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間章 ちょっと合間の話2
間話5.勘違いすんな
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目が覚めたら朝チュン…………。
そんな言葉が頭を過って晴は目が覚めてコソコソと腕の下から抜け出して、脱兎の如く逃げ出した。誰の腕の下からかは言うまでもないが、どうやらベロベロに酔って何でか抱き締められて眠っていたのは事実だ。何しろ服がとんでもなく酒臭いし、こんなに服で臭うということは昨夜は晴は恐ろしいアルコール摂取だったことはわかった。恐らくつい本音を吐いた羞恥心で箍が外れて飲みまくっていたんだと気がついて、自分を蹴り飛ばしたくなる。しかもそれで済ませればよかったのに、何でか酔ってる明良の体温が肌に心地好くて喘いで感じまくって、その上互いのを擦りあって射精したなんて穴があったら入りたい。
しかも超気持ちよくて、そのままイキおちって…………乙女か!俺は。
了に後ろを責められていきまくって、最終的に自分がイキ落ちたことはある。だけど昨夜のあれはセックスどころかオナニーな訳で、乳首は確かに暫くよくされてたけど前立腺も触ってないし激しい腰振りもしてない。ただ覆い被さった明良の熱い吐息を耳元に感じながら、お互いのガチガチの逸物を明良の熱い手で握られ扱きあげられただけ。
嘘っ
何でだと叫びたくなるのは、昨夜の事を考えただけの自分の股間がまた硬く立ち上がりかけていて。それが何でか分かっているからだった。何やってんの俺?!と晴は焦るのに、何でか頭の中では囁くように熱く低く響く明良の声が残っている。
いやいや、おかしいだろ?
狭山明良は同期だけれど今年の四月までは全く接点がなかった。こっちは営業で、向こうは経理。狭山は行く行くは秘書課に移るだろうと同期は皆が言っていたのは、会社の方向性として秘書課に移る前に経理のことを叩き込んでから秘書課に移ると言うのが通例だったからで、四月に晴の部所に移動と聞いた時には皆がポカーンとしたくらいだ。それでも狭山明良は無能だから経理を外されたわけではなく、完璧に経理の仕事は身につけて次のステップという感じだった。
あれってさ、有能すぎて営業もやってから秘書課ってことじゃない?
そう同じチームだった奴から言われて、晴はへぇと感心しながら納得していた。そうか、経理で覚えることがもうないから、営業もやっとけってことなのか、そんな風に眺めていただけだ。だから殆ど接点もないし、あの時は興味もないから明良がどんな人間か気にもしなかった。
それなのにここに来て高橋至の悪事を暴こうとしたら、こんなに急に近づいてしまって、しかもこんなことに陥ってしまっている。狭山明良は言った通り大人しそうな和美人風、どちらかと言えば見た目は了のお友達・榊恭平に近いタイプだ。綺麗な顔立ちをしていて、高橋が女にしたがるようなイメージ、それなのに昨日の夜の声も体も男で、晴は酔っていたとはいえスッカリ飲まれた。飲まれた上に少し意地悪っぽい明良の口調とか、やり方が晴にはクリティカルヒットだったのだ。
「だぁっ!!違う!!」
思わず一人で叫んでしまうが、何が違うと自分で突っ込みたくなる。いや、違くはないが、勘違いするな、あれは酔った間違いで、明良は完全にヘテロセクシャルで高橋に超絶嫌悪感だったろ!と頭を抱えながら繰り返す。気持ちよかったけれど、きっとあっちは酔っぱらってのことだから覚えてない筈!そう思いたいが、自分の方がこんなに酔った後でも鮮明すぎて泣きたくなってくる。
欲求不満って怖いっ、好みじゃないとかいってないで、AVでちゃんと抜こう!
そう目映い朝日の中だというのに、何でかそぐわない邪な事を硬く決心した晴なのだった。
※※※
報告書は作成したし、他の仕事もさっさと終えた。了はあの後熱を出したりしたみたいでまだ熱があるとか言ってあんまり元気がなくて。心配ではあるが社長が必死にベットに戻そうとしているし、了の事は社長任せでなんとかなる事。どうしても駄目なら四倉女…………違った、今は鳥飼女史になってる、彼女をお呼び立てすればいいだけのこと。それにしても何時の間に四倉梨央は、結婚相手を捕獲していたんだろう。鳥飼梨央になる社長の幼馴染みは、熟練看護師で一度了が失神して目が覚めなかった時に来て貰ったことがある。あの社長に迷わず鉄拳制裁出来る数少ない女性で、恐ろしい程の美人だが実家は任侠、しかも旦那になる男も恐ろしい程の美人だが社長曰く人間兵器だという。極道の妻に人間兵器の旦那、そんな二人に子供ができたら末恐ろしい。等と他人事のように思っていたが実は既に子供が出来てるらしくて、目下急いで結納と入籍は済ませて結婚式というところらしい。うーん、素早い!
とは言え、それはさておきだ。
あの後実は明良とは会っていないし、地味に会わないように晴は気を使っている。流石の晴だってあれは酔っててやっちゃったというにはまずいと思っているし、酔ってやったことだから気にするな・また遊ぼうなんて微塵も思えない。一番やっちゃいけないことを何でか明良の手でやってしまったわけだが、恐らくだ飲んで少し記憶がない間に自分が何かそんな気分にさせるようなことをしたんじゃないかと思う。なんでかって?ベットの横に脱ぎ捨てられた服を自分で拾った時、自分の服の上に明良の服がちらばっていた。つまりあの時、先に服を脱いだのは晴の方なのだと思う。
なにやってんのかなぁ、俺。セクハラで酷い目にあってウンザリしてる相手の前で裸ってさぁ
勿論酔っていたからの話であって、明良だって酔っていた可能性はある。伊呂波の店長に聞いて見たけど自分はどうやらアルコール度数17の酒をコーラ割りでガバガバ飲んでいたらしく、明良もそれに付き合っていたのだ。とは言え明良がどこまで今も覚えてるか覚えてないか、それを確認するのも実は気まずい。
だって、高橋にされてあんなに嫌悪感だよ?酔っててちょっと抜きあいしたからってさぁ?
自分ならいけるとかそんな勘違いで話しかけて、もし明良から気持ち悪!って言われたら、流石に晴だって大いに傷つく。それくらいならなかったことにしてしまいたいのが今の晴の本音で、それにはもう会わないのが一番簡単。どうせ接点は今回の仕事だけで自分はもうあの職場とは関わらないし、報告書は藤咲宛だから明良の事は書面でしか触れなくてすむ。
「社長仕事上がり~。」
「おう、今日はかえっていいぞ。明日は休め。」
「えー、特別休み?給料ありだよね?ラッキー。」
「お前、一言多い。ありがとうございますくらい言えよ。」
「あざーっす」
言葉遣いっと社長のお小言が続く前に脱兎のごとく逃げ出すが、高橋の件の報告書もこれで上がったから明良との接点はもうない。仲良くなれたのにこんな終わり方はほんとは残念な気もするけど、これ以上の勘違いはしんどい。何でしんどいかも考えたくないのは、何でか説明できないけど、勘違いすんなと自分に言い聞かせるのが既にしんどくなってる。ところが安堵しながら帰途につこうとした晴の腕を、背後から唐突に力強い手で捕まれていた。夕暮れの中で振り返るとそこに立っていたのは真剣な顔をした狭山明良で、晴は唖然としてその顔を見つめ返す。
何で、明良がここにいるんだ?
そう言えば最初に了が話を聞くために家に明良を連れ帰ってきたから、明良は外崎邸のことは知っているんだと思い出した。いや、それはいいとして何で明良がここに今いて、しかも晴の腕を掴んで険しい顔で立ち尽くしているのか。
「晴。」
そうだった、晴って呼べと晴自身が明良に言っていた。しかも明良の晴の名前を呼ぶ声は低く甘くて、何でかジンッと体にこの間の事を思い起こさせて微かな熱を感じさせる。夕暮れに黒髪は尚更艶やかに黒くて瞳も宝石見たいに光っているのに、惹き付けられてしまった晴は思わず綺麗だなぁと見つめてしまう。こんな顔してたんだなぁなんて今さらのように見つめるけど和美人でも気弱そうになんかは見えないし、切れ長の瞳で意志が強そうにも見える。そう言えば経理は厳しいから何人も脱落者がでるのに、そこを楽々とクリアして秘書課にいこうとしている明良は実はかなり意志が強い確りした人間に違いない。
「あの……晴、話がしたい。」
ハッとその言葉に我に返る。夕闇の中の綺麗な明良の姿に思わず関係ないことを考えていたけれど、晴はなるたけ明良と会うのを避けていたのだった。だけどこんなに接近して腕を捕まれて捕獲されては、今さらどうにも逃げようもない。
「え、と、なに?俺、…………仕事で今、用事があって。」
「仕事?」
「そ、報告書。」
必死に取り繕う言い訳にスウッと目の前の瞳が細くなって、突然掴んだままの腕を引っ張り歩き出されてしまう。え?何?とアワアワしている晴を有無を言わさず、明良は自分の自宅までまるで容赦なく引き摺りこんだ。何でこんなに簡単に引きずり込まれたんだと唖然としているが、明良は玄関を塞ぐように立つと晴の事を室内に押し込んで後ろ手に鍵をかけた。
「え、えっと、明良?あのさ、話って、俺仕事……。」
「嘘だよね?仕事終わったよね?晴。」
何でか明良にそう断言されて、晴は息を飲む。実際に仕事は終わって帰途につくところだったのだから、明良の方が言い分としては正しい。正しいけど何で明良が、それを知ってるのかと言う疑問はある。
「何で、あの日朝、居なくなったの?晴。」
明良が言うあの日が飲んだ日の事なのは言うまでもなくて、しかも晴が仕事を理由に取り繕って逃げようとしたのも明良は見抜いている。明良は玄関からは逃がさない気満々で、結局ジリジリと後退る晴はあのベットまで追い込まれている。こうなると後はベランダとなるが流石に明良のマンションは八階だから、窓から逃げるは晴には現実的ではないのだ。しかし、何でこんなことを聞いてくる?
「俺、目が覚めて凄い傷ついた。」
「え?」
何で?といった晴に明良は再びヒンヤリするような視線で晴を見つめると、ドンと肩をついて晴をベットに座らせてしまった。何で?明良は朝起きて傷ついた?今一話が飲み込めない晴に、何でかシュルと、ネクタイを抜き取った明良が覆い被さる。
「あ、きら?!」
上にのし掛かられて突然蛍光灯の光の中で上着に手をかけられ、晴は目を丸くする。いやいや、これは駄目でしょ、蛍光灯に男の裸さらして見たら立つもんも立たないし、こっちも男ですから胸もないし付いてるもの付いてるしと、心の中で慌てて言ってみるが、それと現状がまるでそぐわない。そぐわないどころか何でか上半身を裸にされて、ベットに押し倒されてしまっている。
「あの、明良?なにしてんの?俺、男ですけど……。」
「知ってるよ?晴は男だけど、ここが気持ちいいの、知ってる。」
「ひゃぅ!」
唐突に明良の指に乳首の先を摘ままれて、痺れと同時に変な声が羽上がる。それを明良は白日に曝したまま晴にもよく見えるように、指でキツく摘まんだまま先端を丁寧に舌の先でチロチロと舐め出したのだ。
「んやっ!ひやぁっやっ!」
次第にチュチュチュクと音を立てて舐め回され体に馬乗りになられているのに混乱した晴は、身悶えながら明良がすることをマジマジと見つめる。いったい今何が起こっているんだろうと、戸惑う晴の乳首が濡れてカチカチに硬くなっていく。そこを執拗に舐めたり吸ったりされるのに、腰がジンジンと熱く蕩けて肌が汗ばんで感じてしまっているのはもう見ただけで筒抜けだ。
「あき、ら、はぁんっ、あ、きらっやぁっ!」
乳首だけでそんな風に甘い強請り声に変わりつつある自分に、晴が真っ赤になって頭を振るのを明良が見つめる。なんで傷ついたの?それに何でこんなことするのと晴の瞳がといかけてくるのに、明良は思いきったように晴の唇に唇を重ねた。
「んん?!あき、らっ!」
塞いだ唇の中にヌチヌチと舌を差し込んで口の中を舐め回すと、晴の頬が更に赤くなってピクリと肌が震える。唾液が流れ込んでも拒否もしないで喉をならして、しかも甘く吐息を溢した晴に、明良は思う存分舌を晴の口の中で暴れさせた。
「んっ、ふっ……んぅ……うぅ…………んっ……。」
チュプチュプと明良に舌を絡められる音に、眉を寄せたままの晴が吐息を上げて体の力が弛緩していく。やがてクタリと力の抜けた体を明良が抱き寄せて、意図も容易く服を脱がし始めている。あれ?何でこんなことになってるの?しかもなんで裸にされてるの?この間も本当はこうだったの?たくさん思うことはあるのに、まるで体が言うことをきかない。それにしたって全裸にしたら男は男で、その気でもなきゃ立たないし反応もしないからとも考える。ところが、明良は鎖骨や首元だけでなく胸元や様々なところに口付け始めたのだ。
「や、あ、…………あ、きら…………ぁ。」
「可愛い…………晴。凄い可愛い……、晴。」
まるで酔っている見たいにチュクチュクと肌に痕をつけ始めている。え?なんで?男だよと朦朧としながら晴は、しかも何でこんなに気持ちいいのと戸惑う。明良の体温が気持ち好すぎてキスされるとこから、ジンジンと痺れが腰に響く。腰に甘く響く痺れが腹の奥底で快感に結び付こうとしているのに気がついて、晴はハッと我にかえって慌ててもがいた。必死にもがいてうつ伏せになったのに、その方が余計背中と項を明良に曝すことになって感じさせられるのに気がつくのに時間はかからない。
「ふやっ!やぁっんっ!」
「可愛い……可愛いね、晴。」
「な、に、言ってっ、あき、らぁっ!あんっ!」
肩甲骨を噛まれて、腰を吸われると力が抜ける。それなのに見る間に晴のモノは熱く昂ってしまって、ベットに押さえつけられて痛いほどに張り詰めてしまっていた。それを知ってか知らずか、背中に舌を這わせて明良が覆い被さり耳元に囁く。
「ねぇ、何であの時逃げたの?晴。嫌だったの?」
「そ、れは。」
決まってる。明良は友達だけど恋人じゃなくて、ヘテロなのに自分が何かやらかしたと思ったからだ。
「俺目が覚めて晴がいないの、凄いショックだった……。」
そんな言葉が頭を過って晴は目が覚めてコソコソと腕の下から抜け出して、脱兎の如く逃げ出した。誰の腕の下からかは言うまでもないが、どうやらベロベロに酔って何でか抱き締められて眠っていたのは事実だ。何しろ服がとんでもなく酒臭いし、こんなに服で臭うということは昨夜は晴は恐ろしいアルコール摂取だったことはわかった。恐らくつい本音を吐いた羞恥心で箍が外れて飲みまくっていたんだと気がついて、自分を蹴り飛ばしたくなる。しかもそれで済ませればよかったのに、何でか酔ってる明良の体温が肌に心地好くて喘いで感じまくって、その上互いのを擦りあって射精したなんて穴があったら入りたい。
しかも超気持ちよくて、そのままイキおちって…………乙女か!俺は。
了に後ろを責められていきまくって、最終的に自分がイキ落ちたことはある。だけど昨夜のあれはセックスどころかオナニーな訳で、乳首は確かに暫くよくされてたけど前立腺も触ってないし激しい腰振りもしてない。ただ覆い被さった明良の熱い吐息を耳元に感じながら、お互いのガチガチの逸物を明良の熱い手で握られ扱きあげられただけ。
嘘っ
何でだと叫びたくなるのは、昨夜の事を考えただけの自分の股間がまた硬く立ち上がりかけていて。それが何でか分かっているからだった。何やってんの俺?!と晴は焦るのに、何でか頭の中では囁くように熱く低く響く明良の声が残っている。
いやいや、おかしいだろ?
狭山明良は同期だけれど今年の四月までは全く接点がなかった。こっちは営業で、向こうは経理。狭山は行く行くは秘書課に移るだろうと同期は皆が言っていたのは、会社の方向性として秘書課に移る前に経理のことを叩き込んでから秘書課に移ると言うのが通例だったからで、四月に晴の部所に移動と聞いた時には皆がポカーンとしたくらいだ。それでも狭山明良は無能だから経理を外されたわけではなく、完璧に経理の仕事は身につけて次のステップという感じだった。
あれってさ、有能すぎて営業もやってから秘書課ってことじゃない?
そう同じチームだった奴から言われて、晴はへぇと感心しながら納得していた。そうか、経理で覚えることがもうないから、営業もやっとけってことなのか、そんな風に眺めていただけだ。だから殆ど接点もないし、あの時は興味もないから明良がどんな人間か気にもしなかった。
それなのにここに来て高橋至の悪事を暴こうとしたら、こんなに急に近づいてしまって、しかもこんなことに陥ってしまっている。狭山明良は言った通り大人しそうな和美人風、どちらかと言えば見た目は了のお友達・榊恭平に近いタイプだ。綺麗な顔立ちをしていて、高橋が女にしたがるようなイメージ、それなのに昨日の夜の声も体も男で、晴は酔っていたとはいえスッカリ飲まれた。飲まれた上に少し意地悪っぽい明良の口調とか、やり方が晴にはクリティカルヒットだったのだ。
「だぁっ!!違う!!」
思わず一人で叫んでしまうが、何が違うと自分で突っ込みたくなる。いや、違くはないが、勘違いするな、あれは酔った間違いで、明良は完全にヘテロセクシャルで高橋に超絶嫌悪感だったろ!と頭を抱えながら繰り返す。気持ちよかったけれど、きっとあっちは酔っぱらってのことだから覚えてない筈!そう思いたいが、自分の方がこんなに酔った後でも鮮明すぎて泣きたくなってくる。
欲求不満って怖いっ、好みじゃないとかいってないで、AVでちゃんと抜こう!
そう目映い朝日の中だというのに、何でかそぐわない邪な事を硬く決心した晴なのだった。
※※※
報告書は作成したし、他の仕事もさっさと終えた。了はあの後熱を出したりしたみたいでまだ熱があるとか言ってあんまり元気がなくて。心配ではあるが社長が必死にベットに戻そうとしているし、了の事は社長任せでなんとかなる事。どうしても駄目なら四倉女…………違った、今は鳥飼女史になってる、彼女をお呼び立てすればいいだけのこと。それにしても何時の間に四倉梨央は、結婚相手を捕獲していたんだろう。鳥飼梨央になる社長の幼馴染みは、熟練看護師で一度了が失神して目が覚めなかった時に来て貰ったことがある。あの社長に迷わず鉄拳制裁出来る数少ない女性で、恐ろしい程の美人だが実家は任侠、しかも旦那になる男も恐ろしい程の美人だが社長曰く人間兵器だという。極道の妻に人間兵器の旦那、そんな二人に子供ができたら末恐ろしい。等と他人事のように思っていたが実は既に子供が出来てるらしくて、目下急いで結納と入籍は済ませて結婚式というところらしい。うーん、素早い!
とは言え、それはさておきだ。
あの後実は明良とは会っていないし、地味に会わないように晴は気を使っている。流石の晴だってあれは酔っててやっちゃったというにはまずいと思っているし、酔ってやったことだから気にするな・また遊ぼうなんて微塵も思えない。一番やっちゃいけないことを何でか明良の手でやってしまったわけだが、恐らくだ飲んで少し記憶がない間に自分が何かそんな気分にさせるようなことをしたんじゃないかと思う。なんでかって?ベットの横に脱ぎ捨てられた服を自分で拾った時、自分の服の上に明良の服がちらばっていた。つまりあの時、先に服を脱いだのは晴の方なのだと思う。
なにやってんのかなぁ、俺。セクハラで酷い目にあってウンザリしてる相手の前で裸ってさぁ
勿論酔っていたからの話であって、明良だって酔っていた可能性はある。伊呂波の店長に聞いて見たけど自分はどうやらアルコール度数17の酒をコーラ割りでガバガバ飲んでいたらしく、明良もそれに付き合っていたのだ。とは言え明良がどこまで今も覚えてるか覚えてないか、それを確認するのも実は気まずい。
だって、高橋にされてあんなに嫌悪感だよ?酔っててちょっと抜きあいしたからってさぁ?
自分ならいけるとかそんな勘違いで話しかけて、もし明良から気持ち悪!って言われたら、流石に晴だって大いに傷つく。それくらいならなかったことにしてしまいたいのが今の晴の本音で、それにはもう会わないのが一番簡単。どうせ接点は今回の仕事だけで自分はもうあの職場とは関わらないし、報告書は藤咲宛だから明良の事は書面でしか触れなくてすむ。
「社長仕事上がり~。」
「おう、今日はかえっていいぞ。明日は休め。」
「えー、特別休み?給料ありだよね?ラッキー。」
「お前、一言多い。ありがとうございますくらい言えよ。」
「あざーっす」
言葉遣いっと社長のお小言が続く前に脱兎のごとく逃げ出すが、高橋の件の報告書もこれで上がったから明良との接点はもうない。仲良くなれたのにこんな終わり方はほんとは残念な気もするけど、これ以上の勘違いはしんどい。何でしんどいかも考えたくないのは、何でか説明できないけど、勘違いすんなと自分に言い聞かせるのが既にしんどくなってる。ところが安堵しながら帰途につこうとした晴の腕を、背後から唐突に力強い手で捕まれていた。夕暮れの中で振り返るとそこに立っていたのは真剣な顔をした狭山明良で、晴は唖然としてその顔を見つめ返す。
何で、明良がここにいるんだ?
そう言えば最初に了が話を聞くために家に明良を連れ帰ってきたから、明良は外崎邸のことは知っているんだと思い出した。いや、それはいいとして何で明良がここに今いて、しかも晴の腕を掴んで険しい顔で立ち尽くしているのか。
「晴。」
そうだった、晴って呼べと晴自身が明良に言っていた。しかも明良の晴の名前を呼ぶ声は低く甘くて、何でかジンッと体にこの間の事を思い起こさせて微かな熱を感じさせる。夕暮れに黒髪は尚更艶やかに黒くて瞳も宝石見たいに光っているのに、惹き付けられてしまった晴は思わず綺麗だなぁと見つめてしまう。こんな顔してたんだなぁなんて今さらのように見つめるけど和美人でも気弱そうになんかは見えないし、切れ長の瞳で意志が強そうにも見える。そう言えば経理は厳しいから何人も脱落者がでるのに、そこを楽々とクリアして秘書課にいこうとしている明良は実はかなり意志が強い確りした人間に違いない。
「あの……晴、話がしたい。」
ハッとその言葉に我に返る。夕闇の中の綺麗な明良の姿に思わず関係ないことを考えていたけれど、晴はなるたけ明良と会うのを避けていたのだった。だけどこんなに接近して腕を捕まれて捕獲されては、今さらどうにも逃げようもない。
「え、と、なに?俺、…………仕事で今、用事があって。」
「仕事?」
「そ、報告書。」
必死に取り繕う言い訳にスウッと目の前の瞳が細くなって、突然掴んだままの腕を引っ張り歩き出されてしまう。え?何?とアワアワしている晴を有無を言わさず、明良は自分の自宅までまるで容赦なく引き摺りこんだ。何でこんなに簡単に引きずり込まれたんだと唖然としているが、明良は玄関を塞ぐように立つと晴の事を室内に押し込んで後ろ手に鍵をかけた。
「え、えっと、明良?あのさ、話って、俺仕事……。」
「嘘だよね?仕事終わったよね?晴。」
何でか明良にそう断言されて、晴は息を飲む。実際に仕事は終わって帰途につくところだったのだから、明良の方が言い分としては正しい。正しいけど何で明良が、それを知ってるのかと言う疑問はある。
「何で、あの日朝、居なくなったの?晴。」
明良が言うあの日が飲んだ日の事なのは言うまでもなくて、しかも晴が仕事を理由に取り繕って逃げようとしたのも明良は見抜いている。明良は玄関からは逃がさない気満々で、結局ジリジリと後退る晴はあのベットまで追い込まれている。こうなると後はベランダとなるが流石に明良のマンションは八階だから、窓から逃げるは晴には現実的ではないのだ。しかし、何でこんなことを聞いてくる?
「俺、目が覚めて凄い傷ついた。」
「え?」
何で?といった晴に明良は再びヒンヤリするような視線で晴を見つめると、ドンと肩をついて晴をベットに座らせてしまった。何で?明良は朝起きて傷ついた?今一話が飲み込めない晴に、何でかシュルと、ネクタイを抜き取った明良が覆い被さる。
「あ、きら?!」
上にのし掛かられて突然蛍光灯の光の中で上着に手をかけられ、晴は目を丸くする。いやいや、これは駄目でしょ、蛍光灯に男の裸さらして見たら立つもんも立たないし、こっちも男ですから胸もないし付いてるもの付いてるしと、心の中で慌てて言ってみるが、それと現状がまるでそぐわない。そぐわないどころか何でか上半身を裸にされて、ベットに押し倒されてしまっている。
「あの、明良?なにしてんの?俺、男ですけど……。」
「知ってるよ?晴は男だけど、ここが気持ちいいの、知ってる。」
「ひゃぅ!」
唐突に明良の指に乳首の先を摘ままれて、痺れと同時に変な声が羽上がる。それを明良は白日に曝したまま晴にもよく見えるように、指でキツく摘まんだまま先端を丁寧に舌の先でチロチロと舐め出したのだ。
「んやっ!ひやぁっやっ!」
次第にチュチュチュクと音を立てて舐め回され体に馬乗りになられているのに混乱した晴は、身悶えながら明良がすることをマジマジと見つめる。いったい今何が起こっているんだろうと、戸惑う晴の乳首が濡れてカチカチに硬くなっていく。そこを執拗に舐めたり吸ったりされるのに、腰がジンジンと熱く蕩けて肌が汗ばんで感じてしまっているのはもう見ただけで筒抜けだ。
「あき、ら、はぁんっ、あ、きらっやぁっ!」
乳首だけでそんな風に甘い強請り声に変わりつつある自分に、晴が真っ赤になって頭を振るのを明良が見つめる。なんで傷ついたの?それに何でこんなことするのと晴の瞳がといかけてくるのに、明良は思いきったように晴の唇に唇を重ねた。
「んん?!あき、らっ!」
塞いだ唇の中にヌチヌチと舌を差し込んで口の中を舐め回すと、晴の頬が更に赤くなってピクリと肌が震える。唾液が流れ込んでも拒否もしないで喉をならして、しかも甘く吐息を溢した晴に、明良は思う存分舌を晴の口の中で暴れさせた。
「んっ、ふっ……んぅ……うぅ…………んっ……。」
チュプチュプと明良に舌を絡められる音に、眉を寄せたままの晴が吐息を上げて体の力が弛緩していく。やがてクタリと力の抜けた体を明良が抱き寄せて、意図も容易く服を脱がし始めている。あれ?何でこんなことになってるの?しかもなんで裸にされてるの?この間も本当はこうだったの?たくさん思うことはあるのに、まるで体が言うことをきかない。それにしたって全裸にしたら男は男で、その気でもなきゃ立たないし反応もしないからとも考える。ところが、明良は鎖骨や首元だけでなく胸元や様々なところに口付け始めたのだ。
「や、あ、…………あ、きら…………ぁ。」
「可愛い…………晴。凄い可愛い……、晴。」
まるで酔っている見たいにチュクチュクと肌に痕をつけ始めている。え?なんで?男だよと朦朧としながら晴は、しかも何でこんなに気持ちいいのと戸惑う。明良の体温が気持ち好すぎてキスされるとこから、ジンジンと痺れが腰に響く。腰に甘く響く痺れが腹の奥底で快感に結び付こうとしているのに気がついて、晴はハッと我にかえって慌ててもがいた。必死にもがいてうつ伏せになったのに、その方が余計背中と項を明良に曝すことになって感じさせられるのに気がつくのに時間はかからない。
「ふやっ!やぁっんっ!」
「可愛い……可愛いね、晴。」
「な、に、言ってっ、あき、らぁっ!あんっ!」
肩甲骨を噛まれて、腰を吸われると力が抜ける。それなのに見る間に晴のモノは熱く昂ってしまって、ベットに押さえつけられて痛いほどに張り詰めてしまっていた。それを知ってか知らずか、背中に舌を這わせて明良が覆い被さり耳元に囁く。
「ねぇ、何であの時逃げたの?晴。嫌だったの?」
「そ、れは。」
決まってる。明良は友達だけど恋人じゃなくて、ヘテロなのに自分が何かやらかしたと思ったからだ。
「俺目が覚めて晴がいないの、凄いショックだった……。」
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