鮮明な月

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間章 ちょっと合間の話

100万字到達記念SSその1・源川仁聖×榊恭平

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最近の仁聖の変化に実はついていけていない。

そう溜め息混じりに恭平は仕事の合間、一人そう呟きデスクに頬杖をつく。去年の初夏に大型犬のように纏わりつく子供のようだった高校生だった仁聖は、突然自分を抱くというとんでもない行動に出た。それからの怒濤の変化は恭平自身も受け入れたからこその変化だが、当の仁聖自身が年末にかけていきなりの成長期が訪れたのだ。

何で高三で身長が十センチ近く伸びる?

気がついたら自分よりも背が高く顔立ちも大人びてきた仁聖は、目下モデルにスカウトされてしまった。モデルのためと髪を切り、普段からそれほど気を使う様子でもなかったのに、最近では最低限のスキンケアも始めたようだ。しかも最初の数週間でガッチリ立ち振舞いの訓練もされ、今では完璧にそれを身に付けたらしく歩く姿勢が良くなって

普段着で歩いてても変わり過ぎ………

と言うより普段の服装ですら以前とは違って洗練されてきているわけで、この状況で大学生活を始めたばかり。つまりは高校生の時とは比べ物にならない程、大人の男に成長し始めたわけだ。方や自分と来たらと考えると恭平だって溜め息が出ても仕方がない。仕事柄そんなに出歩くわけではないし、食べても体重は増えない。散々仁聖に食事に気を使われているが、どうしたって食事量は増えてるのに全く身にならないのだ。

大体にしてだな……元々太りにくい体質なんだよな、俺は。

思わず自分の体を見下ろすが、実は太らないので筋肉もつきにくく、生来のコンプレックスなのだ。しかも最近はちゃんと食事をしている方だが、元々余り量を食べる方でもなかったしと独り言い訳してみる。

それにしてもあんなに変化しなくても良いと思う。

正直自分と比較しても仁聖のキラキラした感じには、自分にはどうしたって得られるわけでもなく何でか落ち込んでしまう有り様だ。元々仁聖のような社交的なタイプでもないし、内向的でネガティブなんだよとまた溜め息が溢れてしまう。

「………なんでかなぁ……。」

もう少し自分も変われれば良いのかもしれないが、生まれつきのものと境遇で育ててしまった気質だから今更変えようもない。そんなことを鬱々とこんな風に悩んでいるなんて、馬鹿馬鹿しいと分かってはいる。それでも仁聖の変化に溜め息が出てしまうのは、仁聖に惚れていて仁聖ばかりが格好良くなっていくからだ。そんなことを独り悶々と考えていると、手元のスマホにLINEが届く。

《なぁ一晩中やり続けるって、そっちでもあり?》

唐突に何の話だよと呆れ果てるが、相手は旧姓成田・現在では外崎了だ。最近了は昔から密かに惚れていたのだという男性と、なんと養子縁組までして一緒に住み始めた。しかも以前は了は自分を抱こうとしていたタチだったのだが、現在では嫁扱いな辺り

大幅変化するっていうところは似てるのか……

まあこうしてひっそりと了と交流が再開した訳だが了の変化は中々驚きもので、村瀬篠に教えたらあの篠がポカーンと暫く言葉もでなかった。しかも仁聖とも一応LINE交換したという辺り、本来の社交性の高さは仁聖と了はどっこいだと思う。

《唐突に何の話だよ。》
《決まってんだろ?仁聖って一晩中起つ?》

思わずその問いかけにガックリと肩を落としたくなる。なんなんだ、この脈絡のない質問。いや、正直に言えば意図が分からないわけではないが、ノロケかこれは。

《ノロケか?》
《違う!》

違わないだろ?お相手のあの外崎宏太という人が、案外精力的な男性だと遠回しに言いたいんだろうがと打ち込んでやると、既読になってから暫く間が空いた。これはどうやら本気で気がつかずに了は、恭平にノロケを打ち込んでいた様子だ。

《……そういうつもりじゃない………けど。》

どうやら今更だが、自分の打っている内容が自分から性生活を暴露して自爆しているとやっと気がついたらしい。それにしてもこんな内容を了と話す間になるなんて、これはもう世も末だとしか思えない。

《でもさ?一晩中って辛くね?》
《……そりゃ辛いけど。》
《どうやって断る?》

んん?断る………?断るような事態には仁聖はちゃんと事前に判断できるから余りないなぁ等と真面目に答えてしまってから、恭平はハッと我に返って頬を染めた。自分まで何でかつられて一晩中があると暴露したのだ。

なんで俺も真面目に答えるか。

思わず頭を抱えてしまったが、スマホの向こうの了には見えるわけでもなく。了からやっぱりそういうもんだよなぁと馬鹿正直な反応が帰ってきたのが余計恥ずかしい。何で仁聖の急な成長で独り自己嫌悪に入った上に、了の性生活の悩み相談なんかしてなきゃいけないんだ。思わず恭平は再び溜め息をついてしまっていた。



※※※



最近の恭平は気がつくと溜め息ばかりついている。
大学に通い初めて早くも半月ほど。仁聖も新しい生活に馴染むのに必死だったのは事実なのだが、最近気がつくと恭平が溜め息をついているのに気がつく。どうしたの?と問いかけても、恭平の方は慌てて何でもないと微笑むけれどどう見たって何でもなくはない。

愁い顔で悩ましい溜め息をつかれて、何でもないって……。

恭平は気がついていないのだろうが、最近とみに艶めかしい恭平の溜め息が外でも出ているのかと思うと正直気がきではないのだ。榊恭平という人間は、全くもって自分の容姿に頓着しない。涼やかで秀麗、まるでキメの細かい滑らかな肌は、白くて眩い程なのに、自分が目を惹く容姿なのだと何一つ気がついてないのが不思議だ。

元々綺麗なのに、それがちょっとコンプレックスみたいだからかな?

綺麗と表現されるのが嫌なのかも知れないし、母親似と言われるのが嫌だからかもしれない。それにしたって誰より美人なのに、それにはどう言ってもうんとは言わないのだ。

あの鳥飼って人より、ずっと恭平の方が綺麗だって言っても全然理解してないもんなぁ。

昔からの知り合いで高校の時の先輩だという鳥飼信哉という人も、系統としては恭平と近い。確かに彼も純和風の涼やかな容姿で、恭平はああいう人を綺麗と表現するんだと笑うけど。仁聖の目では向こうは確かに純和風で格好いい男だとは思うが、それを綺麗だとは言えない。しいていうなら鳥飼って人は野生の動物、例えば虎とか?そんな野性味を感じるしなやかさだと思う。恭平は最も柔らかくて儚くて……なんだろう……フワリと咲き綻んだ花のような……

「ウィル君、これ今日の撮影分ね?」
「Thx.」

思考を中断され微笑みながらデータを受け取ると、藤咲社長は訝しげにどうかしたの?と小さく問いかける。

「海翔に何かされた?」
「No way. 何かされたら遣り返してますよ。」

賑やかに笑いながらそう言う仁聖に、藤咲はあの子も人見知りとプライドの高さが邪魔なのよねぇと溜め息をつく。あの生意気さが実は人見知りの虚勢だったとは正直驚きだが、子供の虚勢だと思えば納得できなくもない。自分だって違う意味で虚勢を張って生きていたのだし、そう言う意味では早く大人の男として恭平に認めてもらいたいのだ。

「社長、大人の男って認めて貰うのに何が重要ですかね?」
「あら、大人の男?そうねぇ……。」

モデルとして活躍していた藤咲は現在はオネエだが、周囲でオネエと知らない人達は誰もがイケメンでいい男と表している。なんでオネエなんですかと聞いたら、別にオネエになりたい訳じゃないけど、この方が自分が楽だし皆も堅くならないしとのこと。

「色気かしらねぇ。」
「色気……Sex appeal?sexy?」
「……hottie.そうねぇ後は、……Gorgeous.」

華やかなオーラなんてよく分からないし、魅力的に見える方法なんて尚更分からない。でもそれがなきゃ大人の男の魅力はないと言うことか。

「………It’s hard.」

溜め息混じりに呟くと、もう少し時間をかければ大丈夫よと藤咲は何でもない事のように笑う。それでも仁聖にしてみれば今すぐ欲しいし何とか恭平に追い付きたいのに、そんな手順のない事をどうしたら身に付けられるだろう。そんなわけで頑張って様々なことを身に付けてみたものの、男の色気ってものはどうにも分からなくて。しかも恭平の溜め息は、更に増えるばかりだ。料理をテーブルに並べて夕飯だよと声をかけにドアを開けた瞬間、書斎のデスクの上で深い溜め息が溢れる。
ボンヤリ何かを思う横顔は物憂げで、悩ましくて、目も心も奪われるほどに綺麗だ。

色っぽい……なぁ

こういうのを大人の色気っていうのだろうか。でも普段からこんなに悩ましげで物憂げな仕草をされてると、本音は恭平をこの部屋に閉じ込めてしまいたくなる。誰にも触れさせないように閉じ込めておかないと、誰かに奪われてしまいそうだ。思わず歩み寄って背後から抱き締めると、恭平は驚いたように声をあげた。

「恭平?」
「な、何?驚いた!いつからいたんだ?」

肌を擦り寄せるとフワリと甘い香りがして、仁聖はその項に口付ける。溜め息が多いのは何か自分が物足りないからなのかな。そう思うと実は凄く不安になる。

「恭平……何でそんなに溜め息ついてるの?俺、そんなに頼りない?だから話せない?」

教えてくれないだろうと分かりつつ、耳元にそう囁きかけると腕の中の恭平が少し困るのが分かる。自分の問いかけに上手く答えが出せないと肌が伝えてきて、それって俺がまだ子供だからってことなのと聞きたくなる。

「俺、頑張って急いで大人になるからさ、そしたら理由話してくれる?」
「え……あ、あの、いや。」

珍しく口ごもった恭平は、溜め息の理由を上手く話せないのだと気がつく。何度も聞いても答えてくれないのに、どうしたらいいのだろう。思わず首元に頭を擦り付けて泣き言を呟いてしまう。

「俺、何が足りないのかな……。」
「足りない?」
「だって恭平、俺が物足りなくて溜め息ついてるんでしょ?」
「え?!違う!」

予想外に大きな声で恭平から珍しく即答で反論されたのに、仁聖は思わず目を丸くした。バッチリ目があった状態で見つめあった途端、恭平の方が自分が口にした言葉に見る間に頬を染めていく。何かが噛み合っていないのは分かったが、目の前の恭平の頬を染めた顔は何時になく潤んでいて綺麗だ。思わず抱き寄せて唇を重ねると、体の奥が唐突なほどに熱く脈打ち疼くのが分かる。

「物足りなくはない?恭平のこと、満足させてるかな?俺。」

低く耳元で囁きかけると目を伏せて、更に真っ赤になってしまった恭平の肌が更に甘く香りだす。クルリと椅子を回して何度も口付けながら、椅子を軋ませながら服を探る。微かに抵抗しようと細い腕が胸を押す弱さに、耳朶を噛みながら微かに意地悪く囁く。

「満足させられるか、試して?ね?」
「んっ……そ、……な、あっ………んっ。」

鎖骨に舌を這わせながら胸元をはだけて、椅子の上で次第に服を脱がせていく。腕に纏わりつくシャツから薄く朱に染まり始めた滑らかな肌が覗いて、細くてしなやかな脚を肘掛けに上げさせ前を寛げる。触れる度に感じやすくなっていく恭平の肌が熱を帯びて、蕩けて甘く強く香り始めていく。

「や、あ……っうあっ……はっ…ああ………。」

前にさらけ出して舌を這わされる感触に艶かしく声が溢れるのに、思わず見上げると視界には扇情的に身悶えながら口元を押さえる恭平の悩ましく喘ぐ姿。眉を寄せて必死に堪えようとして、堪えきれずに切な気に震える長い睫毛。口元に押し当てられた人差し指を咥えるようにしながら、それでも唇から溢れてしまう甘い吐息。自分が触れる感触に、震えながら身悶える全身。

エロ……過ぎ………

ボォッとしてしまう程の魅惑的な色香に、目眩がしそうなくらい惹き付けられる。何度もツンと尖る桜色の乳首を口に含んで緩やかに愛撫するだけで、椅子の上の腰が深く浅く身動ぎしてギシギシと椅子を鳴らす。そうして執拗に刺激される乳首で、まだ素肌を見せていない恭平の股間が次第に甘く濡れて形を露にしていく。

「んっ、んんっ!んぅっ……じ、んせ、やっ、ああっ…。」
「気持ちいい?……固くしてる……、ここも、こっちも。」

チュウときつく桜色から紅色に変わり始めた乳首を吸い上げながら、指先で布越しの濡れだした先端を擦ると恭平の腰が跳ねる。

「あっ…ああっ…!」

悩ましい表現で荒く息をつきながら、指先で先端をなぞられる感触に腰が震えるのがなんとも淫らだ。

「んんっ、ん、あ、あっ…あはっ……うっ……あ、んあ……っ!」

クチクチと微かな濡れ音がし始めるのに、必死に唇を押さえようとしているのが余計そそる。それに気がついているのかいないのか、指先の音は更に淫らに濡れていく。

「あっ…う、ああっ!ああっ…はあぁっ……うっ!ううっ!」
「気持ちいい?言って?恭平。」
「ん、んんっ……い、……んぅっ!!」

フルフルと間に仁聖の体を挟み膝を震わせながら、微かに唇を漏れた歓喜の一声。腰を引き寄せ浅く腰かけさせ迷わず下着ごと引き下ろすと、既に熱く昂って先端から蜜の糸をひく怒張が跳ね上がる。

「あっあんっ!」

腰を引き寄せられ脚を上げられて服を中途半端に脱がされて、酷く淫らな体勢で股間を曝すのに羞恥で頬を染めた恭平が不自由な体勢で身悶える。それには構わず仁聖が勢いきって自分の怒張を抜き出すと、恭平の股間に押し当ててくる。

「や、そ、んな、いき、なりは、無理。」

弱く頭を振る恭平の両足を抱え込んだ仁聖が、淫靡に笑いそのままヌルリと先端から先走りの汁を滲ませた怒張を太股の間に捩じ込んだ。ヌブッヌボッと濡れて淫らな擦れる音が、普段恭平が仕事をしている書斎の中に響き渡る。

「あうっんっ!んんっあっ!やぁっ!だ、め!あっ!」 
「擦れて、気持ち、い?あっつい……凄…い。」
「あぅ!あっ!ああっ!やぁ!擦れ、てぇ!ああっ!」

こんなことされたことのない恭平が、甘い声で背を仰け反らせた。太股の間を恭平の怒張にも擦り付けられる仁聖の熱く硬い昂りに、お互いの先端から溢れた密が滴り絡み合う。

「はうっんっ!や!擦れ、ああぅ!やあっ!ああっ!!」

ギシギシ激しく軋む椅子の上でビクンと体を跳ねらせて、恭平の怒張から密が勢いよく溢れ飛ぶ。荒い息をしながら絶頂に達した筈の潤んだ恭平の瞳が、もの問いたげに仁聖の顔を上気した顔で見上げる。

「なぁに?恭平。……物足りない?」

トロンと蕩けた顔なのに、未だに欲情したままの色気を放つ潤んだ瞳。どんなに仁聖が大人になっても、こんな一目で欲望をそそる瞳はきっと恭平にしか出来ない。そんなことを考えながら、その瞳を見下ろし答えを待つように囁く。

「物足りないなら、言って?言ってくれたら恭平の満足するまで、何度でもしてあげるよ?ね?」

潤んでキラキラと宝石のように煌めく瞳が、激しく強い欲望を滲ませて甘えるように手を伸ばしてくる。荒く甘い吐息を溢しながら、自分自身の脚の動きで絡み付く衣類を脱ぎさっていく。それは言葉以上に自分を強請る仕草で、淫らに仁聖を誘う。

「じ、んせぇ……こんなんじゃ………や………。」

掠れて甘く蕩けた声が耳元で強請る。自分にしか絶対に見せない極上の甘さで、それがどんなに可愛くて淫らか本人は全く理解していない仁聖の理性を破壊する抜群の威力。それを頬を染めて目を潤ませながら、首元に細くしなやかな腕を絡ませて仁聖だけに請う。

「おねが、い……、欲し、……中に、お前の……。」

ゴクリと思わず喉をならしてしまうのも当然のお強請りに、互いの体液で濡れた怒張をひくつく恭平の後穴に押しあてる。脚を腰に絡み付かされ我慢の限界を感じて更に強く押し当てると、そこは微かな抵抗の後に綻び淫らな音を立てて怒張を飲み込んだ。

「あぅっ……、あっ…ああ………あああ………あー…………ぁあ…。」

感嘆めいた甘い吐息で仰け反りながら溢れ落ちていく、掠れた恭平の声は酷く官能的でわざと更にじっくりと堪能したくなる。一度に埋め込まれるのではなくジリジリと小刻みな出し入れを繰り返しながら、少しずつ少しずつ押し広げられていく。長い快感の感触に仰け反ったままの恭平の掠れた声が途切れて、体内が強く蠢きながら仁聖をキツく締め上げてくる。

「ふふ、……入れただけで、………いっちゃったの?」

背もたれを引き寄せるようにして更に奥に怒張を進めながら、耳元で差囁きかけるとヒクッと恭平の体が戦く。ユルユルと体内を擦り出し入れを始める仁聖の動きに、首元に絡めた腕の中で甘い喘ぎが矢継ぎ早に溢れる。

「んっああっ!ふぁ!ああっ!あっ!」
「んん、凄い……熱、い……っ、…恭平……っ!」

激しく軋む椅子の音がまるで悲鳴のように響いて思わず抱きあげてしまうと、怒張がいきなり深く体内に押し込まれた衝撃で恭平が甲高く矯声を放つ。

「やあぁっ!深、いっ!!ひあっ!ああっ!!」

痙攣しながら絶頂に震える恭平が崩れ落ちるように胸に凭れかかるのに、仁聖はそのまま淫らな姿のままソファーに動く。

「やっううっふあっある、くの、だめ、ああっ、あああっ」
「ん、でも床じゃ、体、冷えるし、ね?」

歩く振動で飲み込まされたままの怒張に更に掻き回され、恭平の甘い声が掠れて途切れる。ソファーにしなやかな背を下ろして覆い被さり再び、中に向かって腰を激しく突き動かしていく。揺さぶられながら更に蕩けていくうねりに、仁聖もあっという間に歓喜に飲み込まれそうだ。

「んん……俺も、いきそ……気持ちい……。」
「ふ、あ……ああっ、い、……って、じんせ、俺も、い、くからぁ。」

ギュッと抱き締められながら、奥深く貫いたまま体内に注ぎ込む感触に仁聖も荒い息をつきながら頬を擦りよせる。大人に必要な色気なんていつまでたっても恭平には追い付けないし、必死になっても恭平はどんどん綺麗に艶やかになっていく。藤咲に何度か会いたいと言われても断固拒否しているのは、恭平がどんなに綺麗なのか自覚が持てない人だからだ。しかも気を許したら無防備で可愛くて、こんな風に大人の色気を駄々漏れにしてしまう。溜め息をつきたくなるのは俺の方と心の中で呟いた瞬間、首に回されていた腕が更に力をこめて縋ってくる。

「恭……平?」
「じんせ、おねが、い、もっと……ぉ。」

掠れて甘えながら強請る声。たまにこんな風に恭平の方がスイッチが入ってエッチな恭平になるのは大歓迎なのだけど、こうなる時には大概理由があるのに最近はもう仁聖も気がついている。じゃベットでね?と囁くように言うと、じゃつれてってと更に甘えてくる有り様。こうなるからにはちゃんと理由に関しては、ハッキリさせておかないと後で恭平が限界になったりするととんでもないモードに切り替わる。

いや、あれが嫌と言う訳じゃない。

でも理由もなく何度も怒られるのも誤解で怒られるのも流石に男としては、情けない話だし。本気でただ欲しがってああなるなら兎も角、恭平が我慢の限界でスイッチが変わるって言うのも男としてはどうかと思うわけだ。なので今回の溜め息を発端に、今エッチな気分になった理由はハッキリさせておかないと。
自分の纏わりつく服を脱ぎ捨てて甘い香りのする体を抱きかかえながら、仁聖が何度も恭平に口付ける。キスに擽ったそうに笑う恭平が、どんなに無邪気で可愛いかなんて言うまでもないこと。

こうなったら、今夜はとことん蕩けさせてしまうことにしよう。

ベットに愛しい人を運んだ後賑やかに男の色気満載の顔で微笑みながら仁聖は、ボォッと見とれている恭平にこう告げることにしている。

「溜め息の理由、ちゃんと話すまで今夜はやめないからね?恭平。」
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