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1.ラスボス城へのやっかいな来客者
本当の悪役の資質を見せてあげますわ
しおりを挟む「あーーーもう!キリがないっ」
ノエさんから出されたら課題は思っているよりは簡単だった。ただやたら数が多い。
「そんなにクソ真面目にやってても意味ないんじゃない?ノエは効率主義だぞ」
「見てるだけのルカに言われたくない!」
完全なる八つ当たりだ。だってルカは見ているだけしかできない。ルカが手伝った時点で即失格。ルカからは魔力の供給のみ許されていた。
「ピタゴ○ラスイッチ的に出来たら楽なのに……ん?」
もしや、ピタゴラス○ッチなのでは?
この先にあるトラップをいくつかつなぎ合わせて考えた。
「ルカ!ありがとう!」
効率主義様様ですわ。この先にあるのを風で倒して火をつけて…と。
この調子でやってくわ。完全なるピ○ゴラスイッチでめちゃくちゃ気持ちよかった。
何かの宝箱を見つけたが中身は見ずに持ち歩くことにした。
†
「つ、かれた……」
まだ庭しか終わってない…何ということだ。あれから時間は2時間ほど経った。まーちゃんの首輪の制限時間的には3時間ほど余裕があるので少しだけ休憩していた。
ついでだし、宝箱の中身見てみる…。かな……。
「……」
「魔力いる?」
ルカは私を労るように抱きしめてくれた。こうしてくれるだけで魔力が少し満たされる気がする。精霊と契約すると癒しまでもらえるのはありがたい。
「魔力の受け渡し、いつもキスでしてるけど、手でやる方がいい?」
「へ?でも契約紋が舌にあるんでしょう?あれは別に食事みたいなものだからキスでいいよ」
私がサラリと言うとルカは複雑な顔をしていた。
「若い女の子が言うセリフじゃないな…子供っぽいのか大人っぽいのかわかんない時がある」
少し顔を歪めてはいたが優しくキスをしてくれた。今度は奪うようなものではなく触れるだけの優しいものだった。
「そういうルカも嫌じゃないの?キスするの」
「別に、それこそ食事みたいなもんだし」
お互い様ということだ。なんとも色気のないことだ。
「さて、再開しようか!」
気合を入れ直していざ、本陣へ!出陣!!
†
「ぎゃーーーー」
見ると蜘蛛がいっぱいいて、何とも言えないことになっていた。
これはたぶん駆除とかいう概念ではないことで解決しなければ。
精霊の基礎…基礎…。
蜘蛛は闇の精霊のカテゴリーだからこの辺の闇のマナを少なくして……。
すると蜘蛛の数が減っていった。よし、理論としてはあっている。
次は、目に悪いくらい光り輝いたフェアリーたちが舞っていた。
「ノエさんって虫好きなのかな」
「むしろ嫌いだぞ。嫌いだから置いてるんじゃ…てかフェアリーを虫のカテゴリーに入れんなよ」
先ほど吸収した闇のオドを放ち、ヒカリのマナを吸う…と。
この作業はラ・フォア王国でもよくやっていたが、その時よりも楽で効率的に出来ている。
やはり力が伸びたのだ。
†
あれからはとにかくマナを吸ってはオドにしてということを繰り返して疲弊していた。
でも予定より5時間も早く終わった。この客間にノエさんが居るはずだと、扉を開けようとすると開かなかった。
「あれ、もしかして…ここが1番厄介なとこだったりして…」
ゾッとした。血の気が引いた。ここまではウォーミングアップだったのだ。
とにかく何か変なところはないか…。そう思い扉とその周辺を観察していると、以前には無かった何かの模様のあるパネルが貼ってあった。
「これは、火?水…風、この通りにオドを入れればいいのかな」
幸いなことにここでマナとオドをそれぞれの属性で出し入れしたおかげでわりと自身のオドは潤っていた。
パネル通りにオドを入れると扉は空いた。しかし、客間の室内には入れずまた同じ廊下に繋がった。
「ノエさんって実はやり手なのでは…」
「ノエは魔法に関しては右に出るやつはいないな。隠してるみたいだけど…」
なんとずるいチートなのだ。羨ましい。私は転生して無双しておーほっほっほざまぁぁぁってしたかった。もう遅いですわもしたかった。
「……これもしかして」
「マジ?ノエ、やるじゃん」
目の前にはゴーレムを作れと書いてあった。あのシュールレアリスムを?
「シェリア巨匠の作品をまた見れるなんて、幸せ者だ」
ルカもルカである。完全にバカにしているようにしか感じない。
怒りがふつふつと上がってきた。この怒りの感情のままゴーレムを作り、阿修羅像のようなゴーレムを引き連れてノエさんのとこに向かった。
†
バァンとドアを開くと優雅にティータイムをしているノエさんとまーちゃんがいた。まーちゃんに至っては首輪も外れていた。
何もなくてよかった…。
「ノエさん…。いい加減にしなさい!!!私も好きで美術が苦手なんじゃない!!!絶対懲らしめてやる…」
「ぎゃははははは!ひーー腹痛い!なにそれっ…。顔いっぱいついてるけどみんなアヘ顔ダブルピースッ……」
久しぶりにその言葉を聞いた。てかノエさんはどこからそんなこっちの世界のものや言葉が出てくるんだ。
「バカにしないでくださいッ!これは怒りの神です……私はもう怒りましたわよ!」
「いやいや、バカにしてるのっぷぷっそっちでしょ…」
私はゴーレムにノエさんを捕らえてと命令し手に掴んでもらった。
「ノエだけずるい」
ルカがわけわからないことを羨ましがっていた。捕まえて欲しいのか。
「やばいっやばいっ…これを目の前でみると笑い死ぬ…。ひーっ」
「さぁノエさん、これで合格ですよね?家の権利返してください」
「オッケーオッケー!てかこの子連れて帰っていい?帝国の友達に見せたくってさ…」
「はぁ?なんでノエだけ」
「ルカの悪趣味はよくわからんなぁ」
「そんな悪趣味なんて言う人にあげません。それに……」
ノエさんのおでこに移動のスクロールを3枚貼りつけて満面の笑みでこう言った。
「ご指導ありがとうございました。私のお風呂をたくさんのぞいてましたのね♡もう2度と顔を見せないでくださいませ。そして、ノエ様は無事地獄に落ちるように手配いたしましたので、なにとぞなにとぞ…♡」
「へ…?」
その瞬間ノエさんは消えた。ゴーレムも崩してマナに戻した。
「……どこに?」
「男色家がたくさんいらっしゃるところですわ。性に好奇心かある方でしたので、次は男性はどうかと思いまして…」
ものすごくスッキリした。魔法を親切に教えてもらってありがたかったが、セクハラは無い。まじで無い。
「ふぅ…やってやりましたわ……」
「シェリア…口調が芝居くさい」
「完全お怒りモードの時はこれでいきますわ」
性被害、ダメ絶対。
「ノエは契約紋オタクなんだ。だからそれを見たかっただけだと思うけど…」
ん?今何と……。私がよくわからないという顔をしていると言い直してくれた。
「だから、シェリアの契約紋みたいから覗きにきてたんだと思う。シェリアの裸自体には興味ないよ」
「……それはそれでムカつくな」
「いや、あいつに興味持たれたら終わりだぞ?今のところ誰かに興味持って執着とか恋だの愛だのはないけど、あいつはまじで性にだらしないから誰とでもすぐ寝る。だからノエは興味なくても少しでも好意を見せると食われる」
「良かった…大切なものを奪われるとこだった」
「まぁ純粋な気持ちで教えてたんでしょ」
顔を合わせれば喧嘩ばっかりしてた2人だったが(結構な殴り合いをしていたが割愛した)やはり双子なのだと思ってしまった。
「…そういえば、まーちゃんがいない」
一難さってまた一難だ。
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