き締めて、こんな風に欲しいのは晴だからで、他の誰かではないし、女の子だったらなんて一つも思わない。そう耳元に呟いた明良に抱き締められたままの晴は、思わず頬が熱くなるのを感じていた。
「で、……でも、女の子だったら…………もっと…………。」
人目を気にしないで何でも出来るんだよと呟く晴に、もうそんなの俺は気にしてないと明良は腹立たしく呟く。この点については晴よりも明良の方がとっくに踏ん切りがついていると言えて、晴の方が俺よりもずっと外聞を気にしてるんだよねと明良が不満そうに言う。
「え?」
「女の子だったらなんて、俺は思ってない。」
その言葉に思わず晴は抱き締められたまま、明良を見上げていた。
「別にどこでも俺は晴とキスしたり手を繋いだりしたいよ?晴。…………でも、晴の方が気にしてるんでしょ?違う?」
違うとハッキリとは言い切れないけど、晴だってそうしたい、そうしたいけど出来ないのは。いや、出来ない訳じゃなくて、したかった……したかったのに人目を避けてしまったのは、違わないということなのだろうか。
「……明良…………俺、……デートしたかった……んだよ……明良と。」
デートしたかったけど、誰かの目に明良が追いかけられるのが嫌だった。それは何故なんだろうと晴は明良を見上げて考え込む。
「でも…………俺、明良が………………。」
明良が他の人に見られて、羨望の眼差しで追いかけられるのは嫌なのだ。
「俺、明良が他の人に見られるの…………や、だ。」
その言葉は明良の方にも予想外の言葉だったようで、明良は意図が汲み取れない様子で黙りこむ。晴にしてもこの言葉の理由がうまく理解できないけど、明良が他の人の視線に晒されるのが嫌で。
明良は俺の………………って
そう思ったら何でこんな気分になっているのか、晴はやっと理解できたのだった。自分は性別云々とかではなくて、結局のところ………………
照らし出された室内の座卓に座った宏太に跨がって、淫らに浴衣をはだけられて自分から腰をおろして宏太の怒張を飲み込んでいく生々しい感触。ベットに行こうと誘うことも当然可能だけど、今までに見たことのない感情で揺れている宏太の表情を見ていて了だって我慢なんて出来なかった。誰かが自分の代わりになりうるのではと戸惑い不安に揺れて、何よりも自分を求めていると示して欲しがっている宏太の気持ちは了にだって痛いほどよくわかるのだ。
だけど、…………俺が好きなのは……
どれだけ顔や声が似ていようと近しく血が繋がっていようと、了が欲しいのは外崎宏太ただ一人。似たような存在なんかで代用できる訳もなければ、戸籍上の息子なんて珍妙な関係になるのだって宏太じゃなきゃ了だって考えもしない事だ。でもそれでも不安なのは宏太が自分を愛してくれているからで
宏太だけ、…………宏太は俺のもの
宏太が自分を独占するのと同等に了も宏太を独占して、自分だけの男にして特別にしてしまう。こうして全て了だけの宏太にして、宏太だけの了になって。そんなことを思っている自分がいて、こんなはしたない行為に駆り立てられてしまう。
「こぉ、た、んっ……これ、ヤバ……ぃ、いく…………おれぇ……。」
深く押し入る怒張の快感に了が堪えきれる筈もなくて、甘い喘ぎを上げながらガクガクと腰が震えていく。宏太の怒張を指で捧げ持って自分から押しあててめり込ませていく行為は本当は死ぬほど恥ずかしいのに、それでも宏太の事が全て欲しくてしかたがない。
「全部…………咥えこめよ、了…………。」
「ふ、あぁ……はいっちゃ……ぅ、……あぅ……っ!」
今までとはまるで違う感情に揺さぶられて了をここに連れてきた宏太の気持ちが、何だかこそばゆいほど愛しくて、それに何時になく郷愁に揺られた宏太を自分で慰めてやりたいとも思う。自分からここに連れてきたのに、昔の自分と似ているかもしれない弟と了が出会うのは凄く嫌だった筈だ。それに今まで一つも伝えていないのなら、宏太自身が傷を見せるのが本当は嫌だったに違いない。それでもここに連れてきたかった理由がある筈だけれど、まだそれは説明してもらえていなくて。
「さとる…………っ……。」
怒張を飲み込まれていく快感に酔って、掠れて甘くほどけていく宏太の声が耳に熱く響く。宏太がそんな声を出すのだって自分だからなのだと思えば、尚更宏太が愛しくて、了は宏太に何でもしてやりたくなってしまう。
「……あ、んん、あ、……あぁっ……っううっ!」
ヌプヌプと了の体内に分け入ってきて、ミッチリと体の中に埋もれていく宏太の硬い怒張を感じると一瞬で力が抜けそうなほどに気持ちいい。それに了の腰を支えるように触れてくる宏太の手の温度が何時にもまして熱くて、触れる肌から今にも全てが蕩けてしまいそうだ。
「んぅ……あ、う…………うぅんっ……っ。」
自分でも恥ずかしい声だと分かっているけれど、それでも自分の体の動きに伴って勢いよく沸き上がる快感に声が堪えられない。最後に根本までヌプンと音をたてて腹の中に宏太の怒張を納めきった瞬間にガクンと膝が砕けて、勢い更に深く繋がった腰と股間の密着度合いにあっという間に絶頂に上り詰めていた。
「はぅんっ!!んんんっんぅ!!」
ただ全てを体内に入れただけで、こんなにも容易く上り詰めて勢いよく射精までしてしまうほどの快楽。それに一度に襲われた了は、腰が抜けてしまってまるで身動きができなくなってしまう。それでも身動きせずに宏太と肌をあわせるだけで、怒張にキュウキュウと肉襞を絡み付かせて締め付けてしまって更に漏らしてしまいそうなほど気持ちいいのだ。息も出来ないほどの快感に思わずしがみついて首筋に腕を絡ませてしまう了に、体内の締め付けと腹を濡らした熱い了の精液でそれを察した宏太は幸せそうに甘い微笑みを浮かべた。
「了…………っ。」
ヌチュクポッと淫らな音をたてて、しかも中に満遍なく怒張を擦り付けるように宏太の手が了の腰を掴み揺らし始めると、目の奥がチカチカと瞬くような感覚にあっという間に飲み込まれてしまう。再び反り返った了の肉茎が蜜を滴らせながら、揺れにあわせてパチュパチュと自分の腹を叩くのに了は尚更甘い声で泣く。
「あ、やぁ!!ば、かぁ、まだっ、あんんんっ!動く、なっ!!」
最初の絶頂にまだ身動ぎ出来ないでいるのに宏太の熱くて大きな手に腰を抱き寄せられてユックリと揺すられ始めて、了は宏太の肩に顔を押しあてて意識を飛ばされないようにするので精一杯になっていた。宏太の大きな手に翻弄されて腰を前後左右にくねらされ、気持ちいい場所に太くて硬い怒張が強く弱く擦り付けられてしまう。それに必死で荒い息を吐きながら了は宏太に縋りつくしかない。
「はぅんっ!!くぅう!!あ、やぁ!それ、やぁ!!あぁ!あーっ!!」
「ここがいいか?ん……?」
「やぁ、い、くぅ!も、はぅっ!!こぉた!あーっ!!あぁあ!!」
了の激しく歓喜に喘ぐ反応に嬉しそうでいて、しかも興奮しきった吐息を宏太も吐いているのが熱く甘く了の頬に触れる。
「ん……さと、る……っいい、…………っ!」
「あ、んん、ん、こぉた、あ、……あぁ!あぁあっ!」
ユサユサと大きな手で上左右に揺すりたてられて、更に下から抉じ開けられ深々と奥まで捩じ込まれて掻き回されている。もう擦られる襞のどこもかしこも気持ちよくて、縋りついた宏太の項に顔を埋めたまま全てが熱く蕩けていく。
「さとるっ。」
それに反応して掠れた宏太の甘い声が、愛し気に名前を何度も繰り返し囁きかける。そして何度も奥まで征服しようとするみたいに下から揺すられ中を満たされ、それでも足りないと体を締め付けるほどに宏太の腕に抱きすくめられていく。
「了……っ、さとる……っ…………ふっ……了……っ。」
熱っぽい低く掠れた声が歓喜に濡れながら何度も名前を呼び、堪えきれなくなったみたいにその場で大きく腰を突き上げるように性急に動かし始めていた。ゴツリゴツリと奥底にあたる先端に了の体がビクビクと痙攣し始めて、了は喉を反らせながら何度目かの絶頂に一突き毎に押し上げられていく。
「はぅ!…………うっ!うぅん!あぅ!こぉ、た……っ!」
終いにズチュズチュと濡れた音をたてているのが、自分の体液なのか宏太の出した精液なのかすら混じりあって分からなくなる。分からなくなるほどに何度も何度も捩じ込まれて、熱い精子を奥に注ぎ込まれていくのに満たされてしまう。
「あ、ぅう、んんっ!こぉた。あ、こぉ、たぁ!」
「了っ……出すぞ?いいか……?」
「おくぅ、あ、んんっ奥、ぃくぅ!いっちゃ、う!!」
甘い声に誘われて奥底に熱い飛沫を注ぎ込んだ宏太の首に確りと巻き付いた了の腕は緩みもしないまま。それでもクタリと力の抜けた了の体を抱き締めて、宏太は幸せそうに再び微笑んでいた。
※※※
唇を重ねて何度も吐息を奪うように口付ける。
夜の帳の中とはいえ庭園めいたその場所は駅に向かう通路も兼ねていて、全く人通りが無いわけではない。そんな場所で明良に抱き締められて口付けられて、先に口付けたのは晴の方だけれどこんなにも抱き締められているのには少し恥ずかしい。恥ずかしいけれど、本当は早くこうして欲しかったのは晴の方で、我慢が出来なくて定番デートコースを飛び出して明良を引っ張ってきてしまったのも晴の方だ。
だって、明良は俺の…………俺の恋人なのに。
今夜の晴が周囲に愛想よくしていたのは、決して無意識なんかじゃない。意図して作り笑顔で爽やか好青年風に微笑み周囲に好青年をアピールしていたのは、一緒にいる明良をあんまりジロジロと眺めないで欲しかったからだ。晴の方が愛想よくそつなく周囲と関係を構築していたのは、水族館に入ってからの二人の周囲を囲む女性達の視線に気がついていたからなのだった。
なんで…………こんなこと気にしてんの?俺。
明良は元々が涼しげな目元をしたイケメンだし、スーツじゃなくて普段着の明良は尚更イケメンなのだからこんな場所では人目を惹くのは当然だ。当然だとわかっているけどヒソヒソ話やわざと明良の後をついてくるように歩く周囲の視線に密かに苛立ちが増していく。だから自分の方に意識を向けさせるように、あえて普段より割り増しで愛想よく笑顔の爽やか好青年を形作って見せた。なのに、結果として周囲の視線を更に集めて、しかも結局視線は晴と一緒の明良にも向けられてしまう。それが何故かとても腹立たしくて、無償にその視線から明良を取り返してしまいたかった。しかもここまできて人前だと分かっていながら口付けて抱き締められて、酷く安堵している自分がいる。
「ごめん……明良…………。」
思わずポツリと呟いた晴の声に、不思議そうに明良が晴の顔を覗き込んでいた。明良と普通の恋人みたいな定番デートがしたくて、してもらえているのが嬉しいのに、それなのになんでか人目につくのも嫌な自分。こんなんだったら男の格好じゃなく『五十嵐はる』になっていたら、堂々と手を繋いでもキスしても平気なのかもと思ってしまうと余計に悲しい。
「なんで泣きそうなの?晴。」
「だって………………俺、明良が…………。」
なんと表現したらいいのか分からずに思わず眉をしかめて俯く晴を、明良は戸惑うように見つめている。女の子扱いは嫌なのに、こんなときばかり女の子だったら良かったなんて自分でも間抜けすぎるけど、正直言えばこんな風に一緒にいて明良が困らないのは女の子だとも思う。
「…………俺、女の子なら良かった……よね。」
「は?」
呆気にとられたような明良が、何故か酷く不機嫌な戸惑いの声あげる。そして次の瞬間不意に明良の手が晴の頬をとらえて、真っ直ぐに晴の瞳を覗き込んでいた。
「どういう意味でいってんの?晴は。」
「え…………?」
目の前の明良の不満や怒りの意味が理解できなくて、ポカーンとしている晴の唇を明良は容赦なく塞ぐ。そのまま再び執拗に唇を奪われて、口の中まで丹念に舌で掻き回されねぶられて、晴は心地よさに足が震え始めているのに気がつく。凄く気持ちよくて膝がガクガクしているのに、何度も繰り返し舌を絡められて吸われて吐息さえままならない。
「んぅ……うぅん……っんう…………。」
辺りにはチュクチュクと淫らな舌のたてる音がして、これが自分の頭の中だけなのか周囲にも響き渡っているのかは分からなくなってしまう。しかも何時まで経っても明良がキスを止めるつもりがなくて、既にもう腰が抜けそうな自分がいるのだ。
「あ…………っ……きらぁ………………っ。」
トロンとしつつあるけれど、何が起きているのか分からない戸惑いの声。それでも明良は晴の頬を両手で包み込んだまま唇を重ねていて、遂にカクンと膝から力の抜けた晴の体を抱き止める。フニャンと弛緩してしまった晴の体を抱き締めて、押し付けた腰には固く昂ったものの存在が触れていた。
「…………あ、…………き、ら……ぁ…………?」
「晴が、晴じゃなかったら…………俺、いらないから。」
確りと抱き締めた耳元にそう明良が呟く。口付けて抱き締めて、こんな風に欲しいのは晴だからで、他の誰かではないし、女の子だったらなんて一つも思わない。そう耳元に呟いた明良に抱き締められたままの晴は、思わず頬が熱くなるのを感じていた。
「で、……でも、女の子だったら…………もっと…………。」
人目を気にしないで何でも出来るんだよと呟く晴に、もうそんなの俺は気にしてないと明良は腹立たしく呟く。この点については晴よりも明良の方がとっくに踏ん切りがついていると言えて、晴の方が俺よりもずっと外聞を気にしてるんだよねと明良が不満そうに言う。
「え?」
「女の子だったらなんて、俺は思ってない。」
その言葉に思わず晴は抱き締められたまま、明良を見上げていた。
「別にどこでも俺は晴とキスしたり手を繋いだりしたいよ?晴。…………でも、晴の方が気にしてるんでしょ?違う?」
違うとハッキリとは言い切れないけど、晴だってそうしたい、そうしたいけど出来ないのは。いや、出来ない訳じゃなくて、したかった……したかったのに人目を避けてしまったのは、違わないということなのだろうか。
「……明良…………俺、……デートしたかった……んだよ……明良と。」
デートしたかったけど、誰かの目に明良が追いかけられるのが嫌だった。それは何故なんだろうと晴は明良を見上げて考え込む。
「でも…………俺、明良が………………。」
明良が他の人に見られて、羨望の眼差しで追いかけられるのは嫌なのだ。
「俺、明良が他の人に見られるの…………や、だ。」
その言葉は明良の方にも予想外の言葉だったようで、明良は意図が汲み取れない様子で黙りこむ。晴にしてもこの言葉の理由がうまく理解できないけど、明良が他の人の視線に晒されるのが嫌で。
明良は俺の………………って
そう思ったら何でこんな気分になっているのか、晴はやっと理解できたのだった。自分は性別云々とかではなくて、結局のところ………………
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