転生魔法使い令嬢はラスボス悪役令嬢になります

こと葉揺

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2.囚われの人を探しに

シャルルの行方は

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 私たちは昨日使った洞窟に集まり結界を張って話すことにした。

「どうやらまーちゃんの中身が本物のマツリカだよね?」

 ノエさんはいきなり核心をつく発言をしてきた。ノエさんに変に嘘をつくとダメなのでとりあえず正直に話すことにした。

「…そうです。で、元このうさぎに入っていた子がマツリカに入っています」

「ん?……おかしいな。前言ったはずだよ。うさぎにはうさぎの限界があるって。そこから考えると今の聖女は色ボケおバカだとは思うけど、うさぎほどではないと思うんだ」

 たしかにそう言われるとそうだ。それに聖典でシナリオを改変できるくらいの頭を持っている。ということは人であることは間違いない。

「どのようになったのでしょう」

「ラ・フォア王国に用事があったからついでに城の中の様子を見てきたんだけど、うさぎが入っているのはシャルルだ」

 ということは、シャルルの魂はいずこ…。

「へ?」

「処刑だなんだと言い出したのは今の別人の聖女の言いなりになっているからだと思う。あんなに優秀なシャルルがポンコツになるのはおかしい。聖女が傾国の美女かと言われるとそうでもないし」

 まーちゃんはおよおよと本気で悲しんでいた。ちなみにまーちゃん(聖女と等身大)は割と真面目に美人さんだ。ノエさんの理想が高いのだろう。

「聖女には誰か別の人が入ってるし、シャルルにはウサギが入ってる。聖女の魂はここだけど、シャルルの魂が見つかっていないんだ。それを探してるんだけど、どこなんだろう」

「基本的には誰かと入れ替わっているということなんでしょうか」

「まぁそう考えるのが自然だけど、魂のことに関しては文献がなさすぎて予想の範囲でしか話ができない。もし誰にも入ってなかったら、おそらく死ぬ」

「………」

 私と同じパターンではないだろうか。私は   だがシェリアでもある。共存しているのだ。たしかに中にシェリアがいる。
 それを口に出そうとしたが、それだと、転生したのがバレてしまう。そんなことがバレるとこの好奇心旺盛なノエさんにおもちゃにされてポイだ。

「あと、シャルルには契約紋があったから中にはシャルルはいないだろうね……完全に魂はこの、うさぎちゃんだ」

 ノエさんは色々考えていた。帝国のことだけでなく、王国のことも考えてくれているのだ。何か裏があるのかもしれないが……。

『シャルルは水晶の中に閉じ込められているよ…』

「あら、なんでそれを早く言ってくれないのかな?まーちゃん?」

 ノエさんはまーちゃんの首を持ってニコニコ顔で怒っていた。まーちゃんはノエさんに怯えきっていた。終始怖がっている。

「怖がらせるのやめてください」

 私はまーちゃんを抱きしめて庇った。

『言ったら実験だって面白がるかと思って言えなかった。今ならシェリアもルカも居るし止めてくれる』

「その判断は正解ね」

『いつだったか知らないけどウチより、先に態度がおかしくなったと思う。それで調べていくと確か水晶の中から声が聞こえた』

 前に話したときはシャルルのことはあえて話題には出していなかったが、操られているとは言っていた。たしかにシャルルは原作では恋に落ちたからといって政治を疎かにするようなことはなかったのだ。
 
『私が城から逃げ出す前にシャルルの魂が入った水晶が落ちて割れたところを見たから、もう流石にいなくなったのかと思ってたけど…ノエといったときにその水晶と魂はまだ生きてたんだ』

 なるほど…水晶から水晶へ移ったのか、水晶自体が復活したのかは謎だが、どうやら無事のようだ。
 ノエさんはその話を聞いてふーんといったがつまんなそうだった。

「単純に魂の移り変わりに興味があるのは否定できないけど、このままだと王国潰れちゃうでしょ?だからこのまま潰そうかと思ってさ。シャルルさえいなければこっちのもんだし」

『それはダメ!だって…だって…』

 まーちゃんは泣きそうになっていた。それはそうだ。自分の作った世界に飛ばされて自分の姿は取られたあげく国まで滅ぼされたら傷つく。

「さすがにそれは許されませんよ。ノエさん」

 ルカも同じ意見だったらしく私の言葉に大きく頷いていた。

「ノエはここの国民のことを考えてないのか。聖女が恋にうつつを抜かしているから苦しんでいる。王子として自分の国の人が同じ状況なら助けるだろう?国取だけじゃダメだ」

 だからお前は王になれないのだと顔が言っていた。その言葉はノエさんがもっとも嫌う言葉だったらしく珍しく怒りを表に出していた。

「うるさいなぁ…向いてないことはお前に言われなくても知ってるっつーの。でも、諦め切れないんだよっ」

 2人は殴り合いの喧嘩を始めた。まただ。私の別荘にいる時もこうして殴り合って罵り合っていた。

 しばらくそのままにしておかないとお互いの気が済まないので様子見していた。

「まーちゃん、私さ潜入捜査しようかな」

『ラ・フォア王国にいくん?じゃあウチも一緒に』

「まーちゃんは正体がバレてるから一応うち別荘に居て。転移魔法でこまめに行き来できるようにするから」

『でもどうやって行くの?』

「…リオンに頼む事にする」


 そうだ。あの気持ち悪い求婚をしてきたリオンに頼めば恐らくしばらくあの城に入ることが出来る。この双子は放置してさっさとラ・フォア王国に向かう事にしよう…。








 
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