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4.悪役魔法使い令嬢
ルカの覚悟
しおりを挟む「いたい…」
ツッチー君はとりあえずユグドラシルの城に捕らえることにした。
このままでは他国との貿易が断ち切られ食事が取れなくなる。食料は完全に他国の輸入に頼り切っていたのだ。
「こいつを責めたところで時間の無駄だから様子見に行こう」
ルカは私にそう提案したので2人で土の巨大な壁を見に行くことにした。
†
「硬いし、魔力をぶつけてもびくともしない」
「マナを取ってみようか」
私は壁に詰められた魔力を取ろうとしたがうまく出来なかった。もう完全にガチガチになっているのだ。
通信魔法で他国と連絡取れないかやってみるが出来なかった。
「本格的にまずいな…」
「一応ユグドラシル中の魔法使いを動員しているけど、びくともしないみたい」
それに加えて外に出て枯渇しているマナの問題のため派遣されている魔法使いも多いため人材不足はあるかも知れない。
「シェリア、1つ試したいことがある」
ルカはとても真剣な顔をしていた。
「俺にシェリアの魔力をできるだけくれ。そして一度完全なドラゴンになってみる」
「そんな、危険だよ」
ドラゴンになってしまって元の人の姿に戻るかもわからない。それに初めて会った時とても正気とは思えなかった。意識まで無くなってしまったらルカはどうなってしまうのだ。
「街を壊してしまうかも知れないけど、多分ドラゴンは空を漂う存在だと聞いたからここから出ようとするのかと思う。だから出来るだけ国民には避難してもらって魔法使いも厳戒態勢に…ってすごい迷惑かけるかも知れないけど、やれることはやりたい」
「いやだっルカが犠牲になる必要なんてない。やったツッチー君が責任を取ればいいよ。なんで」
涙が溢れた。怖かったからだ。ルカを失う可能性があることがひどく恐ろしかった。
「俺はシェリアを守りたい。それにここに生きている人にできるだけ生きて欲しいんだ。俺は自分の力をコントロール出来ずに無駄に人を殺してきた。その償いとは言わないけど、俺は命をかけて守れる人は守りたいと思っている」
ルカは私の涙をハンカチで拭ってくれた。
「それに、あの苦しみも辛さもシェリアといることで和らいだんだ。たんに契約したからじゃ無い。 が俺を救ってくれたんだ」
ルカにちゅっとキスされた。今までで一番優しいキスだった。
「ありがとう。好きだよ。この世界の何よりも」
だから、守らせて欲しい。と、そう懇願されてしまい、私はとりあえず話に行くことにしてしまった。
†
「それは非常に助かる」
ユグドラシルの王様は私たちの提案に賛成してくれた。私としてははんたいしてくれないかな、なんて淡い期待を抱いていた。
「言いますが、王。もし暴走した場合はどうされるのですか」
「なに、それは対策がある。案ずるでない」
「では許可をいただけたとのことで、作戦に移りましょう」
とんとん拍子に話が進んでいっていた。どうにかしてやめられないものか。そんなことを考えてはいたが、どうしてもドラゴンになってもらうしか方法はないのかも知れないと思っていた。
「おそらく魔力の供給はシェリアのみでは足りないだろうから他の魔法使いも呼んでおこう。出来れば女性がいいかな?」
魔力の供給…。女性がいい…。と、いうことは。
「だ、だめっ」
私は思わずルカの手を取っていた。ほかの人も驚いといたが特にルカが驚いていた。
「あ、ごめんなさい……」
この国のために仕方のないことなのだ。そう思ったが誰かとキスすることを考えると嫌な気持ちになった。
「魔力の供給はシェリアのみで大丈夫です。ありがとうございます。少し席をはずしていいでしょうか?」
ルカはそう言うと、私を連れて謁見室を出た。
「ヤキモチか?」
ルカに壁際に追い詰められていた。ルカは熱のこもった目でわたしを見つめていた。
「….うん」
「そっか…思ったより嬉しいもんだな」
ルカはすごく顔を赤くしてはにかんでいた。
「2人で出来ること先にやってからにするか。死ぬ覚悟だったけど、シェリアと俺は同じ気持ちかもしれんと期待が出てきたから生きないとな」
優しく抱きしめられると長い髪にぐるぐる巻きにされて、そのまま土の壁の方に連れて行かれた。
†
土壁の方に連れてこられると髪の先で壁を刺していたが弾き返されていた。
「髪の毛万能すぎません?」
「魔力を使って自由自在に動くし硬さも変えられる」
「……そういえば、これっていくつもの魔法陣を組み合わせてこうなってるってことだよね」
それならば、それを一枚ずつ壊していけば、なんとかなるのではと思い付いた。
「やってみよう」
近くの魔法陣のところへ降り立ち一枚火の魔法で燃やした。すると、少し壁が崩れた。
「これだ!」
この事を私は通信魔法で城の人に伝えて私たちは2人で魔法陣を壊す作業に入った。
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