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「あら…稚菜は居ないの? いま、声が聞こえたように思ったんだけど?」
「さぁ、トイレにでも行ってるんじゃないのかい……」
「稚菜ぁ~、由紀ちゃんが玄関で待ってるわよー?」
早苗は辺りを見回して声を掛けたが、稚菜の返事はない。拓人は父親の顔をチラリと見ると、これはふたりの秘密だとでも言うように目配せをした。
「コホン。ところで早苗……キミも財布を忘れて買い物の途中なんだろう。早く行かなくていいのかい?」
「あぁそうでした。グズグズしてたら、お夕飯の支度が遅くなっちゃうわ……! えーっと、お財布はどこに置いたかしら?」
「台所の引き出しか、寝室の机に置いたんじゃないの?」
その言葉を聞くが早いか、拓人はまた走り出して台所へ行き、早苗の財布を探し始めた。
「ママー、お財布ないですよ~?」
「変ねぇ……やっぱり文机の上かしら?」
「仕方ないなぁ、僕も一緒に探すよ」
3人はそろって自分たちの寝室へと向かった。その隙に稚菜はこたつから飛び出し、父と母の和室を通って縁側に抜けると、廊下の突き当たりにあるトイレへ駆け込む。
「さぁ、トイレにでも行ってるんじゃないのかい……」
「稚菜ぁ~、由紀ちゃんが玄関で待ってるわよー?」
早苗は辺りを見回して声を掛けたが、稚菜の返事はない。拓人は父親の顔をチラリと見ると、これはふたりの秘密だとでも言うように目配せをした。
「コホン。ところで早苗……キミも財布を忘れて買い物の途中なんだろう。早く行かなくていいのかい?」
「あぁそうでした。グズグズしてたら、お夕飯の支度が遅くなっちゃうわ……! えーっと、お財布はどこに置いたかしら?」
「台所の引き出しか、寝室の机に置いたんじゃないの?」
その言葉を聞くが早いか、拓人はまた走り出して台所へ行き、早苗の財布を探し始めた。
「ママー、お財布ないですよ~?」
「変ねぇ……やっぱり文机の上かしら?」
「仕方ないなぁ、僕も一緒に探すよ」
3人はそろって自分たちの寝室へと向かった。その隙に稚菜はこたつから飛び出し、父と母の和室を通って縁側に抜けると、廊下の突き当たりにあるトイレへ駆け込む。
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