鮮明な月

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間章 ちょっと合間の話

間話22.目には目を歯には歯を

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モニター室になっている部屋に顔を出した忠犬と言う名の工藤英輔は、モニターの情景にゲンナリした顔の二人に笑顔を浮かべた。

「外崎さんの好みじゃないから、みてんのしんどいでしょ?」
「……そっちは平気なの?あのドブ臭いの。」

晴の言葉に工藤はこれを大分仕事にしてるからねぇと苦笑いしている。晴は知らなかったが宏太に呼ばれてやってきた工藤は、アダルトビデオのゲイの受け専門の男優なのだと言う。

「たまにもっと悲惨なのもあるから、まあ何とかできるかな。」
「うええ、俺は無理だ……凄いね、工藤さん。」

勿論他の二人も工藤と同じ事務所の男優で、ヤクザが云々は最初から口から出任せ。今後もし矢根尾が万が一仕返しする気になった時に、矢根尾に身元の分かるような人間に仕返しが向かないようにするための方便と言うやつなのだ。世の中にはヤクザ云々では退かないタイプもいるが、矢根尾は権力に弱いし、逆らうような胆の座った人間ではない。
うんざりもしてるし工藤が賑やかにこの後は任せて下さいというから、矢根尾の事はありがたく任せることにする。まあモニターの中年男は反撃しようにも目下四つん這いで拘束されたまま、経験豊富でセックスの上手な男優二人にガン掘りされている。上下に筋骨隆々の屈強な男の猛々しいものをズッポリと咥えこんでいる真っ最中だ。凄いねと晴が笑うと潤滑剤のお陰で、向こうも気持ちよくなってますから大丈夫と工藤は平然と言う。あ、なんかそこだけは分かるかもと溜め息混じりに言う晴に、もし気が向いたら男優してみる?等と工藤は呑気に勧誘している有り様だ。

『うううっ!ううん!うう!おお!おおんっ!』
『ほら!締めろ!』
『うううっおお!おおう!ううう!』

確かに矢根尾の色気のない喘ぎと言うか吠える声に、男達二人がその道ではプロだからなのか逸物が萎えることもなく滾っているのは圧巻ではある。ズボズボと激しく出し入れされ擦られる刺激にダラダラと先端から汁を垂れ流しながら吠えている姿は、中年がされるのを好む奴には受けそうだと工藤が笑う。

「売んの?」
「もしもの時はな?あー………工藤、あと頼むわ。」

呑気に了解しましたと笑う工藤は、後でデータ届けますと笑っている。モニターの向こうは一気に尻の穴がユルユルに延びきってしまいそうな激しい腰振りで突き上げられ、朝まで延々とやりまくられそうな勢いだ。これでも終わったら矢根尾が、男色趣味に嵌まるかどうかは五分五分と言うところだ。
そういうわけで工藤に後を任せて、引き揚げることにしたのは既に夜半過ぎ。女装のままの結城とは別れて帰宅したのだが、先に寝ているかと思った了がドアを開けただけで奥から顔を出したのに思わず驚いてしまう。帰宅した宏太の姿に奥から顔を出した了は安堵の吐息をついたのに気がついて、ふっと宏太は視線をあげた。

「……遅かったな、何処いってたんだよ。」
「寝てるかと思った……。」

宏太の答えに心配してたんだよと不貞腐れたように可愛いことを言う了に歩み寄ると、思わず手を伸ばして抱き寄せる。驚いた様子の了はそれでも抱き寄せられたまま不思議そうに笑うと、抱き締め返すように腕を回しておかえりと呟く。

「了………。」
「なんだよ?腹減ってないか?何か軽く作るか?」

抱きとめる腕の中でそんな風に優しいことを言う了に、思わず力を込めてその身体を強く抱き締める。苦しいと苦笑いしている了の声に何故か胸に込み上げてくるものがあって、宏太は更に抱き締めながらその身体をまさぐりだした。
 
「あ、こらっ!ひ、とが、あんっ!」
「了……愛してる。」
「あっ…ばかっ…揉むなって…あっ…ああっ…こぉ…たぁあ。」

口付けながら尻を揉み服を滑らせ脱がしていくと、腕の中に了の肌が温かくてホッとする。心配していたと言われて、自分の腕の中で弛んで蕩けていく声に思わず抱き上げると、慌てたように了がもがく。

「こ、こら、自分である、くんん、んん…んぅ…。」

それ以上了が何か言う前に口を塞いで丹念に口付けると、あっという間に手足から力が抜けていく。宏太は既に慣れてきた家の中を半分手探りも使い、軽々と了を抱き上げたまま口付けを繰り返しながら階段を上がる。

「ん、んぅ…んん、んぅ……、あん、んぅ…。」

チュチュと何度も執拗に口付けているうちに、了の吐息が甘くほどけていくのを感じとる。ベットに下ろす頃にはスッカリ了はトロンと蕩けてしまっていて、思わず宏太の顔に笑みが浮かぶ。しなやかで滑らかな足をつかんで裸にしながら踝に口付けながら担ぎ上げると、気がついたように了が恥ずかしげに身を捩った。

「ばか……そんなとこ……あぅんっ!」

膝の内側に口付け舌を這わせながら太股の付け根に吸い付くと、了がブルリと身体を震わせて体が熱を放つ。了の熱くなった肉茎に口付け吸い上げてやると、甘く喘ぎながら身悶えて伸ばされた手が探るように髪や頬に触れてくる。

「んんっ!す、うなよぉっ、あっ!ああっ!つよ、いぃ!」

ヒクンと震える了の怒張の熱さが愛しくて何度も舐めてジュクジュクと吸い上げる音に、堪えきれずに甘い声が溢れ落ちていく。あんなに俺の女にすると言ったのにこうしてちゃんと反応する了の怒張が可愛くて、丹念に茎の筋をなぞるように舐めてやると感極まる声が震える。

「や、あっ!ああっ!駄目っ!で、ちゃう!」

熱く張り詰めた亀頭を咥えこみ、口の中でヤンワリと舌でねぶってやると先端から蜜の味が舌の上にトロリと溢れ出した。堪えきれず髪に触れる指が髪の毛を掻き乱すのと、同時にトプッと口の中に青い味が溢れる。

「んうううっ!す、うなっああっ!あーっ!こぉたぁ!あううっ!」

更に強く吸い上げてやると可愛い声で痙攣しながら、更に強い快感に了は大きく仰け反っていく。指だろうと髪の毛だろうと愛しくて、滴らせる蜜さえ甘い。そんな馬鹿げた気持ちになるなんて思いもしなかったし、今そう感じているのが不思議で仕方がないのに止まらない。何度も方々に口付け舐めて吸うのに、了の可愛い喘ぎ声が止まらないのが嬉しくて仕方がないのだ。

「や、あっあっこぉ、た、あぁっ駄目、こおた、あ、あん、あ。」

口付けを遮ろうとする了の手の指の一本ずつを甘く吸いあげ噛んだだけで、そんな可愛く甘い声をあげて何度も名前を呼ばれる。最初は他人行儀にあんたとしか呼ばなかったのに、自分がどう感じて思っているかを教えた途端甘えるように自分の事を呼ぶようになったのが嬉しい。愛してると告げる声に身を委ねて来る了が可愛くて、それだけで見る間に興奮して股間に血が集まるのを確かに感じとる。

「了…。」
「あ、ん、こうた、ああっこぉたぁ……。」
「愛してる、了。」

グイと下肢を割り開き自分の身体を押し付けると、了は無意識に腰を押し付けるように宏太に身を寄せた。自分に綻ばされて吸い付くような了の後孔に、指を這わせるとヒクヒクと体が震える。

「入れるぞ?いいか?」
「ふぁ……あううっ!ああっ!ああっ!」

クプンと押し込まれる音が淫らに響いて、熱くうねる体内に尖った怒張が飲み込まれていく。あっという間にガクガクと痙攣しながら歓喜の声をあげる了の身体を抱きかかえて、激しく下から突き上げると縋りつくように了の腕が首に回る。

「あ、あっあ!い、く、こぉた、これ、やぁ!くぅ!こぉ、た!」
「気持ちいいか?ん?」
「い、い、ああっ…これ、だめぇ、いっ、あ、あっあ!」

口付けながら突き上げられ何度も絶頂に震える了に、たっぷりと精液を注ぎ込んでも満足できない。繰り返し何度も抱きながら身体中を愛撫し尽くして、自分のものにしたのだと刻み込んでおきたいのだ。

「こぉた、も、ああっ…も、やぁ、あふれ、るぅ……。」
「溢れたらまた注いでやるよ、孕むまでやるからな?」
「そ、んなの、むりぃ、あん、……あー……あぅぅん……っ。」

掠れた声で身悶えながら、遂にクタリと脱力する了の事をしっかりと抱き締める。トロトロと自分のモノを溢れさせながら気絶しているのですら、愛しくて可愛い。

「了……。」
「ん……う、……ん。」

愛しくて可愛すぎて、だからこそ今になって後悔している。そう考えた自分に気がついて宏太は息を飲んだ。肌を擦り付けるように抱き寄せているのに、自分には分からなくなってしまったものが今更酷く痛い。痛過ぎて胸が詰まってしまう気がして、了の体を抱きすくめて呻いてしまう程だ。

「……くそ……、なんだ、今さら。」
「こぉた……?……なに?」

トロンとした声で腕の中から自分を見上げる気配がして、宏太は苦笑いをして見せようとして出来ない自分に気がつく。産まれてこのかた後悔なんてほとんどしたことがなかった筈なのに、妻の自殺すら後悔なんて感じもしなかったのに、ここに来て自分は何度後悔していることだろう。そんな宏太の様子に気がついた了が、戸惑うように宏太の頬に触れる。

「こぉた…?」
「くそ……ほんと、可愛いな、お前は……可愛すぎるんだよ。俺はお前が愛しくてしかたねぇよ…了。」

唐突な宏太の言葉に呂律が回らない程蕩けさせられている了が、驚いたように体温を上げたのが分かった。きっと自分の言葉で真っ赤になっているんだと感じると、尚更胸が痛み締め付けられ苦しくなる。

「了、お前が可愛くてしかたがねぇ……だから、お前に酷いことした奴は許せねえんだよ……。」

どうしても了を泣かせたり傷つけた奴が許せなかった。だから両親だった奴等は社会的に破滅させるのに躊躇いもなかったし、あらゆる手段で二度と表舞台では見ることもない。それをしたことに、後悔なんて今も微塵もないのだ。矢根尾の事だって綿密に調べあげて、あの男がどんな行動をとってきたのか専門学校の同級生まで辺りをつけた。勿論了の子供時代に奴が何時何処で暮らしていたか、バイト先は何処だったか、生活圏はどこだったかも調べあげたし、その辺りの友人まで情報は集めた。そうして幾つかの符合と本人が話したことや様々なことから、矢根尾のしてきただろう事はあたりがついている。了だけでなく同時期に不審人物としての人相と特徴も、その後多賀亜希子という女性にしたことも、その後も全て分かりうることは調べた筈だ。それに工藤に言われた事で何に動揺したかもちゃんと理解した。だけど、正直なところ、もし間違っていたとしても後悔なんかひとつもない。抱き寄せながら頭を撫でて口付ける宏太に、了は我に返ったように息を飲んで宏太が何故帰宅が遅かったのか察したようだった。

「あんたな、仕返しなんかいいって言ったろ?」
「分かってるけど、我慢できねぇんだよ、お前がぶっ倒れるようなことされたんだぞ?」
「でも、本当に当人か覚えてないんだぞ?違ったらどうすんだよ?」

関係ねぇと不貞腐れたように宏太は呟く。何でと問いかける了に実はあの男は昔直接ではないが、チャットするような間柄でどんな人間かもしっているし何をして来たかも知っているのだと言うことは話す。だけどそれと性的悪戯が結び付く理由はと問いかけると、人相と後は本人の反応を伺ったと宏太はザックリとだけ話す。自分が見せられた写真に似てると思うと答えたのを発端にしているのは事実だと唖然としている了に、宏太は渋々矢根尾は前科もあるんだよと小さな声で吐き捨てるように呟く。どうやら他にも何か知っているのだが、詳しくは話す気がないらしいと了にも伝わったようだ。

「………ちょっと待て、仕返しって何やったんだよ?宏太。」
「……お前がされたことをやり返してやった……。」

されたことをやり返してやったと言われて了は目を丸くする。つまりは手こきやらフェラやら素股?だからこんなに遅くなったのかと思うと了だってチリチリと胸が焼けるようだ。

「あんた、まさか……あいつの事、調教したのか?だからこんなに遅かったのかよ?」
「あのなぁ、調教師は辞めたって言ってんだろ?それにあんなん調教出来るか、気持ち悪い。」
「いや、だって、やり返すって。」
「俺は触ってねぇ。」

触ってなければ良いと言うことではない。そういう危ない事を平気でやってしまうところが問題なのだと了は思うが、宏太にはまだそれが伝わらないのだ。

「俺は…仕返しなんか要らないって言っただろ?成田のこともそうだけど、仕返しなんかしなくていい。」
「だけど、お前が辛い思いしたの我慢できねぇ。」

それだから仕返ししたのにスッキリするどころか、結城晴の横で考えていたのはこうしたからといって了の過去が、多賀亜希子の過去が取り戻せるわけではないということだった。過去が変わらないのに仕返しをして、了の気持ちは楽になるのかと考えたら雄叫びをあげているのを聞いているのも馬鹿馬鹿しくなったのだ。

「…俺は……仕返しなんかより、あんたが隣にいてくれればいい。危ないことして怪我されるのの方がもっと嫌だ。」

その言葉に宏太は驚いたように黙りこむ。了にだって宏太が早々性質を変えられないのは分かっているが、だからと言って自分から危ないことに態々踏み込まないでほしい。態々盲目の身で危険な前線に乗り込まなくても、宏太なら本来情報だけを使ってもっと安全な方法をとることは可能な筈なのだ。そうしないのは宏太が、自分自身の保身を何一つ考えていないからだ。

「………俺はあんたが大事なんだよ……宏太が、何より大事なんだよ。怪我なんかして欲しくないし、傍にいて欲しい……警察沙汰で刑務所もなしなんだからな?」

言っててなんだか切なくなってしまう。アンダーグラウンドの住人だからって危険にばかり身を曝して、こんな姿になったのにと思ってしまうのだ。しがみつくように宏太に寄り添うと、宏太は少し頬を赤くして戸惑うように呟く。

「………なんでそう………。」
「当たり前だろ……あんたのこと愛し…てるから…、心配なんだよ……。」
「……………なんだろうな…この、胸に……。」

愛おし気に了の身体を抱き締めて、感嘆のような吐息を深くついた宏太が更に言葉を溢す。また胸がギュッと締め付けられるような、嬉しいような切ないような。今まで感じたことのない感覚に思わず溜め息めいた吐息が溢れ、宏太はそれがなんなのか言葉を探していく。

「……今更……後悔してる……、何度もお前の顔が見たくて、どんな顔で今いるのか……、無駄なんだけどな……。」

腕の中の顔を指でなぞると幾分理解できるが、それでも可愛い顔が見たいと何度も思う。抱いている時にも、こんな時にも、出来ることなら顔が見たいと痛烈に感じるようになった。どんな表情で自分を見ているのか、どんな顔で愛を囁くのか、そんなことを今更になって酷く後悔する。きっとどの顔も可愛いんだろう、そんな風に思う度胸がギュッと熱くなるのだ。

「宏太…。」
「……ああ……なんでかな…………泣きてぇな……。」

呟くような言葉に了は息を飲んで、その顔を見つめ頬に手を伸ばす。鼻梁と瞼を抉られてしまった宏太は、手術で涙管を別な場所に繋いでしまっているから表に涙を流すことはできない。今更のように後悔して泣きたい気分になっている自分を自覚して、それ自体にすら密かに戸惑っているのだと気がつく。頬を撫でながらそっと口付けて了は、その胸に涙の滲む顔を押し付ける。

「馬鹿…自業自得…なんだから、仕方、ねぇだろ……。」
「そうだな…。」

何もかも自分が相手を省みずにしたことと、自分すらも省みずにしたことの結果が、今のこの盲目の自分だ。そう言われずとも痛切に理解している。そう何気なく言う宏太の刹那的な生き方の理由に、了の瞳から涙が溢れだす。

宏太はそれすら知らなかっただけ、気がつかず満たされなかっただけ。

多くのことがボタンの掛け違いのようにずれて、誰もそれに気がつかず宏太にそれを教えるのは何時も手遅れの出来事ばかりだ。だから宏太は何かに気がつくためには危険にばかり身を曝してしまう。誰ももっと早くに宏太にそうじゃない、こう思ってるんだとこう見えると伝えなかったのは偶然にも宏太に似た人間が宏太の周りに多かったからかもしれない。知らずにここまで来たから、宏太はまだ自分を大切にすることも知らずにいる。それで今まではよかったかもしれないが、今は了が傍にいるのだ。

「これからは…俺があんたの変わりに……色々見るし、あんたの分…泣いてやる…から、……ちゃんと俺の傍にいろよ?」

了の言葉に宏太の顔が心底驚いたような気配を浮かべた。宏太が失ったものの代わりをしてやると当然のように泣きながら告げる了に、再び深く涙の気配のする吐息が溢れてくる。こんな風にとても大切にされていると感じさせられるから、胸に熱いものがこみ上げて了を宝物のように抱き締めていたいと思う。

「ほんと……可愛いな、了は……。」
「うっさい、可愛いって言うな……恥ずかしいだろ。」

泣きながらそういい顔を押し付ける了が、心の底から愛しくて可愛い。自分の戸惑いごと汲み取って、包み込もうとしてくれる了が本当に愛しい。

「俺の変わりに……か。」
「だから、……こんな風に……何か分かんないとか感じたら、ちゃんと言うんだぞ。………約束だからな?」

分かったと呟くと了は安堵したように微笑む。そうして暫く泣いていた了が落ち着いて気が付いたように、やり返したって結局は何やって来たんだよと不貞腐れたように呟く。

「………アダルトビデオの男優に仕込ませてる。」
「あんた、そんなとこまで知り合いがいるのかよ……。」
「……………まあ………。」

濁すような答え方に、何隠してんだ?と空かさず了に噛みつかれる。以前了とも関係のあった工藤英輔がアダルトビデオの男優になってるはバレても構わないが、そこまでに至る経過がバレると了が怒りそうな気がするのは何故だろうか。しかも怒られるのが嫌なのに、嘘もつけないから言葉を濁すしか宏太には出来ない。ジッと自分を見ている視線が揺るがないのに、宏太はなんだこれはと正直に心の中で呟いた。まるで嫁の尻に敷かれているような夫の気がするのは、気のせいなのだろうか?



※※※



「はは、それは愛されてるねぇ、宏太。」
「……よく分からん事ばかりで、振り回されてる気分だ。」

相変わらず掃除の間に家を追い出され『茶樹』のカウンターでそう呟く宏太の顔は、言葉のわりにはどこか嬉しそうに綻んで見える。ニコニコしながらそれを見ている久保田惣一は、カウンターの中でお気に入りの白磁のポットを磨きながら呑気に笑う。
カランと深碧のドアが開いたのに穏やかに視線を向けた久保田が、お久しぶりと客に向かって口を開いていた。
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