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おまけ
念願の……【ウィル目線】
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み、見ちゃった見ちゃった!
リアム兄さんとクレア様がき、キッスしてる所を!!
僕は紅潮した顔面を両手で抑え何も考えずにひたすらと歩いた。
そのため、前が見えず至る所にぶつかるが痛みは感じない。
ある程度まで歩いてきて最後にゴンっと頭を壁にぶつけたところでどうにか歩みを止めることが出来た。
そっと顔から手を離し見上げるとそこはドロシー様のお屋敷の玄関だった。
こんな夜遅くに訪ねるなんて非常識にも程がある。
だが、そんな気持ちとは裏腹にもしかしたら出てきてくれるんじゃないかと期待してしまう自分がいる。
そんな期待が伝わったのかガチャっと扉がゆっくり開いた。
「ドロシ……執事かぁ……」
「貴方様ほどわかりやすくドン底に落とされた事を表現できる人はなかなかいませんよ」
僕はガクッと肩を落としてそのまま膝をついて両手も地面に着けた。
「ドロシー様に会いたかった!」
「馬鹿正直ですね。いいと思います」
そういう執事の声には感情は一切こもってない。
「理由によってはあわせて差し上げますが、どうなさいますか?」
上から見下ろされ、尚且つ偉そうな言葉にムカついたが僕は藁にも縋るような思いで執事の足にしがみつく。
「ドロシー様とキッスをしたいです!」
「お帰り願います」
「即答!!」
アレンは足をブンブンと振り僕を剥がそうとするが諦めない。
すると、どこからともなくドロシー様の足音が聞こえてきた。
「ウィル様!? アレン!? 何やってるんですか!?」
この状況を見て目を見開いて驚いているドロシー様も愛らしい。
僕はかっこ悪い所を見せまいと執事の足から離れドロシー様に近づく。
「貴方に会いに来ました」
「え……」
ドロシー様は仄かに顔を赤く染め、執事が後ろで「よくあの状況から格好つけられますね」と呟き呆れたようにため息をついた。
「それでは私は仕事がございますので」
珍しく執事は身を引きドロシー様と2人っきりにさせてくれた。
貴方って人は……本当は良い方なのですね。
敬意を込めて後ろ姿を一瞬だけ見送り、またドロシー様のお姿を目に入れた。
「ここでの立ち話もなんですし、僕のお部屋に行かれますか?」
いぎだい……っ!
と、喉の下まででかかったがなんとか飲み込んだ。
確かにドロシー様のお部屋には行きたい。めちゃくちゃ行きたい。だがしかし! ドロシー様のお部屋に行ってしまうと毎回、絵のモデルやら、推し(?)語りやら、最終的にはみんなを呼んで遊ぼうと毎回ドロシー様のペースになってしまう。
それはそれで楽しいのだが、僕は今日遊びに来たわけではないのだ! これは言うならば、キッシングの戦い!
僕は邪念を払うように首を振った。
「大丈夫です。すぐ帰りますので」
そう言って、ドロシー様に近づき両肩を掴んだ。
「え?」
「目を瞑っててください」
ドロシー様が恥ずかしそうに小さく頷くとそっと目を閉じた。
よ、よし。いい感じの雰囲気になった。あとは、唇と唇を……く、唇と唇……
ただ、唇と唇をくっつければいいのに、あまりにも無防備で愛らしいドロシー様に対してイケナイ事をしてる気がして上手く顔を近づけられない。
あ、あれ? キスってどうやるんだっけ? 首の角度は? 唇の形は? 舌は?
よくわからくなってきて頭がパンクしているとドロシー様がチラッと片目を開いた。
「ウィル様?」
「いや、あ、ちょっ、その……」
心配そうなドロシー様に申し訳なさと焦りでワタワタしていると胸ぐらを掴まれ、引き寄せられた。
そのまま唇同士が軽く触れ合い、すぐに離れた。
ーーえ……
早すぎて何が何だかわからずにいると、ドロシー様が照れたように頬をかいた。
「ウィル様の唇、僕から奪っちゃいました」
感触を確かめるかのように自分の唇に触れると、ぶわぁっと熱が込み上げてくる。
「◎※○△×♯&!」
そのまま言葉にならない叫びを上げ、いつもなら倒れたり気絶してしまうが、なんとか踏みとどまった。
ダメだ。いっつもドロシー様のペースじゃ。僕が男にならないと。
そう思ったが先か恥ずかしそうにしているドロシー様を半ば無意識に押し倒していた。
そして、さっきまで怖気ついていたとは思えないくらいに唇を触れ合わせることが出来た。
「ウィル様……」
「愛してるよ。ドロシー……それと、杏樹」
「◎※○△×♯&!」
今度はドロシー様が言葉にならない叫び声を上げ顔から湯気を出して気絶してしまった。
呪文のように「尊い」という言葉を連呼しているがそういう所も可愛い。
それから、執事がドロシー様を介抱し、なんとか意識を戻したところで僕はお家に帰った。
こうして、僕のキッシングの戦いは無事勝利を掴んだのであった。
リアム兄さんとクレア様がき、キッスしてる所を!!
僕は紅潮した顔面を両手で抑え何も考えずにひたすらと歩いた。
そのため、前が見えず至る所にぶつかるが痛みは感じない。
ある程度まで歩いてきて最後にゴンっと頭を壁にぶつけたところでどうにか歩みを止めることが出来た。
そっと顔から手を離し見上げるとそこはドロシー様のお屋敷の玄関だった。
こんな夜遅くに訪ねるなんて非常識にも程がある。
だが、そんな気持ちとは裏腹にもしかしたら出てきてくれるんじゃないかと期待してしまう自分がいる。
そんな期待が伝わったのかガチャっと扉がゆっくり開いた。
「ドロシ……執事かぁ……」
「貴方様ほどわかりやすくドン底に落とされた事を表現できる人はなかなかいませんよ」
僕はガクッと肩を落としてそのまま膝をついて両手も地面に着けた。
「ドロシー様に会いたかった!」
「馬鹿正直ですね。いいと思います」
そういう執事の声には感情は一切こもってない。
「理由によってはあわせて差し上げますが、どうなさいますか?」
上から見下ろされ、尚且つ偉そうな言葉にムカついたが僕は藁にも縋るような思いで執事の足にしがみつく。
「ドロシー様とキッスをしたいです!」
「お帰り願います」
「即答!!」
アレンは足をブンブンと振り僕を剥がそうとするが諦めない。
すると、どこからともなくドロシー様の足音が聞こえてきた。
「ウィル様!? アレン!? 何やってるんですか!?」
この状況を見て目を見開いて驚いているドロシー様も愛らしい。
僕はかっこ悪い所を見せまいと執事の足から離れドロシー様に近づく。
「貴方に会いに来ました」
「え……」
ドロシー様は仄かに顔を赤く染め、執事が後ろで「よくあの状況から格好つけられますね」と呟き呆れたようにため息をついた。
「それでは私は仕事がございますので」
珍しく執事は身を引きドロシー様と2人っきりにさせてくれた。
貴方って人は……本当は良い方なのですね。
敬意を込めて後ろ姿を一瞬だけ見送り、またドロシー様のお姿を目に入れた。
「ここでの立ち話もなんですし、僕のお部屋に行かれますか?」
いぎだい……っ!
と、喉の下まででかかったがなんとか飲み込んだ。
確かにドロシー様のお部屋には行きたい。めちゃくちゃ行きたい。だがしかし! ドロシー様のお部屋に行ってしまうと毎回、絵のモデルやら、推し(?)語りやら、最終的にはみんなを呼んで遊ぼうと毎回ドロシー様のペースになってしまう。
それはそれで楽しいのだが、僕は今日遊びに来たわけではないのだ! これは言うならば、キッシングの戦い!
僕は邪念を払うように首を振った。
「大丈夫です。すぐ帰りますので」
そう言って、ドロシー様に近づき両肩を掴んだ。
「え?」
「目を瞑っててください」
ドロシー様が恥ずかしそうに小さく頷くとそっと目を閉じた。
よ、よし。いい感じの雰囲気になった。あとは、唇と唇を……く、唇と唇……
ただ、唇と唇をくっつければいいのに、あまりにも無防備で愛らしいドロシー様に対してイケナイ事をしてる気がして上手く顔を近づけられない。
あ、あれ? キスってどうやるんだっけ? 首の角度は? 唇の形は? 舌は?
よくわからくなってきて頭がパンクしているとドロシー様がチラッと片目を開いた。
「ウィル様?」
「いや、あ、ちょっ、その……」
心配そうなドロシー様に申し訳なさと焦りでワタワタしていると胸ぐらを掴まれ、引き寄せられた。
そのまま唇同士が軽く触れ合い、すぐに離れた。
ーーえ……
早すぎて何が何だかわからずにいると、ドロシー様が照れたように頬をかいた。
「ウィル様の唇、僕から奪っちゃいました」
感触を確かめるかのように自分の唇に触れると、ぶわぁっと熱が込み上げてくる。
「◎※○△×♯&!」
そのまま言葉にならない叫びを上げ、いつもなら倒れたり気絶してしまうが、なんとか踏みとどまった。
ダメだ。いっつもドロシー様のペースじゃ。僕が男にならないと。
そう思ったが先か恥ずかしそうにしているドロシー様を半ば無意識に押し倒していた。
そして、さっきまで怖気ついていたとは思えないくらいに唇を触れ合わせることが出来た。
「ウィル様……」
「愛してるよ。ドロシー……それと、杏樹」
「◎※○△×♯&!」
今度はドロシー様が言葉にならない叫び声を上げ顔から湯気を出して気絶してしまった。
呪文のように「尊い」という言葉を連呼しているがそういう所も可愛い。
それから、執事がドロシー様を介抱し、なんとか意識を戻したところで僕はお家に帰った。
こうして、僕のキッシングの戦いは無事勝利を掴んだのであった。
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