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第十四章 蒼い灯火
間話7.狂乱の最中
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そうして帰宅した日曜の午前中から昼過ぎくらいまで。ハッキリ言うと途中から自分の言った言葉を、了は真剣に過ちだったと半分くらい後悔した。
元調教師のフルスペックは、本気で命の危険を感じざるを得ない。
拘束は極最低限だけで痛みも与えない程度だったし、ローターの類いの振動系も男根系のディルドみたいなものも使われなかったし、尿道プラグもなし。結局道具として使われたのは拘束具以外は、唯一陰茎の根本を縛られただけ。それでも全身くまなく愛撫されて、舐めたり触れられるだけでとんでもない快感で狂わされる。酷い話だ、普通は男なんだから簡単に思い付く性感帯なんて、乳首と陰茎周辺と耳くらいなものだろ?後は口とか、ああ、前立腺もはいるか。
「んぅ!あああぅ、あっ!ああっ!」
「ん……泣く声は可愛いけど、あんまり叫ぶと声が掠れるぞ?ん?」
そういいながら口を塞がれて口付けられ、ユルユルと舌を吸われて声さえ奪われてしまう。勿論以前見つけられた太股の付け根は当然だけど、首筋や脇なんかは兎も角、男の了が背中を愛撫されて腰が抜けるなんてとんでもない話だ。
「んぅーっんんっ……!」
「力抜け、力抜かねぇと余計辛いぞ?ん……、もっと、力抜け。」
拘束されて俯せにされた状態で腰から背中にかけて指や舌を優しく這わせたかと思うと、肩甲骨の辺りや撓って沿った腰の辺りに口付けられのし掛かられて耳元に囁かれる。それだけで腰にズンッて快感が走って縛られた怒張がシーツに擦れてしまう。
「背中も……綺麗なもんだな……了は。」
大きな掌に繊細に動く指の感触。見えてないのに指でなぞられ、そんなことを言う。背中を撫でられるだけで気持ちよくなるなんてと必死で冷静になろうとするのに、宏太の囁き声が低く甘く耳に吹き込まれるだけで気持ちよくなってしまう。何しろ耳だって性感帯なんだから、吐息とか囁きとかだけで腰が揺れて熱くて仕方がない。
「背中でそんなに気持ちいいか?他にもまだまだ、ここから仕込まれるんだぞ?ん?」
「や、やぁっ、そんな……。」
「時間かけて…………タップリキッチリ、とことんやってやる、最低でも三日間は覚悟しておけよ?自分で言ったんだからな?」
この勢いで最低三日?!そんなの死んじゃうと了が泣くと、その声に逆に興奮したみたいに舌舐めずりしながらジリジリと背中の性感帯の開発が続けられていく。ちょっと待って、こんなのが他にもまだあるのと悲鳴をあげたら抱き起こされて淫らな開脚した格好で太股の付け根を揉み上げられ、ここと背中じゃまだたかが二ヶ所目だろ?と熱っぽく耳に囁いてくる始末だ。わざわざ了の拘束されて動けない体が鏡に写るように抱き上げられて、ここもここも性感帯に変えてやると次々身体中をまさぐされていく。そんなのを見せつけられながら同時に触れたり揉んだり吸われたりされてるのに、一番触れてほしい場所は完全に放置で後回し。
「んんっ、あっ!やだぁっ!も、さわ、ってぇ。」
「触ってやってんだろ?ほら、膝の裏もきもちいいのか?ん?」
「あっんんっ!な、んでぇ!そこっやっ!うそぉっ!ああっ!」
足を広げたまま宏太の膝の上に抱えあげられて戸惑いながら悲鳴をあげるが、マトモに考えても自分の膝の裏を触られて気持ちいいなんて信じられない。信じられないのに抱きかかえられ膝の裏や太股の付け根を、スルリとなぞられ絶妙な具合に指で押されて刺激されると、ガチガチに下折たった怒張が反応してベルトを食い込ませヒクヒクと揺れる。
「んぅん、んんっふぁ、あ、やぅんんっ。」
「可愛い声だ、ここもよくなりそうだな。」
「やぁっこぉたぁ、やらぁあぅんんっ。」
ただ愛撫され全身が気持ち良すぎてメロメロになっているのに、宏太は項に口付けて背後から抱き上げたまま執拗に膝の裏や太股の付け根を責め立ててくる。ヒクヒクしている怒張や後孔を鏡で丸見えにさせられて、そんなことを繰り返されるのに恥ずかしい上に気持ちよくて頭がおかしくなりそうだ。
「あ、あ、やら、や、きもち、い、やらぁ。」
「んん、気持ちいいのに、いやか?ん?ふふ、可愛いもんだな?了は。」
そう楽しげに笑いながら性感帯開発を一端止めた宏太が、抱きかかえたままあやすように優しくヨシヨシと頭を撫でて来る。優しく労られて、愛されて、それに了は思わず抱え込んでいた疑問が口から溢れ落ちてしまっていた。
「おれ……晴……と、やった?こぉた…………。」
「………………俺には見えないから分からん。」
折角機嫌よく触れていたのに一気に不機嫌そうに宏太に言われて、了はやっとそうだったと思い出してしまう始末。確かに宏太は異様に耳が良いけど、目は本当に見えない。でもセックスなら音でも判断できるだろと震える声で聞くと、そんなの判断できる程聞いてられるかと尚更不貞腐れた声で耳朶を噛まれる。言われればそのとおりなんだけどと思った途端、了の話を遮ろうとするみたいに突然指が体内に潜り込んで寛げてくる。欲しかった強い刺激にあっという間にそこだけで上り詰め足をピクピクと突っ張らせて、了は甲高い悲鳴をあげてしまう。
「ひぁ!あーっ!」
「お前は俺のもんだ……了。」
抵抗なんて何一つしないまま、あっという間に固くて太い宏太の怒張を突き立てられて、下からユサユサと突き上げられる。ズッズッと体内を擦る怒張の強い刺激に、蕩けて頭が真っ白になっていく。宏太が愛撫を繰り返しながら突き入れ続けて、膨れ上がった了の陰茎が弾けてしまいそうな程に張りつめた。
「や、あ、あー……あぁあ、壊れちゃあぅうん!ううんっ!あー、あぁっ!」
「ほら、いって良いぞ?ん?好きなだけよくしてやる。」
「ひぁ!ああ!い、くっ!!いっちゃううぅ!」
激しくて気持ちよくて、でもこうしてしがみつけずに揺さぶられるのは何だか怖い。何でか絶頂に達しても怖くて宏太に、この格好では嫌と懇願している自分がいた。少し不思議そうに宏太が手足の拘束を、一端解いてくれたのに必死に体を捩る。
「前から…………してぇ、こぉた。」
その甘えた声に宏太は微笑みながら、了を意図も簡単にグルリと回して抱き上げた。縋りつきながら抱かれて満たされて、中に注ぎ込まれるのを感じながら宏太に更に強請ってしまう。
「もっと、こぉた。もっとして、もっと。」
「ん、そんなに飛ばすと三日間もたねぇぞ?まだまだ、なんだからな?」
「いい、もっと、こぉたのものにして、もっと全部。」
了の言葉に宏太は微かに眉を寄せて、必死にしがみつき体を寄せてくる了の腰をギュゥッと抱き締める。そんな風に自分から押し付け抱きつきながら、宏太に更に力強く引き寄せられてやっと安堵している自分に了は気がつく。泣きたいほどに好きで、宏太のものにされて全部奪って貰えれば、そう願ってしまう。抱き締められながら自分の怒張に宏太の手が伸びるのに気がつき、身を捩って了はそれは要らないと訴える。
「い、後ろだけで、いいから、こぉた。」
「こんな、ガチガチにして……何言ってんだ…………ほら。」
「いい、後ろだけ、ぜん、ぶ、こぉたのもの、なるから、い。」
「いいから、ほら。」
必死に訴えてもスルリと怒張を撫でる指先がベルトを外して解放された途端、焼けつくような熱さで白濁を吹き上げて強すぎる絶頂に全身が弛緩してしまう。気持ち良すぎて腰がガクガクと痙攣しているみたいに蕩けてしまいながら、優しくて甘い声に耳を擽られる。
「後ろだけでなく…………ここも、俺のもんなんだぞ?……お前の精液も全部、俺のものだ。」
そんなことを囁かれチュと優しく甘く口付けて抱き締められる幸福に、了は焼ききれたようにそのまま意識が途切れてしまっていた。
流石に最低三日間の監禁の方が冗談になったのは翌日には了が恭平を気にして見舞いに行きたがったのと、何よりも宏太の方が空腹に勝てないからだった。同時に日曜の昼過ぎから流石に完全放置していた電話を取り上げた宏太が、各所からの情報を取りまとめたりなんだりで追われてしまったせいもある。
ところが一緒に仕事手伝うとと声をあげた了の方は、お前は後は今日は寝てるのが仕事だとベットから出しても貰えなかった。何しろ少しでも寝室の扉を開けると、まるで下から監視されてるように仕事部屋のドアが開いて、寝てろ!と宏太に怒鳴られてしまう。
「大丈夫だってば……。」
「明日まではキッチンに立つのも禁止だ!言うこと聞かないと、完全に拘束するぞ!」
完全拘束で寝れるかと思うが、あんまり怒らせると本気で宏太はやりかねないので、了は仕方なく部屋に戻るしかなかった。
※※※
日曜の夜、仕事場の中はピリピリした空気で張り詰めていたが、自業自得なので一先ず堪えながら黙々と仕事をすることに結城晴は決めた。コンサルタントではなく別な社長の知人の捜索やら情報の取りまとめ、お前には関係ない・一人でやると宏太は口にしたが、本来なら目が見える人間もいないと出来ない。だから、頭をおとなしく下げて手伝わせてくださいと申し出た。自分がやったのはかなり卑怯なことだと、十分理解しているから言い訳をする気もない。夜中になって何本か電話があって、幾つか新しい情報が入った辺りから少しだけ社長が抱えてる案件の状況が改善し始めたのが感じとれ始める。
「それで?」
電話口の会話が少しだけ刺々しさが緩和されているのに気がつく。そうしてそれならそっちは任せると安堵の声で告げた後、電話を切った宏太は暫しそのまま無言になった。
「何で……あんな嘘をついた?」
不意に問いかけてきたのは、宏太にもあの晴の嘘が理解できないからだろう。
了を意地でも仕事場にいれようとしないのは今ここに晴がいるからで、仕事場から二階の奥の寝室の了が動くような音を聞き分ける人間。そんな特殊能力聞いたことがないが、ラブホの扉と壁一枚程度で晴が了に向けていった卑猥な言葉や了の啜り泣く声を聞きわけてない筈がない。だからこそあの時動いたら殺すと威嚇され、その後も同じ室内にも入れたくなくて、了がこんなにも過保護に過干渉されてもいるのは分かってる。
「なんにも得しない……ほんとのことなんて。」
あの時の了は薬とかの副作用で、本気で訳が分からない状態だった。それを良いことに裸にしてレイプしたのは男として最低だ。それを償うべきなのは晴にだって言われなくても分かっているけど、記憶がなくて宏太以外の男としたんじゃって怖がって泣く了に自分とセックスしましたと晴が言って傷を改めてつける必要があるのか。セックスどころか一緒にラブホテルにいたことすら、了は忘れていると言うのに。
「それに、了は…………、俺とのセックスで気持ちよくなってない。」
セックスで互いに気持ちよくなったんなら、二人の秘密ということで押し通してまた答えは違うかもしれない。でも了は酩酊して触れたら直ぐ晴の手に射精するほどに昂っていて、それでも晴が陰茎を挿入した後は嫌と泣き続けた。何度もセックスした仲で了が何が気持ちいいか充分に晴は知っているのに、それでも了は嫌がって、いきそうになった晴にやめてくれと懇願したのだ。結局は嫌がっている相手を、晴は強姦して苦しめただけにすぎない。
それでも同じ状況でも、了は宏太にはまるで違う反応をした。
乱暴に挿入されてあっという間に快楽に上り詰め、絶頂に達して何度も痙攣していかせてと懇願して。快感に飲まれて震えながら縋りつき了は甘く何度も快感に懇願し続けて、中に注がれるのも何一つ拒否もしなかった。嫌な素振りなんかまるでない、ただひたすらに宏太を受け止めて喘ぐ艶かしい了。そしてその後も、了は宏太だけしか見ていない。
本気で好きであわよくばなんてやましい気持ちで無理矢理抱いた晴を完全に粉砕するほど、明確に了は自分が外崎宏太だけのものだと全身で宣言した。
それでも酷いことをしたのは現実で、それを思い出せなくて怖がって泣きじゃくる了の声を聞くのはキツい。そしてそれに優しい嘘すらつけない嘘の下手な宏太の姿が、晴には余計にキツかった。だから晴は男として最低の嘘をついた。
「最低の嘘だけど、それで了がもう泣かないなら、俺は最低の男でいいよ。」
了がいったのは手で扱いた時だけ。それは本当だけど、体は繋がってないと大嘘をつく。本当は泣いて気持ちよくなって欲しがったと嘘をついてやりたいけど、了がこれ以上本気で傷ついて泣くくらいならセックスしてないと言った方が同じ嘘でもましだ。
「綺麗事。」
「そうだよ、俺は狡いんだ。分かってる。」
狡い嘘。でも、理由は自分の保身ではなく、了が傷ついて泣くのが嫌だから。自分がしたかったわけでもなくて今は記憶にすらないのなら、されてないことにして晴と宏太だけが晴は拒絶されたと言う現実を知りながらそ知らぬ顔を続ける。罪から逃げるようでいて実は一番残酷な嘘で、了は覚えてないから、これからも晴には今までみたいに弟みたいに接して笑いながら話すに違いない。
フゥと宏太は深い溜め息をつくと、ボソリと今月の給料三割カットと呟く。思わぬ言葉にそんなんで許すのと晴が乾いた声で笑うと、俺は許さねぇけど了が泣くよりはましだなんて言い出す始末だ。
「あと二人きりも禁止。破ったら給料三割ずつカット。」
「なんなの?ずつって。」
「破ったら三割ずつひく。」
「……それ、四回目はマイナスってこと?」
当然だと言われて何それブラック企業!心が狭い!とブチブチ言う晴に、前科一犯になるよりゃましだろうがと低い威嚇の声が突っぱねる。ストーカーの癖にとブチブチ更に言う晴を宏太は完全に無視した風に、今夜やることは終わりだ・泊まるならゲストルームを使えといい機械の電源を落としていた。
元調教師のフルスペックは、本気で命の危険を感じざるを得ない。
拘束は極最低限だけで痛みも与えない程度だったし、ローターの類いの振動系も男根系のディルドみたいなものも使われなかったし、尿道プラグもなし。結局道具として使われたのは拘束具以外は、唯一陰茎の根本を縛られただけ。それでも全身くまなく愛撫されて、舐めたり触れられるだけでとんでもない快感で狂わされる。酷い話だ、普通は男なんだから簡単に思い付く性感帯なんて、乳首と陰茎周辺と耳くらいなものだろ?後は口とか、ああ、前立腺もはいるか。
「んぅ!あああぅ、あっ!ああっ!」
「ん……泣く声は可愛いけど、あんまり叫ぶと声が掠れるぞ?ん?」
そういいながら口を塞がれて口付けられ、ユルユルと舌を吸われて声さえ奪われてしまう。勿論以前見つけられた太股の付け根は当然だけど、首筋や脇なんかは兎も角、男の了が背中を愛撫されて腰が抜けるなんてとんでもない話だ。
「んぅーっんんっ……!」
「力抜け、力抜かねぇと余計辛いぞ?ん……、もっと、力抜け。」
拘束されて俯せにされた状態で腰から背中にかけて指や舌を優しく這わせたかと思うと、肩甲骨の辺りや撓って沿った腰の辺りに口付けられのし掛かられて耳元に囁かれる。それだけで腰にズンッて快感が走って縛られた怒張がシーツに擦れてしまう。
「背中も……綺麗なもんだな……了は。」
大きな掌に繊細に動く指の感触。見えてないのに指でなぞられ、そんなことを言う。背中を撫でられるだけで気持ちよくなるなんてと必死で冷静になろうとするのに、宏太の囁き声が低く甘く耳に吹き込まれるだけで気持ちよくなってしまう。何しろ耳だって性感帯なんだから、吐息とか囁きとかだけで腰が揺れて熱くて仕方がない。
「背中でそんなに気持ちいいか?他にもまだまだ、ここから仕込まれるんだぞ?ん?」
「や、やぁっ、そんな……。」
「時間かけて…………タップリキッチリ、とことんやってやる、最低でも三日間は覚悟しておけよ?自分で言ったんだからな?」
この勢いで最低三日?!そんなの死んじゃうと了が泣くと、その声に逆に興奮したみたいに舌舐めずりしながらジリジリと背中の性感帯の開発が続けられていく。ちょっと待って、こんなのが他にもまだあるのと悲鳴をあげたら抱き起こされて淫らな開脚した格好で太股の付け根を揉み上げられ、ここと背中じゃまだたかが二ヶ所目だろ?と熱っぽく耳に囁いてくる始末だ。わざわざ了の拘束されて動けない体が鏡に写るように抱き上げられて、ここもここも性感帯に変えてやると次々身体中をまさぐされていく。そんなのを見せつけられながら同時に触れたり揉んだり吸われたりされてるのに、一番触れてほしい場所は完全に放置で後回し。
「んんっ、あっ!やだぁっ!も、さわ、ってぇ。」
「触ってやってんだろ?ほら、膝の裏もきもちいいのか?ん?」
「あっんんっ!な、んでぇ!そこっやっ!うそぉっ!ああっ!」
足を広げたまま宏太の膝の上に抱えあげられて戸惑いながら悲鳴をあげるが、マトモに考えても自分の膝の裏を触られて気持ちいいなんて信じられない。信じられないのに抱きかかえられ膝の裏や太股の付け根を、スルリとなぞられ絶妙な具合に指で押されて刺激されると、ガチガチに下折たった怒張が反応してベルトを食い込ませヒクヒクと揺れる。
「んぅん、んんっふぁ、あ、やぅんんっ。」
「可愛い声だ、ここもよくなりそうだな。」
「やぁっこぉたぁ、やらぁあぅんんっ。」
ただ愛撫され全身が気持ち良すぎてメロメロになっているのに、宏太は項に口付けて背後から抱き上げたまま執拗に膝の裏や太股の付け根を責め立ててくる。ヒクヒクしている怒張や後孔を鏡で丸見えにさせられて、そんなことを繰り返されるのに恥ずかしい上に気持ちよくて頭がおかしくなりそうだ。
「あ、あ、やら、や、きもち、い、やらぁ。」
「んん、気持ちいいのに、いやか?ん?ふふ、可愛いもんだな?了は。」
そう楽しげに笑いながら性感帯開発を一端止めた宏太が、抱きかかえたままあやすように優しくヨシヨシと頭を撫でて来る。優しく労られて、愛されて、それに了は思わず抱え込んでいた疑問が口から溢れ落ちてしまっていた。
「おれ……晴……と、やった?こぉた…………。」
「………………俺には見えないから分からん。」
折角機嫌よく触れていたのに一気に不機嫌そうに宏太に言われて、了はやっとそうだったと思い出してしまう始末。確かに宏太は異様に耳が良いけど、目は本当に見えない。でもセックスなら音でも判断できるだろと震える声で聞くと、そんなの判断できる程聞いてられるかと尚更不貞腐れた声で耳朶を噛まれる。言われればそのとおりなんだけどと思った途端、了の話を遮ろうとするみたいに突然指が体内に潜り込んで寛げてくる。欲しかった強い刺激にあっという間にそこだけで上り詰め足をピクピクと突っ張らせて、了は甲高い悲鳴をあげてしまう。
「ひぁ!あーっ!」
「お前は俺のもんだ……了。」
抵抗なんて何一つしないまま、あっという間に固くて太い宏太の怒張を突き立てられて、下からユサユサと突き上げられる。ズッズッと体内を擦る怒張の強い刺激に、蕩けて頭が真っ白になっていく。宏太が愛撫を繰り返しながら突き入れ続けて、膨れ上がった了の陰茎が弾けてしまいそうな程に張りつめた。
「や、あ、あー……あぁあ、壊れちゃあぅうん!ううんっ!あー、あぁっ!」
「ほら、いって良いぞ?ん?好きなだけよくしてやる。」
「ひぁ!ああ!い、くっ!!いっちゃううぅ!」
激しくて気持ちよくて、でもこうしてしがみつけずに揺さぶられるのは何だか怖い。何でか絶頂に達しても怖くて宏太に、この格好では嫌と懇願している自分がいた。少し不思議そうに宏太が手足の拘束を、一端解いてくれたのに必死に体を捩る。
「前から…………してぇ、こぉた。」
その甘えた声に宏太は微笑みながら、了を意図も簡単にグルリと回して抱き上げた。縋りつきながら抱かれて満たされて、中に注ぎ込まれるのを感じながら宏太に更に強請ってしまう。
「もっと、こぉた。もっとして、もっと。」
「ん、そんなに飛ばすと三日間もたねぇぞ?まだまだ、なんだからな?」
「いい、もっと、こぉたのものにして、もっと全部。」
了の言葉に宏太は微かに眉を寄せて、必死にしがみつき体を寄せてくる了の腰をギュゥッと抱き締める。そんな風に自分から押し付け抱きつきながら、宏太に更に力強く引き寄せられてやっと安堵している自分に了は気がつく。泣きたいほどに好きで、宏太のものにされて全部奪って貰えれば、そう願ってしまう。抱き締められながら自分の怒張に宏太の手が伸びるのに気がつき、身を捩って了はそれは要らないと訴える。
「い、後ろだけで、いいから、こぉた。」
「こんな、ガチガチにして……何言ってんだ…………ほら。」
「いい、後ろだけ、ぜん、ぶ、こぉたのもの、なるから、い。」
「いいから、ほら。」
必死に訴えてもスルリと怒張を撫でる指先がベルトを外して解放された途端、焼けつくような熱さで白濁を吹き上げて強すぎる絶頂に全身が弛緩してしまう。気持ち良すぎて腰がガクガクと痙攣しているみたいに蕩けてしまいながら、優しくて甘い声に耳を擽られる。
「後ろだけでなく…………ここも、俺のもんなんだぞ?……お前の精液も全部、俺のものだ。」
そんなことを囁かれチュと優しく甘く口付けて抱き締められる幸福に、了は焼ききれたようにそのまま意識が途切れてしまっていた。
流石に最低三日間の監禁の方が冗談になったのは翌日には了が恭平を気にして見舞いに行きたがったのと、何よりも宏太の方が空腹に勝てないからだった。同時に日曜の昼過ぎから流石に完全放置していた電話を取り上げた宏太が、各所からの情報を取りまとめたりなんだりで追われてしまったせいもある。
ところが一緒に仕事手伝うとと声をあげた了の方は、お前は後は今日は寝てるのが仕事だとベットから出しても貰えなかった。何しろ少しでも寝室の扉を開けると、まるで下から監視されてるように仕事部屋のドアが開いて、寝てろ!と宏太に怒鳴られてしまう。
「大丈夫だってば……。」
「明日まではキッチンに立つのも禁止だ!言うこと聞かないと、完全に拘束するぞ!」
完全拘束で寝れるかと思うが、あんまり怒らせると本気で宏太はやりかねないので、了は仕方なく部屋に戻るしかなかった。
※※※
日曜の夜、仕事場の中はピリピリした空気で張り詰めていたが、自業自得なので一先ず堪えながら黙々と仕事をすることに結城晴は決めた。コンサルタントではなく別な社長の知人の捜索やら情報の取りまとめ、お前には関係ない・一人でやると宏太は口にしたが、本来なら目が見える人間もいないと出来ない。だから、頭をおとなしく下げて手伝わせてくださいと申し出た。自分がやったのはかなり卑怯なことだと、十分理解しているから言い訳をする気もない。夜中になって何本か電話があって、幾つか新しい情報が入った辺りから少しだけ社長が抱えてる案件の状況が改善し始めたのが感じとれ始める。
「それで?」
電話口の会話が少しだけ刺々しさが緩和されているのに気がつく。そうしてそれならそっちは任せると安堵の声で告げた後、電話を切った宏太は暫しそのまま無言になった。
「何で……あんな嘘をついた?」
不意に問いかけてきたのは、宏太にもあの晴の嘘が理解できないからだろう。
了を意地でも仕事場にいれようとしないのは今ここに晴がいるからで、仕事場から二階の奥の寝室の了が動くような音を聞き分ける人間。そんな特殊能力聞いたことがないが、ラブホの扉と壁一枚程度で晴が了に向けていった卑猥な言葉や了の啜り泣く声を聞きわけてない筈がない。だからこそあの時動いたら殺すと威嚇され、その後も同じ室内にも入れたくなくて、了がこんなにも過保護に過干渉されてもいるのは分かってる。
「なんにも得しない……ほんとのことなんて。」
あの時の了は薬とかの副作用で、本気で訳が分からない状態だった。それを良いことに裸にしてレイプしたのは男として最低だ。それを償うべきなのは晴にだって言われなくても分かっているけど、記憶がなくて宏太以外の男としたんじゃって怖がって泣く了に自分とセックスしましたと晴が言って傷を改めてつける必要があるのか。セックスどころか一緒にラブホテルにいたことすら、了は忘れていると言うのに。
「それに、了は…………、俺とのセックスで気持ちよくなってない。」
セックスで互いに気持ちよくなったんなら、二人の秘密ということで押し通してまた答えは違うかもしれない。でも了は酩酊して触れたら直ぐ晴の手に射精するほどに昂っていて、それでも晴が陰茎を挿入した後は嫌と泣き続けた。何度もセックスした仲で了が何が気持ちいいか充分に晴は知っているのに、それでも了は嫌がって、いきそうになった晴にやめてくれと懇願したのだ。結局は嫌がっている相手を、晴は強姦して苦しめただけにすぎない。
それでも同じ状況でも、了は宏太にはまるで違う反応をした。
乱暴に挿入されてあっという間に快楽に上り詰め、絶頂に達して何度も痙攣していかせてと懇願して。快感に飲まれて震えながら縋りつき了は甘く何度も快感に懇願し続けて、中に注がれるのも何一つ拒否もしなかった。嫌な素振りなんかまるでない、ただひたすらに宏太を受け止めて喘ぐ艶かしい了。そしてその後も、了は宏太だけしか見ていない。
本気で好きであわよくばなんてやましい気持ちで無理矢理抱いた晴を完全に粉砕するほど、明確に了は自分が外崎宏太だけのものだと全身で宣言した。
それでも酷いことをしたのは現実で、それを思い出せなくて怖がって泣きじゃくる了の声を聞くのはキツい。そしてそれに優しい嘘すらつけない嘘の下手な宏太の姿が、晴には余計にキツかった。だから晴は男として最低の嘘をついた。
「最低の嘘だけど、それで了がもう泣かないなら、俺は最低の男でいいよ。」
了がいったのは手で扱いた時だけ。それは本当だけど、体は繋がってないと大嘘をつく。本当は泣いて気持ちよくなって欲しがったと嘘をついてやりたいけど、了がこれ以上本気で傷ついて泣くくらいならセックスしてないと言った方が同じ嘘でもましだ。
「綺麗事。」
「そうだよ、俺は狡いんだ。分かってる。」
狡い嘘。でも、理由は自分の保身ではなく、了が傷ついて泣くのが嫌だから。自分がしたかったわけでもなくて今は記憶にすらないのなら、されてないことにして晴と宏太だけが晴は拒絶されたと言う現実を知りながらそ知らぬ顔を続ける。罪から逃げるようでいて実は一番残酷な嘘で、了は覚えてないから、これからも晴には今までみたいに弟みたいに接して笑いながら話すに違いない。
フゥと宏太は深い溜め息をつくと、ボソリと今月の給料三割カットと呟く。思わぬ言葉にそんなんで許すのと晴が乾いた声で笑うと、俺は許さねぇけど了が泣くよりはましだなんて言い出す始末だ。
「あと二人きりも禁止。破ったら給料三割ずつカット。」
「なんなの?ずつって。」
「破ったら三割ずつひく。」
「……それ、四回目はマイナスってこと?」
当然だと言われて何それブラック企業!心が狭い!とブチブチ言う晴に、前科一犯になるよりゃましだろうがと低い威嚇の声が突っぱねる。ストーカーの癖にとブチブチ更に言う晴を宏太は完全に無視した風に、今夜やることは終わりだ・泊まるならゲストルームを使えといい機械の電源を落としていた。
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