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第十三章 大人の条件
間話1.馬鹿じゃないの?
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全くもって家の鬼畜の変態には困る、そう外崎了は心底思う。
昼間に偶々街中で榊恭平と鉢合わせて相談に乗っただけ、しかも結局はお互いにお互いの相手のノロケみたいな話だったんだ。こっちは最近宏太の色気に当てられてるって話だし、恭平は恭平でまだ好奇心満載の年頃の仁聖からエロ下着の話をされてるって馬鹿な話してたわけ。まあ恭平みたいなガチガチの堅物にエロ下着なんて仁聖にしか言えないと思うし、あれだと満更拒否って感じでもない。あれは一回くらいは履くんじゃないかなと思うのは、ここだけの話し。
「全く……外で何話してるんだか……。」
そう俺達のまあ下ネタな話を大人の口振りで遮った宏太は大人げないことに、俺がなんとか一旦逃げ出す前にサックリ捕獲してタクシーまで使って帰宅し即ベットに引きずり込んだ。『茶樹』であの顔を見上げてこれはヤバイと思ったから、ほとぼりが覚めるまで松理姐さんのとこに逃げようと思ったのに、俺がそれすらする隙が宏太にはみつけられなかったんだ。
そうして呆れた声で囁きながら、家の鬼畜が俺にやっている事が事。
先日あれほどキレた時には拘束はなしって約束したろうがと思うけど、手首と足首には皮の枷をはめられて、それぞれ左右で固定。所謂M字開脚で足首に手首を繋がれてて足首は棒で開脚状態で、腰のしたのたかが枕一つのせいで全く体が動かせない。こういう体勢にすると動けないって宏太は熟知してて、しかも隠したいところは全く隠せないし相手には触りたい放題な訳。
最初の内は抗議もできたんだけど、もう怒鳴ろうにも既に声にならない状況。
拘束され身動きとれない状態で、ユルユルと緩慢に乳首と亀頭と前立腺を集中で刺激されているのに散々喘がされている。しかも宏太の愛撫にとてつもなく気持ちよくされていくのに、絶頂だけは完全に寸止めし続けられているんだ。
それにしても大の字に固定とかの方が感じるのかと思ってたんだけど、膝を曲げて手首と足首を固定されるこれが実は一番クルって、宏太とこうなってからつくづく知った。って言うのも大の字なら手足に力をいれて突っ張ることで、少しは感覚が操れるんだよな。だけどM字開脚とかって足に全然力が入らないし、力をいれようにも手首も繋がってるから上手くいかない。お産の時の女の人がこの格好なのって、力が入らない体勢をにするため?なんて思わず考えてしまう。そんな状態で完全に絶頂に昇り詰めるって、ほんと自分ではどうしようもなくなるんだ。
「んっんんっうっ!あ、んんっ!」
何とか言い訳なり制止なりしようにも言葉は全て口から出ると喘ぎに変わってしまって、何一つとして形にならないでいる。頭を振ってなんとか理性を保とうと足掻くけど、宏太の容赦ない愛撫に全身が燃え上がってしまっていて今にも理性が途切れそうで。最近綺麗になり始めた宏太の舌が、ユルリと先端だけを舐め回しユックリ亀頭の裏側を這うのが気持ち良すぎて腰がガクガクと震えてしまう。しかも体内に潜り込んだ指がクリクリと中の気持ちいいとこだけを刺激して、つまりは気持ち良すぎて全然抵抗できない。
「も、やだぁっ……こぉたっ……あうっ!」
「了は悪い子だから、もう少し泣かせとかないとな?ん?」
「ふああっ!あっああっ!い……いくっ…………いっ!!」
二十六の男二人が、しかもどちらも自分の相手の話をしててだぞ?それにキレられても困ると思わないか?全く何処から聞いててぶちギレてんだよと俺だって言いたい。しかもまたもや絶頂まで後ほんの少しってところで、目も見えてない筈の男は図ったようにピタッと全ての愛撫を止めてしまう。
「やあっ!あっああっ……も、やぁっ……こおたぁ……も。」
「下着なんて必要ねぇよな?こんなにドロドロにして…………ん?」
チュと音をたててまた怒張の先端だけをねぶられ、了の声が鋭く跳ね上がる。やっぱりそこか、そこじゃないかなって思ってたんだと心の中で思う。そりゃ宏太が目が見えて履いたら楽しめるんなら、了だって迷わず履くと思うけど宏太は目が見えないんだ。了だって宏太の答えを聞かなくても、そんな下着は必要ないって言うのは当然だってちゃんと分かってる。そこにキレられても……
「ふぅっ……こぉた、が、……はぁっ……見えてたら、って話だろぉ……ばかぁ……あ。」
絶え絶えの吐息で何とかそう言葉にして押し出した途端、ユルリと執拗に鈴口を中心に先端を舐め回していた舌が止まり口が離れるチュパという淫らな音が響く。今度はいきかけたわけでもないのに舌が離れたのに少しだけ安息の息をつきながら、それでも既に快感に蕩け始めた頭で目の前の男を見上げる。ところがそこで珍しく戸惑うような顔をしている宏太に気がついた。
「こぉたぁ……?」
荒い吐息の中で思わず呼び掛けると宏太が少し迷うような様子を見せてから、バサリと音をたてて服を脱ぐのが見えて欲情し始めた本能が頭の中でチカチカと瞬く。滑らかでしなやかな筋肉のついた体、それに男っぽい体つき。傷痕は勿論変わらないけど、それでも見ているだけでこんなにも了は興奮してしまう。そうして裸になった宏太がまるで指先で確かめるように色々な場所を撫でながら、スルリと了の両足の間に体を沈めてくる。
「了。」
「んぅ……こぉたぁ……も、むりぃ……。」
正直相手の裸をみてメロメロになってるのは了の方で、これで目の前で宏太にエロい下着なんか履かれたら自分でもどうなってしまうんだか分からないし判断に困る。そう気がついたら、やっぱり答えは相手次第なんだと了は確信してしまう。相手が誰かが一番の問題で、下着とかってオプションは結局は附属品に過ぎないんだ。
「手、外してぇ……こぉた、も、だめ……こぉたぁ。」
必死に強請ってしまうのは逃げ出すためじゃなくて宏太に縋りつきたいからで、その声に戸惑う様子の宏太も流石に折れてくれたみたいだ。体勢を大きく変えることもなく、意図も容易く手枷と足枷を外す。それにしても慣れてるからとはいえ片手で枷なんかをスルッと外せるのは凄いと思うが、それにしたって嵌められるのに慣れたい訳じゃないと後で抗議しないと。それでも自由になった手で宏太の首に腕を回して引き寄せる。
「こおた……して、はやく……。」
引き寄せて口付け耳元に甘えながら強請る声に、何でか宏太が赤くなるのが見えた。何に宏太が戸惑ったかよく分からないが、それまで散々に寸止めばかりで限界の了にはそこを追求する余裕なんて今はない。しかも目の前で脱がれて色気を振り撒かれたら、早くなんとかして貰いたくて縋りつくしか頭に浮かばなかった。
「こぉたぁ……。」
「欲しいか?……了。」
「ほし……はやくぅ……。」
女みたいに甘ったる強請る声が自然と出てしまうのは、宏太が了に欲情して凄まじい色気を駄々漏れにしてるのが悪い。そう思いながら体に押し当てられる怒張の熱さに喉がなり、思わず大きく足を開いて受け入れようとしてしまう。それに宏太は柔らかな甘い声で良い子だなと囁き、音をたてて腰を突きいれ始めていた。
その後の事はもう訳がわからないのは、寸止めで完全に理性の限界だったせいだ。あの後どれくらいしてたのかも分からないし、何度いったか出されたかもよくわからない。気がついた時には今一体何日の何時?の世界。宏太は了の事をいつも通りガッチリと抱き枕にしているし、了の方は完璧に腰はガタガタで喉も痛む。つまりは身動きとれないのに、目下抱き上げられたままでグッタリしている有り様だ。
「なんなんだよ…………この、絶倫……。」
「ああ?お前が悪いんだろ。」
思わず呟くと寝てたと思ったのに、宏太がサラリと答える。いや、悪いって会話の内容はどう考えても、ここまでされる事じゃないと思うんだ。だって宏太が聞いてたのって何処からなんだよと掠れ声で捲し立ててやる。
「何処から聞いてて……何考えたんだよ?」
「…………。」
「何処から聞いてたって、俺は、聞いてんだけど?宏太。」
無言になって話をそらそうとしてるけど、もう寝てないのは分かってるし。今になってだけどあの戸惑いの顔がなんだったか、薄々気がついてるんだけど?珍しく殆ど聞いてなくて宏太は勘違いしてると思うんだ。
「宏太、素直に言わないと、俺、マジで怒ると思うけど。」
「…………好きなやつが好みのを着るのはあり。」
……それでも思ったより前から聞いてたな。もう少し後からかと思ったんだけど、それにしたって下着の話しのとこは聞いてた訳だ。あの時丁度了は店の入り口に背を向けた席だったから、宏太が入店したのは気がつかなかった。確かあの後したのは男だって勝負パンツ位あるって話で、何でそんな初歩的な話なんだと恭平に問い返していた筈だ。恭平は性欲が薄いのか女性の下着に興味を持ったことがなかったなんて言うし、そんな恭平が何で下着と思ったら容易く答えはわかった。恭平は興味がなくても、まだ大学生になったばかりのヤンチャ坊主はそういうのに興味があってもおかしくないよな。
何?エロいの履いて欲しいとか?そっかぁ、まだ若いもんなー。興味あるよな。
それに赤くなって俯いてしまう恭平。その後履いたのか聞いたら履くわけがないといわれて、自分ならどうすると問い返された。こっちとしては当然宏太は目が見えないから見て喜べないのは分かってるけど、宏太が喜ぶなら履くかなぁなんて答えたわけだ。そこに既に不機嫌な、宏太が話を中断した訳だけど……
「……何?俺が恭平にエロ下着、履いて見せるって思ったわけ?」
「………………。」
「……馬鹿なの?」
無言の肯定に呆れたくなる。
いや確かに言葉だけ聞いてたらそうとれなくもないかもしれないけど、なんで今更榊恭平の前で俺がエロ下着履いてやんなきゃならないわけ?しかもキレた時は拘束しないって約束だったよな?と言い放ってやる。
「……。」
返事をしない当たり、自分が珍しく完全に誤解したのは自覚してるんだなと思う。それにしたって少し考えたら、了が誰の前で下着を履いてもいいかななんて言ったかなんて分かりそうなものだ。
「……見えないから……見える奴の前で履くって話しかと思った。」
「……馬鹿じゃないの……宏太の前なら兎も角、なんで恭平だよ。」
「前欲しかったんだろ?」
そう答える宏太に全くと呆れながら、口付けてやる。確かに高嶺の花だった恭平をものにしようとしたことはあるし、その為に酷いことをしたのは事実だ。でも恭平は源川仁聖に心底惚れてて、了は愚かな道化になっただけ。しかもそれだって本当は、もっと以前から傍にいたかった人間の身代わりだった。でもそれは了の中の事であって、宏太がどこまで知っているかは別な話だ。
「……そう前の話し蒸し返すなってば。…………俺はもう全部あんたのものなんだぞ?」
そう囁くように甘えた声で言ってやると見る間に顔を赤くして、宏太は了の事をしっかりと抱き締めて悪かったと呟く。全くヤキモチ焼きで困るなと呟きながらまた口付けると、少し反省して萎れた様子で宏太がもう一度謝ってくるのに了は思わず笑ってしまう。
※※※
「約束は約束だよな?」
賑やかにニッコリと微笑みながらそう告げた了に、無言で宏太が抵抗しているのは言うまでもない。寝る段取りになっておやすみと口付けた了がやおら立ち上がったのに宏太が慌てて手をとったのは言うまでもないが、何処にいくんだ?と問われた了はゲストルームと平然と言うのだ。しかも確かにそれは宏太が以前了と約束したのは事実で、破ったら暫くゲストルームで寝るからと宣言もされていた。
「了……。」
「約束したよな?キレた時は?」
「拘束しない……。」
だよなと了には言われるが、そうだなと素直に手を離すわけにもいかない。何せ一緒に住み始めて、一度も傍を離して寝たことがないのだ。いや一人で眠れないわけではないが、それでもこれは承諾しがたい事態だ。了が傍にいるのに離れて眠る?なんでそんなことに納得できる?顔にはそれほど出てないだろうが、実のところ宏太の頭の中は今まで経験したことがない程大混乱している。
「離せよ。」
「…………。」
無言の抵抗をしようにも了は地味に本気で怒っていて、一向に折れる気がないのは抵抗を感じる手からよく分かる。分かるがどうしても一緒にいて欲しい自分がこれをどう対応するべきなのか、宏太にはちっとも分からないのだ。こんな風に困るなんてことは正直なところ産まれて初めて。今までなら面倒なら、そうかと直ぐ様手を離した筈なのに、今はどうしても手が離せない。無理やりベットに引きずり込むってのも考えたが、それで更に了を怒らせてしまったら?もし出ていくなんて言われた日には、きっとこんなパニック程度じゃすまない。
「了……頼む。」
そうして結果として世にも珍しいことに素直に頼む事にしたのは、あの宏太が困りきって最善の方法が一つも考え出せなかったからだ。言葉で言いくるめることも実力行使もできないで、唯一できたのが懇願。そんな思わぬ言葉に了の手から少しだけ力が抜けるのに、宏太は更に真剣に頼み込んでいる自分に気がつく。
「一緒にいてくれ……、頼むから。」
傍にいてくれと今までこんな風に誰かに懇願したことのない男が、手を握りしめて了を引き留め必死に言う。過去にした最初のプロポーズですらこんなに真摯に告げていない、何しろ希和に『結婚しておかない?』と言われて当時は穏やかな口調だったから、宏太はそうだねと答えただけだ。それでも今ここで了に離れられるのは嫌だ。何でか分からないけど凄く嫌で、触れさせてくれなくて構わないから傍にいて欲しいと懇願する。
「……なんだよ……。」
それに微かに温度を上げた手が、離れようとする抵抗を完全にやめたのに気がつく。全くと呟きながら引かれるままにベットに戻ってくれたのに安堵してホッと息をつくと、尚更掌の温度が上がったような気がする。情けない懇願に呆れてるのかと思い黙りこむと片膝を立てて座り込んでいる自分の懐に、了はまるで潜り込むように座って夜着の襟元を掴んで不意に宏太を引き寄せて口付けてきた。
「そんなに必死に嫌がるなら、約束は守れよ、馬鹿。」
その通りなのだが、あれは了が目の見えて片倉右京に少し似ているという榊という青年に、興味を再び持ったのではないかと焦ったのだ。男としてもちゃんと勃起も射精も可能な了だったら、右京のような人物がいたらきっと抱ける筈。それに以前榊が欲しくてモノにしようとしていたとも聞いているし、そんな人物と二人で下着の話しをしているのを聞いたら不安になるだろう?自分はこんな体なのに、滑らかな手触りの了の体は傷一つないのは分かっている。しかも話し相手も恐らく傷一つない体で、綺麗な男なのだろうし。
「もう…………そんな、落ち込むなよ……こぉた……。」
魅惑的に響く甘い声で耳元に囁き、また襟元を掴んで了の方から口付けられる。こんなに可愛い事をする了がエロ下着で他人の前になんて許せる訳がなかったから、宏太は自分以外に感じないようになるまで本気で全力を注いで仕込む気だった。ところが真っ最中に了が喘ぎの合間に呟いた真実は、了がそんなものを履いてもいいかなと思ったのは自分の前、でも自分の目が見えないから意味がないとも考えついて、つまりは言葉だけを鵜呑みにした宏太の大きな勘違いだったわけだ。それにしても何で二人でエロ下着の話だ、そこからして勘違いしてもおかしくないだろうが、自分は目が見えないんだぞと思う。それでも見えなくても淫らな下着を履く了には、実は密かにそそられてしまう。
「……こおた……愛してる……。」
「了…………。」
「もう、次は駄目だぞ?…………約束は約束だからな?」
素直に分かったと呟きながら思わず腰を抱くと素直に了は腕の中で身を任せてくれて、宏太は安堵しながら抱き締めてベットに横になる。どうしても離したくないのは了だからで、この体温と香り、この抱き心地がない眠りはもう嫌だと思ってしまう。あんな約束しなきゃよかったと染々考えながら、宏太は確りと了を抱き締めたままユルユルと眠りに落ちていた。
昼間に偶々街中で榊恭平と鉢合わせて相談に乗っただけ、しかも結局はお互いにお互いの相手のノロケみたいな話だったんだ。こっちは最近宏太の色気に当てられてるって話だし、恭平は恭平でまだ好奇心満載の年頃の仁聖からエロ下着の話をされてるって馬鹿な話してたわけ。まあ恭平みたいなガチガチの堅物にエロ下着なんて仁聖にしか言えないと思うし、あれだと満更拒否って感じでもない。あれは一回くらいは履くんじゃないかなと思うのは、ここだけの話し。
「全く……外で何話してるんだか……。」
そう俺達のまあ下ネタな話を大人の口振りで遮った宏太は大人げないことに、俺がなんとか一旦逃げ出す前にサックリ捕獲してタクシーまで使って帰宅し即ベットに引きずり込んだ。『茶樹』であの顔を見上げてこれはヤバイと思ったから、ほとぼりが覚めるまで松理姐さんのとこに逃げようと思ったのに、俺がそれすらする隙が宏太にはみつけられなかったんだ。
そうして呆れた声で囁きながら、家の鬼畜が俺にやっている事が事。
先日あれほどキレた時には拘束はなしって約束したろうがと思うけど、手首と足首には皮の枷をはめられて、それぞれ左右で固定。所謂M字開脚で足首に手首を繋がれてて足首は棒で開脚状態で、腰のしたのたかが枕一つのせいで全く体が動かせない。こういう体勢にすると動けないって宏太は熟知してて、しかも隠したいところは全く隠せないし相手には触りたい放題な訳。
最初の内は抗議もできたんだけど、もう怒鳴ろうにも既に声にならない状況。
拘束され身動きとれない状態で、ユルユルと緩慢に乳首と亀頭と前立腺を集中で刺激されているのに散々喘がされている。しかも宏太の愛撫にとてつもなく気持ちよくされていくのに、絶頂だけは完全に寸止めし続けられているんだ。
それにしても大の字に固定とかの方が感じるのかと思ってたんだけど、膝を曲げて手首と足首を固定されるこれが実は一番クルって、宏太とこうなってからつくづく知った。って言うのも大の字なら手足に力をいれて突っ張ることで、少しは感覚が操れるんだよな。だけどM字開脚とかって足に全然力が入らないし、力をいれようにも手首も繋がってるから上手くいかない。お産の時の女の人がこの格好なのって、力が入らない体勢をにするため?なんて思わず考えてしまう。そんな状態で完全に絶頂に昇り詰めるって、ほんと自分ではどうしようもなくなるんだ。
「んっんんっうっ!あ、んんっ!」
何とか言い訳なり制止なりしようにも言葉は全て口から出ると喘ぎに変わってしまって、何一つとして形にならないでいる。頭を振ってなんとか理性を保とうと足掻くけど、宏太の容赦ない愛撫に全身が燃え上がってしまっていて今にも理性が途切れそうで。最近綺麗になり始めた宏太の舌が、ユルリと先端だけを舐め回しユックリ亀頭の裏側を這うのが気持ち良すぎて腰がガクガクと震えてしまう。しかも体内に潜り込んだ指がクリクリと中の気持ちいいとこだけを刺激して、つまりは気持ち良すぎて全然抵抗できない。
「も、やだぁっ……こぉたっ……あうっ!」
「了は悪い子だから、もう少し泣かせとかないとな?ん?」
「ふああっ!あっああっ!い……いくっ…………いっ!!」
二十六の男二人が、しかもどちらも自分の相手の話をしててだぞ?それにキレられても困ると思わないか?全く何処から聞いててぶちギレてんだよと俺だって言いたい。しかもまたもや絶頂まで後ほんの少しってところで、目も見えてない筈の男は図ったようにピタッと全ての愛撫を止めてしまう。
「やあっ!あっああっ……も、やぁっ……こおたぁ……も。」
「下着なんて必要ねぇよな?こんなにドロドロにして…………ん?」
チュと音をたててまた怒張の先端だけをねぶられ、了の声が鋭く跳ね上がる。やっぱりそこか、そこじゃないかなって思ってたんだと心の中で思う。そりゃ宏太が目が見えて履いたら楽しめるんなら、了だって迷わず履くと思うけど宏太は目が見えないんだ。了だって宏太の答えを聞かなくても、そんな下着は必要ないって言うのは当然だってちゃんと分かってる。そこにキレられても……
「ふぅっ……こぉた、が、……はぁっ……見えてたら、って話だろぉ……ばかぁ……あ。」
絶え絶えの吐息で何とかそう言葉にして押し出した途端、ユルリと執拗に鈴口を中心に先端を舐め回していた舌が止まり口が離れるチュパという淫らな音が響く。今度はいきかけたわけでもないのに舌が離れたのに少しだけ安息の息をつきながら、それでも既に快感に蕩け始めた頭で目の前の男を見上げる。ところがそこで珍しく戸惑うような顔をしている宏太に気がついた。
「こぉたぁ……?」
荒い吐息の中で思わず呼び掛けると宏太が少し迷うような様子を見せてから、バサリと音をたてて服を脱ぐのが見えて欲情し始めた本能が頭の中でチカチカと瞬く。滑らかでしなやかな筋肉のついた体、それに男っぽい体つき。傷痕は勿論変わらないけど、それでも見ているだけでこんなにも了は興奮してしまう。そうして裸になった宏太がまるで指先で確かめるように色々な場所を撫でながら、スルリと了の両足の間に体を沈めてくる。
「了。」
「んぅ……こぉたぁ……も、むりぃ……。」
正直相手の裸をみてメロメロになってるのは了の方で、これで目の前で宏太にエロい下着なんか履かれたら自分でもどうなってしまうんだか分からないし判断に困る。そう気がついたら、やっぱり答えは相手次第なんだと了は確信してしまう。相手が誰かが一番の問題で、下着とかってオプションは結局は附属品に過ぎないんだ。
「手、外してぇ……こぉた、も、だめ……こぉたぁ。」
必死に強請ってしまうのは逃げ出すためじゃなくて宏太に縋りつきたいからで、その声に戸惑う様子の宏太も流石に折れてくれたみたいだ。体勢を大きく変えることもなく、意図も容易く手枷と足枷を外す。それにしても慣れてるからとはいえ片手で枷なんかをスルッと外せるのは凄いと思うが、それにしたって嵌められるのに慣れたい訳じゃないと後で抗議しないと。それでも自由になった手で宏太の首に腕を回して引き寄せる。
「こおた……して、はやく……。」
引き寄せて口付け耳元に甘えながら強請る声に、何でか宏太が赤くなるのが見えた。何に宏太が戸惑ったかよく分からないが、それまで散々に寸止めばかりで限界の了にはそこを追求する余裕なんて今はない。しかも目の前で脱がれて色気を振り撒かれたら、早くなんとかして貰いたくて縋りつくしか頭に浮かばなかった。
「こぉたぁ……。」
「欲しいか?……了。」
「ほし……はやくぅ……。」
女みたいに甘ったる強請る声が自然と出てしまうのは、宏太が了に欲情して凄まじい色気を駄々漏れにしてるのが悪い。そう思いながら体に押し当てられる怒張の熱さに喉がなり、思わず大きく足を開いて受け入れようとしてしまう。それに宏太は柔らかな甘い声で良い子だなと囁き、音をたてて腰を突きいれ始めていた。
その後の事はもう訳がわからないのは、寸止めで完全に理性の限界だったせいだ。あの後どれくらいしてたのかも分からないし、何度いったか出されたかもよくわからない。気がついた時には今一体何日の何時?の世界。宏太は了の事をいつも通りガッチリと抱き枕にしているし、了の方は完璧に腰はガタガタで喉も痛む。つまりは身動きとれないのに、目下抱き上げられたままでグッタリしている有り様だ。
「なんなんだよ…………この、絶倫……。」
「ああ?お前が悪いんだろ。」
思わず呟くと寝てたと思ったのに、宏太がサラリと答える。いや、悪いって会話の内容はどう考えても、ここまでされる事じゃないと思うんだ。だって宏太が聞いてたのって何処からなんだよと掠れ声で捲し立ててやる。
「何処から聞いてて……何考えたんだよ?」
「…………。」
「何処から聞いてたって、俺は、聞いてんだけど?宏太。」
無言になって話をそらそうとしてるけど、もう寝てないのは分かってるし。今になってだけどあの戸惑いの顔がなんだったか、薄々気がついてるんだけど?珍しく殆ど聞いてなくて宏太は勘違いしてると思うんだ。
「宏太、素直に言わないと、俺、マジで怒ると思うけど。」
「…………好きなやつが好みのを着るのはあり。」
……それでも思ったより前から聞いてたな。もう少し後からかと思ったんだけど、それにしたって下着の話しのとこは聞いてた訳だ。あの時丁度了は店の入り口に背を向けた席だったから、宏太が入店したのは気がつかなかった。確かあの後したのは男だって勝負パンツ位あるって話で、何でそんな初歩的な話なんだと恭平に問い返していた筈だ。恭平は性欲が薄いのか女性の下着に興味を持ったことがなかったなんて言うし、そんな恭平が何で下着と思ったら容易く答えはわかった。恭平は興味がなくても、まだ大学生になったばかりのヤンチャ坊主はそういうのに興味があってもおかしくないよな。
何?エロいの履いて欲しいとか?そっかぁ、まだ若いもんなー。興味あるよな。
それに赤くなって俯いてしまう恭平。その後履いたのか聞いたら履くわけがないといわれて、自分ならどうすると問い返された。こっちとしては当然宏太は目が見えないから見て喜べないのは分かってるけど、宏太が喜ぶなら履くかなぁなんて答えたわけだ。そこに既に不機嫌な、宏太が話を中断した訳だけど……
「……何?俺が恭平にエロ下着、履いて見せるって思ったわけ?」
「………………。」
「……馬鹿なの?」
無言の肯定に呆れたくなる。
いや確かに言葉だけ聞いてたらそうとれなくもないかもしれないけど、なんで今更榊恭平の前で俺がエロ下着履いてやんなきゃならないわけ?しかもキレた時は拘束しないって約束だったよな?と言い放ってやる。
「……。」
返事をしない当たり、自分が珍しく完全に誤解したのは自覚してるんだなと思う。それにしたって少し考えたら、了が誰の前で下着を履いてもいいかななんて言ったかなんて分かりそうなものだ。
「……見えないから……見える奴の前で履くって話しかと思った。」
「……馬鹿じゃないの……宏太の前なら兎も角、なんで恭平だよ。」
「前欲しかったんだろ?」
そう答える宏太に全くと呆れながら、口付けてやる。確かに高嶺の花だった恭平をものにしようとしたことはあるし、その為に酷いことをしたのは事実だ。でも恭平は源川仁聖に心底惚れてて、了は愚かな道化になっただけ。しかもそれだって本当は、もっと以前から傍にいたかった人間の身代わりだった。でもそれは了の中の事であって、宏太がどこまで知っているかは別な話だ。
「……そう前の話し蒸し返すなってば。…………俺はもう全部あんたのものなんだぞ?」
そう囁くように甘えた声で言ってやると見る間に顔を赤くして、宏太は了の事をしっかりと抱き締めて悪かったと呟く。全くヤキモチ焼きで困るなと呟きながらまた口付けると、少し反省して萎れた様子で宏太がもう一度謝ってくるのに了は思わず笑ってしまう。
※※※
「約束は約束だよな?」
賑やかにニッコリと微笑みながらそう告げた了に、無言で宏太が抵抗しているのは言うまでもない。寝る段取りになっておやすみと口付けた了がやおら立ち上がったのに宏太が慌てて手をとったのは言うまでもないが、何処にいくんだ?と問われた了はゲストルームと平然と言うのだ。しかも確かにそれは宏太が以前了と約束したのは事実で、破ったら暫くゲストルームで寝るからと宣言もされていた。
「了……。」
「約束したよな?キレた時は?」
「拘束しない……。」
だよなと了には言われるが、そうだなと素直に手を離すわけにもいかない。何せ一緒に住み始めて、一度も傍を離して寝たことがないのだ。いや一人で眠れないわけではないが、それでもこれは承諾しがたい事態だ。了が傍にいるのに離れて眠る?なんでそんなことに納得できる?顔にはそれほど出てないだろうが、実のところ宏太の頭の中は今まで経験したことがない程大混乱している。
「離せよ。」
「…………。」
無言の抵抗をしようにも了は地味に本気で怒っていて、一向に折れる気がないのは抵抗を感じる手からよく分かる。分かるがどうしても一緒にいて欲しい自分がこれをどう対応するべきなのか、宏太にはちっとも分からないのだ。こんな風に困るなんてことは正直なところ産まれて初めて。今までなら面倒なら、そうかと直ぐ様手を離した筈なのに、今はどうしても手が離せない。無理やりベットに引きずり込むってのも考えたが、それで更に了を怒らせてしまったら?もし出ていくなんて言われた日には、きっとこんなパニック程度じゃすまない。
「了……頼む。」
そうして結果として世にも珍しいことに素直に頼む事にしたのは、あの宏太が困りきって最善の方法が一つも考え出せなかったからだ。言葉で言いくるめることも実力行使もできないで、唯一できたのが懇願。そんな思わぬ言葉に了の手から少しだけ力が抜けるのに、宏太は更に真剣に頼み込んでいる自分に気がつく。
「一緒にいてくれ……、頼むから。」
傍にいてくれと今までこんな風に誰かに懇願したことのない男が、手を握りしめて了を引き留め必死に言う。過去にした最初のプロポーズですらこんなに真摯に告げていない、何しろ希和に『結婚しておかない?』と言われて当時は穏やかな口調だったから、宏太はそうだねと答えただけだ。それでも今ここで了に離れられるのは嫌だ。何でか分からないけど凄く嫌で、触れさせてくれなくて構わないから傍にいて欲しいと懇願する。
「……なんだよ……。」
それに微かに温度を上げた手が、離れようとする抵抗を完全にやめたのに気がつく。全くと呟きながら引かれるままにベットに戻ってくれたのに安堵してホッと息をつくと、尚更掌の温度が上がったような気がする。情けない懇願に呆れてるのかと思い黙りこむと片膝を立てて座り込んでいる自分の懐に、了はまるで潜り込むように座って夜着の襟元を掴んで不意に宏太を引き寄せて口付けてきた。
「そんなに必死に嫌がるなら、約束は守れよ、馬鹿。」
その通りなのだが、あれは了が目の見えて片倉右京に少し似ているという榊という青年に、興味を再び持ったのではないかと焦ったのだ。男としてもちゃんと勃起も射精も可能な了だったら、右京のような人物がいたらきっと抱ける筈。それに以前榊が欲しくてモノにしようとしていたとも聞いているし、そんな人物と二人で下着の話しをしているのを聞いたら不安になるだろう?自分はこんな体なのに、滑らかな手触りの了の体は傷一つないのは分かっている。しかも話し相手も恐らく傷一つない体で、綺麗な男なのだろうし。
「もう…………そんな、落ち込むなよ……こぉた……。」
魅惑的に響く甘い声で耳元に囁き、また襟元を掴んで了の方から口付けられる。こんなに可愛い事をする了がエロ下着で他人の前になんて許せる訳がなかったから、宏太は自分以外に感じないようになるまで本気で全力を注いで仕込む気だった。ところが真っ最中に了が喘ぎの合間に呟いた真実は、了がそんなものを履いてもいいかなと思ったのは自分の前、でも自分の目が見えないから意味がないとも考えついて、つまりは言葉だけを鵜呑みにした宏太の大きな勘違いだったわけだ。それにしても何で二人でエロ下着の話だ、そこからして勘違いしてもおかしくないだろうが、自分は目が見えないんだぞと思う。それでも見えなくても淫らな下着を履く了には、実は密かにそそられてしまう。
「……こおた……愛してる……。」
「了…………。」
「もう、次は駄目だぞ?…………約束は約束だからな?」
素直に分かったと呟きながら思わず腰を抱くと素直に了は腕の中で身を任せてくれて、宏太は安堵しながら抱き締めてベットに横になる。どうしても離したくないのは了だからで、この体温と香り、この抱き心地がない眠りはもう嫌だと思ってしまう。あんな約束しなきゃよかったと染々考えながら、宏太は確りと了を抱き締めたままユルユルと眠りに落ちていた。
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