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1.ラスボス城へのやっかいな来客者
家を乗っ取られそうです
しおりを挟む「こうして…こうして……」
私は魔法でのビニールハウスなるものを試行錯誤していた。
この城の原理を利用して最初は闇魔法で隠していたが、そもそもここに居るコ ウモリやカラス、オオカミたちは闇の精霊なのだ。すんなり入ってきていた。
逆に光魔法でやってみると上手くいったが継続すると魔力の消耗が激しい。昔のように光魔法を使うと疲労がすごい。やはり闇の属性が染み付いているのだ。
「スクロールにするか…」
何枚か光のスクロールを使い、張ってみるといい感じになった。
『すごいね、シェリア。もう見えないよ』
「でしょ~。野菜できたら一緒に食べようね」
『もちろん~この姿になってからは嫌いな野菜も美味しくなったし…』
やはりうさぎの食の好みに寄るのだろうか。
まーちゃんのオドは割とすぐたまるがキスをしなくても手で摘み出せば、いい感じに調整できるので契約までもしてないがいい感じに過ごせていた。
「これでよしっと、スクロールにすると一回魔力を込めれば効果は持続するし、あとは何時間使えるのかのチェックに来て…と」
私がメモをしていると紙に影が覆い被さった。上を見るとノエさんがメモを見ていた。
「シェリア嬢は熱心だね。オルタ・モンドラゴン帝国に派遣にならなかったのが惜しいくらいだ」
「私もそれは思っていました」
今はルカのおかげで全ての属性を扱えるが、本来は1つの属性のみなのだ。それも自分で選べるわけではない。
でも帝国に配属になりたかったと思うくらい魔法使いとしての力が上がっているのを実感していた。
「あのさ、このことは外部に漏らさないからラ・フォア王国でやってた魔法の業務って何か教えてくれない?」
「うーん…」
国の中のことなのだ。そんな簡単に教えていいものなのだろうか。
「1つ言えることがあるとすれば、こんなに魔法が身近に使えるものとは思っていなかったっていうことですね。それで察してください」
所謂戦闘や攻撃魔法、見栄えの問題、私たちがゲームやファンタジー小説で扱っている魔法といえばわかりやすいだろうか。
「よくわかったよ」
ノエさんはニコニコしていた。ラ・フォア王国はたいしたことねぇなって顔に書いてあった。
†
「それでは、ノエ先生の最後の課題を与えたいと思います!」
ノエさんはわざとらしく先生っぽく振る舞い謎のキメポーズをしていた。
「まーちゃんからみてるんだろ~?ルカ。早く帰ってこい。でないとシェリア嬢の魔力、僕の愛のキッスで奪っちゃうよ♡」
ゾゾッとした。こんなにイケメンでも気持ち悪いものは気持ち悪いものだと実感した。完全にルカを煽っているだけなのだが、冗談でも愛のキッスなどという……語彙力……。
まぁ迫られたりしてないだけマシと思おう。あちらでまーちゃんは喜んでいるが、そういえば作者なのだ。行動の原理は彼女なのだろう。
「ま、いいや。そのうちルカは帰ってくるだろうから先に課題の説明をするよ。僕はこの1ヶ月間少しずつわからないように魔法の細工をした」
ノエさんはそう言いながら嬉しそうにデレているまーちゃんを優しく抱っこした。
「それを今日中にとかなければここの別荘は僕のものってことになるよ。ちなみにシェリア嬢のお父様に誓約書もらってきたから、持ち主うんぬんのめんどくさい屁理屈こねるのは無しね」
ノエさんはまーちゃんの首元に魔法の首輪を付けた。
「制限時間に間に合わなかったらってだけじゃつまらないから、課題ごとに制限時間を設けるよ。それをクリアできなければまーちゃんの首輪が徐々に閉まってくる」
『えっ!そんなの酷い!!やっぱりノエ怖いっ』
「褒め言葉ありがとう♡スタートはルカが帰ってきてから24時間ってことにしてあげる。僕は客間で楽しく待っていることにするよ」
そう言ってまーちゃんを連れて楽しそうに去っていった。
まーちゃんを連れて行かれたらどれくらいの時間で何をどれくらい細工を解かなければいけないのかわからない。
途方に暮れていたら黒いもやをまとったルカが移動スクロールで帰ってきた。
「ルカ!おかえ……」
ルカを見ると全身血まみれで闇の魔力が溜まりに溜まって初めてあった時のようになっていた。戦地で争っていたのだろう…。
私はすかさず水の魔法で彼を包み込み血を綺麗に洗い流し、光と風の魔法で素早く乾かした。
そして辛そうな彼にそっとキスをした。
これは……思ったよりも強い闇の力だ。少し闇に飲み込まれそうになるが彼のオドを私の体内に入れ、魔力をマナへ変換して解き放つ。…やはり効率が悪い。
「シェリア…シェリア?」
ルカはぼんやりと意識を取り戻したのか私の唇を見つめていた。
そうすると手で口を開かされてベロベロと口の中を舐め取られた。
「う…んっ…」
ぺちゃぺちゃという音が響き、恥ずかしい。そして、ルカの手の動きがあやしい。破きはしなさそうだが、シャツのボタンを外されていた。
開いた胸元にルカは舌を這わせてた。舐めているのかと思いきやちゅと吸われてくすぐったい気持ちになった。
「いやっ…ちょっと…やりすぎ!」
いくら魔力のやり取りであっても、あまりにも卑猥すぎる。思わずルカの頭をポカンと殴ったら、私が知っているぼんやりとしたルカになっていた。
「ごめん…つい」
「…いいよ。仕方ないし」
とにかく今は私の住処を取られるのを阻止しなければ。ノエさんに出された課題の話をルカにした。
†
そんなことを考えていると目の前にモニターが現れた。これもノエさんの魔法なのだろう。
そこにはいくつ細工があるのかと、どれくらいで解除すればいいかを書いてあった。
「はぁ~ノエの考えそうなことだな。あいつ根性悪いからきっとめんどくさいやつだろうな…」
しかし魔法使いの力を伸ばすことに関しては一流だった。さすがに変なことはしないだろうとたかを括っていた私を数分後殴りたくなるのだった。
†
「ふぅ…やってやりましたわ……」
「シェリア…口調が芝居くさい」
「完全お怒りモードの時はこれでいきますわ」
性被害、ダメ絶対。
「ノエは契約紋オタクなんだ。だからそれを見たかっただけだと思うけど…」
ん?今何と……。私がよくわからないという顔をしていると言い直してくれた。
「だから、シェリアの契約紋みたいから覗きにきてたんだと思う。シェリアの裸自体には興味ないよ」
「……それはそれでムカつくな」
「いや、あいつに興味持たれたら終わりだぞ?今のところ誰かに興味持って執着とか恋だの愛だのはないけど、あいつはまじで性にだらしないから誰とでもすぐ寝る。だからノエは興味なくても少しでも好意を見せると食われる」
「良かった…大切なものを奪われるとこだった」
「まぁ純粋な気持ちで教えてたんでしょ」
顔を合わせれば喧嘩ばっかりしてた2人だったが(結構な殴り合いをしていたが割愛した)やはり双子なのだと思ってしまった。
「…そういえば、まーちゃんがいない」
一難去ってまた一難とはこのことだ。
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