鮮明な月

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間章 ちょっと合間の話2

間話7.勘違い……じゃなくて

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ゴリゴリのSMは勘弁して、せめてソフトSMからなんて、何時だか夢の中で考えたのは確かだけど、何でこんなに意地悪されてイカされまくってるの?と晴は混乱しながら声をあげていた。手首は一旦外して貰えたと思ったら今度は前で縛られて、しかもそのまま頭上にくくりつけられてしまっている。明良ってSM好きなの?って呆気にとられて問いかけたら、こんなのはしたことないよと本気で明良は言う。ならなんで拘束?

「だって、晴、逃げそうだし。」
「に、にげ?」
「仕事だって逃げようとしたでしょ。」

いや、ちょっと待って?そう言えば何で明良は、晴が仕事が終わったと知っていたんだろう。大体にして在宅で書類をすることもある晴が、今日は外崎邸にいると何で知ってたんだろうと晴も今更ながら我に帰る。何でと再び問いかけると、明良はだって聞いてあるしと当然のように口にしたのだ。知っていて当然何しろ狭山明良は外崎宏太に直談判で、既に晴の動向を事前に聞き出してあった。

「しゃ、しゃちょうから?!何でぇ?!」
「だって、晴、俺に連絡先も教えてくれてないから。」

えええ?!何それって言うと、だって晴と話したくてと明良は言うのだ。つまり明良は今日晴が仕事が一段落するのも知っていたし、しかも晴が明日急遽休みなのもとっくに知っている。何しろ宏太が全部教えてくれているから。え?これってある意味ストーキング?!っていうか、勝手に何してくれちゃってんの?外崎宏太!!と顔に出たらしく、明良がごめんなさいと大型犬のようにショボンとしょぼくれた顔をする。

「だって……晴と会いたかったんだ。凄く晴と会いたくて……晴のことしか考えられなくて……。」

うう、それ狡い、可愛いし、明良にそんな風に言われたら、仕方ないなぁってなるじゃないか。そう考えてヤッパリ、ストーキングは相手の感覚次第なんだと晴は染々実感してしまう。好きな相手にこんな風に自分に恋い焦がれてたと言われて、嫌な気分になる筈がない。だけど、それにしてもなんで手首を括るの?拘束されてるの?

「…………晴、少し意地悪くされるの好きでしょ?」
「ええ?!なんで?どこからそんな話なの?」
「だって、ほら、もう可愛いここ、カチカチにして。」
「ひぁんっ!」

拘束されたままの股間を明良の指先が、羽根のようにソッと撫でる。ただそっとなぞられ思わぬ声をあげてしまって、晴は思わず顔を真っ赤にしてしまっていた。それを明良は微笑みながら、ユルユルと布越しに晴の濡れ始めた先端を指先で円を描くように虐め始めている。うそうそと必死に冷静を保とうとしても、もう遅くて下着越しの明良の指の動きに、ハフッと甘い吐息が溢れ晴の腰がカクカクと震え始めていく。

うそ、やだ、気持ちいい。

思っていたような緊縛・吊るして・鞭!みたいなSMと違って、何も痛くないし苦しくもない。こんな風に緩く拘束されて下着越しに亀頭を指でなぞられ、それをただ明良に見られているのに何でか酷く興奮してしまう。ジクジク濡れていく晴の下着を、明良が見て触れているのが尚いっそう恥ずかしいし気持ちいい。

「こんなに……濡らしてる……。」
「あ、やだぁ……言わないで……。」
「恥ずかしいの、好きなんだね?ホントにそうなんだ……。これ、好き?好きって言ってみて。」
「う、………………あき、らぁ……。」

言わせないでと懇願すると余計に指が強く弱く、晴の逸物の先端を刺激して腰が溶けてしまいそうに気持ちよくなる。恥ずかしいのに明良にされるのが凄く気持ちよくて堪えきれずに下着の中で吹き出してしまって、晴は尚更真っ赤になって俯いた。先端をユルユル撫でられて視姦されて、あっという間にいってしまったのだ。

「これだけでいっちゃったの?晴。」

クイッと下着を指にかけられ射精でベトつく布地が引き剥がされ足から抜き取られるのを、羞恥心で震えながら見つめる晴に明良が興奮に喉をならしている。こんなに可愛くて仕方がない晴が泣きそうになりながら、自分の手で気持ちよくなるのに明良が興奮しないわけがなかった。

「あっ、嘘っやっ!やぁっ!やらぁっいくっ!いっちゃうぅ!」

そこから明良に方々を擦られ吸われて揉まれ触られる。その全てが快感にネットリと飲み込まれ、絶頂感にガクガクとまた腰が震えてしまう。同性は初めてということもあって明良は探求心旺盛に様々に優しく丁寧に試し尽くして、あっという間に晴を何度も陥落させていた。それはもう以前に責め立てられた了の時の比ではなくて、もう完全に何か歯車が噛み合ってしまって相性どころの話ではない。ファンタジーでいいなら運命の相手とか番とか言ってしまいそうなほどに、あっという間に晴はメロメロにされているのだ。

「あっ、ああっや、あきらぁ!そこ、やだぁあ!」
「可愛い……晴。本当感じやすいんだね?」

明良だって男だから性的な知識が全くない訳じゃないし、これまで女性との経験だって一応それなりに有るわけだ。それに昨今の知識として男同士が睦あうのに、何処で何をどうするか位は当然に知識としては理解しているし相手の晴は受け身の経験もある。それでも体の何処に触れても初めてエッチで気持ちよくなる子みたいに肌を薔薇色にして、ガクガクと震えながら感じてしまう晴には明良の方も実は驚いてもいた。

「ちが、う、こんなの、…うそぉっ」
「何が嘘?晴は何時もこんなに感じちゃうのかなぁ……。」
「ちが、そんな、の、ちが。」

半べそで違うと否定する姿も、幾ら感じやすいにしても身悶えヒクヒクと震える姿も、晴は何でこんなに可愛すぎるんだろうと考えると明良だって歯止めが効かない。何しろ高橋の怒張には吐き気を催したのに、目の前の紅色の先端を膨らませる晴の陰茎はツルンと可愛くて、存分に舐め回したくなるし吸い上げて食べてしまいたくなる。迷いもなく口に含めば晴は可愛い声でピイピイと泣きながら、カクカクと快感に激しく腰を震わせ可愛くてしかたがない。

「………あ、あき、らぁ、すぅ、の、やだぁっ!」
「ん、……んん、んちゅ……。」

深く根本まで咥えて吸い上げながら喉で締めてやると、足をピンッと突っ張らせて腰が前後に跳ね強張り薄く水のような精液が喉にトプリと溢れた。既に何度もいかされてしまった晴の射精は、もう水みたいになって量も殆どないのに、甘い蜜みたいに感じて明良はそのまま飲み干してしまう。

「ふぇ…………も、やぁ……、も、いくの、むりぃ…………。」

薔薇色に肌を上気させ蕩けてハアハアと吐息を溢しながら、弛緩している晴の姿がとてつもなく色っぽくて可愛い。濡れて何度も吸われた乳首や陰茎も真っ赤に腫れて、ヒクンヒクンと僅かにひくつき揺れるのも凄く淫らで可愛いしもっと泣かせたくなる。何でこんなに自分が盛ってるのか明良にも分からないけれど、震えていきまくっている可愛い晴を他の男が見ていたと思うと急に無性に腹が立った。
激しい独占欲に晴を全部自分のものに手に入れたい。意地悪く責め立てて喘ぎ泣きながら自分がいいと叫ばせたいと、何故か今まで感じたことのない感情に飲まれる。晴が好きだと答えてくれたから、もう全部自分のモノにしたいし晴が欲しい。

「晴、晴は俺に女の子にされるの嫌?」
「ふ、ぇ?あき、らぁ?オンナ、ノコ?」

もうイキ過ぎて朦朧としている晴が、トロンと潤んだ瞳で見上げてくる。今すぐ抱きたい、晴の中に入れたい、晴の中でいきたい、そんな獣めいた欲望で自分がギラギラしているのは分かっている。もう我慢の限界で明良は、ドロドロに濡れそぼった晴の股間を曝すように足を大きく広げさせた。何度もいかされた晴の体は弛緩していて、まるで抵抗らしい抵抗もできない。

「あ、きらぁ?」

可愛い甘えるような声で、明良を呼ぶ晴の声。ヒクヒクしている菊門に自分にもついている陰茎、それを目にしてもまるで萎えることもなく明良の逸物もガチガチに反り返ったままだ。硬く熱い怒張をひくつく孔に押し当てると、やっと晴はこれから自分が何をされようとしているか気がついた。

「あきらぁ……おれぇ……。」
「ごめん、もう我慢できない。」

グプンとキツいそこに亀頭を捩じ込まれた瞬間に、晴が仰け反り悲鳴に似た声をあげている。そのまま一気に深々と根本まで捩じ込んでしまった後は、もう何もハッキリしないほどに明良はガムシャラに晴の体を奥の奥まで全て味わい尽くしていた。ガツガツと奥まで突きこみ、奥深くに嵌まった感触があったと思ったら、晴は全身を痙攣させて射精も無しに何度も絶頂に咽び泣き出している。
可愛くて色っぽくて、そのまま奥に注ぎ込むと甘く喘いで。

まさかのソフトSM。しかも表立っては普通の会社員で大人しそうで一見すると気弱そうにすら見える狭山明良がまさかのS・サディストときて、結城晴の方がM。それは兎も角何でまたこんなに触れられるだけで、ヘロヘロになるくらい感じてしまうのか。なんだか明良に触られると自分と明良の境界線がなくなってしまうみたいに、心地好くて仕方がないのはどうやら波長が凄くあうということらしい。

「ふふ、ロマンチストだね、晴。」
「そ、かな?でもホントに…………、明良に触られるの、違う。」

掠れた声で晴がそう言うと明良は頬を染めながらはにかむように微笑み、一緒にいる晴の事を抱き寄せて俺もそうだよと囁いていた。



※※※



「ありがたいとこはあるけどさぁ?しゃちょー……何話したの?」

仕事場でギシギシする体を感じながらそう問いかける晴は流石に今日も休もうかと思うほどに満身創痍だったのだが、そこがどうにも気になって仕方がない。それにしたって恋のキューピッドが、鬼畜で変態呼ばわりされているストーカーな外崎宏太っていうのもどうなんだろうか。
明良がどうしても晴ともう一度会いたくて、宏太に直接会い話をしたのは理解した。そういう意味ではこのまま何もなかったことにして忘れようとした晴より、明良の方が行動力も決断力もあって男らしいとは思う。そういうとこが良いじゃないかという宏太が明良を気に入ったのは理解したが、

「俺の、仕事の状況は兎も角だよ?なんか言ったでしょ?」 
「あ?別に何も言ってねぇ。」
「嘘つけよ!」

明良は晴を快楽で責め立てている最中に、恥ずかしいのが好きなんだと納得した言葉を溢していた。ただ明良のその後に続いた『ホントにそうなんだ。』という言葉が、引っ掛かっているところがある。あの言葉って何か聞いていて、本当にそうなんだと納得した言葉に聞こえる。と言うことはそれに類似する情報を何処かから耳にしていたということにはならないだろうか。確かに明良は酔っていた時もちょっと意地悪だったけど、完全に明良がソフトSMの性質なのかと思うと疑問もある。

「別に何も嘘は言ってねぇぞ?ん?」
「過大に話を盛られるのもこまんだけど?」
「盛るも何も、仕事は上がるってのと、頼まれたから翌日休みにしてやっただけだろ。」
「へ?」

どうも噛み合わない。

「……お前、勘違いしてねぇか?お前の性癖は俺は知らねえぞ?大体にして俺はお前とやる気なんかねぇし。」

そういわれればごもっとも。外崎宏太は確かに元SMの調教師だが、現在は了一筋で結城晴は日々間男扱いな訳で一度として相手として見られたことはない。そんな宏太が幾ら気にいったからって明良に、晴とするならこれに弱いなんて教えられるはずもなくて……

「あ、それ俺が教えといた。」
「は、はぁ?!了う?!」
「だって、お前ほっとくと暴走して大変なんだもん。先手打って抑えとかないと。」

呑気にそんなことを言いながら、何時ものようにミルクティを置く了の姿に唖然とする。確かに了と初めてしてから晴は資料庫とか屋上で獣のように盛ったし、そこに連れ込んだのは全部晴のほうで一度として了から連れ込まれたことがない。それを言われると晴としては返す言葉もないのだが、それにしたって了までそんなことを明良に教えるなんて酷い。

「でも、それで上手く行ったんだろ?明良と。」
「お、俺SM好きじゃないってば!了ぅ!」
「うっそ!お前露出とかスリル強いこと大好きだし。」

平然と言われた言葉に晴が絶句していると、宏太が腹を抱えて笑いだした。何がツボに入ったんだと思ったら今度明良に赤の麻縄プレゼント送ろうかだの、この間の話を蒸し返されたのに気がつく。いやそれは夢の話でやりたい訳じゃないし!!っていうか、なんで全部俺がされることになってるわけ?!そういうのどう考えても明良の方が似合いそうじゃん。勘違いしないでよっ!!そう叫んだけど。
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