鮮明な月

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間章 狂宴・成田了の事象

2.

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裸のまま進んだ部屋の中は薄暗く、シャワールームの目映い明るさから目が慣れる迄に少し時間がかかっていた。その部屋に慣れているのかウキに言われるままに台に乗った自分に、こっちに手を貸してとウキが穏やかに言う。言う通り差し出したら両手首に枷をつけられたかと思うと、同じようなものが首に嵌められ手早く首と手首が繋がれてしまったのに自分はギョッとして顔を上げた。抵抗しようとして上半身を起こそうとしたが、台に向けて首輪を引かれると首が絞まって思う通りに出来ない。

「ああ、駄目だよ?危ないからね。」

ウキは驚きもせずにそう言うと、手早く首の後ろの金具を台にかけてしまう。これで自分は台の上に仰向けで上半身を固定されて、抵抗しようにも体が起こせなくなってしまっていた。しかも、次は太股と足首に枷を嵌められ、脚を曲げた状態で固定されようとしている。やっと目が慣れる辺りが見えると壁際には革張りのソファーが幾つかあって、自分が如何わしい台に固定されているのが分かる。騙されたと青ざめた自分が、抵抗の声を上げたのにウキは賑やかに微笑む。

「や、やめろよっ!こんなの!」
「大人しくね?ドライで初めて行くと暴れちゃうことあるから、固定しないと危ないんだよ。」

え?と言うとウキは今からする事は、快感の刺激が強すぎると暴れて危険なのだと丁寧に説明する。僕も最初は固定していたんだよと当然のように言われると自分も反応に困って、ただウキがするのを見守ってしまった。結局良いように固定された自分は手は首の横、足は大きく左右に開いて太股と足首を固定された上に膝の間には棒を通され閉めることも出来ない。ウキは当然のように台の上に自分を固定した後で、股間の間に屈みこみなにかゴソゴソしている。

「な、なにやってんの?」
「もう一つ準備ね。」

ヌルンと何か滑るものが何度も洗われた後孔に塗りつけられ、丁寧に刷り込まれるのに腰が跳ねた。自分がどんなに止めろと叫んでも、既に固定されてしまった身体は逃げ場がない。ウキは丁寧に何度も孔に何かを塗り込むと、酷く無造作に何かを後孔に差し込んだ。

「うあっ!!な、なに?!」
「プラグね、小さいのだから違和感ないでしょ?」

見えない場所・しかも恥ずかしい場所に何かを塗られて得体の知れない物を嵌め込まれたのに、自分が思わず頬を染めるとウキは賑やかにさぁはじめよっかと笑う。どうやらここまでが、ウキの言う準備段階だったようだ。そう言われてしまうと騙されたとも思えなくて、自分は戸惑いながらウキを見つめる。目の前に股間を全て曝し身動きも出来ない自分に、ウキは潤んだ目を細めて淫らに舌で唇を舐めた。

「……可愛いね、半立ちしてる。」

まだ緊張で膨らまない自分の肉芽を、ウキは唐突に全て口に呑み込み激しくしゃぶり始める。あっという間に質量を増した肉棒を音をたてて舐めしゃぶるウキの口の中は、最高に気持ちがよくて腰が震えた。男同士だからこそ気持ちいい場所もポイントも知り尽くして、尚且つ女性とは違う強い吸い上げに腰が蕩けそうになる。

「ふあ!あ!ああ!すごいっ!ウ、ウキ!気持ちいい!」

ジュプジュプ・ジュルジュルと怒張が呑まれると、何故か尻に嵌まった物の感触がキチキチと強くなった。ジンッと痺れるような疼きが、腰の奥に生まれ始めているのが分かる。

「なんだよ、もう始めてんのか?ん?」

快感に酔おうとした矢先室内に低く響いた声に、自分はギョッとして目を見張った。そこには巨大な怒張をぶら下げたトノが、当然のように全裸姿を見せて自分達に歩み寄る。固定されて男に怒張を吸われ腰をくねらせている最中に、もう一人男がやって来るなんて自分は予想もしていなかった。

「可愛い顔して怯えんなよ、大人しくしてりゃ痛いことはしねぇでやるから。」

その言葉が何処か過去の幼い自分を公園で乱暴した男と重なる。怯えた顔を見られ不快な筈なのに、股間のウキの愛撫は執拗で激しく絶え間なく自分の怒張を責め立てていた。近寄ってきたトノは大きな手を伸ばすと何かジェルのようなものを指に出して、ヌルヌルとした指で突然自分の乳首を撫で始める。

「んはっ!はうっ!あっ!嘘だっ!あっ!」
「ここいじられると、しゃぶられてるとこに響くだろ?ん?」

豆粒のような突起が摘ままれ指で擦りあわされると、怒張までジンジンと電気が走るような快感が生まれ腰がひくついた。不快な気分を感じた筈なのにあっという間に強い絶頂感に飲まれて、自分は腰をガクガクと振るわせながらウキの口の中に大量に射精してしまう。

「ふぁあ……あふ…い、いっちゃ……たぁ……。」

呆然としながら自分の股間の間で、顔を上げてゴクリと口の中の自分の大量の精液を飲み下すウキが見える。それは何処かウットリとして見えて、自分の欲情をそそる姿だった。

ああ、男に…飲まれちゃった……俺の、精液…

そう頭の中で強い快感に放心しながら呟いた瞬間、再びウキの舌が激しく亀頭を舐め回し吸い上げてきた。トノの手も全く止める気がないようで、グニグニと緩急をつけて両方の突起をつねり上げる。絶頂に達したばかりの体には、それは鋭く苦痛めいた刺激に変わった。

「ひあ!あ!や、いま!いっ、た!いったぁあ!!」

頭を振って自分が悲鳴をあげて懇願しても、ウキの口腔での愛撫は止まらない。ニヤニヤと笑いながらトノの指は突き出た突起を擦りたて、それはチクチクとした痛痒を放ち始めている。しかも、その痛痒さが同時に肛門でも起こり始めていた。ジュプジュプと激しく舐め吸いたてられる音が、一際室内に大きく響き渡る。

「ほら、先ずはドライで行けるように慣らしてやるから、沢山しゃぶってもらえ。」
「い、いやっ!ふぁ!ひいっ!ひぃいっ!んはぁっ!」

手も足も出ない状態で腰がビクビクと快感に震え、二度目の絶頂感にまだ溜まりきらない精液が僅かに飛び出す。それを飲み下したウキは、恐ろしいことにそれでも自分の肉棒を口から離そうとしない。柔らかくなってもいい筈の肉棒を吸いたて、亀頭を咥えたまま舌が鈴口を犯してくる。

「ひぃっん!んんっやぁっ!そ、れやだっ!あうううっ!」
「なんだ……尿道弄られるのが好みか?慣れたらしてやろうか?根本までプラグ突っ込まれると最高だぞ?」

そんな事を当然みたいに、低音の声が耳を擽ってくる。如何わしい行為をバーとはいえ店の奥でするなんてと、一瞬トノの顔を下から見上げ考えてしまう。それにトノはニヤリと笑ったかと思うと男の色気を漂わせ、唇を湿すように舌で舐めて見せながら突然ジンジンする乳首を強く摘まんだ。
 
「い、痛いっ!!痛いい!痛いの、しないって!はぁんっ!」

そう叫んでも直結してズゥンと響く重く甘ったるい腰の疼きに、首枷に繋がれた手がガチャガチャと音をたてて拳になったり開かれたりする。再び亀頭を甘噛みされながら、鈴口を舐め回されるとブルブルと太股が快感に震えた。

「んんんっ!ひぃんっ!やだぁ!それ、やだぁ!!」
「ウキ、そろそろそれだけ続けてやれ。」 
「んひぃ!!ひぃっ!いくっ!いくぅ!」

今までの女とのセックスが嘘みたいに再び絶頂に痙攣するのに、ウキは自分の亀頭を離そうとしない。既に三度目の絶頂で精液はもう出ないのに、咥えて離さない口の中で自分の肉棒の尖端だけが蕩けるような熱さに揉みくちゃにされて喘がされる。ビクンビクンと勝手に腰が痙攣して、尻に嵌め込まれた物が急に大きくなったみたいにギチギチに感じていた。

「やぁ!で、出るっ!離してっ!頼むからっ!ああっ!」

いったと思った瞬間激しい尿意のようなものがせりあがって懇願すると、ウキが口を離した鈴口から勢いよく透明な液体が飛び散る。真っ赤になりながらハアハアと喘ぎそれを見ている自分に、ウキは再び亀頭をパクリと咥え愛撫を再開してきた。

「やぁ!!やめぇっ!もう、やだぁ!いくぅ!ま、たいくぅ!出ちゃうう!」
「はは、潮吹きしながらいくなんて、悪い子だな?ん?」
「し、お?!ふぁあっ!!やぁっ!」

それから何度いかされたのか自分でも分からなくなるまで、ウキは自分の亀頭を舐め回し鈴口を舌で犯し続ける。やがて喘ぎが掠れた頃透明な液体すら出なくなった自分の怒張は、赤く脹れて唾液でヌラヌラと滑り下折たったままになってしまう。

「ん、ひぃ、く、…うう……んぅ。」
「ドライでいくの良かったでしょ?えっと……なんて呼ぼうか?この子。」
「もう少ししたら素直に答えられるようになる、ウキ、根本に嵌めとけ。」

ハイハイと賑やかにウキが、口を離した自分の怒張の根本にシリコンの輪ゴムの様なものを嵌め込む。その刺激に腰を震わせると更にウキは微笑みながら、自分の亀頭にゴムのキャップみたいな物を手早く被せてしまっていた。舐められなくてすむようになったと思ったのに、今度はそのキャップが激しく振動して再び快感に呑まれる。

「ひぃんっ!んんんっ!ひぃ!と、とめてぇ!」
「少し休んどけよ、ウキ。」

呑気な会話を交わす横で自分はビリビリするような刺激に、射精も液体すらでないのに立て続けに絶頂に昇り詰め喘ぐ。それを冷ややかに眺めながら、トノの指が今度は執拗に乳首だけを弄くり回す。クニクニと揉んだかと思えば、爪先でカリカリと引っ掻かれ、時々指でギュウッと摘まみ引っ張り上げる。次第に豆粒大に腫れ上がったように乳首が充血し真っ赤になると、休んでいた筈のウキがトノの横から割り込んで今度は乳首を丹念に舐め始め吸い上げた。

「ウキ、人の邪魔すんな。犯すぞ、てめぇ。」
「だって、乳首ビンビンで美味しそう。ああんっトノぉ。」

人の乳首を舐め回しながら、自分から離れたトノがその腰に回ったのが喘ぎ朦朧とする視界に見える。さっきも見た長大な怒張を埋め込まれたのか、甘い声で泣きながらウキが自分の乳首にむしゃぶりつく倒錯的な光景に自分の頭は痺れたように蕩け始めた。

「あぅっ!トノぉ!一気に奥まで貫かれてぇ!すご、いぃ!」
「全く相変わらず堪え性がねぇな、ウキ。」
「だってぇ!トノが、僕をこんな風に躾たんじゃないかぁ!」

躾たという言葉が、何故か頭の中に強い痺れを起こす。気持ち良さそうに男の物を受け入れるように躾られ、それでも自分の硬く立った突起を舐め回し甘噛みしながら刺激する淫らな姿。それに興奮して嵌められた物をキチキチと締めあげる自分の後孔と、射精も出来ないのに快感に萎えることもない怒張。全部が異常なのに、異様な空気に激しく興奮している自分が分かる。

「ああん!凄いよ!トノぉ!奥までゴリゴリ来てて凄いぃ!」

ゴクリとその声に喉がなったのにウキが妖艶に潤んだ瞳で自分を見下ろして、自分の両方の乳首をキツく力一杯摘まみ指で擦りたてた。ひぃんっ!と悲鳴をあげて自分が快感に腰が反り返る横で、後背位で犯される男も同じような声を上げて絶頂に仰け反っているのが見える。
ウキがグッタリするまで激しく腰を振っていたトノがやっと自分の方を見たのはそれから暫く後で、散々男同士の交合う姿を見せつけられた自分は興奮に息を荒げていた。

「ふぅん、見てて興奮する質か?ん?」

グッタリ倒れこんだウキを放置して冷ややかな声で言う姿に、顔が熱くなるのが分かる。そんな筈はなかったのに何故かこの男が言う言葉が、自分の内面をさらけ出してしまう。しかも、このトノという男が自分にすることは、的確に強い快感に繋がっていくのだ。

「………ドライで行けるようになったみたいだからな、次は乳首でドライにいけるようにしてやるよ。」

ニヤリと嗤う男の言葉に息を呑む。今迄は肉棒を刺激されて絶頂に押し上げられたのに、次は乳首であの感覚に達するようにすると言われたのだ。乳首はこの男にずっと揉まれ擦られて今ではジンジンと熱く脹れて、期待に下折たったままの怒張がピクピクと揺れる。それを冷たい視線で眺めた男が再び口角を上げて、自分の開かれた足の間に体を挟むと寝かされていた台の背中の部分を幾分か起こす。

「うっはぁ!ううっ!あっ、はうっ!ううっ!」

太いわりに繊細に動く指が、両方の乳首を摘まんでグニグニと揉みたてる。かと思えば親指だけで潰すように転がされたり、指で弾かれたりする焦れったいような刺激に体が勝手にビクビクと震えてしまう。濡れそぼったような股間にも触れてもらえず、乳首だけを中途半端な刺激で弄くられるのは余計に身悶える事になっていた。

「ううっ!はぅっ!んうっ、ううっ!い、つまで、あうっ!」

腰の奥に響く鈍い快感を蓄積させるのに興奮するでもなく続ける冷ややかな視線は、自分の様子を観察している様で恥ずかしいのに堪らない。どうせならキツい快感を与え続けられた方がましだったのが、今更ながらよく分かって自分は頭を振る。

「や、ううっ!あぅっ!んんっ!やめ、はぅんっ!」
「随分良さそうだが、そう言えば名前を聞いてなかったな?」
「な、に?」

クニクニと軽く乳首を揉み上げながら、何気なく聞かれた言葉にゼイゼイと喘ぎながら視線をあげた。その瞳がどんなに欲情に潤んでいるか自分では想像も出来ないが、きっとウキと同じくらい淫靡な視線に違いない。閉じられない膝がモジモジと宙で擦りあわされ、玩具の激しい刺激で下折たったままの怒張が揺れる。

「名前なんてんだ?ん?言ってみな。」
「な、んで……。」

名前なんて最初から教える気はなかった。教えて後から面倒なことになるのはごめんだし、一度どんな感じなのかを試してみたいだけなのだから。もし、またしてもいいかと思えるようなことなら、教えることも考えてもいい。そう考えていた筈なのに、トノに突然ギュウッと強く突起を摘ままれた瞬間頭が真っ白になって絶頂に達していた。そうして絶頂から戻りきらないのに再びクニクニと軽く乳首への刺激が再開され、自分は脆くももう一度快感を与えてもらいたくて腰をくねらせる。

「もっと気持ちいいこと教えて欲しいんだろ?ん?違うか?」
「うう、う、お、教え……て、はうぅっんっ!!」

再び乳首を強く摘ままれただけで、腰の奥が蕩けてしまう。チクチクと痛痒が強まる後孔もどうにかして貰いたいと、腰をくねらせると不意にトノが顔を寄せて低く響く声で耳を犯す。

「良い子にはタップリ教えてやる。気持ちいいことで、馬鹿になるくらい仕込んでやるぞ?ん?」

その声は毒のように染み渡り、自分の頭を狂わせる。子供の時のあの悪戯なんてお遊びだったと思うほどに、魅惑的で淫靡で脳を支配する声。

「どうする?名前呼ばれながら気持ちいいことするか?これで止めとくか?自分で決めな?」
「じ、ぶん、で?」
「自分が望む方を選べ。」

柔らかく低く耳を犯す声は、一晩中タップリ仕込んでやると宴に誘いかけている。それをどうしたいのかどうするか、自分で選べと誘うのだ。

「さぁ、どうするんだ?ん?」
「…る……、なりた……、さとる……。」

そう呟く了の声にトノは初めて破顔したように魅惑的に微笑みかけ、千切れてしまいそうな程強く乱暴に乳首を摘まみ上げる。乳首だけで何度も絶頂する了に、トノは満足そうに微笑んでいた。
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