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第十二章 愚者の華
108.
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たった一度仁聖の名前を口にしただけで、ビクリと恭平の体が大きく震えるのが分かる。その表情が凍りついていただけでなく、不安に子供のように揺れて砕けていく。
自分が知っている筈の恭平が、有り得ないほど脆く言うなりになる。今まで一度も見た事のない恭平の姿をさらけ出させた理由は、同時に了の内面を酷くざわつかせていた。
六年以上の付き合いの中で、揺れも靡きもしない高根の華で孤高の月の様に取り澄ましていた榊恭平。頑なな姿しか見せた事のなかった存在が、たかが高校生のガキ一人の安否を確認する為だけに必死に屈辱に耐えて了の言うなりになっている。それが本当の事だと自分でも信じられない。
震えを帯びたその体は無言のまま、了の腕から逃れベットに歩み寄る。項垂れたままのその背中は、はっきりと小刻みに震えながら上着を脱ぎ落した。スルリと肩を降りる上着が足元で乾いた音を立て、微かに躊躇いながらもボトムも下着も続いてしなやかな下肢をあらわに滑り落ち足元に落ちていく。
前に直に見た時よりも痩せた……
細く女性のように華奢な滑らかな白い肌。既に室内灯のオレンジがかった光の中で、目の前で全身が晒されていた。項垂れた項が艶かしく、足元に重なる脱ぎ捨てられた服から伸びる細い足はなだらかな仄かな色気を漂わせる腰に繋がる。白磁の陶器の滑らかな肌には、幾つかの淫らな情交の痕が桜の花弁のように刻み込まれていた。
くそ…あのガキ……。
背を向けたままの裸足の足が床に落ちた衣類から抜き出され、産まれたままの姿になった恭平はその場に酷く淫靡な姿態を浮き立たせる。そのしなやかな肢体に息を呑んでいた了は、微かに震える白い肌をジックリと眺め回してから感嘆の息をついた。魅惑的な白い肌を眺めながら歩み寄り、その背中を指先でなぞると必死に反応せずにいようと堪える肌が無意識に粟立つのが分かる。その体に残る薄い花弁の痕に目を細めて了は、その姿に魅せられていた意識を狂気に引き戻した。
「随分と楽しんでるんだな?身体中キスマークだらけじゃねーかよ?」
その言葉に無言のままの恭平の肌が朱に染まる。それは言葉に怒っているのか、それとも恥辱に震えているのか背中からでは読み取れない。
「毎日仕込まれてんの?若い旦那だもんな、お盛んだな?」
どうせなら顔を見てやりたいが、それは今でなくてもいいことだ。どうせなら犯して快感に落ちたと自覚させてから、完全に絶望する恭平の顔が見たい。耳元であり得ないからこそ、見てみたい姿を囁きかける。
「ベットに四つん這いになって自分で後ろ慣らせ。それくらい簡単だろ?奥さん。」
そう告げられてビクリと体が震える。その反応にもしかしたら、そんなことはしたことがないのかもしれないと頭の片隅で考えもした。何しろ幾ら相手が男でも、目の前の榊恭平はそんな事をするようには見えない。
「ほら、俺にお願いって強請ってみろよ。」
「っ………。」
更に自分を貶める行為を強いられて恭平の体が強張る。しかし再び耳元で了に「誘えよ」と囁かれた瞬間、その表情は絶望に満ちた色を浮かべた。
恭平は以前同じような言葉を違う意味で、仁聖から突きつけられた事があった。了に薬を盛られて発情して訳もわからず抱けと仁聖に強請った時、仁聖は同じような言葉でやって見せろ強請れと言い放ったのだ。でも今の囁かれた言葉の意味とは、仁聖が意図したのは全く正反対。仁聖は恭平ができないと分かってる、と恭平を抱き締めた。
ほら、出来ないでしょ?
優しくそう言われて、抱き締めたられた暖かい腕の感触。恭平がそんなことできない事くらい分かってるよとシッカリ抱き締めてくれた腕。今直ぐその腕の暖かさが欲しいのに、それを取り戻すには以前了に言われて酷く傷ついた言葉通り自分から強請り誘って抱かれないとならない。それを知って恭平は、吐き気を催す皮肉な現実を感じる。
「ほら・早くしろよ。」
「………出来、ない………。」
項垂れたまま呟く様に口にした言葉に、了が眉を潜めた。
「………俺は抵抗しないし…逃げもしない……、お前の好きなようにすればいいんだ。」
泣いているように震える恭平の声が小さくそう告げ、微かに震える肌が更に血の気を失って青味を増す。
「だけど…俺から強請れないし誘う…?………無理だ、そんなことは出来ない………。」
「は?…何?人の旨そうにしゃぶってて今更?なにそれ、初心な彼女のつもり?」
やっぱりなと内心では思いながら、了はそれを声に出さないように努める。あの榊恭平が擦れっ枯らしの女みたいに男に犯してください、なんて強請る筈もない。だけど、つまりそれはそうさせれば、恭平はあのガキより了の虜になった証しと言える。それでも加虐心から放たれた辛らつな言葉に、思わず拳が握りしめら震えるのが分かる。手を視界に入れた了が不意に気がついた様に恭平の左手を掴み持ち上げると、そこにあるものをまじまじと覗き込み嘲りの声を上げた。
「もしかして恭平、恋愛ごっこじゃすまなくて夫婦ごっこまでしてんの?高校生のガキと。」
見上げた恭平が明らかにカッとその頬を怒りで朱に染めるのを視界に、了は信じられない思いでその横顔を見つめる。誰にも心を開かなかった筈のその頑なな蕾。そんな恭平を綻ばせたものが何だったのか、内心戸惑いながらもそれを表に出さずに言葉を繋ぐ。
「貞淑な奥さんが腰振って、他の男によがってるの旦那が知ったら………なぁ、離婚かな?……。」
言葉に一瞬息を呑んだ恭平を背後からベットに突き飛ばし、無造作にその背中に覆いかぶさるようにして耳元で茶化す様に了が囁きかける。
「なぁ……これから一言でも嫌だとかやめろって言ったら、その場でお終いにしてやるよ?仁聖君の名前でも終わりにしてやる。」
覆い被さられた恭平が微かに了の言葉に安堵を匂わせたのに、了はニヤリと笑いながら言葉を続けた。そんな簡単に解放なんかしてやる筈がないと思わないのか?
「……ただしその代り仁聖君の話もお終い。……もう何にも教えてやらない。」
その言葉に含まれた毒に犯されるように白い肌が更に青味を増して、触れている体温が解けて凍り付いていくのが分かった。驚く程に従順に従うその肌が見る間に腕の中で凍りつき心では従っていない事の証が、逆に了には嬉しくて仕方がない。
「知りたい事があったら最後まできちんと俺を満足させろよ?俺が満足するまでやらせてくれたら、ちゃあんと教えてやるから……な?」
取引にもならない無慈悲な提案に、恭平は息を呑み俯せに夜具に肌を押し付けた身を強張らせるた。逃げ場もなく妥協できるものもない。つまりは了が満足するまで身体を自由にさせるしか、仁聖を取り戻すどころか情報を得る方法がないのだ。
ここじゃないなら、何処に……無事なのか…?
ここに来るまでに警察や村瀬篠に相談することを考えなかった訳ではない。でも、そうできなかったのは仁聖の身を案じた事もあるし、篠は自分の事で手を煩わせる訳にはいかないと思っていた。そして何より心のどこかであんな事があっても、まだ了は自分の友人であると信じてもいたのだ。しかし、どうやっても言うなりになって了が満足するまで蹂躙されるしか方法がない。泣き出しそうになる眉を寄せると、恭平の手にフワリと紺色のネクタイが触れる。
仁聖……、もしこれで…お前が……
左の指に触れたネクタイが指先に絡んだのと殆ど同時に、突然背中から離れた了が恭平の腰を掴み高く上げさせた。両手で双球を割り開くようにして恭平の硬く締まった蕾を曝し、イヤらしい動きをする指で撫で回してくる。
「まだ綺麗に、締まってる。」
何人もの同性経験と比較される言葉に、恭平は悲鳴をあげたいと心が叫ぶのを聞く。友人だった筈の男に四つん這いにさせられ尻を開かれ、恥ずかしい場所を容赦なく見られている。
キツく目を閉じて夜具に押し付けた筈の顔が不快感に震えるのを楽しむように、乾いた指が何度も執拗に孔を撫で回す。時折確かめるように押し付けられる指の感触が、恭平の震えを助長していく。
「力、抜けそうもないなぁ?緊張して締まって可愛いな、処女みたいだ。」
カッと羞恥心に肌が赤くなる。わざとらしい女扱いをする言葉に恭平は反応したくないのに、分かっていて了は煽り続けていく。
「なあ?昨日もしたか?交尾、旦那の精子タップリ中だしした?」
「なっ……。」
「若い旦那相手だもんな?奥さん、こんなとこまでキスマークつけるなんて、イヤらしい。」
太股を撫でられ、そんなことを言いながら了が笑う。言葉を放つことも出来ない恭平に、了は無造作に滑るジェルの様な感触をまとった指で孔を擦り始めた。
「うっ!な、なにっ?!」
「こんな締まってたらチンポ入んないから、ソロソロ拡げようか?可愛いオマンコ。」
女扱いされながら後孔に丁寧に刷り込まれる滑りに、思わずヒッと声が溢れる。仁聖と繋がる時に少しでも苦しくないようにと潤滑剤は使うことはあっても、こんな風に何かを塗り込まれた経験はない。それはジンッと奇妙な痺れを生んで、チクチクとむず痒い感覚すら感じさせられる。
「おやおや、随分効き目が良いな?もうヒクヒクしてるぞ?」
「う、るさっ」
「はは、こんな感度のいいオマンコしてるなんて、奥さん随分と淫乱なんだな?」
了の言葉を聞くなと頭の中で自分に向かって叫ぶ。聞いていたら頭の中まで犯されてしまうと分かっているが、同時に了が何時仁聖の情報をもたらすかもわからない。
不意に容赦なく後孔を穿つ細い感触に、喉から悲鳴が零れ落ちていた。何か細長い円柱状の物がジンジンする孔を僅かに通過して、体内に射し込まれている。しかもその先端からまるで精液のようにドロドロとしたものが、容赦なく大量に流し込まれ始めたのだ。
「ひっううっ!あっ!」
「嫌とか駄目は無しだぞ?覚えてるよな?恭平。」
「ひぃっうううっ!うあっ!」
わざとらしく念を押され嫌と言う言葉を飲み込もうとすると、押し込まれる粘度のある液体がドプドプと体内に満たされていくのが分かる。しかも入り口のむず痒さが増長して、指よりも細い物を射し込まれているだけなのにジワリと肌に汗が滲む。
「いい子だな。全部オマンコで呑んだぞ、ジェル一本分。」
クポッと音をさせて咥えさせられていた先が無造作に抜かれると、溢れだしそうな感覚に体がガクガクするのが分かった。大量に体内に注ぎ込まれた潤滑剤が、違和感と同時に奇妙な熱感を腸に染み込ませてくる。
「う、ううっ。」
「タップリ注いでやったから、漏らしてもいいんだぞ?入り口も気持ち良くなってきてるだろ?恭平。」
「そ、なこと、な……。」
頭を弱く振った瞬間に熱く痺れる孔に、グチュグチュと卑猥な音を上げて指が呑みこまされた。突然の強い挿入感に喉が引き攣り、思わず恭平の腰が浮きあがる。
「はは、本当に毎日仕込まれてんの?中、綺麗に洗ってあるみたいだ。」
「ううっ!くっう………うっ…。」
体内を掻き回され探られなぞる了の指先に意思と反して体が反応して、おぞましい快感が芯を炙るのに耐えきれずに恭平の体が撓る。そんな風に仁聖との事を言われたくないと心は悲鳴をあげているのに、そこを探られる事に実際に慣れている体が確かに分かっていた。
「大分アイツに仕込まれたんだな?中がひくついて吸いついてくるぜ?感度がいい、熱くてトロトロだ。」
「く…う…ううっ…ぐ………う…っ…」
悲鳴とも呻きとも判断の出来ない声がその唇から溢れ落ちるのを堪能しながら、更に奥深く埋め込まれる指が淫猥な動きで恭平の中を掻き乱していく。
「あ…うっ………っ…ぐ…ぅ…!!」
他人の指先が神経を掻き毟る感触に、溢れ落ちそうになる言葉を堪えようと唇を噛み必死でシーツごと仁聖のネクタイを掴む。気を抜くと直ぐにでも嫌だ・やめろと叫びたくなるのを耐えるために必死で唇を噛んでいるのが、余計に後孔を掻き回されるのをズンズンと神経に伝えてくる。ブルブルと震える恭平の体を指で弄くり回しているのを見ているだけで、了は射精しそうな程の興奮に呑まれていく。先に塗った媚薬入りのジェルのせいで綻んだ後孔が、まるで誘うようにヒクリヒクリと蠢めいて中に注ぎ込んだ潤滑剤を滴らせる。
「もう指が二本入りそうだ…随分好きものなんだな?若い旦那に毎日躾けられて気持ちよくてよがってんだ?」
羞恥を煽りながら自分を貶める言葉に涙が溢れそうになるのを恭平は、血の味がするほどキツく唇を噛んで耐える。そんな恭平の姿を了は彼には見えないと分かりながら、陶然とした表情で見下ろす。砕いて貶める筈のその姿は酷く純粋で彼の心を引き付ける。それと同時に、非情なほどに加虐心を煽り、残酷な欲望を高ぶらせていく。あえてグチュグチュと音を立てて指を掻き回してやると、その表情は苦悩に満ちて酷く艶かしく泣き出しそうに歪む。
「はは、二本にしたらあっという間に解れたぜ?前立腺、擦られて気持ちいいんだな、もうチンポ入れて欲しいんだろ?」
徐に了がグイと両手で細い腰を引き上げて屹立しかけた恭平自身を空気に晒してやると、弱く頭を振る動作がその言葉を必死に否定する。
自分が知っている筈の恭平が、有り得ないほど脆く言うなりになる。今まで一度も見た事のない恭平の姿をさらけ出させた理由は、同時に了の内面を酷くざわつかせていた。
六年以上の付き合いの中で、揺れも靡きもしない高根の華で孤高の月の様に取り澄ましていた榊恭平。頑なな姿しか見せた事のなかった存在が、たかが高校生のガキ一人の安否を確認する為だけに必死に屈辱に耐えて了の言うなりになっている。それが本当の事だと自分でも信じられない。
震えを帯びたその体は無言のまま、了の腕から逃れベットに歩み寄る。項垂れたままのその背中は、はっきりと小刻みに震えながら上着を脱ぎ落した。スルリと肩を降りる上着が足元で乾いた音を立て、微かに躊躇いながらもボトムも下着も続いてしなやかな下肢をあらわに滑り落ち足元に落ちていく。
前に直に見た時よりも痩せた……
細く女性のように華奢な滑らかな白い肌。既に室内灯のオレンジがかった光の中で、目の前で全身が晒されていた。項垂れた項が艶かしく、足元に重なる脱ぎ捨てられた服から伸びる細い足はなだらかな仄かな色気を漂わせる腰に繋がる。白磁の陶器の滑らかな肌には、幾つかの淫らな情交の痕が桜の花弁のように刻み込まれていた。
くそ…あのガキ……。
背を向けたままの裸足の足が床に落ちた衣類から抜き出され、産まれたままの姿になった恭平はその場に酷く淫靡な姿態を浮き立たせる。そのしなやかな肢体に息を呑んでいた了は、微かに震える白い肌をジックリと眺め回してから感嘆の息をついた。魅惑的な白い肌を眺めながら歩み寄り、その背中を指先でなぞると必死に反応せずにいようと堪える肌が無意識に粟立つのが分かる。その体に残る薄い花弁の痕に目を細めて了は、その姿に魅せられていた意識を狂気に引き戻した。
「随分と楽しんでるんだな?身体中キスマークだらけじゃねーかよ?」
その言葉に無言のままの恭平の肌が朱に染まる。それは言葉に怒っているのか、それとも恥辱に震えているのか背中からでは読み取れない。
「毎日仕込まれてんの?若い旦那だもんな、お盛んだな?」
どうせなら顔を見てやりたいが、それは今でなくてもいいことだ。どうせなら犯して快感に落ちたと自覚させてから、完全に絶望する恭平の顔が見たい。耳元であり得ないからこそ、見てみたい姿を囁きかける。
「ベットに四つん這いになって自分で後ろ慣らせ。それくらい簡単だろ?奥さん。」
そう告げられてビクリと体が震える。その反応にもしかしたら、そんなことはしたことがないのかもしれないと頭の片隅で考えもした。何しろ幾ら相手が男でも、目の前の榊恭平はそんな事をするようには見えない。
「ほら、俺にお願いって強請ってみろよ。」
「っ………。」
更に自分を貶める行為を強いられて恭平の体が強張る。しかし再び耳元で了に「誘えよ」と囁かれた瞬間、その表情は絶望に満ちた色を浮かべた。
恭平は以前同じような言葉を違う意味で、仁聖から突きつけられた事があった。了に薬を盛られて発情して訳もわからず抱けと仁聖に強請った時、仁聖は同じような言葉でやって見せろ強請れと言い放ったのだ。でも今の囁かれた言葉の意味とは、仁聖が意図したのは全く正反対。仁聖は恭平ができないと分かってる、と恭平を抱き締めた。
ほら、出来ないでしょ?
優しくそう言われて、抱き締めたられた暖かい腕の感触。恭平がそんなことできない事くらい分かってるよとシッカリ抱き締めてくれた腕。今直ぐその腕の暖かさが欲しいのに、それを取り戻すには以前了に言われて酷く傷ついた言葉通り自分から強請り誘って抱かれないとならない。それを知って恭平は、吐き気を催す皮肉な現実を感じる。
「ほら・早くしろよ。」
「………出来、ない………。」
項垂れたまま呟く様に口にした言葉に、了が眉を潜めた。
「………俺は抵抗しないし…逃げもしない……、お前の好きなようにすればいいんだ。」
泣いているように震える恭平の声が小さくそう告げ、微かに震える肌が更に血の気を失って青味を増す。
「だけど…俺から強請れないし誘う…?………無理だ、そんなことは出来ない………。」
「は?…何?人の旨そうにしゃぶってて今更?なにそれ、初心な彼女のつもり?」
やっぱりなと内心では思いながら、了はそれを声に出さないように努める。あの榊恭平が擦れっ枯らしの女みたいに男に犯してください、なんて強請る筈もない。だけど、つまりそれはそうさせれば、恭平はあのガキより了の虜になった証しと言える。それでも加虐心から放たれた辛らつな言葉に、思わず拳が握りしめら震えるのが分かる。手を視界に入れた了が不意に気がついた様に恭平の左手を掴み持ち上げると、そこにあるものをまじまじと覗き込み嘲りの声を上げた。
「もしかして恭平、恋愛ごっこじゃすまなくて夫婦ごっこまでしてんの?高校生のガキと。」
見上げた恭平が明らかにカッとその頬を怒りで朱に染めるのを視界に、了は信じられない思いでその横顔を見つめる。誰にも心を開かなかった筈のその頑なな蕾。そんな恭平を綻ばせたものが何だったのか、内心戸惑いながらもそれを表に出さずに言葉を繋ぐ。
「貞淑な奥さんが腰振って、他の男によがってるの旦那が知ったら………なぁ、離婚かな?……。」
言葉に一瞬息を呑んだ恭平を背後からベットに突き飛ばし、無造作にその背中に覆いかぶさるようにして耳元で茶化す様に了が囁きかける。
「なぁ……これから一言でも嫌だとかやめろって言ったら、その場でお終いにしてやるよ?仁聖君の名前でも終わりにしてやる。」
覆い被さられた恭平が微かに了の言葉に安堵を匂わせたのに、了はニヤリと笑いながら言葉を続けた。そんな簡単に解放なんかしてやる筈がないと思わないのか?
「……ただしその代り仁聖君の話もお終い。……もう何にも教えてやらない。」
その言葉に含まれた毒に犯されるように白い肌が更に青味を増して、触れている体温が解けて凍り付いていくのが分かった。驚く程に従順に従うその肌が見る間に腕の中で凍りつき心では従っていない事の証が、逆に了には嬉しくて仕方がない。
「知りたい事があったら最後まできちんと俺を満足させろよ?俺が満足するまでやらせてくれたら、ちゃあんと教えてやるから……な?」
取引にもならない無慈悲な提案に、恭平は息を呑み俯せに夜具に肌を押し付けた身を強張らせるた。逃げ場もなく妥協できるものもない。つまりは了が満足するまで身体を自由にさせるしか、仁聖を取り戻すどころか情報を得る方法がないのだ。
ここじゃないなら、何処に……無事なのか…?
ここに来るまでに警察や村瀬篠に相談することを考えなかった訳ではない。でも、そうできなかったのは仁聖の身を案じた事もあるし、篠は自分の事で手を煩わせる訳にはいかないと思っていた。そして何より心のどこかであんな事があっても、まだ了は自分の友人であると信じてもいたのだ。しかし、どうやっても言うなりになって了が満足するまで蹂躙されるしか方法がない。泣き出しそうになる眉を寄せると、恭平の手にフワリと紺色のネクタイが触れる。
仁聖……、もしこれで…お前が……
左の指に触れたネクタイが指先に絡んだのと殆ど同時に、突然背中から離れた了が恭平の腰を掴み高く上げさせた。両手で双球を割り開くようにして恭平の硬く締まった蕾を曝し、イヤらしい動きをする指で撫で回してくる。
「まだ綺麗に、締まってる。」
何人もの同性経験と比較される言葉に、恭平は悲鳴をあげたいと心が叫ぶのを聞く。友人だった筈の男に四つん這いにさせられ尻を開かれ、恥ずかしい場所を容赦なく見られている。
キツく目を閉じて夜具に押し付けた筈の顔が不快感に震えるのを楽しむように、乾いた指が何度も執拗に孔を撫で回す。時折確かめるように押し付けられる指の感触が、恭平の震えを助長していく。
「力、抜けそうもないなぁ?緊張して締まって可愛いな、処女みたいだ。」
カッと羞恥心に肌が赤くなる。わざとらしい女扱いをする言葉に恭平は反応したくないのに、分かっていて了は煽り続けていく。
「なあ?昨日もしたか?交尾、旦那の精子タップリ中だしした?」
「なっ……。」
「若い旦那相手だもんな?奥さん、こんなとこまでキスマークつけるなんて、イヤらしい。」
太股を撫でられ、そんなことを言いながら了が笑う。言葉を放つことも出来ない恭平に、了は無造作に滑るジェルの様な感触をまとった指で孔を擦り始めた。
「うっ!な、なにっ?!」
「こんな締まってたらチンポ入んないから、ソロソロ拡げようか?可愛いオマンコ。」
女扱いされながら後孔に丁寧に刷り込まれる滑りに、思わずヒッと声が溢れる。仁聖と繋がる時に少しでも苦しくないようにと潤滑剤は使うことはあっても、こんな風に何かを塗り込まれた経験はない。それはジンッと奇妙な痺れを生んで、チクチクとむず痒い感覚すら感じさせられる。
「おやおや、随分効き目が良いな?もうヒクヒクしてるぞ?」
「う、るさっ」
「はは、こんな感度のいいオマンコしてるなんて、奥さん随分と淫乱なんだな?」
了の言葉を聞くなと頭の中で自分に向かって叫ぶ。聞いていたら頭の中まで犯されてしまうと分かっているが、同時に了が何時仁聖の情報をもたらすかもわからない。
不意に容赦なく後孔を穿つ細い感触に、喉から悲鳴が零れ落ちていた。何か細長い円柱状の物がジンジンする孔を僅かに通過して、体内に射し込まれている。しかもその先端からまるで精液のようにドロドロとしたものが、容赦なく大量に流し込まれ始めたのだ。
「ひっううっ!あっ!」
「嫌とか駄目は無しだぞ?覚えてるよな?恭平。」
「ひぃっうううっ!うあっ!」
わざとらしく念を押され嫌と言う言葉を飲み込もうとすると、押し込まれる粘度のある液体がドプドプと体内に満たされていくのが分かる。しかも入り口のむず痒さが増長して、指よりも細い物を射し込まれているだけなのにジワリと肌に汗が滲む。
「いい子だな。全部オマンコで呑んだぞ、ジェル一本分。」
クポッと音をさせて咥えさせられていた先が無造作に抜かれると、溢れだしそうな感覚に体がガクガクするのが分かった。大量に体内に注ぎ込まれた潤滑剤が、違和感と同時に奇妙な熱感を腸に染み込ませてくる。
「う、ううっ。」
「タップリ注いでやったから、漏らしてもいいんだぞ?入り口も気持ち良くなってきてるだろ?恭平。」
「そ、なこと、な……。」
頭を弱く振った瞬間に熱く痺れる孔に、グチュグチュと卑猥な音を上げて指が呑みこまされた。突然の強い挿入感に喉が引き攣り、思わず恭平の腰が浮きあがる。
「はは、本当に毎日仕込まれてんの?中、綺麗に洗ってあるみたいだ。」
「ううっ!くっう………うっ…。」
体内を掻き回され探られなぞる了の指先に意思と反して体が反応して、おぞましい快感が芯を炙るのに耐えきれずに恭平の体が撓る。そんな風に仁聖との事を言われたくないと心は悲鳴をあげているのに、そこを探られる事に実際に慣れている体が確かに分かっていた。
「大分アイツに仕込まれたんだな?中がひくついて吸いついてくるぜ?感度がいい、熱くてトロトロだ。」
「く…う…ううっ…ぐ………う…っ…」
悲鳴とも呻きとも判断の出来ない声がその唇から溢れ落ちるのを堪能しながら、更に奥深く埋め込まれる指が淫猥な動きで恭平の中を掻き乱していく。
「あ…うっ………っ…ぐ…ぅ…!!」
他人の指先が神経を掻き毟る感触に、溢れ落ちそうになる言葉を堪えようと唇を噛み必死でシーツごと仁聖のネクタイを掴む。気を抜くと直ぐにでも嫌だ・やめろと叫びたくなるのを耐えるために必死で唇を噛んでいるのが、余計に後孔を掻き回されるのをズンズンと神経に伝えてくる。ブルブルと震える恭平の体を指で弄くり回しているのを見ているだけで、了は射精しそうな程の興奮に呑まれていく。先に塗った媚薬入りのジェルのせいで綻んだ後孔が、まるで誘うようにヒクリヒクリと蠢めいて中に注ぎ込んだ潤滑剤を滴らせる。
「もう指が二本入りそうだ…随分好きものなんだな?若い旦那に毎日躾けられて気持ちよくてよがってんだ?」
羞恥を煽りながら自分を貶める言葉に涙が溢れそうになるのを恭平は、血の味がするほどキツく唇を噛んで耐える。そんな恭平の姿を了は彼には見えないと分かりながら、陶然とした表情で見下ろす。砕いて貶める筈のその姿は酷く純粋で彼の心を引き付ける。それと同時に、非情なほどに加虐心を煽り、残酷な欲望を高ぶらせていく。あえてグチュグチュと音を立てて指を掻き回してやると、その表情は苦悩に満ちて酷く艶かしく泣き出しそうに歪む。
「はは、二本にしたらあっという間に解れたぜ?前立腺、擦られて気持ちいいんだな、もうチンポ入れて欲しいんだろ?」
徐に了がグイと両手で細い腰を引き上げて屹立しかけた恭平自身を空気に晒してやると、弱く頭を振る動作がその言葉を必死に否定する。
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