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間章 ちょっと合間の話2
間話10.勘違いじゃないよね?
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そんなわけであれから数日、高橋至は遂に大人しく近郊から去ることにしたらしい。ついでに先に言うと高橋は、妻から三下り半を突きつけられて離婚。娘さんは奥さんの方が親権を持って、しかもさっさと苗字まで変えたらしいが、そこは自業自得だと思う。
何しろほんの二~三日で《ロキウイルスお仕置き専用バージョンワン》は再発動して、数分だがネット上にハゲの親父の女装痴漢写真が公開されたわけで。
バカだなぁ……ちゃんと駄目だよって警告されてんのに
と正直に思う次第だ。その結果として高橋は疑心暗鬼の塊になったようだが、だーかーらー自業自得だからっての。触んなよ、消せよって書いてあるの無視してエロ画像なんか見ようとするから、こういうことになるんだって。しかも正直三度目の発動の時には、なんかもう笑えなかった。
あのさ?エロ画像はもう置き換えてあるってわかってる?
それなのにもう一度戻ってるかもって思うのか。開いても出てくるの親父の禿げ頭コスプレなわけ?確認してみたくなるのかねぇ?もしくは、その画像が気に入ったとか?と本人に聞きたくなったが、流石にここから接する気にはなれない。
禿げ親父のコスプレ画像が見てみたい?
それは検索してみれば多分出てくる、宏太が言っていたがどんな画像でも世の中では誰か一人は確実に保存しておくものらしい。その理由は保存する人間にしか分からないから、晴にも了にも理由は不明。それでも、ネットには画像が出回っているのは本当のことで、見たい人は自己責任で見ていただくしかない。世の中にはバカッターだのバイトテロだの様々なことが起きてるけれど、案外悪いことは出来ないようになっている。大概の悪いことは、高橋みたいに自分の身に降りかかってくるんだし、そうでないことは自分の心に降りかかって来るものなのだ。
「晴?どした?元気ないな。」
「んー……夏バテ……かなぁ。」
了には素直に会社員時代の無体は謝った(この間の不倫のことは思い出させるなよと、見えない目で殺気を放つ鬼畜がいるし、あれに関しては自分でも墓までとは決めてる。)けれど、それでも明良に嫌われたらと不安になってしまう昨今。一緒にいると可愛い・好きだと恥ずかしくなるくらい言われて、なし崩しにセックス、しかも滅茶苦茶気持ちよくされて気がつくと泣くまで明良のものになっていて。
俺……確かに了にされるのも気持ちよかったけど、明良とのって桁違いなんだよなぁ……。
大好きだったし憧れだった了と、セフレでセックスしてた時も確かに全部気持ちはよかった。入れてとおねだりして入れて貰い、丸一日ラブホでやりまくったこともある。でもそれは既に一晩中体を準備してドロドロになっていたからであって、明良としたみたいに下準備なしで即天国昇天なんて初めてだ。しかも明良の場合セックス以前の問題で腕にギュウッて抱き締められたり、キスされたり、実は明良に熱っぽく見られてるだけで晴は気持ちよくなってしまう。しかも了との時は半分は晴も男として抱いてもいたわけで、今みたいに完全に抱かれていたわけではないのだ。
でも、明良を抱きたいかって聞かれると…………。
実は正直言うとあんまりにもされることが気持ち良すぎて、することには意識が向かない。これに慣れる時が来たらと考えてみるが、今の気持ちよさに慣れるってあり得るんだろうか。これに慣れてもっと気持ちいい刺激がほしいなんて言ったら、あのドブ臭オヤジ紛いの色キチガイなんじゃないだろうかと思ってしまう。
「ねぇ、了さぁ?」
「ん?」
「しゃちょーのこと抱きたいって思う?」
唐突な質問にブハッと了がお茶を吹き出す。勿論背後には当の外崎宏太も居るわけだが、目下ヘッドフォンでこっちの話は聞かないふりをしている。ふりだというのは実際にはヘッドフォン位で二人の会話を聞いていない筈がないのが、外崎宏太だと晴にだって分かっているからだ。もし聞こえない状態で二人で話してたら、確実に恐怖の給料三割ダウンが発動されている。兎も角聞かれているのは分かっているけど、この話は聞かれても別に気にするわけでもないし正直宏太の意見も聞いてみたい。何しろ二人は完全に今後も約束した関係で、死んでも一緒の墓までな間柄になっている訳で。となるとどうしたって二十歳も年下の了が四十で、相手は六十代…………あれ?何でだろう、六十代でも外崎宏太は現役で盛ってそうな気がしてきた。これじゃ質問に答えなんかでなさそう。
「だ、抱きたいって…………あの、なぁ。」
「だってさぁ?了だって男な訳じゃん?ちゃんと起つでしょ?」
「まあ、その…………それは、そうだけど。」
了は案外適応力が高いから付き合っている時、挿入するもされるもどっちも出来た。了と別れてから何人かと付き合って晴が知ったのは、後ろで感じるタイプになってしまうと挿入する方での快感を得るのは実は難しくなることが多いってことだ。そういう意味では晴はどちらかと言えば了に近くて、どっちでもまだ出来る。晴は出来るけど明良には多分無理で、明良はきっと抱く方だけだろうなんて考えてて。でもこれを聞いたからって明良を抱きたい訳ではなくて、結局グルグルしてるけど鯔のつまり了達は現状に満足できてるのかってことなのだ。
「抱きたくなんない?」
「いや、宏太……には、その。」
可愛く真っ赤になってしまった了が小さい声でモニョモニョしているけど、それって受け身で十分に満足してるんだよなぁってわかってしまう。でも宏太は最初加減知らずでやり倒してたけど、あれは明良のあの感じとは違うのだろうか。了はバイだけど宏太はヘテロと言うことは、ある意味では晴と明良と同じ状況な訳で。
「いってもいっても愛撫がとまんないのって何で?しゃちょー。」
「あ?何で俺に聞く。」
ほら聞こえてる。しかも声からしてご機嫌なのは了の返答とかモニョモニョしてたのが実は嬉しかったなんてのは、もう晴にだってお見通しだ。このラブラブバカップルと内心思うけど、宏太の盛りかたは少し明良に似ている気もするから宏太の意見を知りたい。
「なんだ明良のこと、そんなに責めまくってんの?晴。」
「っていうか……。」
「晴の方がされてんだろ。止まらねぇのは明良の方。」
分かってたんだろうけど平然と了の前で宏太は言いきるし、了は了でそれにポカーンと呆気にとられるのは何でだ。どうやら了の中では晴✖️明良で確信してて、話を全部反対に考えてたらしい。う、確かに好奇心が強くてする方にとてつもなく積極的だった過去があるから、了の勘違いに否定は出来ないんだけれど。つまりは盛りまくって止まらない晴が、同じ男として明良が晴を抱きたいとなったらどうするかと考えていると思ってた訳だ。
「えー、明良の方なの?意外。」
「そうか?」
目が見えないから宏太はそうだろうが、明良の見た目を知っている了の言い分も分からなくない。何しろ晴だって時々明良の方が可愛いなんて思っている訳で、いやノロケは兎も角だ、意見を聞きたいのに宏太は知るかの一点張りで知りたきゃ明良に聞けだ。了の方も苦笑いで明良に聞くべきだと同調するし、聞けるもんならとっくに聞いてるんだよと晴が怒りたかったのはここだけの話だ。
※※※
結城晴は列記とした男で、気がつくと大概誰かの視線を集めている存在なのだ。
元々同期の中でも結城晴は、別格だった。入社式で既にそれは明らかで見た目はダントツでいいし、一人頭ひとつ抜き出ていたのは課の違う明良だって知っている。何しろ晴は指導係の成田に教え込まれて、仕事の上でもメキメキ頭角を現していたのだ。
有象無象の中に埋もれない目立つ存在。最初の認識はそんな感じで、でも明良には接点がないから気にもとめていない。それでも仕事は出来るし見た目もよくて人気は高い、一時期なんか彼女と別れたからチャンスなんて噂が密かにたっていた位だ。
その結城晴が突然仕事を辞めるとなって、しかも通常の手続きも踏まずに解雇に近い形で辞めたのには誰もが驚いた。高橋に暴言をはいて出社拒否したなんて噂話だったが、大部分は高橋が仕事が出来ないのを全部押し付けられて嫌になってキレたんだと皆が話していたのだ。
そんなことで折角のキャリアを捨てるってのはどうなのかなぁ
嫌な上司・無能で口ばかりの上司、そんなのはよくあること、それでも辞めるなんて堪え性がないのか。それがまさか自分に降りかかってくるとは一片も考えもしなかったから、暢気に明良は仕事の出来る晴への男としての嫉妬もあいまって当時そんな風に晴の辞職を捉えていた程度だ。そしてそれから数ヶ月、まさか予期せぬ場所で再会して、そんな晴とこんなことになるなんてと明良は驚きもする。けど、こればかりは自分でもどうにもならない。
狭山明良は生来の気質か余り男女関係に関しては得意ではなくて、というか子供の頃から礼節なんてものを骨の髄から叩き込まれて育ったせいか、堅苦しい上に冷静すぎて恋愛は上手くいかないことが多かった。
まあ相手にもよるし。
自分にあった古風な女性と出会えばきっと違うのだろう、そうずっと考えていたのだ。ところが晴とこうなってみて気がついたのは、明良が本気で恋をしたのが初めてだったということ。付き合っていた女の子を可愛いとは頭では思っても、実は晴みたいに心底可愛いとは考えてなくて女の子だから可愛いものなのだと自分で自分に言い聞かせていた。でも恋をしたら、それは大きな勘違いだったと気がつかされた。
明良は気がつくと目が晴を追っていて街の中にいても一番最初に晴を見つけられるし、晴が何よりも可愛く輝いて見える。
ほら、あそこで少し考え事をして、俯き加減で立っている晴。本当に今日も可愛い。
ラフな服装だからだけど、夏場のせいで少し体のラインが見えすぎ。首もとはキスマークがばれるから少し襟のある服を着ているけど、手足はしなやかだし華奢でスタイルもいいし。栗色っぽく光を透けさせる髪も柔らかくて直ぐに撫でたくなる。睫毛も長くて、柔らかな唇だって指で撫でるだけで甘く開いて、可愛い吐息を溢す。女の視線もあれだが、男だって自分のように見ていないか心配になるのだと教えたら、晴はあきれるのではないだろうか。でも本当に晴は凄く可愛くて、明良としては何処かに大事に閉じ込めてしまいたい。
「晴。」
声をかけると気がついたように明良を見て、晴は嬉しそうにはにかんで微笑む。なんて可愛すぎる。その満点の花のような笑顔に引き寄せられる視線が振り返っていくのに、可愛い晴は俺のだから見るなと言いたい。
こんなに誰かを可愛いなんて感じるなんて信じられない
それほど明良には晴が可愛いし、直ぐに人目なんか気にせず抱き締めたいしキスしたい、抱きたい。こんな獣みたいな欲求が自分の中に存在しているなんて、明良自身にも信じられないことだった。
「待った?」
「んん、今来たとこ。」
そう言って嬉しそうに微笑む晴は本当に可愛い。可愛すぎて困るくらいに晴は可愛いのだ。一緒に並んで歩くとオズオズと手を繋いできたり、明良が頭を撫でるのが好きでワクワクしながら待ってる顔なんか特に可愛い。ただでさえ可愛いのにベットの中の晴の可愛さは破壊力抜群で、真っ赤になって震えて泣く姿なんて
「…………写真……撮りたくなるのがわかる。」
「ん?何?写真?」
「あ、いや、独り言。」
キョトンとしながら顔を覗き込んでくるけれど、その仕草が可愛い過ぎて思わずキスしてしまったら街中だよと晴は真っ赤になってしまう。好きだと告白したら自分でいいのかと戸惑った顔、晴が外崎了と付き合ったのは既に聞いていたけど、一体どうやって付き合ってたんだろうと正直疑問に感じる。まるで初めて恋をした自分と同じみたいに感じるのに、明良は思わず問いかけてしまうのだ。
了さんにここ、触られてる?舐めたりされてる?
可愛いツルンとした晴の陰茎。舐めながらそう問いかけると真っ赤になって晴は絶句してプルプルしながら、そんなの言わせるなって顔を覆って身悶えてしまう。触れる乳首だってピンクで敏感で舐めたり吸ったりするとフニャンと全身脱力してしまう晴が、高橋に本当は悪戯されて辞めたんじゃないかと明良は心配してしまうのだ。
「晴、聞いていい?」
頬を染めてハフンと甘い吐息を溢す晴が、蕩けた瞳で明良のことを何?と見上げる。本当に男同士の経験があるのかなと疑問に感じるけど、明良の方だって男同士は初体験だからよく分からない。それにそれを何度聞いても、晴はそんなの言えないなんて可愛く真っ赤になるだけなのだ。
「気持ちいいの好き?」
「す、きぃ……。」
蕩けてホヤンとした甘い声。射精してしまってヒクヒクしている陰茎は淫らで足を広げられても抵抗も出来なくて、こんな風に了の前でも蕩けていたのかと考えると実は密かに明良はイラッとしてしまったりする。それを素直に表現するには明良はまだ晴のことを知らなすぎて、手探りでもっと晴のことを引き寄せようと必死なのだ。
「こんなに、可愛いの、他の人にも?」
「そんな……意地悪、言うなっ、てぇ……ない、ないからぁ…………。」
「ふふ、でも晴、意地悪、好きでしょ?気持ちいいの好きで、他の人にもこんなに甘えるの?」
ペロッと耳朶を舐めながら囁き誤魔化しているけど、そうじゃなくて本気で知りたいだけ。自分だけと思いたいけど他に経験があると知っているし、晴が余り了との関係を明良には話したがらないから知りたくて意地悪な質問を繰り返してしまう。晴が半べそになりながらウルウルした瞳で明良のことを見上げて、我慢しきれなくてフニャァと泣き出す。
「そんなの、知らないよぉ…………おれ、こんなの、ほんとに、初めてなんだってばぁ……。」
「嘘。気持ちいいの、好きでしょ?」
泣いている晴の可愛い乳首を舐めながら明良が言うと、晴がそうじゃないと頭を振りながら喘ぐ。一体何が初めてなんだろうと考えながら明良は、キュッと摘まんだピンクの乳首の先端だけを舐め回し晴の反応を見つめている。
「だ、って、おれ、今まで、たっくさんっ、あっ、下準備、してて。」
下準備?と聞くと晴は乳首だけでヒクヒクと体を痙攣させて、触れてもいない陰茎の先からトロリと蜜を吹き出してしまう。そうして真っ赤になって泣きながら、必死に訴えてくる。
「じゅ、んびしないで、かんじ、るなんて、知らないっ、こんな、の知らないよぉ。」
「それって……俺だけこうなるって、こと?」
「そ、うだからぁ、あっ、ああっ!あきらぁ、いじわる、ぅ。」
乳首に向かって話す吐息を吹き掛けられるのに晴はビクンッと仰け反って、瞬間的に足を閉じようとするみたいに明良の体をギュウッと挟み込んだ。準備してって男同士に何がどれくらい準備が必要なのか。少しはネットで調べたけど腸の洗浄とか何か生々しいのはあったけど、晴がそれをしてるのは見たことがない。恐らくは待ち合わせて会う前にしてくれていることも沢山あるのだろうけれど
「晴、準備ってどういうこと?ほら、言ってごらん?」
「も、やぁ……ぅ……うう、…………ジェルとか沢山……。」
フニャァと泣きながら晴は男同士でするのには沢山ジェルとかオイルとかで滑りを良くして、沢山ほぐしてなんて恥ずかしそうに言う。でもそんなこと殆ど明良とはしてなくて、そういわれるとジェルは少し使うけどと今更気がついてしまった。もしかして辛い思いしながらセックスしてたりする?でも晴を見てると、そうとは思えないし。しかも晴はヤッパリ自分には抱かれてるだけだけど、了とは半々くらいで、実は抱いてもいたのだと終には泣きながら白状させられている。
「俺との時は準備しなくても気持ちいいの?晴。抱かれるので満足?」
「あ、きらの、意地悪ぅ、そんな、もぅ言わせんなよぉ…………ばかぁ。」
何それ滅茶苦茶に可愛い、勘違いじゃないよね?晴には明良だけ。明良が初めてこんなに乱れて欲しくなる相手で、しかも抱かれるので精一杯で。これ以上気持ちいいことされたら、おかしくなるなんて可愛いことを甘い声で言うのだ。しかもそんなこと言いながら必死に甘い吐息で抱きついて腰をスリスリと擦り寄せて、明良を頂戴なんて熱烈にお強請りする晴が可愛くて仕方がない。
「あき、らぁ、も、むりぃ、がまん、むり。」
ファと吐息を荒くしながら強請る晴にキスして、明良がすかさず覆い被さったのは言うまでもない。
何しろほんの二~三日で《ロキウイルスお仕置き専用バージョンワン》は再発動して、数分だがネット上にハゲの親父の女装痴漢写真が公開されたわけで。
バカだなぁ……ちゃんと駄目だよって警告されてんのに
と正直に思う次第だ。その結果として高橋は疑心暗鬼の塊になったようだが、だーかーらー自業自得だからっての。触んなよ、消せよって書いてあるの無視してエロ画像なんか見ようとするから、こういうことになるんだって。しかも正直三度目の発動の時には、なんかもう笑えなかった。
あのさ?エロ画像はもう置き換えてあるってわかってる?
それなのにもう一度戻ってるかもって思うのか。開いても出てくるの親父の禿げ頭コスプレなわけ?確認してみたくなるのかねぇ?もしくは、その画像が気に入ったとか?と本人に聞きたくなったが、流石にここから接する気にはなれない。
禿げ親父のコスプレ画像が見てみたい?
それは検索してみれば多分出てくる、宏太が言っていたがどんな画像でも世の中では誰か一人は確実に保存しておくものらしい。その理由は保存する人間にしか分からないから、晴にも了にも理由は不明。それでも、ネットには画像が出回っているのは本当のことで、見たい人は自己責任で見ていただくしかない。世の中にはバカッターだのバイトテロだの様々なことが起きてるけれど、案外悪いことは出来ないようになっている。大概の悪いことは、高橋みたいに自分の身に降りかかってくるんだし、そうでないことは自分の心に降りかかって来るものなのだ。
「晴?どした?元気ないな。」
「んー……夏バテ……かなぁ。」
了には素直に会社員時代の無体は謝った(この間の不倫のことは思い出させるなよと、見えない目で殺気を放つ鬼畜がいるし、あれに関しては自分でも墓までとは決めてる。)けれど、それでも明良に嫌われたらと不安になってしまう昨今。一緒にいると可愛い・好きだと恥ずかしくなるくらい言われて、なし崩しにセックス、しかも滅茶苦茶気持ちよくされて気がつくと泣くまで明良のものになっていて。
俺……確かに了にされるのも気持ちよかったけど、明良とのって桁違いなんだよなぁ……。
大好きだったし憧れだった了と、セフレでセックスしてた時も確かに全部気持ちはよかった。入れてとおねだりして入れて貰い、丸一日ラブホでやりまくったこともある。でもそれは既に一晩中体を準備してドロドロになっていたからであって、明良としたみたいに下準備なしで即天国昇天なんて初めてだ。しかも明良の場合セックス以前の問題で腕にギュウッて抱き締められたり、キスされたり、実は明良に熱っぽく見られてるだけで晴は気持ちよくなってしまう。しかも了との時は半分は晴も男として抱いてもいたわけで、今みたいに完全に抱かれていたわけではないのだ。
でも、明良を抱きたいかって聞かれると…………。
実は正直言うとあんまりにもされることが気持ち良すぎて、することには意識が向かない。これに慣れる時が来たらと考えてみるが、今の気持ちよさに慣れるってあり得るんだろうか。これに慣れてもっと気持ちいい刺激がほしいなんて言ったら、あのドブ臭オヤジ紛いの色キチガイなんじゃないだろうかと思ってしまう。
「ねぇ、了さぁ?」
「ん?」
「しゃちょーのこと抱きたいって思う?」
唐突な質問にブハッと了がお茶を吹き出す。勿論背後には当の外崎宏太も居るわけだが、目下ヘッドフォンでこっちの話は聞かないふりをしている。ふりだというのは実際にはヘッドフォン位で二人の会話を聞いていない筈がないのが、外崎宏太だと晴にだって分かっているからだ。もし聞こえない状態で二人で話してたら、確実に恐怖の給料三割ダウンが発動されている。兎も角聞かれているのは分かっているけど、この話は聞かれても別に気にするわけでもないし正直宏太の意見も聞いてみたい。何しろ二人は完全に今後も約束した関係で、死んでも一緒の墓までな間柄になっている訳で。となるとどうしたって二十歳も年下の了が四十で、相手は六十代…………あれ?何でだろう、六十代でも外崎宏太は現役で盛ってそうな気がしてきた。これじゃ質問に答えなんかでなさそう。
「だ、抱きたいって…………あの、なぁ。」
「だってさぁ?了だって男な訳じゃん?ちゃんと起つでしょ?」
「まあ、その…………それは、そうだけど。」
了は案外適応力が高いから付き合っている時、挿入するもされるもどっちも出来た。了と別れてから何人かと付き合って晴が知ったのは、後ろで感じるタイプになってしまうと挿入する方での快感を得るのは実は難しくなることが多いってことだ。そういう意味では晴はどちらかと言えば了に近くて、どっちでもまだ出来る。晴は出来るけど明良には多分無理で、明良はきっと抱く方だけだろうなんて考えてて。でもこれを聞いたからって明良を抱きたい訳ではなくて、結局グルグルしてるけど鯔のつまり了達は現状に満足できてるのかってことなのだ。
「抱きたくなんない?」
「いや、宏太……には、その。」
可愛く真っ赤になってしまった了が小さい声でモニョモニョしているけど、それって受け身で十分に満足してるんだよなぁってわかってしまう。でも宏太は最初加減知らずでやり倒してたけど、あれは明良のあの感じとは違うのだろうか。了はバイだけど宏太はヘテロと言うことは、ある意味では晴と明良と同じ状況な訳で。
「いってもいっても愛撫がとまんないのって何で?しゃちょー。」
「あ?何で俺に聞く。」
ほら聞こえてる。しかも声からしてご機嫌なのは了の返答とかモニョモニョしてたのが実は嬉しかったなんてのは、もう晴にだってお見通しだ。このラブラブバカップルと内心思うけど、宏太の盛りかたは少し明良に似ている気もするから宏太の意見を知りたい。
「なんだ明良のこと、そんなに責めまくってんの?晴。」
「っていうか……。」
「晴の方がされてんだろ。止まらねぇのは明良の方。」
分かってたんだろうけど平然と了の前で宏太は言いきるし、了は了でそれにポカーンと呆気にとられるのは何でだ。どうやら了の中では晴✖️明良で確信してて、話を全部反対に考えてたらしい。う、確かに好奇心が強くてする方にとてつもなく積極的だった過去があるから、了の勘違いに否定は出来ないんだけれど。つまりは盛りまくって止まらない晴が、同じ男として明良が晴を抱きたいとなったらどうするかと考えていると思ってた訳だ。
「えー、明良の方なの?意外。」
「そうか?」
目が見えないから宏太はそうだろうが、明良の見た目を知っている了の言い分も分からなくない。何しろ晴だって時々明良の方が可愛いなんて思っている訳で、いやノロケは兎も角だ、意見を聞きたいのに宏太は知るかの一点張りで知りたきゃ明良に聞けだ。了の方も苦笑いで明良に聞くべきだと同調するし、聞けるもんならとっくに聞いてるんだよと晴が怒りたかったのはここだけの話だ。
※※※
結城晴は列記とした男で、気がつくと大概誰かの視線を集めている存在なのだ。
元々同期の中でも結城晴は、別格だった。入社式で既にそれは明らかで見た目はダントツでいいし、一人頭ひとつ抜き出ていたのは課の違う明良だって知っている。何しろ晴は指導係の成田に教え込まれて、仕事の上でもメキメキ頭角を現していたのだ。
有象無象の中に埋もれない目立つ存在。最初の認識はそんな感じで、でも明良には接点がないから気にもとめていない。それでも仕事は出来るし見た目もよくて人気は高い、一時期なんか彼女と別れたからチャンスなんて噂が密かにたっていた位だ。
その結城晴が突然仕事を辞めるとなって、しかも通常の手続きも踏まずに解雇に近い形で辞めたのには誰もが驚いた。高橋に暴言をはいて出社拒否したなんて噂話だったが、大部分は高橋が仕事が出来ないのを全部押し付けられて嫌になってキレたんだと皆が話していたのだ。
そんなことで折角のキャリアを捨てるってのはどうなのかなぁ
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まあ相手にもよるし。
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明良は気がつくと目が晴を追っていて街の中にいても一番最初に晴を見つけられるし、晴が何よりも可愛く輝いて見える。
ほら、あそこで少し考え事をして、俯き加減で立っている晴。本当に今日も可愛い。
ラフな服装だからだけど、夏場のせいで少し体のラインが見えすぎ。首もとはキスマークがばれるから少し襟のある服を着ているけど、手足はしなやかだし華奢でスタイルもいいし。栗色っぽく光を透けさせる髪も柔らかくて直ぐに撫でたくなる。睫毛も長くて、柔らかな唇だって指で撫でるだけで甘く開いて、可愛い吐息を溢す。女の視線もあれだが、男だって自分のように見ていないか心配になるのだと教えたら、晴はあきれるのではないだろうか。でも本当に晴は凄く可愛くて、明良としては何処かに大事に閉じ込めてしまいたい。
「晴。」
声をかけると気がついたように明良を見て、晴は嬉しそうにはにかんで微笑む。なんて可愛すぎる。その満点の花のような笑顔に引き寄せられる視線が振り返っていくのに、可愛い晴は俺のだから見るなと言いたい。
こんなに誰かを可愛いなんて感じるなんて信じられない
それほど明良には晴が可愛いし、直ぐに人目なんか気にせず抱き締めたいしキスしたい、抱きたい。こんな獣みたいな欲求が自分の中に存在しているなんて、明良自身にも信じられないことだった。
「待った?」
「んん、今来たとこ。」
そう言って嬉しそうに微笑む晴は本当に可愛い。可愛すぎて困るくらいに晴は可愛いのだ。一緒に並んで歩くとオズオズと手を繋いできたり、明良が頭を撫でるのが好きでワクワクしながら待ってる顔なんか特に可愛い。ただでさえ可愛いのにベットの中の晴の可愛さは破壊力抜群で、真っ赤になって震えて泣く姿なんて
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「ん?何?写真?」
「あ、いや、独り言。」
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了さんにここ、触られてる?舐めたりされてる?
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「晴、聞いていい?」
頬を染めてハフンと甘い吐息を溢す晴が、蕩けた瞳で明良のことを何?と見上げる。本当に男同士の経験があるのかなと疑問に感じるけど、明良の方だって男同士は初体験だからよく分からない。それにそれを何度聞いても、晴はそんなの言えないなんて可愛く真っ赤になるだけなのだ。
「気持ちいいの好き?」
「す、きぃ……。」
蕩けてホヤンとした甘い声。射精してしまってヒクヒクしている陰茎は淫らで足を広げられても抵抗も出来なくて、こんな風に了の前でも蕩けていたのかと考えると実は密かに明良はイラッとしてしまったりする。それを素直に表現するには明良はまだ晴のことを知らなすぎて、手探りでもっと晴のことを引き寄せようと必死なのだ。
「こんなに、可愛いの、他の人にも?」
「そんな……意地悪、言うなっ、てぇ……ない、ないからぁ…………。」
「ふふ、でも晴、意地悪、好きでしょ?気持ちいいの好きで、他の人にもこんなに甘えるの?」
ペロッと耳朶を舐めながら囁き誤魔化しているけど、そうじゃなくて本気で知りたいだけ。自分だけと思いたいけど他に経験があると知っているし、晴が余り了との関係を明良には話したがらないから知りたくて意地悪な質問を繰り返してしまう。晴が半べそになりながらウルウルした瞳で明良のことを見上げて、我慢しきれなくてフニャァと泣き出す。
「そんなの、知らないよぉ…………おれ、こんなの、ほんとに、初めてなんだってばぁ……。」
「嘘。気持ちいいの、好きでしょ?」
泣いている晴の可愛い乳首を舐めながら明良が言うと、晴がそうじゃないと頭を振りながら喘ぐ。一体何が初めてなんだろうと考えながら明良は、キュッと摘まんだピンクの乳首の先端だけを舐め回し晴の反応を見つめている。
「だ、って、おれ、今まで、たっくさんっ、あっ、下準備、してて。」
下準備?と聞くと晴は乳首だけでヒクヒクと体を痙攣させて、触れてもいない陰茎の先からトロリと蜜を吹き出してしまう。そうして真っ赤になって泣きながら、必死に訴えてくる。
「じゅ、んびしないで、かんじ、るなんて、知らないっ、こんな、の知らないよぉ。」
「それって……俺だけこうなるって、こと?」
「そ、うだからぁ、あっ、ああっ!あきらぁ、いじわる、ぅ。」
乳首に向かって話す吐息を吹き掛けられるのに晴はビクンッと仰け反って、瞬間的に足を閉じようとするみたいに明良の体をギュウッと挟み込んだ。準備してって男同士に何がどれくらい準備が必要なのか。少しはネットで調べたけど腸の洗浄とか何か生々しいのはあったけど、晴がそれをしてるのは見たことがない。恐らくは待ち合わせて会う前にしてくれていることも沢山あるのだろうけれど
「晴、準備ってどういうこと?ほら、言ってごらん?」
「も、やぁ……ぅ……うう、…………ジェルとか沢山……。」
フニャァと泣きながら晴は男同士でするのには沢山ジェルとかオイルとかで滑りを良くして、沢山ほぐしてなんて恥ずかしそうに言う。でもそんなこと殆ど明良とはしてなくて、そういわれるとジェルは少し使うけどと今更気がついてしまった。もしかして辛い思いしながらセックスしてたりする?でも晴を見てると、そうとは思えないし。しかも晴はヤッパリ自分には抱かれてるだけだけど、了とは半々くらいで、実は抱いてもいたのだと終には泣きながら白状させられている。
「俺との時は準備しなくても気持ちいいの?晴。抱かれるので満足?」
「あ、きらの、意地悪ぅ、そんな、もぅ言わせんなよぉ…………ばかぁ。」
何それ滅茶苦茶に可愛い、勘違いじゃないよね?晴には明良だけ。明良が初めてこんなに乱れて欲しくなる相手で、しかも抱かれるので精一杯で。これ以上気持ちいいことされたら、おかしくなるなんて可愛いことを甘い声で言うのだ。しかもそんなこと言いながら必死に甘い吐息で抱きついて腰をスリスリと擦り寄せて、明良を頂戴なんて熱烈にお強請りする晴が可愛くて仕方がない。
「あき、らぁ、も、むりぃ、がまん、むり。」
ファと吐息を荒くしながら強請る晴にキスして、明良がすかさず覆い被さったのは言うまでもない。
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「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
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