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間章 ちょっと合間の話2
間話6.勘違いすんな
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あの時互いにあっという間に快感に射精して、達した後ヘニャヘニャと脱力して気を失った晴に明良は呆然と自分がしたことを見つめた。男同士でガチガチに勃起した逸物を握りあわせて兜あわせまでして、晴と一緒に射精していた自分が信じられない。しかも驚くことに晴が可愛いばかりで不快感がなくて、明良には寝落ちている晴の薔薇色になった頬も可愛くてしかたがなかった。思わず覆い被さって唇を奪うが、唇は柔らかくて甘くて尚更離したくない。
何?これっ。あれ?俺なにやってんの?
自分はヘテロセクシャルで、高橋至に悪戯されて酷い目にあった被害者だった筈。その自分がなんで酒に酔った程度で、晴にこんな自分がされたの並みの悪戯をしてるんだろう。晴はあっという間に可愛い声で達して崩れ落ち明良の腕の中でスウスウ眠り出していて、その寝顔に何でかムラムラと再び欲求が頭をもたげてくる。
晴が可愛くて可愛くて仕方がない。
自分のものにしたくて、つい悪戯してしまったけれど、ここまで触れさせてくれたら、もしかしたら晴の中にも少しは自分をいいかなと思ってくれてはいないだろうか。それなら二人はお付き合いを始めるなんてこともあるのかも。あれ?何でお付き合い?いや兎も角少し冷静になろうか?自分。
一人悶々とそんなことを考えながら丁寧に晴の体も自分の体も綺麗に拭っておいて、明日の朝起きたらちゃんと晴と話そうと心に違って明良はもう一度いい匂いのする晴の体を抱き締めて眠りに落ちた。温かくて子供みたいな体温で心地好くて、あっという間に明良は眠りに落ちて。それなのに不意に冷たい風が吹き込んだ気がして、目が覚めると窓から朝日が差し込んでいて腕の中は空っぽ。
どうして……?
晴は既に部屋の中の何処にも居なかった。まるで最初からここには居なかったみたいに綺麗に姿を消されて、明良は正直酷く傷ついてしまったのだ。自分を受け入れて許してくれたから晴は触らせてくれたのであって、少しは好きだと思ってくれていると考えていた。だから、きっと朝まで腕の中でスウスウ眠っている筈だなんて勝手に考えていたけど、晴は目が覚めたらベットの中に体温すら残してくれない。
…………なにか事情があったかも……
例えば仕事に呼ばれたとか。晴は今は自由業な面もあるからと必死に良い方に考えてみたけれど、それなら晴はメモくらい残してくれそうだし、それに付随して明良は晴の連絡先も教えて貰えてないのに気がつく。しかも、あの後晴との唯一の接点である外崎了は熱を出してしまったということで、そのまま研修期間には来ないまま終わりそうだと社内で噂になった。本当は必要なことが終わったからもう来る必要がないんだと知っているのは、会社の中では狭山明良だけなのだ。
高橋の下半身丸出しは、綺麗になって・遥かに偉くなった成田了を嫉妬して襲ったんじゃないか
了が来なくなったのも相まってそんな噂になった当たり、実は高橋の性癖は陰では結構有名だったのかもしれないと気がついた。当の高橋至は謹慎中になっているが元の部所にはもう戻れないだろうし、少なくとも今まで通り会社に顔を出すのも無理な話だと思う。しかもあの後匿名のセクハラ被害報告が山のように人事課に提出されていて、誰しも仲間がいるならと高橋の悪事を暴露に走っているようなのだ。自分はその中に入っていないが実は他にも男にも手を出してたみたいで、正直節操ないなと明良は思う。
でもそれを聞いた時一番に考えたのは、晴は違うと言っていたけど本当のところはどうなんだろうかと言うことだった。もしも本当は晴もそうだったのだとして、それであの朝明良のことが怖くなって逃げてしまったのだとしたらと考えると明良はただ胸が痛くて辛くて仕方がない。
なんで……こんな風に感じてるんだろう。
そうして考えるのは、寝ても覚めても晴の事ばかりだった。
初めて結城晴を見たのは新入社員の時で、随分暢気そうで元気な奴なんだなと思った。でも自分とは全く方向性の違う外交的なベクトルで生きる晴に、羨望はあっても明良ではそうなれないのはわかっている。分かっているから自分は自分らしい道を進むだけだと、基本的には視界には入れないようにしてきた。同じ部所になっても殆ど一緒になることもない内に晴はアッサリと会社から去ってしまったし、それで二人の関係は終了だった筈だ。それなのにここに来て偶々接した途端に、明良の頭は晴の事で一杯になってしまった。
晴は今どうしてるかな…………。
仕事をしながら、気がつくとそんなことを考えてしまう。気がつくとヘニャと可愛く笑って頭を撫でてと強請る晴の事を思い浮かべているし、夜だって気がつくと可愛い声で喘いで身悶えた晴の姿を思い浮かべて自慰なんかしている。駄目だろと自分で叱責してみても、まるでその気持ちが落ち着かないのに明良は頭を抱えてしまう。
何でだ……これじゃまるで恋してるみたいじゃないか。
寝ても覚めても晴のことしか考えられなくなって、気がつくと晴の事を探してしまう。晴が会いに来てくれないかと願ってしまうし、街中で似た背格好の青年を見ると思わず駆け寄りたくなる。そんな状況で晴が何で逃げてしまったのか、問いかけることもできないままでジリジリと待ち続けるのは明良には到底無理だった。この容姿でおっとりしていると思われ勝ちの明良だが、実際には案外短気だし行動的でもあるから迷わず仕事帰りに外崎の家に足を向けたのだ。
※※※
「何で……朝居なかったの?晴。俺、話したいことがあったんだよ。晴あの時いっちゃって直ぐ寝ちゃったでしょ?だから、俺、朝まで待ったのに。」
問い詰めるような明良の真っ直ぐな視線に、晴は困惑した顔で肩越しの上目遣いに明良を見つめる。一体何が起きているのか分からないと言っている瞳に、明良は馬乗りになったまま更に背中に覆い被さっていく。慌てたように晴がそれを必死に肩で押し退けようとするのに、明良はムッとしたようで突然晴の体をベットに押し付けると晴の手首を取った。かと思うとあっという間にさっき抜き取った筈のネクタイで手首を後ろ手に縛られて晴はベットに転がされ、しかも背中や項を舐めたり口付けたりしてくるのだ。チュチュと音を立てる唇と、体に触れる体温、肌をなぞる指先の動き。
嘘、嘘っ!
ジュンジュンと股間が熱く痺れて、肌が粟立って気持ちよくなってしまう。こんな風に気持ちよくなる事ってあるの?と戸惑ってしまう程あっという間に気持ちよくなって、まるで心地好くて溺れてしまいそうだ。しかも何か特別な行動な訳でもない、ただ肌をくっつけられて撫でられて体温を味わうだけ。
こんなの嘘でしょ、相性とか?ヤバいでしょ!気持ちいいっ
テクニシャンとかそんなんじゃなくて、ただ明良だから気持ちよくて、それに晴は戸惑いながらストップと何回も明良に懇願する。
「お願い!あき、らっ!ストップ!だめっ!落ち着いてっ!」
「何で?気持ちよくなったよね?この間。」
「あれはっ」
「晴、俺の質問に答えてない。」
チュと耳朶の後ろにキスされると、骨に音が響いて腰がジィンと痺れてしまう。逃げようにも手首を縛られ足に跨がられては、どうみても腹這いで尻を突き上げている淫らな姿にしか見えない。制止しても明良の行動が収まる気配もなくて、腰の当たりをスルスルと撫で回されると指の感触が気持ちよくて突き上げた腰がガクガクしてしまう。自分にも何が起きてるかまるで分からないけど、晴には明良の指や唇の感触が気持ちよくて仕方がない。
「な、んで、こんな、ことすんのぉ?!あき、らっ!」
「何でって…………晴が…………。」
ふっと腰を撫でて晴を泣かせていた指が止まる。感情的になって滅茶苦茶に突き進みかけていたのに気がついた明良が、軽々と晴を抱き上げ躊躇うよう晴の耳元に囁きかけた。思っていたよりずっと明良は力も筋肉もあって簡単に膝に抱き上げられる形に正直唖然としながら、明良が何でこんなことしているのか晴は息を飲んでしまう。
「……晴、俺、晴のことが好き。あれから、ずっと晴の事ばっか考えて……、晴は?俺が嫌い?」
そう言いながらチュと耳朶に口付けられて、晴はその言葉に意表をつかれ思わず真っ赤になって身を縮めてしまう。気がつけば晴の方だってあんなに了のことが好きだった筈なのに、あの後ずっと明良のことばかり考えていて明良に嫌われたくないとばかり考えてしまっていた。だから晴はこれでもう二度と会わないと仕事を終えて安堵した筈なのに、さっき腕を捕られて振り返った視線の中に明良がいたのが凄く嬉しかったのに気がついてしまっている。明良に二度と会わないと決めたのに、明良から会いに来て、しかも自分を捕まえて晴にはそれが凄く嬉しかった。
「晴、……俺が嫌い?」
優しく低く耳元で囁かれるのに思わず真っ赤な顔のまま反射的に晴はプルプルと、明良の膝の上で首を横に振ってしまっていた。嫌な筈ないし明良に嫌われるのが嫌だから、もう会わなくて良い方法を選んだのだ。言い換えてしまえば好きだから嫌われたくない、だからこれ以上踏み込むのが怖かった。了や社長のような立場なら簡単にこれは口に出せるけど、明良は普通の会社員で同性愛でもないから簡単には言えない。良い奴だなが実は好きだなで、でも相手がノーマルと分かっていたら、流石の晴だって以前榊恭平に話したけど簡単に付き合おうと言えるわけがないのだ。
「晴、どう思ってるか言って。」
「……す、………………す、……き。」
晴には必死で逆上せてしまいそうなくらい、その言葉はドキドキするし恥ずかしい。昔女の子に告白した時より遥かに緊張して恥ずかしくて、破裂してしまいそうに胸が高鳴っている。それを抱き締めている明良は腕から感じ取ったみたいに、明良はギュウッと強く更に腕を絡めた。
「晴、好きだよ。……俺と付き合って。」
こんな風に言うなんて明良って思ってたのと違ってヤッパリ男らしいんだと思ってしまうけれども、お膝の上で付き合ってと言われている晴はまごうことなく同じ年の男な訳で。確かに晴の方は了以外とも少し経験もあるし何がどうすれば男同士でも気持ち良くなれるか知ってるし、でも付き合うってことは明良のこの気持ちいい指とかで気持ちよくされられちゃう訳だから、いやいや、そこを考える以前に明良は男と付き合った経験もないのを考えるべきで。
「晴。」
実はかなりパニックになっている晴なのだが、優しく強請る明良の声にヒクンと体が反応してしまう。強請る声と肌に感じる視線に、晴はこれどうしようと戸惑いながら肩越しに明良を見つめる。でも肩越しの明良は怯むこともなく真っ直ぐに晴の事を覗きこんできて答えてとその瞳で訴えかけてくるのに、晴は目を惹き寄せられていてポォッと頬を染めてしまう。
「俺…………で、いいの?……明良は。」
戸惑いながら聞いてくる晴はとんでもなく可愛くて、小動物みたいに少し怯えているようにも見える。可愛くて襲いかかってしまいそうな欲情を体の中にジワジワ感じながら明良は、どうしよう可愛すぎると考えている自分に気がつく。
「晴がいいんだ、晴の事ばっかりあれからずっと考えてるよ、俺。」
思っている通りを言いながら、明良は晴の細い肩越しに唇を奪う。柔らかくて甘い唇を明良に塞がれた晴は、尚更真っ赤になって恥ずかしそうに俯いてしまっていた。そうしてにこやかに微笑みかけられて晴は端と、まだ手首を拘束されたままだったのに気がつく。
「明良……、これ、もういいでしょ?外して。」
「え?駄目。」
ニッコリと微笑まれて晴はえ?何でと明良の顔を見つめてしまう。あれ?この流れなら、手首の拘束は外してくれても構わないんじゃ?そう考えた晴に、明良はにこやかに微笑んだまま口付けて今度はコロリと天井に向けて押し倒す。
「あ、明良?」
「だって、晴、何で逃げたのか答えてくれてないよ?それに、ちょっと意地悪にされるの好きだよね?」
「ええ?!何それ?!」
安心して一杯気持ちよくしてあげるからと微笑みかけられて、しかも男相手はしたことが…………恋人相手には確かにしてなかったけど、変態禿げ中年に男同士がどういうことをすると気持ちいいのかは教えられていたんだった。それに気がついた時には再び気持ちいい指先に晴の体は探り出されて、あっという間に快感に火がつけられ始めている。
「やっんっ!あ、きら!ストップっ!うぅっーっ!」
「ここ、から、触ったとこは全部俺のね?晴。」
少し意地悪く低く甘く耳に囁く声に、ヤバい!これ、俺にはクリティカル!と晴は心の中で叫んでいたのだった。
何?これっ。あれ?俺なにやってんの?
自分はヘテロセクシャルで、高橋至に悪戯されて酷い目にあった被害者だった筈。その自分がなんで酒に酔った程度で、晴にこんな自分がされたの並みの悪戯をしてるんだろう。晴はあっという間に可愛い声で達して崩れ落ち明良の腕の中でスウスウ眠り出していて、その寝顔に何でかムラムラと再び欲求が頭をもたげてくる。
晴が可愛くて可愛くて仕方がない。
自分のものにしたくて、つい悪戯してしまったけれど、ここまで触れさせてくれたら、もしかしたら晴の中にも少しは自分をいいかなと思ってくれてはいないだろうか。それなら二人はお付き合いを始めるなんてこともあるのかも。あれ?何でお付き合い?いや兎も角少し冷静になろうか?自分。
一人悶々とそんなことを考えながら丁寧に晴の体も自分の体も綺麗に拭っておいて、明日の朝起きたらちゃんと晴と話そうと心に違って明良はもう一度いい匂いのする晴の体を抱き締めて眠りに落ちた。温かくて子供みたいな体温で心地好くて、あっという間に明良は眠りに落ちて。それなのに不意に冷たい風が吹き込んだ気がして、目が覚めると窓から朝日が差し込んでいて腕の中は空っぽ。
どうして……?
晴は既に部屋の中の何処にも居なかった。まるで最初からここには居なかったみたいに綺麗に姿を消されて、明良は正直酷く傷ついてしまったのだ。自分を受け入れて許してくれたから晴は触らせてくれたのであって、少しは好きだと思ってくれていると考えていた。だから、きっと朝まで腕の中でスウスウ眠っている筈だなんて勝手に考えていたけど、晴は目が覚めたらベットの中に体温すら残してくれない。
…………なにか事情があったかも……
例えば仕事に呼ばれたとか。晴は今は自由業な面もあるからと必死に良い方に考えてみたけれど、それなら晴はメモくらい残してくれそうだし、それに付随して明良は晴の連絡先も教えて貰えてないのに気がつく。しかも、あの後晴との唯一の接点である外崎了は熱を出してしまったということで、そのまま研修期間には来ないまま終わりそうだと社内で噂になった。本当は必要なことが終わったからもう来る必要がないんだと知っているのは、会社の中では狭山明良だけなのだ。
高橋の下半身丸出しは、綺麗になって・遥かに偉くなった成田了を嫉妬して襲ったんじゃないか
了が来なくなったのも相まってそんな噂になった当たり、実は高橋の性癖は陰では結構有名だったのかもしれないと気がついた。当の高橋至は謹慎中になっているが元の部所にはもう戻れないだろうし、少なくとも今まで通り会社に顔を出すのも無理な話だと思う。しかもあの後匿名のセクハラ被害報告が山のように人事課に提出されていて、誰しも仲間がいるならと高橋の悪事を暴露に走っているようなのだ。自分はその中に入っていないが実は他にも男にも手を出してたみたいで、正直節操ないなと明良は思う。
でもそれを聞いた時一番に考えたのは、晴は違うと言っていたけど本当のところはどうなんだろうかと言うことだった。もしも本当は晴もそうだったのだとして、それであの朝明良のことが怖くなって逃げてしまったのだとしたらと考えると明良はただ胸が痛くて辛くて仕方がない。
なんで……こんな風に感じてるんだろう。
そうして考えるのは、寝ても覚めても晴の事ばかりだった。
初めて結城晴を見たのは新入社員の時で、随分暢気そうで元気な奴なんだなと思った。でも自分とは全く方向性の違う外交的なベクトルで生きる晴に、羨望はあっても明良ではそうなれないのはわかっている。分かっているから自分は自分らしい道を進むだけだと、基本的には視界には入れないようにしてきた。同じ部所になっても殆ど一緒になることもない内に晴はアッサリと会社から去ってしまったし、それで二人の関係は終了だった筈だ。それなのにここに来て偶々接した途端に、明良の頭は晴の事で一杯になってしまった。
晴は今どうしてるかな…………。
仕事をしながら、気がつくとそんなことを考えてしまう。気がつくとヘニャと可愛く笑って頭を撫でてと強請る晴の事を思い浮かべているし、夜だって気がつくと可愛い声で喘いで身悶えた晴の姿を思い浮かべて自慰なんかしている。駄目だろと自分で叱責してみても、まるでその気持ちが落ち着かないのに明良は頭を抱えてしまう。
何でだ……これじゃまるで恋してるみたいじゃないか。
寝ても覚めても晴のことしか考えられなくなって、気がつくと晴の事を探してしまう。晴が会いに来てくれないかと願ってしまうし、街中で似た背格好の青年を見ると思わず駆け寄りたくなる。そんな状況で晴が何で逃げてしまったのか、問いかけることもできないままでジリジリと待ち続けるのは明良には到底無理だった。この容姿でおっとりしていると思われ勝ちの明良だが、実際には案外短気だし行動的でもあるから迷わず仕事帰りに外崎の家に足を向けたのだ。
※※※
「何で……朝居なかったの?晴。俺、話したいことがあったんだよ。晴あの時いっちゃって直ぐ寝ちゃったでしょ?だから、俺、朝まで待ったのに。」
問い詰めるような明良の真っ直ぐな視線に、晴は困惑した顔で肩越しの上目遣いに明良を見つめる。一体何が起きているのか分からないと言っている瞳に、明良は馬乗りになったまま更に背中に覆い被さっていく。慌てたように晴がそれを必死に肩で押し退けようとするのに、明良はムッとしたようで突然晴の体をベットに押し付けると晴の手首を取った。かと思うとあっという間にさっき抜き取った筈のネクタイで手首を後ろ手に縛られて晴はベットに転がされ、しかも背中や項を舐めたり口付けたりしてくるのだ。チュチュと音を立てる唇と、体に触れる体温、肌をなぞる指先の動き。
嘘、嘘っ!
ジュンジュンと股間が熱く痺れて、肌が粟立って気持ちよくなってしまう。こんな風に気持ちよくなる事ってあるの?と戸惑ってしまう程あっという間に気持ちよくなって、まるで心地好くて溺れてしまいそうだ。しかも何か特別な行動な訳でもない、ただ肌をくっつけられて撫でられて体温を味わうだけ。
こんなの嘘でしょ、相性とか?ヤバいでしょ!気持ちいいっ
テクニシャンとかそんなんじゃなくて、ただ明良だから気持ちよくて、それに晴は戸惑いながらストップと何回も明良に懇願する。
「お願い!あき、らっ!ストップ!だめっ!落ち着いてっ!」
「何で?気持ちよくなったよね?この間。」
「あれはっ」
「晴、俺の質問に答えてない。」
チュと耳朶の後ろにキスされると、骨に音が響いて腰がジィンと痺れてしまう。逃げようにも手首を縛られ足に跨がられては、どうみても腹這いで尻を突き上げている淫らな姿にしか見えない。制止しても明良の行動が収まる気配もなくて、腰の当たりをスルスルと撫で回されると指の感触が気持ちよくて突き上げた腰がガクガクしてしまう。自分にも何が起きてるかまるで分からないけど、晴には明良の指や唇の感触が気持ちよくて仕方がない。
「な、んで、こんな、ことすんのぉ?!あき、らっ!」
「何でって…………晴が…………。」
ふっと腰を撫でて晴を泣かせていた指が止まる。感情的になって滅茶苦茶に突き進みかけていたのに気がついた明良が、軽々と晴を抱き上げ躊躇うよう晴の耳元に囁きかけた。思っていたよりずっと明良は力も筋肉もあって簡単に膝に抱き上げられる形に正直唖然としながら、明良が何でこんなことしているのか晴は息を飲んでしまう。
「……晴、俺、晴のことが好き。あれから、ずっと晴の事ばっか考えて……、晴は?俺が嫌い?」
そう言いながらチュと耳朶に口付けられて、晴はその言葉に意表をつかれ思わず真っ赤になって身を縮めてしまう。気がつけば晴の方だってあんなに了のことが好きだった筈なのに、あの後ずっと明良のことばかり考えていて明良に嫌われたくないとばかり考えてしまっていた。だから晴はこれでもう二度と会わないと仕事を終えて安堵した筈なのに、さっき腕を捕られて振り返った視線の中に明良がいたのが凄く嬉しかったのに気がついてしまっている。明良に二度と会わないと決めたのに、明良から会いに来て、しかも自分を捕まえて晴にはそれが凄く嬉しかった。
「晴、……俺が嫌い?」
優しく低く耳元で囁かれるのに思わず真っ赤な顔のまま反射的に晴はプルプルと、明良の膝の上で首を横に振ってしまっていた。嫌な筈ないし明良に嫌われるのが嫌だから、もう会わなくて良い方法を選んだのだ。言い換えてしまえば好きだから嫌われたくない、だからこれ以上踏み込むのが怖かった。了や社長のような立場なら簡単にこれは口に出せるけど、明良は普通の会社員で同性愛でもないから簡単には言えない。良い奴だなが実は好きだなで、でも相手がノーマルと分かっていたら、流石の晴だって以前榊恭平に話したけど簡単に付き合おうと言えるわけがないのだ。
「晴、どう思ってるか言って。」
「……す、………………す、……き。」
晴には必死で逆上せてしまいそうなくらい、その言葉はドキドキするし恥ずかしい。昔女の子に告白した時より遥かに緊張して恥ずかしくて、破裂してしまいそうに胸が高鳴っている。それを抱き締めている明良は腕から感じ取ったみたいに、明良はギュウッと強く更に腕を絡めた。
「晴、好きだよ。……俺と付き合って。」
こんな風に言うなんて明良って思ってたのと違ってヤッパリ男らしいんだと思ってしまうけれども、お膝の上で付き合ってと言われている晴はまごうことなく同じ年の男な訳で。確かに晴の方は了以外とも少し経験もあるし何がどうすれば男同士でも気持ち良くなれるか知ってるし、でも付き合うってことは明良のこの気持ちいい指とかで気持ちよくされられちゃう訳だから、いやいや、そこを考える以前に明良は男と付き合った経験もないのを考えるべきで。
「晴。」
実はかなりパニックになっている晴なのだが、優しく強請る明良の声にヒクンと体が反応してしまう。強請る声と肌に感じる視線に、晴はこれどうしようと戸惑いながら肩越しに明良を見つめる。でも肩越しの明良は怯むこともなく真っ直ぐに晴の事を覗きこんできて答えてとその瞳で訴えかけてくるのに、晴は目を惹き寄せられていてポォッと頬を染めてしまう。
「俺…………で、いいの?……明良は。」
戸惑いながら聞いてくる晴はとんでもなく可愛くて、小動物みたいに少し怯えているようにも見える。可愛くて襲いかかってしまいそうな欲情を体の中にジワジワ感じながら明良は、どうしよう可愛すぎると考えている自分に気がつく。
「晴がいいんだ、晴の事ばっかりあれからずっと考えてるよ、俺。」
思っている通りを言いながら、明良は晴の細い肩越しに唇を奪う。柔らかくて甘い唇を明良に塞がれた晴は、尚更真っ赤になって恥ずかしそうに俯いてしまっていた。そうしてにこやかに微笑みかけられて晴は端と、まだ手首を拘束されたままだったのに気がつく。
「明良……、これ、もういいでしょ?外して。」
「え?駄目。」
ニッコリと微笑まれて晴はえ?何でと明良の顔を見つめてしまう。あれ?この流れなら、手首の拘束は外してくれても構わないんじゃ?そう考えた晴に、明良はにこやかに微笑んだまま口付けて今度はコロリと天井に向けて押し倒す。
「あ、明良?」
「だって、晴、何で逃げたのか答えてくれてないよ?それに、ちょっと意地悪にされるの好きだよね?」
「ええ?!何それ?!」
安心して一杯気持ちよくしてあげるからと微笑みかけられて、しかも男相手はしたことが…………恋人相手には確かにしてなかったけど、変態禿げ中年に男同士がどういうことをすると気持ちいいのかは教えられていたんだった。それに気がついた時には再び気持ちいい指先に晴の体は探り出されて、あっという間に快感に火がつけられ始めている。
「やっんっ!あ、きら!ストップっ!うぅっーっ!」
「ここ、から、触ったとこは全部俺のね?晴。」
少し意地悪く低く甘く耳に囁く声に、ヤバい!これ、俺にはクリティカル!と晴は心の中で叫んでいたのだった。
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